弁護士山中理司

個人事業主の廃業に関するメモ書き

目次
1 廃業した場合の税金関係の手続
2 廃業した場合の労働保険の手続
3 廃業した場合の社会保険の手続
4 関連記事その他

1 廃業した場合の税金関係の手続
・ 個人事業主が廃業する場合,税金に関しては以下の書類を提出する必要があります(マネーフォワードクラウド確定申告HPの「個人事業主が廃業届を提出する手続き・タイミング・書き方を解説」参照)。
① 個人事業の開業・廃業等届出書
② 青色申告の取りやめ届出書
③ 消費税の事業廃止届出書
④ 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書
⑤ 所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書
⑥ 個人事業税の事業廃止届出書

2 廃業した場合の労働保険の手続
(1) 廃業した場合,事業所を廃止した日の翌日から50日以内に,労働保険確定保険料申告書を管轄の労働基準監督署等に提出する必要があります。
 また,事業所を廃止した日の翌日から10日以内に,適用事業所廃止届を管轄のハローワークに提出する必要がありますし,その際,従業員(雇用保険の被保険者)は雇用保険の資格を喪失することになるので,資格喪失届及び離職証明書を提出する必要があります。
(2) ADVANCE「事業所を廃止する場合の労働保険手続き」が参考になります。

3 廃業した場合の社会保険の手続
(1) 廃業した場合,事実発生から5日以内に「適用事業所全喪届」を年金事務所に提出する必要がありますところ,その際,雇用保険適用事業所廃止届(事業主控)のコピーを添付すれば足ります(日本年金機構HPの「適用事業所が廃止等により適用事業所に該当しなくなったときの手続き」参照)。
(2)ア 社会保険の被保険者となっている従業員は,事業所が廃止になった日の翌日に社会保険の資格を喪失することになりますから,これらの従業員の健康保険証を回収した上で,「被保険者資格資格喪失届」を年金事務所に提出する必要があります。
イ 保険証を添付できない場合,「健康保険被保険者証回収不能・滅失届」を作成して提出すれば足ります。
(3) 司法書士法人はやみず総合事務所HP「会社解散・清算時の社会保険手続き」が載っています。

4 関連記事その他
(1) 浅野直人税理士事務所HPに「閉院時のカルテの保存について」が載っています。
(2) 国税不服審判所平成22年6月30日裁決は,請求人が営んでいた税理士事務所を他の税理士に承継するに際して受領した金員に係る所得は,譲渡所得には該当しないとした事例です。
(3) 以下の記事も参照してください。
・ 個人事業主の税金,労働保険及び社会保険に関するメモ書き
・ 弁護士登録の取消し

下請法に関するメモ書き

目次
1 下請法が適用される資本金区分
2 親事業者の義務
3 親事業者の禁止事項
4 返品及びやり直しの期間制限
5 トンネル会社規制
6 中小企業庁作成の,下請適正取引等推進のためのガイドライン
7 弁護士の意見書作成業務に下請法の適用はないこと
8 建設業と下請法
9 下請振興法
10 フリーランス
11 関連記事その他

1 下請法が適用される資本金区分
(1) 製造委託及び修理委託の場合,資本金3億円超の法人事業者が資本金3億円以下の法人事業者に外注したり,資本金1000万円超3億円以下の法人事業者が資本金1000万円以下の法人事業者又は個人事業者に外注したりする場合に下請法が適用されます(下請法2条7項1号及び2号)。
(2) 情報成果物作成委託及び役務提供委託の場合,資本金5000万円超の法人事業者が資本金5000万円以下の法人事業者に外注したり,資本金1000万円超5000万円以下の法人事業者が資本金1000万円以下の法人事業者又は個人事業者に外注したりする場合に下請法が適用されます(下請法2条7項3号及び4号)。

2 親事業者の義務
(1) 親事業者は,書面の交付義務(下請法3条),書類の作成・保存義務(下請法5条),下請代金の支払期日を定める義務(下請法2条の2)及び遅延利息の支払義務(下請法4条の2)を負っています(公取HPの「親事業者の義務」参照)ところ,公取HPに「下請代金支払遅延等防止法第3条に規定する書面に係る参考例」が載っています(公取HPの「下請取引適正化推進講習動画について」に載ってある下請取引適正化講習会テキスト93頁ないし112頁からの抜粋と思います。)。
(2) 業務委託契約書の達人HPに以下の記事が載っています。
① 下請法の三条書面とは?業務委託契約書と兼ねるための12の記載事項は?
② 下請法の五条書類・五条書面とは?業務委託契約書と兼ねるための17の必須事項とは?

3 親事業者の禁止事項

(1) 親事業者の禁止事項は以下のとおりです(下請法4条)。
ア 受領拒否(1項1号)
イ 下請代金の支払遅延(1項2号)
ウ 下請代金の減額(1項3号)
エ 返品(1項4号)
オ 買いたたき(1項5号)
カ 購入・利用強制(1項6号)
キ 報復措置(1項7号)
ク 有償支給原材料等の対価の早期決済(2項1号)
ケ 割引困難な手形の交付(2項2号)
コ 不当な経済上の利益の提供要請(2項3号)
サ 不当な給付内容の変更・やり直し(2項4号)
(2)  公取HPに「親事業者の禁止行為」が載っています。

4 
返品及びやり直しの期間制限 
(1) 公取HPの「法令・ガイドライン等(下請法)」に載ってある,下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準(平成15年12月11日全部改正の公正取引委員会事務総長通達)には「第4 親事業者の禁止行為」として以下の記載があります。
4 返品
(中略)
エ 委託内容と異なること又は瑕疵等のあることを直ちに発見することができない給付であっても,受領後6か月(下請事業者の給付を使用した親事業者の製品について一般消費者に対し6か月を超える保証期間を定めている場合においては,それに応じて最長1年)を経過した場合
8 不当な給付内容の変更及び不当なやり直し
(中略)
エ 委託内容と異なること又は瑕疵等のあることを直ちに発見することができない給付について,受領後1年を経過した場合(ただし,親事業者の瑕疵担保期間が1年を超える場合において,親事業者と下請事業者がそれに応じた瑕疵担保期間を定めている場合を除く。)
(2)ア 優越的地位濫用規制と下請法の解説と分析[第3版]177頁には以下の記載があります。
下請法規制において、直ちに発見することのできない暇疵のある目的物のやり直しは、原則として、遅くとも当該給付の受領後1年以内に求められなければならないものとされる。これは、豊富な資金を有せず機動的な金融を行う環境にもない下請事業肴が、取引から長期間経過した後に不測の負担を強いられることがないよう、取引の効果を早期に安定させることを目的としたものである。直ちに発見できない暇疵のある給付について、返品の場合は原則として受領後6か月以内に行わなければならないものとされているが、やり直しの場合には、返品と比べて下請事業者に不利益を与える程度が低いため、期間制限を長く設定されたものと考えられる。
イ 公正取引委員会HPに「優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の考え方」(平成29年6月16日改正)が載っています。
(3) 下請法上禁止されているのは受領後1年以上経過したやり直しですから,受領後1年以上経過したからといって損害賠償請求までできなくなるわけではないみたいです(弁護士植村幸也公式ブログ「納入後長期間経過後の瑕疵発見とやり直しに関する下請法の規制」参照)。

5 トンネル会社規制
(1) 以下の場合,子会社Cと事業者Bの取引について下請法が適用されます(下請法2条9項)。
① 事業者A(親会社)が事業者Bに直接製造委託等をすれば下請法の適用を受ける関係等にあること
② 子会社Cが事業者A(親会社)から役員の任免,業務の執行又は存立について支配を受けていること
→ 例えば,親会社の議決権が過半数の場合,常勤役員の過半数が親会社の関係者である場合又は実質的に役員の任免が親会社に支配されている場合です。
③ 子会社Cが事業者A(親会社)からの下請取引の全部又は相当部分について,事業者Bに再委託すること
→ 例えば,親会社から受けた委託の額又は量の50%以上を再委託(複数の他の事業者に業務を委託している場合は,その総計)している場合です。
(2) 下請取引適正化推進講習会テキスト(令和3年11月)16頁ないし19頁に詳しい説明が載っています。

6 中小企業庁作成の,下請適正取引等推進のためのガイドライン
(1) 中小企業庁HPの「下請適正取引等推進のためのガイドライン」には以下の記載があるとともに,19種類のガイドラインが掲載されています。
    2021年12月末時点で、(1)素形材、(2)自動車、(3)産業機械・航空機等、(4)繊維、(5)情報通信機器、(6)情報サービス・ソフトウェア、(7)広告、(8)建設業、(9)建材・住宅設備産業、(10)トラック運送業、(11)放送コンテンツ、(12)金属、(13)化学、(14)紙・加工品、(15)印刷、(16)アニメーション制作業、(17)食品製造業、(18)水産物・水産加工品、(19)養殖業の19業種で策定しています。
(2)ア 例えば,素形材産業取引ガイドライン(素形材産業における適正取引等の推進のためのガイドライン)(令和4年10月改定)は,中小企業の多い素形材企業と取引先企業との適正な取引を確保し,我が国素形材企業の健全な発展と競争力の強化を目指すため,素形材業界の代表,ユーザー業界(自動車業界,自動車部品業界,産業機械業界,電機機器業界)の代表,有識者等の審議を経て,経済産業省(事務局:製造産業局素形材産業室)が策定した指針です(リンク先末尾1頁)。 
イ 素形材業界の代表として,一般社団法人日本鋳造協会一般社団法人日本鍛造協会一般社団法人日本金属プレス工業協会一般社団法人日本金型工業会一般社団法人日本金属熱処理工業会一般社団法人日本ダイカスト協会一般社団法人日本鋳鍛鋼会及び日本粉末冶金工業会の各会長が参加しています。
ウ ぷんたむの悟りの書ブログ「鋳造、ダイカスト(ダイキャスト)、粉末冶金(焼結)、切削の違い」が載っています。


7 建設業と下請法
(1) ひまわりほっとダイヤルHPの「下請法」には以下の記載があります。
    たしかに下請法では、建設業者に対して建設工事の発注を行う場合には適用されませんが、建設業法に下請法と同様の規制がありますので、規制を受けないわけではありません。なお、建設業者が建設以外の業務(建築資材の製造や設計業務)を他の事業者に委託するときは、「下請取引」として下請法の規制を受けることがあります。
(2) 建設業法における下請け業者の保護としては,下請代金の早期支払,不当に低い下請代金の禁止,指値発注の制限,赤伝処理の制限,一括下請負の禁止,請負契約締結後の資材購入の強制禁止,やり直し工事の強制禁止があります(弁護士法人グレイスHPの「建設業法と下請業者の保護」参照)。
(3) 国土交通省HPの「建設業法令遵守ガイドライン」には,「元請負人と下請負人間における建設業法令遵守ガイドライン」(第8版),及び「発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン」(第4版)が載っています。

8 弁護士の意見書作成業務に下請法の適用はないこと

(1) 公正取引委員会HPの「よくある質問コーナー(下請法)」に以下の記載があります。
 (専門家と顧問契約等)
Q12 一般に,企業と弁護士,公認会計士,産業医との契約も,本法の対象となるか。
A. これらは,一般に企業(委託者)が自ら用いる役務であり,他者に業として提供する役務でないので,役務提供委託に該当せず,本法の対象とはならない。
(2) 知財弁護士の本棚ブログ「弁護士業務に下請法の適用はあるか」(2017年3月8日付)には「先日、公正取引協会の下請法のセミナーに参加したところ、「弁護士の意見書作成業務に下請法の適用はない」と言われて、軽くショックでした(笑)。」と書いてあります。


9 下請振興法
(1) 中小企業庁HPの「下請中小企業振興法」には「同じく下請事業者との取引の適正化を図ることを目的とする下請代金法が規制法規であるのに対し、下請振興法は、下請中小企業を育成・振興する支援法としての性格を有する法律である。」と書いてあります。
(2)ア 中小企業庁HPの「振興基準」には「振興基準は、下請中小企業の振興を図るため、下請事業者及び親事業者のよるべき一般的な基準として下請中小企業振興法第3条第1項の規定に基づき、定められたものです。」と書いてあります。
イ 厚労省HPの「下請振興法の「振興基準」とは?」には「下請法とは異なり、資本金が自己より小さい中小企業者に対して製造委託等を行う幅広い取引が対象となります。」と書いてあります。


10 フリーランス
(1)ア 経済産業省HPに「「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」(案)に対するパブリックコメントの結果及び同ガイドラインを取りまとめました」(令和3年3月26日付)が載っています。
イ マネジメントオフィスいまむらHP「ISO9001:2015 8.4.2~8.4.3 調達先や外注先の管理のために不可欠なこととは?」が載っています。
(2)ア JIPA HP「【法律・契約】業務委託(契約)の仕組み」に,労働者としての「雇用」と,「業務委託」契約の違い等が書いてあります。
イ ヤフーニュースに「実態は「労働者」なのに……「名ばかり事業主」の苦しみとは 」(平成31年4月9日配信)が載っています。
(3) 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律は令和5年4月28日に参議院本会議で可決・成立しましたところ,厚生労働省HPに「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案(フリーランス・事業者間取引適正化等法案)の概要 (新規)」が載っています。
(4) LISKUL HPに「【2022年最新版】オンラインアシスタントサービス48選を徹底比較!」が載っています。
(5)ア 二弁フロンティア2023年11月号フリーランス新法の成立と今後の展望が載っています。
イ フリーランス新法に関する内閣法制局説明資料(令和5年1月)を載せています。
ウ ビジネスローヤーズに「フリーランス新法は11月1日施行!実務対応のポイントを解説 」が載っています。
(6) 令和5年9月11日,特定受託事業者の就業環境の整備に関する検討会の初会合が開催され,5月22日に報告書が公表されました(厚生労働省HPの「「特定受託事業者の就業環境の整備に関する検討会」の報告書を公表します」参照)。


11 関連記事その他 
(1)ア 公正取引委員会が行う「下請法に関する調査・手続」としては,①「定期調査(親事業者向け)」(下請事業者との取引に関する調査),及び②「定期調査(下請事業者向け)」(親事業者との取引に関する調査)があります。
イ 景品表示法及び下請法は独禁法の補完法となります。
(2) 公正取引委員会HPには例えば,以下の資料が載っています。
・ 労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針(令和5年11月29日付)
 (令和4年5月31日)令和3年度における下請法の運用状況及び中小事業者等の取引公正化に向けた取組
(3)ア 中小企業庁HPには例えば,以下の資料が載っています。
・ 下請取引適正化推進講習会 下請代金支払遅延等防止法について」(令和3年11月の中小企業庁事業環境部取引課の文書)
イ 中小企業庁HPの「下請かけこみ寺」「マンガで読む!価格交渉サポート事業個別相談事例集」等が載っています。
(4) 日本書籍出版協会HPに載ってある出版社における改正下請法の取扱い(2004年3月)についてには以下の記載があります。
出版物の内容である著作物は、特定の出版社の出版物への掲載以外にも広く利用される等汎用性が高く、かつ、作成を委託する際に出版社が定める仕様に基づいて作成を委託している訳ではないものもあり、このような著作物は情報成果物の作成委託に該当せず、下請取引の対象外として取扱われます。
(5) 以下の記事も参照してください。
・ 下請法に関する手形通達
・ 個人事業主の税金,労働保険及び社会保険に関するメモ書き

国民年金保険料及び国民健康保険料の減免等に関するメモ書き

目次
第1 国民年金保険料の免除及び納付猶予申請
1 総論
2 国民年金保険料の免除申請
3 国民年金保険料の納付猶予申請
4 国民年金保険料の追納制度
第2 国民健康保険料に関するメモ書き
1 国民健康保険料の軽減及び減免の申請
2 国民健康保険料の計算サイト
第3 関連記事その他

第1 国民年金保険料の免除及び納付猶予申請
1 総論
(1) 国民年金保険料の免除及び納付猶予申請については,日本年金機構HPの「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」に一通りの説明が書いてあります。
(2) 住民登録をしている市区役所・町村役場の国民年金担当窓口で申請をする必要があります。
(3)ア 必要書類は以下のとおりです。
① 必ず必要なもの
・ 年金手帳又は基礎年金番号通知書
② 場合によって必要なもの
・ 前年(又は前々年)所得を証明する書類
→ 7月以降に申請をする場合は前年の,6月以前に申請する場合は前々年の書類が必要です。
・ 所得の申立書
→ 所得についての税の申告を行っていない場合に必要となります。
イ 平成26年10月以降,前年(又は前々年)の所得額が57万円以下であることの申立てを免除等申請書の「前年所得」欄に記入することにより,所得の状況を明らかにすることができる書類の添付を省略できるようになりました。
(4) 平成26年4月以降,保険料の納付期限から2年を経過していない期間(申請時点から2年1ヵ月前までの期間)について,さかのぼって免除又は納付猶予を申請できるようになりました(日本年金機構HPの「国民年金保険料の免除等の申請が可能な期間」参照)。
(5) 平成31年4月以降,次世代育成支援の観点から,国民年金第1号被保険者が出産を行った場合,住民登録をしている市区役所・町村役場の国民年金担当窓口に届書を提出することにより,出産前後の一定期間の国民年金保険料が免除されるようになりました(日本年金機構HPの「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」参照)。
2 国民年金保険料の免除申請
(1) 本人,世帯主及び配偶者の前年所得が一定額以下の場合,国民年金保険料の免除制度に基づき,申請をすることにより全額又は一部を免除してもらえます。
(2) 国民年金保険料の免除制度は,同居している親に一定額以上の所得がある場合は利用できません。
(3) 国民年金保険料の免除を受けた場合,免除期間が老齢基礎年金の額に反映されますし,年金の受給資格期間に反映されます。
3 国民年金保険料の納付猶予申請
(1) 本人及び配偶者の前年所得が一定額以下であり,本人が50歳未満である場合,国民年金保険料の納付猶予制度に基づき,申請をすることにより全部の納付を猶予してもらえます。
(2) 国民年保険料の納付猶予を受けた場合,猶予期間は老齢基礎年金の額に反映されないものの,年金の受給資格期間に反映されます。
4 国民年金保険料の追納制度
(1) 国民年金保険料について免除又は納付猶予を受けた場合であっても,過去10年分の国民年金保険料を追納することができます(日本年金機構HPの「国民年金保険料の追納制度」参照)。
(2) 過去2年分の国民年金保険料を追納する場合,追納加算額がありません。

第2 国民健康保険料に関するメモ書き
1 国民健康保険料の軽減及び減免の申請

(1) 厚生労働省HPの「国民健康保険の保険料・保険税について」には以下の記載があります。
① 各法令の規定に基づき、具体的な国民健康保険料(税)の算定方法や徴収期限・方法などについて、各市町村の条例(国民健康保険組合の場合は規約)などで定められています。国民健康保険料(税)は、世帯単位で算定し、世帯の被保険者ごとに応益分・応能分の各種類を計算し、それらを合計したものとなります。
② 国民健康保険料(税)の額を算定する際、法令により定められた所得基準を下回る世帯については、被保険者応益割(均等割・平等割)額の7割、5割又は2割を減額する制度があります。
③ 災害、その他特別の事情により国民健康保険料(税)を納めることが困難な場合、国民健康保険料(税)の減免や納付猶予を受けられる場合があります。
(2) 大阪市の場合の取扱いは以下のとおりです。
① 国民健康保険料の7割軽減,5割軽減又は2割軽減を受けるためには,世帯全員の所得が判明している必要があります。
② 倒産・解雇などの理由で離職した65歳未満の人は,非自発的失業者にかかる軽減の届出書を提出すれば,離職年月日の翌日が属する月から翌年度末までの間,国民健康保険料の軽減を受けることができます。
③ 当年中の見込所得(年度途中の退職等の場合は、当該状況が発生した月以降の見込所得)が、前年比10分の7以下となる世帯 (退職・倒産・廃業・休業や営業不振等のため、見込所得が大幅に減少する世帯)は,減免申請書を提出すれば,国民健康保険料の減免を受けることができます。
2 国民健康保険料の計算サイト
・ 税金・社会保障教育HP「国民健康保険料シミュレーション」を使えば,主な市区町村の国民健康保険料を計算することができます。


第3 関連記事その他
1 東京都新宿区HPに「令和3年度 国民健康保険料 概算早見表(給与・年金)」が載っています。
2 大阪市の場合,年に6回,国民健康保険加入の世帯主に宛てて,国民健康保険医療費のお知らせを送っています(大阪市HPの「「国民健康保険医療費のお知らせ」をお届けしています」参照)。
3 以下の記事も参照してください。
・ 個人事業主の税金,労働保険及び社会保険に関するメモ書き
・ 司法修習生と国民年金保険料の免除制度及び納付猶予制度

社会保険に関するメモ書き

目次
1 総論
2 新規適用の手続
3 社会保険に関する書類の提出先
4 社員採用時等の取扱い
5 定時決定及び随時決定
6 従業員の社会保険料の天引き
7 退職者の社会保険料の天引き
8 健康保険に関するメモ書き
9 厚生年金保険に関するメモ書き
10 介護保険に関するメモ書き
11 令和4年10月1日の,士業への社会保険の適用拡大
12 社会保険料の計算サイト
13 国民年金法30条の4に基づく20歳前障害者に対する障害基礎年金
14 関連記事その他

1 総論
(1) 広義の社会保険には厚生年金保険,健康保険及び介護保険のほか,労災保険及び雇用保険も含まれますところ,本ブログ記事における「社会保険」という用語は,厚生年金保険,健康保険及び介護保険の総称として使っています。
(2) カオナビ人事用語集HP「社会保険とは?【わかりやすく】種類、国保・雇用保険との違い」が載っています。

2 新規適用の手続
・ 以下の事業所は,事実発生から5日以内に,年金事務所に対し,健康保険・厚生年金保険 新規適用届を提出する必要があります(日本年金機構HPの「新規適用の手続き」参照)。
① 常時従業員(事業主のみの場合を含む)を使用する法人事業所
② 常時5人以上の従業員が働いている事業所,工場,商店等の個人事業所

3 社会保険に関する書類の提出先
・ 協会けんぽHPに「年金と健康保険に関する書類の提出先」が載っていますところ,例えば,事業所,採用,給与・賞与,育児休業及び退職・死亡に関する書類の提出先は年金事務所となっています。

4 社員採用時等の取扱い
(1) 社員を採用した場合,5日以内に健康保険・厚生年金保険の資格取得手続を年金事務所でする必要があります。
(2) 社員が退職した場合,5日以内に健康保険・厚生年金保険の資格喪失手続を年金事務所でする必要があります。
(3) 社員に賞与を支給した場合,5日以内に年金事務所に賞与支払届を提出する必要があります。
(4) 給料を改定した場合,改定月より3ヶ月間で条件を満たしたときは随時改定の必要がありますから,年金事務所に月額変更届を提出する必要があります。

 定時決定及び随時改定
(1) 定時決定及び随時改定は,社員の給与から控除する社会保険(厚生年金保険及び健康保険)に関係する手続です。
(2)ア 定時決定は,毎年7月1日時点で雇用している社員すべてが対象になり,4月ないし6月に支払った給与が基になり,毎年9月から翌年8月までの,1年間の社会保険料を決めるために行います。
 定時決定の手続に使用する書類が「被保険者報酬月額算定基礎届」(提出期間は毎年7月1日から同月10日まで)であるため,定時決定を「算定基礎届の手続」という場合があります。
イ マネーフォワードクラウド給与HP「社会保険料の変更に伴う手続きを解説!随時改定の意味など」には以下の記載があります。
 給与から天引きできる社会保険料は、給与を支払った月の前月分です。たとえば9月分の社会保険料は10月分の給与から天引きすることになります。標準報酬月額の変更により社会保険料が変更されるのは9月ですが、実務的には10月分の給与から変更後の社会保険料を控除することを覚えておきましょう。
(3)ア 随時改定は,定時決定の対象期間(4月・5月・6月の3ヶ月)以外で,給与に大きな昇降があったり,給与の雇用形態の変更で固定的な給与の額が著しく変動したときに行います。
 随時改定に使用する書類が「被保険者報酬月額変更届」であるため,随時改定を「月額変更届の手続」という場合があります。
イ マネーフォワードクラウド給与HP「社会保険料の変更に伴う手続きを解説!随時改定の意味など」には以下の記載があります。
 随時改定を行わない場合、正しい額の社会保険料を納めない時期が発生します。過払い・不足の状況となり、精算が必要です不足分の社会保険料については、延滞料が課される可能性もあります。また、虚偽の随時改定を行った場合、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が課される恐れがあるので注意しましょう。
(4) 日本年金機構HPに「定時決定(算定基礎届)」及び「随時改定(月額変更届)」が載っています。

6 従業員の社会保険料の天引き
(1) 健康保険・厚生年金保険の保険料の徴収は,日本年金機構(年金事務所)が行うこととされており,事業主は毎月の給料及び賞与から被保険者負担分の保険料を差し引いて,事業主負担分の保険料とあわせて,納付対象月の翌月末日までに納めることになっています(例えば,4月分保険料の納付期限は5月末日です。)(日本年金機構HPの「厚生年金保険料等の納付」参照)。
(2) 健康保険・厚生年金保険では,被保険者が事業主から受ける毎月の給料などの報酬の月額を区切りのよい幅で区分した標準報酬月額と税引前の賞与総額から千円未満を切り捨てた標準賞与額(健康保険は年度の累計額573万円,厚生年金保険は1ヶ月あたり150万円が上限)を設定し,保険料の額や保険給付の額を計算します(協会けんぽHPの「標準報酬月額・標準賞与額とは?」参照)。
(3) 賞与に対する社会保険料の天引きが開始したのは平成15年4月からです(M’sHR社会保険労務士法人HP「賞与にかかる社会保険料、確認していますか?」参照)。
(4)ア 全国健康保険協会(協会けんぽ)HP「都道府県ごとの保険料額表」には,平成21年度以降の健康保険及び厚生年金保険の保険料額表が載っています。
イ 協会けんぽの健康保険料の保険料率は都道府県ごとに異なりますところ,大阪府の令和4年3月分以降の場合,健康保険料は10.22%(介護保険第2号被保険者ではない40歳未満の場合)又は11.86%(介護保険第2号被保険者である40歳以上の場合)です(厚生年金保険料は全国一律18.3%です。)。



7 退職者の社会保険料の天引き

(1) 日本年金機構HPの「退職した従業員の保険料の徴収」には以下の記載があります。
 従業員が負担する保険料は、被保険者資格を取得した日の属する月から喪失した日(退職日の翌日)の属する月の前月まで発生し、事業主は、毎月の給与から前月分保険料を控除することができます。
 従業員の方が月の途中で退職した場合は、退職月の前月分の保険料を退職月の給与から控除し、月末に退職した場合は、退職月の前月と退職月の2か月分の保険料を退職月の給与から控除することができます。
 賞与に対する保険料は、支給する賞与から控除することができます。退職月に支給する賞与は、月末に退職する場合を除き、保険料控除の対象となりません。
(2) 日本年金機構HPの「月の途中で入社したときや、退職したときは、厚生年金保険の保険料はどのようになりますか。」には以下の記載があります。
月の途中から入社した場合
 入社日にて厚生年金の被保険者資格を取得することとなります。保険料は月単位で計算しますので、資格取得した月の保険料から支払う必要があります。
保険料は、会社が被保険者に支払う給与から保険料相当額の被保険者負担分を直接控除し、会社負担分と合わせて翌月末までに国に納めますので、個人で納める必要はありません。
月の途中で退職した場合
 退職した日の翌日に厚生年金の被保険者資格を喪失することとなります。保険料は、資格喪失日が属する月の前月分まで納める必要があります。
 なお、月の「末日」に退職した場合は、翌月1日が資格喪失日となりますので、退職した月分までの保険料を納める必要があります。この場合は、給与計算の締切日によって、退職時の給与から前月分と当月分の社会保険料が控除される場合があります。

 健康保険に関するメモ書き
(1) 高額療養費,傷病手当金,出産手当金,出産育児育児一時金,埋葬料といった健康保険給付を受ける権利の消滅時効は2年であります(健康保険法193条1項)ところ,協会けんぽHPに「健康保険の給付金の申請もれはありますか?健康保険給付の申請期限について」が載っています。
(2) 厚生労働省HPの「令和4年1月1日から健康保険の傷病手当金の支給期間が通算化されます」には以下の記載があります。
傷病手当金の支給期間が、支給開始日から「通算して1年6か月」になります。
 同一のケガや病気に関する傷病手当金の支給期間が、支給開始日から通算して1年6か月に達する日まで対象となります。
 支給期間中に途中で就労するなど、傷病手当金が支給されない期間がある場合には、支給開始日から起算して1年6か月を超えても、繰り越して支給可能になります。
(3) 社員が75歳に達した時点で,健康保険について被保険者資格喪失届を提出する必要があります。
(4)ア 平成20年4月1日に開始した高齢者医療制度は,①高齢者の心身の特性や生活実態を踏まえて,65歳から74歳までを対象とする「前期高齢者医療制度」,並びに②75歳以上の人及び65歳以上で寝たきり等一定の障害があると認定を受けた人を対象とする「後期高齢者医療制度」の二つの制度で構成されています(大王製紙健康保険組合HP「高齢者医療制度」参照)。
イ 協会けんぽHPの「高齢受給者証」には以下の記載があります。
 75歳になると後期高齢者医療制度の対象となりますが、それまでの間、後期高齢者医療制度に加入しない70歳以上の方には協会けんぽから「健康保険高齢受給者証」が交付されます。これは医療機関等の窓口において一部負担金の割合を示す証明書で、医療機関等で受診される時は、健康保険証と合せて高齢受給者証を提示する必要があります。
(5) 最高裁平成24年3月6日判決(判例体系に掲載)は以下の判示をした上で,短期給付と通勤災害との間で重複支給が発生した場合,行政不服審査法57条1項所定の不服申立てについての教示をせず,行政手続法所定の手続も執ることなく,給付の決定を撤回し,贈与契約を解除できると判示しました(改行を追加しています。)。
 地公共済法上、療養費及び高額療養費が同法53条に基づく短期給付と、入院附加金が同法54条に基づく短期給付(附加給付)と位置付けられており、それぞれ同法43条1項所定の給付の決定によりその受給権が発生するものと解されるのに対して、本件一部負担金払戻金及び本件見舞金については、地公共済法上、これらを同法に基づく給付と位置付ける規定はなく、これらは、専ら本件定款又は本件要綱が定めるところにより支給されるものと解される。
 したがって、本件一部負担金払戻金及び本件見舞金の支給は、本件定款又は本件要綱で定められたところに従って成立する贈与契約に基づくものというべきである。
(6) 健康保険組合が被保険者に対して行うその親族等が被扶養者に該当しない旨の通知は,健康保険法189条1項所定の被保険者の資格に関する処分に該当します(最高裁令和4年12月13日判決)。


9 厚生年金保険に関するメモ書き
(1) 厚生年金保険の保険料率は,年金制度改正に基づき平成16年から段階的に引き上げられてきましたが,平成29年9月を最後に引上げが終了し,厚生年金保険料率は18.3%で固定されています(日本年金機構HPの「厚生年金保険料額表」参照)。
(2) 日本年金機構HPの「年金の給付に関するもの」に,老齢年金関係,障害年金関係,遺族年金関係等に関するパンフレットが載っています。
(3)ア 社員が70歳に達した時点で,「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届/厚生年金保険70歳以上被用者不該当届」を提出し,従業員が厚生年金保険の被保険者資格を喪失する関係で,厚生年金保険料の徴収を終了する必要があります。
イ 日本年金機構HPの「年金額を増やすために、70歳を過ぎても厚生年金保険に加入できますか。」には以下の記載があります。
 会社に勤めていても70歳になれば、厚生年金保険に加入する資格を失います。
 ただし、老齢の年金を受けられる加入期間がなく、70歳を過ぎても会社に勤める場合は、老齢の年金を受けられる加入期間を満たすまで任意に厚生年金に加入することができます。これを高齢任意加入被保険者といいます。
 ただし、既に老齢または退職を事由とする年金を受け取る権利がある場合は、高齢任意加入被保険者になることはできず、70歳を過ぎて厚生年金保険に加入できません。

10 介護保険に関するメモ書き

(1) 介護保険制度は,介護が必要な高齢者を社会全体で支える仕組みであり,公費(税金)や高齢者の介護保険料のほか,40歳から64歳までの健康保険の加入者(介護保険第2被保険者)の介護保険料(労使折半)等により支えられています(協会けんぽHPの「介護保険制度と介護保険料について」参照)。
(2) 社員が40歳に到達した時点で介護保険料の徴収を開始し,社員が65歳に達した時点で介護保険料の徴収を終了する必要があります。
(3) 介護のほんねHP「介護保険制度の歴史について2000~2021年までの流れを教えてください!」が載っています。

11 令和4年10月1日の,士業への社会保険の適用拡大

(1) 令和4年10月1日以降,常時5人以上の従業員(勤務弁護士が従業員に含まれるかどうかは勤務実態によります。)を使用している個人経営の法律事務所についても社会保険が適用される結果,事業主たるボス弁等を除き,日本弁護士国民年金基金を脱退することとなります(令和2年改正後の厚生年金保険法6条1項1号)。
(2) 東京都弁護士国民健康保険組合HP「令和4年10月からの士業の適用拡大に係る届出書類等について」には以下の記載があります。
令和4年10月1日から、使用関係が常用的な勤務弁護士・従業員(被用者)あわせて5人以上の個人の法律事務所は、健康保険(協会けんぽ)と厚生年金保険の強制適用事業所に該当します。
弁護士国保加入者は、健康保険の適用除外承認を受けることで、協会けんぽに加入せず、弁護士国保に残ることができますので、ご検討ください(弁護士法人に所属され、すでに健康保険被保険者適用除外承認を受けている方はお手続きは不要です。また、被用者5人未満の個人の法律事務所は強制適用の対象ではありません(協会けんぽと厚生年金保険の任意適用事業所は除く))。
(3)ア 日本年金機構HPに「令和4年10月から5人以上の従業員を雇用している士業の個人事業所は社会保険への加入が必要です。」及び「令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」が載っています。
イ 社会保険労務士法人開東社会保険労務事務所HP「法律事務所・弁護士法人の社会保険」,及び「令和4年10月1日から新たに社会保険の適用となる事業とは」が載っています。


12 社会保険料の計算サイト
・ 生活や実務に役立つ計算サイトkeisan「厚生年金保険料の計算」及び「健康保険料の計算」が載っています。

13 国民年金法30条の4に基づく20歳前障害者に対する障害基礎年金
(1) 最高裁平成19年9月28日判決は以下の判示をしています。
    法30条の4(昭和60年改正前の法57条)は,傷病の初診日において20歳未満であった者が,障害認定日以後の20歳に達した日において所定の障害の状態にあるとき等には,その者(以下「20歳前障害者」という。)に対し,障害の状態の程度に応じて,いわゆる無拠出制の障害基礎年金(昭和60年改正前は障害福祉年金。以下,上記の障害基礎年金と障害福祉年金を「20歳前障害者に対する障害基礎年金等」という。)を支給する旨を定めている。
    国民年金の被保険者資格を取得する年齢である20歳に達する前に疾病にかかり又は負傷し,これによって重い障害の状態にあることとなった者については,その後の稼得能力の回復がほとんど期待できず,所得保障の必要性が高いが,保険原則の下では,このような者は,原則として,給付を受けることができない。20歳前障害者に対する障害基礎年金等は,このような者にも一定の範囲で国民年金制度の保障する利益を享受させるべく,同制度が基本とする拠出制の年金を補完する趣旨で設けられた無拠出制の年金給付である。
(2) 大分地裁令和6年3月1日判決は以下の判示をしています。
    同法(山中注:国民年金法)は、同法30条の4第1項に基づく障害基礎年金について、刑事施設等に拘禁されている場合の支給停止(同法36条の2第1項)や所得制限による支給停止(同法36条の3第1項)等の支給停止事由を定めているところ、これらの支給停止事由は、同法30条1項に基づく障害基礎年金については定められていない。
    そうすると、同法30条の4第1項に基づく障害基礎年金は、拠出した保険料とのけん連関係があるものとはいえず、社会保障的性格が強いものであるというべきであり、同法30条1項に基づく障害基礎年金とは直ちには同列には解し難い。
    したがって、e が同法30条の4第1項に基づく障害基礎年金を受給していた蓋然性があったと認められたとしても、同年金が e の逸失利益であると認めるのは困難であるというほかないから、原告の前記主張は採用し難いものといわざるを得ない。

14 関連記事その他
(1)ア 厚生労働省HPの「社会保障全般」には,毎年3月下旬及び9月下旬に「厚生労働省関係の主な制度変更について」が掲載されています。
イ 弁護士の確定申告HP「弁護士開業にまつわる社会保険の手続」が載っています。
(2) 厚生労働省HPの「労働保険関係各種様式」に年度更新申告書計算支援ツール(エクセルファイル)が載っています。
(3)ア ①昭和35年10月から昭和49年10月までに発行された国民年金手帳(厚生省発行)は茶色,水色又は薄橙色であり,②昭和49年11月から平成8年12月までに発行された年金手帳(社会保険庁発行。国民年金と厚生年金とで同じでした。)はオレンジ色であり,③平成9年1月から平成21年12月までに発行された年金手帳(社会保険庁発行)は青色であり,④平成22年1月から令和4年3月までに発行された年金手帳(日本年金機構発行)は青色であり,⑤令和4年4月に年金手帳の制度が廃止され,基礎年金番号通知書が発行されるようになりました(取手市HPの「あなたの年金手帳は何色?色が違う理由は?(くろまめ)」参照)。
イ 厚生年金については,昭和29年5月から昭和49年10月までの間,保険証が交付されていました(マネーフォワードクラウド給与の「2022年4月に年金手帳が廃止 – 厚生年金と国民年金で変わること」参照)。
(4) 以下の記事も参照してください。
・ 個人事業主の税金,労働保険及び社会保険に関するメモ書き
・ 労働保険に関するメモ書き


労働保険に関するメモ書き

目次
1 総論
2 労働保険料の納付
3 労働保険の成立手続
4 労災保険の利用と事業主との関係
5 労災保険に関するメモ書き
6 事業主側の雇用保険に関するメモ書き
7 雇用保険資格喪失手続に関するメモ書き
8 労働者側の雇用保険に関するメモ書き
8の2 失業保険の受給期間の延長
9 労働保険事務組合
10 雇用調整助成金
11 自由と正義2022年9月号の「労働事件と雇用保険・労災保険・健康保険・厚生年金保険」,及びその訂正記事
12 労働保険料の計算サイト
13 関連記事その他

1 総論
(1) 労働保険は労働者災害補償保険(労災保険)及び雇用保険とを総称した言葉です。
(2) 保険給付は労災保険と雇用保険で別個に行われているものの,保険料の納付等については一体のものとして取り扱われています。
(3) 被災労働者に100%の過失がある場合であっても,重過失がない限り,労災保険を利用することができます(労災保険法12条の2の2参照)。
(4) 労働災害に該当する場合,健康保険を使用できません(厚生労働省HPの「「労災かくし」は犯罪です。」参照)。

2 労働保険料の納付
(1) 労働保険の保険料は,年度当初に概算で申告・納付し翌年度の当初に確定申告の上精算することになっており,事業主としては,毎年6月1日から7月10日までの間に,前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を併せて申告・納付することになっていますところ,これを「労働保険の年度更新」といいます(厚生労働省HPの「労働保険料の申告・納付」参照)。
(2) 概算保険料額が40万円以上の場合,又は労働保険事務組合に労働保険事務を委託している場合,原則として労働保険料の納付を3回に分割することができます(厚生労働省HPの「労働保険料の申告・納付」参照)。
(3) 労働保険料等の口座振替納付とは,事業主が,労働保険料や石綿健康被害救済法に基づく一般拠出金の納付について,口座を開設している金融機関に口座振替納付の申込みをすることで,届出のあった口座から金融機関が労働保険料及び一般拠出金を引き落とし,国庫へ振り替えることにより,納付するものです(厚生労働省HPの「労働保険料等の口座振替納付」参照)。
(4) 労働保険料に関する勘定科目としては,法定福利費,預り金及び前払費用がありますところ,労働保険料について当初から法定福利費として計上した場合,預り金勘定を使う必要はありません(マネーフォワードクラウド給与の「労働保険料の仕訳の仕方」参照)。

3 労働保険の成立手続
(1) 一元適用事業の場合,以下のとおり労働保険の成立手続を行う必要があります(厚生労働省HPの「労働保険の成立手続」参照)。
① 保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内に,所轄の労働基準監督署に保険関係成立届を提出する。
② 保険関係が成立した日の翌日から起算して50日以内に,所轄の労働基準監督署,都道府県労働局又は日本銀行の一般代理店若しくは歳入代理店に概算保険料申告書を提出する。
③ 雇用保険適用事業所設置の日の翌日から起算して10日以内に,所轄の公共職業安定所に雇用保険適用事業所設置届を提出する。
④ 雇用保険の資格取得の事実があった日(従業員の採用日)の翌月10日までに,所轄の公共職業安定所に雇用保険被保険者資格取得届を提出する。
(2) ①の手続を行った後又は同時に,②の手続を行うこととなっていますし,①の手続を行った後に③及び④の手続を行うことになっています。
(3) 農林漁業・建設業等は二元適用事業であり,それ以外の事業が一元適用事業となります。
(4) 厚生労働省HPの「労働保険適用事業場検索」を使えれば,事業主が労働保険の保険関係成立手続をしているかどうかを調査できます。

4 労災保険の利用と事業主との関係
(1)ア 労災保険を利用する場合,①負傷又は発病の年月日,②災害の原因及び発生状況等について事業主の証明を受ける必要があります(労災保険法施行規則12条1項3号及び4号・同条2項等)。
イ   勤務先が事業主の証明をしてくれない場合であっても,労災保険を利用できることがあります(日本法令HP「会社が「事業主証明」を拒否した場合の労災保険給付請求書の取扱い」参照)から,この場合,労基署に相談して下さい。
(2) 事業主は,被災労働者が労災保険を利用するのに助力する必要がある(労災保険法施行規則23条)反面,労基署長に対し,業務災害又は通勤災害に該当するかどうかについて意見を申し出ることができます(労災保険法施行規則23条の2)。
(3) 交通事故が業務災害に該当する場合,事業主は,所轄の労基署に対し,労災申請とは別に,労働者死傷病報告書(労働安全衛生規則97条)を提出する必要があります(外部HPの「労働者死傷病報告書」参照)。
(4)ア 厚生労働省HPの「労災保険のメリット制について(概要)」には以下の記載があります。
 事業の種類ごとに災害率等に応じて定められている労災保険率を個別事業に適用する際、事業の種類が同一であっても作業工程、機械設備あるいは作業環境の良否、事業主の災害防止努力の如何等により事業ごとの災害率に差があるため、事業主負担の公平性の観点から、さらに、事業主の災害防止努力をより一層促進する観点から、当該事業の災害の多寡に応じ、労災保険率又は労災保険料を上げ下げするものである。
イ 20人未満の労働者しかいない場合,労災保険のメリット制(労働保険徴収法12条3項)は適用されませんし,通勤災害によって労災保険料率が上がることはないです。
(5) 厚生労働省HPの「労働保険徴収法第 12条第3項の適用事業主の不服の取扱いに関する検討会報告書」(令和4年12月)で言及されている東京高裁令和4年11月29日判決(判例秘書に掲載)を取り消した最高裁令和6年7月4日判決の裁判要旨は「 労働保険の保険料の徴収等に関する法律(令和2年法律第14号による改正前のもの)12条3項所定の事業の事業主は、当該事業についてされた業務災害に関する保険給付の支給決定の取消訴訟の原告適格を有しない」というものです。


5 労災保険に関するメモ書き
(1)ア 労災保険は,業務上の事由又は通勤による労働者の負傷・疾病・障害又は死亡に対して労働者やその遺族のために,必要な保険給付を行う制度です。
イ 労働者(パートタイマー及びアルバイトを含む)を一人でも雇用していれば,業種・規模の如何を問わず労働保険の適用事業となり,事業主は成立(加入)手続を行い,労働保険料を納付しなければなりません(農林水産の一部の事業は除きます。)(厚生労働省HPの「労働保険とはこのような制度です」参照)。
(2)ア 労災保険料は,「全従業員の年度内の賃金総額」に「労災保険料率」を掛けて算出されますところ,賃金総額には,基本給及び賞与の他,非課税の通勤手当も含まれます(厚生労働省HPの「労働保険対象賃金の範囲」参照)。
イ 労災保険料は事業主だけが負担します。
(3) 「94 その他の各種事業」に含まれる法律事務所の労災保険料率は0.3%です(厚生労働省HPの「令和4年度の労災保険率について ~令和3年度から変更ありません~」参照)。
(4) 労災の請求書類は,原則として,被災者本人(死亡事故の場合は遺族)が作成して提出します(企業法務の法律相談サービスHP「労災の必要書類とは?書き方や提出先についてわかりやすく解説」参照)。
(5)ア 労働災害があった場合,事業主は被災者に対する助力義務を負う(労災保険法施行規則23条)ものの,労災保険給付の請求について意見を申し出ることができます(労災保険法施行規則23条の2)。
イ 企業法務の法律相談サービスHP「会社の対応はどうする?労災申請があった場合の注意点について」には以下の記載があります。
自社としては労災ではないと考えている場合も、従業員からの労災申請については、自社を通じて手続をすることを認めることがベターです。
自社を通じて手続が行われることで、会社としても労災申請書の内容を把握することができ、それを踏まえて、自社の見解を労働基準監督署に伝えていくことができるメリットがあります。
(6) CREA BIZの「No215.労災保険の遺族補償給付」に,受給資格者の優先順位が載っています。
(7) 厚生労働省HPの「労災保険未手続事業主に対する費用徴収制度の強化について」には,平成17年11月1日以降の運用に関して以下の記載があります。
(8)  労働者災害補償保険法による保険給付の受給者は,同法に基く行政機関の保険給付の決定以前に,保険金の支払を請求することはできません(最高裁昭和29年11月26日判決)。

  • 加入手続について行政機関からの指導等を受けたにもかかわらず、事業主がこれを行わない期間中に労災事故が発生した場合、現行の取扱いでは「故意又は重大な過失により手続を行わないもの」と認定して保険給付額の40%を徴収しているが、これを改め「故意に手続を行わないもの」と認定して保険給付額の100%を徴収する。
  •  加入手続について行政機関からの指導等を受けていないが、事業主が事業開始の日から1年を経過してなお加入手続を行わない期間中に労災事故が発生した場合、「重大な過失により手続を行わないもの」と認定して、新たに費用徴収の対象とし保険給付額の40%を徴収する。


6 事業主側の雇用保険に関するメモ書き
(1)ア 個人事業主が雇用保険適用事業所設置届を提出する場合,以下の添付書類が必要です(大阪ハローワークHPの「雇用保険新規加入の手続きについて」参照)。
① 事業主の世帯全員の住民票の写し(個人番号省略で3か月以内に発行されたもの)
② 事業実態が確認できる書類
③ 事業所の所在地が住民票の記載と異なる場合,公共料金の請求書,賃貸借契約書といった事業所の所在地が明記されている書類
イ 私の場合,令和4年9月に提出した雇用保険適用事業所設置届の添付書類として,②の書類として大阪弁護士会発行の印鑑登録証明書の写しを提出し,③の書類として個人事業税の納税通知書の写しを提出しました。
(2)ア 社員が入社した場合,翌月10日までに雇用保険の資格取得手続をする必要がありますところ,管轄のハローワークに雇用保険被保険者資格取得届に以下の書類を提出する必要があります(大阪ハローワークHPの「雇用保険新規加入の手続きについて」参照)。
① 労働者名簿
② 入社時から直近までの出勤簿又はタイムカード
③ 入社時から直近までの賃金台帳又は給料明細書
④ 労働条件通知書
イ 厚生労働省HPの「雇用保険の被保険者について」に,雇用保険の「被保険者となる者」及び「被保険者とならない者」の具体例が載っています。
(2) 東京労働局HPの「様式集 (必要な様式をダウンロードしてご使用下さい。)」に,労働者名簿,賃金台帳,労働条件通知書,時間外労働・休日労働に関する協定届 等の書式が載っています。
(3) 一般の事業の場合,令和3年度以降の雇用保険料は以下のとおりです(厚生労働省HPの,「令和3年度の雇用保険料率について~令和2年度から変更ありません~」及び「令和4年度雇用保険料率のご案内」参照)。
令和3年4月1日~令和4年3月31日
労働者負担は0.3%であり,事業主負担は0.6%であり,雇用保険料率は0.9%
令和4年4月1日~同年9月30日
労働者負担は0.3%であり,事業主負担は0.65%であり,雇用保険料率は0.95%
令和4年10月1日~令和5年3月31日
労働者負担は0.5%であり,事業主負担は0.85%であり,雇用保険料率は1.35%


7 雇用保険資格喪失手続に関するメモ書き
(1)ア 社員が退社した場合,離職日の翌々日から10日以内に雇用保険資格喪失手続をする必要があります。
    具体的には,①「雇用保険被保険者資格喪失届」及び②給付額等の決定に必要な「離職証明書」(3枚複写式の書類であり,そのうちの1枚が退職者に渡す離職票2になり,残り2枚は事業主控え及びハローワーク提出用となります。)をハローワークに提出する必要があります(厚生労働省HPの「事業主の行う雇用保険の手続き」参照)し,添付書類として,①出勤簿又はタイムカード,②賃金台帳及び③労働者名簿並びに④就業規則,雇用契約書若しくは労働条件通知書(写し),退職届その他離職理由が確認できる資料が必要になります(カオナビ人事用語集「離職証明書とは?【いつもらえる?】書き方・記入例、添付書類」参照)。
イ 雇用保険被保険者資格喪失届には従業員のマイナンバーも記載する必要があります(厚生労働省HPのマイナンバー制度(雇用保険関係),及び「雇用保険の届出にマイナンバーの記載が必要です。」参照)。
ウ 離職証明書の「⑧被保険者期間算定対象期間」は,従業員が被保険者であった期間を離職日から1ヶ月ずつ遡り,上から下に12ヶ月分記載し,「⑨賃金支払基礎日数」は,被保険者期間算定対象期間のうち,賃金が発生した日数を記載し,「⑩賃金支払対象期間」は,賃金支払い対象期間(賃金の締切日の翌日から、翌月の締切日まで)を離職日から1ヶ月ずつ遡り,上から下に6ヶ月分記載します(ジンジャーブログの「項目別の離職証明書の書き方や注意点を解説」参照)。
(2) 離職票1はハローワークが作成する雇用保険被保険者資格喪失確認通知書(被保険者通知用)であり,事業主は,離職者に対し,離職票1及び離職票2を離職者に送付することになります(雇用保険法施行規則17条1項参照)。
(3) 郵送で資格喪失届及び離職証明書をハローワークに提出する場合において,郵送による返送を希望するときは,切手を貼付した返信用封筒を添付する必要があります(ハローワーク仙台の「4月中の雇用保険に係る届出について」参照)。
(4) 雇用保険法施行規則7条(被保険者でなくなったことの届出)は以下のとおりです。
① 事業主は、法第七条の規定により、その雇用する労働者が当該事業主の行う適用事業に係る被保険者でなくなつたことについて、当該事実のあつた日の翌日から起算して十日以内に、雇用保険被保険者資格喪失届(様式第四号又は様式第四号の二。以下「資格喪失届」という。)に労働契約に係る契約書、労働者名簿、賃金台帳、登記事項証明書その他の当該適用事業に係る被保険者でなくなつたことの事実及びその事実のあつた年月日を証明することができる書類を添えてその事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に提出しなければならない。この場合において、当該適用事業に係る被保険者でなくなつたことの原因が離職であるときは、当該資格喪失届に、次の各号に掲げる者の区分に応じ、当該各号に定める書類を添えなければならない。
一 次号に該当する者以外の者 雇用保険被保険者離職証明書(様式第五号。以下「離職証明書」という。)及び賃金台帳その他の離職の日前の賃金の額を証明することができる書類
二 第三十五条各号に掲げる者又は第三十六条各号に掲げる理由により離職した者 前号に定める書類及び第三十五条各号に掲げる者であること又は第三十六条各号に掲げる理由により離職したことを証明することができる書類
② 前項の規定によりその事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に提出する資格喪失届は、年金事務所を経由して提出することができる。
③ 事業主は、第一項の規定により当該資格喪失届を提出する際に当該被保険者が雇用保険被保険者離職票(様式第六号。以下「離職票」という。)の交付を希望しないときは、同項後段の規定にかかわらず、離職証明書を添えないことができる。ただし、離職の日において五十九歳以上である被保険者については、この限りでない。
(4項以下は省略)
(5)ア 厚生労働省HPに「雇用保険被保険者離職証明書についての注意」が載っています。
イ 北海道ハローワークHPの「雇用保険被保険者離職証明書」に,記載例として,その1(通常)その2(離職前に休職期間がある場合)その3(離職証明書が1枚で書ききれない場合)及びその4(短期特例被保険者~季節雇用の場合)が載っています。
ウ 高知ハローワークHPの「◎ 資格喪失届(様式4号)被保険者が退職した場合」によれば,出勤簿・タイムカード及び賃金台帳については離職前2年分が必要と書いてあります。
エ 雇用保険に関する業務取扱要領(令和4年10月1日以降)21451-21500は,離職証明書に関する記載です。


8 労働者側の雇用保険に関するメモ書き
(1) 被保険者資格取得時に関するメモ書き
ア 雇用保険法施行規則10条(被保険者証の交付)1項及び2項は以下のとおりです。
① 公共職業安定所長は、法第九条の規定により被保険者となつたことの確認をしたときは、その確認に係る者に雇用保険被保険者証(様式第七号)を交付しなければならない。
② 前項の規定による被保険者証の交付は、当該被保険者を雇用する事業主を通じて行うことができる。
イ リクナビNEXT「「雇用保険被保険者証」とは?【社労士監修】」には以下の記載があります。
    実は平成15年5月以降、ハローワークは「雇用保険被保険者証は労働者に対してハローワークから交付するものであり、事業主が保管すべきものではない」という通知を出しています。
    そのため、本来は入社後すぐに雇用保険被保険者証はもらえるはずなのですが、従来どおりの運用のように会社が保管している場合もあるため、もし手元にない場合は会社に確認してください。
(2) 離職票に関するメモ書き
ア ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」に,雇用保険被保険者証のほか,雇用保険被保険者離職票1及び雇用保険被保険者離職票2の記入例が載っています。
イ 事業主と離職者との間で特定受給資格者又は特定理由離職者に該当するかどうかの争いがある場合,離職者の住居所を管轄しているハローワークが,事業所を管轄しているハローワークの判断を参考として認定を行います(雇用保険に関する業務取扱要領(令和4年10月1日以降)の「一般被保険者の求職者給付」の「第4 所定給付日数」の「50306(6) 特定理由離職者及び特定受給資格者の決定手続」(リンク先の末尾98頁及び99頁)参照)。
ウ 事業主がその者について資格喪失届を提出しないため離職者が確認の請求をして被保険者資格の喪失の確認がなされ,又は職権で被保険者資格の喪失の確認がなされた場合にも,離職者が離職票の交付を請求することができます(雇用保険法施行規則17条1項及び3項のほか,雇用保険に関する業務取扱要領21551(1)参照)
エ 離職票交付の請求は,原則として離職証明書を添えて行うものですが,事業主の所在不明その他やむを得ない理由があるため事業主から離職証明書の交付を受けられない場合は,これを添えずに請求することができます(雇用保険法施行規則17条3項のほか,雇用保険に関する業務取扱要領21551(2)参照)。
(3) 失業保険の受給に関するメモ書き
ア 失業保険を受給するためには,雇用保険被保険者離職票等を持参して住居を管轄するハローワークに行って受給資格の決定を受けて,雇用保険受給者初回説明会に参加し,原則として4週間に1度,失業の認定(失業状態にあることの確認)を受ける必要があります。
イ 失業保険を受給するためには,被保険者期間として,「離職の日以前の2年間で,被保険者期間が通算で12ヶ月以上あること」とされているものの,以下の人は離職日以前1年間に被保険者期間が通算で6ヶ月以上あれば受給可能です。
特定受給資格者:会社の倒産など、会社都合で失業した人
特定理由離職者:結婚に伴う転居や事業所の移転などによる通勤困難などの理由で失業した人
ウ てつづきの美学ブログ「失業手当の初回っていつもらえるの?退職してから振込までの日数を確認」には以下の記載があります。
自己都合で離職した人の場合は、2ヶ月間(※)の給付制限がありますので、初回の失業手当が支給されるのは、ハローワークで手続きをした日(受給資格決定日)から約3ヶ月後(実際に口座に入金されるのは数日後)となります。
(※離職日が2020年9月30日までの方は、給付制限は3ヶ月のため、支給まで期間は受給資格決定日から約4ヶ月後の入金となります。)
(4) 失業保険の受給期間延長に関するメモ書き
ア 失業保険の受給期間延長の申請期限は平成29年4月1日に変更されています(厚生労働省HPの「平成29年4月1日から、雇用保険の基本手当について受給期間延長の申請期限を変更します」参照)ところ,てつづきの美学ブログ「受給期間延長申請書はどこでもらえるの?ハローワークに聞いてみた!」に受給期間延長申請書の画像データが載っています。
イ 東京労働局HPの「求職者給付に関するQ&A」には「(山中注:受給期間延長の)申請期間については、受給資格に係る離職の日の翌日から起算して4年を経過する日までの間(延長後の受給期間が4年に満たない場合は当該期間の最後の日までの間)です」と書いてあります。


(5) 解雇の効力等を争いながら失業保険を受給するための条件
ア 解雇の効力等を争いながら失業保険を受給するための条件は以下のとおりです(雇用保険に関する業務取扱要領(令和4年10月1日付)の「53251(1)確認」(リンク先9頁)参照)。
① 解雇された被保険者が、解雇を不当とする主張を行う場合において、離職証明書び離職票-2の欄外に「労働委員会、裁判所又は労働基準監督機関に申立て、提訴(仮処分の申請を含む。)又は申告中であるが、 基本手当の支給を受けたいので、資格喪失の確認を請求する。」旨を記載し、署名押印又は自筆署名をすること。
② 本人又は事業主が、事業主の行った解雇あるいはこれを正当又は不当とする労働委員会、裁判所、労働基準監督機関の命令、判決又は判定に不服で、これら裁決機関に申立て、提訴(仮処分の申請を含む。)又は申告(上訴の場合を含む。)を行っており、いまだ当該命令、判決又は判定が行われていないこと。
イ リーガレットHPに「失業保険の仮給付を受給するために最低限おさえておくべき8つのポイント」が載っています。
(6) その他

ア ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」が載っています。
イ リーガルライフラボ「特定受給資格者と特定理由離職者の違いは?失業手当との関係はある?」が載っています。
ウ ハローワークインターネットサービス「求人情報検索・一覧」を使えば,全国のハローワークで受理した求人を検索できます。
エ 厚生労働省HPに「失業等給付の受給資格を得るために必要な「被保険者期間」の算定方法が変わります~対象者:離職日が令和2年8月1日以降の方~」及び「2022(令和4)年7月1日から 離職後に事業を開始等した方は雇用保険受給期間の特例を申請できます」が載っています。
オ 社労士黄金旅程ブログに「【記載例】通知書の内容が間違えてる!雇用保険資格取得届の訂正方法は?」が載っていて,雇用保険に関する業務処理要領61頁に「資格取得の確認が誤った事実に基づく届出により行われた旨の申出が事業主からあった場合、事業主が以下の様式の訂正・取消願を提出することにより、訂正・取消を行う。」と書いてあります。


8の2 失業保険の受給期間の延長
(1) ハタラクティブHP「失業保険は延長できる!必要書類や手続きのやり方を詳しく解説」には以下の記載があります。
・ 失業保険の受給期間内(原則離職日の翌日から1年間)であれば、延長は可能です。
    また、この期間中にやむを得ない理由で働けない状態が30日以上続いた場合、ハローワークへの申請によって、最長退職日の翌日から4年以内まで受給期間の延長ができます。
    通常の基本手当の受給期間と合わせて3年分の猶予が与えられるので、求職活動を始める際に生活を支援する支給が受けられるのは、非常にメリットが高いといえるでしょう。
・ 失業保険の受給期間延長を申請する際に注意しておきたいのは、「基本手当がもらえる期間が延びる」のではなく、「働ける状態になるまで基本手当の受給を保留しておくもの」であるということ。
(2) 東京労働局HPの「求職者給付に関するQ&A」には,「Q6 病気のためすぐに働くことができません。どのような手続きが必要ですか?」への回答として以下の記載があります。
A6 離職日の翌日から原則として、1年間である受給期間内に働くことができない状態が30日以上続いた場合は、「受給期間延長」の手続きを行うことで、働くことができない日数を受給期間に加算することができます。
  ◆受給期間の延長ができる理由
  (1)妊娠・出産・育児(3歳未満に限る)などにより働くことができない
  (2)病気やけがで働くことができない(健康保険の傷病手当、労災保険の休業補償を受給中の場合を含む)
  (3)親族等の介護のため働くことができない。(6親等内の血族、配偶者及び3親等以内の姻族)
  (4)事業主の命により海外勤務をする配偶者に同行
  (5)青年海外協力隊等公的機関が行う海外技術指導による海外派遣
  (6)60歳以上の定年等(60歳以上の定年後の継続雇用制度を利用し、被保険者として雇用され、その制度の終了により離職した方を含む)により離職し、しばらくの間休養する(船員であった方は年齢要件が異なります)
  ◆受給期間延長手続きを行う時期
  (1)受給期間の延長理由が(1)から(5)の方…
    離職の日(働くことができなくなった日)の翌日から30日過ぎてから早期に申請
   ※申請期間については、受給資格に係る離職の日の翌日から起算して4年を経過する日までの間(延長後の受給期間が4年に満たない場合は当該期間の最後の日までの間)ですが、受給期間延長の申請が遅い場合は、受給期間延長を行っても基本手当の所定給付日数の全てを受給できない可能性がありますので、30日以上職業に就くことができなくなった場合には、できるだけ早期に延長の申請をお願いします。
  (2)受給期間の延長理由が(6)の方…
    離職の日の翌日から2か月以内
 ※在職中に受給期間延長の申請手続きはできません。 
(3) てつづきの美学ブログ「失業手当の初回っていつもらえるの?退職してから振込までの日数を確認」には以下の記載があります。
自己都合で離職した人の場合は、2ヶ月間(※)の給付制限がありますので、初回の失業手当が支給されるのは、ハローワークで手続きをした日(受給資格決定日)から約3ヶ月後(実際に口座に入金されるのは数日後)となります。
(※離職日が2020年9月30日までの方は、給付制限は3ヶ月のため、支給まで期間は受給資格決定日から約4ヶ月後の入金となります。)
(4) 失業保険の受給期間延長の申請期限は平成29年4月1日に変更されています(厚生労働省HPの「平成29年4月1日から、雇用保険の基本手当について受給期間延長の申請期限を変更します」参照)ところ,てつづきの美学ブログ「受給期間延長申請書はどこでもらえるの?ハローワークに聞いてみた!」に受給期間延長申請書の画像データが載っています。
(5) 厚生労働省HPに「2022(令和4)年7月1日から 離職後に事業を開始等した方は雇用保険受給期間の特例を申請できます」が載っています。



 労働保険事務組合
(1) 中小事業主が労災保険に特別加入する場合,労災保険事務組合に加入する必要があります(労災保険法33条1項1号)。
(2) 労働保険事務組合は,事業主の委託を受けて,事業主が行うべき労働保険の事務を処理することについて,厚生労働大臣の認可を受けた中小事業主等の団体をいいます(労働保険の保険料の徴収等に関する法律33条参照)。
(3) 大阪府にある労働保険事務組合については,大阪労働局HPの「大阪労働局管轄 事務組合名簿」に載っています。
    例えば,大阪弁護士会所属の弁護士の場合,大阪弁護士協同組合(天満労基署の管轄です。)の労働保険事務組合事業を利用することができます(大阪弁護士協同組合HPの「保険事業」参照)。
(4) 厚生労働省HPの「労災保険事務組合制度」には,労働保険事務組合に委託できる業務として以下の記載があります((1)ないし(5)を①ないし⑤に変えています。)。
① 概算保険料、確定保険料などの申告及び納付に関する事務
② 保険関係成立届、任意加入の申請、雇用保険の事業所設置届の提出等に関する事務
③ 労災保険の特別加入の申請等に関する事務
④ 雇用保険の被保険者に関する届出等の事務
⑤ その他労働保険についての申請、届出、報告に関する事務
 なお、印紙保険料に関する事務並びに労災保険及び雇用保険の保険給付に関する請求等の事務は、労働保険事務組合が行うことのできる事務から除かれています

10 雇用調整助成金
(1) 雇用調整助成金は,雇用保険法62条1項1号,並びに雇用保険法施行規則102条の2及び102条の3に基づく制度です。
(2)ア 令和2年4月1日から令和4年11月30日までの間については,緊急対応期間中ということで,雇用調整助成金の特例措置(コロナ特例)が採られていました。
イ 厚生労働省HPの「雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)」には「【事業主の皆さまに、雇用調整助成金を活用し雇用維持に努めて頂けるよう、令和4年11月30日まで特例措置を実施しています】」と書いてあります。
(3) 雇用調整助成金は雇用保険被保険者に対する休業手当を助成するのに対し,緊急雇用安定助成金は雇用保険被保険者以外に対する休業手当を助成するものです。
(4) コロナで休んだ従業員が勤務先から休業手当をもらえなかった場合,新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の対象となることがあります。
(5) 京都府HPに「<労働者向け>新型コロナウイルス感染症に関する支援制度について」が載っています。

11 自由と正義2022年9月号の「労働事件と雇用保険・労災保険・健康保険・厚生年金保険」,及びその訂正記事
(1) 自由と正義2022年9月号の「労働事件と雇用保険・労災保険・健康保険・厚生年金保険」には,「第2版 弁護士・社労士・税理士が書いた Q&A 労働事件と労働保険・社会保険・税金~加入・離職・解雇・未払賃金・労災・非正規雇用・高齢者・障がい者・外国人に関する231問と和解条項例~」に従い,以下の事項が説明されています。
① 離職の場面(退職・解雇・雇止め・破産)
② 傷病・精神疾患による休職(労働災害・私傷病)
③ 出産・育児・介護による休職
④ 非正規労働者の場合の特別な考慮(有期・短時間・派遣労働)
⑤ 高齢者・障害者・外国人の場合の特別な考慮
⑥ 兼業・副業と労災保険・雇用保険・社会保険
⑦ 今後の課題-業務委託・フリーランス労働者への保障
(2) 自由と正義2022年11月号88頁には,自由と正義2022年9月号39頁~40頁の内容を以下のとおり訂正しています。
【訂正前】「雇用保険の基本手当は、離職日の翌日から1年以内(受給期間)の失業している日について、所定給付日数を限度として支給され、離職日翌日から1年が経過してしまうと受給できなくなる。したがって、労務不能状態が継続するようであれば、受給期間の延長の措置を受ける必要がある。」
【訂正後】「雇用保険の基本手当は、離職日の翌日から1年以内(受給期間)の失業している日について、所定給付日数を限度として支給され、離職日翌日から1年が経過してしまうと受給できなくなるのが原則である。ただし、職業に就けない期間(最長3年、60歳以上の定年等により離職ししばらく休養する間は最長1年)について、申請により受給期間の延長措置を受けられる。申請期間は受給期間延長の最終日までだが、受給期間内に所定給付日数が収まるように早めの申請をしていただきたい。」

12 労働保険料の計算サイト
(1) 一般社団法人 全国労働保険事務組合連合会 東京支部HPに「労働保険料計算シミュレーション」が載っています。
(2) 生活や実務に役立つ計算サイトHP「雇用保険料の計算」が載っています。


13 関連記事その他
(1) 大阪労働局HPの「パンフレット・リーフレット等」に「雇用保険のしおり」等が載っています。
(2)ア 社会保険等の手続きをすでに完了していた採用者が入社しなかった場合,事実上の使用関係がないため,入社したとはみなされず,社会保険及び雇用保険の資格取得手続は取り消す必要があります(社会保険労務士法人大野事務所相談室Q&Aの「社会保険関係」参照)。
イ 東京ハローワークHPの「雇用保険関係」雇用保険被保険者資格取得・喪失等届訂正・取消願が載っています。
(3) 日本の人事部HPの「営業譲渡(事業譲渡)に伴う人事担当者手続き確認の件」に,事業譲渡に伴う労働保険及び社会保険の切り替え手続に関する回答が載っています。
(4)ア 最高裁平成11年10月12日判決は,長年にわたり粉じん作業に従事しじん肺及びこれに合併する肺結核にり患した労働者の原発性肺がんによる死亡が労働者災害補償保険法にいう業務上の死亡に当たるとはいえないとされた事例です。
イ 最高裁平成28年7月8日判決は,労働者が,業務を一時中断して事業場外で行われた研修生の歓送迎会に途中から参加した後,当該業務を再開するため自動車を運転して事業場に戻る際に,研修生をその住居まで送る途上で発生した交通事故により死亡したことが,労働者災害補償保険法1条,12条の8第2項の業務上の事由による災害に当たるとされた事例です。
(5)ア 以下の業務は税理士の付随業務ではないため,税理士が行うことはできません(ちからいし社会保険労務士事務所HP「業際について」参照)。
① 労働保険の年度更新ならびにその他の保険料の申告および納付の業務
② 社会保険の算定基礎届および月額変更届に関する業務
③ 雇用保険及び社会保険の被保険者資格の取得および喪失ならびに社会保険の被扶養者の届出に関する業務
④ 労働保険および社会保険の保険給付に関する業務
⑤ 雇用保険の2事業の給付金・助成金等に関する業務
⑥ 就業規則の作成・改正等に関する業務
イ 社会保険労務士による労働争議への介入については,社会保険労務士の業務について(平成28年3月11日付の厚生労働省労働基準局監督課長の通達)に以下の記載があります(1及び2を(ア)及び(イ)に変えています。)。
(ア) 労働争議時において,当事者の一方の行う争議行為の対策の検討,決定等に参与するような相談・指導の業務については,社会保険労務士法第2条第1項第3号の業務に該当することから,社会保険労務士の業務として行うことができること。
(イ) 社会保険労務士が,労働争議時の団体交渉において,①当事者の一方の代理人となって相手方との折衝にあたること,②当事者の間に立って交渉の妥結のためにあっせん等の関与をなすことはできないこと。
(6) 以下の記事も参照してください。
・ 個人事業主の税金,労働保険及び社会保険に関するメモ書き
・ 社会保険に関するメモ書き

今城智徳裁判官(63期)の経歴

生年月日 S59.10.11
出身大学 京大院
定年退官発令予定日 R31.10.11
R5.4.1 ~ 奈良地家裁判事
R3.1.16 ~ R5.3.31 名古屋地裁7民判事
R2.4.1 ~ R3.1.15 名古屋地裁判事補
H29.4.1 ~ R2.3.31 神戸地家裁判事補(弁護士任官・大弁)

*1 日弁連新聞第519号(2017年4月号)の「弁護士任官者の紹介」に新63期の今城智徳裁判官の顔写真が載っています。
*2 以下の記事も参照してください。
・ 弁護士任官者研究会の資料
・ 弁護士任官候補者に関する下級裁判所裁判官指名諮問委員会の答申状況
・ 弁護士任官希望者に関する情報収集の実情
・ 弁護士任官に対する賛成論及び反対論
・ 法曹一元
・ 特例判事補

山口智子裁判官(60期)の経歴

生年月日 S55.4.7
出身大学 京大
定年退官発令予定日 R27.4.7
R6.4.1 ~ 京都地裁3刑判事
R3.4.1 ~ R6.3.31 熊本地裁刑事部判事
H29.9.20 ~ R3.3.31 大阪地裁14刑判事
H29.4.1 ~ H29.9.19 大阪地家裁判事補
H26.4.1 ~ H29.3.31 津地家裁判事補
H24.4.1 ~ H26.3.31 大阪地家裁堺支部判事補
H22.4.1 ~ H24.3.31 大阪法務局訟務部付
H19.9.20 ~ H22.3.31 札幌地裁判事補

*0 昭和39年10月20日生まれの女優の「山口智子」,及び53期の山口智子検事とは別の人です。


*1 以下の記事も参照して下さい。
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部
・ 判事補の外部経験の概要
・ 行政機関等への出向裁判官
・ 判検交流に関する内閣等の答弁
*2 58期の小畑和彦裁判官及び60期の山口智子裁判官は,判例タイムズ1502号(2023年1月号)に「捜査に対する司法審査の在り方等に関する研究[大阪刑事実務研究会]違法収集証拠(覚醒剤事犯における被疑者の留め置き・追尾・押し掛け)」を寄稿しています。
*3 熊本地裁令和6年2月8日判決(裁判長は43期の平島正道)は,令和2年5月から令和4年2月にかけて弁護士として財産管理や遺産分割の交渉などを任される中で,100回以上にわたり金を着服し総額2億3400万円余りを横領した平田秀規 元弁護士(62期)に対し,懲役9年(求刑は懲役10年)を言い渡しました(熊本日日新聞HPの「【速報】平田元弁護士に懲役9年 熊本地裁判決 成年後見人などで2億3千万円横領 」参照)。

赤木明夫裁判官(21期)の経歴

生年月日 S18.11.2
出身大学 京大
退官時の年齢 43 歳
S62.4.1 依願退官
S59.4.1 ~ S62.3.31 宮崎地家裁延岡支部長
S56.4.1 ~ S59.3.31 大阪地裁判事
S54.4.8 ~ S56.3.31 熊本地家裁玉名支部判事
S53.4.1 ~ S54.4.7 熊本地家裁玉名支部判事補
S50.4.1 ~ S53.3.31 大阪地裁判事補
S47.4.10 ~ S50.3.31 秋田地家裁判事補
S44.4.8 ~ S47.4.9 京都地裁判事補

*1 昭和62年に弁護士登録をし,平成4年に赤木明夫法律事務所を開設し,平成23年に赤木・田淵法律事務所に名称変更をし,令和3年に北浜中央法律事務所(大阪市中央区北浜2-6-11 北浜エクセルビル2階)に参加しました(同事務所HPの「客員弁護士 赤木明夫」参照)。
*2 以下の記事も参照してください。
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部

山口修裁判官(29期)の経歴

生年月日 S23.11.20
出身大学 京大
退官時の年齢 33 歳
S57.11.1 依願退官
S55.4.1 ~ S57.10.31 福岡地家裁判事補
S54.4.1 ~ S55.3.31 和歌山地家裁判事補
S52.4.8 ~ S54.3.31 和歌山地裁判事補

*1 昭和57年に弁護士登録をして,令和4年12月現在,山口修法律事務所(和歌山市四番丁37 秋桜舎3階)を経営しています(弁護士情報提供サービスひまわりサーチの「山口 修(やまぐち おさむ) 登録番号18258 弁護士」参照)。
*2 以下の記事も参照してください。
・ 判事補時代に退官した元裁判官507人の名簿(昭和時代及び平成時代)

新宮智之裁判官(54期)の経歴

生年月日 S48.9.18
出身大学 不明
定年退官発令予定日 R20.9.18
R7.4.1 ~ 佐賀地裁民事部部総括
R6.4.1 ~ R7.3.31 大阪高裁5民判事
R2.4.1 ~ R6.3.31 大阪地裁7民判事(租税・行政部)
H29.4.1 ~ R2.3.31 宮崎家地裁判事
H26.4.1 ~ H29.3.31 大阪地裁7民判事(租税・行政部)
H24.4.1 ~ H26.3.31 神戸地家裁社支部判事
H23.10.17 ~ H24.3.31 神戸地家裁姫路支部判事
H23.4.1 ~ H23.10.16 神戸地家裁姫路支部判事補
H21.4.1 ~ H23.3.31 東京地裁判事補
H19.4.1 ~ H21.3.31 厚労省労働基準局勤労者生活部企画課課長補佐
H19.2.15 ~ H19.3.31 最高裁家庭局付
H16.4.1 ~ H19.2.14 和歌山地家裁判事補
H13.10.17 ~ H16.3.31 京都地裁判事補

*1 経歴に関しては以下の記事も参照して下さい。
・ 地方裁判所の専門部及び集中部
・ 判事補の外部経験の概要
・ 行政機関等への出向裁判官
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部
*2の1 修習給付金についての所得税更正処分取消請求事件に関する大阪地裁令和4年12月22日判決(正本認証込みで53頁あります。なお,担当裁判官は51期の徳地淳54期の新宮智之及び新60期の太田章子)は,修習給付金及び修習専念資金の利息相当額は必要経費のない雑所得であると判断した全部棄却判決となりました。
*2の2 修習給付金に関しては以下の記事も参照して下さい。
・ 司法修習生の給費制,貸与制及び修習給付金
・ 修習給付金に関する所得税更正処分取消請求事件の訴状(令和3年5月11日付)
→ 5月11日付の訴状に対する国の反論が書いてある準備書面が,令和3年9月17日付の被告第1準備書面となります。
・ 修習給付金に関する大阪地裁令和4年12月22日判決に対する控訴理由書
・ 修習給付金は必要経費のない雑所得であるとした国税不服審判所令和3年3月24日裁決
・ 判事補の外部経験の概要
・ 行政機関等への出向裁判官
・ 判検交流に関する内閣等の答弁
・ 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に対する衆議院法務委員会の附帯決議

文書事務における知識付与を行うためのツールの改訂版(平成31年3月7日付の配布文書)からの抜粋でありますところ,これによれば,法令の解釈を示す司法行政文書は「通達」ですから,修習給付金案内が法令の解釈を示す司法行政文書ということはできないと思います。


司法修習生に対する修習資金及び修習専念資金の貸与・返済状況等に関するデータの提供について(日弁連事務総長に対する,令和2年11月16日付の最高裁総務局長回答)の別紙です。



*3 31期の瀬木比呂志裁判官が著した絶望の裁判所には以下の記載があります。
(53頁の記載)
   同等のレヴェルのポストにある人物について露骨に差を付けるといった、過去にはあまりみられなかった不自然な人事もある。私のよく知っているある期(前記のとおり、司法研修所修了の「期」)の東京地裁民事と刑事の所長代行に関する人事を例にして説明しよう。一方は裁判官としての実績があり弁護士からもかなり評価されている人物、一方は追随姿勢で取り立てられた中身に乏しい人物であった。ところが、最高裁判所事務総局に対しても自分なりの意見を述べていた前者が遠方の所長に、後者が東京近辺の所長に、それぞれ異動になったのである。この人事については、民事訴訟法学者の間からさえ奇妙だという声が聞かれた。これは一種の見せしめ人事なのであるが、「事務総局の方針に意見など述べず黙って服従しないとこうなるぞ」という脅しの効果は絶大である。なお、「事務総局に逆らうと」といったレヴェルの問題ではないことに注意していただきたい。先の人物も、ただ、「自分の意見を述べた」だけであり、ことさらに逆らってなどいない。
(87頁の記載)
    事務総局の外、つまり現場の裁判官たちとの関係では、事務総局の権力と権威は、そのトップについてはもちろん、総体としても決定的に強大である。
    その結果、先にも記したとおり、傲慢な局長であれば地家裁所長、東京地裁所長代行クラスの先輩裁判官たちにさえ命令口調で接することがありうるし、課長たちの地家裁裁判長たちに対する関係についても、同様のことがいえる。

(91頁の記載)
    事務総局は、裁判官が犯した、事務総局からみての「間違い」であるような裁判、研究、公私にわたる行動については詳細に記録していて、決して忘れない。


太田章子裁判官(60期)の経歴

生年月日 S51.10.18
出身大学 名古屋大院
定年退官発令予定日 R23.10.18
R7.4.1 ~ 法務省民事局参事官
R6.7.22 ~ R7.3.31 大阪地裁2民判事(租税・行政部)
R6.4.1 ~ R6.7.21 大阪地裁19民判事(医事部)
R3.4.1 ~ R6.3.31 大阪地裁7民判事(租税・行政部)
H30.8.1 ~ R3.3.31 最高裁家庭局付
H30.1.16 ~ H30.7.31 東京地裁1民判事
H28.4.1 ~ H30.1.15 東京地裁判事補
H25.4.1 ~ H28.3.31 法務省民事局付
H23.4.1 ~ H25.3.31 千葉地家裁木更津支部判事補
H22.4.1 ~ H23.3.31 津地家裁判事補
H20.1.16 ~ H22.3.31 津地裁判事補

*0の1 平成20年1月16日に津地裁判事補になった時点では「太田章子」という氏名で官報の人事情報欄に載っていて,平成22年4月1日に津地家裁判事補になった時点から平成28年4月1日に東京地裁判事補になった時点までは「合田章子」という氏名で官報の人事情報欄に載っています。
*0の2 平成30年6月27日の最高裁判所の裁判官会議議事録には「太田章子(60)」と書いてあります(リンク先のPDF11頁)。


*1の1 特定非営利活動法人よこはま成年後見つばさHP「最高裁家庭局による説明会議事録~新たに導入される本人情報シートを中心に~」新60期の太田章子の写真が載っています。
*1の2 実践成年後見90号(2021年1月1日発行)に「診断書書式の改定と本人情報シート導入後の実務の状況」を寄稿しています。
*1の3 経歴に関しては以下の記事も参照して下さい。
・ 地方裁判所の専門部及び集中部
・ 判事補の外部経験の概要
・ 行政機関等への出向裁判官
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部


*2の1 修習給付金についての所得税更正処分取消請求事件に関する大阪地裁令和4年12月22日判決(正本認証込みで53頁あります。なお,担当裁判官は51期の徳地淳54期の新宮智之及び新60期の太田章子)は,修習給付金及び修習専念資金の利息相当額は必要経費のない雑所得であると判断した全部棄却判決となりました。
*2の2 修習給付金に関しては以下の記事も参照して下さい。
・ 司法修習生の給費制,貸与制及び修習給付金
・ 修習給付金に関する所得税更正処分取消請求事件の訴状(令和3年5月11日付)
→ 5月11日付の訴状に対する国の反論が書いてある準備書面が,令和3年9月17日付の被告第1準備書面となります。
・ 修習給付金に関する大阪地裁令和4年12月22日判決に対する控訴理由書
・ 修習給付金は必要経費のない雑所得であるとした国税不服審判所令和3年3月24日裁決
・ 判事補の外部経験の概要
・ 行政機関等への出向裁判官
・ 判検交流に関する内閣等の答弁
・ 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に対する衆議院法務委員会の附帯決議

文書事務における知識付与を行うためのツールの改訂版(平成31年3月7日付の配布文書)からの抜粋でありますところ,これによれば,法令の解釈を示す司法行政文書は「通達」ですから,修習給付金案内が法令の解釈を示す司法行政文書ということはできないと思います。


司法修習生に対する修習資金及び修習専念資金の貸与・返済状況等に関するデータの提供について(日弁連事務総長に対する,令和2年11月16日付の最高裁総務局長回答)の別紙です。



*3 31期の瀬木比呂志裁判官が著した絶望の裁判所には以下の記載があります。
(53頁の記載)
   同等のレヴェルのポストにある人物について露骨に差を付けるといった、過去にはあまりみられなかった不自然な人事もある。私のよく知っているある期(前記のとおり、司法研修所修了の「期」)の東京地裁民事と刑事の所長代行に関する人事を例にして説明しよう。一方は裁判官としての実績があり弁護士からもかなり評価されている人物、一方は追随姿勢で取り立てられた中身に乏しい人物であった。ところが、最高裁判所事務総局に対しても自分なりの意見を述べていた前者が遠方の所長に、後者が東京近辺の所長に、それぞれ異動になったのである。この人事については、民事訴訟法学者の間からさえ奇妙だという声が聞かれた。これは一種の見せしめ人事なのであるが、「事務総局の方針に意見など述べず黙って服従しないとこうなるぞ」という脅しの効果は絶大である。なお、「事務総局に逆らうと」といったレヴェルの問題ではないことに注意していただきたい。先の人物も、ただ、「自分の意見を述べた」だけであり、ことさらに逆らってなどいない。
(87頁の記載)
    事務総局の外、つまり現場の裁判官たちとの関係では、事務総局の権力と権威は、そのトップについてはもちろん、総体としても決定的に強大である。
    その結果、先にも記したとおり、傲慢な局長であれば地家裁所長、東京地裁所長代行クラスの先輩裁判官たちにさえ命令口調で接することがありうるし、課長たちの地家裁裁判長たちに対する関係についても、同様のことがいえる。

(91頁の記載)
    事務総局は、裁判官が犯した、事務総局からみての「間違い」であるような裁判、研究、公私にわたる行動については詳細に記録していて、決して忘れない。


上告不受理決定等と一緒に送られてくる予納郵券に関する受領書

目次
1 総論
2 予納郵便切手の返却時の取扱い
3 最高裁は受領書の提出を督促していないこと
4 関連記事その他

1 総論
(1)ア 簡易書留により郵送される最高裁判所の封筒(サイズは長形3号であり,上告不受理決定が入ってあります。)には,上告受理申立てに際して提出した予納郵券のほか,郵便切手内訳表が右上に記載された返還書兼受領書が一緒に入っています。
    しかし,以前は封筒及び受領書にFAX番号が書いていないため,最高裁判所に対して,FAXにより受領書を提出することができませんから,最高裁判所に対して受領書を提出する場合,持参又は郵送する必要がありました。
イ 特別抗告棄却決定についても同じ取扱いになっていました。
(2) 私の経験では,令和4年12月15日付の特別抗告棄却決定と一緒に入っていた返還書兼受領書にはFAX番号が書いてありました。


2 予納郵便切手の返却時の取扱い
(1) 予納郵便切手の取扱いに関する規程(昭和46年6月14日最高裁判所規程第4号)7条は以下のとおりです。
① 訟廷管理官又は主任書記官は、その保管する予納郵便切手について返還すべき事由が生じたときは、これを返還を受けるべき者に交付し、その者から受領書を受け取らなければならない。
② 主任書記官は、所在不明その他の理由により予納郵便切手を返還することができないときは、これを訟廷管理官に引き継がなければならない。
(2) 予納郵便切手の取扱いに関する規程の運用について(平成7年3月24日付の最高裁判所事務総長の通達)には「主任書記官は,予納郵便切手を郵便により送付して返還するときは,返還を受ける者に予納郵便切手及び返還書とともに受領書の用紙を送付し,これに所要の事項を記載させた上提出させる。」と書いてあります。


3 最高裁は受領書の提出を督促していないこと
(1) 令和3年10月18日付の最高裁判所事務総長の理由説明書には以下の記載があります。
 最高裁判所の書記官が訴訟関係人に対し,予納郵便切手を返還したにもかかわらず,受領書を受け取ることができなかった場合の対応は,書記官が個別に検討し,対応しているところ,その際には高等裁判所事務局長等宛ての事務連絡(平成18年2月24日付け最高裁判所事務総局総務局第三課長及び同家庭局第一課長事務連絡「「郵券通達等の改正の概要について」等の送付について」)を参考にするなどして処理しており,改めて最高裁判所の書記官に対して訴訟関係人から受領書を受け取ることができなかった場合の取扱いを記載した文書を作成又は取得せずども,何ら支障は生じない
(2) 郵券通達等の改正の概要について(平成18年2月24日付の最高裁判所総務局第三課長及び家庭局第一課長の事務連絡)には以下の記載があります。
c 受領書の提出状況の記載について
 従前,郵送により郵券を返還した場合において,受領書を得られないときは,郵券管理簿の「受領印」欄にその理由を記載し,押印することとされており(旧通達記第6の1の(3)のイただし書),その前提として,受領書の提出を受けた場合には,郵券管理簿の「受領印」欄に斜線を引く取扱いがされていた。
 この点,従前から受領書の提出がない場合に受領書の提出の督促や受領者に対する受領の確認までは必要とされておらず,帳簿により受領書の提出状況を把握する必要性は低いと考えられることから,今後は,管理袋に特段の記載をすることを要しないこととした。


4 関連記事その他
(1) 予納郵券額6074円というのは,大阪地裁民事訟廷事務室事件係(本館1階)に上告状を提出する場合(控訴審としての大阪地裁の判決に対して大阪高裁に上告する場合)の切手の組み合わせであります(大阪地裁HPの「民事訴訟等手続に必要な郵便切手一覧表」参照)ところ,大阪高裁民事訟廷事務室事件係(別館10階)に上告受理申立書を提出する場合にも使えます。
(2) 今井功弁護士(平成16年12月から平成21年12月までの間,最高裁判所判事)は,自由と正義2013年6月号13頁において以下のとおり書いています。
  民事事件は,各小法廷で年間1,000件を超えているから,各事件につき,判決書を作成して署名押印し,いちいち法廷を開いて言渡しをすることは,大変な無駄である。旧法時代は,弁論が開かれない上告棄却判決の多くは,傍聴人のいない法廷で,言渡しがされており,当時多くの裁判官から何とかならないかといわれていたものである。
(3)ア 以下の資料を掲載しています。
・ 調書決定事務処理要領(平成27年4月1日付)
・ 大阪高裁民事部の主任決議集(令和3年3月15日改訂)
・ 高等裁判所における上告提起事件及び上告受理申立て事件の処理について
→ 上告審から見た書記官事務の留意事項(令和3年分)に含まれている資料です。
イ 以下の記事も参照して下さい。
・ 上告審に関するメモ書き
・ 最高裁の既済事件一覧表(民事)
・ 最高裁の破棄判決等一覧表(平成25年4月以降の分),及び最高裁民事破棄判決等の実情
・ 最高裁判所に係属した許可抗告事件一覧表(平成25年分以降),及び許可抗告事件の実情

・ 最高裁判所事件月表(令和元年5月以降)
・ 2000円の印紙を貼付するだけで上告受理申立てをする方法
・ 控訴審に関するメモ書き
・ 最高裁判所調査官
・ 最高裁判所判例解説

内田健太裁判官(66期)の経歴

生年月日 S63.3.8
出身大学 一橋大院
退官時の年齢 34歳
R4.9.30 依願退官
R3.4.1 ~ R4.9.29 福岡家地裁小倉支部判事補
H31.4.1 ~ R3.3.31 札幌地家裁判事補
H29.4.1 ~ H31.3.31 村松法律事務所(札幌弁)
H29.3.25 ~ H29.3.31 札幌地裁判事補
H28.4.1 ~ H29.3.24 大阪地家裁判事補
H26.1.16 ~ H28.3.31 大阪地裁判事補

*1 令和4年10月18日,札幌弁護士会で弁護士登録をして,弁護士職務経験判事補をしていた村松法律事務所(札幌市中央区北2条西9丁目インファス5階)に入所しました(同事務所HPの「弁護士 内田健太」参照)。
*2 以下の記事も参照してください。
・ 裁判官の退官情報
・ 判事補時代に退官した元裁判官の名簿(令和時代)
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部
・ 判事補及び検事の弁護士職務経験制度
・ 判事補の外部経験の概要


北秀昭裁判官(30期)の経歴

生年月日 S26.7.21
出身大学 大阪市大
退官時の年齢 36 歳
S63.4.7 任期終了
S60.4.1 ~ S63.4.6 東京地裁判事補
S57.4.5 ~ S60.3.31 奈良地家裁判事補
S53.4.7 ~ S57.4.4 大阪地裁判事補

*0 昭和63年4月に東京弁護士会で弁護士登録をして,平成25年12月に北秀昭法律事務所を設立しました(筑波大学法科大学院HPの「北秀昭教授略歴(2016年9月末現在)」参照)。
*1 以下の記事も参照してください。
・ 判事補時代に退官した元裁判官507人の名簿(昭和時代及び平成時代)
*2の1 東京地裁昭和62年8月7日判決(担当裁判官は14期の生島三則30期の北秀昭及び37期の尾島明(ただし,填補のため署名押印せず。)。判例秘書に掲載。)は,昭和56年8月13日にロサンゼルスのホテルで発生した保険金目的の殺人未遂事件に関して昭和60年9月11日に愛人と一緒に逮捕された被告人に対し,懲役6年の判決を下しました(東京高裁平成6年6月22日判決(担当裁判官は12期の佐藤文哉15期の木谷明及び24期の平弘行。判例秘書に掲載)は被告人の控訴を棄却しました。)。
    なお,自白した愛人は東京地裁昭和61年1月8日判決(担当裁判官は10期の柴田孝夫31期の林秀文及び36期の渡邉弘)により懲役2年6月の実刑となりました。
*2の2 東京地裁昭和62年8月7日判決を掲載している判例タイムズ650号(昭和63年1月1日付)257頁には以下の記載があります。
    本件は、いわゆるロス疑惑としてジャーナリズムがいろいろな形で報道を繰り返した一連の事件のうち、被告人三浦和義に対する「一美さん殴打事件」(殺人未遂被告事件)の第一審判決である。
    事件の概要は、周知のとおり、被告人が保険金目当てに一美を殺害しようとして矢沢美智子を犯行に誘い入れ,同女と共謀のうえ、ロスアンゼルスのホテルの一室において、矢沢がハンマーようの凶器で一美の背後からその頭部を殴打したが殺害するには至らなかったという事案である。
(中略)
    被告人は当初から矢沢との共謀を否定し、矢沢が単独で一美に対し暴行に及んだものであると主張したため、被告人から一美殺害を依頼されたとする矢沢の供述の信用性が本件審理の焦点とされた。
*2の3 37期の尾島明裁判官は,令和4年7月5日の最高裁判所判事就任記者会見において以下の発言をしています(裁判所HPの「尾島明最高裁判事就任記者会見の概要」参照。改行を追加しています。)。
    私は、昭和60年、1985年の4月に判事補に任官して、東京地裁刑事部に配属されましたが、その後すぐに私のいた部に、その当時世間を大いに騒がせていた殺人未遂事件が係属したのです。
    これは、夫がその愛人と共謀して妻を保険金目的で殺害しようとして、外国のホテルに滞在中、その愛人がハンマーのような凶器で妻を殴って殺そうとしたという完全否認の事件でありました。
    マスメディアは大騒ぎで、毎回公判に傍聴希望者が3000人以上集まるというものでした。
    私は左陪席の裁判官として判決に至るまでこの事件に関わって、証拠の見方、事実認定の仕方だけでなくて、こういう事件の審理の仕方、手続の進め方、弁護人や検察官との対応、傍聴、広報、警備等についての事務局との連携など、刑事裁判の基本とそれから裁判は裁判官だけでするものではないことなどを実地に学ぶことができました。
    それは新人裁判官にとっては忘れることのできない強烈な体験でございました。

栗原洋三裁判官(39期)の経歴

生年月日 S32.9.9
出身大学 不明
退官時の年齢 65歳
R4.9.9 定年退官
H30.4.1 ~ R4.9.8 横浜家地裁相模原支部判事
H27.4.1 ~ H30.3.31 横浜地家裁小田原支部判事
H24.4.1 ~ H27.3.31 東京高裁21民判事
H21.4.1 ~ H24.3.31 静岡地家裁沼津支部判事
H18.4.1 ~ H21.3.31 横浜地裁判事
H14.4.1 ~ H18.3.31 横浜家地裁横須賀支部判事
H10.4.1 ~ H14.3.31 東京地家裁八王子支部判事
H9.4.10 ~ H10.3.31 東京地裁判事
H7.4.1 ~ H9.4.9 東京地裁判事補
H4.4.1 ~ H7.3.31 高松法務局訟務部付
H1.4.1 ~ H4.3.31 東京地家裁八王子支部判事補
S62.4.10 ~ H1.3.31 名古屋地裁判事補

* 以下の記事も参照してください。
・ 判事補の外部経験の概要
・ 行政機関等への出向裁判官
・ 判検交流に関する内閣等の答弁
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部