弁護士山中理司

小川貴寛裁判官(59期)の経歴

生年月日 S50.8.1
出身大学 早稲田大
定年退官発令予定日 R22.8.1
R6.4.1 ~ 津地家裁判事
R2.4.1 ~ R6.3.31 大阪地裁6民判事(破産再生部)
H29.4.1 ~ R2.3.31 津地家裁伊賀支部判事
H28.10.16 ~ H29.3.31 福岡家地裁判事
H26.4.1 ~ H28.10.15 福岡家地裁判事補
H21.4.1 ~ H26.3.31 神戸地家裁尼崎支部判事補
H18.10.16 ~ H21.3.31 名古屋地裁判事補

* 以下の記事も参照してください。
・ 地方裁判所の専門部及び集中部
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部

野村武範裁判官(51期)の経歴

生年月日 S48.10.29
出身大学 不明
定年退官発令予定日 R20.10.29
R5.4.1 ~ 大阪地裁24民部総括
R2.5.11 ~ R5.3.31 東京地裁48民判事
R2.4.1 ~ R2.5.10 東京高裁民事部判事
H29.4.1 ~ R2.3.31 名古屋地裁1民判事(労働部)
H25.4.1 ~ H29.3.31 最高裁民事調査官
H22.4.1 ~ H25.3.31 東京地裁16民判事
H21.4.11 ~ H22.3.31 大分地家裁判事
H18.4.1 ~ H21.4.10 大分地家裁判事補
H16.4.1 ~ H18.3.31 総務省自治行政局
H16.3.1 ~ H16.3.31 最高裁総務局付
H13.4.1 ~ H16.2.29 函館家地裁判事補
H11.4.11 ~ H13.3.31 東京地裁判事補

*1 以下の記事も参照してください。
・ 地方裁判所の専門部及び集中部
・ 最高裁判所調査官
・ 最高裁判所判例解説
・ 判事補の外部経験の概要
・ 行政機関等への出向裁判官
*2 東京地裁令和5年2月28日判決(担当裁判官は51期の野村武範)は,愛媛県を拠点に活動していた農業アイドル「愛の葉Girls」元メンバー(当時16歳)の自殺を巡り,遺族らが記者会見で所属会社「Hプロジェクト」(松山市)によるパワハラが原因だと発言し,名誉を傷つけられたとして,会社側が計約3700万円の損害賠償を求めた訴訟において,名誉毀損の成立を認めて合計567万円の支払を命じました(産経新聞HPの「アイドル遺族側に賠償命令 会見発言で名誉毀損認定 東京地裁」参照)。

櫻井佐英裁判官(40期)の経歴

生年月日 S37.6.17
出身大学 東大
退官時の年齢 64歳
R8.3.31 依願退官
R5.3.1 ~ R8.3.30 横浜地裁川崎支部民事部部総括
R3.4.1 ~ R5.2.28 横浜地家裁川崎支部判事
H30.4.1 ~ R3.3.31 甲府家地裁判事
H27.4.1 ~ H30.3.31 横浜家事家事第1部判事
H24.4.1 ~ H27.3.31 水戸地家裁龍ヶ崎支部長
H21.4.1 ~ H24.3.31 東京高裁10民判事
H18.4.1 ~ H21.3.31 前橋地家裁判事
H14.4.1 ~ H18.3.31 さいたま地家裁川越支部判事
H11.4.1 ~ H14.3.31 横浜地裁判事
H10.4.12 ~ H11.3.31 福岡地家裁小倉支部判事
H8.4.1 ~ H10.4.11 福岡地家裁小倉支部判事補
H5.4.1 ~ H8.3.31 東京地家裁八王子支部判事補
H2.4.1 ~ H5.3.31 札幌地家裁判事補
S63.4.12 ~ H2.3.31 千葉地裁判事補

*0 「桜井佐英」と表記されていることがあります。
*1 以下の記事も参照してください。
・ 部の事務を総括する裁判官の名簿(昭和37年度以降)
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部
*2 横浜地裁川崎支部令和5年10月12日判決(裁判長は40期の櫻井佐英)は,川崎市に住む在日コリアンの女性が,インターネット上に「さっさと祖国へ帰れ」などと投稿されて名誉を傷つけられたとして,書き込んだ男性に賠償を求めた裁判で,「悪意のある差別的な言動だ」などとして,190万円余りの支払を命じました。

有田大修裁判官(73期)の経歴

生年月日 H4.11.17
出身大学 東大
退官時の年齢 30歳
R5.2.28 依願退官
R3.1.16 ~ R5.2.27 宮崎地裁判事補

*1 以下の記事も参照してください。
・ 判事補時代に退官した元裁判官の名簿(令和時代)
*2 平成27年に東京大学経済学部金融学科を卒業し,平成31年に司法試験合格により東京大学法科大学院を退学し,令和5年7月13日に第二東京弁護士会で弁護士登録をして(弁護士登録番号は64227番)セイコーグループ株式会社に入社し,令和6年にPwC弁護士法人に入所し(PwC JapanグループHP「PwC弁護士法人 弁護士紹介 有田 大修」参照),令和6年8月31日現在,アディーレ法律事務所池袋本店に在籍しています(アディーレ法律事務所HPの「有田 大修 ありた たいしゅう」参照)。

川原田貴弘裁判官(57期)の経歴

生年月日 S55.2.15
出身大学 不明
定年退官発令予定日 R27.2.15
R7.4.1 ~ 静岡地家裁判事
R4.4.1 ~ R7.3.31 大阪家裁家事第4部判事
H31.4.1 ~ R4.3.31 岡山家地裁倉敷支部判事
H28.4.1 ~ H31.3.31 東京地裁27民判事(交通部)
H26.10.16 ~ H28.3.31 長崎地家裁厳原支部判事
H26.4.1 ~ H26.10.15 長崎地家裁厳原支部判事補
H23.4.1 ~ H26.3.31 神戸地裁判事補
H22.4.1 ~ H23.3.31 福岡家地裁小倉支部判事補
H20.4.1 ~ H22.3.31 福岡地家裁小倉支部判事補
H16.10.16 ~ H20.3.31 東京地裁判事補

* 以下の記事も参照してください。
・ 地方裁判所の専門部及び集中部
・ 東京地裁民事第27部(交通部)
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部

石渡満子裁判官(1期)の経歴

生年月日 M38.1.13
出身大学 明治大
叙勲 S49.8.27勲四等宝冠章
退官時の年齢 65 歳
S45.1.13 定年退官
S38.11.15 ~ S45.1.12 横浜地家裁横須賀支部判事
S36.4.14 ~ S38.11.14 静岡家地裁沼津支部判事
S29.5.20 ~ S36.4.13 横浜地家裁横須賀支部判事補
S24.6.4 ~ S29.5.19 東京地裁判事補

*1 日本で最初の女性裁判官が1期の石綿満子(昭和24年6月4日任官)であり,2番目の女性裁判官が期前の三淵嘉子(昭和24年6月25日任官)でした。
*2の1 Wikipediaの「石渡満子」には「1926年 東京女子高等師範学校(御茶ノ水女子大学)卒業と同時に結婚する。(8年後に離婚し、法曹を志し、明治大学に進学。)」と書いてあります。
*2の2 日本女性法律家協会70周年のあゆみ28頁には以下の記載があります。
    女性が弁護士となる道が開け、前述の三人の女性弁護士(山中注:久米愛三淵嘉子及び中田正子)が誕生したわけです。ところが、もう一つ厚い壁が残っていました。大正一二年に施行された高等試験令による司法科試験に合格した者は、誰でも裁判官・検察官・弁謹士になれるはずでした。しかし、実際には女性は弁謹士にはなれても、判事・検察官にはなれませんでした。前記弁護士法とは異なり、判事・検事は成年の男子に限るなどの明文規定は存在しませんでしたが、「女性を受けつけぬ不文律が、厳然と存在していたらしい」のです。この不文律は「戦後の改革の時まで生き続け」ました。
    そして、ようやくにして昭和二四(一九四九)年、石渡満子会員が初の女性裁判官として、ついで三淵嘉子会員が第二号として任官し、門上千恵子会員が最初の女性検事となりました。(ここまで、引用はすべて『会報』No.12.p12-13)
*3 明治大学法学部HP「法律学のパイオニア」に「女性法曹の育成」として以下の記載があります。
    女性法曹の育成にいち早く取り組んだのも明治大学であった。1929(昭和4)年に女子部(旧女子短期大学の前身)が創設され、ここからわが国初の女性弁護士が誕生した。今日活躍している女性法曹の重鎮のなかには明治大学の出身者がかなりの部分を占めている。法学部は、女性の社会的地位の向上と活動領域の拡大に大きく貢献してきたのである。
*4 法曹百年史(昭和44年10月10日付)187頁には「昭和二十三年一月新民法施行のころ、婦人弁護士は僅か十一名に過ぎなかった。」と書いてあります。
*5 以下の記事も参照してください。
・ 女性判事及び女性判事補の人数及び割合の推移
・ 昭和51年の30期前期修習で発生した,女性司法修習生に対する司法研修所裁判教官等の差別発言問題(教官等の弁明が正しいことを前提として厳重注意で終了した事件)
・ 司法修習生の給費制,貸与制及び修習給付金
→ 判事及び検事の卵であった司法官試補には給与が支給されていたのに対し,弁護士の卵であった弁護士試補には給与が支給されていなかったものの,司法修習制度の創設に伴い弁護士の卵にも給与が支給されるようになりました。。
・ 司法官採用に関する戦前の制度

三淵嘉子裁判官(期前)の経歴

生年月日 T3.11.13
出身大学 明治大
叙勲 S59.5.28勲二等瑞宝章
S54.11.13 定年退官
S53.1.16 ~ S54.11.12 横浜家裁所長
S48.11.1 ~ S53.1.15 浦和家裁所長
S47.6.15 ~ S48.10.31 新潟家裁所長
S42.1.1 ~ S47.6.14 東京家裁少年部部総括(少年第4部→少年第3部)
S37.12.6 ~ S41.12.31  東京家地裁判事
S31.5.1 ~ S37.12.5 東京地裁判事
S27.12.6 ~ S31.4.30 名古屋地裁判事
S24.6.25 ~ S27.12.5 東京地裁判事補
S24.1.1 ~ S24.6.24 最高裁判所事務総局家庭局勤務の裁判所事務官
→ 女性法曹のあけぼの(平成25年4月24日付)62頁には「最高裁判所の事務総局にも「家庭局」を設けた。嘉子は家庭局にまわされた。」と書いてあります。
S23.1.31 ~ S23.12.31 最高裁判所事務局民事部勤務の裁判所事務官
→ 二弁フロンティア2024年8・9月合併号「二弁にゆかりがある 三淵嘉子さんゆかりの地を訪ねてみた」には,「昭和23年1月に最高裁判所事務総局家庭局兼民事局事務官」と書いてあるものの,最高裁判所事務「総」局という名前になったり,家庭局が設置されたりしたのは昭和24年1月1日です最高裁判所事務局規則の一部を改正する規則(昭和23年12月28日最高裁判所規則第40号)参照)。
S22.6.30 ~ S23.1.30 司法省民事部民法調査室嘱託
S22.6.11 第二東京弁護士会の弁護士登録取消(昭和22年7月28日の官報公告参照)

(司法省民事部嘱託になるまでの経歴)
*1 女性法曹のあけぼの(平成25年4月24日付)家庭裁判所物語(平成30年9月21日付)34頁ないし43頁,明治大学HPの「三淵嘉子(みぶちよしこ)—NHK連続テレビ小説(朝ドラ)の主人公に決まった女子部出身の裁判官—(法曹編)」及び「第38回 明治大学中央図書館企画展示 中田正子展-明治大学が生んだ日本初の女性弁護士-」等によれば,司法省民事部嘱託になった1947年までの三淵嘉子(みぶち・よしこ)の経歴はおおよそ,以下のとおりです。
・ 1947年11月,明治女子専門学校教授に就任した。
・ 1947年10月,父親が肝硬変の悪化により死亡した。
・ 1947年6月30日,司法省民事部に嘱託として採用され,司法調査室において民法及び家事審判法の立法作業の手伝いをすることとなった。
・ 1947年3月,一人で司法省に出向いて,司法大臣官房人事課長をしていた石田和外(その後の最高裁判所長官)に裁判官採用願を提出し,坂野千里東京控訴院長に引き合わせてもらった。
・ 1947年1月,母親が脳溢血で死亡した。
・ 1946年5月23日,上海から引き揚げてきた和田芳夫(当時の夫)が長崎の陸軍病院において肋膜炎で死亡した。
・ 1945年8月15日の敗戦を疎開先の福島県坂下町(現在の会津坂下町)で迎える。
・ 1945年5月,東京都港区青山にあった自宅が空襲で焼けたため,福島県坂下町に疎開した。
・ 1945年4月,空襲により明治女子専門学校の校舎が全焼した。
・ 1945年1月,和田芳夫が再び招集されて中国の上海に行ったところ,すぐに肋膜炎を発病した。
・ 1944年8月,明治女子専門学校の助教授になる。
・ 1944年6月,すぐ下の弟で武藤家の長男だった武藤一郎が載っていた輸送船が鹿児島湾の沖で沈没したために戦死した。
         同月,和田芳夫が召集されたものの,以前に肋膜炎をした傷跡があったので,召集が解除された。
・ 1944年4月,明治大学専門部女子部が明治女子専門学校に改組された。
・ 1944年2月,東京都港区麻布の笄町(こうがいちょう)にあった借家が,空襲による火事を防ぐためということで,軍の命令により引き倒された。
・ 1943年1月1日,一人だけの子供となった和田芳武が生まれた。
・ 1941年11月5日,武藤家の自宅で書生をしながら明治大学の夜学部に通っていた和田芳夫(父親の中学時代の親友のいとこ)と結婚して「和田嘉子」となる。
・ 1940年12月,第二東京弁護士会で弁護士登録をした(二弁フロンティア2024年8・9月合併号「二弁にゆかりがある 三淵嘉子さんゆかりの地を訪ねてみた」参照)。
→ 別の説として,女性法曹のあけぼの(平成25年4月24日付51頁では,東京弁護士会で弁護士登録をしたと書いてあります。
・ 1940年7月,明治大学専門部女子部法科の助手になる。
・ 1940年6月,弁護士試補考試に合格した(同年8月15日の官報15頁の「武藤嘉子」参照)。
・ 1938年11月1日,高等文官試験司法科に合格し,中田正子(昭和14年に中田吉雄(その後の,日本社会党所属の参議院議員)と結婚)及び久米愛とともに初めての女性合格者となる(同月5日の官報12頁の「武藤嘉子」参照)。
・ 1938年,明治大学法学部を卒業した。法学部の卒業式では,男女合わせて成績がトップということで,総代として卒業証書を受け取った。
・ 1935年4月,明治大学法学部へ進む。
・ 1933年4月,明治大学専門部(その後の明治大学短期大学)女子部法科に入学した。
・ 1932年3月,東京女子高等師範学校付属高等女学校を卒業した。
・ 1927年,東京女子高等師範学校(現在のお茶の水女子大学です。)付属高等女学校に入学した。
・ 1920年,父親が台湾銀行東京支店に転勤したため,東京市渋谷区に引越しをした。
・ 1916年,父親が台湾銀行ニューヨーク支店に転勤したため,香川県の丸亀にあった武藤ノブ(母親)の実家に引越しをした。
・ 1914年11月,台湾銀行に務めていた武藤貞雄(東大法学部卒)の5人兄弟の長女としてシンガポールで生まれ,シンガポールの漢字表記(新嘉波)から「嘉子」と名付けられた。


(氏名の変遷)
*2の1 出生時の氏名は「武藤嘉子」であり,1941年の結婚時から1956年8月の再婚時までの氏名は「和田嘉子」であり,1956年8月以降の氏名は「三淵嘉子」です。
    なお,最初の結婚相手である和田芳夫とは死別したのであって,離婚したわけではありません。
*2の2 1956年1月の再婚相手である三淵乾太郎裁判官(1906年12月3日~1985年8月22日)は,初代最高裁判所長官となった三淵忠彦(1880年3月3日~1950年7月14日)の次男であり,1955年7月に死別した前妻との間に一男三女がいて,1956年8月の再婚当時は最高裁判所調査官をしており,浦和地家裁所長を最後に1971年12月に定年退官しました。


(女性法曹黎明期の情報)
*3の1 日本女性法律家協会70周年のあゆみ28頁には以下の記載があります。
    女性が弁護士となる道が開け、前述の三人の女性弁護士(山中注:久米愛三淵嘉子及び中田正子)が誕生したわけです。ところが、もう一つ厚い壁が残っていました。大正一二年に施行された高等試験令による司法科試験に合格した者は、誰でも裁判官・検察官・弁護士になれるはずでした。しかし、実際には女性は弁護士にはなれても、判事・検察官にはなれませんでした。前記弁護士法とは異なり、判事・検事は成年の男子に限るなどの明文規定は存在しませんでしたが、「女性を受けつけぬ不文律が、厳然と存在していたらしい」のです。この不文律は「戦後の改革の時まで生き続け」ました。
    そして、ようやくにして昭和二四(一九四九)年、石渡満子会員が初の女性裁判官として、ついで三淵嘉子会員が第二号として任官し、門上千恵子会員が最初の女性検事となりました。(ここまで、引用はすべて『会報』No.12.p12-13)
*3の2 高等女学校の略称は「高女」であり,高女1年生が現在の中学1年生であり,高女2年生が現在の中学2年生であり,高女3年生が現在の中学3年生であり,高女4年生が現在の高校1年生であり,高女5年生が現在の高校2年生であって,昭和23年4月1日付で高等女学校が廃止された際,高女卒業生は新制高校3年生として編入され,高女4年修了者は新制高校2年制として編入されました(Wikipediaの「高等女学校」参照)。
*3の3 法科専攻で帝国大学に最初に入学した女性は,1929年に東北帝国大学法文学部に入学した赤羽美智子(結婚後は有賀美智子(元公正取引委員会委員))及び九州帝国大学法文学部に入学した塩川幾久(1931年に東北帝国大学に転学)でした(北海道大学HPの「1918-1945年における帝国大学大学院への女性の進学状況(二) : 法学専攻の進学者に着目して」参照)。
*3の4 明治大学法学部HP「法律学のパイオニア」に「女性法曹の育成」として以下の記載があります。
    女性法曹の育成にいち早く取り組んだのも明治大学であった。1929(昭和4)年に女子部(旧女子短期大学の前身)が創設され、ここからわが国初の女性弁護士が誕生した。今日活躍している女性法曹の重鎮のなかには明治大学の出身者がかなりの部分を占めている。法学部は、女性の社会的地位の向上と活動領域の拡大に大きく貢献してきたのである。
*3の5 Wikipediaの「明治大学」によれば,明治大学専門部女子部(法科・商科)が開校したのは1929年4月29日であり,明治大学法学部が女子部卒業生の学部入学を許可するようになったのは1932年4月でした。
*3の6 昭和11年4月1日施行の弁護士法(昭和8年5月1日法律第53号)により女性にも弁護士資格が認められるようになりましたところ,高等文官試験司法科における女性の合格者は以下のとおりでした(北海道大学HPの「1918-1945年における帝国大学大学院への女性の進学状況(二) : 法学専攻の進学者に着目して」参照)。
昭和13年:田中(結婚後は中田)正子,久米愛(既婚者)及び武藤(結婚後は和田→三淵)嘉子
昭和14年:鈴木(結婚後は西岡)光子
昭和16年:西塚静子,菅沼(結婚後は川上)キヨ
昭和18年:菅井(結婚後は見崎)俊子,福枡チエ子(結婚後は門上千恵子)
昭和20年(特別選考):村木千里,佐野頴子(結婚後は結城頴子)及び渡辺道子
*3の7 東大法学部等のニューズレター17号・1頁には以下の記載があります。
    東北帝国大学が1913年に日本の大学としてはじめて女子学生の入学を認めたことはよく知られています。これに対して東京帝国大学は、1920年に女性にも聴講生の資格を認めたものの、はやくも1928年には,正規学生が増えて受け入れる余裕がなくなったという理由で聴講生募集を停止します。結局、女性が初めて学部の正規学生として入学を認められるのは戦後の1946年であり、法学部ではその年の331名の合格者のうち4名が女性でした。
*3の8 NHK解説委員室HP「来年春の連続テレビ小説 三淵嘉子ってどんな人?」(2023年3月7日付)には以下の記載があります。
【戦争に翻弄される】
Q:三淵さんも弁護士として活躍されるわけですね。
A:いえ、弟さんの話では、弁護士としての活動は事実上1年ほどだったそうです。それは、戦争に翻弄されてしまうためです。
*3の9 三淵嘉子が語る家庭裁判所の理念-福祉の場としての裁判所-には「三淵嘉子は明治大学の卒業生である。卒業当時の姓は武藤。昭和一三年(一九三八)、久米愛、田中(後に中田)正子と共に高等文官試験司法科に合格。武藤は第四位の成績であった」と書いてあります。
*3の10 法曹百年史(昭和44年10月10日付)187頁には「昭和二十三年一月新民法施行のころ、婦人弁護士は僅か十一名に過ぎなかった。」と書いてあります。

(裁判官任官後の情報)
*4の1 日本女性法律家協会発足の第1回会合(昭和25年9月13日開催)において,期前の久米愛弁護士が初代の会長に,期前の三淵嘉子裁判官が初代の副会長に,2期の野田愛子裁判官が書記に選任されました(日本女性法律家協会70周年のあゆみ(令和2年6月10日付)32頁)。
*4の2 家庭裁判所物語(平成30年9月21日付)121頁には以下の記載があります。
    最高裁は昭和二五年五月から、三淵嘉子(山中注:当時の氏名は和田嘉子)と大阪家裁所長の稲田得三、そして北海道大学の助教授から裁判官になった佐藤昌彦を、アメリカに派遣した。家庭裁判所の制度を学ばせるためである。
    三淵の一人息子の芳武は、この時まだ七歳であった。このため三淵は芳武を弟の家族(山中注:武藤輝彦の家族)に預け、横浜港から船でアメリカに出発した。
*4の3 判例タイムズ396号(昭和54年11月15日付)の「少年審判を語る 三淵嘉子判事を囲んで 座談会 昭和54年8月4日開催」には以下の記載があります(判例タイムズ396号6頁及び7頁)。
    私、昭和三八年の三月に東京家庭裁判所少年部にまいりました。三八年という年は、家庭裁判所発足後少年事件が数の上で第二のピークにかかっていたときです。ともかく少年院も補導委託先も家庭裁判所も、たくさんの少年事件数に押しつぶされて、もうそれこそ破産状態だったと言ってもいいと思うんです。ただ、私はそういうことを知らないで家庭裁判所へきて、その当時の家庭裁判所の職員の中には、少年審判所時代から引き続いて家庭裁判所の少年審判の仕事をしていらっしゃる方がいらして、審判所時代の理念が強く家庭裁判所を支配していたように思うんです。それは少年保護ということを高く掲げていました。
*4の4 少年審判所は,大正11年(1922年)に設置された,少年の保護処分を行う行政官庁であり,少年審判官,少年保護司及び書記で構成されていました。
    昭和24年1月1日,少年審判所(法務庁の管轄でした。)及び家事審判所(昭和23年1月1日発足。最高裁の管轄でした。)が統合して家庭裁判所となりました。
*4の5 昭和27年12月6日,日本で最初の女性判事になりました。
*4の6 昭和40年10月5日,東京家裁少年部の家裁調査官に対する監督者としての職務を怠ったことにより,荒木大任東京地裁判事,4期の小谷卓男東京家裁判事及び内藤頼博東京家裁所長と一緒に戒告の懲戒処分を受けました(昭和40年10月30日の官報第11667号13頁及び14頁参照)。
*4の7 NHK解説委員室HP「来年春の連続テレビ小説 三淵嘉子ってどんな人?」(2023年3月7日付)には以下の記載があります。
【5000人の少年・少女と向き合う】
Q:裁判官としてはどのような業績がある方ですか。
A:三淵さんは特に通算で16年もの間、家庭裁判所に関わりました。彼女を知る人の中には、家庭裁判所「育ての母だ」という人もいます。
少年事件を長く担当しますが、彼女が中心になって活躍した昭和40年代の前半は社会が豊かになる一方、いったん減少した少年事件が再び増加し、戦後2回目のピークと言われた時代です。
三淵さんは、実に5000人を超える少年や少女の審判を行ったと自ら述べています。
数多くの非行少年や非行少女などを指導して、立ち直りを支援してきました。


(家裁所長就任後の情報)
*5の1 日本の裁判史を読む事典(平成16年11月25日付)62頁には「72年には三淵嘉子が新潟家裁所長に任命されたが高裁判事や地裁所長は経験しなかった。当時の裁判官は約2000人, うち女性は判事23人,判事補31人,簡裁判事1人計55人だった。」と書いてあります。
*5の2 最高裁判所とともに(平成5年5月1日付)78頁には,「同じ庁舎の半分を占める家裁の三淵嘉子所長は、人事局長のとき、最初の女性所長として新潟家裁に赴任してもらったこともあり、私の着任(山中注:昭和52年9月に高輪1期の矢口洪一裁判官が浦和地裁所長に着任したこと)を心から喜んで下さった。」と書いてあります。
*5の3 判例タイムズ526号(昭和59年7月15日付)に「家庭裁判所覚書 三淵嘉子さんを偲んで」(寄稿者は7期の糟谷忠男裁判官)には以下の記載があります。
    三淵さん(山中注:期前の三淵嘉子裁判官のこと)と労苦を共にされた方の中で特に忘れ難いのは、三淵さんと名コンビを組み、少年法改正作業の最終的な調整に当られた元家庭局長裾分一立さんである。三淵さんと裾分さんとは、その豊かな人間性とストイックな生活感情、家庭裁判所を想う心情等を共有されていたためであろうか、互に尊敬しつつ、信じ合って危機に立った家庭裁判所の土台を支えられた。その裾分さんは、その任を無事果された後、昭和五三年四月、岡山地方裁判所長に在任中急逝された。三淵さんが、他人の死について、これほど悔やんだことはないと語っておられた言葉が今も忘れられない。


(裁判官退官後の晩年の情報)
*6の1 昭和55年1月26日に第二東京弁護士会で弁護士登録をして,昭和57年5月に労働省の男女平等問題専門家会議の座長として,「雇用における男女平等の判断基準の考え方について」をとりまとめました。
*6の2 昭和58年7月4日,骨からがん細胞が発見され,昭和59年4月9日,病気との戦いを記録した手帳の記載が終わり,同年5月28日午後8時16分に肺炎で死亡し(満69歳),同年6月23日に東京の青山葬儀場で行われた葬儀と告別式には2000人近くの人が三淵嘉子の別れを惜しんだ(女性法曹のあけぼの(平成25年4月24日付)116頁,121頁及び123頁)。
*6の3 家庭裁判所物語(平成30年9月21日付)232頁ないし234頁には以下の記載があります。
    三淵は昭和五四年、横浜家裁所長を最後に退官した。
    その後は東京家裁の調停委員や参与員を務め、少年友の会の理事としても忙しい毎日だったが、昭和五八(一九八三)年頃から肩や腰の痛みに悩まされるようになった。精密検査の結果、骨からがん細胞が見つかる。
    息子の芳武は、三淵のかねてからの希望を聞き入れ、検査結果を本人に告知していた。治療を続けたが、次第に、全身の激しい痛みに苦しめられるようになっていく。
(中略)
    民事一筋、刑事一筋という裁判官はたくさんいる。しかし裁判所の組織は、本人が希望しても、 家庭裁判所にキャリアの大半を捧げる人材を、求めなくなっていた。制度が変わり、わずか数年で若手裁判官が入れ替わる中で、家裁の理念を、誰にどう伝えていけば良いのか。糟谷(山中注:昭和59年の春に三淵嘉子が入院していた新宿の国際医療センター(山中注:現在の国立研究開発法人国立国際医療研究センターのこと。)を訪ねた7期の糟谷忠男裁判官)にも、分からなかった。
 三淵嘉子は、この年(山中注:昭和59年)の五月二八日に逝去した。
*6の4 国立がん研究センター希少がんセンターHP「骨の肉腫(ほねのにくしゅ)」には,「骨の肉腫について」として以下の記載があります(改行を追加しています。)。
    骨に発生するがんには他の臓器に発生したがんが骨に転移する「転移性骨腫瘍」と骨自体からがんが発生する「原発性骨悪性腫瘍」の2種類があり、後者は主に肉腫と呼ばれる腫瘍がほとんどです。
肉腫は体中のどこにでもできるがんの一種ですが、そのうち骨の肉腫は全体の約25%です。
骨軟部腫瘍登録によると、日本全体で年間500人から800人程度の骨に発生する肉腫の患者さんがいると推定され、年間40例から50例の骨発生の肉腫の新規患者さんが国立がん研究センターを受診しています(表1)。
また若年者に発生することが多いがんとしても知られております。
まさに骨に発生する肉腫は非常に数の少ない、いわゆる希少がんの代表です。

*6の5 女性法曹のあけぼの(平成25年4月24日付)117頁には和田芳武は生物学者(医学博士)と書いてありますところ,昭和41年当時,東京大学伝染病研究所(昭和42年以降の東京大学医科学研究所)寄生虫研究部に在籍していた和田芳武と同一人物であるかどうかは不明ですし,同書36頁の家系図にも同人に子孫がいたかどうかは書いてありません。
*6の6 PIKARINEに「『虎に翼』モデル三淵嘉子の子供や夫を家系図よりネタバレ」が載っています。


(連続テレビ小説の主人公のモデルとなったこと)
*7 NHKの「【会見動画】主演・伊藤沙莉! 2024年度前期 連続テレビ小説 制作決定」には以下の記載があります。
日本初の女性弁護士で後に裁判官となった一人の女性。
彼女とその仲間たちは困難な時代に道なき道を切り開き、
迷える子どもや追いつめられた女性たちを救っていく──
情熱あふれる法曹たちの物語を
極上のリーガルエンターテインメントとして贈ります。
連続テレビ小説 第110作とらつばさのモデルは、
日本初の女性弁護士 三淵みぶち嘉子よしこさん
日本史上初めて法曹の世界に飛び込んだ
一人の女性の実話に基づく骨太なストーリーを追いながら
事件や裁判が見事に解決されていく爽快感を一緒に味わえる
毎日次回が気になる連続テレビ小説です。
(中略)
タイトル『虎に翼』とは
中国の法家『韓非子』の言葉で、「鬼に金棒」と同じく「強い上にもさらに強さが加わる」という意味があります。五黄ごおうの寅年生まれで“トラママ”と呼ばれたというモデルの三淵嘉子さんにちなみ、主人公の名前は寅子ともこで、あだ名は“トラコ”です。
法律という翼を得て力強く羽ばたいていく寅子が、その強大な力にとまどい時には悩みながら、弱き人々のために自らの翼を正しく使えるよう、一歩ずつ成長していく姿をイメージしています。



(関連記事その他)
*8の1 amazonの「三淵嘉子」の「結果」には,三淵嘉子に関する本として,日常生活と民法(1950年)暮らしの中の法律(1962年)及び女性法律家-拡大する新時代の活動分野(1983年)が載っています。
*8の2 日本の古本屋HPに「追想のひと三淵嘉子」(1985年刊行)が載っています。
*8の3 公益財団法人 人権擁護協力会が発行している人権のひろば2021年5月号に「論説 女性法曹の誕生と三淵嘉子」と題する記事が含まれていて,同書は法務図書館においてあります(法務図書館図書情報検索システム「女性法曹の誕生と三淵嘉子」参照)。
*8の4 以下の記事も参照してください。
・ 歴代の女性最高裁判所判事一覧
・ 歴代の女性高裁長官一覧
・ 毎年6月開催の長官所長会同
・ 新任の地家裁所長等を対象とした実務協議会の資料
・ 部の事務を総括する裁判官の名簿(昭和37年度以降)
・ 女性判事及び女性判事補の人数及び割合の推移
・ 昭和51年の30期前期修習で発生した,女性司法修習生に対する司法研修所裁判教官等の差別発言問題(教官等の弁明が正しいことを前提として厳重注意で終了した事件)
・ 司法修習生の給費制,貸与制及び修習給付金
→ 判事及び検事の卵であった司法官試補には給与が支給されていたのに対し,弁護士の卵であった弁護士試補には給与が支給されていなかったものの,司法修習制度の創設に伴い弁護士の卵にも給与が支給されるようになりました。。
・ 司法官採用に関する戦前の制度

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

女性法曹のあけぼの 華やぐ女たち [ 佐賀千恵美 ]
価格:1650円(税込、送料無料) (2023/3/3時点)

楽天で購入

 

 

平山馨裁判官(51期)の経歴

生年月日 S48.8.13
出身大学 不明
定年退官発令予定日 R20.8.13
R6.4.1 ~ 静岡地裁2民部総括
R3.4.1 ~ R6.3.31 東京地裁27民判事(交通部)
H30.4.1 ~ R3.3.31 那覇地裁2民部総括
H27.4.1 ~ H30.3.31 東京地裁38民判事(行政部)
H23.4.1 ~ H27.3.31 福岡地家裁小倉支部判事
H22.4.1 ~ H23.3.31 東京家裁判事
H20.4.1 ~ H22.3.31 最高裁家庭局付
H18.4.1 ~ H20.3.31 長崎地家裁厳原支部判事補
H15.4.1 ~ H18.3.31 名古屋地裁判事補
H11.4.11 ~ H15.3.31 横浜地裁判事補

*1 以下の記事も参照してください。
・ 部の事務を総括する裁判官の名簿(昭和37年度以降)
・ 地方裁判所の専門部及び集中部
・ 東京地裁民事第27部(交通部)
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部
*2 交通事故の赤い本2023(令和5年)の下巻に,「いわゆる人傷一括払における代位に関する協定の効力」(最高裁令和4年3月24日判決を踏まえたものです。)を寄稿しています。
*3 東京地裁令和5年10月27日判決(裁判長は51期の平山馨)は,平成31年4月19日の東京・池袋の乗用車暴走事故で妻子を亡くした遺族9人が,車を運転していた旧通産省工業技術院元院長の飯塚幸三受刑者(92歳。禁錮5年の実刑確定)らに合計約1億7千万円の損害賠償を求めた訴訟において,飯塚受刑者に合計約1億4000万円の損害賠償を命じました(産経新聞HPの「池袋暴走、元院長に賠償命令 約1億4千万円、遺族提訴 「過失重大」と東京地裁」参照)。
*4 静岡地裁令和7年3月6日判決(裁判長は51期の平山馨)は,公立小学校教諭の原告が同僚との飲酒後に運転代行サービスを利用して自宅近くまで帰宅したにもかかわらず,再び自動車を運転して物損事故を起こしたとして静岡県教育委員会から令和元年8月20日付けで懲戒免職処分を受けた事案につき,原告が当時アレルギー薬の服用とアルコール摂取の相互作用によるせん妄状態で酒気帯び運転を認識できなかった可能性を検討し,その点を十分に考慮しなかった被告の処分決定が裁量権を逸脱又は濫用したとみなし,飲酒運転における故意や過失の度合いを見極めずに行われた懲戒処分は非難可能性の程度を十分考慮したとはいえないと指摘した上で,本件懲戒免職処分を取り消すとともに訴訟費用を被告の負担とする主文を示し,さらに原告が代行業者の離脱後に不可解な経路を走行していた事実からも,単純な酩酊とは異なるせん妄特有の注意障害や記憶障害の存在をうかがわせ,なお,判決時には別件行政訴訟の確定判決を踏まえた判断も参照されたものの,懲戒事由を認定するに当たり原告の事理弁識能力を十分に検討しなかった点が重大な欠缺とされ,詐病の可能性は低いとして原告の主張を排斥しなかったものです。(ChatGPT o1 pro作成の要約をベースにした記載です。)。

小菅哲聖裁判官(67期)の経歴

生年月日 H1.1.9
出身大学 京大院
退官時の年齢 33歳
R4.12.31 依願退官
R2.8.24 ~ R4.12.30 津地家裁四日市支部判事補
H29.4.1 ~ R2.8.23 大阪地家裁判事補
H27.1.16 ~ H29.3.31 大阪地裁判事補

*1 以下の記事も参照してください。
・ 判事補時代に退官した元裁判官の名簿(令和時代)
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部
*2 2019年に University of Cambridge, Master of Law (LLM) を修了し,令和2年にUniversity of Oxford, Master of Science in Law and Finance を修了し,令和5年にBoston Consulting Groupに入社し,令和6年3月に第二東京弁護士会で弁護士登録をして,三宅坂総合法律事務所(東京都千代田区内幸町2-1-4 日比谷中日ビル6階)に入所しました(同事務所HPの「小菅 哲聖Tetsuaki Kosuge」参照)。

在日韓国・朝鮮人の相続人調査

目次
第1 
総論
1 韓国の家族関係登録制度開始までの沿革
2 韓国の除籍謄本
3 韓国の家族関係証明書
第2 在日韓国人の戸籍に関するメモ書き
1 在日韓国人の戸籍整理
2 在日韓国人の就籍
3 在日韓国人の戸籍の問題点
4 在日韓国人には韓国の住民登録番号がないこと
第3 弁護士による在日韓国人の相続人調査には限界があること
1 平成24年7月9日付で廃止された外国人登録法に基づく外国人登録原票
2 弁護士が行える在日韓国人の相続人調査の方法
3 弁護士が行える在日韓国人の相続人調査の限界
4 家族関係証明書の取得制限及びそれに伴う不都合
5 第3順位の相続人が発生した場合において,債権者から見た場合の相続人調査が完了となるケース(日本の民法が適用される場合)
6 第1順位の相続人が限定承認をすれば戸籍の問題は顕在化しないこと
第4 相続財産管理人を通じた調査及びその選任申立ての方法
1 相続財産管理人を活用できること
2 民法952条の相続財産管理人の選任申立て
3 相続財産管理人の選任申立ての予納金
4 その他
第5 国籍欄が「朝鮮」の人の位置づけ
1  国籍欄に「朝鮮」と記載されていても、実際には韓国籍を有している可能性があること
2 在日コリアンの在外国民登録
3 日韓基本条約3条及び海外旅行時の取扱い
4 戦前生まれの場合,「朝鮮」籍でも韓国の戸籍に名前が載っていること
5 債権者から見た場合の取扱い
第6 ハングル関係のメモ書き
1 ハングル表記のルール
2 ハングル文字の入力方法
3 漢字語,固有語及び外来語
4 同音異義語がたくさんあること
第7 在日韓国・朝鮮人の相続の準拠法
第8 日本法と韓国法の相続放棄に関するメモ書き
1 総論
2 相続放棄の熟慮期間(日本法の場合)
3 韓国法における相続放棄
第9 関連記事その他

第1 総論
1 韓国の家族関係登録制度開始までの沿革
(1)ア 第2版「在日」の家族法Q&A(平成18年1月31日付)53頁及び54頁には,「(2) 解放後の戸籍(身分登録)」として以下の記載があります。
    1945年日本の敗戦により、朝鮮など、外地に対する実効的支配は不可能となった。これにより事実上共通法体制が終わり、内外地間の戸籍交流が停止された。
    一方、韓国では、「朝鮮姓名復旧令」(1946.10.23軍政法令122)により創氏制度(創氏改名)が無効とされ、戸籍上、朝鮮の姓名が復旧した。しかし、在日にとってはこの創氏改名の「氏」がそのまま「通称名」となった。また、朝鮮戸籍令による戸籍制度が、「大韓民国戸籍法」(1960.1.1法律535)が施行されるまで維持された。
 その後韓国では、日本との国交回復(1965)後、在日などの在外国民の戸籍整理等をする目的で、特例規定として、「在外国民の就籍・戸籍訂正及び戸籍整理に関する臨時特例法」(1973. 6.21法律2622)が施行された。2000年12月31日までの時限立法となっていたが、「在外国民の就籍・戸籍訂正及び戸籍整理に関する特例法」(2000.12.29法律6309) としてその後も施行されている。なお、韓国では2005年の民法改正により戸主制の廃止に伴う戸籍制度の見直しにより、2008年1月1日から新しい身分登録制度が施行される予定である。
イ 「在日」の相続法 その理論と実務(平成31年4月29日付)490頁には「在外国民の就籍と戸籍整理の促進」として以下の記載があります。
1) 「在外国民就籍に関する臨時特例法」(1967.1.16.法1865号)は,1965年12月締結された日韓法的地位協定に基づく「協定永住」の申請は「韓国」国籍の者だけに許容されていたので,その国籍を証する戸籍が具備されていない状況を打開するために立法化されたものである。
2) 本法は公布日に施行され,1970年12月31日までの時限立法であったが,その後は,1970.12.31.法2251号で1973年12月31日まで延長されている。
3) 本法でいう「在外国民」とは「大韓民国国民として在外国民登録法の規定によって登録した者」(2条①)である。
(2) 「韓国における戸主制度廃止と家族法改正――女性運動の観点をふまえて」(立命館法政論集第13号(2015年))には,戸主制廃止を伴う民法改正法(2005.3.31法7427号)に関して以下の記載があります。
① 憲法不合致決定がなされた後も,戸籍制度に代わる新法が施行されるまでは既存の戸主制の効力が維持されていたが,2008年1月1日に改正民法と新たな身分登録法の施行ともにようやくその歴史に終止符が打たれることとなった(リンク先の末尾132頁)。
② 2005年2月3日に,戸主制に関する規定について憲法不合致決定がなされてから1ヵ月後の2005年3月2日に,戸主制廃止を含めた民法改正案が国会の本会議を通過した(リンク先の末尾138頁及び139頁)。

2 韓国の除籍謄本
(1) 小杉国際行政法務事務所HP「★韓国の除籍謄本 及び 新たな韓国家族関係登録簿の制度に基づく基本証明書・家族関係証明書・婚姻関係証明書等「登録事項別証明書」(※従来の韓国戸籍謄本に相当)に関する取り寄せ及び翻訳のサポート・代行費用について★」には以下の記載があります。
★韓国の除籍(2008年1月1日以前に抹消された戸籍)は、その編製された時期、電算化された時期等により、大きく以下の3種類の形態に分類することができます。
具体的には、以下のとおりです。
「電算移記された」横書の除籍謄本
「画像電算化された」横書の除籍謄本
「画像電算化された」縦書の除籍謄本
※編製時期の時系列としては、①が最も「新しく」、③が最も「古い」戸籍です。
※また、「電算移記された」除籍と「画像電算化された」除籍の相違点は以下のとおりです。
「電算移記された」除籍とは・・・
日本でも同様ですが、「戸籍」は、そもそもは「紙台帳」形式の「戸籍簿」という帳簿に「手書き」(もしくはタイプライター)で書き込む(打ち込む)方法で編製・管理されて来ましたが、その編製・管理の方式をそっくり「電算システム」(すなわち『コンピュータシステム』)に移行し、キーボードからテキスト入力して「電子データ」(電子帳簿)として編製・管理する方式への移行が実施されました。
その「電子データ」(電子帳簿)の方式に基づき編製された後、西暦2008年1月1日付で戸籍制度が廃止されて新たな「家族関係登録簿」の制度に移行したことに伴って「除籍」(抹消)されたのが、まさに「電算移記された」除籍です。
(2)ア 2008年1月1日時点の戸籍の内容は,大使館領事部を含めて日本に10箇所ある大韓民国総領事館が発行する電算化除籍謄本(日本でいうところの改製原戸籍みたいなものと思います。)に記載されていることになります(韓国語戸籍翻訳.comの「韓国語翻訳 電算化除籍謄本/在日韓国人の相続手続・帰化申請用」参照)。
イ 駐日本国大韓民国大使館HP「管轄地域案内」に,大使館領事部及び総領事館の管轄地域が載っています。
ウ 在日コリアン支援ネット「韓国の「除籍謄本」(※除かれた「戸籍謄本」)及び基本証明書・家族関係証明書・婚姻関係証明書等の取り寄せ(請求・交付申請)方法について」が載っています。
エ 韓国の電算化除籍謄本の記載内容は,日本の大正4年式戸籍と似ていると思います。


3 韓国の家族関係証明書
(1) 平成20年1月1日に開始した家族関係登録制度では,①家族関係証明書,②基本証明書,③婚姻関係証明書,④養子縁組関係証明書及び⑤親養子(特別養子)関係証明書という5つの証明書があります(駐日本国大韓民国大使館HP「家族関係など書類発給」参照)。
(2) 駐大阪大韓民国総領事館HPの「家族関係証明書とは」には以下の記載があります。
    家族関係証明書は、本人を基準とし父母(親養子の場合、養父母が父母と記載される)、養父母(普通養子の場合には実父母と養父母が全部記載される)、配偶者、子供(實子、養子)等を現わす証明書である。家族関係証明書は親子関係を証明する必要がある場合に利用される。兄弟姉妹関係は家族関係証明書に表示されないので、兄弟姉妹関係を証明する必要がある場合には、父母の家族関係証明書の発給をしなければならない。
    家族関係証明書は、原則的に証明書交付当時の有効な事項のみを集めて発給するので、過去の事項は表示されない。しかし死亡、国籍喪失、失踪宣告に該當する場合には、該当家族にはそのまま記載を残し、姓名欄の横に死亡等の事由が記載され、證明書として発給される。

第2 在日韓国人の戸籍に関するメモ書き
1 在日韓国人の戸籍整理
・ 在日本大韓民国民団HPの「みんだん生活相談センター」には「戸籍整理」として以下の記載があります。
Q: 韓国の正式な旅券を取得したいため、領事館へ行き、手続きをする過程で、父の戸籍謄本に私は記載されていないことがわかりました。どうすれば戸籍に載せることができるのでしょうか。
A: 戸籍は、個人の身分関係を公簿(戸籍簿)に登録、公証する公文書です。私たち在日韓国人は韓国籍ですので、韓国の戸籍整理ができて、初めて身分事項の証明になります。したがって、出生、婚姻、死亡等の申告を日本の行政(役場)に申告するように韓国役場に対しても申告する必要があります。
  韓国では、在日(在外国民)の戸籍上の特殊性を考慮し、便宜を図るために「在外国民就籍・戸籍訂正および戸籍整理に関する特例法」を施行しています。在外国民登録法3条により国民登録をしている人が対象になります。
  この特例法による戸籍整理申請には、「戸籍整理申請書2部」「戸籍謄本2部」「在外国民登録簿謄本2部」「外国人登録原票記載事項証明書2部」などが必要です。添付書類の詳しい内容は、管轄の領事館に確認してください。
 戸籍整理には、韓国の家庭法院(裁判所)の許可を必要としているため、約3~6カ月程かかります。
2 在日韓国人の就籍
(1) 在日本大韓民国民団HPの「みんだん生活相談センター」には「就籍」として以下の記載があります。
Q: 祖父母が解放前から日本に居住し、父母ともに長い間「朝鮮」籍でいたこともあり、韓国の戸籍には無頓着でした。その結果、3世である私は、韓国の戸籍を持っておりません。近く子どもが生まれます。将来のことを考え、あらたに韓国の戸籍を創設したいのですが、どうしたらいいのでしょうか。
A: 韓国の法律では、在日(在外国民)の戸籍上の特殊性を考慮し、便宜を図るために「在外国民就籍・戸籍訂正および戸籍整理に関する特例法」を施行しています。この特例法の就籍許可申告により戸籍取得ができます。  戸籍取得には、両親(祖父母)の代から戸籍を取得する方法と、本人だけ戸籍を取得する方法があります。後々のことを考えて、両親の代から戸籍取得されることをお勧めします。
  就籍許可申請に必要な書類は、「就籍許可申請書(所定様式)2部」「身分表(所定様式)4部」「在外国民登録簿謄本2部」「外国人登録原票記載事項証明書2部」「両親の婚姻届受理証明書2部」「あなたの出生届受理証明書2部」で、あなたの住所地を管轄する領事館の長に提出します。
  領事館の長は、これを、外交通商部長官を経由してあなたが就籍しようとする本籍地を管轄する家庭法院に送付します。家庭法院が就籍申告書を受け付けた時には、就籍地を管轄する市・区・邑・面の長に戸籍の有無などを調査させます。家庭法院が就籍を許可すれば、市・区・邑・面の長は戸籍を編製することになります。
  就籍完了までには、約3~6カ月程かかります。
(2) 第2版「在日」の家族法Q&A(平成18年1月31日付)96頁には以下の記載があります。
  特例法(山中注:在外国民就籍・戸籍訂正および戸籍整理に関する特例法のこと。)3条では、大韓民国国民として本籍がないか、または、本籍が明らかではない人は在外公館の長に就籍許可を申請できるとしています。本籍がない人とは、出生申告義務者が申告をしないでそのまま放置するか、戸籍の焼失等で現在戸籍がない人をいい、また、本籍が明らかではない人とは、父母の行方不明により戸籍の所在が不明な人をいうとされています。
3 在日韓国人の戸籍の問題点

(1) 全国相続協会相続支援センターHPの「家族関係証明書の解説-在日韓国人の戸籍問題-」(非常に参考になる資料です。)には例えば,以下の記載があります。
ア 韓国戸籍を見るときの注意点
➀戸籍の間違いが非常に多い(戸籍に載っていない。字が間違っている)縦書き⇒電算⇒家族関係へと移記するたびに間違いが重てきた。漢字を読めない世代が作業していた。
②家族関係証明書だけで相続関連人を決定してはいけない。2007.12.31以前に死亡、国籍喪失(帰化)、不在宣告、失踪宣告の理由で戸籍から除外された者は家族関係登録簿に記載されていない。
(実際は帰化してもそのまま戸籍に載っている場合が多い)
イ 在日の戸籍を疑え→実態とは違っている。
◆在日韓国人の家族関係証明書(戸籍)には『 出生、死亡、婚姻、子供の記録がない 』 『 戸籍が間違っている 』 『 外国人登録原票と一致しない 』というように実態と一致していないことがたくさんあります!
◆そんな不備な戸籍を信じて相続や帰化手続をするのは危険。
◆困ったことに依頼者自身が気が付いていないことが多い。
(2) 「在日」の相続法 その理論と実務(平成31年4月29日付)490頁には「在外国民就籍に関する臨時特例法」(1967.1.16法1865号)が「在外国民就籍・戸籍訂正及び戸籍整理に関する臨時特例法」(1973.6.21法2622号)に変更された理由として「「約70万に達する世界各地に居住する在外国民」の本籍地に戸籍登載がなされておらず,「登載された者でも姓名や生年月日等が実際と一致しない者が現在約50%以上に達すると推定され」るので戸籍を実際に合わせるようにするため」と書いてあります。
(3) 韓国戸籍翻訳センターHP「在日韓国人の相続手続」には以下の記載があります。
    韓国戸籍が見つからなかった時は当事務所(山中注;在日総合サポート行政書士事務所のこと。)へ依頼!
    韓国戸籍は驚くほど不備や誤りが多いです。本当は除籍謄本が存在するのに役所が移記するときに名前をインプット間違いしたために電算検索で発見できなかったケースは何件も経験しています。
    子供の戸籍があるのに親の戸籍が見つからない。嫁いだの戸籍の前戸籍(実家)の戸籍が見つからない。戸主名を間違って移記されたら、いくら検索しても探せるわけがないのです。
    ありえない話があるのが韓国戸籍です。戸籍が見つからない場合や疑問がある場合は当方にご連絡いただきたいと思います。きっとお役に立てると思います。
4 在日韓国人には韓国の住民登録番号がないこと
(1) 在日韓国人の場合,韓国の除籍謄本及び家族関係証明書の「住民登録番号」欄が空欄となっています。
(2) 韓国の住民登録番号は1968年に制度化されましたところ,「韓国の住民登録番号(PIN)制度について 」には以下の記載があります。
     住民登録番号は原則として出生申告時に付番する。その目的は、住民の自己識別(身元確認)を通じた生活便宜の向上および行政の効率化、の2つにある。住民登録番号は1人1番号となっており、生涯を通じて番号は変わらない。現在、番号は13桁となっており、最初の6桁が生年月日、次の1桁が性別、次の4桁が地域番号、次の1桁が(同一の生年月日、同一の性別、同一の地域番号を有する者の)出生申告順位、最後の1桁が検証番号となっている(別添資料1参照)。住民登録番号は韓国籍の者のみに付番される。
(3) 在日本大韓民国民団HPの「生活相談Q&A 事例」には「国民登録番号の取得」として以下の記載があります。
Q 戸籍は持っていますが国民登録番号が記載されていません。民団登録番号はあります。手続き方法を教えてください。韓国へはよく行きますのでどこですればよいのか、あるいは日本でもできるのでしょうか。
A 戸籍に記載されている国民登録番号は、住民登録番号といい、本国の人にのみ記載されています。在日同胞の場合は空欄として表示されます。在日としては、住民登録番号を取得する方法はありません。ただし、日本の永住権を放棄し、本国に永住帰国をすれば取得できます。

第3 弁護士による在日韓国人の相続人調査には限界があること
1 平成24年7月9日付で廃止された外国人登録法に基づく外国人登録原票
(1) 東京都小平市HPの「外国人登録原票を必要とされる方へ」には,「外国人登録原票に記載されている個人情報」として以下の記載があります。
    外国人登録原票に記載されている個人情報は、平成24年7月9日の外国人登録法廃止以前に、市区町村に登録の申請をいただいた下記の(1)から(24)の個人情報が記載されています。
    ただし、登録の申請がされていない情報は記載されておりませんし、外国人登録原票の様式や登録事項は、これまで累次の改正がなされていることから、必ずこれら全ての個人情報が記載されているとは限りませんので、その点、あらかじめご承知おき願います。
    (1)氏名、(2)性別、(3)生年月日、(4)国籍、(5)職業、(6)旅券番号、(7)旅券発行年月日、(8)登録の年月日、(9)登録番号、(10)上陸許可年月日、(11)在留の資格、(12)在留期間、(13)出生地、(14)国籍の属する国における住所又は居所、(15)居住地、(16)世帯主の氏名、(17)世帯主との続柄、(18)勤務所又は事務所の名称及び所在地、(19)世帯主である場合の世帯を構成する者(世帯主との続柄、氏名、生年月日、国籍)、(20)本邦にある父・母・配偶者((19)に記載されている者を除く。氏名、生年月日、国籍)21)署名、(22)写真、(23)変更登録の内容、(24)訂正事項

* 法務省HPに掲載されているものです。
(2) 出入国在留管理庁HPの「外国人登録原票に係る開示請求について」には以下の記載があります。
 平成24年7月9日、新たな在留管理制度が導入されたことに伴い外国人登録制度は廃止されました。これに伴い、外国人登録原票は、特定の個人を識別することができる個人情報として、出入国在留管理庁において適正に管理しています。なお、自分の外国人登録原票を確認したい、写しを交付してほしいとする場合、開示請求を行う必要があり、その手続は、次の「開示請求の手続について」の内容をご確認ください。
(3) 韓国戸籍翻訳センターHP「在日韓国人の相続手続」には以下の記載があります。
 日本の外国人登録の記録には家族関係の記載があることが多いので死亡した子の存在がわかります。戸籍に記載されていない相続人を探す場合「外国人登録原票の写し」は必ず韓国戸籍を補充する物として役に立ちます。
2 弁護士が行える在日韓国人の相続人調査の方法
(1)ア 債権者が債務者Xの電算化除籍謄本からX本人及びその親族の現在の住所を調べる場合,電算化除籍謄本で氏名,国籍,性別及び生年月日を確認した上で,東京出入国在留管理局長に対する弁護士会照会により居住地の記載がある外国人登録原票の写しを取り寄せた上で,住民票の職務上請求をすることになると思います。
イ 在日韓国人である債務者の相続人の代理人から相続放棄の連絡を受けているのであれば,相続財産管理人の選任申立てを予定している「利害関係者」として,相続放棄の事件記録(特に,相続関係図,電算化除籍謄本及び家族関係証明書)を閲覧謄写した上で(家事事件手続法47条1項),名前が出てきた推定相続人となる親族について,被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して相続放棄の申述の有無を照会すればいいと思います。
ウ 大阪家裁HPの「家事事件の各種申請で使う書式について」に,「相続放棄・限定承認の申述の有無の照会書」等が載っています。
(2) 以下の資料を掲載しています。
・ 外国人登録法の廃止に伴い回収された外国人登録原票に係る開示請求手続について(平成23年12月13日付の法務省入国管理局登録管理官の事務連絡)
→ 人定事項(国籍,氏名,生年月日及び性別)を記載しておけば調査してもらえるみたいです。
・ 弁護士法23条の2の規定に基づく外国人登録原票の照会への対応について(平成24年7月30日付の法務省入国管理局出入国管理情報官付補佐官の事務連絡)
・ 外国人登録法の廃止に伴い回収された外国人登録原票に係る開示請求手続について(平成24年3月21日付の日弁連事務総長の依頼)
・ 弁護士法第23条の2第2項の規定に基づく照会に係る照会案内の変更について(令和元年9月17日付の出入国在留管理庁総務課長の通知)


* 外国人登録法の廃止に伴い回収された外国人登録原票に係る開示請求手続について(平成24年3月21日付の日弁連事務総長の依頼)に含まれている,弁護士会照会の申請書別紙です。

3 弁護士が行える在日韓国人の相続人調査の限界
(1) 日本人の被相続人の兄弟姉妹をすべて調べるためには,①被相続人の父母(被相続人の直系尊属)について死亡時の戸籍から,出生時に最初に入った戸籍まで遡るの全部の戸籍謄本,及び②兄弟姉妹の現在の戸籍謄本まで必要になる(相続財産管理人選任申立ての手引(民法918条2項用)5頁「戸籍謄本等の調査方法」参照)のであって,在日韓国人の場合,除籍謄本及び家族関係証明書が必要となります。
 それにもかかわらず,民法918条2項の相続財産管理人を除き,日本国内の案件で弁護士を含む第三者が除籍謄本及び家族関係証明書を取得することはできません(弁護士会照会でも取得できません。)。
(2) 渉外不動産登記の法律と実務230頁には以下の記載があります(月刊日本行政(日本行政書士会連合会)に掲載された「2009年11月19日、駐大阪大韓民国総領事館・領事の講演資料」からの抜粋みたいです。)。
 上記質疑応答(山中注:「2009年7月23日付け大法院・家族関係登録課第2555号 質疑応答」のこと。)を以下に,要約して紹介する。
 「日本国内居住の日本人が.在日韓国人に対し,債権回収のため日本国内の裁判所に詐害行為取消訴訟を提起した場合に,訴訟上,必要になった登録事項証明書等を, 日本の裁判所の文書送付嘱託書等によって,取寄せることは可能か」との問いに対して,次のように回答している。
 「登録事項別証明書は,原則.本人,配偶者,直系血族,兄弟姉妹(以下”本人等”という)に限って交付請求が可能であり,本人等以外の場合は原則的に本人等の委任を必要とすること。また,訴訟手続で必要な場合は,あくまで韓国の裁判所の補正命令書.事実照会書,嘱託書等の提出がある場合には,本人等の委任がなくとも交付請求可能であること。外国人の場合には直接,韓国の発給官署に出頭して書類を用意しなくてはならず,外国からの郵便による交付請求は不可である。更に,その根拠として,法令の場所的適用範囲に関して,国際法秩序上,承認された属地主義の法律による国家の法令は,その領域内すべての人間に限定され,他の国家の領域まで適用や執行の効力が及ばないこと。各国の裁判権は,領土高権(領土主権)によって.その国家の主権が及ばない外国には及ばない。各国の裁判所は.外国との司法共助協定などがない限り,自国の領土外ではいかなる形態の職務行為も執行できず,命令等もその国家内のみに効力を持つだけで外国に当然その効力は及ばない。
 それ故,登録事項別証明書発給の正当な請求事由として“訴訟手続で必要な場合” とは,大韓民国の領土内で進行する訴訟手続にて必要な場合のみを意味すると解釈されるため,事案については「家族関係の登録などに関する法律」などが規定した登録事項別証明書発給の正当な請求事由に該当性がないので,同法律等が定めた手続と方法により,証明書の請求受領ができない。
(3) 渉外不動産登記の法律と実務232頁及び233頁には,競売申立てのため相続人を確定する必要があることを理由とする,平成22年4月14日付の弁護士会照会(駐日韓国大使館領事部宛のもの)による除籍謄本の取り寄せにつき,駐日韓国大使館・参事官は同年5月30日付の回答により取り寄せを拒否してきたという趣旨のことが書いてあります。
 家族関係証明書の取得制限及びそれに伴う不都合
(1) 家族関係証明書の取得制限
・ 
成28年6月30日に韓国の憲法裁判所において兄弟姉妹が家族関係証明書等を取得することは違憲であると判断されたため,同年7月1日以降,兄弟姉妹が家族関係証明書等を取得することが非常に難しくなりました。
 そして,令和3年4月1日以降,在日韓国人が相続を理由とする場合であっても,兄弟姉妹の家族関係証明書の発行請求が認められなくなっています(康行政書士事務所HPの「兄弟の韓国家族関係登録証明書を取るのが難しくなりました。」)。
(2) 家族関係証明書の取得制限に伴う不都合
ア Office.KIMの「◆韓国 家族関係証明書の取寄せ方法②」には以下の記載があります。
 特別永住者の相続手続きにおいて、相続人として複数の兄弟姉妹がいるような場合に、今まではそのうち1名を代表として兄弟姉妹の証明書等を取得して手続きをすすめることができましたが、今後は本人自らの申請又は委任状が必要になったことにより、兄弟姉妹全員の所在確認と意思確認を要することになります。家族状況等によっては長年音信不通や交際がまったくない又は相続において利害関係が生じている場合等もありますので、ますます特別永住者の相続手続きを行う上で困難を伴うことが予想されます。
イ 例えば,死亡した債務者Xの第1順位及び第2順位の相続人が相続放棄,死亡等により不存在となった結果,第3順位の相続人(つまり,兄弟姉妹)となるA,B及びCが債務者Xを相続することとなった場合,A,B及びCとしては,委任状なしに他の兄弟姉妹の家族関係証明書を取得できません。
 そのため,ABCの誰かが音信不通状態となっている場合,家族関係証明書により債務者Xの相続人の範囲を確定することができない結果,ABの法定相続分を確定させることができないこととなります。
 これを債権者の立場で見た場合,仮にAについて法定単純承認が成立していたときは,Aを通じて債務者Xの両親(つまり,Aの父方又は母方の祖父母)の家族関係証明書を取得できるとしても,Aが委任状なしにB及びCの家族関係証明書を取得することができない以上,法定相続分を確定させて代位による相続登記をするためには,B及びCを通じてB及びCの家族関係証明書を必ず取得できる必要があると思います。
5 第3順位の相続人が発生した場合において,債権者から見た場合の相続人調査が完了となるケース(日本の民法が適用される場合)
(1)ア 債務者Xが死亡し,第3順位の相続人ABCが発生した場合において,債権者から見た場合の相続人調査が完了となるケースは以下のとおりと思います(相続の準拠法に関する被相続人の遺言(大韓民国国際私法49条2項1号)に基づき,日本の民法が適用される場合です。)。
① 債務者Xの両親(ABCの父方又は母方の両親)の出生時から死亡時までの除籍謄本及び家族関係証明書を提出してもらえること
→ ABCの誰かの協力があれば足りるものの,例えば,残債務放棄を条件としない限り任意に協力してもらうのは難しいかもしれません。
② ABCの家族関係証明書を提出してもらえること。
→ ABC全員の協力が必要です。
イ 債務者Xの両親の外国人登録原票の写しは弁護士会照会で取得できます。
(2)ア ABCのいずれかについて法定単純承認が成立している場合,法定単純承認が成立している人を相手に訴訟提起した上で,対象者の登録基準地(本籍地みたいなものです。)の市(区)・邑又は面の長を嘱託先とする調査嘱託により家族関係登録を調査できるかもしれません。
イ 韓国戸籍翻訳センターHP「在日韓国人の相続手続」には「兄弟姉妹が被相続人と相続人の関係になる場合は非常に厄介」と説明した上で,「他に家族関係証明書の入手する方法は、日本の裁判所から韓国の裁判所へ嘱託調査依頼すること、韓国で訴訟又は調停の申請をすることぐらいです。」と書いてあります。
(3)ア 相続の準拠法に関する被相続人の遺言がないために韓国民法が適用される場合,第3順位の相続人が全員,相続放棄をしたときは,第4順位の相続人(おじおば及び甥姪,並びにいとこ)まで調査する必要があります(韓国戸籍翻訳センターHPの「日韓相続法の重大な相違」参照)。
 この場合,①4人の祖父母の出生時から死亡時までの除籍謄本及び家族関係証明書を取得して「おじおば」全員を調査し,②きょうだいの出生時から死亡時までの除籍謄本及び家族関係証明書を取得して「甥姪」全員を調査し,③おじおばの出生時から死亡時までの除籍謄本及び家族関係証明書を取得して「いとこ」全員を調査する必要があるのかもしれません。
イ 韓国民法では,相続放棄の3ヶ月の熟慮期間の起算点について「相続発生の事実と自己が相続人であることを知った日」と厳格に解されています(在日コリアンの相続支援サイトHP「被相続人が韓国籍の場合における相続放棄の注意点」参照)から,第1順位ないし第3順位の相続人のいずれかについて法定単純承認が成立する可能性は日本民法が適用される場合よりも高いと思います。

* 民事事件に関する国際司法共助手続マニュアル(令和2年6月に開示された,最高裁判所民事局作成の文書)からの抜粋です。

第4 相続財産管理人を通じた調査及びその選任申立ての方法
1 相続財産管理人を活用できること
(1)ア 家庭裁判所の財産管理実務12頁及び13頁には,「(1) 具体的事例~不動産の強制執行、担保権実行、滞納処分による差押え」として以下の記載があります。
    外国籍の者の相続において、相続財産管理制度を活川できる場面として典型的なのは、不動産の強制執行、担保権実行、滞納処分による差押えにおいて外国籍の所有者に相続が生じていたことが判明した場合です。
    すなわち、不動産の所有者に相続が生じていた場合には、強制執行等の申立時に申立人が債権者代位による相続登記をする必要がありますが、そのためには法務局に戸籍等の相続関係を証明する資料を提出する必要があります。
    ところが、外国籍の者の相続人調査は、相続関係資料の入手が困難な場合が多いことから、一般的に容易ではないといえます。
    例えば、韓国籍の所有者の相続登記のためには、韓国戸籍(除籍謄本)や家族関係証明書等の提出が必要であるところ、日本の相続債権者や担保権者の立場ではこれらの書類が取得できません。この点、これらの書類を取得できる相続人に協力を求めることも考えられますが、協力を得られない場合も少なくありません。
    そうすると、相続関係を証明する書類が揃わないため、相続登記ができず、強制執行等も進められないことになります。
    このような場合、民法952条に基づく相続財産管理人や同918条2項に基づく相続財産管理人の選任申立をすることが解決策となり得ます。
    民法952条の管理人が選任された場合は、同管理人において、選任審判書謄本を登記原因証明情報として相続財産法人名義に変更登記をすることができるからです(昭和39.2.28民事422号民事局長通達)。
    また、相続人の一部の存在が明らかな場合(判明している相続人以外に相続人がいるか不明な場合も含む)、民法952条の管理人の選任はできませんが、その場合には、同918条2項の管理人の選任申立をし、同管理人において相続人調査を進めてもらうことが考えられます(民法918条2項の相続財産管理人については、Q44,45参照)。
イ 家庭裁判所の財産管理実務159頁には,「外国籍の者の調査」として以下の記載があります。
    被相続人が外国籍の場合や相続人が外国籍の場合、相続人を調査するために、当該外国の戸籍調査に精通している弁護士を「民法918条2項の相続財産管理人」として選任し、相続人調査をしてもらうという方法があります。
    大阪家庭裁判所では、韓国の戸籍調査の場合、申立人において調査をしたが相続人の存在が明らかでない場合でも、韓国の戸籍調査に詳しい弁護士を「民法918条2項の相続財産管理人」として選任し、同管理人に相続人調査を行ってもらっています。一方、申立人において調べた限りで相続人の存否が分からず、当該外国の戸籍調査に精通している弁護士がいないような国の場合には、相続人不分明の場合として民法952条の清算のための相続財産管理人を選任する方向で検討することになります。詳細はQ4をご参照ください。
(2) 令和4年8月1日に私が大阪家裁財産管理係に電話で問い合わせをしたところ,民法918条2項に基づく相続財産管理人であれば,相続人の調査を目的として,韓国の総領事館から家族関係証明書を発行してもらえるそうです。
2 民法952条の相続財産管理人の選任申立て
(1) 家庭裁判所の財産管理実務12頁及び13頁には「(2) 民法952条の相続財産管理人の選任申立~大阪家庭裁判所の実務」として以下の記載があります。
    (1)の場合(山中注:「(1) 具体的事例~不動産の強制執行、担保権実行、滞納処分による差押え」の場合)、民法952条の相続財産管理人の選任申立に当たっては、申立人側で可能な限り相続関係資料(外国人住民票写し、閉鎖済外国人登録原票写し、相続放棄をした相続人等の関係者から入手した韓国戸籍、家族関係証明書等)を収集し、これらを選任申立時の添付資料として裁判所に提出することになります。
    そして、これらの耆類に加えて、申立後に裁判所が調査嘱託により収集する資料や関連記録(相続放棄申述事件記録等)を踏まえて、裁判所が民法952条の要件である相続人不分明であるか否かを判断することになります。
    ここで、相続人不分明であると認定できた場合には、その時点で裁判所は民法952条に基づく相続財産管理人を選任することになります。
    他方、相続人不分明であると認定するのが難しく、かつ、申立人による必要な資料の追完も困難である場合には、裁判所において、民法952条の相続財産管理人選任申立事件を同918条2項の相続財産管理人選任事件に切り替え(いわゆる立件替え),同918条2項の相続財産管理人を選任し、同管理人において、韓国の相続関係資料を取得するなどの相続人調査を行う運用とされています。
    そして、この民法918条2項の相続財産管理人による相続人調査により、柑続人不分明の要件を満たすものと認められる場合には、申立人において改めて民法952条の相続財産管理人選任申立を行い、裁判所において民法952条の管理人を選任した上で、相続財産法人名義への変更登記を行うことになります。
    また、この相続人調査により、相続人の存在等が判明した場合には、調査結果に基づき、申立人において、判明した相続人への相続登記を進めることになります。
(2) 東弁リブラ2022年6月号「成年後見実務の運用と諸問題」には「注意していただきたいのが,民法952条の相続人不存在の場合の相続財産管理人との違いで,民法952条の相続財産管理人は,相続財産の清算に向けられた手続きの積み重ねが予定されているが,民法918条2項の場合にはそういったことは予定されていない。」と書いてあります。
3 相続財産管理人の選任申立ての予納金
(1) 家庭裁判所の財産管理実務32頁には以下の記載があります。
Q11 予納金
相続財産管理人の選任申立ての予納金について、詳しく教えて下さい。
A 予納金とは、相続財産を管理するために必要な費用を、相続財産から支弁することが困難な場合に、申立人が、このような費用を賄うために、あらかじめ拠出しておく金銭のことを指します。予納金の額は、100万円位となることが一般的ですが、近時は各家庭裁判所が具体的事案に応じて増減を判断することになっています。
(2) 相続の準拠法が日本民法であるか韓国民法であるかによって予納金が異なるかどうかは不明ですが,韓国民法が適用される場合,第4順位の相続人(おじおば及び甥姪,並びにいとこ)まで存在する点で日本民法よりも相続人調査が遥かに大変ですから,予納金が同じというのはおかしい気がします。
4 その他
(1) 令和5年4月1日以降に申立てをする場合,令和3年の民法改正に基づき,民法918条2項の相続財産管理人は民法897条の2の相続財産管理人となり,民法952条の相続財産管理人は相続財産清算人となります。
(2) 以下の資料を掲載しています。
・ 相続財産管理人選任申立ての手引(申立てを検討している人向けの説明文書)
・ 相続財産管理人選任申立ての手引(民法918条2項用)
・ 相続財産管理人選任申立ての手引(成年後見人・保佐人・補助人用)
・ 自治体向け財産管理人選任事件申立てQ&A(令和元年11月改訂の,大阪家庭裁判所家事第4部財産管理係書記官室の文書)


第5 国籍欄が「朝鮮」の人の位置づけ
1  国籍欄に「朝鮮」と記載されていても、実際には韓国籍を有している可能性があること

(1) 衆議院議員秋葉賢也君提出特別永住者の扱いに関する質問に対する答弁書(平成22年3月2日付)には以下の記載があります。
    外国人登録では、国籍欄において、「韓国」の記載を国籍の表示として用いているが、「朝鮮」の記載は、「韓国」が国籍として認められなかった時代からの歴史的経緯等により、朝鮮半島出身者を示すものとして用いており、外国人登録の手続の際に韓国籍を証する書類の提出等がなく、市町村の窓口において国籍が確認できなかった者であって朝鮮半島出身者であることが明らかなものについては、国籍欄に「朝鮮」と記載することとしている。すなわち、「朝鮮」の記載は何らの国籍を表示するものとして用いているものではなく、国籍欄に「朝鮮」と記載されていても、実際には韓国籍を有している可能性がある。
(2)ア 平成27年12月の在留外国人統計から国籍欄の「韓国」と「朝鮮」を区別した人数が発表されていますところ,同月時点の「韓国」籍の総数は45万7772人(うち,永住者は6万6326人,特別永住者は31万1463人)であり,「朝鮮」籍の総数は3万3939人(うち,永住者は477人,特別永住者は3万3281人)でした。
イ 令和4年6月の在留外国人統計によれば,同月時点の「韓国」籍の総数は41万5911人(うち,永住者は7万3747人,特別永住者は26万3827人)であり,「朝鮮」籍の総数は2万5871人(うち,永住者は381人,特別永住者は2万5356人)でした。
2 在日コリアンの在外国民登録
(1)ア 1948年8月15日に成立した韓国政府は,国籍法(1948年12月20日法律第16号)2条1項1号で「出生したとき、父が大韓民国の国民であった者」は大韓民国の国民とすると規定しました(第2版「在日」の家族法Q&A(平成18年1月31日付)49頁参照)。
イ 統一日報HPの「在日の従北との闘争史~民団結成から韓国戦争勃発まで~⑪」には以下の記載があります。
    韓国政府は1949年8月1日に「在外国民登録令」を公布した。在日同胞は外国人登録に国籍が「朝鮮」になっていたため、民団としては「大韓民国」への変更は当然な課題だった。
    「民団」は「在外国民登録令」公布の1年前から全国の地方本部で「在外国民登録」事業の準備をすすめた。それで、「民団」は、1949年11月に「国民登録委員会」を設置して、実施準備に態勢を整えた。
    1950年2月11日に大統領令で「在外国民登録実施令」が施行されて、「民団」も本格的に事業を始めた。
    「民団」は、「国民登録を怠る者は国民としての資格を喪失する。無国籍人になることを望む以外の者は登録しよう」と宣伝活動を展開した。
(2) 在日コリアン支援ネットの「在日韓国人・朝鮮籍の皆様の「国籍に関連する手続き」(朝鮮籍→韓国籍へのいわゆる「国籍変更」を含む)について」には以下の記載があります。
    ご自身が「大韓民国国民」であると認識されていらっしゃる在日コリアンの方については、韓国の在外国民登録法(재외국민등록법)に基づく在外国民登録の対象者ということになります。
    この場合、日本の住民登録上の国籍欄が現在朝鮮と記載されている在日コリアンの方であっても、所定の手続きにより在外国民登録は可能です。
(3) 韓国の在外国民登録をしていたとしても,日本の役所で「韓国」籍への変更手続きをしていない場合,「韓国」籍を保有しているのに住民票の国籍欄は「朝鮮」籍となっていることになります。
3 日韓基本条約3条及び海外旅行時の取扱い

(1) 日韓基本条約3条
ア 日韓基本条約3条は「大韓民国政府は、国際連合総会決議第百九十五号(III)に明らかに示されているとおりの朝鮮にある唯一の合法的な政府であることが確認される。」と定めています。
イ 参議院議員熊谷裕人君提出日韓基本条約第三条の解釈に関する質問に対する答弁書(令和元年11月8日付)には以下の記載があります。
    お尋ねについては、平成二十八年九月十四日の衆議院外務委員会において、大菅岳史外務省大臣官房審議官(当時)が「日韓基本関係条約におきましては、北朝鮮については何ら触れておりません。言いかえますと、一切を北朝鮮につきましては白紙のまま残しているということ」と述べているとおりである。
(2) 海外旅行時の取扱い
・ Korea World Timesの「朝鮮籍と韓国籍の違い 日本では北朝鮮の国籍は存在しない?」には以下の記載があります。
    たとえば、前述のように国籍を証明する方法として各国が発行する旅券(パスポート)がある。「朝鮮民主主義人民共和国旅券」の場合は「在日本朝鮮人総聯合会」(朝鮮総連)が窓口となって発行している。
    本来この旅券さえあればどこの国に行っても国籍を証明できるはずが、日本政府は未承認国である朝鮮民主主義人民共和国旅券を「有効な旅券」として扱っていないためそれも不可となる。
    実際に北朝鮮の海外公民であったとしても、日本国内においては無国籍者という扱いになり、彼らは自身の国籍を証明する手段がないのだ。
(中略)
    朝鮮籍保有者が海外に渡航する場合は、前述の朝鮮総連発行の朝鮮民主主義人民共和国旅券か、法務省が発行する「再入国許可書」を旅券(パスポート)代わりにすることが必要となる。
    これに加えて、外国籍者はその国籍にかかわらず、日本に再入国するための手続きとして事前に法務大臣から再入国許可を受けることが必要である。
4 戦前生まれの場合,「朝鮮」籍でも韓国の戸籍に名前が載っていること
・ 康行政書士事務所HPの「朝鮮籍の人には、韓国の戸籍・家族関係登録事項証明書は出ない?」には以下の記載があります。
    なぜ、朝鮮籍なのに韓国の戸籍に名前が載っていたり家族関係登録事項別証明書が出るのでしょうか?
    これは、日本植民地時代の日本の戸籍が、そのまま韓国の戸籍として使われていたからです。戦前から日本に住んでいる朝鮮籍の人は、日本で生まれたとき日本の役所に出生届けを出しますので、それが戸籍に反映されました。その日本の戸籍が韓国独立後も戸籍謄本としてそのまま使われていたのです。
    ですので、戸籍に載っている情報も、その当時のままということになります。実際に2008年以降に出来た婚姻関係証明書や家族関係証明書にも、実際は結婚していて子もいるのに、その事実が反映されていませんでした。
    日本の外国人登録上の国籍としては「朝鮮」となっていますが、このように韓国の家族事項の証明書は出ますので、韓国は、この人を自国民として認めていることになります。
5 債権者から見た場合の取扱い
・ 債権者から見た場合,戦後生まれの在日コリアンについて韓国の除籍謄本又は家族関係証明書が存在するのであれば,韓国の在外国民登録及び戸籍整理又は就籍の手続をしているわけですから,朝鮮籍の人についても在日韓国人と全く同じ取扱いになると思います。  
 


第6 ハングル関係のメモ書き
1 ハングル表記のルール
(1) トリリンガルのトミのサイトには例えば,以下の記事が載っています。
① 「【早見表付き】日本語のハングル表記のルール【あいうえお】をハングルで」
② 韓国語の単語学習は漢字語でほぼ終わり!ルールも解説!【読み方一覧表付】
→ 「漢字→ハングル対応表PDF」及び「ハングル→漢字対応表PDF」が載っています。
(2) 子音字母の基本字母14個の一つである「ㅈ」はカタカナの「ス」のように表記されていることがあります。
2 ハングル文字の入力方法
・ 3rdpageSearch Jp「ハングル音節文字」でハングル文字を作成すれば,グーグル翻訳等で翻訳することができます。
3 漢字語,固有語及び外来語
・ 福山市韓国語教室K-ROOM「今年の漢字「金」、韓国語では「금」or「김」??」には以下の記載があります。
    韓国語では普段、文字の表記はほとんどがハングルだけで表記されますが、その中には「漢字語」「固有語」「外来語」で構成されています。
    「漢字語」というのは単語自体が漢字で成り立っているもので、「固有語」というのは漢字の読みの単語ではなく、ハングルだけで成り立っていて、「外来語」は外国語をそのままハングルで表記しているものになります。
4 同音異義語がたくさんあること
(1) CREATORSの「日本語よりも予測不能!韓国語の同音異義語」には以下の記載があります。
    実は韓国語にもこのような同音異義語がたくさんあります。
    しかも、韓国語では一般的に漢字は使われていません。ハングルだけなので、日本語のように漢字を見れば一目で意味がわかるということはなく、前後の文脈からどちらの意味なのか判断するよりほかありません…
(2) ヤフー知恵袋の「韓国・朝鮮語」の記事には「率直言うと、韓国人の名前の漢字表記は、本人に確認しないと殆ど分かりません。」と書いてあります。

第7 在日コリアンの相続の準拠法
1 本国法の決定基準
(1) 書籍の記載
ア 戦後生まれの在日コリアンについて韓国の除籍謄本又は家族関係証明書が存在するのであれば,実務的には韓国法が本国法になると思いますが,第2版「在日」の家族法Q&A(平成18年1月31日付)33頁には以下の記載があります(改行を追加しています。)。
    在日の本国法は、当事者の住所、居所、過去の住所や、親族が本国にいるとして南北いずれにいるか、本貫(始祖の発祥地名)や本籍地は南北のいずれにあるか等の客観的要素と当事者の意思(南北いずれの政府へ帰属意思を有するか、南北に住所を選択するとすればいずれの地域を選択するか)の主観的要素を考慮して、「当事者に最も密接なる関係ある」法律を本国法として決定するという考え方が有力です。
    具体的には、外国人登録法上の国籍欄の記載が「朝鮮」で、当事者が在日本朝鮮人総連合会に属して活動し、親族が北朝鮮にいて本人も北朝鮮へ帰国したことがあるというような場合は、「北朝鮮法を本国法とする在日」と決定されることが多いでしょう。
    他方、外国人登録法上の国籍が「韓国」で上記と異なり所属意思が明確でない場合は、在日の出身地(本籍地)が韓国の実効支配する領域に属する場合がほとんどということもあり、「韓国法を本国法とする在日」と決定される場合が多いと思われます。
イ 全訂Q&A渉外戸籍と国際私法(2008年2月1日付)51頁には以下の記載があります(改行を追加しています。)。
    国際私法上,当事者の「本国法」の決定は,私法関係における問題であり,その法律を公布した国家ないし政府に対する外交上の承認の有無等とは次元を異にします。
ところで,台湾においては中華人民共和国の法規とは異なる法規が現に通用し,また,朝鮮の北部地域には,大韓民国の法規とは異なる朝鮮民主主義人民共和国の法規が現に施行されていることは,公知の事実です。
このようないわゆる分裂国家の場合に,国際私法の解釈として,未承認政府の法律の適用問題として処理するのが適当か,異法地域の本国法決定の問題として通則法38条3項を適用して処理するのが適当か問題のあるところであります。
しかし,前者の問題と捉えた場合は,国際私法上,それぞれを独立国として見ることから,各政府の法律が本国法となり,また,後者の問題と捉えた場合は,国際私法上,中国又は朝鮮をそれぞれ全体として1つの国として見ますが,間接指定方式によることができないので,当事者に最も密接に関係する地の法律を適用することとなります。
そうすると,いずれのアプローチによっても,本土系中国人の本国法は中華人民共和国の法規,台湾系中国人の本国法は中華民国民法等であり,また,大韓民国の地域に属する者の本国法は大韓民国民法等,朝鮮民主主義人民共和国の朝鮮人(北朝鮮系朝鮮人)の本国法は同国の法規であることとなります。

(2) 法務省民事局の通達
ア 朝鮮人の身分に関する取扱いについて(昭和34年12月28日付の法務省民事局長通達)(親族・相続・戸籍に関する通牒録4466頁の7及び4466頁の8)は以下のとおりです。
    朝鮮人の身分に関する取扱については、平和条約の発効後も、南鮮人であると北鮮人であるとを区別することなく、引き続き従前どおり慣習によるものとして処理されていたが、慣習の内容が必ずしも判然としないため、その取扱に困難を生ずる場合も少なくなかった。しかるところ、昭和35年1月1日から新に韓国民法が施行されることとなったので、その身分法に関する部分は、同法の施行後は、従前の取扱における慣習に代わるべきものとして、すべての朝鮮人につき、同法中の親族編(別紙参照)に則って実務の処理をするのが相当であると考える。
    ついては、右の趣旨を御了知の上、貴管下各支局及び市町村に周知するよう取り計らわれたい。
イ 昭和35年6月6日付の法務省民事局第五課長回答(親族・相続・戸籍に関する通牒録4641頁)は以下のとおりです。
    朝鮮人の婚姻、養子縁組その他の身分行為について、法例の規定によりその本国法に準拠すべき場合における本国法とは、わが国が事実上承認していると認むべき大韓民国の法律を指すものというべく、したがって、当該朝鮮人が南鮮人であると北鮮人であるとを区別することなく、すべて「韓国民法」を適用するのが相当と考える。
    なお、現行の「韓国民法」は大韓民国政府により檀紀4291年(昭和33年)2月22日法律第471号をもって公布され、同4293年(昭和35年)1月1日から施行されたものであるから念のため。
(3) 最高裁の事例判例
・ 最高裁昭和59年7月6日判決は「外国人登録法の規定に基づく登録において国籍として記載された中国には、中華人民共和国の法域のみならず同国の法規とは異なる法規が現に通用している台湾の法域も含まれることは公知の事実であるから、右登録において国籍として中国と記載されていることをもつて直ちに当該外国人が中華人民共和国の法域に属すると推認することはできない」と判示しています。
2 本国法が韓国法となる場合
(1) 在日韓国人の場合,相続については大韓民国の法律が適用される(法の適用に関する通則法36条)。
     ただし,相続の準拠法として常居所地がある日本の法を遺言で指定していた場合,日本の民法が適用されます(大韓民国国際私法49条2項1号)。
(2) 韓国の相続法は以下の点で日本の相続法と異なります(品川太田相続相談センターHPの「相続相談マメ知識」参照)。
① 4親等以内の傍系血族が第4順位として相続人となること。
② 配偶者が兄弟姉妹に優先すること。
③ 配偶者の相続分が異なること。
④ 相続人の配偶者が代襲相続人となること。
⑤ 兄弟姉妹にも遺留分があること。
(3) 韓国戸籍翻訳センターHP「在日韓国人の相続手続」には以下の記載があります。
韓国に財産がある場合絶対に公正証書遺言にすべきです。そしてもう一つ重要なことは「韓国の財産にまで日本法を適用する」とした場合、韓国の銀行等は難色を示します。国際司法上は有効なのですが、韓国の銀行等は日本の相続法がどのような内容であるのかわからないからです。日本の財産だけに日本法を適用するとした方が絶対に良いです。
3 本国法が北朝鮮法となる場合
(1) 在日コリアンの本国法が北朝鮮法となる場合,少なくとも動産及び不動産の相続については日本の民法が適用されると思いますが,預貯金の相続についてはよく分かりません。
(2)ア 第2版「在日」の家族法Q&A(平成18年1月31日付)235頁には以下の記載があります。
 国際私法規定としての「朝鮮民主主義人民共和国対外民
事関係法」(以下、「北朝鮮対外民事関係法」という)が、1995年9月6日最高人民会議常設会議決定第62号として採択され、同日に施行されている。北朝鮮における初めての国際私法典といえるであろう。ここに、相続の準拠法については、一応の決着をみることとなった。日本の法例や韓国の渉外私法および同法改正後の韓国国際私法は、不動産・動産を区別しない相続統一主義を採用しているが、北朝鮮対外民事関係法は中国法と同じように相続分割主義を採用した。
 北朝鮮対外民事関係法45条1項は「不動産相続には相続財産の所在する国の法を適用し、動産相続には被相続人の本国法を適用する。但し、外国に住所を有する共和国公民の動産相続には被相続人が最後に住所を有していた国の法を適用する」としている。
 「在日朝鮮人」の相続の準拠法を決定するについて、北朝鮮対外民事関係法を考慮するならば、日本に所在する不動産・動産いずれの相続についても日本法への反致が成立する。少なくとも、同法施行日以後に開始した相続については、被相続人が「在日朝鮮人」である限り日本民法がその相続の準拠法になる、といえるであろう。
イ 立命館大学HPに朝鮮民主主義人民共和国の対外民事関係法に関する若干の考察(平成8年の論文みたいです。)が載っています。


第8 日本法と韓国法の相続放棄に関するメモ書き
1 総論 
・ 先順位の相続人の相続放棄により相続人となった第三順位の相続人の場合,例えば,債権者からの請求書が届いた時点で初めて自分が相続人になっていることを知ったときは,その時点が「自己のために相続の開始があったことを知った時」(民法915条1項)になります。
 そのため,その時点から3か月以内であれば相続放棄ができることとなりますから,債権者としては,相続放棄の熟慮期間である3ヶ月が経過した後に訴訟提起すべきことになります。
2 相続放棄の熟慮期間(日本法の場合) 
・ 相続人において相続開始の原因となる事実及びこれにより自己が法律上相続人となつた事実を知つた時から三か月以内に限定承認又は相続放棄をしなかつたのが,相続財産が全く存在しないと信じたためであり,かつ,このように信ずるについて相当な理由がある場合には,民法915条1項所定の期間は、相続人が相続財産の全部若しくは一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべかりし時から起算されます(最高裁昭和59年4月27日判決)。
(2) 東町法律事務所HPの「相続放棄申述受理についての誤解」には以下の記載があります。
 かかる熟慮期間については、その例外を認める最高裁判例昭和59年4月27日・判例時報が存在しているため(この最高裁判例についても、激しい争いがありますが、長くなりますので、割愛いたします。)、家庭裁判所においては、死亡後3か月を経過した相続放棄であっても、一応の審理をし、3か月以内に相続放棄の申述をしなかったことについて相当の理由がないと明らかに判断できる場合にだけ申述を却下し、それ以外の場合は、申述を受理する実務が定着しているとされています(久保豊「相続放棄の熟慮期間の起算日について」家月45巻7号1頁他)。
(3) 大阪高裁平成21年1月23日判決(判例秘書に掲載)は,債権者の提訴により被相続人に多額の債務があることが判明したとしてなされた相続放棄の申述について,熟慮期間を繰り下げるべき特段の事情がないとされた事例です。
3 韓国法における相続放棄
(1)ア 韓国民法における相続放棄の熟慮期間は3ヶ月であるものの,3ヶ月の起算点について「相続発生の事実と自己が相続人であることを知った日」と厳格に解されていますから,たとえ3ヶ月経過後に債務超過である事を知ったとしても相続放棄をすることはできません(在日コリアンの相続支援サイトHP「被相続人が韓国籍の場合における相続放棄の注意点」参照)。
イ 韓国民法では,債務超過である事実を重大な過失なく知らなかった場合は、3ヶ月経過後であっても、債務超過の事実を知ったときから3か月以内であれば、限定承認をすることはできます(特別限定承認制度といいます)。
(2)ア 韓国民法では,相続放棄の結果として相続人不存在となるのは,第4順位の相続人(4親等以内の傍系血族)がすべて相続放棄した後です(韓国戸籍翻訳センターHPの「日韓相続法の重大な相違」参照)。
 そのため,おじおば及び甥姪(3親等の傍系血族)並びにいとこ(4親等の傍系血族)の全員が相続放棄をした時点で相続人不存在となります。
イ NKグループ日本経営HP「韓国籍の方の相続について解説!韓国と日本どちらの国の法が適用されるのか?」には以下の記載があります。
 被相続人が債務超過の場合で、親族全員が相続せず放棄をするという場合、日本でも順番に放棄の手続きをしていく必要がありますが、韓国の場合、放棄の手続きをしなければならない人が多くなります。
 例えば、お父さんが亡くなられた場合、日本では、①お母さんと子供、②お父さんの両親(祖父母など)、③お父さんの兄弟姉妹と放棄の手続きをしていくことになります。
 韓国の場合は、①お母さんと子供、②孫(ひ孫)、③お父さんの両親(祖父母)、④お父さんの兄弟姉妹、⑤お父さんの伯父・伯母・叔父・叔母、⑥従兄弟・・・・と順番に放棄の手続きをしていく必要があります。

第9 関連記事その他

1 仮に被相続人となった在日韓国人が債務超過の状態であった場合,第1順位の相続人が限定承認をすれば,戸籍の問題は顕在化しません。
2 韓国戸籍翻訳センターHP「在日韓国人の相続手続」には以下の記載があります。
相続関係人の全員が日本籍であっても、過去に韓国人であったり、現在韓国籍であった者の相続手続には、必ず出生からの韓国除籍謄本等が必要となります。帰化者の場合、韓国籍時代の婚姻や認知した子供の存在があるかもしれないからです。
3 出入国在留管理庁HPに「死亡した外国人に係る外国人登録原票の写しの交付請求について」が載っています。
4(1) 以下の資料を掲載しています。
・ 民事事件に関する国際司法共助手続マニュアル(令和2年6月に開示された,最高裁判所民事局作成の文書)
・ 民事訴訟手続に関する条約等による文書の送達,証拠調べ等及び執行認許の請求の嘱託並びに訴訟上の救助請求書の送付について(平成3年4月10日付)
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 海外送達
 在日韓国・朝鮮人及び台湾住民の国籍及び在留資格
 日韓請求権協定
・ 
相続財産管理人,不在者財産管理人及び代位による相続登記

個人事業税に関するメモ書き

目次
1 総論
2 所得税の確定申告をしている場合,個人事業税の申告は不要であること
3 個人事業税の計算サイト
4 その他

1 総論
(1) 個人事業税は,都道府県内に事務所等を設けて,地方税法72条の2で定める第一種事業,第二種事業又は第三種事業を営んでいる個人が納める都道府県税です。
(2)ア 弁護士業は第三種事業ですから,事業所得の金額から事業主控除額290万円等を控除した金額の5%を事業税として納付する必要があります。
イ 所得税の青色申告特別控除額は個人事業税では適用がありませんから,青色控除前の事業所得が290万円を超えた場合,個人事業税が発生することとなります。
(3) 大阪府HPに「個人事業税」が載っています。

2 所得税の確定申告をしている場合,個人事業税の申告は不要であること
・ 東京都主税局HPの「個人事業税」には以下の記載があります。
 個人で事業を営んでいる方は、毎年3月15日までに前年中の事業の所得などを、都税事務所(都税支所)・支庁に申告することになっています。ただし、所得税の確定申告や住民税の申告をした方は個人の事業税の申告をする必要はありません。この場合には、それぞれの申告書の「事業税に関する事項」欄に必要事項を記入してください。
 なお、上記に関わらず年の中途で事業を廃止した場合は、所得税の確定申告や住民税の申告とは別に、廃止の日から1か月以内(死亡による廃止の場合は4か月以内)に個人の事業税の申告をしなければなりません。

3 個人事業税の計算サイト
・ 自動計算HP「事業税の計算」を使えば,課税所得から個人事業税を計算できます。

4 その他
・ マネーフォワードクラウド確定申告HP「個人事業税とは?計算方法や仕訳、勘定科目、控除まで解説」が載っています。

開業届,所得税の青色申告承認申請書及び青色事業専従者給与に関する届出書に関するメモ書き

目次
1 開業届
2 所得税の青色申告承認申請書
3 青色事業専従者給与に関する届出書
4 個人事業主が開業時に行う税務署への届出

1 開業届
(1) 開業届の正式名称は個人事業の開業・廃業等届出書です。
(2) 国税庁HPの「[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続」に書式が載っています。手続根拠は所得税法229条です。
(3) メモラビ ブログ「出す?出さない?「開業届」を提出することの本当の意味とは。」が載っています。

2 所得税の青色申告承認申請書
(1)ア 所得税の青色申告承認申請書は,原則として,青色申告書による申告をしようとする年の3月15日までに提出する必要があります(国税庁HPの「[手続名]所得税の青色申告承認申請手続」参照)。
    そのため,例えば,令和4年分の所得税について青色申告をする場合,同年3月15日までに所得税の青色申告承認申請書を提出する必要があります。
イ 手続根拠は所得税法144条及び166条です。
(2)ア 個人事業主メモHP「青色申告とは」によれば,青色申告のメリット・デメリットは以下のとおりです。
① 青色申告のメリット
・ 青色申告特別控除(10万円,55万円又は65万円)
・ 3年間の赤字繰越
・ 専従者給与として,家族従業員への給与を経費にできる
・ 少額減価償却資産の特例として,30万円未満のものを一括でその年の経費にできる(合計限度額は300万円です。)。
② 青色申告のデメリット
・ 白色申告に比べて面倒くさい。
イ マネーフォワードクラウド確定申告HP「少額減価償却資産の特例が個人事業主にもたらす恩恵は?」が載っています。

3 青色事業専従者給与に関する届出書
(1) freeeの「「青色事業専従者給与に関する届出書」の書き方は?」には以下の記載があります。
「青色事業専従者給与に関する届出書」とは、青色申告で確定申告をしている事業者が、配偶者や親族に対して支払った給与を経費として計上するために必要な書類のことです。
青色申告事業者が事業を手伝う配偶者や親族に支払った給与は、そのままでは経費として計上できません。経費に計上するためには、事前に税務署に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出する必要があるのです。
(中略)
青色事業専従者給与に関する届出書の提出期限は、青色事業専従者への給与を経費にしようとする年の3月15日までです。

(2) 国税庁HPに「[手続名]青色事業専従者給与に関する届出手続」が載っています。

4 個人事業主が開業時に行う税務署への届出
・ freeeの「個人事業主って何?個人事業主のことを徹底解説!」によれば,個人事業主が開業時に行う税務署への届出は以下のとおりです。
① 開業届
② 青色申告承認申請書(青色申告をする場合)
③ 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
④ 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
⑤ 青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書

福利厚生費に関するメモ書き

目次
1 総論
2 福利厚生費と交際費
3 福利厚生費が否認された場合の取扱い

1 総論
・ 一定の条件のもとで非課税となる福利厚生費としては,宴会費用,慶弔見舞金,永年勤続者の記念品,創業記念品等,自社商品の値引き後価額,食事代,健康診断費用,社員旅行等,資格取得費等,学資,制服・作業服等があります(リード総合法律会計事務所HPの「7.現物支給をうまく利用して福利厚生を充実させよう」参照)。

2 福利厚生費と交際費
(1) 租税特別措置法関係通達61の4(1)-1(交際費等の意義)は以下のとおりです。
措置法第61条の4第6項に規定する「交際費等」とは、交際費、接待費、機密費、その他の費用で法人がその得意先、仕入先その他事業に関係ある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいうのであるが、主として次に掲げるような性質を有するものは交際費等には含まれないものとする。
① 寄附金
② 値引き及び割戻し
③ 広告宣伝費
④ 福利厚生費
⑤ 給与等
(2)ア 租税特別措置法関係通達61の4(1)-10(福利厚生費と交際費等との区分)は以下のとおりです。
社内の行事に際して支出される金額等で次のようなものは交際費等に含まれないものとする。
① 創立記念日、国民祝日、新社屋落成式等に際し従業員等におおむね一律に社内において供与される通常の飲食に要する費用
② 従業員等(従業員等であった者を含む。)又はその親族等の慶弔、禍福に際し一定の基準に従って支給される金品に要する費用
イ 租税特別措置法関係通達61の4(1)-18(下請け企業の従業員等のために支出する費用)からすれば,下請け企業のほか,派遣社員に対する支出についても福利厚生費に該当する場合があると思います(総務の森HPの「派遣社員等を含めての懇親会費用」参照)。
(3) AD Laboratoryに「「社員旅行」はすでに死語!?コロナ禍の職場でのレクリエーション事情とは」が載っています。

3 福利厚生費が否認された場合の取扱い
(1) 国税不服審判所平成10年6月30日裁決には以下の記載があります。
所得税法第36条第1項によれば、金銭以外の物又は権利その他の経済的利益の価額は収入金額に算入すべき旨規定されており、現物で支給されるものや経済的利益の供与など、現金で支給されず、役員又は使用人が自由に管理支配できないような形式によるものであっても、使用者が役員又は使用人に対し、又はそれらの者のために支出する金品で、それらの者に帰属することが明らかであるものは、原則として給与所得に係る収入金額とされると解される。
(2) 福利厚生費が否認されて従業員の給与所得(賞与)と判断された場合,事業主としては,源泉所得税等を追加で支払う必要が出てきますところ,この場合,賞与として源泉徴収する必要があると思います(国税不服審判所平成22年12月17日裁決参照)。

税務調査その他国税に関するメモ書き

目次
第1 税務調査に関するメモ書き
第2 予定納税に関するメモ書き
第3 国税の支払方法に関するメモ書き
第4 電子帳簿保存に関するメモ書き
第5 記帳代行及び給与計算に関するメモ書き
第6 関連記事その他

第1 税務調査に関するメモ書き
1  税務署又は国税局の職員が質問検査権に基づいて行う検査を税務調査といいますところ,質問検査権の中身は以下のとおりです(国税通則法74条の2)。
① 質問をする。
② 事業に関する帳簿書類その他の物件を検査する。
③ 事業に関する帳簿書類その他の物件の提示又は提出を求める。
2 納税者権利憲章を作る会HPに載ってある「もっと正しく知りたい質問応答記録書作成の手引~税務調査のときに質問応答記録書と向き合う作法」には以下の記載があります。
① 税務署の調査担当者(調査官)が納税者の事業所や自宅、取引先を訪ねて行う税務調査を「臨場調査」、「臨宅調査」、あるいは「実地調査」といいます 。こうした調査で、税務署の調査担当者(調査官)が納税者に質問をして聴き取った回答(答述//申述/陳述)を書面(文書)にした「質問応答記録」にサインしてハンコを押すように(署名
押印を求められるケースが急激に増えています。
② 質問応答記録書は、「犯罪捜査の際に警察官や検察官が作成する『供述調書』『自白調書』のようだ」との声もあります。まさに、質問応答記録書の作り方は、供述調書、自白調書とほぼ同じなのです。ただ、質問する公務員が、税務調査官か、そうでないかの違いだけです。しっかり向き合わないと、記録書が「ねつ造」され、「えん罪」に巻き込まれることにつながりかねません。
③ 質問応答記録書は、納税者に、追徴税額(追加本税/増差額)とペナルティ(加算税)をかけ、それが争いになったときに税務署側に有利な証拠を確保することがねらいです。
④ 質問応答記録書は、任意の行政調査/行政手続で、納税者(回答者)は、法律ではなく、国税庁の職員向けのマニュアル(手引書)を基に作成・協力を求められているのです。しかも、後で詳しく説明しますが、国税庁のマニュアル(手引書)は、非公開(秘密)なのです。ですから、納税者(回答者)は、質問応答記録書に署名・押印する法律上の義務はない!ということです。また、回答者(納税者)は、署名・押印に応じないことで罰則を科されることもありません。
⑤ 自分の質問応答記録書の内容を書面でしっかり確認したい。でないと、税務署長や国税不服審判所に不服申立てを行い反論できない、あるいは正確な修正申告書を書けないとします。こうした場合の手立てがあります。それは、行政機関個人情報保護法を使って、あなたが自分の質問応答記録書のコピーを入手することです。

3 調査の手続の違法が課税処分の取消事由となるのは,課税処分の基礎となる調査を全く欠く場合のほか,課税処分の基礎となる証拠資料の収集手続(証拠収集手続)に重大な違法があって調査を全く欠くのに等しいとの評価を受ける場合に限られ,他方,証拠収集手続に影響を及ぼさない他の手続の違法は課税処分の取消事由とはならないものと解されています(国税不服審判所平成27年5月26日裁決)。
4 税務調査に関する以下の資料を掲載しています。
① 調査における法律的知識(わかりやすくマンガで解説!!)(平成27年6月の東京国税局課税第二部法人課税課の文書)
→ 「納税者の見解」は黒塗りになっています。
② 質問応答記録書作成の手引(平成29年6月の国税庁課税総括課作成の文書)
→ 黒塗りが多いです。
③ 税務官署から事件記録等の閲覧謄写の要請があった場合の取扱いについて(平成3年10月31日付の最高裁判所総務局長の事務連絡)


第2 予定納税に関するメモ書き
1 総論
・ 予定納税とは,その年の5月15日現在において確定している前年分の所得金額や税額などを基に計算した金額(予定納税基準額)が15万円以上である場合,その年の所得税及び復興特別所得税の一部をあらかじめ納付するという制度をいいます(所得税法104条ないし114条)。
2 予定納税基準額及び予定納税額
(1) 予定納税基準額は,原則として,5月15日現在で確定している前年分の所得税等の申告納税額と同じ金額になります。
(2) 予定納税額は,予定納税基準額の3分の1の金額を,第1期分及び第2期分として2回納付することになります。
3 予定納税の減額申請
・ 第1期分及び第2期分の予定納税の減額申請はその年の7月1日から同月15日までに行う必要があり,第2期分のみの減額申請はその年の11月1日から同月15日までに行う必要があります(国税庁HPの「[手続名]所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続」参照)。
4 翌年の確定申告時の取扱い
・ 例えば,令和4年分の確定申告の際には,令和4年分の予定納税額の通知書に記載された予定納税額を記載する必要があります。
5 その他
(1) 予定納税額の通知書は,予定納税が必要な対象者に対し,毎年6月中旬頃に税務署から送付されます。
(2) ARUHIマガジン「【6月は予定納税額の確認を!】予定納税額の通知書とは? 届いたらチェックすべき3つポイントを解説」が載っています。

第3 国税の支払方法に関するメモ書き
1 国税の支払方法の種類

(1) 国税の支払方法としては以下のものがあります(国税庁HPの「[手続名]国税の納付手続(納期限・振替日・納付方法)」参照)。
① ダイレクト納付
・  e-Taxによる操作で預貯金口座からの振替により納付する方法です。
② インターネットバンキング
・ インターネットバンキングから納付する方法です。
③ クレジットカード納付
・ 「国税クレジットカードお支払サイト」を運営する納付受託者(民間業者)に納付を委託する方法です。
④ コンビニ納付(QRコード又はバーコード
・  コンビニエンスストアの窓口で納付する方法です。
⑤ 振替納税
・  預貯金口座からの振替により納付する方法です。
⑥ 窓口納付
・ 金融機関又は所轄の税務署の窓口で納付する方法です。
(2) ダイレクト納付及びインターネットバンキングは電子納税となります。
2 その他
(1) freeeに「確定申告後の納税方法6つ! メリット・デメリットの比較とおすすめの方法」が載っています。
(2) 経理通信HP「ペイジーを活用してインターネットバンキングやATMで税金を納付する方法」が載っています。


第4 電子帳簿保存に関するメモ書き
1 国税庁HPに「電子帳簿等保存制度特設サイト」には,電子取引電子帳簿・電子書類及びスキャナ保存に関する説明があります。
2 Trinity HPの「もうタイムスタンプは不要。2022年1月施行の電子帳簿保存法に対応するには。」(2022年5月6日付)には以下の記載があります。
 税務上の処理についてはタイムスタンプの付与をはじめとするいくつかのハードルが高く、税務に関わる書類については実運用としては紙にプリントアウトした上で保存することを余儀なくされていました。
 それが、電子帳簿保存法が抜本的に改訂され、2022年1月に施行された内容からすると、私たちのような中小企業においても簡単に、かつ当社においては追加投資をせずに励行することが励行することが可能となりました。
3(1) 全力経理部HP「電子帳簿保存法に対応!Amazonの領収書を保存する最良の方法とは」が載っていますところ,アマゾンの取引履歴を連携できて,義務化の電子帳簿保存法に対応していれば,電子帳簿保存法に従ってアマゾンの領収書を電子保存したこととなります。
(2) Manage labo「【マネーフォワードクラウド会計の使い方】アマゾンの購入データで自動経理する方法」が載っています。
4(1) 加藤博己税理士事務所HPに「電子帳簿保存法:Amazonでの備品購入時の領収書等をどのように保存すればいいのか具体的に考えてみる」が載っています。
(2) 大分の税理士・経営指導員「こて」のブログ「ネットショッピングなどの
電子取引が要注意!【電子帳簿保存法】令和4年1月~」
が載っています。



第5 記帳代行及び給与計算に関するメモ書き
1 記帳代行に関するメモ書き

(1) 記帳代行を依頼した場合に代行してもらえる業務としては,会計ソフトの入力,レシート及び領収書の整理並びに各帳簿の作成があり,記帳代行の依頼先としては,オンラインアシスタントサービス,税理士事務所及び代行業者があります(吉村知子税理士ブログ「おすすめの記帳代行業者5選!業者の選び方や注意点も解説!」参照)。
(2) 「起票」とは,領収書や預金通帳から会計伝票や預金出納帳等に記入することをいい,「記帳」とは,この会計伝票や預金出納帳等から仕訳帳,総勘定元帳,試算表等を作成することをいいます(久野事務所HP「起票と記帳代行について」参照)。
2 給与計算に関するメモ書き
(1) ITトレンドHP「給与計算は税理士・社労士どちらに任せるべきか?選び方を解説!」には,数人規模なら税理士に,数十人から数百人規模なら社労士に,千人規模以上なら給与計算アウトソーシング会社に給与計算を依頼すればいいと書いてあります。
(2) WorkVision HPに「証憑とは?証憑書類の4つの種類と証憑書類の保存期間|証憑の使い方も紹介」が載っています。


第6 関連記事その他
1 資本金は1000万円と1億円というラインで税務上の扱いが異なりますところ,資本金1億円以下の法人の場合,中小法人となりますから,法人住民税の均等割の金額が変わったり,年800万円以下の所得金額の税率が変わったり,年間800万円までの交際費を損金にできたり,少額減価償却資産の損金算入があったり,欠損金の繰戻還付があったりします(経理COMPASS「資本金とは?|意味・目的・税金から資本金額の決め方を徹底検証」参照)。
2(1) 二弁フロンティア2015年12月号「弁護士の税務申告」が載っています。
(2) 全国法律関連労組連絡協議会HP「全法労協だより119号」(2021年要求と実態調査アンケート集計結果が載ってあるもの。)が載っています。
3 中小企業向け賃上げ促進税制が個人事業主について適用されるのは令和5年及び令和6年でありますところ,中小企業庁HPに「中小企業向け「賃上げ促進税制」※旧、中小企業向け「所得拡大促進税制」」が載っています。
4 Knock HPに「BPOとは?メリットやアウトソーシングとの違い、導入のポイントを解説」が載っています。
5 ツギノジダイHP「Googleマイビジネスの登録方法 初心者向けに手順やコツを紹介」が載っています。
6 増額更正処分後に国税通則法23条1項の規定による更正の請求をし,更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けた者は,当該通知処分の取消しを求める訴えの利益を有します(最高裁令和5年11月6日判決)。
7 以下の記事も参照してください。
・ 個人事業主の税金,労働保険及び社会保険に関するメモ書き

eLTAX(エルタックス)に関するメモ書き

目次
1 総論
2 個人住民税に関してeLTAXで作成できるデータ
3 給与支払報告書等のeLTAXによる提出義務化
4 その他

1 総論
(1) eLTAX(エルタックス)とは,地方税ポータルシステムの呼称で,地方税における手続をインターネットを利用して電子的に行うシステムです(地方税共同機構が運営しています。)。
(2) eLTAXを使えば,電子申告,共通納税及び電子申請・届出をインターネットで行なえます。

2 個人住民税に関してeLTAXで作成できるデータ
・ 個人住民税に関してeLTAXで作成できるデータは以下のとおりです(eLTAXの「eLTAXで利用可能な手続き」参照)。
① 給与支払報告
② 給与支払報告・特別徴収に関わる給与所得者異動届出
③ 普通徴収から特別徴収への切替申請
④ 退職所得に関わる納入申告及び特別徴収票
⑤ 公的年金等支払報告など

3 給与支払報告書等のeLTAXによる提出義務化 
(1)ア 枚方市HPの「給与支払報告書等のeLTAX(エルタックス)または光ディスク等による提出の義務化について」には以下の記載があります。
 平成24年度税制改正により、国税において電子申告または光ディスク等による源泉徴収票の提出が義務づけられた特別徴収義務者(前々年の所得税の源泉徴収票の提出枚数が1,000枚以上である特別徴収義務者)は、市・府民税においても、平成26年1月1日以降に市区町村に提出する給与支払報告書については、eLTAXまたは光ディスク等により提出することが義務づけられました。
 また、平成30年度の税制改正において、給与支払報告書及び公的年金等支払報告書のeLTAX又は光ディスク等による提出義務の判定基準(基準年(前々年)に提出すべきであった給与所得の源泉徴収票等の枚数)が、「1,000枚以上」から「100枚以上」に引き下げられました。この改正は、令和3年1月1日以後に提出すべき給与支払報告書及び公的年金等支払報告書について適用されます。このため、令和元(平成31)年に提出された給与所得の源泉徴収票等の枚数が100枚以上であった場合、令和3年に提出する給与支払報告書等はeLTAX又は光ディスク等により提出する必要があります。
イ 光ディスク等というのは,光ディスク(CD・DVD)又は磁気ディスク(MO・FD)のことです(MOは光磁気ディスクであり,FDはフロッピーディスクです。)。
(2) 地方税共同機構HPに「給与支払報告書等のeLTAX又は光ディスク等による提出義務基準が引き下げられました!」が載っています。

4 その他
(1) eLTAXの始まりは,平成17年1月の6府県での電子システム稼働(法人住民税・法人事業税、固定資産税(償却資産)の申告受付開始)です(eLTAXの「eLTAXの概要」参照)。
(2) 平成29年1月以降につき,eLTAXを利用して,市町村に提出する給与や公的年金等の支払報告書の電子申告用のデータを作成する際,税務署に提出が必要な源泉徴収票の電子申告(e-Tax)用のデータも同時に作成することができるようになりました(国税庁HPの「給与・公的年金等の支払報告書及び源泉徴収票のeLTAXでの一括作成・提出(電子的提出の一元化)について」参照)。
(3)ア 地方税共通納税システムを利用した場合,「個人住民税(給与特徴で税額通知が電子的に送付されていない場合)※延滞金など含む。」についても電子納税をすることができます(eLTAX HPの「共通納税とは」参照)。
イ 給与特徴というのは,給与からの特別徴収のことです。