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予備試験の合格点・採点基準―短答式・論文式の配点,口述試験の基準点及び総合点によらない三段階の合否判定(AI作成)

第1 この記事の対象と予備試験の採点構造の全体像

1 令和8年8月29日現在で判明している範囲を扱う

本記事は,令和8年8月29日現在で公表されている司法試験委員会決定等及び法務省発表資料に基づき,司法試験予備試験(以下「予備試験」という。)の短答式試験,論文式試験及び口述試験それぞれの配点と合格ラインを整理するものである。
予備試験とは―受験資格、試験科目、年間スケジュール及び法科大学院ルートとの合格率比較で扱った受験資格,試験科目及び年間スケジュールを前提とし,本記事では採点の仕組みと実際の合格点に絞って説明する。

令和8年司法試験予備試験は,本記事執筆時点で短答式試験の結果のみが公表されている。
論文式試験は令和8年9月12日及び13日に実施される予定であり,その結果及び口述試験の実施・結果は本記事には反映されていない。
したがって,本記事における令和8年試験の実績は,短答式試験の範囲にとどまる。

2 短答式・論文式・口述は独立した三つの関門であり,総合点は存在しない

司法試験法5条は,論文式試験を「短答式による筆記試験に合格した者につき」(3項柱書),口述試験を「筆記試験に合格した者につき」(4項)実施すると定める。
これに対し,同法2条2項は,司法試験(本試験)の合格者判定について,「短答式による筆記試験の合格に必要な成績を得た者につき,短答式による筆記試験及び論文式による筆記試験の成績を総合して行うものとする」と定めており,短答式と論文式の得点を合算する総合点の方式を明文で規定している。
予備試験の5条には,これに相当する「成績を総合して行う」という規定がない。

この条文構造の違いは,「予備試験の実施方針について」(平成21年11月11日司法試験委員会決定)第5が「短答式試験,論文式試験,口述試験のいずれの段階においても,合計得点で合否判定を行う」と定めていることとも整合する。
本記事では,これらを踏まえ,予備試験は短答式,論文式,口述試験のそれぞれが独立した合格・不合格の関門であり,前段階の得点を次段階の判定に持ち越す総合点の仕組みは存在しないものと整理する。

第2 短答式試験の配点と合格ライン

1 科目別の配点

短答式試験の配点は,「司法試験予備試験に関する配点について」(平成22年11月10日司法試験委員会決定)により定められている。
同決定は,「短答式試験 法律基本科目(憲法,行政法,民法,商法,民事訴訟法,刑法及び刑事訴訟法科目をいう。)は各科目いずれも30点満点とする」,「一般教養科目は1問につき3点とし,60点満点とする」と定める。
これにより,短答式試験は,法律基本科目7科目(各30点,合計210点)と一般教養科目(60点)を合わせた270点満点で実施される。

2 合格ラインは科目別基準点のない合計点方式

短答式試験の合否判定方法は,「司法試験予備試験における短答式試験の採点及び合否判定方法について」(平成22年11月17日司法試験予備試験考査委員会議申合せ事項)に定められている。
同申合せは,「短答式試験の各科目の合計点をもって判定を行う。ただし,短答式試験において受験をしていない科目が1科目でもある場合は,それだけで不合格とする」と定める。
本記事では,この規定ぶりから,予備試験の短答式試験には,科目ごとに一定割合以上の得点を求める最低ライン(いわゆる足切り)は設けられておらず,全科目を受験した上での合計点のみで合否が判定されるものと整理する。

これは,司法試験(本試験)の短答式試験が科目別の成績基準を設けた上で合計点による判定を行う仕組み(後記第6)とは異なる構造である。

3 令和8年の実績

法務省が公表した「令和8年司法試験予備試験短答式試験の結果」(令和8年8月6日発表)によれば,出願者15,843人,受験者12,453人(うち途中欠席118人),採点対象者12,335人であった。
合格点は,各科目の合計得点165点以上(270点満点)であり,合格者数は2,668人,合格者の平均点は181.3点であった。

第3 論文式試験の配点と合格ライン

1 科目別の配点

論文式試験の配点も,前記「配点について」の決定に定められている。
同決定は,「論文式試験 法律基本科目及び一般教養科目については各科目いずれも50点満点とする。法律実務基礎科目については,民事及び刑事につきそれぞれ50点とし合計100点満点とする」と定める。
論文式試験の科目は,司法試験法5条3項により,短答式試験の科目のうち一般教養科目を除く7科目(法律基本科目),選択科目及び法律実務基礎科目であり,これにより,論文式試験は,法律基本科目7科目(各50点,合計350点),選択科目(50点)及び法律実務基礎科目(民事50点,刑事50点,合計100点)を合わせた500点満点で実施される。

2 令和4年試験からの科目構成の変更

司法試験法5条3項は,論文式試験の科目を,①短答式試験の科目のうち一般教養科目を除く7科目,②専門的な法律の分野に関する科目のうち受験者があらかじめ選択する1科目(選択科目),③法律実務基礎科目と定める。
この規定は,令和元年法律第44号による改正で新設され,令和4年10月1日から施行されている。
これにより,論文式試験は,令和3年試験までの一般教養科目に代えて,令和4年試験から選択科目を含む形で実施されている。

選択科目は,司法試験法施行規則1条2項により,司法試験(本試験)の選択科目(同条1項)と同じ,倒産法,租税法,経済法,知的財産法,労働法,環境法,国際関係法(公法系)又は国際関係法(私法系)の8科目のうちから受験者があらかじめ1科目を選択する。
前記「配点について」の決定は,当時の科目構成に基づき「一般教養科目」を50点満点と定めているが,これは論文式試験にまだ一般教養科目があった当時の規定である。
論文式試験の合計点が令和4年以降も500点満点で運用されていることから,本記事では,選択科目の配点は,かつての一般教養科目の配点を引き継いだ50点であるものと整理する。

3 合格ラインも合計点方式

論文式試験の合否判定方法は,「司法試験予備試験論文式試験の採点及び合否判定等の実施方法・基準について」(平成23年6月15日司法試験予備試験考査委員会議申合せ事項)に定められている。
同申合せは,「論文式試験の各科目の合計点をもって判定を行う。ただし,論文式試験において受験をしていない科目が1科目でもある場合は,それだけで不合格とする」と定める。
短答式試験と同様に,科目ごとの最低ラインは定められておらず,合計点のみで合否が判定される。

同申合せは,採点区分として,優秀(50〜38点),良好(37〜29点),一応の水準(28〜21点),不良(20〜0点)の4区分と,それぞれおおむね5%,25%,40%,30%程度という分布の目安を定めている。
本記事では,この分布目安は各科目の採点における相対評価の運用指針であり,合否判定基準そのもの(合計点のみで判定)とは別の資料であることに留意する。

4 令和7年の実績

法務省が公表した「令和7年司法試験予備試験論文式試験の結果」(令和7年12月18日発表)によれば,受験者2,620人(うち途中欠席17人),採点対象者2,603人であった。
合格点は240点以上(500点満点)であり,合格者数は457人,合格者の得点は最高343.17点,最低15.84点,平均193.80点であった。

第4 口述試験の配点と合格ライン

1 基準点60点を軸にした相対評価

口述試験の採点方法は,「司法試験予備試験口述試験の採点及び合否判定の実施方法・基準について」(平成23年10月12日司法試験予備試験考査委員会議申合せ事項)に定められている。
同申合せは,民事及び刑事それぞれについて,一応の水準を超える者を61点から63点,一応の水準に達している者を60点(基準点),一応の水準に達していない者を57点から59点,不良である者を56点以下とする4段階の評価を定め,60点とする者の割合をおおむね半数程度とする運用を示している。
合否判定は,民事及び刑事の合計点によって行われる。

本記事では,この基準点構造から,口述試験の合格点は,民事・刑事とも基準点どおり60点であれば合計120点となるところ,一方が基準点をわずかに下回っても他方が上回れば合計で119点等の水準に達し得る設計になっているものと整理する。
もっとも,この整理は申合せの規定から導いた計算上の理解であり,法務省資料が合格点の具体的な算出根拠として明記しているものではない。

2 令和7年の実績

法務省が公表した「令和7年司法試験予備試験口述試験(最終)結果」(令和8年2月5日発表)によれば,口述試験の受験者は457人であった。
合格点は119点以上であり,最終合格者数は452人であった。
合格者の年齢は,最低19歳,最高68歳,平均28.46歳であり,男性350人(77.43%),女性102人(22.57%)であった。

第5 過去6年間(令和2年から令和7年まで)の合格点推移

年度短答式合格点(270点満点)短答式合格者数論文式合格点(500点満点)論文式合格者数口述合格点最終合格者数
令和2年156点以上2,529人230点以上464人119点以上442人
令和3年162点以上2,723人240点以上479人119点以上467人
令和4年159点以上2,829人255点以上481人119点以上472人
令和5年168点以上2,685人245点以上487人119点以上479人
令和6年165点以上2,747人245点以上462人119点以上449人
令和7年159点以上2,744人240点以上457人119点以上452人

口述試験の合格点は,令和2年から令和7年まで6年連続で119点以上と一定している。
これに対し,短答式試験の合格点は156点から168点まで,論文式試験の合格点は230点から255点までの範囲で年度ごとに変動している。
本記事では,これらの変動の原因を,法務省資料から確認できる範囲を超えて推測することはしない。

第6 司法試験(本試験)の採点構造との違い

司法試験(本試験)は,短答式試験の合格に必要な成績を得た者について,短答式と論文式の得点を総合した総合点によって合否を判定する(司法試験法2条2項)。
本試験の総合点の計算方法,科目別の最低ライン及び最終合格点の詳細については,司法試験の合格点・採点・成績通知―短答式の足切り、論文式の最低ライン、総合点及び順位で扱っているので,そちらを参照されたい。

これに対し,予備試験は,前記第1の2のとおり,短答式,論文式,口述試験のそれぞれが独立した関門であり,前段階の得点を次段階へ持ち越す総合点の仕組みがない。
本記事では,この違いを,法科大学院を経由しない者に対し,学識,応用能力及び実務基礎素養を段階的に確認するという予備試験の目的(司法試験法5条1項)に沿った制度設計であるものと整理する。

出典・参考資料

1 法令・政省令

司法試験法(昭和二十四年法律第百四十号,令和四年十月一日施行)
司法試験法施行規則(平成十七年法務省令第八十四号,令和四年十月一日施行)

2 所管行政機関の解説・運用資料(司法試験委員会決定等)

司法試験予備試験に関する配点について(平成22年11月10日司法試験委員会決定)
司法試験予備試験の実施方針について(平成21年11月11日司法試験委員会決定)
司法試験予備試験における短答式試験の採点及び合否判定方法について(平成22年11月17日司法試験予備試験考査委員会議申合せ事項)
司法試験予備試験論文式試験の採点及び合否判定等の実施方法・基準について(平成23年6月15日司法試験予備試験考査委員会議申合せ事項)
司法試験予備試験口述試験の採点及び合否判定の実施方法・基準について(平成23年10月12日司法試験予備試験考査委員会議申合せ事項)

3 統計・データ(年度別結果,法務省大臣官房人事課発表)

令和2年:短答式結果(令和2年9月8日)/論文式結果(令和3年1月14日)/口述結果(令和3年2月8日)
令和3年:短答式結果(令和3年6月3日)/論文式結果(令和3年10月7日)/口述結果(令和3年11月5日)
令和4年:短答式結果(令和4年6月2日)/論文式結果(令和4年10月20日)/口述結果(令和4年11月17日)
令和5年:短答式結果(令和5年8月3日)/論文式結果(令和5年12月21日)/口述結果(令和6年2月1日)
令和6年:短答式結果(令和6年8月1日)/論文式結果(令和6年12月19日)/口述結果(令和7年2月6日)
令和7年:短答式結果(令和7年8月7日)/論文式結果(令和7年12月18日)/口述(最終)結果(令和8年2月5日)
令和8年:短答式結果(令和8年8月6日,論文式・口述は本記事執筆時点で未実施)