メインコンテンツへスキップ
       

国税実務の基礎-税務調査,予定納税,納付方法及び電子帳簿保存(AIリライト)

第1 この記事の対象

本記事は,所得税,法人税,地方法人税及び消費税等について,税務調査の基本手続,個人の所得税の予定納税,国税の納付手段並びに電子取引データの保存を横断的に確認するための案内記事である。
調査の基準日は令和8年9月9日であり,法令は同日施行法令,国税庁資料は同日までに確認できた最新版を基準としている。

税額計算,記帳代行,給与計算,資本金別の税制上の取扱い及び個別の不服申立ては,制度と検索意図が異なるため扱わない。
税務調査の詳しい準備と対応は,税務調査に関するメモ書き-事前通知,帳簿データ,質問応答記録書及びAI活用(AI作成)で説明している。

第2 税務調査

1 税務調査と行政指導

国税庁は,特定の納税者の課税標準等又は税額等を認定する目的で質問検査等を行い,申告内容を確認するものを「調査」と説明している。
これに対し,申告書の計算誤り,転記誤り又は記載漏れ等について自発的な見直しを求め,必要に応じて修正申告書の提出を要請する連絡は,行政指導として行われることがある。

税務署から連絡を受けた場合は,まず調査と行政指導のいずれであるか,対象税目及び対象期間を確認する必要がある。
両者は手続上の位置付けが異なるためである。

2 質問検査権と「任意」の意味

国税通則法74条の2は,所得税,法人税,地方法人税及び消費税等の調査について,質問,帳簿書類その他の物件の検査並びに物件の提示又は提出の要求を定めている。
通常の税務調査は令状による直接強制を伴う犯則調査ではないが,同法128条は,正当な理由のない不答弁,虚偽答弁,検査の拒否等について罰則を定めている。

したがって,通常の税務調査が「任意調査」と呼ばれることは,適法な質問検査に自由に応じなくてよいことを意味しない。
他方,質問検査等の権限は犯罪捜査のために認められたものではないと同法74条の8が定めており,行政調査と犯則調査又は刑事捜査は区別する必要がある。

3 事前通知と無予告調査

実地の調査を行う場合,国税通則法74条の9により,原則として調査開始日時,場所,目的,対象税目,対象期間及び対象となる帳簿書類等が事前に通知される。
通知された日時又は場所について合理的な理由を付して変更を求めたときは,税務署長等は協議するよう努めるものとされている。

もっとも,事前通知により違法又は不当な行為を容易にし,正確な税額等の把握を困難にするおそれその他調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合は,同法74条の10により事前通知をしないことがある。
無予告で職員が来訪した場合も,身分証明書,調査の根拠,対象税目及び対象期間を確認し,その場で判断できない事項は税理士等へ連絡して対応を整理するのが実務的である。

4 調査終了時の手続

国税通則法74条の11によれば,更正決定等をすべきと認められない場合は,その時点でその旨が書面により通知される。
更正決定等をすべきと認める場合は,調査結果の内容及び理由が説明され,修正申告又は期限後申告が勧奨されることがある。

修正申告は納税者自身の申告であるため,その修正申告自体に不服申立てをすることはできないが,更正の請求をすることができる旨の説明と書面交付が予定されている。
提出前に,増差税額,加算税,対象年分,事実認定及び法令適用を確認することが重要である。

5 本ブログ掲載資料と詳説記事

本ブログには,税務調査とその周辺手続を確認するための次の開示文書等を掲載している。

第3 予定納税

1 対象者と予定納税基準額

所得税法104条以下の予定納税は,その年の5月15日現在において確定している前年分の所得金額及び税額等を基に計算した予定納税基準額が15万円以上となる人について,その年の所得税及び復興特別所得税の一部をあらかじめ納付する制度である。
予定納税基準額は単に前年の納付額を転記するものではなく,前年分の課税関係に応じて計算される。

2 通知と二回の納付

予定納税が必要な人には,原則として6月15日までに税務署長から予定納税基準額等が通知される。
一般の予定納税額は,予定納税基準額の3分の1相当額を第1期分と第2期分に分けて納付する。

通常の納期は,第1期分が7月1日から7月31日まで,第2期分が11月1日から11月30日までである。
具体的な年の期限,振替日及び納付方法は,国税庁の「予定納税」と通知書で確認する必要がある。

3 予定納税額の減額申請

廃業,休業,失業,業況不振,災害等により,その年の申告納税見積額が予定納税基準額より少なくなると見込まれる場合は,予定納税額の減額を申請できる。
第1期分及び第2期分の申請期間は7月1日から7月15日まで,第2期分のみの申請期間は11月1日から11月15日までであり,末日が土曜日,日曜日又は祝日等に当たる場合はその翌日が期限となる。

申請には,申告納税見積額を計算し,その基礎となる事実を記載した書類を添付する。
申請様式と当年分の税額計算上の注意は,国税庁の「予定納税額の減額申請手続」で確認する必要がある。

4 確定申告での精算

予定納税は確定税額そのものではなく,翌年の確定申告で年間の所得税及び復興特別所得税を計算し,予定納税額を差し引いて過不足を精算する。
確定税額を予定納税額が上回る場合は,確定申告により還付を受けることになる。

第4 国税の納付方法

1 選択できる納付手段

国税の納付手段には,ダイレクト納付,振替納税,インターネットバンキング等による電子納税,クレジットカード納付,スマホアプリ納付,コンビニ納付並びに金融機関又は税務署の窓口での現金納付がある。
利用できる税目,事前手続,利用上限,決済手数料及び領収証書の有無は方法ごとに異なるため,国税庁の「国税の納付手続」から該当する方法を選ぶ必要がある。

継続して申告納税する事業者は,事前届出を要する方法を早めに準備しておくと,納期限直前の操作や窓口訪問を減らすことができる。
単発の納付では,納付額,利用可能時間,領収証書の要否及び資金移動の上限を基準に選択するのが実務的である。

2 スマホアプリ納付

スマホアプリ納付は,e-Taxを経由して国税スマートフォン決済専用サイトへ進み,対応する決済アプリの残高から納付する方法である。
納付税額が30万円以下の場合に利用できるが,決済アプリ側の利用上限によって利用可能額がさらに制限されることがある。

国税庁のスマホアプリ納付Q&Aによれば,国への決済手数料はかからず,領収証書は発行されない。
ポイント付与の有無は決済アプリによって異なるため,各決済サービス運営会社で確認する必要がある。

3 納期限と納付記録

申告書を提出しても,原則として税務署から納付書又は納税通知が送られるわけではないため,納税者が納期限までに納付手続を行う必要がある。
納付が遅れた場合は,法定納期限の翌日から納付日までの延滞税が生じることがある。

キャッシュレス納付をした場合は,受信通知,完了画面,口座明細又は決済履歴等を保存し,申告データ及び納付額と照合できるようにしておくのが実務的である。
領収証書が必要な場合は,領収証書が発行される納付方法を選択する必要がある。

第5 電子帳簿等保存制度

1 三つの区分

電子帳簿保存法に基づく制度は,大きく分けて,電子的に作成した帳簿又は書類をデータのまま保存する電子帳簿等保存,紙で受領又は作成した書類を画像データで保存するスキャナ保存並びに電子取引データの保存の三つである。
対象資料と保存要件が異なるため,国税庁の電子帳簿等保存制度特設サイトで区分ごとに確認する必要がある。

2 電子取引データの保存

所得税又は法人税について帳簿書類の保存義務がある者が,注文書,契約書,請求書,領収書等に相当する取引情報を電子メール,ウェブサイト又はクラウドサービス等で授受した場合は,その電子取引データを保存する必要がある。
単に印刷した書面だけを保存すれば足りる制度ではなく,適用される猶予措置を含めても電子データ自体の保存が前提となる。

保存方法は,真実性の確保と可視性の確保を満たす必要があり,具体的な検索要件と例外は事業規模,保存方法及び税務調査時のダウンロード対応等によって異なる。
制度改正が続いているため,過去の解説だけで判断せず,取引を行う時点の国税庁Q&Aとパンフレットを確認する必要がある。

3 オンライン購入の領収書

Amazon等のウェブサイトからダウンロードする領収書又は請求書は,電子取引データに当たり得る。
会計ソフトとの自動連携を利用している場合も,対象期間中の原データを保存し,税務調査時に画面表示,書面出力又はデータ提供ができる状態かを確認する必要がある。

実務上は,取引日,取引金額及び取引先で検索できる保存場所を決め,帳簿の仕訳と証憑を対応させるとともに,サービス解約又はアカウント停止後も必要なデータを取り出せるよう定期的に出力を確認するのが安全である。

4 税務調査に備えた確認

税務調査では,帳簿書類等が電磁的記録である場合,ディスプレイ上で確認できる状態にする方法や,調査担当者が指定した媒体への記録及び提出が問題となる。
電子帳簿等保存制度の要件を満たすことと,調査対象となった取引を帳簿及び証憑から追跡できることは別に確認する必要がある。

事前に,保存対象,保存期間,検索方法,訂正又は削除の管理,バックアップ,出力方法及び担当者を一覧化し,実際に検索と出力ができるかを試しておくことが実務上有用である。

第6 関連記事

第7 出典・参考資料

1 法令

2 国税庁資料