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mintsによる支払督促-督促手続オンライン・書面の違い,申立先,費用,異議及び仮執行宣言(AI作成)

第1 支払督促の結論と本記事の対象

1 令和8年5月21日以後は三つの申立方法がある

令和8年5月21日以後に支払督促を申し立てる方法は,①mints,②督促手続オンラインシステム,③書面の三つである。
mintsと督促手続オンラインシステムは別のシステムであり,利用できる請求,準備すべきアカウント等及び申立先の扱いが異なるため,単に「オンラインで申し立てる」と理解するだけでは足りない。

本記事は,令和8年9月1日現在の法令及び裁判所公表資料に基づき,同年5月21日以後に開始する支払督促手続を対象とする。
同月20日以前に申し立てた事件には旧法の取扱いが残り,後に仮執行宣言を申し立てる時点が同月21日以後であっても,郵送料の納付等について新法事件と同じ扱いにはならない。

2 支払督促は金銭等の請求について裁判所書記官が発する

支払督促は,金銭その他の代替物又は有価証券の一定数量の給付を求める請求について,債権者の申立てにより裁判所書記官が発する手続である(民事訴訟法382条)。
債務者を審尋せず,申立書の審査により進むため,通常訴訟のように申立人が審理のため裁判所へ出頭することは予定されていない。

もっとも,支払督促は,日本国内で公示送達によらずに債務者へ送達できる場合に限られる。
債務者の所在が分からず,公示送達が必要となる場合には利用できないほか,債務者が異議を申し立てれば通常訴訟へ移行する。

3 利用に向く場合と通常訴訟を検討すべき場合

支払督促を選びやすいのは,請求額及び発生原因が特定され,債務者の送達先を把握しており,債務者が具体的な反論をする可能性が低い金銭請求である。
請求額自体に上限はないが,異議後は請求額に応じて簡易裁判所又は地方裁判所の通常訴訟へ移行するため,金額が大きい事件でも最後まで簡易裁判所だけで完結するとは限らない。

これに対し,契約の成否,仕事の完成,損害額,相殺その他の争点について反論が予想される場合は,異議による訴訟移行と追加手数料まで見込んで方法を選ぶ必要がある。
金銭以外の履行を求める場合,公示送達が必要な場合又は申立前に証拠保全若しくは仮差押えを検討すべき場合には,支払督促とは別の手続を検討することになる。

第2 mints・督促手続オンライン・書面の比較

1 三つの申立方法の違い

項目mints督促手続オンラインシステム書面
位置付け民事裁判書類電子提出システムによる電子申立て支払督促専用のオンラインシステムによる電子申立て紙の申立書による申立て
利用できる請求支払督促の要件を満たす請求定型処理が可能な所定の類型に限られる支払督促の要件を満たす請求
主な準備mintsアカウント,PDF等電子証明書,対応するWindows環境等申立書,添付書類等
申立先管轄する簡易裁判所所定の場合は東京簡易裁判所へ申立て可能管轄する簡易裁判所
申立内容フォームへの直接入力又はPDF提出専用画面,CSV又はAPI裁判所書式等に記載
大量申立て簡裁用一括申立て機能がある法人向けに最大300件の複数申立て及びAPIがある事件ごとに書面を提出
利用時間稼働状況及び保守案内を確認平日の午前9時から午後5時まで窓口時間又は郵送の取扱いによる

2 mintsは請求類型を限定せずに電子申立てをする入口である

mintsでは,新規申立てフォームの申立種別から「支払督促」を選び,提出先の簡易裁判所,請求額,手数料,当事者情報及び申立内容等を入力して提出する。
申立内容はフォームへ直接入力するほか,PDFファイルで提出することもできる。

mintsを利用するには事前のアカウント登録が必要である。
また,委任を受けた訴訟代理人等,民事訴訟法132条の11第1項各号の者は,責めに帰することができない事由がある場合等を除き,電子申立てをしなければならない。

3 督促手続オンラインシステムは定型類型に強い

督促手続オンラインシステムで利用できるのは,貸金,立替金,求償金,売買代金,リース料及び通信料の所定類型並びに所定の複合型である。
請負代金,給料,賃料,損害賠償及び過払金等は同システムの対象外であるため,mints又は書面を利用する。

同システムは,事件の進行状況の確認,仮執行宣言の申立て,更正処分の申立て,再送達上申,補正及び取下げ等にも対応する。
一方,専用の利用環境と電子証明書が必要であり,システムの利用時間も平日の午前9時から午後5時までに限られる。

4 書面申立てを選べる者もいる

本人当事者等,電子申立てを法律上義務付けられていない者は,紙の申立書を管轄する簡易裁判所へ提出することができる。
ただし,書面申立てと電子申立てでは手数料が異なり,オンライン上での記録確認その他の利便性にも差があるため,利用環境と事件の内容を併せて検討する必要がある。

第3 申立先の簡易裁判所

1 原則は債務者の普通裁判籍である

支払督促は,原則として債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に申し立てる(民事訴訟法383条1項)。
個人であれば住所地,法人であれば主たる事務所又は営業所の所在地が判断の出発点となる。

事務所又は営業所の業務に関する請求はその所在地,手形又は小切手による金銭請求は支払地を管轄する簡易裁判所にも申し立てることができる(同条2項)。
もっとも,通常訴訟の関連裁判籍を定める民事訴訟法7条を使って支払督促の申立先を広げることはできない。

2 複数の債務者には共通の申立先が必要である

複数の債務者に対する申立ては,各債務者について支払督促の管轄が共通する場合に限って併合できる。
通常訴訟なら共同訴訟の要件を満たす関係であっても,各債務者の申立先が共通しなければ,一件の支払督促としてまとめて申し立てることはできない。

3 督促手続オンラインシステムには東京簡易裁判所の特例がある

督促手続オンラインシステムでは,本来は東京簡易裁判所以外の簡易裁判所が管轄する事件についても,民事訴訟法397条及び関係規則に基づき,東京簡易裁判所の裁判所書記官へ申し立てることができる場合がある。
これは同システムに関する特例であり,mintsを利用すれば常に東京簡易裁判所へ申し立てられるという意味ではない。

4 送達先を確認する

支払督促の効力は債務者へ送達された時に生じるため,申立前に現住所又は法人の本店所在地等を確認する必要がある。
債権者が申し出た場所に債務者の住所等がなく送達できない場合,裁判所書記官から通知を受けた日から2か月の不変期間内に別の送達場所を申し出なければ,申立てを取り下げたものとみなされる(民事訴訟法388条3項)。

第4 mintsによる申立ての手順

1 申立前に準備する情報

申立前には,少なくとも次の事項を確認する。

① 債権者及び債務者の氏名又は名称,住所,本店所在地並びに代表者
② 請求する元本,利息又は遅延損害金,支払済額及び計算の基準日
③ 契約日,履行内容,支払期日その他の請求原因
④ 債務者への送達場所及び申立先の簡易裁判所
⑤ 委任状,登記事項証明書その他の添付書類

支払督促は債務者を審尋せずに発付される手続であるが,請求の趣旨及び原因を具体的に記載する必要がある。
また,異議後の通常訴訟に備え,契約書,請求書,納品書,振込記録及び督促記録等の証拠を申立前に整理しておくことが重要である。

2 新規申立てフォームで支払督促を選ぶ

mintsへサインインし,「新規申立一覧」から新規申立てフォームを開き,入力者,申立種別及び提出先を設定する。
支払督促では申立種別として「支払督促」を選び,提出先種別は簡易裁判所に限定されるため,候補から管轄する簡易裁判所を選択する。

次に,当事者・代理人情報,事件名,請求額,手数料及び申立内容を入力する。
申立内容はフォームに直接入力するか,請求の趣旨及び原因等を記載したPDFを添付する。

3 PDF及び添付書類を確認する

mintsへアップロードできる申立関係ファイルはPDFであり,操作マニュアル上はA3又はA4サイズとされている。
電子申立てでは申立書への押印は不要であるが,当事者が法人である場合には登記事項証明書1通が必要と案内されている。

裁判所の支払督促書式ページには,汎用の申立書のほか,貸金,賃料,敷金,マンション管理費,売掛代金,売買代金,賃金・賞与及び退職金等の書式が掲載されている。
PDFを作成するときは,該当する書式と記載例を確認し,元本のみを記載する価額欄と,利息等を含む請求の趣旨を混同しないようにする。

4 提出後は納付情報と受付状況を確認する

提出後,裁判所が納付情報を登録すると,mintsの手数料納付情報一覧に手数料,納付期限,納付番号,収納機関番号及び確認番号が表示される。
これらを用いてペイジー対応のインターネットバンキング又はATMから納付し,納付日が反映されたことを確認する。

申立てを送信しただけで全てが完了するとは限らない。
裁判所から補正又は追加提出を求められた場合に対応できるよう,通知メールだけに依存せず,mints上の受付状況及び裁判所からの連絡を確認する必要がある。

第5 支払督促の費用

1 申立手数料の計算方法

支払督促の申立手数料は,請求の目的の価額に応じた通常訴訟の申立手数料の2分の1に,郵便費用相当額を合算した金額である(民事訴訟費用等に関する法律別表第二11の項)。
郵便費用相当額は,書面申立てでは2700円,mints又は督促手続オンラインシステムによる電子申立てでは2500円である。

請求額書面申立て電子申立て
10万円まで3200円3000円
50万円5200円5000円
100万円7700円7500円
140万円8700円8500円
200万円1万0200円1万円

上表は裁判所の手数料額早見表による代表例である。
請求額が表の区切りと一致しない場合,複数の請求を併合する場合又は請求額が高額である場合には,申立先裁判所の確認を受けるべきである。

2 郵送料を別に予納する必要はない

令和8年5月21日以後に申し立てた支払督促では,従来の郵便費用が申立手数料へ一本化されたため,郵送料を保管金として別に納付する必要はない。
手数料は原則としてペイジーで納付し,収入印紙は,書面で申し立てることができ,かつ,やむを得ない事由がある場合の例外となる。

3 督促異議後には追加手数料が生じる

督促異議により通常訴訟へ移行したときは,訴え提起の手数料に対応する額を追納する必要がある。
追納額は,支払督促で納めた総額を単純に訴え提起手数料から差し引く計算ではなく,裁判所の手数料額早見表の注記に従って計算されるため,異議が予想される事件では移行後の負担も見込んでおく必要がある。

第6 発付・送達と督促異議

1 裁判所書記官の審査後に債務者へ送達される

裁判所書記官は,支払督促の要件,管轄及び申立内容を審査し,債務者を審尋せずに支払督促を発する。
発付後,債権者には発付通知がされ,債務者には支払督促が送達される。

裁判所書記官は,申立てが支払督促の要件又は管轄に違反するとき,あるいは申立ての趣旨から請求に理由がないことが明らかなときは,申立ての全部又は一部を却下する。
却下処分に対する異議は,告知を受けた日から1週間の不変期間内に申し立てる必要がある(民事訴訟法385条)。

2 仮執行宣言前の督促異議

債務者は,仮執行宣言前であれば,支払督促を発した裁判所書記官が所属する簡易裁判所へ督促異議を申し立てることができる(民事訴訟法386条2項及び390条)。
支払督促には,送達を受けた日から2週間以内に督促異議を申し立てないときは債権者の申立てにより仮執行宣言をする旨が記録され,裁判所も2週間以内の提出を案内しているため,異議を申し立てる場合はこの期間内に行う必要がある。
令和8年5月21日以後に申し立てられた支払督促については,郵送又は持参のほか,mintsによるオンライン提出も案内されている。

仮執行宣言前に適法な督促異議があると,支払督促は異議の限度で効力を失い,その請求について通常訴訟へ移行する。
移行先は請求額により決まり,原則として140万円以下の請求は支払督促を発した裁判所書記官が所属する簡易裁判所,140万円を超える請求はその所在地を管轄する地方裁判所となる(民事訴訟法395条,裁判所法33条1項1号)。

3 仮執行宣言後にも異議期間がある

債務者は,仮執行宣言付支払督促の送達を受けた日から2週間の不変期間内であれば,督促異議を申し立てることができる。
ただし,仮執行宣言付支払督促が送達されると強制執行を申し立てることができるため,異議の申立てと執行停止の要否は別に検討する必要がある。

債務者が請求を争う場合は,送達日,請求の趣旨及び原因,既払額,相殺その他の反論資料を直ちに確認する必要がある。
期限の計算や執行停止の要件は個別事情で結論が変わり得るため,強制執行のおそれがあるときは早期の対応が必要である。

第7 仮執行宣言の申立て

1 2週間経過後から30日以内に申し立てる

債務者が支払督促の送達を受けた日から2週間以内に異議を申し立てず,かつ,支払をしないときは,債権者は仮執行宣言を申し立てることができる。
申立期間は,仮執行宣言を申し立てることができる時から30日以内であり,この期間内に申し立てなければ支払督促は効力を失う(民事訴訟法391条及び392条)。

2 手続費用と支払状況を明らかにする

仮執行宣言の申立てでは,手続の費用額を明らかにしなければならない(民事訴訟規則235条1項)。
申立後に債務者から一部の支払を受けた場合は残額について申し立て,全額の支払を受けた場合は支払督促を取り下げる。

mintsを利用する事件では,準備の手引において,仮執行宣言の申立書を事件情報の「記録一覧のアップロード画面」から「関連事件の申立て」として提出する方法が示されている。
申立書は,事件番号,最初の支払督促の送達日,異議の有無,支払の有無,残額及び手続費用を照合して作成する。

3 仮執行宣言付支払督促の効力

仮執行宣言付支払督促が債務者へ送達されると,債権者は別途,強制執行を申し立てることができる。
強制執行は自動的に開始されるわけではなく,預金,給与その他の対象財産に応じた執行手続を別に申し立てる必要がある。

仮執行宣言付支払督促に対する督促異議がなく,又は督促異議を却下する決定が確定したときは,支払督促は確定判決と同一の効力を有する(民事訴訟法396条)。

第8 申立前と受領後のチェックリスト

1 債権者側の確認事項

① 請求が金銭その他の支払督促対象請求であるか
② 債務者へ公示送達によらず送達できるか
③ 申立先の簡易裁判所と複数債務者の管轄が正しいか
④ mints,督促手続オンラインシステム又は書面のどれを選ぶか
⑤ 元本,利息,遅延損害金,既払額及び計算基準日が一致するか
⑥ 当事者情報,代表者,法人番号及び登記事項証明書を確認したか
⑦ 異議後の通常訴訟と追納手数料を見込んだか
⑧ 仮執行宣言の申立期限を管理できるか

2 債務者側の確認事項

① 支払督促又は仮執行宣言付支払督促を受け取った日
② 請求の趣旨及び原因並びに請求額の内訳
③ 支払済み,契約不成立,相殺,消滅時効その他の反論の有無
④ 督促異議を郵送,持参又はmintsのどの方法で提出するか
⑤ 仮執行宣言後は強制執行停止の申立てを検討する必要があるか

支払督促は,債権者にとっては書類審査で債務名義を得る可能性のある手続である一方,債務者にとっては短期間で異議の要否を判断すべき手続である。
双方とも,申立方法の選択だけでなく,送達日,異議及び仮執行宣言の各期限を独立して管理する必要がある。

第9 関連記事

① mints(ミンツ)とは―料金・対象事件・登録・ログイン・提出・送達の実務Q&A(AI作成)
② mintsを利用できる裁判所と対象事件―旧法事件,少額訴訟,支払督促及び対象外手続(AI作成)
③ mintsの登録方法―個人・弁護士・法人・補助者別の必要書類と本人確認(AI作成)
④ mintsの義務化はいつからか―対象者,対象事件及び紙提出の例外(AI作成)

第10 出典・参考資料

1 法令及び規則

① 民事訴訟法(132条の10,132条の11,382条~399条)
https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109
② 民事訴訟費用等に関する法律(別表第二11の項)
https://laws.e-gov.go.jp/law/346AC0000000040
③ 裁判所法(33条1項1号)
https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000059
④ 民事訴訟規則(232条~237条)
https://www.courts.go.jp/assets/misekouminnsokisoku.pdf

2 裁判所資料

① 裁判所「支払督促」
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_22/index.html
② 裁判所「支払督促で使う書式」
https://www.courts.go.jp/saiban/syosiki/syosiki_siharaitokusoku/index.html
③ 裁判所「手数料額早見表」
https://www.courts.go.jp/assets/tesuuryo_hayami.pdf
④ 裁判所「民事訴訟フェーズ3に向けた準備の手引」
https://www.courts.go.jp/assets/071031_f3jyunbi_tebiki.pdf
⑤ mints「操作マニュアル~当事者ユーザ編~」
https://www.mints.courts.go.jp/user/user_manual.pdf
⑥ 督促手続オンラインシステム「初めての方へ」
https://www.toku-on.courts.go.jp/GA0102.html
⑦ 督促手続オンラインシステム「よくある質問」
https://www.toku-on.courts.go.jp/GA0113.html