本記事は,令和5年2月20日施行の民事訴訟法133条以下の当事者間秘匿制度について,令和8年5月21日の民事訴訟全面デジタル化後に原告が訴えを提起する場面を中心に,申立書類,疎明,閲覧等制限,強制執行・登記,旧制度との経過関係及び関連裁判例を整理する。
第1 現在の取扱いの結論
1 令和5年2月20日以後の新件
令和5年2月20日以後に新たに民事訴訟を提起し,原告の住所等又は氏名等を被告に知られないようにする必要がある場合,民事訴訟法133条1項に基づく秘匿決定を申し立てるのが現在の正規の取扱いである。
単に訴状の住所欄へ弁護士事務所,親族宅又は旧住所を記載し,実際の住所を別紙で届け出るという旧来の事実上の取扱いを,新件における秘匿決定の代わりに選択すべきではない。
最高裁判所民事局第二課長の令和4年11月30日付事務連絡8頁は,新法施行後の新件について,「基本的には,新法に基づく秘匿決定の申立てについて説明すればよく,従来の秘匿措置によるべきではない」としている。
長野家庭裁判所の「当事者間秘匿制度(Q&A)・人事訴訟事件当事者用」6頁も,名所旧跡又は弁護士事務所等の通常住所とは考えられない場所を訴状の住所として記載することはできないと明記している。
2 令和8年5月21日以後の電子提出
令和8年5月21日,民事訴訟手続は全面的にデジタル化された。
現在は本人でもmintsを利用してオンラインで訴えを提起でき,弁護士等の訴訟代理人は原則としてオンライン提出を義務付けられている。
もっとも,秘匿情報そのものを記載する「秘匿事項届出書面」は電子提出の対象外であり,現在も紙で提出する。
民事訴訟手続の全面デジタル化の施行日及び対象については,裁判所HPの「改正民訴法等で変わる民事訴訟手続の概要」に説明がある。
オンライン提出の適用範囲及び操作上の注意点については,mintsの実務解説(弁護士向けQ&A)も参照されたい。
3 旧来の秘匿措置との区別
本記事で扱う取扱いは,次の三つの時期に分ける必要がある。
① 令和5年2月19日までに終局した事件及び同日に旧来の秘匿措置を講じたまま係属していた事件
② 令和5年2月20日から令和8年5月20日までに提起された紙記録事件
③ 令和8年5月21日以後に提起された電磁的訴訟記録事件
①では旧来の取扱いが残り得る。
②及び③では民事訴訟法133条以下の秘匿制度を用いる点は共通するが,③では秘匿決定申立書その他の提出方法,記録の閲覧方法及び安全管理措置が電子化に対応したものとなっている。
第2 秘匿決定の対象及び要件
1 秘匿対象者
秘匿決定を申し立てることができるのは,「申立て等をする者又はその法定代理人」である。
原告本人及びその法定代理人は対象となるが,証人,原告の親族その他の関係者であるというだけでは秘匿対象者にならない。
もっとも,親族の住所,勤務先又は学校等が原告の住所を推知させる場合,その記載部分は後記の秘匿事項記載部分の閲覧等制限の対象となり得る。
法人それ自体の名称又は所在地については,法人が「社会生活を営む」とはいえないため,民事訴訟法133条1項の対象にならないと解されている。
ただし,法人の代表者である自然人は,民事訴訟法37条による準用を通じて秘匿対象者となり得る。
2 住所等及び氏名等
「住所等」とは,住所,居所その他通常所在する場所をいう。
居住地だけでなく,事案によっては勤務先,通院先その他日常的に所在する場所も含まれる。
「氏名等」とは,氏名その他本人を特定するに足りる事項をいう。
住所又は氏名の全部だけでなく,その一部について秘匿決定を申し立てることもできる。
ただし,氏名以外の本人特定事項について秘匿決定がされても,裁判所が定める代替事項は「代替氏名」に限られる。
本人特定事項そのもの又はその推知事項が他の記録に現れる場合,別に閲覧等制限を申し立てる必要がある。
3 社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれ
秘匿決定には,住所等又は氏名等が被告その他の当事者に知られることによって,秘匿対象者が社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがあることの疎明を要する。
単に「知られたくない」,「関係が悪い」又は「プライバシーなので不快である」というだけでは足りない。
DV,ストーカー,性犯罪その他の犯罪被害,再加害又は報復のおそれ,生命・身体に対する具体的危険その他これらに準ずる事情を,事案に応じて具体的に示す必要がある。
疎明資料としては,保護命令決定書,住民基本台帳事務における支援措置関係書面,警察署又は配偶者暴力相談支援センターの書面,被害届受理証明書,刑事判決書,診断書,脅迫文,SNSの記録,録音,防犯カメラ映像及び陳述書等が考えられる。
疎明資料それ自体に住所等又は推知事項が記載されている場合があるため,提出前の点検を要する。
4 相手方が秘匿事項を知らないこと
相手方が既に当該住所等又は氏名等を知っている場合,その相手方との関係では秘匿決定による実益がない。
したがって,現在の住所,転居先又は現在使用する氏名を相手方が知らないことを説明する必要がある。
過去に住所又は氏名を知られていたとしても,現在の転居先又は改姓後の氏名を知られていないのであれば,その部分について秘匿の実益があり得る。
第3 訴え提起時の提出方法
1 訴状と同時に提出する書類
訴え提起時には,原則として次の書類等を同時に提出する。
① 訴状
② 秘匿決定申立書
③ 秘匿事項届出書面
④ 社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれを疎明する資料
⑤ 他の提出書類に秘匿事項又は推知事項が現れるときは,民事訴訟法133条の2第2項の閲覧等制限申立書及びマスキング書面
訴え提起前に秘匿決定だけを独立して申し立てる制度ではない。
訴状と秘匿決定の申立てを同時に提出し,裁判所が秘匿決定をした後に訴状副本を被告へ送達するのが通常の流れである。
2 訴状の当事者欄
住所を秘匿する場合,訴状の原告住所欄には真の住所を書かず,「代替住所A」と記載する。
氏名を秘匿する場合は,「代替氏名A」と記載する。
秘匿事項届出書面には真の住所又は氏名を記載するとともに,訴状に用いた代替事項も明示する。
裁判所が訴状に記載したものと異なる代替事項を定めたときは,裁判所が定めた代替事項に合わせて訴状を補正する必要がある。
訴状の住所欄を空欄にすると,秘匿決定後に補正を要するため,最初から「代替住所A」等と記載するのが実務上簡便である。
3 秘匿事項届出書面だけは紙で提出すること
令和8年5月21日以後に提起する民事訴訟では,秘匿決定申立書,訴状及びマスキング書面の画像情報は,法令上の要件に従って電子提出できる。
弁護士等の訴訟代理人は,原則として電子提出をしなければならない。
これに対し,真の秘匿事項を記載する秘匿事項届出書面は,裁判所のシステムに記録せず,紙で提出する。
秘匿事項届出書面には,秘匿対象者の郵便番号,電話番号及びファクシミリ番号を記載し,秘匿対象者本人が記名押印する。
訴訟代理人の記名押印だけで代えることはできない。
また,秘匿事項届出書面はファクシミリで提出できない。
現在の提出方法は,最高裁判所の「民事訴訟フェーズ3準備の手引」4頁並びに民事訴訟規則3条1項2号及び52条の19に明記されている。
4 疎明資料及び漏えい点検
最も重要な実務上の作業は,真の住所等を秘匿事項届出書面以外の記録に残さないことである。
訴状,秘匿決定申立書,証拠説明書,書証,委任状,資格証明書,送達場所届出書,封筒,郵便物の写し及び疎明資料の全頁を点検する必要がある。
電子ファイルについては,ファイル名,プロパティ,PDFのメタデータ,コメント,変更履歴,非表示レイヤー及びOCRテキストにも注意を要する。
最高裁判所の秘匿制度に関する執務Q&Aは,秘匿情報が記録上現れないようにすることは当事者の役割であり,裁判所が提出書面を一般的・網羅的に確認するものではないとしている。
推知事項として問題となり得るものには,病院名,公的機関名,勤務先,家族の通学先又は勤務先,公文書の校章・県章・透かし,近隣店舗の表示,写真又は動画の背景,位置情報及び声紋等がある。
単に黒い四角形を重ねただけのPDFは,その下の文字をコピーできることがあるため,復元できない方法でマスキングした上で,生成後のPDFを再確認する必要がある。
5 手数料及び却下後の処理
秘匿決定の申立手数料は,秘匿対象者1人につき500円である。
民事訴訟法133条の2第2項に基づく閲覧等制限の申立ても,申立て1件につき500円である。
秘匿決定の申立てを却下する決定に対しては,申立人が即時抗告できる。
却下決定が確定すると,「代替住所A」等を真の住所又は氏名とみなす効果は発生しない。
裁判所から真の住所又は氏名を記載するよう補正を命じられたにもかかわらず補正しない場合,訴状を却下される可能性がある。
第4 秘匿決定だけでは足りない場合
1 秘匿事項届出書面以外の記録
秘匿決定により当然に閲覧等が制限されるのは,秘匿事項届出書面に記載された部分である。
訴状,準備書面,書証,疎明資料,調査嘱託回答書及び送達報告書等に同じ住所等又は推知事項が記載されていても,秘匿決定だけで自動的に保護されるわけではない。
秘匿対象者は,民事訴訟法133条の2第2項に基づき,該当部分の閲覧等を秘匿対象者に限る旨の決定を別に申し立てる必要がある。
2 推知事項の範囲
閲覧等制限の対象は,秘匿事項そのものだけでなく,秘匿事項を推知できる事項にも及ぶ。
例えば,住所を直接記載していなくても,特定の病院名,勤務先,学校,最寄り店舗,写真の背景又は郵便物の消印から現在地を容易に推知できる場合がある。
氏名を秘匿する場合も,旧姓,通称,親族名,電話番号,メールアドレス,職業,金融機関の支店名又は口座番号等から本人を特定できることがある。
どの部分が推知事項に当たるかは事案ごとの判断であり,安全側に広く申立てをすれば当然に認められるわけではない。
攻撃防御に必要のない情報は,最初から提出しないことが原則である。
3 申立ての暫定効及びマスキング書面
閲覧等制限の申立てがあると,その裁判が確定するまで,秘匿対象者以外の者は申立ての対象部分を閲覧等できない。
もっとも,申立人は,閲覧等を制限する部分を具体的に特定し,その部分を除いたマスキング書面を提出しなければならない。
自ら提出する文書等については,原本又は画像情報の提出と同時に閲覧等制限を申し立てる。
調査嘱託の回答書が到着する前で対象部分を特定できない場合は,回答書全体等を対象とする概括的な申立てをし,到着後直ちに対象部分を特定してマスキング書面を提出する方法がある。
4 第三者に対する閲覧等制限との違い
民事訴訟法133条の2は,主に相手方当事者を含む非秘匿対象者との関係で住所等を保護する制度である。
これに対し,民事訴訟法92条は,私生活上の重大な秘密又は営業秘密について,当事者以外の第三者による閲覧等を制限する制度である。
保護法益及び要件が異なるため,同じ情報について両方の申立てが必要となる場合がある。
5 電子記録の安全管理
令和8年5月21日以後の電磁的訴訟記録について,裁判所は必要があると認めるとき,秘匿事項記載部分を紙に出力して漏えい防止措置を講じ,その部分を電磁的訴訟記録から消去できる。
この安全管理措置は,民事訴訟法133条の2第5項及び民事訴訟規則52条の23に基づく。
したがって,訴訟記録が全面的に電子化されても,秘匿情報そのものを常に裁判所のサーバに置く制度にはなっていない。
第5 秘匿決定の効力,取消し及び閲覧許可
1 代替事項の効力
裁判所が住所又は氏名について秘匿決定をするときは,「代替住所A」又は「代替氏名A」等の代替事項を定める。
代替事項を当該事件並びにその事件についての反訴,参加,強制執行,仮差押え及び仮処分に関する手続に記載又は記録したときは,法令上,真の住所又は氏名を記載又は記録したものとみなされる。
ただし,代替事項の効果が関連手続に及ぶことと,元の秘匿決定自体の効力が関連手続に及ぶこととは別問題である。
2 不服申立て
秘匿決定の申立てを却下した決定に対しては,申立人が即時抗告できる。
これに対し,秘匿決定を認容した決定に対する即時抗告は認められていない。
相手方その他の非秘匿対象者は,要件を欠くこと又は後に要件を欠くに至ったことを理由として,秘匿決定又は閲覧等制限決定の取消しを申し立てることができる。
取消しの裁判に対しては即時抗告ができ,取消決定は確定しなければ効力を生じない。
3 相手方の閲覧許可
相手方当事者は,秘匿された部分を閲覧できないために自己の攻撃又は防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるとき,裁判所へ閲覧等の許可を申し立てることができる。
許可原因となる事実の疎明があれば,裁判所は閲覧等を許可しなければならない。
許可決定を得た当事者は,改めて裁判所書記官へ閲覧等を請求する。
許可により得た情報は,正当な理由なく当該訴訟追行以外の目的で利用し,又は他人へ開示してはならない。
4 転居その他の変更
秘匿した住所を変更した場合,変更後の住所について改めて秘匿決定を申し立て,新たな秘匿事項届出書面を提出する必要がある。
再度の申立てにも手数料500円を要する。
裁判所は,特段の事情がなければ,従前と同じ代替住所を定めることが考えられる。
電話番号等の秘匿事項以外の記載事項だけを変更した場合は,訂正した秘匿事項届出書面を提出すれば足り,通常は新たな秘匿決定を要しない。
第6 関連手続,強制執行及び登記
1 関連手続でも改めて秘匿決定が必要となること
代替事項の記載を真の住所又は氏名の記載とみなす効果は,強制執行,仮差押え及び仮処分等の関連手続にも及ぶ。
しかし,関連手続の裁判所が真の連絡先を把握し,その手続に提出される記録を保護するため,原則として関連手続でも改めて秘匿決定を申し立てる必要がある。
訴え提起前の保全事件で秘匿決定を得ても,後の本案訴訟では新たな秘匿決定を要する。
反訴,参加,上訴,支払督促から督促異議後の通常訴訟への移行及び少額訴訟から通常訴訟への移行は,一体の手続であるため,通常は改めて秘匿決定を申し立てる必要がない。
2 執行裁判所における同一性の確認
秘匿決定のある債務名義に基づいて強制執行を申し立てる場合,執行申立書には債務名義上の代替事項を記載する。
もっとも,債務名義を作成した裁判所と執行裁判所が異なるとき,執行債権者と債務名義上の債権者が同一人であることを確認する必要がある。
実務書では,①代替事項が一致すれば同一性を認める考え方と,②執行裁判所でも秘匿決定をした上で,債務名義作成裁判所の秘匿事項届出書面に係る証明書等と執行裁判所へ提出された秘匿事項届出書面を照合する考え方が示されている。
確実を期するためには,執行裁判所へ事前に必要な証明書及び提出方法を確認するのが安全である。
3 第三債務者に対する供託命令
預金又は給与等の債権執行では,第三債務者が債権者へ直接支払う過程で,債権者の住所又は氏名を知る可能性がある。
民事執行法161条の2は,差押債権者又はその法定代理人について秘匿決定がある場合等に,執行裁判所が差押債権者の申立てにより,第三債務者へ供託命令を発する制度を設けている。
これにより,第三債務者へ真の住所又は氏名を知らせず,供託を通じて債権を回収できる。
4 登記手続には当然に及ばないこと
民事訴訟法133条5項が代替事項の効果を認めるのは,当該事件及び同項所定の裁判手続である。
判決に基づいて所有権移転登記等を当事者が申請する登記手続は,原則としてこの「関連手続」に含まれない。
したがって,代替住所を所有権登記名義人の住所としてそのまま登記申請に用いることはできないと解されている。
これに対し,裁判所書記官の嘱託による差押登記等では,事件番号と組み合わせた代替事項を用いる運用がある。
5 民事執行はまだ全面デジタル化されていないこと
民事訴訟は令和8年5月21日に全面デジタル化されたが,民事執行,民事保全,倒産及び家事事件の手続は同日に全面デジタル化されていない。
民事執行の申立ては引き続き書面で行う必要があり,全面デジタル化は遅くとも令和10年6月までとされている。
このため,電磁的訴訟記録事件の判決に基づく執行であっても,執行手続の提出方法及び債務名義情報の提供方法を別に確認する必要がある。
第7 被告の住所等が秘匿されている場合
1 裁判所の調査嘱託
原告が被告の現在の住所又は本人特定事項を把握できず,DV等支援措置のため住民票等も取得できない場合,裁判所が送達場所又は本人特定事項について調査嘱託をすることがある。
もっとも,調査嘱託をするかどうかは裁判所の判断であり,原告に当然の調査嘱託請求権があるわけではない。
2 職権による閲覧等制限
調査嘱託の回答書又はそれに基づく送達報告書を原告が閲覧することにより,被告又はその法定代理人が社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがあることが明らかな場合,裁判所は職権で閲覧等を制限できる。
これは民事訴訟法133条の3に基づく制度であり,被告が事前に秘匿決定を申し立てていない場合にも用いられる。
職権による閲覧等制限は書面単位でされるため,申立てによる部分的な閲覧等制限とは記録の扱いが異なる。
第8 令和5年2月19日までの旧来の取扱い
1 平成17年事務連絡による取扱い
秘匿制度の施行前は,原告から,実際の居住地を知られると生命又は身体に危害を加えられるおそれがあるなど,住所を訴状に記載しないやむを得ない事情がある旨の申出があり,連絡可能な相当の場所が訴状に記載されているとき,実際の住所の記載を求めない取扱いがあった。
平成17年11月8日付最高裁事務連絡は,訴訟代理人の事務所所在地又は原告の親族の住所等を住所に代わる連絡先として例示していた。
京都地裁民事部等では,情報非開示の申出書,連絡先の届出書,マスキング記録その他の運用が定められていた。
2 旧来の取扱いの問題点
旧来の取扱いは,明確な法律上の秘匿決定及び代替事項の効果を伴わなかった。
そのため,次の問題が指摘されていた。
① 住所に代わる連絡先だけで原告を他人から識別できるか。
② 原告住所地を根拠とする管轄をどの資料で認定するか。
③ 訴訟記録の各書面を個別にマスキングし続ける必要がある。
④ 債務名義上の原告と執行申立人との同一性確認が難しくなる。
⑤ 承継執行文,公示送達及び登記等の後続手続で真の住所との結び付きが問題になる。
現在の秘匿決定及び代替事項の制度は,これらの問題の多くについて法律上の根拠を与えたものである。
3 現在も旧来の取扱いによる事件
令和5年2月20日の新制度施行時に,旧来の秘匿措置を講じたまま係属していた事件は,当事者から新制度による秘匿決定の申立てがない限り,従来の措置を維持する。
同日までに終局した事件も,原則として従来の措置による。
ただし,当事者が新制度による秘匿決定を申し立てることは妨げられない。
新制度の施行時に係属していなかった新件について,旧来の措置を独立の選択肢として一般化することはできない。
4 住民基本台帳事務の支援措置との関係
DV,ストーカー,児童虐待等の被害者は,住民基本台帳事務における支援措置により,住民票の写し等の交付を制限できる場合がある。
もっとも,住民基本台帳事務の支援措置と,裁判記録についての民事訴訟法上の秘匿決定は別制度である。
支援措置を受けていても裁判所へ秘匿決定を申し立てる必要があり,逆に秘匿決定を得ても住民票等の交付制限が自動的に生じるわけではない。
第9 関連裁判例
1 旧制度下における法律事務所所在地の記載
東京高裁令和4年4月19日判決(令和3年(ネ)第5711号,損害賠償請求控訴事件,判例タイムズ1512号97頁,判例秘書L07720680)は,原告である弁護士が訴状に自宅ではなく在籍する法律事務所の所在地を記載した事案である。
同判決は,原告の氏名及び在籍する法律事務所の所在地により他の者との識別が十分可能であるとして,訴状の必要的記載事項である「当事者」の記載に欠けるところはないと判断した。
同種の争点について,横浜地裁令和3年7月1日中間判決(令和元年(ワ)第5101号。終局判決は同年11月18日。判例秘書L07651985)は,法律事務所所在地が民事訴訟規則2条1項1号の予定する住所に当たらないとしても,当事者の特定及び送達に支障がない事実関係の下では,直ちに訴えを却下すべきではないとした。
また,東京地裁令和4年8月8日判決(平成30年(ワ)第26226号,判例秘書L07732391)及び東京地裁令和6年3月27日判決(令和3年(ワ)第5322号ほか,判例秘書L07931212)も,弁護士である原告の氏名と勤務先法律事務所の所在地によって当事者を識別できるとして,原告の住所を記載していないことを理由とする訴え却下の主張を排斥した。
これらは,いずれも令和5年2月20日の秘匿制度施行前に提起された事件に関する判断であり,原告自身が弁護士として勤務する事務所の所在地を記載した事案である。
したがって,被害者一般について,現行法上の秘匿決定を申し立てないまま,代理人事務所を本人住所として記載できることを判示したものではない。
これらの裁判例は裁判所HPの裁判例検索には掲載されていない。
2 東京高裁令和6年5月17日決定による民訴法92条1項1号の類推適用
東京高裁令和6年5月17日決定(令和6年(ラ)第768号,訟務月報70巻12号1289頁,判例秘書L07920650)は,未成年者誘拐事件の被疑者であった者が国を相手に提起した国家賠償請求訴訟の記録に,刑事事件の被害者及び父母の氏名並びに被害者宅付近の住所が記載されていた事案である。
原決定である東京地裁令和6年2月29日決定(令和5年(モ)第3017号,訟務月報70巻12号1375頁,判例秘書L07932427)は,民事訴訟法92条1項1号の「当事者」は訴訟当事者を指し,訴訟当事者でない被害者らの秘密について同号を類推適用することも相当でないとして,国の閲覧等制限申立てを却下した。
これに対し,東京高裁は,被害者らの氏名及び住所付近情報は私生活についての重大な秘密であり,公開されれば社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがあるとした上で,刑事事件で被害者特定事項の秘匿決定がされていたこと,被害者らのプライバシー及び生活の平穏を保護する必要性等を考慮し,同号を類推適用して閲覧等を当事者に限った。
抗告審記録中の抗告理由補充書は,名古屋地裁令和6年3月21日決定(令和5年(モ)第469号)が,別件国家賠償請求訴訟の記録にある犯罪被害者及び父の氏名について閲覧等を制限した旨も紹介している。
もっとも,名古屋地裁決定について判例秘書で独立した全文を確認できなかったため,本記事では東京高裁決定の記録に現れた範囲を超えて判旨を一般化しない。
東京高裁決定は,訴訟当事者の住所等を相手方から秘匿する民事訴訟法133条以下を判断したものではない。
しかし,秘匿決定を得た後も,別の書証等に現れた住所,氏名又は推知事項を第三者から保護するには,民事訴訟法92条又は133条の2第2項による閲覧等制限を検討する必要があることを示す関連裁判例である。
3 現行制度による代替住所が判決に現れた事例
東京地裁令和7年1月30日判決(令和6年(ワ)第12110号,判例秘書L08030438)は,裁判所が令和6年7月17日,原告の申立てにより原告住所を秘匿し,「代替住所A」を定めたことを事実経過として記載している。
同判決は,原告が同年6月21日,原告氏名の閲覧等を当事者に限る決定も求めたことを記載している。
また,東京地裁令和7年8月15日判決(令和6年(ワ)第30659号,判例秘書L08031513)の記録に収録された訴状は,原告の当事者表示に「代替住所A」を用いている。
これらは,現行制度による代替住所が実際の訴状又は判決の事実経過に現れた例である。
もっとも,いずれの本案判決も,民事訴訟法133条以下の要件又は効果を争点として判断したものではないため,秘匿決定の要件解釈に関する先例ではない。
4 最高裁平成19年3月27日判決
最高裁平成19年3月27日第三小法廷判決(昭和62年(オ)第685号,民集61巻2号711頁)は,いわゆる光華寮事件であり,訴状の表示その他の記録から誰を原告として確定すべきかを判断した。
この判決は住所秘匿事件ではない。
もっとも,旧来の住所秘匿実務を論じた文献は,訴状上の当事者表示と当事者の確定を区別するために同判決を引用している。
現在は,秘匿決定により代替事項を真の住所又は氏名の記載とみなす明文規定が設けられている。
5 最高裁平成20年6月24日決定
最高裁平成20年6月24日第二小法廷決定(平成20年(し)第30号,刑集62巻6号1842頁)は,刑事確定訴訟記録の閲覧請求が権利濫用となる場合を扱った。
同決定は,関係人の名誉又は生活の平穏を害する目的でされた閲覧請求を権利濫用として許されないとした。
これは刑事確定訴訟記録法6条の解釈に関する裁判例であり,民事訴訟法133条以下の秘匿決定又は民事訴訟記録の閲覧等制限を直接判示したものではない。
現在の民事訴訟における住所等の保護を,同決定の権利濫用法理だけで説明するのは不正確である。
6 判決書に記載された住所を再公表した事例
東京地裁平成27年9月28日判決(平成26年(ワ)第30491号,判例秘書L07031078)は,送達を受けた別件判決正本を,原告の住所を削除しないままインターネット掲示板へ掲載した事案である。
同判決は,判決書の当事者表示に記載された住所もプライバシーに係る情報として法的保護の対象となり,住所を容易に削除できたのに削除しないまま公開した行為はプライバシー侵害の不法行為を構成すると判断した。
これは,訴訟提起時の秘匿決定又は裁判所による閲覧等制限の要件を判示したものではない。
もっとも,当事者が送達を受けた判決書に真の住所が残れば,訴訟外で再公表される危険があることを示す裁判例であり,訴状から判決書まで一貫して代替事項を用いる現行制度の実務上の意義と関係する。
7 大阪地裁平成11年8月30日決定
大阪地裁平成11年8月30日決定(平成11年(モ)第5656号,判例時報1714号110頁,判例タイムズ1050号169頁,判例秘書L05450398)は,いわゆる大阪府知事セクハラ訴訟において,民事訴訟法92条に基づく訴訟記録の閲覧等制限を扱った。
同決定は,原告の氏名,住所,生年月日及び愛称並びに訴状中のわいせつ被害の一部について,閲覧等を当事者に限った。
その本案は,大阪地裁平成11年12月13日判決(平成11年(ワ)第8121号,判例時報1735号96頁,判例タイムズ1050号165頁)である。
この決定は,第三者による私生活上の重大な秘密の閲覧等を制限する民事訴訟法92条の先例であり,現在の民事訴訟法133条以下の当事者間秘匿制度の先例ではない。
もっとも,同じ住所等について,相手方からの秘匿と第三者からの秘匿の双方が必要な場合に,民事訴訟法133条以下の申立てと92条の申立てを併用し得ることを理解する上で関連する裁判例である。
両裁判例は裁判所HPの裁判例検索には掲載されていない。
8 被告の特定及び被害回復に関する周辺裁判例
近藤壽邦・小野寺健太・廣瀬洋子「当事者の特定と表示について」判例タイムズ1248号54頁以下は,住所秘匿と併せて,振込詐欺等で被告を特定できない場合を論じ,次の裁判例を紹介している。
① 名古屋高裁金沢支部平成16年12月28日決定(公刊物未登載)
② 東京地裁平成17年3月30日判決(平成16年(ワ)第14793号,金融・商事判例1215号6頁,判例時報1895号44頁,金融法務事情1741号41頁,判例秘書L06030883)
③ 大阪高裁平成19年1月30日判決(平成18年(ネ)第779号,金融・商事判例1263号25頁,判例時報1962号78頁,金融法務事情1799号56頁,判例秘書L06220080)
①は,口座名義人の氏名及び住所を得るための調査嘱託をしないまま訴状を却下することの当否に関する裁判例として同論文が紹介している。
ただし,判例秘書で同裁判所及び同日を指定して検索しても,この内容に該当する決定の事件番号又は全文は確認できなかった。
②は,振込詐欺被害について,所在不明の口座名義人に対する不当利得返還請求権を被保全債権とする預金払戻請求権の代位行使を認めた裁判例である。
③は,弁護士会照会及び裁判所の調査嘱託を受けた銀行が弁護士会又は裁判所に対して報告する公的義務を負うとした一方,回答拒否が照会申出人等との関係で直ちに不法行為を構成するものではないとした裁判例である。
いずれも原告の住所秘匿を直接判断した裁判例ではなく,被告の特定又は被害回復の周辺問題に関するものである。
9 最高裁令和8年1月28日決定
最高裁令和8年1月28日第一小法廷決定(令和7年(マ)第244号)は,訴状の原告住所欄に訴訟代理人の法律事務所所在地が記載されていたことを経緯として摘示している。
しかし,同決定は,本来管轄のない最高裁判所へ不当な目的で訴えを提起したことが訴訟上の信義則に反するとして訴えを却下したものである。
法律事務所所在地を原告住所として記載することの適否又は住所秘匿について判断した裁判例ではない。
10 民訴法133条以下の公刊裁判例の状況
令和8年7月28日,判例秘書で民事訴訟法を法令名として条文指定検索したところ,133条は29件であったが,最新の該当裁判例は旧133条を適用した東京高裁令和4年4月19日判決であった。
これに対し,133条の2,133条の3及び133条の4の条文指定検索は,いずれも0件であった。
「民事訴訟法133条の2」,「民事訴訟法133条の3」及び「民事訴訟法133条の4」の全文キーワード検索も,いずれも0件であった。
裁判所HPの裁判例検索,弁護士ドットコムライブラリー及び判例秘書の検索により,現行制度による代替住所の使用例並びに民事訴訟法92条の関連決定は確認できたが,民事訴訟法133条から133条の4までの要件又は効果を争点として直接判断した公刊裁判例は確認できなかった。
もっとも,裁判所HP又は判例データベースでヒットしないことは,裁判例が存在しないことの証明にはならない。
秘匿決定は決定手続であり,事案の性質上も公刊されにくいことに留意する必要がある。
第10 提出前の実務チェックリスト
① 相手方が現在の住所等又は氏名等を本当に知らないかを確認したか。
② 単なる不快感ではなく,社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれを具体化したか。
③ 訴状の当事者欄を「代替住所A」又は「代替氏名A」としたか。
④ 秘匿決定申立書と秘匿事項届出書面を秘匿対象者ごとに作成したか。
⑤ 秘匿事項届出書面に真の情報,郵便番号及び電話番号等を記載し,本人が記名押印したか。
⑥ 秘匿事項届出書面を電子送信又はファクシミリ送信しようとしていないか。
⑦ 疎明資料に秘匿事項又は推知事項が残っていないか。
⑧ 委任状,資格証明書,封筒,郵便物及び全ての添付資料を点検したか。
⑨ PDFのメタデータ,OCRテキスト及び復元可能なマスキングを点検したか。
⑩ 必要な範囲について民事訴訟法133条の2第2項の閲覧等制限を同時に申し立てたか。
⑪ 閲覧等制限申立ての対象部分を具体的に特定し,マスキング書面を作成したか。
⑫ 将来の保全,強制執行,登記及び供託まで見通して,必要な証明書及び再度の秘匿申立てを検討したか。
第11 出典
1 法令及び裁判所資料
① e-Gov法令検索・民事訴訟法132条の10から132条の13まで及び133条から133条の4まで
② 民事訴訟規則3条,52条の18から52条の23まで
③ e-Gov法令検索・民事執行法20条及び161条の2
④ e-Gov法令検索・民事訴訟費用等に関する法律別表第一13の項
⑤ 裁判所「改正民訴法等で変わる民事訴訟手続の概要」
⑥ 裁判所「当事者に対する住所,氏名等の秘匿制度等」
⑦ 最高裁判所「民事訴訟フェーズ3準備の手引」
⑧ 長野家庭裁判所「当事者間秘匿制度(Q&A)・人事訴訟事件当事者用」
⑨ 最高裁判所民事局第二課長「民事訴訟法等の一部を改正する法律及び民事訴訟規則等の一部を改正する規則の施行に伴う当事者に対する住所・氏名等の秘匿制度における事務処理上の留意点について」(令和4年11月30日付事務連絡)4頁~23頁
⑩ 最高裁判所「当事者に対する住所,氏名等の秘匿の制度に関する改正民事訴訟法等に関する運用方法が書いてある文書1/2及び2/2」(令和6年6月20日付司法行政文書開示通知に係る開示文書)
2 文献
① 脇村真治編著『一問一答 新しい民事訴訟制度(デジタル化等)―令和4年民事訴訟法等改正の解説』商事法務,令和6年,206頁~233頁
② 高原知明・松田桂子「民事訴訟における当事者の住所,氏名等の秘匿,閲覧等の制限」高原知明ほか『民事裁判実務論点体系―裁判官からみた手続運用と実践知』ぎょうせい,令和7年,256頁~276頁
③ 最高裁判所事務総局民事局監修『条解民事訴訟規則(デジタル化関係等)』司法協会,令和7年,244頁~263頁
④ 裁判所職員総合研修所監修『民事執行実務講義案(三訂版)』司法協会,令和7年,352頁~358頁及び373頁
⑤ 脇村真治編著『一問一答 新しい民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(デジタル化等)』商事法務,令和7年,36頁~42頁
⑥ 高須順一「住所,氏名等の秘匿制度の創設と実務上の留意点」自由と正義74巻3号,令和5年,32頁~36頁
⑦ 近藤壽邦・小野寺健太・廣瀬洋子「当事者の特定と表示について」判例タイムズ1248号,平成19年,54頁~61頁
3 裁判例
① 東京高裁令和4年4月19日判決(令和3年(ネ)第5711号,判例タイムズ1512号97頁,判例秘書L07720680。掲載誌及び判例秘書で全文確認済み。裁判所HP未掲載)
② 横浜地裁令和3年7月1日中間判決及び同年11月18日終局判決(令和元年(ワ)第5101号,判例秘書L07651985。判例秘書で全文確認済み。裁判所HP未掲載)
③ 東京地裁令和4年8月8日判決(平成30年(ワ)第26226号,判例秘書L07732391。判例秘書で全文確認済み。裁判所HP未掲載)
④ 東京地裁令和6年3月27日判決(令和3年(ワ)第5322号,令和5年(ワ)第16451号,同第17199号,同第20677号,同第22033号及び同第22243号,判例秘書L07931212。判例秘書で全文確認済み。裁判所HP未掲載)
⑤ 東京高裁令和6年5月17日決定(令和6年(ラ)第768号,訟務月報70巻12号1289頁,判例秘書L07920650。判例秘書で全文確認済み。裁判所HP未掲載)
⑥ 東京地裁令和6年2月29日決定(令和5年(モ)第3017号,訟務月報70巻12号1375頁,判例秘書L07932427。判例秘書で全文確認済み。裁判所HP未掲載)
⑦ 名古屋地裁令和6年3月21日決定(令和5年(モ)第469号。東京高裁令和6年5月17日決定の記録に収録された抗告理由補充書の記載により確認。独立した決定全文は未確認)
⑧ 東京地裁令和7年1月30日判決(令和6年(ワ)第12110号,判例秘書L08030438。判例秘書で全文確認済み。裁判所HP未掲載)
⑨ 東京地裁令和7年8月15日判決(令和6年(ワ)第30659号,判例秘書L08031513。判例秘書で全文確認済み。裁判所HP未掲載)
⑩ 最高裁平成19年3月27日第三小法廷判決(昭和62年(オ)第685号,民集61巻2号711頁)
⑪ 最高裁平成20年6月24日第二小法廷決定(平成20年(し)第30号,刑集62巻6号1842頁)
⑫ 東京地裁平成27年9月28日判決(平成26年(ワ)第30491号,判例秘書L07031078。判例秘書で全文確認済み。裁判所HP未掲載)
⑬ 大阪地裁平成11年8月30日決定(平成11年(モ)第5656号,判例時報1714号110頁,判例タイムズ1050号169頁,判例秘書L05450398。掲載誌及び判例秘書で全文確認済み。裁判所HP未掲載)
⑭ 大阪地裁平成11年12月13日判決(平成11年(ワ)第8121号,判例時報1735号96頁,判例タイムズ1050号165頁。掲載誌掲載の判決全文で確認済み。裁判所HP未掲載)
⑮ 名古屋高裁金沢支部平成16年12月28日決定(公刊物未登載。判例タイムズ1248号54頁~61頁で判示概要を確認。判例秘書で同裁判所及び同日を指定して検索したが,該当決定の事件番号及び全文は未確認)
⑯ 東京地裁平成17年3月30日判決(平成16年(ワ)第14793号,金融・商事判例1215号6頁,判例時報1895号44頁,金融法務事情1741号41頁,判例秘書L06030883。判例秘書で全文確認済み。裁判所HP未掲載)
⑰ 大阪高裁平成19年1月30日判決(平成18年(ネ)第779号,金融・商事判例1263号25頁,判例時報1962号78頁,金融法務事情1799号56頁,判例秘書L06220080。判例秘書で全文確認済み。裁判所HP未掲載)
⑱ 最高裁令和8年1月28日第一小法廷決定(令和7年(マ)第244号)