弁護士山中理司

河野文彦裁判官(64期)の経歴

生年月日 S60.2.9
出身大学 不明
定年退官発令予定日 R32.2.9
R4.4.1 ~ 新潟家地裁判事
R4.1.16 ~ R4.3.31 札幌地裁5民判事
H31.4.1 ~ R4.1.15 札幌地家裁判事補
H28.8.2 ~ H31.3.31 大阪家地裁判事補
H26.4.1 ~ H28.8.1 静岡地家裁判事補
H24.1.16 ~ H26.3.31 静岡地裁判事補

*0 64期の河野文彦裁判官及び66期の河野明日香裁判官の勤務場所は似ていますところ,66期の河野明日香裁判官が平成28年4月1日に静岡地家裁判事補になった時点の氏名は「小澤明日香」でした。
*1の1 札幌地裁令和4年3月25日判決51期の廣瀬孝64期の河野文彦及び71期の佐藤克郎)は,「原告らが、街頭演説に対して路上等から「安倍辞めろ」、「増税反対」などと声を上げたところ、北海道警察の警察官らに肩や腕などをつかまれて移動させられたり、長時間にわたって付きまとわれたりしたと主張して、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償を求める事案」において,北海道に対し,合計88万円の支払を命じました。
    ただし,安倍首相(当時)の演説車両に向かって突然,走り出した人物に対して警察官が正面から抱き止めて制止した上,肩や腕をつかんで移動させた行為については,警察官職務執行法5条の犯罪予防制止行為として適法であると判断しました(弁護士ドットコムニュースの「安倍元首相の警備に「ヤジ排除」地裁判決は影響したか? 元警察官僚の弁護士の見方」(2022年7月13日付)参照)。


*1の2 東京弁護士会HPに載ってある選挙演説の際の市民に対する警察権行使について是正を求める意見書(令和元年9月9日付)の「意見の趣旨」は以下のとおりです(1ないし3を①ないし③に変えています。)。
① 北海道警察が、2019年7月の参議院議員選挙期間中の札幌市内の街頭演説において、「増税反対」などと叫んだ市民や年金制度批判のプラカードを平穏に掲げようとした市民の行動等を警察官らが排除したり阻止したりしたことは、憲法第21条第1項、警察官職務執行法第5条、警察法第2条第2項等に違反するので、これらの警察活動に抗議し、今後このような警察活動が二度と繰り返されることのないよう求める。
② 北海道警察が、同年8月、札幌市内で上記排除行為ないし阻止行為に抗議する市民デモが行われた際にデモ参加者をビデオカメラで撮影したことは、憲法第13条、第35条に反するので、これに抗議し、撮影した情報の削除を求めるとともに、今後このような警察活動が二度と繰り返されることのないよう求める。
③ 警察庁が、今後選挙期間中に違法な警察活動が行われないよう、都道府県警に対して適切な指導をすることを求める。


*2の1 伊藤博文枢密院議長(元首相)は,1909年10月26日午前,中国黒竜江省のハルビン駅において,群衆を装って近づいた安重根(あんじゅうこん)によりピストルで3発の銃弾を受けて暗殺されました。
*2の2 第一次世界大戦の引き金となった1914年6月28日発生のサラエボ事件では,オーストリア皇太子夫妻の暗殺犯は至近距離からピストルを発砲しています(ハフポストHPの「サラエボ事件から100年 第一次世界大戦の引き金となった暗殺を写真で振り返る」参照)。
    そして,同年7月23日のオーストリア最後通牒に対し,セルビアが10項目のうちの2項目について留保したことから,同月28日,オーストリアがセルビアに対して宣戦布告して,第一次世界大戦が開始しました(Wikipediaの「第一次世界大戦の原因」が非常に参考になります。)。
*2の3 1921年11月4日発生の原敬首相襲撃事件,及び1930年11月14日発生の濱口雄幸首相襲撃事件はいずれも東京駅で発生しました(おたくま経済新聞HP「東京駅に残るテロの歴史 2つの「首相遭難現場」を訪ねる」参照)。


*2の4 暗殺されたアメリカの大統領は4人ですが,ケネディ大統領以外の3人は至近距離からピストルで発砲されていますし,そのうちの2人は背後から発砲されています。
*2の5 産経新聞HPの「警備態勢、身内も批判 接近も制止せず…かばう姿なし」(令和4年7月9日付)には,「対策として警察幹部は、①聴衆との十分な距離の確保②不審者の早期発見③警戒区域を分担することによる責任の明確化-を挙げる。」と書いてあります。


*3 令和元年6月13日付の最高裁判所事務総長の理由説明書には以下の記載があります。
    最高裁判所は,我が国唯一の最上級裁判所として裁判手続及び司法行政を行う機関であり,最高裁判所判事や事務総局の各局課館長は,裁判所の重大な職務を担う要人として,襲撃の対象となるおそれが高く,その重大な職務が全うされるように,最高裁判所の庁舎全体に極めて高度なセキュリティを確保する必要がある。そのため,最高裁判所では,各門扉に警備員を配し,一般的に公開されている法廷等の部分を除き,許可のない者の入構を禁止している。
    この点,本件対象文書中,原判断において不開示とした部分は,各門における入構方法に関する具体的な運用が記載されており, この情報を公にすると警備レベルの低下を招くことになり,警備事務の適正な遂行に支障を及ぼすことになるから, 当該部分は,行政機関情報公開法第5条第6号に定める不開示情報に相当する。
    よって,原判断は相当である。


*4の1 令和4年4月18日発効の日弁連の懲戒処分では,弁護士が自分のHPのコラムに,PTAに関する憲法学者Aの言動を批判する記事中に「A(氏名)のA(名前)はなんとお読みするのでしょう。PTAをクサすから,●●●でしょうか。頭がクサっているから、●●●に違いない。●●●なら、クソだ、まではすぐ。」と記載したことに対し,Aからの懲戒請求及び日弁連に対する異議の申出に基づき,戒告の懲戒処分が下りました(自由と正義2022年6月号90頁及び91頁,及び「◯◯◯◯教授に懲戒請求された◯◯◯◯弁護士のゴミ記事」参照)。
    なお,当該懲戒処分の理由の一つとして「研究者や著名人であっても侮辱により名誉感情を害されることについてはそれ以外の人と差異がない」という記載があります。
*4の2 いわき総合法律事務所HP「裁判官の「表現の自由」を考える」によれば,2018年9月16日付の沖縄タイムスには,首都大学東京の木村草太教授のコメントとして,「判事も一人の個人であり、人権がある。表現の自由を侵害する脅迫や懲戒申し立てことこそが、裁判官の「品位を辱める行状」ではないか。今回、懲戒処分を受けるべきは、岡口判事ではなく、林長官ではないだろうか。」が掲載されていたみたいです。


*5の1 以下の資料を掲載しています。
・ 裁判所の敷地内において加害行為が発生した際の留意点について(平成28年8月23日付の最高裁判所総務局参事官の事務連絡)
・ 平成31年3月20日に東京家裁で発生した殺人事件に関して東京家裁が作成し,又は取得した文書


*5の2 以下の記事も参照してください。
 最高裁判所裁判官及び事務総局の各局課長は襲撃の対象となるおそれが高いこと等
→ 「暗殺された日本の首相又は元首相の一覧」もあります。
・ 平成 5年4月27日発生の,東京地裁構内の殺人事件に関する国会答弁
 平成31年3月20日発生の,東京家裁前の殺人事件に関する国会答弁
・ 裁判所の所持品検査
・ 全国の下級裁判所における所持品検査の実施状況
・ 裁判所の所持品検査
・ 全国の下級裁判所における所持品検査の実施状況
・ マル特無期事件
・ 裁判所関係国賠事件

山中洋美裁判官(58期)の経歴

生年月日 S53.8.31
出身大学 大阪大
定年退官発令予定日 R25.8.31
R5.4.1 ~ 大阪地裁5民判事(労働部)
R2.4.1 ~ R5.3.31 鳥取家地裁米子支部判事
H29.4.1 ~ R2.3.31 大阪地裁16民判事
H27.10.16 ~ H29.3.31 福岡地裁5民判事
H26.10.1 ~ H27.10.15 福岡地家裁判事補
H24.4.1 ~ H26.9.30 広島地家裁判事補
H21.4.1 ~ H24.3.31 水戸地家裁土浦支部判事補
H17.10.16 ~ H21.3.31 岡山地裁判事補

*1 58期の山中耕一裁判官と58期の山中洋美裁判官の勤務場所は似ていますところ,58期の山中洋美裁判官につき,平成17年10月16日に岡山地裁判事補になった時点の氏名は「松岡洋美」でした。
*2 以下の記事も参照してください。
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部

山中耕一裁判官(58期)の経歴

生年月日 S54.2.28
出身大学 不明
定年退官発令予定日 R26.2.28
R5.4.1 ~ 大阪地裁24民判事
R2.4.1 ~ R5.3.31 松江家地裁判事
H29.4.1 ~ R2.3.31 京都地裁4民判事(交通部)
H27.10.16 ~ H29.3.31 福岡地家裁小倉支部判事
H26.4.1 ~ H27.10.15 福岡地家裁小倉支部判事補
H23.4.1 ~ H26.3.31 広島家地裁判事補
H20.4.1 ~ H23.3.31 千葉地家裁松戸支部判事補
H17.10.16 ~ H20.3.31 大阪地裁判事補

*1 58期の山中耕一裁判官と58期の山中洋美裁判官の勤務場所は似ていますところ,58期の山中洋美裁判官につき,平成17年10月16日に岡山地裁判事補になった時点の氏名は「松岡洋美」でした。
*2 以下の記事も参照してください。
・ 地方裁判所の専門部及び集中部
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部
*3 大阪地裁令和6年5月31日判決(担当裁判官は58期の山中耕一)は,インターネットの地図サービス「グーグルマップ」の口コミに一方的な悪評を投稿して名誉を毀損したとして、兵庫県尼崎市で眼科を運営する医療法人が、投稿者に口コミの削除と200万円の損害賠償を求めた訴訟において,請求どおり口コミの削除と損害賠償を命じました(産経新聞HPの「「勝手に目にレンズ。最悪」グーグルマップに悪評口コミ、投稿者に200万円の賠償命令」参照)。
*3 58期の山中耕一裁判官は,判例タイムズ2025年5月号に「弁護士費用・調査費用が損害として認められる範囲」を寄稿しています。

山中仁美裁判官(63期)の経歴

生年月日 S59.5.14
出身大学 不明
定年退官発令予定日 R31.5.14
R7.4.1 ~ 最高裁家庭局付
R5.8.2 ~ R7.3.31 東京地裁44民判事
R3.4.1 ~ R5.8.1 最高裁家庭局付
R3.1.16 ~ R3.3.31 津地家裁四日市支部判事
H31.4.1 ~ R3.1.15 津地家裁四日市支部判事補
H28.4.1 ~ H31.3.31 法務省民事局付
H25.4.1 ~ H28.3.31 東京地家裁判事補
H23.1.16 ~ H25.3.31 東京地裁判事補

*1 津田塾大学学芸学部国際関係学科を卒業し,津田塾大学大学院国際関係研究科修士課程を修了し,国際関係学及び国際政治史を専門とした平成26年9月に永眠した山中仁美とは別の人です(ナカニシヤ出版HP「山中仁美」参照)。
*2 以下の記事も参照してください。
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部
・ 判事補の外部経験の概要
・ 行政機関等への出向裁判官
・ 判検交流に関する内閣等の答弁

太田雅之裁判官(56期)の経歴

生年月日 S53.12.14
出身大学 不明
定年退官発令予定日 R25.12.14
R7.4.1 ~ 札幌地裁5民判事
R4.4.1 ~ R7.3.31 奈良地家裁判事
R2.4.1 ~ R4.3.31 札幌地裁1民判事
H30.4.1 ~ R2.3.31 札幌地裁4民判事
H28.4.1 ~ H30.3.31 東京地裁11刑判事
H27.4.1 ~ H28.3.31 東京地裁14刑判事(令状部)
H25.10.16 ~ H27.3.31 秋田地家裁判事
H24.4.1 ~ H25.10.15 秋田地家裁判事補
H21.4.1 ~ H24.3.31 神戸地家裁姫路支部判事補
H15.10.16 ~ H21.3.31 横浜地裁判事補

* 以下の記事も参照して下さい。
・ 司法修習生の給費制,貸与制及び修習給付金
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部


文書事務における知識付与を行うためのツールの改訂版(平成31年3月7日付の配布文書)からの抜粋でありますところ,これによれば,法令の解釈を示す司法行政文書は「通達」ですから,修習給付金案内が法令の解釈を示す司法行政文書ということはできないと思います。


司法修習生に対する修習資金及び修習専念資金の貸与・返済状況等に関するデータの提供について(日弁連事務総長に対する,令和2年11月16日付の最高裁総務局長回答)の別紙です。

竹下慶裁判官(60期)の経歴

生年月日 S56.2.20
出身大学 東大院
定年退官発令予定日 R28.2.20
R6.8.5 ~ 法務省民事局参事官
R4.4.28 ~ R6.8.4 仙台高裁1民判事
R2.10.1 ~ R4.4.27 東京地裁20民判事(破産再生部)
H28.4.1 ~ R2.9.30 法務省民事局付
H25.8.9 ~ H28.3.31 札幌地家裁判事補
H22.4.1 ~ H25.8.8 静岡家地裁判事補
H20.1.16 ~ H22.3.31 静岡地裁判事補

* 以下の記事も参照してください。
・ 部の事務を総括する裁判官の名簿(昭和37年度以降)
・ 判事補の外部経験の概要
・ 行政機関等への出向裁判官
・ 判検交流に関する内閣等の答弁

高嶋美穂裁判官(66期)の経歴

生年月日 S61.8.25
出身大学 京大院
退官時の年齢 35歳
R4.4.15 依願退官
H31.4.1 ~ R4.4.14 大阪家地裁堺支部判事補
H28.4.1 ~ H31.3.31 神戸地家裁判事補
H26.1.16 ~ H28.3.31 神戸地裁判事補

*1 平成26年1月16日に神戸地裁判事補になった時点では「杉浜美穂」でしたが,平成28年4月1日に神戸地家裁判事補になった時点では「高嶋美穂」になっていました。
*2 以下の記事も参照してください。
・ 判事補時代に退官した元裁判官の名簿(令和時代)
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部

増田定義裁判官(17期)の経歴

生年月日 S12.10.6
出身大学 不明
退官時の年齢 62 歳
R4.2.14 瑞宝小綬章
H12.4.1 依願退官
H5.4.1 ~ H12.3.31 広島家裁判事
S62.4.1 ~ H5.3.31 広島地家裁尾道支部長
S57.4.1 ~ S62.3.31 広島地家裁判事
S55.4.1 ~ S57.3.31 広島地裁判事
S52.4.1 ~ S55.3.31 山口地家裁柳井支部判事
S50.4.9 ~ S52.3.31 鹿児島地家裁判事
S49.4.1 ~ S50.4.8 鹿児島地家裁判事補
S46.4.1 ~ S49.3.31 大阪地裁判事補
S43.4.1 ~ S46.3.31 山口地家裁岩国支部判事補
S40.4.9 ~ S43.3.31 神戸地裁判事補

* 以下の記事も参照してください。
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部

荒木勝己裁判官(12期)の経歴

生年月日 S2.10.10
出身大学 中央大
退官時の年齢 65 歳
H4.10.10 定年退官
H2.4.1 ~ H4.10.9 東京高裁5刑判事
S63.4.1 ~ H2.3.31 福岡地裁3刑部総括
S59.4.1 ~ S63.3.31 熊本地裁1刑部総括
S55.4.8 ~ S59.3.31 東京高裁判事
S52.4.1 ~ S55.4.7 千葉地裁判事
S49.4.1 ~ S52.3.31 横浜地裁判事
S48.4.2 ~ S49.3.31 長崎地裁刑事部部総括
S45.4.8 ~ S48.4.1 長崎地家裁判事
S44.6.16 ~ S45.4.7 長崎地家裁判事補
S41.4.1 ~ S44.6.15 東京地裁判事補
S38.5.1 ~ S41.3.31 名古屋地家裁一宮支部判事補
S35.4.8 ~ S38.4.30 新潟地家裁判事補

*1の1 松橋事件(昭和60年1月,熊本県下益城郡松橋町(現在の宇城市)で発生した殺人事件)につき,熊本地裁昭和61年12月22日判決(裁判長は12期の荒木勝己裁判官)は懲役13年を言い渡し,福岡高裁昭和63年6月2日判決(裁判長は2期の生田謙二裁判官)は被告人の控訴を棄却し,最高裁平成2年1月26日決定(裁判長は高輪2期の大内恒夫裁判官)は被告人の上告を棄却しました。
*1の2 平成24年3月12日に再審請求があり,熊本地裁平成28年6月30日決定(裁判長は44期の溝国禎久裁判官)が再審開始を決定し,福岡高裁平成29年11月29日決定(裁判長は32期の山口雅高裁判官)が検察官の即時抗告を棄却し,最高裁平成30年10月10日決定(裁判長は32期の菅野博之裁判官)が検察官の特別抗告を棄却し,熊本地裁平成31年3月28日決定(裁判長は44期の溝国禎久裁判官)が再審無罪を言い渡しました。
*1の3 2019年10月3日の日弁連人権擁護大会シンポジウム第3分科会基調報告書 末尾60頁ないし63頁に松橋事件のことが書いてあります。
*2 以下の記事も参照してください。
・ 部の事務を総括する裁判官の名簿(昭和37年度以降)
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部

榎本豊三郎裁判官(21期)の経歴

生年月日 S6.1.12
出身大学 中央大
退官時の年齢 59 歳
H2.4.1 依願退官
S63.4.1 ~ H2.3.31 横浜地家裁川崎支部判事
S59.4.1 ~ S63.3.31 水戸地家裁土浦支部判事
S57.4.1 ~ S59.3.31 静岡地家裁判事
S55.4.1 ~ S57.3.31 静岡家地裁判事
S54.4.8 ~ S55.3.31 鹿児島地家裁川内支部判事
S52.4.1 ~ S54.4.7 鹿児島地家裁川内支部判事補
S49.4.1 ~ S52.3.31 東京地家裁八王子支部判事補
S44.4.8 ~ S49.3.31 静岡簡裁判事

*1の1 布川事件(昭和42年8月30日の朝,茨城県北相馬郡利根町布川で,独り暮らしだった大工の男性(当時62歳)が,仕事を依頼しに来た近所の人によって自宅8畳間で他殺体で発見された事件)について昭和58年12月23日に第1次再審請求申立てがありましたところ,水戸地裁土浦支部昭和62年3月31日(裁判長は21期の榎本豊三郎裁判官)は再審請求を棄却し,東京高裁昭和63年2月22日決定(裁判長は7期の小野幹雄裁判官)は弁護側の即時抗告を棄却し,最高裁平成4年9月9日決定(裁判長は3期の大堀誠一裁判官)は弁護側の特別抗告を棄却しました。
    平成13年12月6日に第2次再審請求がありましたところ,水戸地裁土浦支部平成17年9月21日決定(裁判長は32期の彦坂孝孔裁判官)は再審開始決定を出し,東京高裁平成20年7月14日決定(裁判長は22期の門野博裁判官)は検察側の即時抗告を棄却し,最高裁平成21年12月14日決定(裁判長は竹内行夫裁判官)は検察側の特別抗告を棄却しました。
*1の2 水戸地裁土浦支部平成23年5月23日判決(判例秘書に掲載。裁判長は47期の神田大助,陪席裁判官は52期の朝倉(吉田)静香及び59期の信夫絵里子)は,布川事件について,再審無罪を言い渡しました。
*1の3 2019年10月3日の日弁連人権擁護大会シンポジウム第3分科会基調報告書 末尾56頁ないし60頁に布川事件のことが書いてあります。
*2 以下の記事も参照してください。
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部

文書鑑定

目次
1 文書鑑定の種類
2 筆跡鑑定に関する裁判例等
3 筆跡鑑定に関する最高裁平成17年3月16日決定
4 筆跡鑑定の精度が高まるための条件
5 筆跡鑑定業者
6 関連記事その他

1 文書鑑定の種類
・ 文書鑑定の種類としては以下のものがあります(科学警察研究所HP「情報科学第二研究室」参照)。
① 筆者識別
・ 誰が書いたかわからない筆跡と,誰が書いたかわかっている筆跡を比較して両者が同じ人によって書かれたかどうかを識別すること。
② 印影鑑定
・ 文書中の印影が偽造されているかどうかの鑑定
③ 不明文字鑑定
・ 塗りつぶされて見えなくなった文字を検出する鑑定
④ 事務機文字鑑定
・ プリンタで印字された文書から、その文書の作成に用いられた機種を識別する鑑定
⑤ 印刷物鑑定
・ 有価証券やパスポートなどの印刷物が偽造されたものかどうかの鑑定

2 筆跡鑑定に関する裁判例及びその評釈
(1) 最高裁昭和40年2月21日決定は,筆跡鑑定に関して以下の判示をしています。
    いわゆる伝統的筆跡鑑定方法は、多分に鑑定人の経験と感に頼るところがあり、ことの性質上、その証明力には自ら限界があるとしても、そのことから直ちに、この鑑定方法が非科学的で、不合理であるということはできないのであつて、筆跡鑑定におけるこれまでの経験の集積と、その経験によつて裏付けられた判断は、鑑定人の単なる主観にすぎないもの、といえないことはもちろんである。
    したがつて、事実審裁判所の自由心証によつて、これを罪証に供すると否とは、その専権に属することがらであるといわなければならない。
(2) 東京高裁平成12年10月26日判決(判例秘書に掲載)は,筆跡鑑定に関して以下の判示をしています。
   筆跡の鑑定は、科学的な検証を経ていないというその性質上、その証明力に限界があり、特に異なる者の筆になる旨を積極的にいう鑑定の証明力については、疑問なことが多い。
   したがって、筆跡鑑定には、他の証拠に優越するような証拠価値が一般的にあるのではないことに留意して、事案の総合的な分析検討をゆるがせにすることはできない。
(3) 「筆跡鑑定…一緒に問題解決しましょう。あなたに寄り添うトラスト筆跡鑑定研究所です。」ブログ「この判例はいかがなものか」には,筆跡鑑定に関して以下の記載があります。
    過去から現在に至るまで,裁判所に鑑定書を数多く提出している鑑定人の数は,おそらく30名にも満たない。
    この30名程度、ましてや資格もないどこの馬の骨かもわからない者の作成した鑑定書を読んで「筆跡鑑定の証明力には限界がある」との最高裁や東京高裁の判断は,データもエビデンスもない裁判官の心証から形成された何ら証明力のないものではないのか。また,科学の分野を心証で判断することは誤りではないのか。

3 筆跡鑑定に関する最高裁平成17年3月16日決定
・ 狭山事件に関する最高裁平成17年3月16日決定(判例秘書に掲載)は筆跡鑑定について以下の判示をしています(結論としては,別人の筆跡であるという筆跡鑑定の信用性を否定しています。)。
① (山中注:運筆の連続等の点は)経験上,作成すべき文書の性質・内容,作成時の状況,書き手の心理状態により変化し得るものであり,必ずしも書き癖として固定しているとは限らないものである。
② (山中注:画数の少ない模写の容易な漢字は,)漢字の表記能力が低い者であっても,練習(書き損じ)を経ることにより活字体の字形から離れた勢いのある筆跡となることも十分にあり得るところである。
③ ◯◯意見書によれば,異同比率(山中注:対照特徴総数中に見られる同一特徴の百分比)に基づく上記の鑑定方法では,被検文書と対照文書との間に,最低4文字以上の共通同一漢字があることが望ましいというところ,脅迫状と上申書とに共通し,異同比率算出の基礎にし得た漢字は,「月」「日」「時」の3文字にすぎず,共通漢数字の「五」を加えてやっと4文字になる程度であり,基礎資料として量的な問題があることは◯◯意見書も自認するところである。
④ 漢字の出現率,誤用,当て字と誤字,漢字の熟知性の相違の点は,無意識に表れる書き癖とは異なり,同一人が作成する場合でも,参考書物,練習・清書の有無,それらを作成した際の心理状態等により異なり得るものであるから,必ずしも異同鑑別の上での決定的基準にはならないと考えられる。
⑤ 一般に,用字,表記,筆圧,筆勢,書字の巧拙等は,その書く環境,書き手の立場,心理状態などにより多分に影響され得るのであるから,これらの諸条件を捨象し,該当文字等の出現頻度や,筆勢等に影響される字画の連続という限られた特徴点のみに着目して統計的処理を行い,これを判断基礎とすることが理論的に相当であるか疑問があるといわざるを得ない。
⑥ 脅迫状の文章は句読点を用いているといっても,おおむね各行の終わりに句点が付されているにすぎず,マルとダッシュの点も含め,その作成に高度の表記能力を要するものとはいえない。詩文に精通した者でなければ強調すべき文字を大きく書くことはないというに至っては独自の見解というほかはない。

4 筆跡鑑定の精度が高まるための条件
    筆跡鑑定の場合,遺言書や契約書を鑑定資料といい,対照したい人物が書いた文字資料を対照資料といいますところ,以下の条件に該当するものが多いほど筆跡鑑定の精度が高まります(税経通信2022年6月号108頁)。
・ 鑑定資料と対照資料に共通文字が多種・多数書かれている。
・ 鑑定資料と対照資料の筆記時期が近しい。
・ 鑑定資料と対象資料に書かれた筆記速度が同程度である。
・ 鑑定資料と対象資料は同じような筆記用具で書かれている。
・ 鑑定資料と対象資料が原本である。

5 筆跡鑑定業者
(1) 「遺言能力鑑定と筆跡鑑定」では,以下の4つの筆跡鑑定業者が紹介されています(税経通信2022年6月号109頁)。
① トラスト筆跡鑑定研究所(神奈川県相模原市中央区淵野辺)
② 田村鑑定調査(神奈川県横浜市泉区和泉中央北)
③ 一般社団法人日本筆跡鑑定人協会(神奈川県横浜市青葉区藤が丘)
④ 株式会社齋藤鑑識証明研究所(栃木県宇都宮市竹林町)
(2) 法科学鑑定研究所(ALFS)でも筆跡鑑定をしています(法科学鑑定研究所HPの「筆跡鑑定」参照)。

6 関連記事その他
(1) 公正証書遺言の場合,筆記具としてフェルトペンで書かれることが多いといわれていますところ,フェルトペンは滲むため,フェルトペンで書かれた署名については,字画形態,字画構成,筆順,筆圧,筆勢等の判断に基づく筆跡鑑定が難しくなります(税経通信2022年6月号109頁)。
(2) 署名については,親族であればよく見ているから偽造しやすいし,何度も練習すれば模倣することは容易であるともいわれます(税経通信2022年6月号109頁)。
(3)ア 東京地裁平成6年7月20日判決(判例秘書に掲載)は,同一遺言者の自筆証書遺言については筆跡鑑定の結果等に基づき無効としたが,公正証書遺言については右鑑定の結果を採用せずに有効とした事例です。
イ 仙台高裁令和3年1月13日判決(判例秘書に掲載)は,結論を異にする複数の私的筆跡鑑定の信用性を分析・評価し,遺言書の発見・保管等に係る関係者の供述の信用性をも検討して,遺言書の自書性を否定し,自筆証書遺言を無効とした事例です。
(4) 以下の記事も参照してください。
・ 処分証書及び報告文書
・ 二段の推定
・ 陳述書の機能及び裁判官の心証形成
・ 陳述書作成の注意点
 新様式判決
 裁判所が考えるところの,人証に基づく心証形成
 尋問の必要性等に関する東京高裁部総括の講演での発言
・ 通常は信用性を有する私文書と陳述書との違い

二段の推定

目次
第1 二段の推定
1 総論
2 二段の推定における実印及び認印の違い
3 二段の推定が特に重要となる場合
4 二段の推定により証明の負担が軽減される程度
5 事例判例
第2 作成者の判断能力と文書成立の真正
第3 二段の推定以外に,文書の成立の真正を証明する手段の確保方法
第4 ハンコ
第5 平成30年の民法(相続法)改正で押印要件が維持された理由
第6 関連記事その他

第1 二段の推定
1 総論
(1) 二段の推定とは,私文書の作成名義人の印影が当該名義人の印章によって顕出されたものである場合,反証のない限り,当該印影は本人の意思に基づいて顕出されたものと事実上推定されますから,民訴法228条4項により,当該文書が真正に成立したものと推定されることをいいます(最高裁昭和39年5月12日判決参照)。
(2) 民訴法228条4項は,「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」と定めています。
2 二段の推定における実印及び認印の違い
(1) 当該名義人の印章とは,印鑑登録をされている実印のみをさすものではありませんが,当該名義人の印章であることを要し,名義人が他の者と共有,共用している印章はこれに含まれません(最高裁昭和50年6月12日判決(判例秘書に掲載)参照)。
(2) 文書への押印を相手方から得る際,その印影に係る印鑑証明書を得ていれば,その印鑑証明書をもって,印影と作成名義人の印章の一致を証明することは容易であることとなります。
    また,押印されたものが実印であれば,押印時に印鑑証明書を得ていなくても,その他の手段(例えば,訴訟提起後に利用できる裁判所の文書送付嘱託)により事後的に印鑑証明書を入手すれば,その印鑑証明書をもって,印影と作成名義人の印章の一致を証明することができます。
(3)ア 「ステップアップ民事事実認定 第2版」151頁には以下の記載があります。
    実印は慎重に保管されているから,それが本人の意思に基づかないで押される可能性は,実印以外の印章の場合よりも低いということですね。ただ,一般的にはそういう場合が多いでしょうが,どの印章がどの程度慎重に保管されているかは,ケース・バイ・ケースというほかありませんから,具体的な事情次第で,推定力の強さは変わります。単純に「実印の推定力は強い」と暗記し,無批判にそれに従うというのは,やめた方がよいと思います。
イ 仙台高裁令和3年1月13日判決(判例秘書に掲載)は,「一般に,作成名義人の実印が押印されている文書について名義人が押印したものと事実上推定されるのは,実印は慎重に管理されており,第三者が容易に押印することができないという経験則を根拠とするものである」と判示しています。
(4) 総務省HPに「印鑑の登録及び証明に関する事務について」(昭和49年2月1日付の自治省行政局振興課長の通知)の抜粋が載っています。
3 二段の推定が特に重要となる場合
   二段の推定は,文書の真正な成立を推定するに過ぎないのであって,その文書が事実の証明にどこまで役立つのか(=作成名義人によってその文書に示された内容が信用できるものであるか)といった中身の問題は別の問題となります。
   そのため,二段の推定が特に重要となるのは,原則としてその記載通りの事実が認定される処分証書,及び高度の信用性を有する報告文書の場合となります。
4 二段の推定により証明の負担が軽減される程度
    二段の推定により証明の負担が軽減される程度は,以下のとおり限定的です。
① 推定である以上、印章の盗用や冒用などにより他人がその印章を利用した可能性があるなどの反証が相手方からなされた場合,その推定が破られることがあります。
② 印影と作成名義人の印章が一致することの立証は,実印である場合には印鑑証明書を得ることにより一定程度容易であるものの,いわゆる認印の場合には事実上困難となることがあります。
5 事例判例
     二段の推定のうち第一段目の推定を覆すに足りる事実の有無が具体的事案に即して判断されたものとして,最高裁平成23年11月24日判決(判例時報2161号21頁ないし23頁)があります。

第2 作成者の判断能力と文書成立の真正
1 契約に基づく履行請求等の事案で,本人の押印がある契約書等の文書に関し,本人は高齢で判断能力がなかった, 又は一定程度低下していたという主張の取扱いは以下のとおりです。
① 請求原因事実に当たる契約締結等の法律行為はしたものの,その当時意思能力がなかったことにより無効である(民法3条の2)という主張である場合,抗弁となります。
② 判断能力の低下を理由に直接証拠に当たる文書が真正に成立していないという主張である場合,(a)印鑑の冒用や盗用等の事実を推認させる事情に関する主張と位置づけられたり,(b)たとえ本人の押印があっても本人の「意思」に基づく顕出ではないから,一段目の推定が及ばないという主張と位置づけられたり,(c)文書の意味内容を理解していなかったので,意思に基づいて顕出されていたとしても,文書作成の真正は認められない,つまり,二段目の推定が及ばないという主張と位置づけられたりします。
     ただし,外形的な表示行為ができる程度の判断能力を持って文書を作成すれば,その文書は契約成立を立証することが可能なもの,つまり,形式的証拠力があるものといえますから,(c)の主張によって契約成立自体を否定することはできないと思われます。
2 「ステップアップ民事事実認定 第2版」272頁を参照しています。


第3 二段の推定以外に,文書の成立の真正を証明する手段の確保方法
   内閣府HPの「規制改革の公表資料」として掲載されている「押印についてのQ&A」には以下の記載があります。
・ 次のような様々な立証手段を確保しておき、それを利用することが考えられる。
① 継続的な取引関係がある場合
    取引先とのメールのメールアドレス・本文及び日時等、送受信記録の保存(請求書、納品書、検収書、領収書、確認書等は、このような方法の保存のみでも、文書の成立の真正が認められる重要な一事情になり得ると考えられる。)
② 新規に取引関係に入る場合
    契約締結前段階での本人確認情報(氏名・住所等及びその根拠資料としての運転免許証など)の記録・保存
    本人確認情報の入手過程(郵送受付やメールでの PDF 送付)の記録・保存
    文書や契約の成立過程(メールや SNS 上のやり取り)の保存
③ 電子署名や電子認証サービスの活用(利用時のログイン ID・日時や認証結果などを記録・保存できるサービスを含む。)
・  上記①、②については、文書の成立の真正が争われた場合であっても、例えば下記の方法により、その立証が更に容易になり得ると考えられる。また、こういった方法は技術進歩により更に多様化していくことが想定される。
(a) メールにより契約を締結することを事前に合意した場合の当該合意の保存
(b) PDF にパスワードを設定
(c) (b)の PDF をメールで送付する際、パスワードを携帯電話等の別経路で伝達
(d) 複数者宛のメール送信(担当者に加え、法務担当部長や取締役等の決裁権者を宛先に含める等)
(e) PDF を含む送信メール及びその送受信記録の長期保存


第4 ハンコ
1 印章はハンコの物体としての呼称であり,印影はハンコを紙に押したときに残る朱肉の跡のことであり,印鑑は実印・銀行印等の登録したハンコの印影のことでありますものの,「印鑑」が「印章」という意味で使われることもあります(印鑑うんちく事典HP「印鑑とは」参照)。
2(1) 個人の実印とは,市区町村の役所に登録した個人のハンコのことであり,個人の銀行印とは,金融機関に登録した個人のハンコのことであり,認印とは,届出をしていない個人のハンコのことです。
(2) マイナンバーカードを持っている場合,コンビニで住民票及び印鑑登録証明書を取得できます(大阪市HPの「証明書のコンビニ交付サービスを実施しています~住民票の写し等はコンビニ交付がお得で便利!~」参照)。
3(1) 代表者印は,会社が法務局に登録をした印鑑のことであり,会社実印となります(印鑑うんちく事典HP「代表者印(丸印)とは?会社実印を作るときのポイントを解説」参照)。
(2) Great Signに「契約における代理印鑑とは?押印方法や有効性について説明します」が載っています。
4 内閣府HPに「書面規制、押印、対面規制の見直し・電子署名の活用促進について」が載っています。

第5 平成30年の民法(相続法)改正で押印要件が維持された理由
・ デジタル技術を活用した遺言制度の在り方に関する研究会報告書(案)37頁及び38頁には以下の記載があります。
    平成30年民法(相続法)改正により、自筆証書遺言の方式要件が緩和され、自筆証書に財産目録を添付する場合には、その目録については自書を要しないこととされた。これに先立ち行われた法制審議会民法(相続関係)部会における調査審議では、併せて、押印要件を廃止する見直しをすることや、加除その他の変更の要件について、署名又は押印の一方のみで足りるとする見直しをすることが提案されたが、押印は遺言書の下書きと完成品を区別する上で重要な機能を果たしており、これを不要とすることは必ずしも相当でないとの指摘や、加除その他の変更につき署名又は押印のみでは偽造・変造のリスクが高まるなどの指摘があったことなどから、それらの要件についてはいずれも維持された。


第6 関連記事その他
1 判例時報2570号(令和5年12月1日号)19頁には以下の記載があります。
    私文書の真正な成立に関するいわゆる二段の推定については、最三判昭39・5・12民集18・4・597、本誌376・27が影響力の強い先例として定着しており、特に簡易迅速な処理を旨とする手形・小切手訴訟において、手形行為等の成立の濫用的な否認を牽制する法理として大いに活用された。
2(1) 自己の権利義務に関する事項を記載した書面に署名押印した者は,特段の事情がない限り,その書面の記載内容を了解して,これに署名捺印したものと推認されます(最高裁昭和38年7月30日判決参照)。
(2)  保険契約者が,保険会社の普通保険約款を承認のうえ保険契約を申し込む旨の文言が記載されている保険契約の申込書を作成して保険契約を締結したときは,反証のない限り,たとい保険契約者が盲目であって,右約款の内容を告げられず,これを知らなかったとしても,なお右約款による意思があつたものと推定されます(最高裁昭和42年10月24日判決)。
3 大阪高裁令和4年6月30日判決(判例時報2570号)は,「信用保証協会に対する保証委託契約上の求償金等債務を連帯保証する旨の保証契約につき、連帯保証人名下の印影は名義人の実印によるものであるが、本人の意思に基づいて顕出されたとの推定を妨げる特段の事情があるとして、その成立が否定された事例」です。
4(1) 判例タイムズ939号(1997年7月15日号)に「文書の真正な成立と署名代理形式で作成された処分証書の取扱いに関する一試論」(寄稿者は47期の井上泰人)が載っています。
(2) 判例タイムズ1421号(2016年4月1日付)に「二段の推定とその動揺」(寄稿者は49期の高島義行)が載っています。
5 以下の記事も参照してください。
・ 処分証書及び報告文書
・ 陳述書の機能及び裁判官の心証形成
・ 陳述書作成の注意点
 新様式判決
 裁判所が考えるところの,人証に基づく心証形成
 尋問の必要性等に関する東京高裁部総括の講演での発言
・ 通常は信用性を有する私文書と陳述書との違い

大久保香織裁判官(52期)の経歴

生年月日 S51.2.17
出身大学 東大
定年退官発令予定日 R23.2.17
R7.4.1 ~ 岐阜地裁2民部総括
H31.4.1 ~ R7.3.31 京都地裁4民判事(交通部)
H28.4.1 ~ H31.3.31 名古屋高裁1民判事
H23.4.1 ~ H28.3.31 岐阜地家裁判事
H22.4.10 ~ H23.3.31 東京家裁判事
H21.4.1 ~ H22.4.9 東京家裁判事補
H19.4.1 ~ H21.3.31 最高裁家庭局付
H16.7.25 ~ H19.3.31 名古屋家地裁判事補
H12.4.10 ~ H16.7.24 東京地裁判事補

* 伊藤真の司法試験塾(現在の伊藤塾)が作成した「合格への軌跡」(平成9年の司法試験合格体験記)に,「大門香織」という氏名で「勉強が不十分でも最後まで絶対にあきらめないこと」を寄稿しています(同書46頁ないし49頁)ところ,それによれば,択一受験1回(合格1回),論文合格1回です。

中里敦裁判官(51期)の経歴

生年月日 S44.10.15
出身大学 早稲田大
定年退官発令予定日 R16.10.15
R5.4.1 ~ 横浜地裁5民判事
R2.4.1 ~ R5.3.31 水戸地家裁龍ヶ崎支部長
H29.4.1 ~ R2.3.31 東京家裁家事第4部判事
H26.4.1 ~ H29.3.31 佐賀地家裁判事
H23.4.1 ~ H26.3.31 大阪地家裁岸和田支部判事
H21.4.11 ~ H23.3.31 福岡地家裁判事
H19.10.1 ~ H21.4.10 福岡地家裁判事補
H16.4.1 ~ H19.9.30 東京地裁判事補
H13.4.1 ~ H16.3.31 盛岡家地裁判事補
H11.4.11 ~ H13.3.31 札幌地裁判事補

*1 早稲田セミナーの月刊アーティクル1997年1月号に寄稿した「成功を呼ぶ徹底分析」によれば,司法試験受験回数は択一6回・論文3回・口述1回です(同書36頁)。
*2 以下の記事も参照してください。
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部
*3の1 札幌地裁平成13年6月29日判決(判例秘書に掲載。担当裁判官は20期の佐藤陽一44期の本田晃及び51期の中里敦)は,統一教会の信者による統一教会への加入の勧誘,教義学習費用の収受,献金の収受,宗教活動への参加の求めについて違法性があるとして統一教会に損害賠償の支払が命じられた事例です。
*3の2 弁護士ドットコムの「”洗脳”手法を徹底研究、旧統一教会「伝道の違法性」を追及した第一人者の終わらない闘い」(2022年8月20日付)には以下の記載があります。
発火点を得た郷路は、元信者1名を原告に1987(昭和62)年3月、札幌地裁に提訴する。霊感商法は公序良俗違反の不法行為であり、伝道・教化活動を洗脳による人格破壊と構成して100万円の慰謝料を請求した。
この時、旧統一教会の反応として伝わってきたのは「変な訴訟を起こされたよ、慰謝料請求だぜ」という嘲笑だった。また、多くの弁護士からは「裁判所がそんな請求を認めるわけがない」「珍訴、奇訴の類」といわれた。――自ら信者になっていたのだし、むしろ霊感商法の加害者なのだから慰謝料請求は無謀――ということである。
(中略)
原告は提訴からおよそ4年間で20名になった。そして、2001(平成13)年6月、一審の判決を迎えた。

「裁判官の態度も硬化している感じでしたし、『これは勝てないな』と思って、控訴審の全員の委任状を懐に忍ばせて、叩きつけてやろうと思って判決に臨んだんです。そしたら、全面勝訴だった。びっくりしました。ものすごく嬉しかったですね」