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「企業内転勤」の在留資格――グループ会社間異動の該当範囲と「企業内転勤2号」の新設(AI作成)

第1 この記事が扱う対象

1 検討の対象と時点

「企業内転勤」は,出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)別表第一の二に定める在留資格の一つであり,外国にある事業所から本邦にある事業所へ期間を定めて転勤する外国人を対象とする。

外資系企業やグループ会社が,海外の親会社・子会社・関連会社の職員を日本法人へ出向・転勤させる場面で用いられることが多い在留資格である。

本記事は,令和8年8月22日現在で確認できる入管法及び上陸基準省令の条文,出入国在留管理庁が公表する運用資料,国会審議の内容,並びに令和9年4月1日に施行が予定されている改正内容に基づき,この在留資格の該当範囲及び上陸許可基準を整理するものである。

出入国在留管理庁が作成した内部の審査基準である「入国・在留審査要領」(令和8年4月開示文書)第12編第2章第16節は,本記事が扱う在留資格の審査実務を最も詳細に記載した一次資料である。

当該文書は,出入国在留管理庁作成の「入国・在留審査要領」(令和8年4月の開示文書)で全編を掲載しているので,個別の条文や運用の詳細を原文で確認したい場合はそちらを参照されたい。

2 この記事の位置付け

以下では,まず在留資格の定義と平成元年改正による新設の経緯を確認し(第2),上陸許可基準の内容を条文に即して整理する(第3)。

次に,グループ会社間の出向・転籍を計画する法務担当者が最も判断に迷う,「転勤」に該当する会社間関係の範囲を審査要領に即して具体的に整理し(第4),本邦内で勤務先が変わる場合の取扱い(第5)を確認する。

さらに,出向発生時に必要となる届出義務(第6),在留期間の運用とその変遷(第7),令和9年4月1日に施行が予定されている「企業内転勤2号」の新設(第8),資格外活動・在留資格取消しのリスク(第9)を扱った上で,この在留資格に関する裁判例の状況(第10)を紹介する。

第2 「企業内転勤」とは何か

1 入管法上の定義

入管法別表第一の二の「企業内転勤」の項の下欄は,本邦において行うことができる活動を次のとおり定めている。

「本邦に本店,支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動」。

すなわち,企業内転勤の在留資格で行うことができる活動そのものは,「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に係る活動と同一であり,両者の違いは,同一企業等の内部で海外の事業所から転勤してきた者として,本邦において期間を定めて(一定期間に限られて)勤務する点にある。

出入国在留管理庁の審査要領は,この在留資格を「企業活動の国際化に対応し,人事異動により外国の事業所から本邦の事業所に転勤する外国人を受け入れるために設けられたもの」と説明している。

2 平成元年改正による新設の経緯

「企業内転勤」は,出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律(平成元年法律第79号,同年12月15日公布,平成2年6月1日施行)により新設された在留資格である。

国会審議において,法務省入国管理局長であった股野景親政府委員は,「まず,『企業内転勤』という新しい在留資格を設けておりますが,これは必ずしも従来の四—一—一六—三というカテゴリーの中で考えられたものではなくて,新しくこういう発想法をもって,本邦とそれから外国との間の転勤ということについての在留資格というものを設けたという点が新しい着想でございます」と答弁しており,改正前の法4条1項16号(法務大臣が個別に在留を認める包括的カテゴリー)の単純な拡充ではなく,新たな発想に基づいて創設された資格であることが確認できる。

制度創設の当初,濫用(低賃金労働者の受入れの抜け道になるのではないか)への懸念が国会でたびたび示された。

これに対し股野局長は,「企業内転勤というものの在留資格は,その直前にございますところの技術,または人文知識・国際業務の項の活動ということと同じ内容のものとされております。そうしますと,これはすなわち,その人の技術ないし知識の程度というものがもう一定水準以上のものであるということが要件として求められているということがございますので,そこでただいま御指摘のような単純作業に属するような方たちというものはここには該当してこない」と答弁し,技術・人文知識・国際業務と同水準の要件を課すこと自体が濫用防止の歯止めになるとの説明を一貫して行った。

制度創設段階の想定では,法務省大臣官房審議官であった米澤慶治政府委員が「三年を超えない範囲内に限って日本に転勤してきて日本で活躍され」ることを前提とした基準を検討していると答弁しており,当初は3年以内の短期転勤が想定されていた点が注目される。

もっとも,現行の運用(在留期間の考え方は第7で扱う。)は,この当初の想定より緩やかなものになっている。

3 他の在留資格との関係

企業内転勤者が企業の経営又は管理に従事する場合には,「経営・管理」の在留資格に該当する。

「経営・管理」の在留資格自体の上陸許可基準は,「経営・管理」の在留資格――令和7年10月16日改正後の上陸許可基準で整理しているので,あわせて参照されたい。

企業内転勤で行うことができる活動が「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に係る活動と同一であることは第2の1で述べたとおりであり,専攻科目と業務内容との関連性の考え方など,活動内容自体の該当性判断は,「技術・人文知識・国際業務」の在留資格――上陸許可基準と専攻・業務関連性の審査実務で整理した内容がそのまま妥当する。

また,転勤しようとする外国人が後記第3の1の要件(転勤直前の1年以上の継続勤務)を満たさない場合であっても,「技術・人文知識・国際業務」自体の上陸許可基準に適合するのであれば,企業内転勤ではなく「技術・人文知識・国際業務」の在留資格をもって入国することが可能である。

審査要領は,企業内転勤の基準に適合しない申請について,従事しようとする業務内容が「技術・人文知識・国際業務」にも該当し得ないときを除き,直ちに不交付処分とすることなく,「技術・人文知識・国際業務」の在留資格該当性を確認した上で,当該在留資格による上陸のための条件への適合性を審査するとしている。

第3 上陸許可基準

上陸基準省令(出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令,平成2年法務省令第16号)は,「企業内転勤」の項の下欄に掲げる活動の基準として,次の2要件を定めている。

1 転勤直前の継続勤務要件(第1号)

第1号は,「申請に係る転勤の直前に外国にある本店,支店その他の事業所において法別表第一の二の表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる業務に従事している場合で,その期間(企業内転勤の在留資格をもって外国に当該事業所のある公私の機関の本邦にある事業所において業務に従事していた期間がある場合には,当該期間を合算した期間)が継続して一年以上あること」を要件とする。

審査要領によれば,ここでいう業務は「技術・人文知識・国際業務」の項下欄に規定する業務であれば足り,転勤後に本邦で従事する業務と同一又は関連する業務であることまでは必要とされていない。

他方,転勤の直前に1年以上継続して勤務していたことが必要であり,これは,外国企業が本邦における労働力を確保する目的だけのために,何ら在留資格「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務を行ったことがない新規採用職員を本邦に転勤させることを防止する趣旨とされている。

この1年要件については,転勤元の会社と,実際に外国人が1年以上勤務していた会社が異なる場合の取扱いが実務上重要である。

審査要領は,外国人が働いていた会社が転勤元と業務上及び資本関係等密接な関連を持つケース,すなわち同種の業務を行っている子会社や関連会社であって人事異動等が一体的に行われることが可能な程度の関係を持っている場合には,転勤元に籍を置いて1年以上勤務したことがなくとも,当該子会社や関連会社での勤務実績を合算して継続して1年以上あれば基準に適合すると取り扱って差し支えないとしている。

したがって,グループ内で複数の海外拠点を経由してきた人材であっても,その経由先が転勤元と密接な資本関係にある限り,通算した在職期間で1年要件を満たすことができる。

2 報酬要件(第2号)

第2号は,「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること」を要件とする。

学歴又は実務経験に関する要件は,企業内転勤自体の基準としては課されていない。

この点は,「技術・人文知識・国際業務」の上陸許可基準(学歴要件又は10年以上の実務経験)が,企業内転勤の場合には,転勤元での1年以上の当該業務従事歴という別の形で代替されていると理解することができる。

第4 「転勤」に該当するグループ会社間異動の範囲

入管法別表第一の二の条文にいう「転勤」は,通常は同一会社内の異動を意味するが,審査要領は,系列企業内の出向等もこれに含まれるとしている。

ここでいう「親会社」,「子会社」及び「関連会社」は,財務諸表等の用語,様式及び作成方法に関する規則(昭和38年大蔵省令第59号)8条の定義による。

外資系企業やグループ会社間の出向を計画する法務担当者にとって,どの範囲の会社間異動が「企業内転勤」に該当するかは,実務上最も重要な判断ポイントである。

1 本店・支店間の異動

本店(本社)と支店(支社,営業所)の間の異動は,企業内転勤の対象となる。

2 親会社・子会社間の異動

親会社と子会社の間の異動も対象となる。

財務諸表等規則8条3項にいう「子会社」(他の会社等の意思決定機関を支配している会社を「親会社」,当該他の会社等を「子会社」という。)に加え,親会社又は子会社が別の会社等の意思決定機関を支配している場合における当該別の会社等,いわゆる「孫会社」も,みなし子会社として親会社の子会社に含まれる。

審査要領は,孫会社の子会社(親会社から見た「曾孫会社」)についても,縦の位置関係の移動(親会社又は子会社と曾孫会社の間の異動)は企業内転勤に該当するとしつつ,曾孫会社間の異動自体は対象外としている。

ただし,親会社が孫会社・曾孫会社まで一貫して100%出資している場合には,曾孫会社も子会社とみなすことができるため,曾孫会社間の異動及び孫会社と曾孫会社間の異動も対象となる。

3 子会社間・関連会社への異動とその限界

子会社間の異動については,審査要領が「近年企業の分社化が進んでいる状況を考慮し,親会社と一体性を有するものとして」対象化する旨を明記している。

孫会社間の異動及び子会社と孫会社の間の異動も,同様の理由で対象となる。

関連会社への異動も対象となる。

「関連会社」とは,会社(当該会社が子会社を有する場合には当該子会社を含む。)が,出資,人事,資金,技術,取引等の関係を通じて,子会社以外の他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる場合における当該子会社以外の他の会社等をいう(財務諸表等規則8条5項)。

もっとも,審査要領は,関連会社間の異動,及び親会社と子会社の関連会社との間の異動は,企業内転勤の対象とはしないと明記している。

子会社・孫会社を介した垂直方向の異動は幅広く対象化されている一方,関連会社を介した水平方向・迂回的な異動は対象外とされている点に注意が必要である。

第5 本邦内で勤務先が変わる場合の取扱い

企業内転勤は,外国にある事業所から本邦にある同一企業又は同一企業グループ内の事業所(審査要領のいう「当該事業所」)に転勤することを内容とする在留資格であるため,本邦内で勤務先を変更し,当初の事業所とは異なる事業所に勤務することとなった場合(審査要領のいう「更なる転勤」)は,原則として在留資格該当性を喪失する。

もっとも,審査要領は,この「更なる転勤」を,転勤元の外国事業所が何ら関与することなく,転勤先である本邦の事業所が単独で判断(出向契約等において人事権が転勤元の外国事業所から転勤先の本邦事業所に移譲されている場合など)した異動に限定して理解している。

すなわち,外国にある事業所の関与の下で,帰国することなく本邦の同一企業内の別の事業所へ新たに転勤させることまでは否定されていない。

したがって,本邦にある事業所の単独の命令によって同一企業内の別の事業所に転勤する場合は在留資格該当性が認められないが,転勤元の外国事業所の最終的な判断による命令(転勤命令が本邦の事業所と転勤元の事業所の連名であること,又は転勤元の事業所の承認があることなど,転勤元の関与が確実である場合を含む。)による異動であれば,帰国を経ない直接の異動であっても,その実質は転勤元の事業所からの転勤と変わらないとして,在留資格該当性が認められる。

他方,転勤元と転勤先の変更が同時期に生じる場合について,転勤先の変更が転勤元の変更(すなわち転職)に伴って発生しているときは,表見上は新たな転勤関係が生じたように見えても,転職元からの転勤とはいえないため,在留資格該当性は認められないとされている。

第6 出向発生時の届出義務

企業内転勤の在留資格保持者を含め,グループ会社への在籍出向等により所属機関に変更が生じる場合,入管法上の届出義務を怠ると,法務担当者にとって見落としやすいリスクとなる。

入管法19条の16第1号は,「企業内転勤」を含む一定の在留資格をもって在留する外国人について,それぞれの在留資格に応じた活動を行う機関(活動機関)の変更に係る届出を義務付けている。

出入国在留管理庁が公表するQ&Aは,「A企業と雇用契約を結ぶ外国人がその雇用契約を維持したまま,B企業に出向することになった場合,届出が必要ですか」との問いに対し,「必要です」と回答している。

届出の期限は,出入国在留管理庁の運用上,変更が生じた日から14日以内とされており,届出方法は出入国在留管理庁電子届出システム,地方出入国在留管理局窓口又は東京出入国在留管理局への郵送のいずれかによる。

第7 在留期間の運用とその変遷

企業内転勤の在留期間は,5年,3年,1年又は3月のいずれかが決定される。

審査要領上の決定基準の骨子は,届出義務の履行状況,学齢期の子の就学状況,契約機関のカテゴリー区分(受入れ機関の規模等に応じてカテゴリー1から4に区分される。),及び就労予定期間を総合考慮するというものであり,カテゴリー1又は2に該当する契約機関に所属する場合や,3年若しくは5年の在留期間の決定を受けて引き続き3年以上企業内転勤の活動を行っている場合には,5年の在留期間が決定され得る。

第2の2で述べたとおり,制度創設段階の政府説明は「三年を超えない範囲内」の転勤を想定したものであった。

これに対し,出入国在留管理庁が公表する現行のQ&A(令和8年7月版)は,「『企業内転勤』の在留資格で活動できる期間の目安は何年間ですか」との問いに対し,「入管法上,『企業内転勤』は,『期間を定めて』転勤するものであり,無期限に在留が認められるものではありません。そのため,例えば,『企業内転勤』の在留資格で5年を超えるような長期間の在留を希望する場合は,その必要性等について慎重に審査することになります」と回答している。

すなわち,5年を超える在留についても個別の必要性次第で認められ得るという運用であり,制度創設当初の想定より運用が緩やかになっていることがうかがえる。

第8 令和9年4月施行予定の「企業内転勤2号」

出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律(令和6年法律第60号,令和6年6月21日公布)は,技能実習制度を廃止して育成就労制度を創設することを主眼とする改正法であるが,これとあわせて,入管法別表第一の二「企業内転勤」の項の下欄に第2号を新設し,「企業内転勤2号」という区分を設けている。

出入国在留管理庁が公表する改正法の概要資料は,この新設について「一定基準に適合する企業の外国事業所の職員が技能等を修得するための『企業内転勤2号』の在留資格を創設」するものと説明している。

従来の企業内転勤(下欄第1号相当,第2から第7までで扱った内容)が,海外の事業所で既に一定水準の業務に従事していた職員を本邦で就労させるための在留資格であるのに対し,新設される第2号は,技能等の修得,すなわち人材育成を目的とする点で性質を異にする。

受入れ機関側の基準は,出入国管理及び難民認定法別表第一の二の表の企業内転勤の項の下欄第二号に規定する公私の機関の基準を定める省令(法務省令第46号,令和7年9月30日公布)で定められている。

同省令は,受入れ機関(公私の機関)について,①外国にある事業所の常勤の職員及び企業内転勤2号の活動を行う外国人を除いた常勤の職員の総数が20人以上であること,②本邦にある事業所において企業内転勤2号の活動を行う外国人の数が,当該常勤職員総数の20分の1を超えないことという2つの基準を定めている。

企業内転勤2号は,一定規模以上の受入れ機関において,全従業員に対する一定割合の範囲内でのみ利用できる制度として設計されていることになる。

同省令の附則は,「この省令は,出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律の施行の日(令和九年四月一日)から施行する」と定めている。

この施行日は,同じ改正法による育成就労制度の施行日と一致しており,企業内転勤2号は,技能実習制度の見直しと歩調を合わせて導入される制度であることがうかがえる。

本記事の執筆時点(令和8年8月)では,企業内転勤2号はいまだ施行されておらず,従来の企業内転勤(第1号相当)の要件・運用が適用される。

外資系企業・グループ会社の法務担当者としては,海外拠点の職員を日本で育成する目的の受入れを検討する場合,施行後に利用可能となるこの新区分の動向を注視する必要がある。

第9 資格外活動・在留資格取消しのリスク

企業内転勤の在留資格で在留する外国人が,在留資格に対応しない業務に専ら従事した場合は,入管法上の資格外活動(同法24条4号イ)に該当し,退去強制手続の対象となり得る。

また,入管法22条の4第1項6号は,在留資格の取消し事由として,「別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者が,当該在留資格に応じ同表の下欄に掲げる活動を継続して三月…以上行わないで在留していること(当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除く。)」を定めている。

3か月という期間は,出向元への一時帰任,事業の一時的な休止,本邦内での転籍手続の遅延といった場面で現実に問題になり得る期限であり,正当な理由なくこの期間を超えて活動を行わないまま在留を続けると,在留資格の取消し対象になり得る点に留意を要する。

第6で述べた所属機関等に関する届出義務(入管法19条の16)を怠った場合,20万円以下の罰金の対象となり,虚偽の届出をした場合は1年以下の拘禁刑又は20万円以下の罰金の対象となる。

グループ会社間で頻繁に人事異動が生じる企業ほど,届出漏れのリスクが累積しやすい点に注意が必要である。

第10 裁判例の状況

裁判所ウェブサイトの裁判例検索において,「企業内転勤」という語を含む裁判例を全文検索したところ,最高裁判所,高等裁判所,下級裁判所(速報),行政事件,労働事件及び知的財産事件のいずれのカテゴリーにも該当する裁判例は見当たらなかった。

対照として,同じ検索方法で「技術・人文知識・国際業務」を検索すると複数件がヒットすることから,検索の仕組み自体は機能しており,企業内転勤の該当性又は基準適合性そのものを正面から争った公刊の裁判例が乏しいという結果自体が,一定の意味を持つと考えられる。

この事情の背景には,在留資格の不許可・不交付処分に対して行政訴訟にまで至る例が少なく,多くは再申請等の行政手続内で処理されているという実務上の傾向がある可能性が考えられるが,これを裏付ける統計資料までは確認できていない。

裁判所ウェブサイトの裁判例検索は,掲載されている裁判例がすべてを網羅するものではない旨を自ら注記しており,裁判所ウェブサイトに見当たらないことをもって先例が存在しないと直ちに評価することはできない点にも留意が必要である。

出典・参考資料

1 法令

出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)別表第一の二,19条の16,22条の4,24条(e-Gov法令検索)
出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令(平成2年法務省令第16号)「企業内転勤」の項(e-Gov法令検索)
財務諸表等の用語,様式及び作成方法に関する規則(昭和38年大蔵省令第59号)8条(e-Gov法令検索)
出入国管理及び難民認定法別表第一の二の表の企業内転勤の項の下欄第二号に規定する公私の機関の基準を定める省令(法務省令第46号,令和7年9月30日)(出入国在留管理庁)

2 公的資料

在留資格「企業内転勤」(出入国在留管理庁)
就労資格の在留諸申請に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)(令和8年7月版)Q44(出入国在留管理庁)
所属機関に関する届出(入管法第19条の16第1号及び第2号)について(出入国在留管理庁)
改正法の概要(育成就労制度の創設等)(出入国在留管理庁)
⑤出入国在留管理庁「入国・在留審査要領」(令和8年4月開示文書)第12編第2章第16節(山中弁護士ブログ掲載版

3 国会会議録

第116回国会参議院法務委員会第1号(平成元年11月30日)股野景親法務省入国管理局長答弁(国立国会図書館国会会議録検索システム)
同第116回国会参議院法務委員会第1号股野景親法務省入国管理局長答弁(同上)
第116回国会衆議院法務委員会第4号(平成元年11月17日)米澤慶治法務省大臣官房審議官答弁(国立国会図書館国会会議録検索システム)