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(AI作成)令和9年の最高裁判所裁判官及び高裁長官の人事予想

 

◯本記事は,AIが当ブログの裁判官の経歴データその他の公開情報に基づいて作成した予想記事であり,記載した将来の人事はいずれも確定したものではない。

目次

  • 第1 はじめに
    • 1 本記事の趣旨
    • 2 前提となる法令の規定
      • (1) 最高裁判所裁判官の任命に関する規定
      • (2) 高等裁判所長官の任命に関する規定
      • (3) 裁判官の定年に関する規定
    • 3 予想に当たっての留意事項
  • 第2 令和9年に予定される定年退官のスケジュール
    • 1 定年退官予定日の一覧
    • 2 令和9年の人事の構造
      • (1) 最高裁判所裁判官の交代が集中すること
      • (2) 高裁長官8人のうち6人が定年に達すること
      • (3) 人事が決定される順序
  • 第3 過去の人事から読み取れる傾向
    • 1 裁判官出身の最高裁判所裁判官の直前ポスト
      • (1) 平成7年以降の全員が高裁長官経験者であること
      • (2) 平成26年以降は東京高裁長官又は大阪高裁長官に限られること
      • (3) 司法行政の主要ポストからの直接の就任例
    • 2 最高裁判所長官の選任の傾向
    • 3 高裁長官への就任の傾向
      • (1) 司法研修所長からの就任
      • (2) 東京高裁長官への就任
      • (3) その他の高裁長官への就任
    • 4 経歴的資源(級組)からみた傾向
      • (1) 西川伸一教授の級組の手法
      • (2) 級組別の最高裁判所裁判官・高裁長官への到達状況
      • (3) 本記事の候補者の級組
    • 5 女性裁判官の登用の状況
  • 第4 令和9年の最高裁判所裁判官人事の予想
    • 1 安浪亮介裁判官の後任(令和9年4月)
    • 2 林道晴裁判官の後任(令和9年9月)
    • 3 今崎幸彦長官の退官に伴う人事(令和9年11月)
      • (1) 次期最高裁判所長官
      • (2) 長官就任に伴い空く最高裁判所判事のポスト
    • 4 予想の一覧
    • 5 裁判官枠以外の後任人事
  • 第5 令和9年の高裁長官人事の予想
    • 1 仙台高裁長官(令和9年1月)
    • 2 東京高裁長官(令和9年4月から8月までの間)
    • 3 広島高裁長官(令和9年9月以降)
    • 4 札幌高裁長官(令和9年9月以降)
    • 5 高松高裁長官(令和9年9月以降)
    • 6 名古屋高裁長官(令和9年9月以降)
    • 7 大阪高裁長官及び福岡高裁長官
    • 8 関連する司法行政ポストの後任
  • 第6 予想の限界と検証の時期
    • 1 予想の限界
    • 2 検証の時期
  • 第7 関連記事その他

第1 はじめに

1 本記事の趣旨

当ブログには,「高裁長官人事のスケジュール」をはじめとして,最高裁判所裁判官及び高裁長官の人事に関する記事を掲載している。

本記事は,令和9年に予定される定年退官のスケジュールを出発点として,当ブログが保有する裁判官の経歴データから過去の人事の傾向を集計し,令和9年中の最高裁判所裁判官及び高裁長官の人事を予想して,既存記事を補足するものである。

2 前提となる法令の規定

(1) 最高裁判所裁判官の任命に関する規定

最高裁判所は,その長たる裁判官(最高裁判所長官)及び法律の定める員数のその他の裁判官(最高裁判所判事)で構成され,最高裁判所判事の員数は14人である(憲法79条1項,裁判所法5条1項・3項)。

したがって,最高裁判所の裁判官は長官1人及び判事14人の合計15人である。

最高裁判所長官は,内閣の指名に基づいて天皇が任命する(憲法6条2項,裁判所法39条1項)。

最高裁判所判事は,内閣が任命し(憲法79条1項,裁判所法39条2項),その任免は天皇が認証する(裁判所法39条3項)。

最高裁判所の裁判官は,識見の高い,法律の素養のある年齢40年以上の者の中から任命され,そのうち少なくとも10人は一定年数以上の法律専門職等の経験者でなければならない(裁判所法41条1項)。

また,最高裁判所の裁判官は,その任命後初めて行われる衆議院議員総選挙の際に国民審査に付される(憲法79条2項)。

(2) 高等裁判所長官の任命に関する規定

下級裁判所の裁判官は,最高裁判所の指名した者の名簿によって内閣が任命する(憲法80条1項,裁判所法40条1項)。

高等裁判所長官の任免は天皇が認証するから(裁判所法40条2項),高裁長官はいわゆる認証官である。

高等裁判所は,東京,大阪,名古屋,広島,福岡,仙台,札幌及び高松の8庁である(下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律)。

(3) 裁判官の定年に関する規定

最高裁判所の裁判官は年齢70年に,高等裁判所,地方裁判所又は家庭裁判所の裁判官は年齢65年に達した時に退官する(裁判所法50条)。

この規定から,次のことが導かれる。

ア 高裁長官は65歳で退官するため,その定年前に最高裁判所の裁判官に任命された場合に限り,70歳まで裁判官を続けることができる。

イ したがって,高裁長官の生年月日と最高裁判所裁判官のポストが空く時期との対応関係が,人事を予想する上での基本的な制約条件となる。

3 予想に当たっての留意事項

本記事の予想は,定年退官の予定日(生年月日から機械的に計算できる。)と,過去の人事に現れた傾向とを組み合わせた推論であり,確定した情報ではない。

また,本記事の予想は,過去の人事データとの適合性を述べるものにすぎず,個々の裁判官の能力や適性を評価するものではない。

第2 令和9年に予定される定年退官のスケジュール

1 定年退官予定日の一覧

裁判所法50条に基づき令和9年中に定年に達する最高裁判所裁判官及び高裁長官は,以下のとおりである(肩書は令和8年6月現在)。

定年退官予定日裁判官事由
令和9年1月2日42期の永渕健一仙台高裁長官65歳
令和9年4月19日35期の安浪亮介最高裁判所判事(第一小法廷)70歳
令和9年7月22日41期の堀田眞哉東京高裁長官65歳
令和9年8月31日34期の林道晴最高裁判所判事(第三小法廷)70歳
令和9年9月3日42期の金子修広島高裁長官65歳
令和9年9月8日40期の伊藤雅人札幌高裁長官65歳
令和9年9月13日42期の東亜由美高松高裁長官65歳
令和9年10月30日43期の手嶋あさみ名古屋高裁長官65歳
令和9年11月10日35期の今崎幸彦最高裁判所長官70歳
令和9年12月23日35期の岡村和美最高裁判所判事(第二小法廷)70歳

このうち堀田東京高裁長官及び手嶋名古屋高裁長官については,定年前に最高裁判所裁判官に任命された場合,上記の定年退官は生じないこととなる。

なお,34期の三浦守最高裁判所判事(検察官出身)の定年退官予定日は令和8年10月23日であり,令和9年ではない。

2 令和9年の人事の構造

(1) 最高裁判所裁判官の交代が集中すること

令和9年には,安浪裁判官,林裁判官,今崎長官及び岡村裁判官の4人が70歳に達する。

このうち安浪裁判官,林裁判官及び今崎長官の3人は裁判官出身である。

後記第3の2のとおり,次期長官が在任中の最高裁判所判事から任命された場合には,その判事のポストも空くから,裁判官出身者が就任してきた最高裁判所判事のポストは,令和9年中に最大3つ動くこととなる。

1年間にこれだけの交代が集中するのは,近年では珍しい。

(2) 高裁長官8人のうち6人が定年に達すること

高裁長官側でも,永渕(仙台),堀田(東京),金子(広島),伊藤(札幌),東(高松)及び手嶋(名古屋)の6人が令和9年中に65歳に達する。

村田斉志大阪高裁長官(42期)の定年退官予定日は令和10年8月25日,小林宏司福岡高裁長官(41期)の定年退官予定日は令和10年3月1日であり,いずれも令和9年ではない。

(3) 人事が決定される順序

当ブログ記事「高裁長官人事のスケジュール」に記載したとおり,高裁長官人事が最高裁判所裁判官の就任に伴う玉突き人事である場合,最高裁判所裁判官に任命する旨の閣議決定が出る前に高裁長官人事が決定されたことはない。

例えば令和6年には,7月9日に40期の中村慎東京高裁長官を最高裁判所判事に任命する旨の閣議決定が出た後,7月17日の最高裁判所裁判官会議の決議及び7月19日の閣議決定により後任の東京高裁長官人事が決定された。

したがって,令和9年の一連の人事も,最高裁判所裁判官の任命に関する閣議決定を起点として順次明らかになると考えられる。

第3 過去の人事から読み取れる傾向

1 裁判官出身の最高裁判所裁判官の直前ポスト

(1) 平成7年以降の全員が高裁長官経験者であること

当ブログの経歴データを集計すると,平成7年以降に任命された裁判官出身の最高裁判所裁判官は,全員が高裁長官を直前ポストとして就任している。

最高裁判所首席調査官から最高裁判所判事への直接の就任例は確認できず,最高裁判所事務総長からの直接の就任例も7期の千種秀夫判事(平成4年任命)が確認できる限り最後である。

首席調査官又は事務総長の経験者も,林道晴判事(首席調査官→東京高裁長官)や尾島明判事(首席調査官→大阪高裁長官)のように,高裁長官を経た上で任命されている。

(2) 平成26年以降は東京高裁長官又は大阪高裁長官に限られること

さらに期間を絞ると,平成26年4月以降に任命された裁判官出身の最高裁判所裁判官12人は,全員が東京高裁長官(27期の山﨑敏充,29期の小池裕,34期の戸倉三郎,34期の深山卓也,34期の林道晴,35期の今崎幸彦及び40期の中村慎の7人)又は大阪高裁長官(29期の大谷直人,32期の菅野博之,35期の安浪亮介,37期の尾島明及び39期の平木正洋の5人)からの就任である。

東京・大阪以外の高裁長官からの就任は,平成22年12月に広島高裁長官から任命された26期の寺田逸郎判事が最後である。

就任時の年齢は,おおむね62歳から65歳までの間に収まっており,65歳の定年(裁判所法50条)の直前に任命された例(16期の今井功判事,22期の白木勇判事,19期の堀籠幸男判事など)も複数ある。

(3) 司法行政の主要ポストからの直接の就任例

以上のとおり,首席調査官,事務総長又は司法研修所長から最高裁判所裁判官へ直接就任した例は,近年は確認できない。

これらのポストの経験者が最高裁判所裁判官となる場合には,高裁長官を経るのが確立した経路である。

2 最高裁判所長官の選任の傾向

16期の島田仁郎長官以降の歴代の最高裁判所長官は,平成20年に東京高裁長官から直接任命された21期の竹崎博允長官を除き,いずれも在任中の最高裁判所判事から任命されている。

また,長官としての在任期間は,いずれも2年以上である。

直近の3人(大谷直人長官,戸倉三郎長官及び今崎幸彦長官)は,いずれも最高裁判所事務総長の経験者である。

3 高裁長官への就任の傾向

(1) 司法研修所長からの就任

平成22年以降に就任した司法研修所長10人のうち9人が,その後高裁長官に就任している(名古屋3人,広島2人,福岡2人,大阪1人,高松1人)。

特に名古屋高裁長官は,30期の山名学長官,35期の永野厚郎長官及び43期の手嶋あさみ長官の3人が司法研修所長からの就任であり,最も多い供給元となっている。

(2) 東京高裁長官への就任

平成26年以降に就任した東京高裁長官8人のうち4人(戸倉三郎今崎幸彦中村慎及び堀田眞哉の各長官)は,最高裁判所事務総長からの就任である。

そして,事務総長経験者である東京高裁長官のうち退官時期が既に到来した3人(戸倉,今崎及び中村慎の各氏)は,全員が最高裁判所裁判官に任命されている。

(3) その他の高裁長官への就任

平成26年以降の各高裁長官の直前ポストの内訳は,以下のとおりである。

直前ポストの内訳(平成26年以降)
大阪東京高裁部総括3,東京地裁所長2,他の高裁長官2,事務総長1,首席調査官1,司法研修所長1
名古屋司法研修所長3,地裁所長4(千葉・横浜・東京),東京高裁部総括1,札幌高裁長官1
広島司法研修所長2,東京高裁部総括2,家裁所長2(東京・大阪),さいたま地裁所長1,首席調査官1,高松高裁長官1
福岡東京地裁所長2,東京高裁部総括1,大阪地裁所長1,東京家裁所長1,司法研修所長1,広島高裁長官1
仙台地家裁所長5(横浜・さいたま・神戸・千葉・大阪家裁),東京高裁部総括等4
札幌東京高裁部総括5,地裁所長2(横浜・千葉),首席調査官1
高松東京高裁部総括5,地家裁所長4(京都・大阪・東京家裁・千葉家裁),知財高裁所長1

要約すると,東京高裁長官は事務総長経験者が,名古屋高裁長官は司法研修所長経験者が中心であり,仙台・札幌・高松の各高裁長官は東京高裁部総括判事及び大規模地家裁所長から就任する例が多い。

また,当ブログ記事「高裁長官人事のスケジュール」記載のとおり,事務総長,首席調査官,人事局長及び法務省民事局長の経験者を除き,高裁長官への就任はおおむね62歳以上であり,現職在職期間が概ね1年以上であること,昇進から定年までの期間が概ね1年以上であることが目安となる。

4 経歴的資源(級組)からみた傾向

(1) 西川伸一教授の級組の手法

政治学者の西川伸一明治大学教授は,『裁判官幹部人事の研究』(2020年増補改訂版)において,任官後早期にどのような「経歴的資源」(最高裁判所事務総局の局付・課長,最高裁判所調査官,司法研修所教官等の経験)を得たかに着目し,裁判官をS1からB2までの7階級(級組)に分類して幹部人事を分析する手法を提示している(同書の序章では,当ブログが資料源として紹介されている。)。

当ブログは,この手法を保有する経歴データに適用し,全裁判官6,740人(弁護士・学者出身で裁判官としての任地経歴がない最高裁判所裁判官15人を除く。)の級組を機械的に算出している。

詳細は,「(AI作成)裁判官人事をデータで読み解く ― 西川伸一『裁判官幹部人事の研究』の手法を山中弁護士ブログの裁判官データベースで機械再現する」及び「(AI作成)高裁部総括判事の人事をデータで読み解く-西川2020の手法を山中弁護士ブログの裁判官データベースで機械再現する」を参照されたい。

(2) 級組別の最高裁判所裁判官・高裁長官への到達状況

当ブログのデータベースで級組別の到達状況を集計すると,以下のとおりである。

級組人数最高裁判所裁判官到達高裁長官到達
S157人10人(17.5%)18人(31.6%)
S2124人14人(11.3%)42人(33.9%)
S3792人10人(1.3%)47人(5.9%)
A11,870人33人(1.8%)64人(3.4%)
A21,500人0人11人(0.7%)
B1878人0人4人(0.5%)
B21,519人1人(0.1%)1人(0.1%)
合計6,740人68人187人

最高裁判所裁判官への到達はS級(特にS1・S2)に強く偏っており,A2以下の級組からの到達は事実上ない。

なお,A1には検察官・行政官・外交官出身の最高裁判所裁判官が分類されるため,裁判官出身者に限れば,S級への集中はさらに強くなる。

(3) 本記事の候補者の級組

第4及び第5で挙げる主な候補者の級組は,以下のとおりである。

予想対象最有力と考えられる候補その他の候補
最高裁判所裁判官(4月・安浪後任)堀田眞哉(S1)村田斉志(A1)
最高裁判所裁判官(9月・林後任)手嶋あさみ(S2)村田斉志(A1),福井章代(S3)
次期最高裁判所長官中村慎(S1)平木正洋(S3)
最高裁判所裁判官(11月・玉突き)福井章代(S3)村田斉志(A1),小林宏司(S2)
東京高裁長官氏本厚司(S1)福井章代(S3)
名古屋高裁長官安東章(S3)後藤健(S3),永谷典雄(A1)
広島高裁長官竹内努(S3)小出邦夫(S3)
札幌高裁長官入江猛(S3)吉崎佳弥(A1),鈴木巧(S3)
高松高裁長官山田真紀(S3)三木素子(S3),中吉徹郎(S3),伊藤繁(A1),野田恵司(A1)
仙台高裁長官佐々木宗啓(A1)黒野功久(A1),吉田徹(A1),谷口園恵(S3),萩本修(A1),増田稔(S2),筒井健夫(A1),濱本章子(A2)
最高裁判所事務総長徳岡治(S1)小野寺真也(S1),野口宣大(A1)
最高裁判所首席調査官中村さとみ(A1),嶋末和秀(A2),岡崎克彦(S2)
司法研修所長江原健志(A1)

この表から,次の傾向が読み取れる。

ア 最高裁判所裁判官及び最高裁判所長官の最有力候補(堀田眞哉手嶋あさみ中村慎福井章代の各氏),その入口となる東京高裁長官の最有力候補(氏本厚司氏)並びに事務総長の最有力候補(徳岡治氏)は,いずれもS級である。

イ 地方の高裁長官の候補はS3・A1が中心であり,ポストの序列と級組の階級がおおむね対応している。

ウ いずれの候補も,過去に最高裁判所裁判官への到達例が事実上ない級組(A2以下)からは出ていない。

エ もっとも,級組は任官後早期の経験による分類にすぎず,上位の級が要件となるわけではない(現職の裁判官出身の最高裁判所裁判官にも平木正洋判事・尾島明判事のように級組S3の者がいるし,村田斉志大阪高裁長官の級組はA1である。)。

5 女性裁判官の登用の状況

現在の最高裁判所裁判官15人のうち女性は,38期の宮川美津子判事,40期の渡邉惠理子判事及び35期の岡村和美判事の3人であり,いずれも弁護士又は行政官の出身である。

裁判官出身の女性の最高裁判所裁判官は,これまで任命された例がない。

他方,高裁長官については,32期の綿引万里子長官以降,36期の白石史子長官,33期の高部眞規子長官,39期の矢尾和子長官,40期の森純子長官,42期の東亜由美長官,43期の手嶋あさみ長官など,女性の就任が継続的に続いている。

第4 令和9年の最高裁判所裁判官人事の予想

1 安浪亮介裁判官の後任(令和9年4月)

ア 時期の見通し

安浪裁判官は令和9年4月19日に70歳に達し,定年退官する(裁判所法50条)。

近年の例では後任は速やかに任命されており(令和6年8月16日には今崎長官の就任と同日に平木判事が任命された。),後任の発令は令和9年4月下旬から5月にかけてと見込まれる。

イ 最有力と考えられる候補

第3の1(2)の傾向(東京高裁長官又は大阪高裁長官からの就任)に該当する現職は,堀田眞哉東京高裁長官と村田斉志大阪高裁長官の2人である。

このうち堀田長官の定年退官予定日は令和9年7月22日であるから,定年70歳の最高裁判所裁判官への就任が時期的に可能なのは,事実上この4月の後任人事に限られる。

そして,第3の3(2)のとおり,事務総長経験者である東京高裁長官は,これまで全員が最高裁判所裁判官に任命されている。

さらに,今崎長官(刑事系)が令和9年11月に退官すると,裁判官出身の最高裁判所裁判官のうち刑事系は平木判事のみとなるから,刑事系の堀田長官の就任は構成のバランスにも適合する。

以上から,安浪裁判官の後任は堀田眞哉東京高裁長官が最有力と考えられる。

ウ その他の候補

村田斉志大阪高裁長官は,就任(令和8年3月9日)から約1年での任命となるが,尾島明判事が大阪高裁長官就任から約1年で任命された例があるから,可能性は十分にある。

2 林道晴裁判官の後任(令和9年9月)

ア 時期の見通し

林裁判官は令和9年8月31日に70歳に達し,定年退官する(裁判所法50条)。

後任の発令は令和9年9月上旬と見込まれる。

イ 最有力と考えられる候補

手嶋あさみ名古屋高裁長官の定年退官予定日は令和9年10月30日であり,この後任人事はその直前の時期に当たるから,定年前に任命され得る最後の機会と時期が一致する。

手嶋長官は,最高裁判所家庭局長,司法研修所長及び名古屋高裁長官を歴任しており,林裁判官と同じ民事系である。

任命された場合,裁判官出身者としては初の女性の最高裁判所裁判官となる。

以上から,林裁判官の後任は手嶋あさみ名古屋高裁長官が有力と考えられる。

もっとも,名古屋高裁長官からの直接の任命は,第3の1(2)の傾向(平成26年以降は東京・大阪のみ)の例外となる点には留意が必要である。

ウ その他の候補

過去の傾向への適合性という観点では,村田斉志大阪高裁長官(民事系)が最も適合する。

また,42期の福井章代最高裁判所首席調査官(民事系)も時期的には候補となり得るが,首席調査官からの直接の就任例は確認できない(第3の1(3))。

なお,東亜由美高松高裁長官の定年退官予定日(令和9年9月13日)もこの後任人事の直前であるが,高松高裁長官から最高裁判所裁判官への就任例は近年確認できない。

3 今崎幸彦長官の退官に伴う人事(令和9年11月)

(1) 次期最高裁判所長官

今崎長官は令和9年11月10日に70歳に達し,定年退官する(裁判所法50条)。

第3の2の傾向(在任中の最高裁判所判事から任命・在任期間2年以上)に照らすと,対象となり得るのは裁判官出身の在任判事のうち残りの任期が長い者である。

尾島明判事の定年退官予定日は令和10年9月1日であり,長官としての在任期間が1年に満たないため,過去の選任例に照らすと対象とは考えにくい。

残るのは平木正洋判事(定年退官予定日・令和13年4月3日)と中村慎判事(同・令和13年9月12日)の2人である。

このうち中村慎判事は,事務総長及び東京高裁長官の経験者であり,直近3人の長官(大谷直人戸倉三郎及び今崎幸彦の各長官)と共通の経歴を有するから,次期最高裁判所長官は中村慎判事が最有力と考えられる(内閣の指名に基づき天皇が任命する。憲法6条2項)。

(2) 長官就任に伴い空く最高裁判所判事のポスト

在任判事が長官に就任した場合,その判事のポストが空き,後任の判事が任命される(令和6年8月16日には今崎長官の就任と同日に平木判事が任命された。)。

ア 最有力と考えられる候補

福井章代首席調査官の定年退官予定日は令和10年1月11日であり,令和9年11月の本件後任人事はその直前の時期に当たる。

福井首席調査官は,行政上席調査官,民事上席調査官,東京高裁部総括判事及び首席調査官を歴任しており,任命された場合,裁判官出身者として初の女性の最高裁判所裁判官となる(手嶋長官が先に任命された場合は2人目)。

もっとも,首席調査官からの直接の就任例は確認できないから(第3の1(3)),堀田長官の後任の東京高裁長官(後記第5の2)を経た上で令和9年11月に任命されるという経路(林道晴判事と同じ首席調査官→東京高裁長官→最高裁判所判事の経路)も考えられる。

イ その他の候補

村田斉志大阪高裁長官のほか,首席調査官の経験を有する小林宏司福岡高裁長官(定年退官予定日・令和10年3月1日)も候補となり得る。

4 予想の一覧

時期ポスト最有力と考えられる候補その他の候補
令和9年4月下旬安浪判事の後任堀田眞哉(東京高裁長官)村田斉志(大阪高裁長官)
令和9年9月上旬林判事の後任手嶋あさみ(名古屋高裁長官)村田斉志福井章代
令和9年11月中旬最高裁判所長官中村慎(最高裁判所判事)平木正洋(最高裁判所判事)
令和9年11月中旬長官就任に伴う判事の後任福井章代(首席調査官)村田斉志小林宏司

村田大阪高裁長官は3つのポストすべてについて候補となり得るから,堀田,手嶋及び福井の3氏のいずれかに代わって村田長官が任命されるというのが,最も起こりやすい変動である(その場合,大阪高裁長官のポストが空き,第5の予想に影響する。)。

5 裁判官枠以外の後任人事

最高裁判所裁判官の後任は,退官した裁判官と同じ出身分野から選ばれるのが通例である。

したがって,三浦守判事(令和8年10月23日定年退官予定)の後任は検察官出身者から,岡村和美判事(令和9年12月23日定年退官予定)の後任は行政官出身者から,それぞれ選ばれる見込みであり,裁判官からの就任は考えにくい。

第5 令和9年の高裁長官人事の予想

1 仙台高裁長官(令和9年1月)

ア 空席の生じる時期

永渕健一仙台高裁長官は令和9年1月2日に65歳に達し,定年退官する(裁判所法50条)。

過去の例(令和6年12月4日決議・12月6日閣議決定・令和7年1月8日発令の名古屋高裁長官人事など)からすると,後任人事は令和8年11月から12月にかけて決定され,令和9年1月に発令されると見込まれる。

イ 過去の傾向

仙台高裁長官は,大規模地家裁所長又は東京高裁部総括判事からの就任が中心である(第3の3(3))。

ウ 候補と考えられる裁判官

41期の佐々木宗啓横浜地裁所長は,就任時に64歳,定年(令和10年1月8日)までほぼ1年であり,横浜地裁所長からの就任例(28期の市村陽典長官)もあることから,最有力と考えられる。

40期の黒野功久大阪地裁所長も,定年(令和10年1月6日)までほぼ1年であり,時期的に適合する。

東京高裁部総括判事からの就任であれば,在任期間の長い40期の吉田徹部総括判事(17民)や,41期の谷口園恵部総括判事(2民)が候補となる。

このほか,40期の萩本修部総括判事(19民),39期の増田稔知財高裁所長(知財高裁の部総括判事から仙台高裁長官に就任した37期の菅野雅之長官の例がある。),43期の筒井健夫名古屋地裁所長及び44期の濱本章子大阪家裁所長(大阪家裁所長からの就任例として40期の森純子長官の例がある。)も候補となり得る。

2 東京高裁長官(令和9年4月から8月までの間)

ア 空席の生じる時期

堀田長官が第4の1のとおり令和9年4月に最高裁判所判事に任命された場合は令和9年4月から5月にかけて,任命されずに定年(令和9年7月22日)で退官した場合は令和9年7月から8月にかけて,後任人事が行われる。

イ 最有力と考えられる候補

第3の3(2)のとおり,東京高裁長官の最大の供給元は事務総長である。

45期の氏本厚司最高裁判所事務総長は,いずれの時期であっても最有力と考えられる。

ウ その他の候補

福井章代首席調査官が,林道晴判事と同じ経路(首席調査官→東京高裁長官)で就任する可能性もある(第4の3(2)参照)。

その場合,初の女性の東京高裁長官となる。

3 広島高裁長官(令和9年9月以降)

ア 空席の生じる時期

金子修広島高裁長官は令和9年9月3日に65歳に達し,定年退官する(裁判所法50条)。

イ 候補と考えられる裁判官

金子長官自身が,法務省民事局長及びさいたま地裁所長を経て広島高裁長官に就任している。

45期の竹内努さいたま地裁所長は,法務省民事局長の経験者であり,金子長官と同じ経歴をたどることになるから,最有力と考えられる(62歳の目安については,法務省民事局長経験者は例外とされている。第3の3(3))。

41期の小出邦夫東京家裁所長も法務省民事局長の経験者であり,東京家裁所長から広島高裁長官への就任例(34期の大門匡長官)があることから,有力な候補である。

4 札幌高裁長官(令和9年9月以降)

ア 空席の生じる時期

伊藤雅人札幌高裁長官は令和9年9月8日に65歳に達し,定年退官する(裁判所法50条)。

イ 候補と考えられる裁判官

札幌高裁長官は東京高裁部総括判事からの就任が中心であり(平成26年以降8人中5人),伊藤長官(刑事系)の後任も刑事系の部総括判事からの就任が考えられる。

42期の入江猛部総括判事(6刑・名古屋地裁所長の経験者)が最有力と考えられる。

このほか,最高裁判所刑事局長の経験を有する45期の吉崎佳弥部総括判事(3刑),及び伊藤長官と同じ5刑の部総括判事からの就任となる44期の鈴木巧部総括判事も候補である。

5 高松高裁長官(令和9年9月以降)

ア 空席の生じる時期

東亜由美高松高裁長官は令和9年9月13日に65歳に達し,定年退官する(裁判所法50条)。

イ 候補と考えられる裁判官

高松高裁長官は東京高裁の民事系の部総括判事からの就任が最も多い(平成26年以降10人中5人)。

43期の山田真紀部総括判事(20民・最高裁判所民事調査官の経験者)が最有力と考えられる。

44期の三木素子部総括判事(11民),45期の中吉徹郎部総括判事(12民),43期の伊藤繁部総括判事(1民・1民の部総括判事からの就任例として29期の福田剛久長官の例がある。)及び44期の野田恵司京都地裁所長(京都地裁所長からの就任例として33期の小久保孝雄長官の例がある。)も候補である。

6 名古屋高裁長官(令和9年9月以降)

ア 空席の生じる時期

手嶋長官が第4の2のとおり令和9年9月に最高裁判所判事に任命された場合は令和9年9月から10月にかけて,任命されずに定年(令和9年10月30日)で退官した場合は令和9年10月から11月にかけて,後任人事が行われる。

イ 候補と考えられる裁判官

第3の3(1)のとおり,名古屋高裁長官の最大の供給元は司法研修所長である(手嶋長官自身を含め直近3人)。

43期の安東章司法研修所長(令和8年3月27日就任・最高裁判所刑事局長及び千葉地裁所長の経験者)は,令和9年9月時点で在任約1年6か月となり,最有力と考えられる。

41期の後藤健東京地裁所長(東京地裁所長からの就任例として40期の渡部勇次長官の例がある。)及び41期の永谷典雄千葉地裁所長(千葉地裁所長からの就任例として31期の原優長官の例がある。)も有力な候補である。

7 大阪高裁長官及び福岡高裁長官

村田大阪高裁長官(定年退官予定日・令和10年8月25日)及び小林福岡高裁長官(同・令和10年3月1日)の在任が続く限り,両庁の長官ポストは令和9年中には空かない。

ただし,村田長官が第4のいずれかの時期に最高裁判所判事に任命された場合には大阪高裁長官のポストが空く。

その場合の後任としては,東京地裁所長から大阪高裁長官に就任した例(安浪亮介長官及び平木正洋長官)に当たる後藤健東京地裁所長,又は福岡高裁長官から大阪高裁長官に転任した例(35期の後藤博長官)に当たる小林宏司福岡高裁長官が考えられる。

8 関連する司法行政ポストの後任

ア 最高裁判所事務総長

氏本事務総長が東京高裁長官に転出した場合の後任としては,47期の徳岡治静岡地裁所長が最有力と考えられる。

徳岡所長は最高裁判所秘書課長及び人事局長の経験者であり,堀田長官と共通の経歴を有する上,静岡地裁所長から事務総長への就任例(29期の大谷直人長官)もある。

このほか,最高裁判所総務局長の経験を有する47期の小野寺真也前橋地裁所長,及び46期の野口宣大水戸地裁所長も候補である。

イ 最高裁判所首席調査官

福井首席調査官が転出した場合の後任としては,首席調査官が東京高裁の民事系の部総括判事から就任する例が多いことから,調査官経験を有する部総括判事(43期の中村さとみ部総括判事〔16民〕,42期の嶋末和秀部総括判事〔5民〕など)や,46期の岡崎克彦最高裁判所民事上席調査官が考えられる。

ウ 司法研修所長

安東所長が名古屋高裁長官に転出した場合の後任としては,裁判所職員総合研修所長の経験を有する43期の江原健志東京高裁部総括判事(21民)などが考えられる。

第6 予想の限界と検証の時期

1 予想の限界

ア 本記事の予想は,定年のスケジュールと過去の人事の傾向に基づく機械的な推論であり,個別の事情(本人の意向,健康上の理由による退官,政策的な判断など)により異なる結果となる可能性がある。

イ 年齢の目安にも例外がある。

例えば,62歳未満で高裁長官に就任した例として,32期の綿引万里子札幌高裁長官(61歳)や34期の秋吉淳一郎仙台高裁長官(61歳)がある。

ウ 繰り返しになるが,本記事の予想は過去のデータとの適合性を述べるものにすぎず,記載した候補者の優劣や,記載しなかった裁判官の評価を含むものではない。

2 検証の時期

仙台高裁長官の後任人事に関する閣議決定が令和8年11月から12月頃に出ると見込まれ,これが本記事の予想の最初の検証機会となる。

次いで,安浪裁判官の後任に関する閣議決定が令和9年3月から4月頃に出ると見込まれる。

第2の2(3)のとおり,高裁長官の玉突き人事は最高裁判所裁判官の任命に関する閣議決定の後に明らかになるから,閣議決定の動向を追うことで予想の当否を順次検証できる。

第7 関連記事その他

以下の当ブログ記事も参照されたい。

・ 高裁長官人事のスケジュール

・ (AI作成)裁判官人事をデータで読み解く ― 西川伸一『裁判官幹部人事の研究』の手法を山中弁護士ブログの裁判官データベースで機械再現する

・ (AI作成)高裁部総括判事の人事をデータで読み解く-西川2020の手法を山中弁護士ブログの裁判官データベースで機械再現する

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