弁護士山中理司

小原一人裁判官(48期)の経歴

生年月日 S43.7.24
出身大学 法政大
定年退官発令予定日 R15.7.24
R5.5.20 ~ 東京地裁19民部総括(労働部)
R5.4.1 ~ R5.5.19 東京高裁判事
R4.4.1 ~ R5.3.31 法務省大臣官房審議官(訟務局担当)
H31.4.1 ~ R4.3.31 法務省訟務局訟務企画課長
H29.4.1 ~ H31.3.31 札幌高裁3民判事
H27.4.10 ~ H29.3.31 法務省訟務局訟務支援管理官
H26.4.1 ~ H27.4.9 法務省大臣官房財産訟務管理官
H23.4.1 ~ H26.3.31 法務省大臣官房参事官(訟務担当)
H21.4.1 ~ H23.3.31 名古屋家地裁豊橋支部判事
H18.4.11 ~ H21.3.31 東京地裁判事
H17.5.1 ~ H18.4.10 東京地裁判事補
H15.4.1 ~ H17.4.30 那覇地家裁石垣支部判事補
H13.4.1 ~ H15.3.31 東京地裁判事補
H10.4.1 ~ H13.3.31 東京法務局訟務部付
H10.3.27 ~ H10.3.31 東京地裁判事補
H8.4.11 ~ H10.3.26 札幌地裁判事補

*1 以下の記事も参照してください。
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部
・ 判事補の外部経験の概要
・ 行政機関等への出向裁判官
・ 判検交流に関する内閣等の答弁
*2 「裁判官になるには」(2009年5月1日付)に「裁判官は新人でも独立 一年生でも大きな判決 東京地方裁判所判事補 小原一人さん」を寄稿しています(同書12頁ないし27頁)。
*3の1 東京地裁令和7年2月13日判決(裁判長は48期の小原一人)は,国内最大手の「西村あさひ法律事務所」(東京都千代田区)に所属して契約を更新されなかった弁護士が「無期雇用に切り替えられる権利がある」と事務所を訴えた訴訟において,原告側の地位確認請求を棄却しました(朝日新聞HPの「西村あさひに無期雇用を求めた弁護士が敗訴 「労働者」と認められず」参照)。
*3の2 弁護士自治を考える会ブログに「【判決書】勤務弁護士が西村あさひ法律事務所を地位確認で訴えた判決書 令和5年ワ7211号 弁護士は労働者か?」が載っています。

村松秀樹裁判官(51期)の経歴

生年月日 S50.2.24
出身大学 東大
定年退官発令予定日 R22.2.24
R5.7.14 ~ 法務省大臣官房会計課長
R4.8.10 ~ R5.7.13 法務省民事局総務課長兼法務省民事局民事法制管理官
R3.7.16 ~ R4.8.9 法務省民事局総務課長
H30.8.1 ~ R3.7.15 法務省民事局民事第二課長
H30.2.26 ~ H30.7.31 法務省民事局商事課長
H26.7.18 ~ H30.2.25 法務省民事局参事官
H23.4.1 ~ H26.7.17 法務省民事局付
H21.4.11 ~ H23.3.31 静岡地家裁判事
H21.4.1 ~ H21.4.10 静岡地家裁判事補
H20.4.1 ~ H21.3.31 東京地裁判事補
H13.4.1 ~ H20.3.31 法務省民事局付
H11.4.11 ~ H13.3.31 東京地裁判事補

*1 以下の記事も参照してください。
・ 判事補の外部経験の概要
・ 行政機関等への出向裁判官
・ 判検交流に関する内閣等の答弁
*2 他の著者と一緒に以下の書籍を執筆しています。
・ 注釈司法書士法(2022年6月28日付)
・ Q&A令和3年改正民法・改正不登法・相続土地国庫帰属法(2022年2月26日付)
・ Q&A 改正債権法と保証実務(2019年12月19日付)
・ 定型約款の実務Q&A(2018年11月19日付)
・ 一問一答 民法(債権関係)改正 (2018年3月12日付)
*3 51期の村松秀樹裁判官及び60期の遠藤啓佑裁判官らは,金融法務事情2024年6月10日号(2235号)に「公正証書に係る一連の手続のデジタル化とその例外的取扱い ―令和5年改正公証人法等の解説―」を寄稿しています。

松井信憲裁判官(48期)の経歴

生年月日 S46.8.26
出身大学 東大
定年退官発令予定日 R18.8.26
R7.7.18 ~ 法務省民事局長
R6.7.22 ~ R7.7.17 法務省大臣官房司法法制部長
R4.7.25 ~ R6.7.21 法務省大臣官房審議官(民事局担当)
R3.7.16 ~ R4.7.24 法務省大臣官房会計課長
R1.7.16 ~ R3.7.15 法務省民事局総務課長
H30.4.1 ~ R1.7.15 法務省大臣官房国際課長
H30.2.26 ~ H30.3.31 法務省大臣官房付
H29.4.1 ~ H30.2.25 法務省民事局商事課長
H24.4.1 ~ H29.3.31 法務省民事局参事官
H21.4.1 ~ H24.3.31 佐賀地家裁判事
H11.7.26 ~ H21.3.31 法務省民事局付
H8.4.11 ~ H11.7.25 東京地裁判事補

*1 以下の書籍の著者です。
・ 商業登記ハンドブック〔第4版〕(2021年7月30日付)
*2 以下の書籍の共著者です。
・ 一問一答 平成30年商法改正(2018年11月28日付)
・ 改正 担保・執行法の解説(2004年3月1日付)
・ 一問一答 平成12年改正商法-会社分割法制-(2000年9月25日付)
*3 以下の記事も参照してください。
・ 判事補の外部経験の概要
・ 行政機関等への出向裁判官

野口宣大裁判官(46期)の経歴

生年月日 S42.8.15
出身大学 明治大
定年退官発令予定日 R14.8.15
R7.1.15 ~ 福島地裁所長
R5.8.1 ~ R7.1.14 東京地裁36民部総括
R3.1.18 ~ R5.7.31 東京地裁50民部総括
R2.7.14 ~ R3.1.17 東京高裁民事部判事
R1.7.16 ~ R2.7.13法務省大臣官房会計課長
H29.4.1 ~ R1.7.15 法務省民事局総務課長
H27.4.13 ~ H29.3.31 法務省民事局民事第二課長
H26.1.16 ~ H27.4.12 法務省民事局商事課長
H24.4.1 ~ H26.1.15 福島地家裁郡山支部長
H22.4.1 ~ H24.3.31 最高裁情報政策課参事官
H19.4.1 ~ H22.3.31 さいたま地家裁判事
H13.4.1 ~ H19.3.31 法務省民事局付
H11.4.1 ~ H13.3.31 東京地裁判事補
H9.4.1 ~ H11.3.31 札幌地家裁判事補
H8.4.1 ~ H9.3.31 札幌家地裁判事補
H6.4.13 ~ H8.3.31 東京地裁判事補

菊池憲久裁判官(46期)の経歴

生年月日 S42.11.6
出身大学 不明
定年退官発令予定日 R14.11.6
R8.2.3 ~ 盛岡地家裁所長
R6.4.28 ~ R8.2.2 東京簡裁司掌裁判官
R4.9.16 ~ R6.4.27 東京地裁27民部総括
R4.4.1 ~ R4.9.15 東京高裁5民判事
R2.4.1 ~ R4.3.31 法務省大臣官房審議官(訟務局担当)
H29.4.1 ~ R2.3.31 東京法務局訟務部長
H28.4.1 ~ H29.3.31 東京高裁24民判事
H25.4.1 ~ H28.3.31 仙台法務局訟務部長
H22.4.1 ~ H25.3.31 東京地裁11民判事
H20.4.1 ~ H22.3.31 釧路地裁民事部部総括
H17.4.1 ~ H20.3.31 東京地家裁八王子支部判事
H16.4.13 ~ H17.3.31 仙台家地裁判事
H14.7.1 ~ H16.4.12 仙台家地裁判事補
H11.4.1 ~ H14.6.30 東京地裁判事補
H8.4.1 ~ H11.3.31 福岡地家裁小倉支部判事補
H6.4.13 ~ H8.3.31 横浜地裁判事補

* 以下の記事も参照してください。
・ 判事補の外部経験の概要
・ 行政機関等への出向裁判官
・ 判検交流に関する内閣等の答弁
・ 部の事務を総括する裁判官の名簿(昭和37年度以降)
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部

鈴木正紀裁判官(42期)の経歴

生年月日 S36.11.20
出身大学 早稲田大
定年退官発令予定日 R8.11.20
R5.9.1 ~ 東京高裁17民判事
R5.4.28 ~ R5.8.31 東京高裁1民判事
R3.10.15 ~ R5.4.27 佐賀地家裁所長
R3.8.1 ~ R3.10.14 東京高裁4民判事
R1.8.1 ~ R3.7.31 金融庁証取委事務局次長
H28.12.19 ~ R1.7.31 東京地裁10民部総括
H27.10.19 ~ H28.12.18 東京高裁7民判事
H27.10.2 ~ H27.10.18 法務省大臣官房付
H27.4.10 ~ H27.10.1 法務省大臣官房審議官(訟務局担当)
H26.4.1 ~ H27.4.9 法務省大臣官房審議官(訟務担当)
H25.4.1 ~ H26.3.31 法務省訟務企画課長
H23.4.1 ~ H25.3.31 法務省民事訟務課長
H22.4.1 ~ H23.3.31 名古屋法務局訟務部長
H19.4.1 ~ H22.3.31 横浜地家裁川崎支部判事
H16.4.1 ~ H19.3.31 東京地裁判事
H13.4.1 ~ H16.3.31 佐賀地家裁武雄支部判事
H12.4.10 ~ H13.3.31 東京地裁判事補
H10.4.1 ~ H12.4.9 東京地裁判事補
H7.4.1 ~ H10.3.31 高松法務局訟務部付
H7.3.27 ~ H7.3.31 高松地裁判事補
H4.4.1 ~ H7.3.26 鹿児島地家裁判事補
H2.4.10 ~ H4.3.31 東京地裁判事補

*1 日経新聞HPに「「鈴木正紀」のニュース一覧」が載っています。
*2 以下の記事も参照してください。
・ 毎年6月開催の長官所長会同
・ 部の事務を総括する裁判官の名簿(昭和37年度以降)
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部
・ 判事補の外部経験の概要
・ 判検交流に関する内閣等の答弁
 行政機関等への出向裁判官

衣斐瑞穂裁判官(50期)の経歴

生年月日 S48.7.30
出身大学 東大
定年退官発令予定日 R20.7.30
R6.2.27 ~ 東京地裁42民部総括
R5.8.1 ~ R6.2.26 東京高裁20民判事
H30.8.1 ~ R5.7.31 内閣法制局第二部参事官
H29.4.1 ~ H30.7.31 東京地裁2民判事(行政部)
H25.4.1 ~ H29.3.31 最高裁行政調査官
H22.4.1 ~ H25.3.31 広島地家裁判事
H21.4.1 ~ H22.3.31 東京地裁判事
H19.4.1 ~ H21.3.31 最高裁秘書課付
H16.8.1 ~ H19.3.31 京都地家裁判事補
H16.7.1 ~ H16.7.31 東京地裁判事補
H14.7.8 ~ H16.6.30 財務省国際局開発金融課課長補佐
H10.4.12 ~ H14.7.7 東京地裁判事補

* 以下の記事も参照してください。
・ 内閣法制局参事官経験のある裁判官
・ 地方裁判所の専門部及び集中部
・ 最高裁判所調査官
・ 最高裁判所判例解説
・ 行政機関等への出向裁判官
・ 判検交流に関する内閣等の答弁

馬渡直史裁判官(48期)の経歴

生年月日 S45.1.8
出身大学 東大
定年退官発令予定日 R17.1.8
R4.9.2 ~ 最高裁家庭局長
R3.9.25 ~ R4.9.1 東京地裁32民部総括
R3.8.1 ~ R3.9.24 東京高裁16民判事
H28.8.1 ~ R3.7.31 内閣法制局第一部参事官
H27.4.1 ~ H28.7.31 東京高裁20民判事
H25.4.1 ~ H27.3.31 最高裁家庭局第一課長
H23.4.1 ~ H25.3.31 最高裁家庭局第二課長
H21.4.1 ~ H23.3.31 東京地裁判事
H18.4.11 ~ H21.3.31 岡山家地裁判事
H18.4.1 ~ H18.4.10 岡山地家裁判事補
H15.4.1 ~ H18.3.31 神戸地家裁姫路支部判事補
H14.7.1 ~ H15.3.31 東京地裁判事補
H13.1.6 ~ H14.6.30 金融庁総務企画局企画課課長補佐
H12.7.1 ~ H13.1.5 金融庁総務企画部企画課課長補佐
H12.4.1 ~ H12.6.30 最高裁人事局付
H10.4.1 ~ H12.3.31 和歌山地家裁判事補
H8.4.11 ~ H10.3.31 東京地裁判事補

*1 48期の馬渡直史裁判官及び48期の向井香津子裁判官の勤務地は似ています。
*2 以下の記事も参照して下さい。
・ 歴代の最高裁判所家庭局長
・ 最高裁判所裁判官及び事務総局の各局課長は襲撃の対象となるおそれが高いこと等
・ 最高裁判所が作成している,最高裁判所判事・事務総局局長・課長等名簿
・ 最高裁判所事務総局の各係の事務分掌(平成31年4月1日現在)
 部の事務を総括する裁判官の名簿(昭和37年度以降)
・ 内閣法制局参事官経験のある裁判官
・ 最高裁判所裁判官及び事務総局の各局課長は襲撃の対象となるおそれが高いこと等
 行政機関等への出向裁判官

朝倉佳秀裁判官(45期)の経歴

生年月日 S43.4.7
出身大学 早稲田大
→ 早稲田大学稲門法曹会HP「2020-2021年度 稲門法曹会 理事名簿」参照
定年退官発令予定日 R15.4.7
R8.3.9 ~ 長野地家裁所長
R7.3.27 ~ R8.3.8 東京地裁民事部第一所長代行
R5.3.12 ~ R7.3.26 東京地裁民事部第二所長代行(9民部総括)(保全部)
R2.11.12 ~ R5.3.11 東京地裁8民部総括(商事部)
R2.10.16 ~ R2.11.11 東京高裁民事部判事
H31.4.1 ~ R2.10.15 内閣官房内閣審議官
H29.4.1 ~ H31.3.31 東京地裁24民部総括
H27.12.18 ~ H29.3.31 東京地裁24民判事
H26.2.20 ~ H27.12.17 東京高裁12民判事
H24.2.3 ~ H26.2.19 最高裁人事局給与課長
H22.4.1 ~ H24.2.2 最高裁民事局第一課長
H20.10.1 ~ H22.3.31 最高裁民事局第二課長
H19.4.1 ~ H20.9.30 司研民裁教官
H17.5.26 ~ H19.3.31 千葉地家裁判事
H17.4.1 ~ H17.5.25 千葉地家裁判事補
H13.9.25 ~ H17.3.31 大阪地家裁判事補
H13.9.18 ~ H13.9.24 東京地裁判事補
H11.8.1 ~ H13.9.17 在ストラスブール日本国総領事館領事
H10.8.1 ~ H11.7.31 外務省総合外交政策局国際社会協力部人権難民課課長補佐
H9.9.1 ~ H10.7.31 外務省総合外交政策局国際社会協力部人権難民課事務官
H5.4.9 ~ H9.8.31 東京地裁判事補

*0 令和4年4月21日付で三菱電機社会インフラ機器株式会社の監査役を退任した朝倉佳秀とは別の人です。
*1の1 平成元年度司法試験に合格していますから,大学を中退して司法修習に行っていた場合,44期司法修習生になっていたこととなります。
*1の2 ①平成11年8月1日から平成13年9月17日まで在ストラスブール日本国総領事館領事をしていた45期の朝倉佳秀裁判官と,②平成11年8月27日にいったん依願退官した後,平成13年10月22日に再び大阪地裁判事補となった50期の朝倉亮子裁判官は勤務場所が似ています。


*2 東京地裁平成29年7月5日判決(判例秘書に掲載。担当裁判官は45期の朝倉佳秀58期の奥田大助及び68期の佐々木康平)は, 弁護士法人ベリーベスト法律事務所の事務職員であった原告が,被告に対し,弁護士法等に違反する業務に従事させられ,その旨をメールで指摘したのに放置されたことで精神的苦痛を被り,退職せざるを得なくなったとして,不法行為又は労働契約上の債務不履行に基づいて損害賠償の支払を求めた事案において,一般論として以下の判示をした上で,原告の請求を棄却しました。
    業務命令は,使用者が業務遂行のために労働者に対して行う指示又は命令であり,使用者がその雇用する労働者に対して業務命令をもって指示,命令することができる根拠は,労働者がその労働力の処分を使用者に委ねることを約する労働契約にあると解されるから,使用者が業務命令をもって指示,命令することのできる事項であるかどうかは,労働者が当該労働契約によってその処分を許諾した範囲内の事項であるかどうかによって定まるものである。そして,上記範囲内の事項であるかどうかは,当該具体的な労働契約の解釈の問題に帰するものであるが,労働者に違法な行為をさせるのであれば格別,使用者の業務の適法性に問題があるからといって,直ちにその範囲外の事項となるものではないというべきである。


*3の1 判例タイムズ2021年5月号に「新型コロナウイルス感染症禍における株主総会―司法の視点から(はじめに)―」を寄稿しています。
*3の2 判例タイムズ2022年6月号に「「新・類型別会社訴訟」の連載を始めるに当たって」を寄稿しています。
*4 45期の朝倉佳秀 内閣官房内閣審議官は,令和元年5月29日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています。
    民事司法制度改革推進に関する関係府省庁連絡会議は、関係行政機関等の連携協力のもと、民事裁判手続等IT化等の民事司法制度改革に向けた喫緊の課題を整理し、その対応を検討するため、平成三十一年四月十二日に関係府省庁によりその開催の申合せがされたものでございます。
    この連絡会議におきましては、国際化社会の一層の進展を見据え、我が国の民事司法の国際競争力を強化するという観点から必要な課題の検討を行うべきであると考えておりますところ、委員御指摘の民事裁判手続等IT化は、民事司法の国際競争力を強化するという観点からも極めて重要な課題であると認識しております。
    この連絡会議の庶務は内閣官房において処理するものでありますので、今後、この連絡会議が司令塔としての機能を果たせるよう、適切に対処してまいりたいと思います。


(東京地裁令和4年7月13日判決)
*5の1 東京地裁令和4年7月13日判決(45期の朝倉佳秀54期の丹下将克及び67期の川村久美子)(判決要旨)は,東京電力の株主らが,東京電力に代わって,元役員の善管注意義務違反によって福島原発事故を発生させたとして,東京電力に与えた損害についての賠償を求めていた「東電株主代表訴訟」について,原告らの請求を認め,被告の勝俣,清水,武黒及び武藤に対して,連帯して13兆3210億円の損害賠償の支払を命ずる判決(仮執行宣言付)を下しました(東電株主代表訴訟ブログ「7月13日認容判決」に判決骨子,判決要旨及び判決正本が載っています。)。
*5の2 東京電力の清水社長及び勝俣会長の場合,平成21年2月11日午前10時から午前11時50分にかけて行われた中越沖地震対応打合せ(東電社内では,御前会議といわれていました。)に出席して配布資料を確認し,意見を述べるなどした(判決正本235頁ないし239頁)結果,東京地裁令和4年7月13日判決の判決骨子8頁において以下の認定をされました。
    被告勝俣及び被告清水としては、14mの津波の襲来可能性の見解を述べているのが相応の権威がある機関であり、他の原子力事業者もこれに対応するための改造を検討していること、津波対策が新たに実施されない限り、かかる津波が福島第一原発1号機~4号機に襲来した場合に過酷事故が発生する可能性があることを認識したのであるから、いずれも、津波の襲来可能性があるとする見解の信頼性や成熟性が不明であるとして速やかな津波対策を講じない原子力・立地本部の判断に著しく不合違な点がないかを確認すべき義務があり、そのような確認をしていれば、相応の科学的信頼性を有する長期評価の見解及び明治三陸試計算結果によると、明治三陸試計算結果と同様の津波が福島第一原発1号機~4号機に襲来してSBO及び主な直流電源喪失により過酷事故が発生する可能性があること、武藤決定によって土木学会において波源等の検討を行う相当の長期間、ドライサイトコンセプトに基づく防波堤や防潮堤等の工事に着手されないままとなることを容易に認識し得たのであるから、その間、当該津波によつて過酷事故に至る事態が生じないための最低限の津波対策を速やかに実施するよう指示等をすべき取締役としての善管注意義務があったのに、これをしなかった任務解怠があった。
*5の3 東京地裁令和4年7月13日判決の判決要旨には一般論として以下の判示があります(リンク先28頁及び29頁)ところ,結論として,平成21年2月11日午前10時から午前11時50分にかけて行われた中越沖地震対応打合せに出席した清水社長及び勝俣会長は,津波の襲来可能性があるとする見解の信頼性や成熟性が不明であるとして速やかな津波対策を講じない原子力・立地本部の判断が「原子力発電所の安全性確保の観点から著しく不合理であることを容易に理解できた。」と判断されました(リンク先30頁。ただし,原子力安全・保安院は,東京電力に対し,津波対策等に関する報告を受けた平成23年3月7日時点でも津波対策を直ちに実施すべきであるとは指示していませんでした。)。
    被告清水及び被告勝俣は、福島第一原発の安全対策に関する社長等の対応としては、特段の事情がない限り、会社内外の専門家の評価ないし判断を尊重すべきところ、原子力発電所の安全確保を担当する原子力・立地本部原子力設備管理部長であつた吉田部長が、前提となる津波をどう考えるか整理する必要があると発言している以上、これに容喙を差し控えることこそ、適切な対応であった旨主張する。
    確かに、取締役が、業務執行の際、特に専門部署からの専門技術的事項に係る情報等については、特に疑 うべき事情があるとか、著 しく不合理な評価ないし判断でない限り、それを信頼 しても、直ちに善管注意義務違反とはならないと解されるし、東京電力のような、専門性のある各部署における業務分担を前提 として組織運営がされる大企業では、原則として、各専門部署における判断を尊重して経営が行われることこそが適切といえる。
    しかし、そのことは、取締役の経営判断において、専門部署からの情報等であれば、どのようなものであっても直ちに信頼することが許されることまで意味しない。著しく不合理な評価ないし判断であった場合には、信頼することは許されず、また、これを特に疑うべき事情がある場合には、調査、検討義務を負うものと解すべきであり、この理は、判断すべき案件の重要性が高い場合には殊更である。


*5の4 東日本大震災が発生する前,東京電力の定款では,27条で「社長は、会社を代表し、取締役会で定められた方針に基づき、会社業務の執行を統轄する役割を担う。」と定められ,28条で「会長は、株主総会及び取締役会を招集し、その議長となる」と定められていて(判決正本25頁),会長が会社業務の執行をするとは定められていませんでした。
    しかし,定款上,会長について代表取締役としての包括的執行権限を制限する明示的な規定は見当たらないし,御前会議に出席して意見を述べるなどしていたことから,少なくとも御前会議に出席して意見を述べ,指示をする業務執行権限を有していたと認定されました(判決要旨26頁及び27頁)。
*5の5 長期評価というのは,地震調査研究推進本部が平成14年7月31日に公表した,「三陸沖北部から房総沖の日本海溝沿い領域 (長さ約 800km、 幅約50kmに及ぶ領域)について、領域内のどこでもM8ク ラスのプレー ト間大地震 (津波地震)(震源域を長さ200km、 幅50kmとするもの。)が発生する可能性があり、今後30年以内の発生確率は20%程度、今後50年以内の発生確率は30%程度と推定され、また、特定の領域(約200km)で は、今後30年以内の発生確率は6%程度、今後50年以内の発生確率は9%程度と推定されるとした」ものです(判決正本80頁及び81頁)。
    明治三陸試計算結果というのは、東電設計株式会社が平成20年3月18日に出した速報であって,「福島第一原発における津波高の最大値が、各号機のポンプ位置 (4m盤)の津波高で、O.P.(山中注:小名浜港工事基準面)+8.4m~ O.P.+10.2m、 敷地南側の津波高でO.P.+15.707mであり、主要施設の敷地(10m盤)まで遡上する結果となった。」ものです(判決正本81頁及び82頁)。
*5の5 商事法務2341号(2023年11月5日)4頁ないし29頁の「ソフトローと取締役の義務-東京電力株主代表訴訟事件・東京地裁判決を参考に-」には,東京地裁令和4年7月13日判決の詳しい評釈が含まれています。


(東京地裁令和4年7月13日判決及び最高裁令和4年6月17日判決の比較)
*6の1 東京地裁令和4年7月13日判決の判決要旨は,被告らが,明治三陸試計算結果と同様の津波が襲来した場合に福島第一原発において過酷事故が生じないための最低限の津波対策を速やかに行うよう指示等をした場合,津波が敷地に遡上しても福島第一原発においてSBO及び主な直流電源喪失といった事態が生じないための措置であって,速やかに実施できる津波対策として,主要建屋及び重要機器室の水密化の措置が実施されていたし,それによって重大事態に至ることを避けられた可能性は十分にあったと判示しました(リンク先のPDF33頁ないし40頁)。
     ただし,最高裁令和4年6月17日判決は,経済産業大臣が電気事業法40条に基づく規制権限を行使して,津波による福島第一原発事故を防ぐための適切な措置を講ずることを東京電力に義務付けていた場合,本件試算津波(「明治三陸試計算結果と同様の津波」と同じ意味です。)と同じ規模の津波による本件敷地の浸水を防ぐことができるように設計された防潮堤等を設置するという措置が講じられた蓋然性が高いとした上で,「本件試算津波と同じ規模の津波による本件敷地の浸水を防ぐことができるものとして設計される防潮堤等は、本件敷地の南東側からの海水の浸入を防ぐことに主眼を置いたものとなる可能性が高く、一定の裕度を有するように設計されるであろうことを考慮しても、本件津波の到来に伴って大量の海水が本件敷地に浸入することを防ぐことができるものにはならなかった可能性が高いといわざるを得ない。」と判示しました。
*6の2 東京地裁令和4年7月13日判決の認定では,原発畑の出身ではない勝俣会長(東大経済学部卒)及び清水社長(慶応大経済学部卒)が指示すれば,東京電力の担当部署において最低限の津波対策として主要建屋及び重要機器室の水密化の措置が実施されて福島第一原発事故は防げた可能性は十分にあったことになっているのに対し,最高裁令和4年6月17日判決の認定では,経済産業大臣が電気事業法40条に基づく規制権限を行使しても福島第一原発事故は防げなかった可能性が高いことになっています。
*6の3 7月13日の判決言渡しに向けて,結論を決めた上で7ヶ月がかりで判決書を書いていた場合,6月17日の最高裁判決で結論を修正することは難しいのかもしれません。


(長期評価に基づく予見可能性を否定した,東電刑事裁判に関する東京地裁令和元年9月19日判決)
*7 東京地裁令和元年9月19日判決(担当裁判官は42期の永渕健一53期の今井理及び68期の柏戸夏子)には例えば,以下の判示があるのであって,結論として,長期評価に基づく予見可能性を否定しました。
① その際(山中注:平成23年3月7日に東京電力が原子力安全・保安院に対して津波対策等について報告した際)、保安院側から「長期評価」を踏まえた対策工事を直ちに実施すべきであり、その対策工事が終わるまでは本件発電所の運転を停止すべきであるというような指摘がされることはなかった。
② 平成20年6月10日の被告人武藤への説明、平成21年4月ないし5月頃の被告人武黒への説明のいずれもがそうであったように、平成23年3月初旬までの時点においては、「長期評価」の見解は具体的な根拠が示されておらず信頼性に乏しいと評価されていたところ、そのような「長期評価」に対する評価は、相応の根拠のあるものであったというべきである。
③ 他の原子力事業者、行政機関、地方公共団体のいずれにおいても、「長期評価」を全面的に取り入れることがなく、東京電力社内、他の原子力事業者、専門家、行政機関のどこからも、対策工事が完了するまでは本件発電所の運転を停止すべきである旨の指摘もなかったことに照らせば、これら関係者にとっても同様であったとみるべきであって、平成23年3月初旬までの時点における原子力安全対策の考え方からみて、被告人ら3名の対応が特異なものであったとはいい難く、逆に、このような状況の下で、被告人ら3名に、10m盤を超える津波の襲来を予見して、対策工事が完了するまでは本件発電所の運転を停止すべき法律上の義務があったと認めるのは困難というべきである。
④ 確かに、被告人ら3名は、本件事故発生当時、東京電力の取締役等という責任を伴う立場にあったが、そのような立場にあったからといって、発生した事故について、上記のような法令上の規制等の枠組みを超えて、結果回避義務を課すに相応しい予見可能性の有無に関わらず、当然に刑事責任を負うということにはならない。


(勝俣会長の東電株主総会における発言等)
*8 勝俣会長は,平成23年6月28日の株主総会において以下の趣旨の発言をしています(サンケイビスHPの「【株主総会ライブ】東電(2)事故は「異常な天変地異」と弁明 (2/3ページ)」参照)ところ,東京電力の会長として被害者救済にあたった結果,自分に課せられる損害賠償額を増やしたこととなると思います。
「補償に関して、今回の事故は史上まれな津波と地震に見舞われました。原子力損害賠償責任法の第三条第一項のただし書きにある、異常な天変地異に当たります。しかしながら、異常に巨大な天変地異に当たるかについては専門家の意見が分かれるうえ、免責を(東電が)主張すれば、多くの方と長期に裁判になります。その間、国の支援なければ、被害者救済はならず、当社も事業できなくなります。当社が原賠法の免責にあたるとしても、このような事故引き起こした当事者として、重く受け止め、被害者救済をはかると考えています」
「そのため、国と一体となって、国の支援頂きながら、被害者の早期救済に必要と考え、原賠法16条に基づく国の援助をお願いした。同案が、被害者の公正、迅速な補償が実施できるよう、国会での早期成立をお願いしている。今後の枠組みとして、民間事業として電気事業の立て直しを図って参ります」


(大和銀行株主代表訴訟の判例評釈等)
*9 「大和銀行ニューヨーク支店損失事件 株主代表訴訟第一審判決-内部統制と取締役の責任について-」には,大和銀行の旧経営陣11人に対し,合計で約830億円の支払を命じた大阪地裁平成12年9月20日判決(32期の池田光宏45期の桑原直子及び48期の松田道別)(判例秘書に掲載)に関して,「自 ら重大な違法行為や不公正な取引をしたわけでもなく,会社のために誠実に職務を遂行していた取締役に,注意義務,監視義務違反だけの理由で巨額の損害賠償の責任を問い得るのか,という素朴な疑問を禁じえない本件判決である」と書いてあります(リンク先のPDF21頁)。
     なお,大和銀行株主代表訴訟の原告団は,大和銀行,近畿大阪銀行及び奈良銀行の持株会社として大和銀ホールディングが共同株式移転の方式によって平成13年12月12日に設立されることで原告適格を失う可能性があったことから,同月11日に,被告49人全員が連帯して2億5000万円を大和銀行に支払うこと等を内容とする裁判上の和解に応じました。
(会社役員賠償責任保険)
*10 例えば,三井住友海上火災保険株式会社の会社役員賠償責任保険(D&O保険)である会社役員プロテクターは,会社の役員が,役員としての業務につき行った行為(不作為を含む。)に起因して保険期間中に損害賠償請求を受けた場合,被保険者が法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害に対して保険金を支払うものであって,その支払限度額は5000万円から10億円の11パターンあります。


(株主代表訴訟で勝訴した場合の弁護士費用の例)
*11 株主代表訴訟で勝訴した場合,株主は,会社に対し,弁護士報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を請求することができます(会社法852条1項)ところ,例えば,東京地裁平成28年3月28日判決(判例秘書に掲載)は,合計1209万2598円の弁護士費用(着手金,成功報酬金及び実費約29万円)のうちの100万円が「相当と認められる額」であると判断しました。


(任務懈怠に基づく取締役の損害賠償責任の免除方法)
*12の1 東京電力ホールディングス株式会社定款29条1項は「本会社は,会社法第426条第1項の規定により,取締役が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がない場合は,取締役会の決議によって,その取締役の同法第423条第1項の責任を法令の限度において免除することができる。」と定めています。
*12の2 任務懈怠に基づく取締役の損害賠償責任の免除方法としては以下のものがあります。
① 総株主の同意による全部免除(会社法424条)
② 株主総会の特別決議による一部免除(会社法425条1項)
・ (a)重過失がないこと,(b)監査役の同意を得ること及び(c)株主総会の特別決議を条件として,株主総会の特別決議に基づき,代表取締役の場合,6年分の報酬を超える損害賠償責任を免除してもらえますし,業務執行取締役の場合,4年分の報酬を超える損害賠償責任を免除してもらえますし,それ以外の取締役の場合,2年分の報酬を超える損害賠償責任を免除してもらえます。
③ 定款授権に基づく取締役会決議による一部免除(会社法426条1項・425条1項)
・ (a)取締役2名以上かつ監査役設置会社であること,(b)重過失がないこと,(c)監査役の同意を得ること及び(d)定款の定めがあることを条件として,代表取締役の場合,6年分の報酬を超える損害賠償責任を免除してもらえますし,業務執行取締役の場合,4年分の報酬を超える損害賠償責任を免除してもらえますし,それ以外の取締役の場合,2年分の報酬を超える損害賠償責任を免除してもらえます。
・ 株主に対する事後の通知がなされた場合において,総株主の議決権の100分の3以上の議決権を有する株主が異議を述べたときには、責任の免除は認められなくなります(会社法426条7項)ところ,令和4年3月31日現在,原子力損害賠償・廃炉等支援機構が東電株式の54.74%を保有しています(東電HPの「株式等の状況」参照)。
④ 責任限定契約による責任の一部免除(会社法427条1項)
・ 定款の定めがあることを条件として,非業務執行取締役に限り,重過失がなければ2年分の報酬を超える損害賠償責任を免除する契約を事前に締結することができます。


(裁判所関係国賠事件の取扱い)
*13 大阪地裁平成29年4月21日判決(裁判長は46期の金地香枝裁判官であり,陪席裁判官は新61期の林田敏幸裁判官及び67期の水野健太裁判官)は,以下の判示をしています。
     裁判官がした争訟の裁判につき国賠法1条1項の規定にいう違法な行為があったものとして国の損害賠償責任が肯定されるためには,上記裁判に上訴等の訴訟法上の救済方法によって是正されるべき瑕疵が存在するだけでは足りず,当該裁判官が違法又は不当な目的をもって裁判をしたなど,裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認めうるような特別の事情があることを必要とすると解するのが相当である(最高裁昭和57年3月12日第二小法廷判決・民集36巻3号329頁参照)。そして,上記特別の事情とは,当該裁判の性質,当該手続の性格,不服申立制度の有無等に鑑みて,当該裁判官に違法な裁判の是正を専ら上訴又は再審によるべきものとすることが不相当と解されるほどに著しい客観的な行為規範への違反がある場合をいうものと解すべきであり,この理は,争訟の裁判に限らず,破産手続における裁判及び破産手続における破産管財人に対する監督権限の行使等の,手続の進行や同手続における裁判所の判断に密接に関連する裁判以外の行為にも妥当すると解するのが相当である。


30期の藤山雅行裁判官の事例)
*14 「司法の可能性と限界と-司法に役割を果たさせるために」(令和元年11月23日の第50回司法制度研究集会・基調報告②。講演者は31期の井戸謙一 元裁判官)には以下の記載があります(法と民主主義2019年12月号18頁)。
    青法協裁判官部会の裁判官たちは、支部から支部へという露骨な差別人事を受けていました。そういう扱いは現在では基本的には姿を消していると思います。しかし人事が裁判官を支配する現実はやはり非常に重要である。
    具体的には三〇期の藤山雅行裁判官の人事は影響が大きかったと思います。一時は裁判所の行政事件処理のエースでトップエリートだったあの方が、東京地裁の行政部の部総括として最高裁の意向に反する判決を繰り返すと、行政事件から外されて、出世コースからも外されてしまった。それを見ている若い裁判官たちは、「あんなトップエリートでも、やはり最高裁の意に反する判決をすると、こんな処遇を受けるのだ」と受け止めます。
(東芝不正会計事件)
*15 東京地裁令和5年3月28日判決(裁判長は45期の朝倉佳秀)は,平成27年に発覚した東芝の不正会計問題で、旧経営陣の不当な経営により損害を被ったとして東芝や個人株主が旧経営陣15人に対し、1人当たり総額32億円を東芝に支払うよう求めた訴訟において,元社長ら5人に合計約3億円の賠償を命じる判決となりました(産経新聞HPの「東芝不正会計、旧経営陣5人に賠償命令」(2023年3月28日付)参照)。

(関連記事その他)
*16の1 東京地裁令和4年7月13日判決の判決要旨32頁には,被告勝俣らについて,「原子力事業者及びその取締役として、本件事故の前後で変わることなく求められている安全意識や責任感が、根本的に欠如していたものといわざるを得ない。」と書いてありますところ,「裁判官とは何者か?-その実像と虚像との間から見えるもの-」(講演者は24期の千葉勝美 元最高裁判所判事)には以下の記載があります(リンク先のPDF13頁)。
    マスコミが拍手喝采を送るような勇ましい判決というのは、冷静な目からみて、裁判官が悩み抜いた末の判決ではなく、思考を停止し俗耳に入りやすい表現の作文ではないかと思われるほど、レトリックが過激なだけの説得力のないものであることがある。判断者としての責任感と裁判官としての矜持、すなわち、自らの立場に誇りを持ち、自らを律する強い意思を持つことが必要であるといつも自戒している。
*16の2  高校生が,授業中の態度や過去の非行事実につき担任教師から三時間余にわたり応接室に留めおかれて反省を命ぜられたうえ,頭部を数回殴打されるなど違法な懲戒を受け,それを恨んで翌日自殺した場合であつても,右懲戒行為がされるに至つた経緯等とこれに対する生徒の態度等からみて,教師としての相当の注意義務を尽くしたとしても,生徒が右懲戒行為によつて自殺を決意することを予見することが困難な状況であつた判示の事情のもとにおいては,教師の懲戒行為と生徒の自殺との間に相当因果関係はありません(最高裁昭和52年10月25日判決)。
*16の3 昭和46年7月30日に発生した,全日空機雫石衝突事故(自衛隊機と全日空機が衝突した結果,乗客155名と乗員7名の計162名全員が死亡した事故)につき,自衛隊機の教官をしていた被告人に対する禁錮4年の実刑判決を破棄して禁錮3年・執行猶予3年とした最高裁昭和58年9月22日判決は以下の判示をしています。
    右松島派遣隊幹部らが立てた訓練計画に則り、上官の命により飛行訓練の実施に参加した一教官にすぎない被告人ひとりに、あげて本件事故の刑事責任を負わせ、禁錮四年の実刑を科することは、本件事故が極めて重大なものであることを考慮に入れても、なお酷に過ぎるというべきであつて、第一審判決及びこれを維持した原判決の量刑は甚だ重きに過ぎ、これを破棄しなければ著しく正義に反するといわなければならない。
*16の4 以下の記事も参照してください。
・ 裁判所関係国賠事件
・ 第一次世界大戦におけるドイツの賠償金の,現在の日本円への換算等
→ ドイツの賠償金についてはパリ講和会議で決着が付かなかったため,1919年6月28日に署名されたヴェルサイユ条約では,第八編231条において大戦の結果生じた損失の責任は「ドイツ及びその同盟国」にあることが明記され,232条においてドイツに完全な補償を行う能力がないことを認識した上で,すべての損害に対する賠償が行われるべきこと等が定められるにとどまり,賠償金の決定は先送りされました。
 部の事務を総括する裁判官の名簿(昭和37年度以降)
 地方裁判所の専門部及び集中部
 最高裁判所裁判官及び事務総局の各局課長は襲撃の対象となるおそれが高いこと等
 最高裁判所事務総局の各係の事務分掌(平成31年4月1日現在)
・ 最高裁判所事務総局の組織に関する法令・通達
 司法研修所民事裁判教官の名簿
 判事補の外部経験の概要
 行政機関等への出向裁判官

下級裁判所の裁判官の定員配置

目次
1 下級裁判所の裁判官の定員配置に関する文書
2 定員・現在員等内訳に関する文書
3 裁判官の号別在職状況と異なる理由
4 関連記事その他

1 下級裁判所の裁判官の定員配置に関する文書
(1) 下級裁判所の裁判官の定員配置に関する文書を以下のとおり掲載しています。
① 下級裁判所の裁判官の定員配置について(平成27年3月26日付の最高裁判所事務総長の依命通達)
② 以下の日付の改正通達
(令和時代)
令和2年3月17日令和3年3月19日令和4年3月25日
令和5年3月27日令和6年3月22日令和7年3月28日
(平成時代)
平成28年3月25日平成29年3月23日平成30年3月19日平成31年3月13日
* 「「下級裁判所の裁判官の定員配置について」の一部改正について(令和5年3月27日付の最高裁判所事務総長の通達)」といったファイル名です。
(2) 付加定員とは,未済事件の累積,特殊事件の係属その他の一時的な事由に基づき,暫定的に配置する定員をいいます(下級裁判所の裁判官の定員配置について(平成27年3月26日付の最高裁判所事務総長の依命通達))。

2 定員・現在員等内訳に関する文書
・ 下級裁判所の判事・判事補の定員・現在員等内訳(平成27年度から令和7年1月まで)
・ 下級裁判所の判事・判事補の定員・現在員等内訳(平成26年度から令和6年1月まで)
・ 下級裁判所の判事・判事補の定員・現在員等内訳(平成25年度から令和5年1月まで)
・ 下級裁判所の判事・判事補の定員・現在員等内訳(平成24年度から令和4年1月まで)
・ 下級裁判所の判事・判事補の定員・現在員等内訳(平成23年度から令和3年1月まで)
・ 下級裁判所の判事・判事補の定員・現在員等内訳(平成22年度から令和2年1月まで)
・ 下級裁判所の判事・判事補の定員・現在員等内訳(平成21年度から平成30年1月まで)

3 裁判官の号別在職状況と異なる理由
(1) 令和元年10月18日付の答申書の「委員会の判断の理由」には,裁判官の配置定員と裁判官の号別在職状況の数字が異なる理由として以下の記載があります(改行を追加しました。)。
    当委員会庶務を通じて確認した結果によれば,平成30年度の高等裁判所裁判官及び地方・家庭裁判所裁判官の配置定員は, 当該年度において各庁の裁判事務に従事すべき判事等の数を定めたものであり,一方,裁判官の号別在職状況(平成30年7月1日現在)は,裁判事務に従事していない判事等を含め,当該基準日現在において判事等に発令されている者の数を表したものであるとのことである。
    このことを前提に検討すれば, 司法行政事務を遂行するに当たり,そもそも概念が異なる両者の合計数に差があることにつき,その理由を説明した文書や合計数の差の内訳を示した文書をあえて作成する必要性は乏しいと考えられるから,本件開示申出文書を作成し,又は取得していないという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。
    そのほか,最高裁判所において,本件開示申出文書に該当する文書を保有していることをうかがわせる事情は認められない。
(2) 令和4年12月1日現在,裁判実務に携わっていない裁判官数は,①最高裁判所事務総局の局長6人,審議官1人,課長等24人,局付等39人(判事が30人,判事補が9人),②研修所の所長・教官等45人,③高等裁判所事務局長8人の合計123人です。


4 関連記事その他
(1) 平成26年7月25日に閣議決定された「国家公務員の総人件費に関する基本方針」及び「国の行政機関の機構・定員管理に関する方針」は,内閣官房内閣人事局HPの「国家公務員の人件費と機構・定員に関する方針の策定」に載っています。
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 最高裁から国会への情報提供文書
・ 裁判官の号別在職状況
・ 級別定数の改定に関する文書
・ 最高裁判所が作成している事件数データ
・ 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律に関する国会答弁資料等
・ 裁判所職員定員法の一部を改正する法律に関する国会答弁資料等

向野剛裁判官(41期)の経歴

生年月日 S36.10.14
出身大学 早稲田大
退官時の年齢 61歳
R5.2.28 依願退官
R2.4.1 ~ R5.2.27 長崎地家裁佐世保支部長
H29.2.3 ~ R2.3.31 福岡家裁少年部部総括
H25.10.19 ~ H29.2.2 福岡高裁1刑判事
H23.4.1 ~ H25.10.18 大阪高裁6刑判事
H20.4.1 ~ H23.3.31 山口地裁第3部部総括
H19.5.1 ~ H20.3.31 山口地裁下関支部第2部部総括
H16.4.1 ~ H19.4.30 千葉地家裁判事
H12.4.1 ~ H16.3.31 福岡地家裁判事
H11.4.11 ~ H12.3.31 山口地家裁萩支部判事
H9.4.1 ~ H11.4.10 山口地家裁萩支部判事補
H6.4.1 ~ H9.3.31 福岡地家裁判事補
H3.4.1 ~ H6.3.31 長崎地家裁佐世保支部判事補
H1.4.11 ~ H3.3.31 京都地裁判事補

*1 41期の向野剛裁判官は,令和5年3月31日,32期の野尻純夫公証人の後任として,福岡法務局所属の福岡公証役場の公証人に任命されました。
*2 以下の記事も参照してください。
・ 部の事務を総括する裁判官の名簿(昭和37年度以降)
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部

高島義行裁判官(49期)の経歴

生年月日 S44.10.10
出身大学 不明
定年退官発令予定日 R16.10.10
R6.4.1 ~ 大阪地裁3民判事
R2.4.1 ~R6.3.31  広島高裁事務局長
H30.4.1 ~ R2.3.31 広島地裁2民部総括
H27.4.1 ~ H30.3.31 大阪地裁9民判事
H23.4.1 ~ H27.3.31 司研民裁教官
H20.4.1 ~ H23.3.31 金沢地家裁小松支部判事
H19.4.10 ~ H20.3.31 大阪地裁15民判事
H17.4.1 ~ H19.4.9 大阪地家裁判事補
H14.4.1 ~ H17.3.31 山口家地裁下関支部判事補
H11.4.1 ~ H14.3.31 和歌山地家裁判事補
H9.4.10 ~ H11.3.31 東京地裁判事補

* 判例タイムズ1421号(2016年4月1日付)に「二段の推定とその動揺」(寄稿者は49期の高島義行)が載っています。

大阪都構想に関する住民投票

目次
第1 大阪市における特別区の設置についての投票の執行について(平成27年4月22日付の大阪府選挙管理委員会の資料)
第2 大阪都構想に関するその他の資料

第1 大阪市における特別区の設置についての投票の執行について(平成27年4月22日付の大阪府選挙管理委員会の資料)
・ 以下の1ないし3の記載は,大阪市における特別区の設置についての投票の執行について(平成27年4月22日付の大阪府選挙管理委員会の資料)に基づくものです。

1 大阪都構想に関する住民投票において制限又は禁止される行為は以下のとおりです。
(1) 投票事務関係者の投票運動の禁止
(2) 特定公務員の投票運動の禁止
(3) 公務員の地位利用による投票運動の禁止
(4) 教育者の地位利用による投票運動の禁止
(5) 未成年者の投票運動の禁止
(6) 選挙権及び被選挙権を有しない者の投票運動の禁止
(7) 戸別訪問の禁止
(8) 投票に関する署名運動の禁止
(9) 特別区設置の賛否の人気投票の禁止
(10) 飲食物の提供の禁止
(11) 気勢を張る行為の禁止
(12) 連呼行為の禁止
・ 例外として,演説会場及び街頭演説の場所においてスル場合は認められますものの,自動車又は船舶の上における連呼行為は禁止されています。
(13) 新聞紙・雑誌の公正確保
(14) 放送の公正確保
(15) 夜間の街頭演説の禁止
(16) 特定の建物及び施設における演説等の禁止
・ 公営施設使用の個人演説会等に関する公職選挙法の規定は適用除外されています。

2(1) 1に記載した行為以外については,ポスターその他の文書図画の使用,船舶・自動車の利用等すべて自由です。
(2) 演説会については,1(16)のとおり特定の建物及び施設において開催するものでない限り,自由に開催できます。

3(1) 特別区設置投票に関する投票運動の期間は,特に制限されていません。
(2) 特別区設置投票に関する投票運動のための事務所については,特に制限されていません。

第2 大阪都構想に関するその他の資料
1(1) 大阪都構想に関する住民投票の根拠法は,大都市地域における特別区の設置に関する法律(平成24年9月5日法律第80号)(略称は「大都市地域特別区設置法」です。)です。
(2) 総務省HPに大都市地域特別区設置法に関する資料が載っています。
(3) 大阪市HPに「平成27年5月17日執行 特別区設置住民投票の結果しらべ」が載っています。
2(1) 大阪府HPの「特別区制度の検討状況」に,大都市制度(特別区設置)協議会の会議資料が載っています。
(2) 令和2年6月19日開催の第35回協議会において特別区設置協定書案が可決され,8月28日に大阪府議会で承認され,9月3日に大阪市議会で承認されました。
   その結果,11月1日(日)に大阪市民を対象とした住民投票が再び実施され,賛成が49.9%,反対が50.6%となり,大阪市が存続することとなりました(NHK選挙WEBの「大阪住民投票」参照).

黒川弘務元東京高検検事長の訓告処分に関する内閣答弁書

1 衆議院議員柚木道義君提出黒川前東京高検検事長の処分に関する質問に対する答弁書(令和2年6月5日付)には以下の記載があります。
① 黒川弘務元東京高等検察庁検事長(以下「黒川氏」という。)の処分については、法務省において、同省における調査結果を踏まえ、同省の内規に基づく監督上の措置として訓告を行うことが相当であると判断し、検事総長に対し、当該調査結果とともに、同省としては訓告を行うことが相当と考える旨を伝えたところ、検事総長においても、訓告を行うことが相当であると判断し、その旨決定したところである。
② 法務省における調査の結果、黒川氏については、令和二年五月一日頃及び同月十三日頃に、報道機関関係者三名と金銭を賭けた麻雀を行っていたことのほか、約三年前から一月に一回から二回程度の頻度で、金銭を賭けた麻雀を行っていたことが認められたものの、旧知の間柄の者との間で、必ずしも高額とまではいえない換金比率で行われたものであること、黒川氏が事実を認めて深く反省していたこと等の事情を総合的に考慮し、同省の内規に基づく監督上の措置として訓告としたものである。
 このように、黒川氏の処分については、処分を決するに当たり必要な調査を行った上で判断したものであって、適正な処分を行ったものと認識しており、再調査の必要はないと考えている。
③ お尋ねの「黒川氏の「退職金」の総額」及び「支給額はいくらで、いつ支給されたのか」については、個人のプライバシーに関わる事柄であり、お答えすることは差し控えたい。
 一般論として、国家公務員が退職した場合に支給する退職手当については、国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)の規定に基づき算出された額について、原則として、職員が退職した日から起算して一月以内に支払われることとされている。
 また、御指摘の「再調査を行う場合」に係る仮定の質問に対するお答えは差し控えたい。
④ 御指摘の川原法務省刑事局長の答弁(山中注:令和二年五月二十二日の衆議院法務委員会で法務省の刑事局長は、黒川氏が参加した賭け麻雀のレートについて千点当たり百円を賭ける「テンピン」だったと示した上で「必ずしも高額とは言えない」として、最終的に安倍内閣は国家公務員法上の懲戒処分も行わず、退職金も支給する旨の答弁のこと。)は、国家公務員法第八十二条第一項に規定する懲戒処分又は法務省の内規に基づく監督上の措置の量定に当たっての事情について述べたものであり、犯罪の成否について述べたものではなく、他方、御指摘の答弁書(平成十八年十二月十九日内閣衆質一六五第二二五号)四及び五についてでお答えしたのは、あくまで刑法(明治四十年法律第四十五号)の賭博罪の成否についての一般論を述べたものである。
 その上で、犯罪の成否については、捜査機関が収集した証拠に基づいて個々に判断されるべき事柄であることから、その余のお尋ねについて、政府としてお答えすることは差し控えたい。

2 衆議院議員岡本充功君提出賭け麻雀の賭博性に関する質問に対する答弁書(令和2年6月9日付)には以下の記載があります。
 法務省による黒川弘務元東京高等検察庁検事長(以下「黒川氏」という。)に対する事情聴取等の調査の結果、黒川氏は、「懲戒処分の指針について」(平成十二年三月三十一日付け職職-六八人事院事務総長通知)における「常習として賭博をした職員」に該当するとは認められなかった。

3 参議院議員小西洋之君提出東京高等検察庁検事長の賭け麻雀等の非違行為の処分の検討経緯等に関する質問に対する答弁書(令和2年6月30日付)には以下の記載があります。
① 黒川弘務元東京高等検察庁検事長(以下「黒川氏」という。)の処分については、法務省において、同省における調査結果を踏まえ、同省の内規に基づく監督上の措置として訓告を行うことが相当であると判断し、検事総長に対し、当該調査結果とともに、同省としては訓告を行うことが相当と考える旨を伝えたところ、検事総長においても、訓告を行うことが相当であると判断し、その旨決定したところであり、御指摘の「法務省が調査に着手し訓告相当の結論に至る以前」及び「政府が国会で答弁しているところの「協議」」において、内閣及び内閣官房と同省は処分内容について議論したことはなく、また、内閣及び内閣官房は同省に対し、調査や処分に関する指示や要請を行っていない。
② お尋ねの「資料」の具体的な範囲が必ずしも明らかではないが、内閣及び内閣官房は、法務省から、同省及び検事総長が黒川氏の処分について訓告を行うことが相当であると判断するに当たり作成した資料を受け取っていない。
③ 安倍内閣総理大臣及び菅内閣官房長官は、森法務大臣から、黒川氏の処分に関し、文書による報告及び説明を受けていない。

4 参議院議員小西洋之君提出黒川検事長の処分における「懲戒処分の加重要件」の違法な切り捨てに関する質問に対する答弁書(令和2年6月30日付)には以下の記載があります。
① 御指摘の①から⑤までは、「懲戒処分の指針について」(平成十二年三月三十一日付け職職-六八人事院事務総長通知)の「第二 標準例」に掲げられた処分より重くすることが考えられる場合として記載されている例であって、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第八十二条第一項に規定する懲戒処分(以下「懲戒処分」という。)を行うに当たってこれらへの該当性の有無についての検討が逐一求められるものではないところ、現時点で、黒川弘務元東京高等検察庁検事長(以下「黒川氏」という。)の非違行為についての御指摘の①の該当性の有無を検討することは考えておらず、お尋ねについてお答えすることは困難である。
→ 山中注:「ご指摘の①から⑤まで」というのは,
   人事院の「懲戒処分の指針について」(平成十二年三月三十一日職職―68)においては、「標準例に掲げる処分の種類より重いものとすることが考えられる場合」として、「① 非違行為の動機若しくは態様が極めて悪質であるとき又は非違行為の結果が極めて重大であるとき」、「② 非違行為を行った職員が管理又は監督の地位にあるなどその職責が特に高いとき」、「③ 非違行為の公務内外に及ぼす影響が特に大きいとき」、「④ 過去に類似の非違行為を行ったことを理由として懲戒処分を受けたことがあるとき」、「⑤ 処分の対象となり得る複数の異なる非違行為を行っていたとき」がある、としている。
   のことです(黒川検事長の処分における「懲戒処分の加重要件」の違法な切り捨てに関する質問主意書(令和2年6月17日付)の冒頭に書いてあります。)。
② お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の森法務大臣の答弁は、一般論として、「懲戒処分の指針について」において記載されている「非違行為の動機若しくは態様が極めて悪質であるとき又は非違行為の結果が極めて重大であるとき」について、いかなる行為がこれに該当するのかは、個別具体的な事案によることになるため、画一的にお答えすることは困難である旨を述べたものであり、御指摘の「個別の事案の処分の検討に際して」は、一、二及び十一についてで述べたとおり、これへの該当性の有無についての検討が逐一求められるものではない。
③ お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、黒川氏の処分については、処分を決するに当たり必要な調査を行った上で、「懲戒処分の指針について」の記載内容等をも踏まえ、諸般の事情を総合的に考慮して法務省の内規に基づく監督上の措置として訓告を行うことが相当であると 判断したものであって、適正な処分を行ったものと認識しており、「国家公務員法の趣旨に反する違法なもの」との御指摘は当たらない。

5 「黒川弘務東京高検検事長の賭け麻雀問題」も参照してください。

業務の再開に関するQ&A(令和2年5月1日付の最高裁判所総務局参事官の事務連絡添付の文書)

目次
第1 業務の再開に関するQ&A(令和2年5月1日付の最高裁判所総務局参事官の事務連絡添付の文書)
第2 関連記事その他

第1 業務の再開に関するQ&A(令和2年5月1日付の最高裁判所総務局参事官の事務連絡添付の文書)
・ 新型コロナウイルス感染症への対応について(令和元年5月1日付の最高裁判所総務局参事官の事務連絡)添付の,業務の再開に関するQ&Aは以下のとおりです。

業務の再開に関するQ&A

   5月7日以降の情勢は現時点では明らかではないが,緊急事態宣言が延長される可能性もあるところ,緊急事態宣言の対象地域に存する裁判所は,国の一機関として,国民の命と健康を守るため,人の接触の機会を可能な限り減らし,感染拡大防止に最大限協力することを基本的な姿勢とするべきであり,裁判所利用者に一定の不便をおかけすることにはなるが,裁判官,裁判所職員としては,緊急事態宣言の趣旨に即した行動をとることが現時点における最大の責務といえる状況にあることに変わりはない。
   したがって,緊急事態宣言の対象地域にある裁判所は,新型インフルエンザ等対応業務継続計画(BCP)に基づいて,引き続き,継続業務だけを行う縮小態勢として,その業務に必要な人員が在庁して職務を行うことが原則となるが,事態が長期化してきている中での迅速な裁判の要請や早期の権利実現の必要性等を踏まえ,事件や手続の性質,早期に判断を示す必要性等を考慮した上,現状においては実施を見送っている裁判手続のうち一定程度を再開することが考えられるところ,現在の縮小態勢を維持しつつも,一部業務の再開を検討していく上で考慮すべき基本的な事項について, Q&Aを作成したので,参考にされたい(以下は,主として民事通常部を念頭においたものであるが,その他の部署についても,各担当事件の性質及び早期実施の必要性の異同を踏まえつつ, これらを参考にして,業務の再開について検討することが考えられる。)。
   
(総論)
問1 引き続き緊急事態宣言の対象地域にある裁判所において,現在の縮小態勢を維持したうえで,一部業務の再開を検討する場合に, どのような検討が必要となるのか。
答 緊急事態宣言及び外出自粛要請が現在のレベルで継続するような場合には,現在の執務態勢を維持することが基本となるが,その場合であっても,裁判官を含む庁全体の現在の登庁人数(多くの庁では8割ないし6割減少している。)を原則としては増加させないことを前提に,可能な範囲で,縮小していた事件を一部再開することが考えられる。
   まず,庁全体でどのような種類の事件を再開すべきかを検討すべきことになるが,執行事件や破産事件,新型コロナウイルスの影響に関連して緊急性が増している事件等の再開を検討し, そのうえで,BCP上第2順位である民事訴訟事件の一部再開を検討することになる。民事訴訟事件については,次回期日に判決言渡し,和解成立,弁論終結が予定あるいは見込まれる事件などのうち,緊急性の高い事件が考えられるが(被告への意思表示を含む訴状の送達なども緊急性の高い場合があろう。) ,裁判官を含む庁全体の現在の登庁人数を原則としては増加させないことを前提に, どのような形で民事訴訟事件の一部再開を行っていくかについては,庁規模等の実情により異なるところであり,様々な方法が想定される。例えば一つの例を挙げれば,単独事件については担当裁判官の週の登庁日を1日に固定したり,隔週で週に2日登庁することとしたりするなどし(担当書記官はその日に登庁し),各庁・各部内において各裁判官の登庁する曜日等を調整した上で,登庁日にのみ再開業務を行うとすることなどが考えられる。各裁判官は,複数事件の当事者が重なることのないよう,期日の枠を30分程度以上の刻みとなるよう期日を指定することなどが考えられるが,登庁日においては,期日を開くのみならず,今後実施する予定の期日における審理・協議等のために必要となる事前準備や釈明等の当事者に対する連絡等も完了できるよう計画的に業務を処理する必要がある。また,担当書記官の登庁頻度の増加を避ける観点から,期日指定した事件の処理に係る調書作成等の書記官事務を勤務時間内に処理できるようにしなければならず,期日の終了時間等に配慮することが必要であるし, 当該登庁日に期日を実施できる件数はかなり限定する必要があると考えられるが,その範囲の中で,登庁日に緊急性の高い事件の期日を指定ができるよう調整し,期日を開くことになる。
   合議事件については,受命裁判官を活用し,必要な裁判官(例えば,裁判長と左陪席)のみが登庁して期日を行うにとどめ,期日前合議には電話会議を活用するなどして,登庁する裁判官数を減らすための工夫を最大限行うことが必要である。また,複数の合議体がある部や合議事件の比率の高い専門部・集中部において, 口頭弁論期日を開く場合など合議体の全員が登庁する日を設ける場合には,同一日に,合議の弁論準備や和解の期日,合議や単独事件の相談又は部の運営等についての意見交換を行うなどして,裁判官全員が登庁する機会を有効に活用し,トータルで登庁する裁判官の数を最少とするよう工夫することが考えられる。
   各庁・各部・各裁判体において, これらの点を十分議論したうえで,再開する具体的な事件を検討し,具体的な執務態勢を検討することが必要である。
   簡裁民事訴訟及び民事調停事件についても概ね同様の考え方によることになるが,庁によって,事件数の規模も異なり,緊急性の高い事件の状況も様々であり,人的態勢も様々であるから,庁の実情に沿った検討が必要である。緊急事態宣言や外出自粛要請の趣旨を踏まえて,単独調停の積極的な活用が考えられ,調停委員の登庁頻度等にも配慮しつつ業務の再開を検討することが考えられる。
   


問2 引き続き緊急事態宣言の対象地域であるが,仮に平日の外出自粛要請が緩和される場合には, どのような検討が必要となるのか。
答 緊急事態宣言は継続するが,平日日中の外出自粛要請が緩和されるような場合には,部署ごとに少なくとも2班に分けて交替で登庁する執務態勢をとって,問1に記載した業務を再開していくことが考えられる(なお,司法行政事務についても,再開する裁判事務を継続するために必要な範囲の事務については再開することになる。)。この場合であっても,登庁日に期日を実施できる件数はかなり限定する必要があると考えられるのは,問1に記載したとおりであり,民事訴訟事件の期日指定は,その範囲の中で検討していくことになる。
   
問3 緊急事態宣言が解除されても,都道府県の知事が独自に平日日中の外出自粛要請を続けている場合には, どのような検討が必要となるのか。
答 緊急事態宣言が解除されても,都道府県独自の外出自粛要請が継続されている場合には, その趣旨に鑑みて,裁判所における業務再開も一定の範囲に抑えるのが相当であると考えられ, この場合には,問2を参考にして,再開を検討していくことになると考えられる。
   
問4 民事通常事件等において,再開する事件の期日指定数が限られているとすると,手持事件の中で優先順位を付けることになるが, どのようにして優先順位を付けるのか。
答 どの事件を優先的に再開するかについては,各裁判体において適切に判断されるべきものであるが, まずは,次回期日に判決言渡し,和解成立,弁論終結が予定あるいは見込まれる事件などのうち,長期化することを避けなければならない緊急性の高い事件が考えられる。その他の事件については,各裁判体において,前提となる人的態勢を十分に踏まえ, 当事者の意向(要望) も聞きながら,再開可能な事件数の範囲内で,事案の性質,手続段階等の種々の考慮要素を勘案して適切に判断し,順次期日を指定していくこととなると考えられる。
   
問5 期日指定ができない事件について当事者から理由を問われることが想定されるが, どのような説明をするのか。
答 再開する事件の選定についていかなる考え方を採るにせよ,早期の再開を望む当事者や代理人弁護士から,その理由を問われる可能性がある。人の接触の機会を可能な限り減らし,感染拡大防止に最大限協力する観点から,事件を順次再開していく必要があり,担当裁判官が慎重に緊急性の度合いを判断した結果であり,早期に期日指定ができない事件の当事者等においても理解をお願いしたい旨を丁寧に説明することとなると考えられるが,裁判官と書記官の間で再開する事件の選定方針について十分に相談しておくことが必要である。
   

問6 再開された事件の期日を開く際には, どのような点に留意すべきか。
答 特に,いわゆる3密を避けるための留意点として,これまで示したもののほか, 以下のようなことを積極的に行っていくのが相当と考えられる。
◯ 電話会議(ウェブ会議)を積極的に活用し(特に,他の都道府県からの移動を伴う場合), そのために必要があれば弁論準備手続や書面による準備手続に付することも検討する。
◯ 非公開手続においても,和解室,弁論準備室のような狭い閉ざされた部屋を用いるのではなく,ラウンドテーブル法廷等可能な限り大きな部屋の活用を積極的に検討する。
◯ 口頭弁論期日においては,同一時刻に期日を指定することは原則として避け,やむを得ず複数の事件の期日を同一時刻に指定することがあるとしても,極力その数を減らすことや,傍聴席で順番を待つ機会を減らせるよう臨時の待合スペースの設営も検討する(会議室の開放等が考えられる。)。
◯ 簡裁民事訴訟については,多数の当事者が一斉に来庁したり,集中したりすることを避けるため,簡裁の特則(陳述擬制や司法委員の積極的活用,和解に代わる決定等)を活用することが考えられる。
   
(裁判官)
問7 問1の場合の裁判官の執務態勢はどうなるのか。
答 問1の場合には,基本的には現在の縮小態勢を維持することになるので, トータルとして今より登庁回数が増えないよう工夫する必要がある。問1記載のとおり,裁判官は週1日に登庁日を固定したり,隔週で週2日登庁したりすることも考えられるし,合議事件については原則として必要となる最小限の人数の登庁を求めて処理すべきであり,在宅勤務中の裁判官との間では電話会議等を活用して合議を行ったり,受命裁判官を活用して期日を進めることが考えられる。それに加えて,複数の裁判官が登庁する場合には,同一裁判体の様々な期日を入れたり,合議や単独事件の相談の時間を入れたりなど,その機会を有効に活用することで,登庁回数を抑えるのに役立てることが可能になると思われる。
   
問8 問1の場合,再開した事件の記録や提出書面の検討のため登庁が必要なので,その分,裁判官の登庁は増えても差し支えないか。
答 問1の場合には,基本的には現在の縮小態勢を維持することになるので,期日を開かない日に登庁することは厳に慎むべきことに変わりはない。登庁日を限定していることから,前の登庁日までに提出されない書面等については,裁判官は目を通すことが出来ないことを当事者に明確にして協力を求めることが必要である。
   
問9 書記官に判決起案の点検等を求めてもいいのか。
答 判決言渡期日を指定した事件について,書記官に判決起案の点検等を求めることは差し支えないが,その場合には,書記官が記録を持ち帰れないことや担当書記官の登庁日においても残業を避けるべきことにも配意し,十分な時間的余裕を持って作業を依頼することが必要である。
   
問10 再開した事件の期日を指定する場合の留意点
答 各庁において,庁としての一部再開すべき業務とその処理態勢を検討したうえで,各裁判官が,共通認識の下に,再開する事件の選択,その期日の調整や指定を行っていくことになるが,各裁判官において,十分に緊急性の度合いを検討し,前提となる人的態勢も踏まえて,期日の指定を行っていく必要がある。問1の場合はもちろん, 問2,問3の場合であっても,5月7日以降,各部における事務処理態勢の検討に相応の時間がかかることも想定されるし,再開した期日の指定や調整は,検討された事務処理態勢に応じて行われる必要があるので,いつからどのように期日の調整・指定を行うかは,庁全体で検討されるべきものと考えられる。
   庁としての方針が定まれば, ホームページ上に,必要な説明を掲載して,広く裁判所利用者に理解を求めることが相当と考えられる。
   
(書記官等)
問11 問1の場合の書記官等の執務態勢はどうなるのか。
答 問1の場合には,基本的には現在の縮小態勢を維持することになるが,期日のある日には,担当書記官が登庁することになり,現在の縮小態勢次第では,書記官の登庁する日数が増える場合もあろう.庁全体の現在の登庁人数を原則としては増加させないよう,庁全体をみて,実情に応じた態勢の構築を検討する必要がある。
   
問12 裁判官が事件処理をすれば,担当書記官が登庁しなければならないし,主任書記官に加重な負担がかかったりして,登庁人数が増えることにならないか。
答 1名の裁判官の単独事件を担当する書記官が2名いる場合には,両書記官の間で連携し, それぞれの登庁日を減らす工夫が求められる。主任書記官等のチェックが必要な和解調書等の作成については,それぞれがもともと予定している登庁日に無理なく作業を行い引継ぎができるようにしておくことが必要である。いずれにせよ,主任書記官や一部の書記官に負担が偏らないよう,公平なローテーションを構築する必要がある。
   
問13 来庁者が増えるので,書記官室での面前の対応が増え,感染リスクが増えるのではないか。
答 来庁者及び職員双方への感染拡大防止の観点から, これまで講じている感染防止措置の徹底を図るほか,特に事件受付や書記官室など近い距離で対応を行う部署においては,民間や地方公共団体で講じている感染防止のための様々な工夫について積極的に導入することなどを検討し,感染リスクの低減に努めてもらいたい。
以 上


最高裁判所の新型インフルエンザ等対応業務継続計画(平成28年6月1日付)別紙2


第2 関連記事その他
1 大阪高裁平成27年1月22日判決(裁判長は30期の森宏司裁判官)は,
   平成19年「5月24日」,兵庫県龍野高校のテニス部の練習中に発生した高校2年生の女子の熱中症事故(当日の最高気温は27度)について,
   兵庫県に対し,「元金だけで」約2億3000万円の支払を命じ,平成27年12月15日に兵庫県の上告が棄却されました(CHRISTIAN TODAY HP「龍野高校・部活で熱中症,当時高2が寝たきりに 兵庫県に2億3千万円賠償命令確定」参照)。
   その結果,兵庫県は,平成27年12月24日,3億3985万5520円を被害者代理人と思われる弁護士の預金口座に支払いました兵庫県の情報公開文書を見れば分かります。)。
2   大阪高裁平成27年1月22日判決を読む限り,高校側に何らかの法令違反があったわけではないにもかかわらず,過失相殺すら認められていません。
   また,厚生労働省HPの「職場での熱中症による死亡災害及び労働災害の発生状況(平成24年)」によれば,熱中症による死亡災害の月別発生状況(平成22~平成24年)は,6月が7件,7月が41件,8月が35件,9月が3件であり,5月は1件も発生していないにもかかわらず,兵庫県龍野高校のテニス部事故では,5月に発生した熱中症について予見可能性があると認定されました。
   そして,30期の森宏司裁判官(平成29年4月19日定年退官発令)は平成28年3月7日頃,大阪高裁民事上席裁判官に就任したことからすれば,安全配慮義務について厳格に考える裁判例は今後も継続すると思われます。
3 以下の記事も参照してください。
・ 新型コロナウイルス感染症への対応に関する最高裁判所作成の文書
・ 新型コロナウィルス感染症に準用されている感染症法,感染症法施行令及び感染症法施行規則の条文
・ 新型コロナウイルス感染症に準用されている検疫法の条文
・ 国内感染期において緊急事態宣言がされた場合の政府行動計画(新型インフルエンザの場合)
・ 裁判所職員の病気休職