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公正証書遺言の検索を弁護士が代理する方法-必要書類・委任状・謄本請求(AI作成)

第1 代理人弁護士による遺言検索の基本

相続人等から委任を受けた弁護士は,公証役場に公正証書遺言の検索を申し出ることができる。
準備する資料は,①遺言者の死亡と依頼者の資格を示す資料,②依頼者からの委任を示す資料,③来所する代理人の本人確認資料に分けると整理しやすい(世田谷公証役場「手続案内」)。

本記事は,令和8年9月4日現在の法令・公表資料に基づき,主として遺言者の死亡後に相続人を代理する場合の手順を説明するものである。
遺言の作成ではなく,既に作成された遺言の検索と,検索後の謄本等の取得を扱う。

日本公証人連合会の遺言検索Q&Aによれば,全国の公証役場で遺言公正証書の有無と保管公証役場を検索でき,最寄りの公証役場に申し出ることができる。
全国検索の対象は昭和64年1月1日以後に作成されたものであり,検索だけで遺言の内容まで分かるわけではない(銀座公証役場「FAQ」遺言検索)。

保存期間や検索制度全体については,公正証書遺言の保存期間及び検索方法を参照されたい。
以下では,代理利用で取り違えやすい委任者・来所者・請求先の違いに重点を置く。

第2 依頼者の資格と必要書類

1 誰を委任者とするか

遺言者の死亡後に検索を申し出ることができるのは,相続人等の利害関係人である。
弁護士が代理する場合も,まず依頼者がどの資格で申し出るのかを確認し,その資格を示す資料と委任状を準備する(日本公証人連合会のQ&A世田谷公証役場の代理手続案内)。

相続人以外の者から依頼を受ける場合は,その者の利害関係を何によって示すかを,書類の取寄せに着手する前に申出先へ確認するのが適切である。
相続人向けの戸籍の案内を,受遺者等についてもそのまま当てはめることはできない。

遺言者の生存中は,遺言者本人が委任者となる場合に代理検索が認められる。
家族が将来の相続人になるという理由だけで,その家族から依頼を受けて検索する場合とは異なる(銀座公証役場「FAQ」世田谷公証役場「検索等の委任状と必要書類等」)。

2 依頼者の資料と来所代理人の資料を分ける

次の表は,遺言者の死亡後に相続人を代理して来所する場合について,世田谷公証役場の案内に沿ってまとめた基本例である。
加古川公証役場の必要書類案内も,死亡・相続関係の資料に加え,委任状,依頼者の印鑑登録証明書,来所代理人の身分証明書類及び認印を挙げている。

確認すること準備する資料の基本例注意点
遺言者の死亡死亡の記載がある除籍謄本等原本を準備し,別の死亡証明資料を使う場合は扱いを確認する
依頼者の相続人資格相続関係が分かる戸籍謄本等必要な戸籍の範囲は相続関係によって異なる
依頼者からの委任依頼者が実印を押した委任状遺言者と代理人を特定し,委任する手続を記載する
委任者の印鑑依頼者の印鑑登録証明書原本世田谷の案内では来所日に発行後3か月以内
来所する代理人の本人確認運転免許証・マイナンバーカード等依頼者ではなく,実際に来所する代理人の資料である
来所代理人の押印認印世田谷の案内ではシャチハタでないもの

依頼者の印鑑登録証明書と,代理人の本人確認資料は,それぞれ確認する対象が異なる。
弁護士として来所する場合も,資格証明書による代替の可否を含め,利用する本人確認資料と委任状の取扱いを申出先へ確認しておく。

銀座公証役場のFAQは,相続人であることを示す資料として,戸籍謄本のほか法定相続情報一覧図も挙げている。
一覧図を利用する場合は,どの資料に代えることができるかを確認し,委任状や代理人の本人確認資料まで不要になったと扱わない。

戸籍の読み方と一覧図の作成方法は,法定相続情報一覧図の作成方法―戸籍謄本の読み方と相続人の確認で説明している。
検索のために必要な相続関係を,手元のどの資料で示せるかを確認してから,不足分を取得するとよい。

第3 委任状の書き方と職員が来所する場合

1 検索と謄本の請求・受領を区別する

世田谷公証役場の委任状案内は,検索する遺言者の氏名・ふりがな・生年月日を記載し,代理人の氏名・住所を本人確認書類どおりに記載するよう求めている。
遺言者の表示は戸籍等と照合し,依頼者自身の情報と取り違えないようにする。

銀座公証役場の委任事項記載例では,遺言検索と正本・謄本の交付請求について,別の例が示されている。
検索後の謄本取得まで依頼を受けるのであれば,検索だけでなく,謄本等の交付請求と受領を委任することも明示するのが確実である。

委任状を準備する際は,次の事項を申出先の様式と照合する。
①検索対象となる遺言者の氏名・ふりがな・生年月日
②委任者の氏名・住所と,遺言者との関係
③代理人の氏名・住所
④遺言検索,謄本等の交付請求及び受領のうち,委任する事項
⑤職員を復代理人として利用する場合の選任権限

検索前には証書番号や保管公証役場が分からない場合もある。
検索後の請求にも同じ委任状を使用できるか,判明した証書を特定する追加書類が必要かは,謄本を交付する公証役場へ確認する。

2 職員が来所するときは権限のつながりを確認する

銀座公証役場の遺言検索の委任事項例には,復代理人の選任に関する事項も含まれている。
弁護士が依頼者から委任を受け,事務所職員が復代理人として来所する場合には,依頼者から弁護士への委任と,弁護士から職員への権限付与をどの書類で示すかを確認する(同役場の委任事項記載例)。

職員が行うのが申出・受領なのか,単なる書類の持参なのかを明らかにし,職員の本人確認資料も含めて事前に役場と打ち合わせる。
弁護士を代理人とする委任状だけを職員に持たせれば足りると判断せず,実際に来所する人と,その人が行う手続に合わせて準備することが重要である。

第4 公証役場への申出と検索後の謄本取得

1 最寄りの公証役場に連絡する

まず,最寄りの公証役場へ,相続人の代理人弁護士として遺言検索を希望する旨を伝える。
その際,依頼者の資格,弁護士本人又は職員のどちらが来所するか,持参予定の資料を示し,予約の要否を確認する。

予約については,加古川公証役場は事前予約を求める一方,銀座公証役場のFAQは遺言検索の予約を不要としている。
全国一律の予約方法があるものとして準備せず,申出先の案内に従う。

世田谷公証役場の案内は,検索について来所を求め,電話・メール・郵便等による依頼はできないとしている。
必要書類について電話で相談することと,電話で検索結果の回答を受けることは区別する必要がある。

2 判明した保管公証役場へ謄本等を請求する

検索で遺言の存在が分かったら,保管公証役場,作成日,公証人名及び証書を特定する情報を確認し,その公証役場へ謄本等を請求する。
検索を申し出た役場と保管公証役場が異なる場合は,検索の受付だけで謄本の取得まで済んだことにはならない(銀座公証役場「FAQ」)。

日本公証人連合会の謄本請求Q&Aは,謄本の郵送請求も可能としている。
保管公証役場が遠方であれば,代理請求に必要な書類,交付形式,送付先及び費用の納付方法を同役場に相談する。

同Q&Aでは,謄本請求者の本人確認に顔写真付き公的身分証明書を利用する場合,補充的にテレビ電話による本人確認を行うと説明されている。
郵送する資料の確認と,依頼者からの委任を示す資料の確認を分け,来所時の資料をそのまま送れば全て足りると判断しない。

3 現行法の謄本等と正本等を区別する

謄本等の請求を定めるのは,現行の公証人法43条である。
同条は嘱託人,その承継人及び利害関係を有する第三者を請求権者とし,代理による請求には同法32条1項・2項を,承継・利害関係の証明には42条3項・4項を準用している。

書面原本の謄本と,電子原本の内容を出力した書面又は電磁的記録の提供とは,同じ43条でも請求する対象が異なる。
銀座公証役場の用語説明は,電子原本について従来の謄本に相当するものとして,書面の「全部事項出力書面」と電磁的記録の「公正証書証明情報」を挙げている。

これに対し,44条の正本等を請求できる者は,嘱託人又はその承継人であり,利害関係を有する第三者一般を含むものではない。
交付されるものの違いは,公正証書遺言の原本,正本等及び謄本等を参照し,利用先が求める形式を確認してから請求する。

第5 費用と検索結果を受け取った後の注意

1 無料の検索と有料の交付・閲覧を分ける

遺言検索の申出は無料であるが,謄本等の交付や公正証書の閲覧は別の手続であり,手数料がかかる。
現在の公正証書に関する主な金額は,次のとおりである(日本公証人連合会の遺言検索Q&A公証人手数料令40条・40条の2・41条)。

手続手数料区別する点
遺言検索の申出無料有無と保管公証役場を調べる手続
謄本・出力書面等の書面交付1枚300円公証人手数料令40条1項
公正証書に関する電磁的記録の提供2,500円同令40条の2第1項
公正証書又は附属書類の閲覧1回250円同令41条1項

これらの改定手数料は,令和7年10月1日以後にされる嘱託に適用され,同日前の嘱託については従前の例によるとされている(令和7年政令263号附則)。
新たに謄本等を請求する際に,遺言原本の作成日が古いという理由だけで旧料金を使わないよう注意する。

検索が無料であることは,戸籍等の取得費用,郵送料又は依頼した弁護士の報酬まで無料であることを意味しない。
依頼者への費用説明では,公証役場の手数料と,資料取得・郵送の実費及び弁護士報酬を区分すると分かりやすい。

2 該当なしと遺言の不存在・無効は同じではない

全国検索の対象には年代と方式の限界があるため,該当なしという結果だけで,遺言が一切存在しないと判断することはできない。
昭和64年1月1日より前の作成が疑われる場合は,作成時期や役場を絞って個別に照会することが考えられる(銀座公証役場の検索対象の説明世田谷公証役場の検索案内)。

自宅等に保管された自筆証書遺言や,法務局に保管された自筆証書遺言の確認は,公正証書遺言の検索とは別に検討する。
法務局の保管制度を調べる場合は,別制度の手続として,遺言書保管事実証明書・遺言書情報証明書の郵送請求を参照されたい。

銀座公証役場のFAQによれば,検索対象には秘密証書遺言に関する公正証書も含まれるが,秘密証書遺言は役場に保存されないため,その遺言書の謄本交付は請求できない。
検索結果を受け取ったときは,作成日だけでなく,どの方式の記録であるかも確かめる。

検索は有無と保管先を調べる手続であり,遺言の有効性や複数の遺言の優先関係を判断する手続ではない。
複数の記録が見つかったときは,最新の日付だけで調査を終えず,各遺言の内容を確認して法的な関係を検討する必要がある。

3 相続手続の期限は検索と別に管理する

相続の承認又は放棄の熟慮期間は,原則として,自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月である。
調査を終えて判断することが難しい場合には,満了前に家庭裁判所への期間伸長の申立てを検討する(民法915条裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」)。

検索や謄本の到着待ちを,期限管理を保留する理由にしないことが重要である。
遺留分の権利行使についても,適用される法律と起算点を確認し,検索の進行とは別に期間を管理する(現行法について民法1048条)。

第6 出典

1 法令

公証人法32条,42条~44条
公証人手数料令40条,40条の2,41条及び令和7年政令263号附則
民法915条・1048条

2 日本公証人連合会の制度Q&A

亡くなった方について,公正証書遺言が作成されているかどうかを調べることができますか
遺言公正証書の謄本の請求は,遺言書を保管している公証役場に出向く必要がありますか

3 各公証役場の手続案内・委任事項記載例

世田谷公証役場「手続案内」の遺言検索・委任状・必要書類の説明
銀座公証役場「FAQ」の遺言検索・予約に関する説明
銀座公証役場「公正証書」の遺言検索・正本謄本交付の委任事項記載例と用語説明
加古川公証役場「遺言検索・原本閲覧・謄本交付」の必要書類・来所手順

4 裁判所の手続案内

裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」の概要・申立期間。