第1 熊本修習と本記事の資料範囲
本記事は,最高裁判所が実務修習地として指定する「熊本」について,第80期の日程,班と組,過去の配属人数,第77期の実務修習,主な修習先,住居,気象条件その他の生活上の留意点を,令和8年10月5日現在の公開資料に基づいて整理するものである。
熊本修習は,熊本地方裁判所(熊本家庭裁判所を含む。),熊本地方検察庁及び熊本県弁護士会で行う実務修習であり,地方裁判所と地方検察庁はいずれも熊本市中央区京町にある。
第80期について最高裁判所が公表しているのは,令和8年度司法修習生採用選考要項であり,採用発令日は令和9年3月19日である。
熊本がA班かB班か,司法研修所のどの組に属するか及び熊本の配属人数は,第80期の資料ではまだ確認できない。
第79期の熊本はB班9組(高松・徳島・鹿児島と合同),第77期及び第78期の熊本はB班12組(鹿児島・那覇と合同)であったが,これは過去の期の運用であり,第80期の確定事項ではない。
熊本の配属現員は,新第63期から第69期までは25人から28人まで,第70期以降は20人から27人までの範囲にある。
第77期及び第78期の熊本の現地の班は1班から4班までの四つであり,各班が民事裁判,刑事裁判,検察及び弁護を回る順序は第77期と第78期で同じであり,第69期の日程表とも整合する。
第69期以前の希望倍率は,現在の人気度や配属可能性を示すものではない。
第77期の実務修習日程も過去の実施例であり,第80期に同じ日程,教材,担当体制又は実施方式が続くことを示すものではない。
気象条件の面では,熊本は東京と比べて夏の暑さが厳しく,日最高気温35℃以上の日は年15.1日と東京の約3倍あり,6月・7月の降水量は東京の約2.5倍から2.7倍である(後記第8の1)。
また,令和8年7月28日に「令和8年熊本地震」が発生しており,修習地の生活に関係する確認事項を後記第8の2にまとめた。
早見表は次のとおりである。
各項目の根拠と確度は,本文の該当箇所で説明する。
| 項目 | 内容 | 根拠・位置付け |
|---|---|---|
| 対象期・基準日 | 第80期/令和8年10月5日現在 | 本記事の確認日 |
| 採用発令日 | 令和9年3月19日(金) | 令和8年度司法修習生採用選考要項(最高裁判所。Confirmed) |
| 分野別実務修習 | 令和9年4月13日~11月18日(4クール) | 第80期修習日程表(鑑文なし。Source statement) |
| A班・B班 | 第80期は未公表(第79期はB班) | 第80期の申込手続の手引きは令和8年10月中旬頃掲載予定(Unknown) |
| 司法研修所の組 | 第80期は未公表(第79期はB班9組で高松・徳島・鹿児島と合同,第77期・第78期はB班12組で鹿児島・那覇と合同) | 各期の教官担当表(Confirmed。第80期はUnknown) |
| 直近の配属人数 | 第79期24人,第78期23人,第77期27人 | 各期の司法修習生配属現員表 |
| 主な修習先 | 熊本地方裁判所(同市中央区京町),熊本家庭裁判所(同区千葉城町),熊本地方検察庁(同区京町),熊本県弁護士会(同区京町・水道町) | 各機関の公式案内 |
| 第77期の実務修習日程 | 熊本版PDF全8頁(民事裁判・刑事裁判の日程表)。現地班は1班~4班 | 第77期熊本修習の実務修習日程(Confirmed) |
| 住居 | 各自で確保(第79期の手引き)。B班となれば令和10年1月上旬まで熊本で修習 | 第79期手引き2頁・第80期修習日程表(Inference) |
| 気象条件(必須) | 東京と比べ,年平均気温が1.4度高く,日最高気温30℃以上の日は年80.7日(東京52.1日)。6月の降水量は448.5ミリメートルで東京の約2.7倍。雪はほとんど積もらない | 気象庁の平年値(観測地点「熊本」「東京」,統計期間1991年~2020年,令和8年10月5日確認) |
| 自動車 | 要否を一律に判断できる公開資料なし。三機関は熊本市中心部にあり,バス停・電停から徒歩圏とされている | 各機関の交通案内(Unknown) |
| 令和8年熊本地震 | 令和8年7月28日発生。熊本市は大雨警報等の発表基準を引き下げた暫定運用の対象 | 気象庁の報道発表・熊本地方裁判所のお知らせ(Confirmed) |
1 熊本修習とは―司法修習は地方でもできるか
司法修習は地方でも行われ,熊本は全国の実務修習地の一つである。
最高裁判所の司法修習の概要によれば,分野別実務修習は,全国各地の地方裁判所,地方検察庁及び弁護士会で行う民事裁判,刑事裁判,検察及び弁護の4分野の修習である。
熊本修習では,主に熊本地方裁判所(熊本家庭裁判所を含む。),熊本地方検察庁及び熊本県弁護士会がこれを担当する。
ただし,導入修習と集合修習は司法研修所で行うため,修習の全期間を熊本だけで過ごすという意味ではない。
熊本地方裁判所は,本庁のほか玉名,山鹿,阿蘇,八代,人吉及び天草の6支部を置き,熊本家庭裁判所には高森,御船,水俣及び牛深の4出張所がある(後記第6の5)。
支部の所在地は実務修習地ではなく,司法修習生の配属は「熊本」として集計されている。
熊本地方検察庁は福岡高等検察庁の管内にあり,司法研修所の組では,第67期以降のいずれの期も,鹿児島と同じ組に入っている(後記第2の2)。
分野ごとの内容一般は民事裁判修習,刑事裁判修習,検察修習及び弁護修習に,司法修習の全体像は司法修習とはに記載している。
本記事は,熊本に固有の事項を中心に扱う。
2 実務修習の法的な仕組み
司法修習生は,司法試験に合格した者の中から最高裁判所が命ずるものであり(裁判所法66条1項),少なくとも1年間修習をした後試験に合格したときに修習を終える(同法67条1項)。
裁判官の研究及び修養並びに司法修習生の修習に関する事務を取り扱わせるため,最高裁判所に司法研修所が置かれている(同法14条)。
本ブログ掲載の司法修習生に関する規則(令和7年最高裁判所規則第3号による改正後のもの)によれば,同規則1条は,司法研修所長が修習の全期間を通じて司法修習生を統轄すると定めている。
同規則5条は,実務修習の期間を少なくとも「十箇月」とし,そのうち少なくとも「四箇月」は裁判所で,「二箇月」は検察庁で,「二箇月」は弁護士会で修習しなければならないとした上で,実務修習の時期及び場所は司法研修所長が定めるとしている。
実務修習は,司法研修所長が地方裁判所,地方検察庁又は弁護士会に委託して行わせるものとされ(同規則7条),実務修習の間の司法修習生に対する監督は,最高裁判所が地方裁判所長,検事正又は弁護士会長等に委託する(同規則8条)。
そのため,熊本修習の指導は,司法研修所からの委託を受けた熊本地方裁判所,熊本地方検察庁及び熊本県弁護士会が行う。
委託を受けた庁会は常に司法研修所と緊密な連絡を保つものとされ(同規則9条),実務修習を終えた際には,地方裁判所長,検事正及び弁護士会長が修習事項の大要,成績,行状等を司法研修所長に報告する(同規則10条)。
また,司法修習生は,修習に当たって知った秘密を漏らしてはならない(同規則3条)。
3 基準日と対象資料
本記事は,令和8年10月5日現在で確認できる資料に基づく。
第80期の制度及び日程は第80期の資料を優先し,第79期以前の日程表,名簿,配属表及び通知は,過去の実施例として区別する。
令和8年10月13日に,地方での実務修習,通勤・住居の確認事項及び忙しさ・合格率の読み方を補足した。
今回確認した所在地・交通案内と制度概要は,それぞれの節に示した資料による。
過去の配属表・日程表及び気象データの基準日は,従前の各資料に記載した日付のままである。
第80期について確認できた公式資料は,最高裁判所の令和8年度司法修習生採用選考要項(令和8年9月4日)である。
同要項(PDF2頁)は,採用発令日を令和9年3月19日(金)とし,申込手続の詳細を定める「令和8年度司法修習生採用選考申込手続の手引き」を10月中旬頃に最高裁判所ウェブサイトへ掲載する予定としている。
令和8年10月5日現在,同手引きは最高裁判所の司法修習生採用選考のページにまだ掲載されていない。
第79期では,申込手続の手引きの2頁に,集合修習と選択型実務修習の順序を実務修習地ごとに分けた表が載っていた。
したがって,第80期の熊本がどちらの区分に入るかは,第80期の手引きの公表を待って確認する必要がある。
4 資料の確度
本記事は,記載の根拠の強さを次の4区分で考えている。
| 区分 | 意味 | 本記事での例 |
|---|---|---|
| Confirmed | 法令,最高裁判所等の一次資料又は現在の公式ページで直接確認した事項 | 第80期の採用発令日,第79期の熊本がB班9組であること,各期の配属現員,第77期・第69期の日程表の内容 |
| Source statement | 鑑文を欠く資料,民間サイトの集計等の記載 | 第80期修習日程表の日付,民間サイトの家賃の集計 |
| Inference | 複数の資料からの合理的な推測 | 日程表の「1部修習」が民事第1部での修習を指すこと,三機関の位置関係から見た通勤の負担 |
| Unknown | 調査した公開資料では確認できない事項 | 第80期の熊本の班・組・配属人数,第77期の検察修習・弁護修習の日程,選択型実務修習のプログラム,支部での修習の有無 |
「確認できない」は,「存在しない」という意味ではない。
公開資料に記載がないことを,制度,行事又は運用が存在しないことと読み替えない。
5 公開資料から分かる範囲
第80期について,熊本の班,組及び配属人数を示す公開資料は確認できなかった。
過去の期については,第67期から第79期までの教官担当表等,新第63期から第79期までの配属現員表,第69期までの実務修習希望地調査表,第69期の熊本の検察修習及び裁判修習の日程表,第77期熊本修習の実務修習日程,第71期・第76期・第77期の司法修習生配属表並びに第77期及び第78期の修習開始等に関する事務連絡が公開されている。
第77期熊本修習の実務修習日程はPDF全8頁で,熊本地方裁判所の「第77期司法修習生裁判実務修習日程表」を各クール2頁ずつ収録している。
本記事で全国版のPDF(全583頁)と照合したところ,熊本版の8頁は全国版の176頁・177頁,322頁・323頁,427頁・428頁及び545頁・546頁と同じものであり,全国版でその前後に置かれた頁は大分・宮崎等の他の修習地のものであった。
第77期の検察修習及び弁護修習の日程表は,いずれのPDFにも収録されていない。
これは日程表に収録されていないというだけであり,検察修習及び弁護修習の行事がなかったことを意味しない。
第69期については,熊本地方検察庁の検察修習の日程表(全20頁)が公開されており,後記第4の6で過去の例として紹介する。
他の修習地と比較する場合は,九州・沖縄の司法修習地を比較―通勤・自動車・和光への移動と住居を参照されたい。
日々の通勤に使う交通手段と,空港への移動や首都圏到着後の経路を分け,家賃,駐車費及び荷物の移動費を同じ条件で比較する方法を説明している。
6 忙しさと合格率についての疑問
(1) 熊本修習は忙しいか
忙しさを考える際は,修習分野とその日の事件・課題に加え,予習・復習及び通勤の時間を分けて確認する必要がある。
公式の司法修習の概要は,実務修習では実際の事件を扱い,集合修習では起案・講評・討論等を行うと説明している。
日程表の最終科目が終わる時刻だけを,毎日の帰宅可能な時刻と読み替えることはできない。
熊本の過去の裁判実務修習の内容は第4に,課程別の一日の予定と確認事項は司法修習生は忙しいかに記載している。
(2) 司法修習の合格率を熊本修習に当てはめられるか
二回試験の合格率は,対象期と,初回受験者だけか再受験者も含めるかをそろえて読む必要がある。
全国の合格率を熊本修習だけの合格率と読み替えたり,不合格者数だけから受験者全体の率を算出したりすることはできない。
具体的な計算例と統計の読み方は司法修習生考試(二回試験)とはの合否・統計の節を参照されたい。
第2 第80期熊本修習の班・組と日程
1 A班・B班
A班・B班は,分野別実務修習の後に,司法研修所での集合修習と配属庁会での選択型実務修習のどちらを先に行うかによる区分である。
第80期について,熊本がどちらに入るかは公表資料で確認できない(Unknown)。
参考として,令和7年度司法修習生採用選考申込手続の手引き2頁は,第79期について,「東京、立川、横浜、さいたま、千葉、大阪、京都、神戸、奈良、大津、和歌山」を先に集合修習を行う区分とし,「①以外の実務修習地」を先に選択型実務修習を行う区分としていた。
熊本は後者に当たる。
司法研修所の第79期教官担当表(令和8年4月17日付)も,熊本を含む第9組を「B班」の欄に置いている。
その運用が第80期にも続くかは,第80期の手引きで確認する必要がある。
2 司法研修所の組と合同クラス
第80期の熊本がどの組に属するかは,公表資料で確認できない(Unknown)。
参考として,各期の教官担当表(教官組別表)によれば,熊本が属した組は次のとおりである。
| 修習期(全組数) | 熊本が属した組 | 同じ組の実務修習地 |
|---|---|---|
| 第79期(全22組) | B班9組 | 高松・徳島・熊本・鹿児島 |
| 第78期(全24組) | B班12組 | 熊本・鹿児島・那覇 |
| 第77期(全25組) | B班12組 | 熊本・鹿児島・那覇 |
| 第72期~第76期(全22組) | B班9組 | 高松・徳島・熊本・鹿児島 |
| 第71期(全23組) | B班9組 | 高松・徳島・熊本・鹿児島 |
| 第70期(全25組) | B班12組 | 熊本・鹿児島・那覇 |
| 第69期(全27組) | B班13組 | 熊本・鹿児島・那覇 |
| 第67期・第68期(全28組) | B班5組 | 熊本・鹿児島・宮崎 |
第79期,第78期及び第77期の行は,本記事で各期の教官担当表(第79期・令和8年4月17日付,第78期・令和7年8月5日付,第77期・令和6年8月2日現在)の画像を確認したものであり,その他の行は各期の原資料を一覧にした実務修習地とクラスの対応関係の記載で確認した。
全組数は同記事の記載による。
このように,熊本は,第67期以降のいずれの期でも鹿児島と同じ組に入っており,その他の相手は,宮崎(第67期・第68期),那覇(第69期,第70期,第77期及び第78期)又は高松・徳島(第71期~第76期及び第79期)となっている。
いずれの期でも熊本が単独で一つの組を構成したことはなく,他の修習地と合同の組である。
組の構成が期によって変わる理由を示す公開資料は確認できず,過去の期の組の構成から第80期の組の構成を確定することはできない。
組の希望を申し出る手続について,最高裁判所事務総長の令和8年5月20日付の司法行政文書不開示通知書(最高裁秘書第1657号)は,「第78期司法修習生組別志望等調査表」を作成又は取得していないとしている。
そのため,司法修習生が自分の組を希望する手続は設けられておらず,組は実務修習地に応じて決まると考えられる(Inference)。
各期の原資料である教官担当表は司法研修所の教官担当表に掲載している。
3 三つの「班・組」の区別
熊本修習の資料には,名称の似た三つの区分が出てくる。
| 呼称 | 意味 | 熊本について確認できた内容 |
|---|---|---|
| A班・B班 | 集合修習と選択型実務修習の実施順序に関する全国的な区分 | 第79期はB班。第80期は未公表 |
| 第○組 | 司法研修所におけるクラス | 第79期はB班9組(高松・徳島・鹿児島と合同)。第80期は未公表 |
| 現地の班 | 配属庁会内のローテーションの単位 | 第69期・第77期・第78期とも1班~4班 |
B班9組であることは,熊本,高松,徳島及び鹿児島の修習生が司法研修所で同じクラスになることを意味するにとどまり,4庁の修習生が熊本で一緒に修習するという意味ではない。
このほか,後記第3の2の希望倍率の高低は,A班・B班の区分とは関係がない。
過去の希望倍率の読み方は実務修習地の希望倍率―過去の統計と第2希望選びの限界で扱っている。
4 熊本修習に関係する日程
第80期の全体日程は,第80期司法修習の日程で整理している。
同記事が基にした「第80期 修習日程」(教官会議資料2)は,作成日,発出者及び宛先を記載した鑑文が付いていない資料である(Source statement)。
最高裁判所の選考要項で確認できるのは採用発令日だけであり,その日付は同日程表の導入修習の開始日と一致する。
同日程表に基づき,熊本修習に関係する期間を整理すると,次のとおりである。
| 課程 | 第80期の期間 | 熊本修習との関係 |
|---|---|---|
| 導入修習 | 令和9年3月19日~4月9日 | 司法研修所(埼玉県和光市)で実施 |
| 分野別実務修習 | 令和9年4月13日~11月18日 | 熊本の配属庁会で,4クールに分けて実施 |
| 選択型実務修習・集合修習(B班の場合) | 選択型:令和9年11月19日~令和10年1月7日,集合:1月12日~2月24日 | 熊本がB班となった場合,選択型実務修習を熊本で行った後,司法研修所で集合修習 |
| 集合修習・選択型実務修習(A班の場合) | 集合:令和9年11月22日~令和10年1月7日,選択型:1月11日~2月24日 | 熊本がA班となった場合の順序 |
同日程表によれば,分野別実務修習の各クールは,第1クールが令和9年4月13日~6月8日,第2クールが6月9日~8月1日,第3クールが8月2日~9月26日,第4クールが9月27日~11月18日であり,実日数はいずれも37日である。
B班の場合,選択型実務修習の終了後に令和10年1月8日から11日までの4日間の移動日があり,集合修習の終了後の2月25日が自由研究日とされている。
同日程表の欄外には,A班の選択型実務修習及びB班の集合修習のカリキュラム終了後に5科目の筆記考試が行われる予定である旨の注記があるが,考試の具体的な日程は記載されていない。
各クールの区切り以外の事項,すなわち配属部,指導担当者,登庁時刻及び個別のプログラムは,配属庁会からの連絡で確認することになる。
第3 配属人数,希望地申告及び実務修習地の指定
1 熊本修習の配属人数は何人か
司法修習生配属現員表(48期以降)に掲載した各期の配属現員表によれば,新第63期以降の熊本の配属現員は次のとおりである。
各期の採用時点の表の値であり,期名から原資料のPDFの該当頁へリンクしている。
いずれも本記事で原資料の画像を確認した。
| 修習期 | 熊本の配属現員 | 全国計 | 表の基準日(PDFの頁) |
|---|---|---|---|
| 第79期 | 24人 | 1551人 | 令和8年3月19日現在(1頁) |
| 第78期 | 23人 | 1556人 | 令和7年3月19日現在(1頁) |
| 第77期 | 27人 | 1830人 | 令和6年3月21日現在(1頁) |
| 第76期 | 20人 | 1394人 | 令和4年11月27日現在(1頁) |
| 第75期 | 20人 | 1329人 | 令和3年11月12日現在(2頁) |
| 第74期 | 23人 | 1456人 | 令和3年3月31日現在(2頁) |
| 第73期 | 23人 | 1473人 | 令和元年11月27日現在(2頁) |
| 第72期 | 23人 | 1482人 | 平成30年11月27日現在(2頁) |
| 第71期 | 21人 | 1516人 | 平成29年11月27日現在(2頁) |
| 第70期 | 23人 | 1533人 | 平成28年11月27日現在(2頁) |
| 第69期 | 25人 | 1788人 | 平成27年11月27日現在(1頁) |
| 第68期 | 26人 | 1762人 | 平成26年11月27日現在(1頁) |
| 第67期 | 26人 | 1972人 | 平成25年11月27日現在(16頁) |
| 第66期 | 28人 | 2035人 | 平成24年11月27日現在(14頁) |
| 新第65期 | 27人 | 2001人 | 平成23年11月27日現在(13頁) |
| 新第64期 | 27人 | 2022人 | 平成22年11月30日現在(11頁) |
| 新第63期 | 28人 | 2021人 | 平成21年11月27日現在(9頁) |
熊本の配属現員は,新第63期から第69期までは25人から28人まで,第70期以降は20人から27人までの範囲にある。
配属現員表は表題に記載された基準日における配属人数を示すものであり,修習を修了した者の数ではない。
配属現員表には二つの期を併記したものがあり,例えば平成26年11月27日現在の表にも第67期の熊本26人が載っているが,同表の第67期の計は2015人(「配属無し」43人を含む。)であるため,上表では採用時点(平成25年11月27日現在)の表の値(計1972人)を用いた。
「採用者数」「修習開始者数」「配属現員」は別の数値であり,混同しない。
配属現員は各表の基準日に在籍していた人数であり,熊本の定員又は募集枠を示すものではない。
第79期司法修習生配属現員表(令和8年3月19日現在)によれば,第79期の熊本の配属現員は24人である(全国計1551人)。
第80期の熊本の配属人数は,令和8年10月5日現在,確認できない(Unknown)。
なお,最高裁判所の裁判所データブック202630頁によれば,第79期の司法修習生の採用者数は全国で1551人(うち女性479人)であり,第79期の配属現員表の計(1551人)と一致する。
同書の採用者数と配属現員表の全国計は一致しないことがあり,例えば第78期は,同書の採用者数が1553人であるのに対し,配属現員表(令和7年3月19日現在)の計は1556人である。
全国の人数の推移は修習開始時点における司法修習生の人数の推移に掲載している。
2 新第63期から第69期までの希望倍率
第69期までは,司法研修所が実務修習希望地調査表を作成しており,その原表が開示されている。
原表の熊本の行から,第1希望者数を配属現員で除した数値と,第1希望者数及び第2希望者数の合計を配属現員で除した数値を計算すると,次のとおりである。
分母の配属現員は,前記1の各期の採用時点の配属現員表の熊本の人数である。
小数第3位を四捨五入した。
平均は,各期の数値(端数処理前)の単純平均である。
期名から,原表のPDFの熊本の行がある頁へリンクしている。
| 修習期(原表) | 第1希望者数 | 第2希望者数 | 配属現員 | 第1希望者数÷配属現員 | 第2希望までの人数÷配属現員 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第69期 | 17人 | 35人 | 25人 | 0.68倍 | 2.08倍 |
| 第68期 | 14人 | 36人 | 26人 | 0.54倍 | 1.92倍 |
| 第67期 | 23人 | 34人 | 26人 | 0.88倍 | 2.19倍 |
| 第66期 | 15人 | 39人 | 28人 | 0.54倍 | 1.93倍 |
| 新第65期 | 9人 | 31人 | 27人 | 0.33倍 | 1.48倍 |
| 新第64期 | 18人 | 35人 | 27人 | 0.67倍 | 1.96倍 |
| 新第63期 | 9人 | 20人 | 28人 | 0.32倍 | 1.04倍 |
| 平均 | - | - | - | 0.57倍 | 1.80倍 |
同じ数値は,本ブログ掲載の司法修習の場所ごとの第1希望の倍率の推移表(新63期から69期まで)及び第2希望までの倍率の推移表(新63期から69期まで)にも載せている。
両表の注記によれば,当時,希望する修習地は第1希望から第6希望まで記載でき,1群の修習地は2個までしか記載できず,第5希望及び第6希望は必ず3群の修習地から選ぶ必要があった。
両表は熊本を「2群」としている。
第2希望までの人数を配属現員で除した数値は,新第63期(1.04倍)を除く各期で1.4倍を超えていた。
他方,熊本は2群であったため,3群から選ぶ規則であった第5希望及び第6希望の欄は,新第63期の原表では0,新第64期から第67期までの原表では斜線,第68期及び第69期の原表では空欄となっている。
第69期の原表では,熊本を第3希望とした者が54人,第4希望とした者が56人であった。
これらは第69期までの希望の分布を示す歴史資料であり,第80期の熊本の人気度や配属可能性を示す数値ではない。
この数値は抽選倍率でも,熊本を第1希望とした者の配属成功率でもなく,古い倍率を根拠に熊本を「入りにくい」「入りやすい」と評価することも適切でない。
3 第70期以降の資料状況
最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会の平成29年4月28日答申(平成29年度(最情)答申第1号)2頁によれば,実務修習希望地調査表は,第69期までは実務修習地を決定する際の参考資料として利用する場合もあるため作成されていたが,事務の合理化の観点から,第70期の司法修習生採用選考申込者に関する調査表は作成しないこととされた。
第79期及び第78期についても,最高裁判所事務総長の司法行政文書不開示通知書(令和8年3月18日付・最高裁秘書第782号及び令和8年1月19日付・最高裁秘書第3778号)は,各期の司法修習予定者の実務修習希望地調査表を作成又は取得していないとしている。
これらから確認できるのは,その名称・内容の文書が作成又は取得されていないという点であり,別の形式の集計が一切存在しないことまで示すものではない。
そのため,第70期以降について,第69期までと同じ定義の希望倍率は算出できない。
直近期の配属人数を確認できても,第80期の熊本の希望者数,希望倍率又は配属確率は分からず(Unknown),熊本が「人気である」「配属されやすい」と評価することはできない。
4 希望地の申告と実務修習地の指定
第80期の希望地の申告方法は,令和8年10月中旬頃に掲載予定の申込手続の手引き及び申込後に示される入力要領で確認する必要がある。
第79期の令和7年度司法修習生採用選考申込手続の手引き6頁は,採用選考申込フォームの入力事項の一つとして「実務修習希望地に関する事項」を挙げているが,公開されている手引きには,希望地の群の区分や記載できる数の規則は書かれていない。
実務修習地の指定については,公開されている司法研修所の通知の中で,第72期の司法研修所からのお知らせ(平成30年8月1日)が次の点を明記している。
①実務修習地は,司法研修所長が決定する(2頁)。
②希望地の記載は希望どおりに決定されることを保証するものではなく,特定の実務修習地に希望者が集中した場合などには希望どおりに決定されないことがある(2頁)。
③通知した実務修習地の変更は,認められない(2頁)。
④当時の様式では,熊本は「2群」に分類されていた(6頁)。第1希望から第4希望までは1群から3群までの中から記載し(1群から選択するのは2箇所まで),第5希望及び第6希望は3群から記載するものとされていた(8頁)。
①から③は第72期の通知の記載であるが,第80期の扱いを確認する際の出発点になる。
①は,実務修習の時期及び場所は司法研修所長が定めるとする司法修習生に関する規則5条の規定(前記第1の2)に対応する。
④の群の区分と記載数の制限は第72期の紙の様式の規則であり,第80期の入力フォームでも同じであるとは限らない。
最高裁判所の情報公開・個人情報保護審査委員会の令和元年8月23日答申(令和元年度(最情)答申第40号)2頁によれば,第72期の実務修習地は,実務修習希望地調査書に記載された希望修習地及びその順位,各人の健康状態,家族状況等の諸般の事情を考慮して検討・調整を行った上で,名簿を作成して決定されたと説明されている。
前記3の平成29年答申3頁も,実務修習地の決定に当たっては,司法修習生の希望を基本として,各人の諸般の事情を考慮しているとしている。
通知後の変更が認められないことについては,例外的に配属換えがされた例もある。
同委員会の平成30年3月23日答申(平成29年度(情)答申第21号)は,旭川地方裁判所に配属された第70期の司法修習生の一部が配属換えになったことに関する文書を対象とするものである。
これは熊本に関する例ではなく,配属換えの理由は同答申からは分からない。
家庭事情等の申告方法,「一任」の扱い及び過年度資料の適用限界は,80期司法修習の希望地申告で詳しく扱っている。
全国の実務修習地の一覧と選び方は司法修習の場所―全国51の実務修習地一覧と選び方を参照されたい。
第4 第77期熊本修習の具体的内容
1 確認したPDFの範囲
第77期熊本修習の実務修習日程は,熊本地方裁判所の「第77期司法修習生裁判実務修習日程表」を各クール2頁ずつ収めたPDFである。
本記事では全8頁を画像で確認した。
テキスト層は文字化けが多く,表の欄の対応も崩れていたため,日付と行事の対応はすべて画像で読み,色の付いた欄は拡大して確認した。
| 確認項目 | 記録内容 |
|---|---|
| 資料名 | 各頁の表題は「第77期司法修習生裁判実務修習日程表」(右上に「第1クール」~「第4クール」の表示) |
| 作成・送付主体 | 日程表に作成名義の記載はないが,第1クールの頁には司法研修所の受付印があり,同じ受付印の日付の配属表(後記8)は熊本地方裁判所から司法研修所長宛てである。各クールの最初の頁の右上に手書きで「熊本」とある |
| 作成・送付日 | 司法研修所の受付印は,第1クールが令和6年4月4日,第3クールが同年7月17日,第4クールが同年9月9日と読める。第2クールの頁に受付印はない |
| 頁数 | 8頁(各クール2頁) |
| 収録範囲 | 民事裁判修習及び刑事裁判修習(家裁修習及び簡裁修習を含む。)の日程表と,分野別実務修習の初日の全員の行事 |
| 現地班 | 1班~4班。各頁の表頭に,民事部と刑事部で修習する班が書かれている |
| 掲載分野 | 民事裁判修習・刑事裁判修習(家裁修習・簡裁修習を含む。)。検察修習・弁護修習の日程表はない |
| 表の列 | 月日,曜,班及び修習部(民事部の欄・刑事部の欄) |
| 判読方法 | 全頁を画像で目視(110dpi。色付きの欄は220dpiで拡大)。テキスト抽出は補助的に使用 |
| 判読できない範囲 | 日程表の本文に判読できない欄はなかった。ネームプレートの返還先の一部は黒塗り |
全国版のPDFとの照合結果は前記第1の5のとおりである。
同じ時期に熊本地方裁判所が司法研修所長に宛てた第77期の司法修習生配属表(全11頁)もあるが,熊本地方裁判所名義の頁は1頁,3頁,6頁及び9頁であり,その他の頁は手書きで「宮崎」等と記された他の修習地の配属表である(後記8)。
2 現地の班編成と巡回順序
第77期の日程表から確認できる各班の裁判修習は,次のとおりである。
各班の検察修習・弁護修習のクールは,司法研修所事務局長の令和5年度(第77期)司法修習生の修習開始等について(令和6年2月7日付)のPDF12頁の熊本の欄による。
| 第77期の現地班 | 第1クール(4月16日~6月10日) | 第2クール(6月11日~8月1日) | 第3クール(8月2日~9月26日) | 第4クール(9月27日~11月20日) |
|---|---|---|---|---|
| 1班 | 検察 | 民事裁判 | 弁護 | 刑事裁判(家裁修習を含む。) |
| 2班 | 弁護 | 刑事裁判(家裁修習を含む。) | 検察 | 民事裁判 |
| 3班 | 民事裁判 | 検察 | 刑事裁判(家裁修習を含む。) | 弁護 |
| 4班 | 刑事裁判(家裁修習を含む。) | 弁護 | 民事裁判 | 検察 |
日程表の表頭(第1クール:民事部3班・刑事部4班,第2クール:民事部1班・刑事部2班,第3クール:民事部4班・刑事部3班,第4クール:民事部2班・刑事部1班)は,同じ事務連絡の順序と一致する。
第78期については,司法研修所事務局長の令和6年度(第78期)司法修習生の修習開始等について(令和7年2月4日付)のPDF12頁に,熊本の実務修習順序が記載されている。
第78期の熊本も1班から4班までの四つであり,各班の順序(1班:検察→民事裁判→弁護→刑事裁判,2班:弁護→刑事裁判→検察→民事裁判,3班:民事裁判→検察→刑事裁判→弁護,4班:刑事裁判→弁護→民事裁判→検察)は第77期と同じであった。
後記6の第69期の検察修習・裁判修習の日程表から分かる各班の順序も,これと整合する(弁護修習のクールは,両日程表に載っていない残りのクールとして推測したもの。Inference)。
もっとも,班の数と順序は期によって変わることがあり得るため,第80期の班編成と順序は配属後の案内で確認する必要がある。
第77期の事務連絡のPDF17頁によれば,分野別実務修習の初日には,令和6年4月16日午前9時に熊本地方裁判所大会議室(5階)に集合することとされ,開始日に持参する教材等は「なし」とされていた。
第78期の事務連絡のPDF17頁も,令和7年4月14日午前9時に同じ大会議室(5階)に集合し,持参する教材等は「なし」としている。
班の人数は,第77期の日程表にも第77期・第78期の事務連絡にも記載されていない(Unknown)。
配属現員(第77期は27人)を班の数で割った人数は,資料に基づく人数ではないため,本記事では記載しない。
3 民事裁判修習
第77期の日程表で民事裁判修習を確認できるのは,第1クールの3班,第2クールの1班,第3クールの4班及び第4クールの2班である。
いずれの班も,おおむね次の行事が置かれている。
①民裁問研起案(午前10時~午後3時。3班4月19日,1班6月14日,4班8月7日,2班10月2日)
②問研起案の講評(午前・自宅)と司法研修所の教官による個別面談(3班5月9日・10日,1班6月27日・28日,4班8月21日・23日,2班10月16日・17日。第2クール以降の講評の日は「午後は自宅起案日」とされている)
③争点整理DVD(午後3時~5時。3班5月17日,1班7月3日,4班9月4日,2班10月18日)
④非訟事件講義(3班5月31日,1班7月11日,4班9月5日,2班11月8日)
⑤簡裁修習(民事2部配属修習生と民事3部配属修習生に分けて各1日。簡裁調停書記官室に集合し,午前11時から記録検討,午後1時から調停傍聴と質疑応答)
⑥「1部修習」(民事2部配属修習生と民事3部配属修習生に分けて各2日。3班6月3日~6日,1班7月18日~23日,4班9月9日~12日,2班11月11日~14日)
日程表は配属先を「民事2部」「民事3部」と区別しており,後記8の配属表も,民事の部を「民事2部」と「民事3部」としている。
「1部修習」の内容は日程表に書かれていないが,熊本地方裁判所の裁判官配置等(令和6年4月1日現在)の事務分配(PDF6頁~8頁)によれば,本庁の民事第1部は民事執行,破産(免責を含む。),民事再生,民事保全(本案が係属しているときを除く。),配偶者暴力等に関する保護命令,発信者情報の開示命令,非訟等の事件を担当し,通常の民事訴訟は民事第2部と民事第3部に分配されている。
そのため,「1部修習」は,民事第2部・第3部に配属された修習生が,執行・保全・破産等を担当する民事第1部で修習する期間であると考えられる(Inference)。
個別の配属部での事件記録の検討や期日の傍聴の内容は,日程表からは分からない。
4 刑事裁判修習
第77期の日程表で刑事裁判修習を確認できるのは,第1クールの4班,第2クールの2班,第3クールの3班及び第4クールの1班である。
次の行事が置かれている。
①刑裁問研起案(午前10時~午後3時。4班4月18日,2班6月13日,3班8月6日,1班10月1日)と,その講評(午前・自宅)及び司法研修所の教官による個別面談
②「はりつき」(前半・後半。刑事部の裁判官の担当)
③ミニミニ模擬裁(201号法廷等。当日朝に資料を配布)
④ミニ模擬裁(証明予定事実等の提出期限(検察官役),予定主張等の提出期限(弁護人役),公判前2回,公判,判決・講評。会場は201号法廷)
⑤刑事手続演習(出題・提出・講評)
⑥勾留研さん,勾留研さん及び一般令状研さん
⑦オリエンテーションと書記官事務講義
このように,熊本の第77期の刑事裁判修習では,ミニ模擬裁判が公判前の手続から判決・講評まで日程表に組み込まれていた。
裁判員裁判の傍聴等の有無は,日程表からは分からない。
5 家裁修習と簡裁修習
家裁修習は,各班の刑事裁判修習のクールの中に,それぞれ5日ずつ置かれている。
①第1クール(4班):6月4日~7日,10日(刑事裁判修習の終了後)
②第2クール(2班):6月11日・12日・14日・17日・18日(刑事裁判修習の開始前。13日は刑裁問研起案)
③第3クール(3班):9月19日・20日・24日~26日(刑事裁判修習の終了後)
④第4クール(1班):9月27日・30日,10月2日~4日(刑事裁判修習の開始前。1日は刑裁問研起案)
いずれも「熊本家庭裁判所3階総務課へ」午前9時15分までに登庁するとされており,講義や見学の内訳は記載されていない。
熊本家庭裁判所は,地方裁判所(京町)とは別の千葉城町にある(後記第6の1)。
なお,第77期の事務連絡(前記2)の家裁修習期間の欄は,1班を「R6.6.4~R6.6.10」,2班を「R6.6.11~R6.6.17」,3班を「R6.9.19~R6.9.26」,4班を「R6.9.27~R6.10.3」としている。
日程表では,6月4日~10日に家裁修習をしているのは第1クールに刑事裁判修習をした4班であり,9月27日~10月4日に家裁修習をしているのは第4クールに刑事裁判修習をした1班であるから,事務連絡の1班と4班の家裁修習期間は,日程表と入れ替わった形になっている。
また,6月11日から始まる期間と9月27日から始まる期間は,日程表ではいずれも事務連絡より1日後(6月18日,10月4日)に終わっている。
本記事では,実際の日程を示す資料として日程表の記載を優先して上記①~④を記載した。
簡裁修習は,前記3⑤のとおり民事裁判修習の中で,民事2部配属修習生と民事3部配属修習生に分けて各1日置かれている。
熊本簡易裁判所は熊本地方裁判所と同じ所在地(熊本市中央区京町一丁目13番11号)にある。
6 検察修習及び弁護修習
第77期の日程表は裁判所の民事裁判修習及び刑事裁判修習のものであり,熊本地方検察庁での検察修習と熊本県弁護士会での弁護修習の日程表は,熊本版にも全国版にも収録されていない。
第77期の検察修習及び弁護修習の個々の行事の内容は確認できない(Unknown)。
これは日程表に収録されていないことによるものであり,検察修習及び弁護修習の行事がなかったことを示すものではない。
過去の例としては,熊本地方検察庁の第69期司法修習生分野別検察実務修習日程表(全20頁)が公開されている。
同表は各クールの表紙に班と人数を記載しており,第1クール(平成28年1月4日~2月28日)が1班7名,第2クール(2月29日~4月21日)が3班6名,第3クール(4月22日~6月20日)が2班6名,第4クール(6月21日~8月12日)が4班6名である。
4班の合計25名は,第69期の熊本の配属現員(25人)と一致する。
各クールには,おおむね次の行事が置かれていた(第69期の内容である。)。
①開始式・オリエンテーションと講義7コマ(検察の組織と取調べ・事件処理実務,事件検討メモ,一般刑事事件捜査,公判立会の基礎,交通関係事件捜査,検務事務の流れ,検察の役割と機能等)
②演習2回(処理済みの身柄事件記録を使った事件検討メモの作成と,起訴状・不起訴裁定書・事件処理メモの起案。いずれも講評あり)
③全国一斉起案(各クール1日)
④模擬取調記録検討と模擬取調べ・面前口述・講評(第1・第2・第4クールの表に記載)
⑤熊本刑務所見学(各クール1回,午後1時~4時)
⑥検察教官の来庁(講評等。第1・第3・第4クールの表に記載),座談会及び修了式
同表の脚注は,日程表の空欄等を「捜査・公判実務」とするとしている。
同じ第69期について,熊本地方裁判所の第69期の裁判修習の日程表(全8頁。開示通知書付きの版もある。)も公開されており,民事部と刑事部の班の組合せは第77期と同じであった。
これらは第69期の実施例であり,第80期の検察修習の内容,見学先及び担当体制が同じであることを示すものではない。
熊本地方検察庁の組織と検察修習の担当課は後記第6の3,熊本県弁護士会は後記第6の4に記載した。
7 共通行事
第77期の分野別実務修習の初日である令和6年4月16日には,全員を対象に,午前9時に5階大会議室に集合し,事務連絡,合同開始式及び事務連絡の後,午後0時15分頃に各庁会(①検察庁,②弁護士会,③民事部,④刑事部)へ引き継ぐ予定が置かれている。
第2クール以降の各クールの初日にも,総務課等への登庁,事務連絡,所長室でのクール開始のあいさつ,庁内各事務室へのあいさつ回り及び各部でのオリエンテーションが置かれている。
第1クールの5月30日には保存庁舎見学(両部共通)がある。
日程表上の自由研究日は,4月30日,5月1日・2日(第1クール),8月13日・14日(第3クール)である。
このほか,第3クールの9月13日に「自己開拓PG及び選択型PG申込書提出期限」,第4クールの10月25日に「修習計画書提出期限」が記載されている(後記第5の2)。
8 指導担当体制
前記1の第77期の配属表のうち熊本地方裁判所名義の頁は,各クールについて(第1クールは令和6年4月3日付,第2クール・第3クールは同月25日付,第4クールは同月16日付),民裁修習指導官及び同補佐官並びに刑裁修習指導官及び同補佐官を挙げ,部を「民事2部」「民事3部」「刑事部」の三つとして,民事2部に6人,民事3部に4人,刑事部に4人の個別指導裁判官を記載している(修習指導官を含む。)。
司法修習生の氏名欄は黒塗りであり,本記事では裁判官の氏名は転載しない。
第76期についても同様の配属表(全3頁)が,第71期についても第3クールまでの配属表(全3頁)が公開されており,いずれも部を「民事2部」「民事3部」「刑事部」の三つとしている。
これらは各期の裁判所の体制であり,名簿上の人数は,全修習生に常時関与する人数を意味するものではない。
9 第80期へ適用できない事項
以上は第77期(一部は第69期)の実施実績である。
第80期の熊本の班編成,巡回順序,担当者,配属部,日付,教材,実施方式及びプログラムが同じであることを示すものではない。
第80期の具体的な日程は,配属庁会から交付される日程表で確認する必要がある。
第5 集合修習と選択型実務修習
1 実施順序と熊本修習への影響
第80期の熊本がB班となる場合,令和9年11月18日に分野別実務修習を終えた後,翌19日から令和10年1月7日まで熊本で選択型実務修習を行い,同月12日から2月24日まで司法研修所で集合修習を行うことになる。
この場合,熊本での修習は令和9年4月から令和10年1月上旬まで続き,その後,修習の最後の約1か月半を埼玉県和光市の司法研修所で過ごすことになる。
熊本の住居を集合修習の期間も維持するか否かは,後記第7の4のとおり住居給付金の扱いに関係する。
熊本がどちらの区分に入るかは,前記第2の1のとおり第80期の手引きで確認する必要がある。
集合修習の内容は集合修習とはで整理している。
2 選択型実務修習
選択型実務修習では,分野別実務修習で弁護修習をした法律事務所がホームグラウンドとなり,配属庁会が提供する個別修習プログラム,全国プログラム及び自己開拓プログラムを組み合わせる。
熊本の裁判所,熊本地方検察庁及び熊本県弁護士会が第80期に提供するプログラムの名称,定員,日程及び選考方法は,公開資料では確認できない(Unknown)。
第77期の日程表には,第3クールの令和6年9月13日に「自己開拓PG及び選択型PG申込書提出期限」,第4クールの10月25日に「修習計画書提出期限」が記載されていた。
第77期の熊本では,選択型実務修習の申込みが分野別実務修習の第3クール中に締め切られていたことになる(Confirmed)が,第80期の締切りは配属後の案内で確認する必要がある。
第77期の日程表は分野別実務修習の期間だけを収録しており,熊本の個別修習プログラムの一覧は本記事では確認できなかった。
制度一般は選択型実務修習とは及び選択型実務修習の運用ガイドラインを参照されたい。
第6 主な修習先,管内及び通勤
1 三機関の所在地
熊本修習の中心となる機関は,いずれも熊本市中央区にある。
| 機関 | 所在地 | 交通等 | 公式案内 |
|---|---|---|---|
| 熊本地方裁判所・熊本簡易裁判所 | 熊本市中央区京町1-13-11 | JR上熊本駅から徒歩15分。バス「裁判所前」から徒歩1分。市電「市役所前」から徒歩15分 | 管内の裁判所の所在地 |
| 熊本家庭裁判所 | 熊本市中央区千葉城町3-31 | JR上熊本駅から徒歩20分。市電「市役所前」から徒歩10分。バス「家庭裁判所・KKRホテル熊本前」から徒歩1分 | 管内の裁判所の所在地 |
| 熊本地方検察庁(熊本・宇城・御船区検察庁) | 熊本市中央区京町1-12-11 | 産交バス「裁判所前」から徒歩1分。JR上熊本駅から徒歩15分 | 所在地・交通アクセス |
| 熊本県弁護士会 | 主たる事務所(京町会館):熊本市中央区京町1-13-11。従たる事務所(水道町会館):同区水道町9-8 | 水道町会館は市電・バス「水道町」から徒歩2分 | 弁護士会について・アクセス |
熊本地方裁判所と熊本地方検察庁は,いずれも京町一丁目にあり,バス停「裁判所前」から徒歩1分とされている。
熊本家庭裁判所は千葉城町にあり,市電「市役所前」から徒歩10分とされている。
熊本県弁護士会の主たる事務所(京町会館)は地方裁判所と同じ所在地であり,同会のウェブサイトは問合せ先を従たる事務所(水道町会館)としている。
同会のアクセスのページは,「熊本県弁護士会館」として水道町の所在地を掲げている。
三機関の間の移動はバス・市電と徒歩で足りると考えられる(Inference)。
2 熊本地方裁判所本庁の部
前記第4の3のとおり,令和6年4月1日現在の熊本地方裁判所本庁の民事事件は民事第1部から民事第3部までに分配され,民事第4部には当分の間事件を分配しないとされていた。
刑事事件は,別に定めるものを除き刑事部に分配するとされていた。
熊本地方裁判所の裁判官配置等(令和8年4月1日現在)の事務分配(PDF6頁~10頁)も,同じ枠組み(民事第1部から民事第3部までへの分配,民事第4部への分配なし,刑事部)としている。
第80期の修習生がどの部に配属されるかは,配属後の案内で確認することになる。
3 熊本地方検察庁
法務省の検察庁事務章程(昭和60年法務省訓令第1号。令和8年4月8日法務省訓令第1号による改正後のもの)の別表第1は,部を置く地方検察庁を東京,大阪,名古屋,横浜,さいたま,千葉,京都,神戸,福岡,札幌,広島,仙台及び高松の13庁としており,熊本地方検察庁はこれに含まれない(PDF6頁)。
部の置かれていない「その他の地方検察庁」には,別表第3により総務課,会計課,企画調査課及び監査室が置かれ(PDF11頁),別表第6は,企画調査課の所管事務として「司法修習生の修習指導に関すること(教養課又は司法修習課の置かれていない庁に限る。)。」を掲げている(PDF13頁)。
熊本地方検察庁では企画調査課が検察修習の事務を担当する建付けであると考えられる(Inference)。
検察庁の職員の配置定員について(令和8年4月8日付法務省人定第16号。同月1日から適用)の別表第3(PDF3頁)によれば,熊本地方検察庁の配置定員は,検事12人,副検事13人,行政職(一)・公安職(二)122人及び行政職(二)1人の合計148人である。
福岡高等検察庁の管内8庁の中では,福岡462人に次ぐ2番目であり,鹿児島(138人),那覇(137人),長崎(125人),大分(110人),宮崎(103人)及び佐賀(97人)より多い。
この定員は管内の支部及び区検察庁を含む数であり,同通達第5項により支部及び区検察庁ごとの定員は検事正が別に定めるとされているため,本庁だけの人数は分からない。
また,定員であって各時点の現員ではない。
各地の検察庁の内部規程は各地の検察庁の執務規程に,配置定員の各年度の通達は法務省の定員に関する訓令及び通達に掲載している。
4 熊本県弁護士会
熊本県弁護士会の弁護士会についてのページによれば,熊本県では同会が唯一の弁護士会であり,熊本県内に法律事務所を設ける弁護士及び弁護士法人は全て同会に入会している。
同ページの弁護士会概要(令和8年4月1日現在)によれば,会員数は292名であり,所在地は主たる事務所(京町会館)と従たる事務所(水道町会館)とされている。
同ページは,県内8か所に法律相談センターを設けているとしているが,これは相談窓口であって弁護士会の支部ではない。
同会のウェブサイトでは,弁護士会の支部の設置は確認できなかった。
日本弁護士連合会の弁護士会別弁護士数とその内訳(2025年3月31日現在)によれば,熊本県弁護士会の正会員数は290人(うち女性43人,14.8%)であり,法律事務所数は171である。
九州弁護士会連合会に属する8会の中では,福岡県(1472人)に次ぐ2番目であり,沖縄(284人)及び鹿児島県(228人)がこれに続く。
弁護修習は個々の法律事務所で行われるため,配属先の事務所の所在地によって通勤の条件は異なる。
弁護修習の配属先が熊本市内の事務所に限られるかどうかは,公開資料からは確認できない(Unknown)。
5 管内と支部
熊本地方裁判所の管内の裁判所の所在地によれば,本庁のほか次の支部及び出張所がある(支部には家庭裁判所の支部と簡易裁判所を併置)。
①玉名支部(玉名市繁根木54-8)
②山鹿支部(山鹿市山鹿280)
③阿蘇支部(阿蘇市一の宮町宮地2476-1)
④八代支部(八代市西松江城町1-41)
⑤人吉支部(人吉市寺町1)
⑥天草支部(天草市諏訪町16-24)
⑦熊本家庭裁判所高森出張所(高森簡易裁判所を併置。阿蘇郡高森町高森1385-6)
⑧熊本家庭裁判所御船出張所(御船簡易裁判所を併置。上益城郡御船町辺田見1250-1)
⑨熊本家庭裁判所水俣出張所(水俣簡易裁判所を併置。水俣市天神町1-1-1)
⑩熊本家庭裁判所牛深出張所(牛深簡易裁判所を併置。天草市牛深町2061-17)
このほか,宇城簡易裁判所(宇城市三角町波多438-18)及び荒尾簡易裁判所(荒尾市荒尾1588)がある。
熊本地方検察庁の管内支部の所在地・交通アクセスのページは,熊本地方検察庁・熊本区検察庁のほか,玉名,山鹿,阿蘇,八代,人吉及び天草の各支部を掲げている。
もっとも,第77期の日程表には支部での修習の記載はなく,第80期の熊本修習で支部への出張又は宿泊を伴う行程が組まれるかどうかは,公開資料からは確認できない(Unknown)。
管内に支部があることから,支部へ移動する頻度を推測することもできない。
6 熊本修習に車は必要か
熊本修習で自動車が必要かどうかは,住居と実際の配属先への経路,登庁時刻及び駐車の利用条件によって判断する必要があり,地域名だけから一律には決められない。
前記1のとおり,地方裁判所と地方検察庁はいずれも京町にあり,公式案内には上熊本駅からの徒歩及び「裁判所前」バス停からの経路が示されている。
家庭裁判所は千葉城町にあり,熊本県弁護士会には京町会館と水道町会館があるため,その日に指定された場所への移動を分けて確認することになる。
地方検察庁は駐車場が少ないため公共交通機関の利用を求め,水道町会館の案内は駐車場が障がい者等用の1台のみとしている。
これらの案内は,修習生に日常の駐車利用を認めるものではない。
弁護修習先の事務所への経路や,支部等への移動が自分の日程に含まれるかも確認し,公共交通と徒歩で通う案を比べてから,自動車の購入又は駐車場の契約を判断するとよい。
第7 住居,家賃及び修習給付金
1 住居の確保
令和7年度司法修習生採用選考申込手続の手引き2頁は,第79期について,「指定された実務修習地における住居の確保は、各自で行うことになっています。」としている。
第80期について同じ記載があるかは,第80期の手引きで確認する必要がある。
熊本に司法修習生用の寮が用意されることを示す公開資料は確認できなかった。
熊本修習の場合,令和9年4月13日の分野別実務修習の開始に間に合うように住居を確保することになる。
2 熊本修習ではどこに住むか
熊本修習の住居は,京町,上熊本駅,千葉城町及び水道町を候補として,実際の修習先への通勤と修習期間全体の住居費を比べて選ぶとよい。
地域名だけで最適な住居は決まらず,弁護修習先の事務所が未指定の段階では,そこまでの通勤時間を確定することはできない。
| 地域・駅 | 公式案内から確認できること | 住居候補ごとに比べること |
|---|---|---|
| 京町周辺 | 地方裁判所,地方検察庁及び弁護士会の京町会館の所在地である。 | 各庁の入口までの経路と,家裁・水道町会館・指定された弁護修習先への移動。 |
| 上熊本駅周辺 | 裁判所と検察庁の案内には,上熊本駅から徒歩15分の経路がある。家裁は徒歩20分とされている。 | 物件から駅までの区間を加えた徒歩経路と,雨天時の代替経路。 |
| 千葉城町周辺 | 家庭裁判所の所在地であり,公式案内には最寄りバス停からの経路がある。 | 家裁だけでなく,京町の地裁・地検及び指定された弁護修習先への経路。 |
| 水道町周辺 | 弁護士会の水道町会館があり,案内には市電・バスの「水道町」から徒歩2分とある。 | 会館での行事と個別の弁護修習先を区別し,京町・千葉城町への移動も比較する。 |
表の所在地・徒歩時間は裁判所の所在地案内,地方検察庁の交通案内及び弁護士会の交通案内に基づき,右欄は住居を比較するための着眼点である。
徒歩時間は駅・停留所からの案内上の目安であり,物件の玄関から修習先の入口までの実測時間ではない。
候補物件について,同じ平日の到着時刻で,徒歩,乗換え,待ち時間及び雨天時の経路を比べる必要がある。
家賃の相場資料は,駅周辺と町名の範囲,間取り,築年数及び管理費の含め方が異なるため,その数字だけから四つの地域の安さを順位付けすることはできない。
家賃・共益費・通勤費・駐車費に,初期費用,解約条件,荷物の移動及び集合修習中の住居費を加える比較方法は,司法修習の住まい選びを参照されたい。
また,後記第8の2を踏まえ,建物の被害の有無と修繕の状況も契約前に確認するとよい。
3 家賃
総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査(調査時点は令和5年10月1日)の第112-2表によれば,民営借家(専用住宅)の1か月当たり家賃の平均は,熊本市が5万2254円(家賃0円を含む。家賃0円を含まない平均は5万2972円),同市中央区が5万2735円(同5万3217円)である。
同じ区分の熊本県の平均は4万9984円,全国の平均は6万4819円である(いずれも家賃0円を含む。)。
共益費・管理費は別の欄で集計されており,熊本市の民営借家の平均は2320円(0円を含む。)である。
これは入居中の借家全体の平均であり,間取りや築年数を区別したものではなく,修習生が新たに借りる物件の募集賃料とも異なる。
調査時点は令和8年熊本地震の前である。
参考として,民間の賃貸情報サイトであるYahoo!不動産の熊本市中央区の家賃相場を令和8年10月5日に閲覧したところ,掲載物件全体の平均賃料は5.7万円(6061件),一人暮らし向けの平均賃料は4.9万円,間取り別ではワンルーム4.4万円,1K4.3万円,1DK4万円,1LDK6.6万円であった(Source statement)。
同サイトは掲載中の物件から平均賃料を算出したものとしており,管理費を含むか否かの表示はなく,掲載物件の入替えにより数値は変わる。
物件を選ぶ際には,表示家賃だけでなく,次の点を確認する必要がある。
①管理費,冷暖房費その他の光熱費
②三機関それぞれへの経路(バス・市電の路線と停留所からの距離)と所要時間
③夏の暑さと梅雨期の湿気への対策(後記第8の1)
④地震による建物の被害の有無と修繕状況(後記第8の2)
⑤駐車場代(自動車を使う場合)
⑥家具家電,短期解約違約金,更新費用及び退去費用
⑦住居給付金の要件(契約名義,家賃負担及び届出期限)を満たすかどうか
4 修習給付金と集合修習の期間の住居
裁判所法67条の2第2項は,修習給付金の種類を基本給付金,住居給付金及び移転給付金とする。
最高裁判所の司法修習生の修習給付金についてによれば,基本給付金は給付期間ごとに13万5000円,住居給付金は給付期間ごとに3万5000円である。
住居給付金は定額であり,これを超える家賃は各自の負担となる。
司法研修所事務局総務課・経理課の修習給付金案内(第79期)によれば,住居届(新規)の届出期限は要件を具備した日から7日以内(初日不算入)であり(7頁),7日を経過した後に届け出たときは,届出を受理した日の属する給付期間の次の給付期間から支給が開始される(8頁)。
同案内21頁は,ウィークリーマンション等であっても,生活の本拠としたと認め得る程度に長期間居住した場合は支給される場合があるとし,親名義の賃貸借契約は原則として要件を満たさないが,例外的に支給される場合があるとしている。
熊本がB班となる場合,集合修習は修習の最後に司法研修所で行われる。
同案内7頁は,集合修習の期間について,その間に対象住宅の賃貸借契約を継続し,かつ集合修習の終了後に対象住宅に戻って居住する場合に限り,司法研修所の寮に入寮する者は例外的に届出が不要となり,自宅,実家,配偶者の所有する住宅等に居住する者は「変更」の届出をするとした上で,これらの期間は住居給付金の支給対象にならないとしている。
B班の場合,集合修習の後に熊本へ戻って修習することはないため,集合修習の期間中も熊本の住居を維持すると,住居給付金を受けられないまま家賃を負担することになると考えられる(Inference)。
熊本がA班となった場合は,集合修習の後に熊本へ戻って選択型実務修習を行うため,同じ7頁の取扱いがそのまま問題になる。
熊本の住居をいつ解約するかは,選択型実務修習の終了日,移動日,解約予告期間及び集合修習中の住居の確保方法によって異なり,第80期の案内で確認する必要がある。
第80期の修習給付金関係の案内は,選考要項(PDF3頁)によれば令和9年1月中旬に掲載される予定である。
制度の詳細は司法修習生の住居給付金及び司法修習生の移転給付金で扱っている。
修習給付金の支給を受けてもなお必要な資金は,裁判所法67条の3の修習専念資金(無利息の貸与)の対象となり,選考要項(PDF3頁)によれば第80期の修習専念資金の案内は令和8年11月上旬に掲載される予定である。
5 導入修習期間中の入寮
導入修習は司法研修所(埼玉県和光市)で行われ,希望者は入寮を申し込む。
第72期の司法研修所からのお知らせ13頁~14頁は,入寮希望者が多い場合の取扱いとして,実務修習地が東京,立川及びさいたまとなる者を各実務修習地に住居を有するものとみなすとしていたが,熊本はこの3庁に含まれていない。
これは第72期の扱いであり,第80期の入寮の取扱いは,申込み後に示される案内で確認する必要がある(Unknown)。
第8 気象条件,令和8年熊本地震その他の生活情報
1 東京との気象条件の比較
(1) 比較表
気象庁の平年値(統計期間1991年~2020年)により,観測地点「熊本」と観測地点「東京」を同じ要素・単位で比べると,次のとおりである。
観測地点と出典は後記(3)に記載した。
| 気象要素 | 熊本 | 東京 | 熊本と東京の差・生活上の意味 |
|---|---|---|---|
| 年平均気温(℃) | 17.2 | 15.8 | 熊本が1.4度高い |
| 1月の平均気温(℃) | 6.0 | 5.4 | 熊本が0.6度高い |
| 1月の日最高・日最低気温の月平均(℃) | 10.7/1.6 | 9.8/1.2 | 冬の気温は東京と大きく変わらない |
| 8月の平均気温(℃) | 28.4 | 26.9 | 熊本が1.5度高い |
| 8月の日最高・日最低気温の月平均(℃) | 33.3/24.8 | 31.3/23.5 | 昼の最高気温は熊本が2.0度高い |
| 日最高気温30℃以上の日数(年) | 80.7日 | 52.1日 | 熊本が約29日多い |
| 日最高気温35℃以上の日数(年) | 15.1日 | 4.8日 | 熊本は東京の約3倍 |
| 日最低気温0℃未満の日数(年) | 25.2日 | 15.2日 | 熊本が10日多い |
| 年間降水量(mm) | 2007.0 | 1598.2 | 熊本が約409ミリメートル多い |
| 6月・7月の降水量(mm) | 448.5・386.8 | 167.8・156.2 | 梅雨期の降水量は熊本が約2.5倍~2.7倍 |
| 日降水量50mm以上の日数(年) | 9.5日 | 6.2日 | 大雨の日が熊本の方が多い |
| 年間日照時間(時間) | 1996.1 | 1926.7 | 熊本が約69時間多い |
| 1月の日照時間(時間) | 133.0 | 192.6 | 熊本は東京の約7割 |
| 年間の降雪の深さの合計・最深積雪(cm) | 1/1 | 8/6 | いずれも少ない |
| 積雪の深さ1cm以上の日数(年) | 0.6日 | 2.8日 | 熊本では雪が積もることはまれ |
(2) 夏・冬の違いと生活への影響
夏は,8月の平均気温が東京より1.5度高く,日最高気温の月平均は33.3度と東京(31.3度)より2.0度高い。
日最高気温30℃以上の日数は年80.7日と東京(52.1日)より約29日多く,35℃以上の日数は年15.1日と東京(4.8日)の約3倍である。
日最低気温が25℃以上の日も年29.1日と東京(17.8日)より多い。
そのため,夏の服装や冷房の必要性は東京より重く考えておくのが安全であり,特に7月・8月の日中の移動には暑さへの備えを要する(Inference)。
雨については,年間降水量が東京より約409ミリメートル多く,特に6月(448.5ミリメートル)と7月(386.8ミリメートル)の降水量は,それぞれ東京の約2.7倍,約2.5倍である。
日降水量が50ミリメートル以上の日は年9.5日(東京6.2日),100ミリメートル以上の日は年2.5日(東京1.2日)である。
第80期の日程表では,第1クールの終わりから第2クール(令和9年6月9日~8月1日)が,平年値で最も雨の多い6月・7月に当たる。
冬は,1月の平均気温が東京より0.6度高い程度で,日最低気温の月平均も1.6度と東京(1.2度)と大きく変わらない。
日最低気温が0℃未満となる日は年25.2日で,東京(15.2日)より多い。
年間の降雪の深さの合計は1センチメートル(東京8センチメートル),積雪の深さ1センチメートル以上の日数は年0.6日(東京2.8日)であり,雪が積もることはまれである。
他方,1月の日照時間は133.0時間と東京(192.6時間)の約7割であり,1月の相対湿度も70%(東京51%)と,晴れて乾燥した日が多い東京の冬とは条件が異なる。
これらの統計からは,熊本修習では次の点への備えが中心になると考えられる(Inference)。
①梅雨期(6月・7月)の雨具と,大雨の日のバス・市電の利用を前提とした通勤経路
②夏の日中の暑さを前提とした服装,冷房及び通勤時の熱中症対策
③湿度の高い時期の除湿・結露対策
④冬は雪の心配は小さいが,朝の冷え込みに備えた暖房と,日照時間の短さを前提とした住居(日当たり)の確認
平年値は個々の日の気温や大雨を示すものではなく,年により猛暑や大雨となることがある点にも留意を要する。
(3) 観測地点・統計期間と未確認値の扱い
熊本の値は,気象庁の観測地点「熊本」(熊本地方気象台。所在地は熊本市中央区京町。北緯32度48.8分,東経130度42.4分,標高37.7m)の,熊本の平年値(主な要素),同(降水量),同(気温),同(日照時間)及び同(雪)による。
東京の値は,観測地点「東京」(北緯35度41.5分,東経139度45.0分,標高25.2m)の,東京の平年値(主な要素),同(降水量),同(気温),同(日照時間)及び同(雪)による。
いずれも統計期間は1991年~2020年(資料年数30年)であり,令和8年10月5日に確認した。
本記事では,主な要素の表と要素別の表の同じ列の値が一致することを確かめた上で用いた。
熊本の気温・降水量・日照時間の観測地点は,地方裁判所と同じ熊本市中央区京町にあるが,住居の所在地によって気温や雨の降り方が異なることはあり得る。
雪の表では,降雪の深さ(新たに降った雪の量)と最深積雪(積もった雪の深さ)は別の要素であり,日数の欄も,降雪の深さの日合計が1cm以上の日数と,最深積雪が1cm以上の日数とに分かれている。
本記事の比較表の積雪の深さ1cm以上の日数は,後者の値である。
熊本の最深積雪が0cm以上の日数の欄には参考値であることを示す「@」が付いているため,本記事では比較に用いていない。
雪の欄で値の代わりに横線が表示されている月(熊本・東京とも春から秋を中心とする月)は,0として扱っていない。
2 令和8年熊本地震と防災上の確認事項
気象庁の報道発表(「令和8年熊本地震」について(第3報),令和8年7月28日)によれば,令和8年7月28日16時27分頃,熊本県熊本地方の深さ16キロメートルでマグニチュード7.1(暫定値)の地震が発生し,熊本県の宇城市及び氷川町で震度7を観測した。
気象庁はこの地震を「令和8年熊本地震」と名付け,令和8年熊本地震ポータルサイト(令和8年10月2日最終更新)では,令和8年9月24日の報道発表として,平常時より地震発生数の多い状態は当分続くとしている。
気象庁の報道発表(令和8年8月4日)によれば,この地震による河川の堤防沈下や護岸ひび割れ等を考慮し,熊本市を含む熊本県の一部の市町について,同日から当分の間,大雨に関する警報等の発表基準(流域雨量指数基準)を通常基準の7割に引き下げた暫定基準で運用している。
前記1のとおり熊本は梅雨期の雨が多いため,修習期間中は,気象庁の警報・キキクル(危険度分布)と自治体の避難情報を確認する習慣を付けるのが相当である(Inference)。
熊本地方裁判所のお知らせによれば,地震の発生した7月28日から,熊本県内の裁判所は職員の数を減らして業務を行うとされ,水俣簡易裁判所は業務を一時停止した後7月30日から再開し,熊本地方・家庭裁判所八代支部は9月1日から通常の業務に支障のない態勢に戻ったとされている。
第80期の熊本修習の日程,修習場所又は実施方式に地震の影響があるかどうかは,公開資料では確認できない(Unknown)。
住居を探す際には,前記第7の2・3のとおり建物の被害の有無と修繕状況を確認する必要がある。
3 就職に関する行事
熊本県弁護士会のウェブサイトでは,令和8年10月5日現在,司法修習生向けの就職説明会の案内は確認できなかった(Unknown)。
全国向けの行事としては,東京弁護士会の東京三弁護士会司法修習予定者等就職合同説明会のページによれば,令和8年は「第79期司法修習生および第80期司法修習生予定者等全国就職合同説明会」として,東京三弁護士会が日本弁護士連合会及び関東弁護士会連合会と共催し,同年11月26日から同月30日まで,オンラインで開催される。
同ページは,東京以外に所在する法律事務所は所属する弁護士会から参加を申し込むものとしている。
また,日本弁護士連合会は,第80期司法修習予定者対象の就職活動セミナーを,令和8年11月21日に弁護士会館とZoomの併用で開催するとしている。
第9 公開資料で確認できない事項
本記事が調査した公開資料の範囲では,次の事項は確認できない。
①第80期の熊本のA班・B班の区分及び司法研修所の組(第80期の手引き等の公表待ち)
②第80期の熊本の配属人数
③第80期の希望者数,希望倍率及び配属確率
④第80期の熊本の現地班の数,巡回順序,各クールの配属部,指導担当者及び登庁時刻
⑤第77期の検察修習及び弁護修習の日程と行事の内容
⑥第77期の各班の人数
⑦第80期の選択型実務修習の熊本のプログラムの一覧
⑧第77期と第80期との間の運用の変更内容
⑨弁護修習の個別の配属先及びその所在地
⑩支部での修習の有無及び頻度
⑪第80期の導入修習及び集合修習の期間中の入寮の取扱い
⑫第80期の修習給付金の給付期間及び届出の具体的な方法
⑬熊本県弁護士会の第80期向けの就職説明会の有無と日程
⑭令和8年熊本地震が第80期の熊本修習の日程,修習場所及び住居事情に与える影響
⑮司法研修所の組で熊本の相手(宮崎,那覇又は高松・徳島)が期によって入れ替わる理由
これらは,第80期の手引き,配属庁会からの連絡及び熊本県弁護士会の案内で確認することになる。
「確認できない」は,「存在しない」という意味ではない。
第10 出典,参考資料及び関連記事
1 法令及び規則
①裁判所法(昭和22年法律第59号)14条・66条・67条・67条の2・67条の3(e-Gov法令検索,令和8年10月5日確認)
②司法修習生に関する規則(昭和23年最高裁判所規則第15号)1条・3条・5条・7条~10条(本ブログ掲載の条文)
③法務省検察庁事務章程(昭和60年法務省訓令第1号。令和8年4月8日法務省訓令第1号による改正後のもの)別表第1・別表第3・別表第6(PDF6頁・11頁・13頁)
2 最高裁判所及び司法研修所の資料
①最高裁判所司法修習の概要
②最高裁判所司法修習生採用選考(令和8年10月5日確認)
③最高裁判所令和8年度司法修習生採用選考要項(令和8年9月4日)PDF2頁~3頁
④最高裁判所令和7年度司法修習生採用選考申込手続の手引き2頁・6頁
⑤最高裁判所司法修習生の修習給付金について
⑥司法研修所事務局総務課・経理課修習給付金案内(第79期)7頁・8頁・21頁
⑦司法研修所事務局長司法研修所からのお知らせ(平成30年8月1日,第72期)2頁・6頁・8頁・13頁~14頁
⑧司法研修所事務局長令和5年度(第77期)司法修習生の修習開始等について(令和6年2月7日)PDF12頁・17頁
⑨司法研修所事務局長令和6年度(第78期)司法修習生の修習開始等について(令和7年2月4日)PDF12頁・17頁
⑩第80期 修習日程(教官会議資料2。鑑文なし)
⑪最高裁判所裁判所データブック202630頁(PDF35頁)
3 開示文書,答申及び不開示通知
①司法研修所の教官担当表:第79期(令和8年4月17日付)・第78期(令和7年8月5日付)・第77期(令和6年8月2日現在)
②最高裁判所第79期司法修習生配属現員表(令和8年3月19日現在)・第78期司法修習生配属現員表(令和7年3月19日現在)ほか,前記第3の1の表の各期の配属現員表
③司法研修所実務修習希望地順位調査表等(人気調査)(56期~69期)17頁・19頁~23頁及び実務修習希望地調査表(69期)
④第77期熊本修習の実務修習日程(第77期司法修習生裁判実務修習日程表(熊本地方裁判所),PDF1頁~8頁)・第77期実務修習の日程(全国版)PDF176頁・177頁・322頁・323頁・427頁・428頁・545頁・546頁
⑤熊本地方裁判所第77期司法修習生配属表(令和6年4月3日ほか,PDF1頁・3頁・6頁・9頁)・第76期司法修習生配属表・第71期司法修習生配属表(第3クールまで)
⑥熊本地方検察庁第69期司法修習生分野別検察実務修習日程表(PDF1頁~20頁)・熊本地方裁判所第69期の裁判修習の日程表・同(開示通知書付き)
⑦熊本地方裁判所裁判官配置等(令和6年4月1日現在)PDF6頁~10頁・裁判官配置等(令和8年4月1日現在)PDF6頁~10頁
⑧法務省大臣官房人事課長検察庁の職員の配置定員について(令和8年4月8日付法務省人定第16号)別表第3(PDF3頁)
⑨情報公開・個人情報保護審査委員会平成29年4月28日答申(平成29年度(最情)答申第1号)2頁~3頁
⑩情報公開・個人情報保護審査委員会令和元年8月23日答申(令和元年度(最情)答申第40号)2頁
⑪情報公開・個人情報保護審査委員会平成30年3月23日答申(平成29年度(情)答申第21号)
⑫最高裁判所事務総長の司法行政文書不開示通知書:令和8年1月19日(最高裁秘書第3778号)・令和8年3月18日(最高裁秘書第782号)・令和8年5月20日(最高裁秘書第1657号)
4 熊本の裁判所,検察庁及び弁護士会の案内
①熊本地方裁判所管内の裁判所の所在地・お知らせ(令和8年10月5日確認)
②熊本地方検察庁所在地・交通アクセス・管内支部の所在地・交通アクセス(令和8年10月5日確認)
③熊本県弁護士会弁護士会について・アクセス(令和8年10月5日確認)
④東京弁護士会東京三弁護士会司法修習予定者等就職合同説明会
⑤日本弁護士連合会【第80期司法修習予定者対象】就職活動セミナー
5 統計・データ
①日本弁護士連合会弁護士会別弁護士数とその内訳(2025年3月31日現在)
②気象庁熊本 平年値(年・月ごとの値)主な要素・東京 平年値(年・月ごとの値)主な要素(統計期間1991年~2020年。降水量・気温・日照時間・雪の詳細は前記第8の1(3)の各ページ)
③気象庁令和8年熊本地震ポータルサイト・報道発表(第3報,令和8年7月28日)・大雨に関する警報等の暫定的な運用について(令和8年8月4日)
④総務省統計局令和5年住宅・土地統計調査第112-2表(e-Stat)
⑤Yahoo!不動産「熊本市中央区の家賃相場」(令和8年10月5日閲覧の民間サイトの集計)
6 本ブログ掲載の集計資料
②司法修習の場所ごとの第1希望の倍率の推移表(新63期から69期まで)
③司法修習の場所ごとの第2希望までの倍率の推移表(新63期から69期まで)
7 関連記事
②80期司法修習の希望地申告・司法修習の場所―全国51の実務修習地一覧と選び方・実務修習地の希望倍率―過去の統計と第2希望選びの限界
⑤司法修習とは・集合修習とは・選択型実務修習とは・選択型実務修習の運用ガイドライン
⑨同じB班9組(第79期)の修習地:高松修習の情報・徳島修習の情報・鹿児島修習の情報
⑩同じB班12組(第77期・第78期)の修習地:那覇修習の情報