弁護士山中理司

柏戸夏子裁判官(68期)の経歴

生年月日 S63.7.19
出身大学 慶応大院
退官時の年齢 34歳
R5.3.31 依願退官
R4.8.7 ~ R5.3.30 名古屋地裁判事補
H30.4.1 ~ R4.8.6 東京地家裁判事補
H28.1.16 ~ H30.3.31 東京地裁判事補

*1 以下の記事も参照してください。
・ 判事補時代に退官した元裁判官の名簿(令和時代)
*2の1 68期の種村仁志裁判官と68期の柏戸夏子裁判官の勤務場所は,68期の柏戸夏子裁判官が令和5年3月31日に依願退官するまでは似ていました。
*2の2 判事補任官時の氏名は「柏戸夏子」であり,令和4年7月6日の最高裁判所裁判官会議議事録には「種村夏子(68)」と書いてあるものの,新日本法規HPには「柏戸夏子」として載っています。
*3 令和5年4月,第一芙蓉法律事務所(東京都千代田区霞が関)に入所しました(同事務所HPの「弁護士紹介」参照)。
*4 空気を読まずに生きるブログ(筆者は新61期の趙誠峰弁護士)の「大川原化工機事件の身柄判断を検証する」には以下の記載があります。
個々の判断内容は本紙第116号の季刊刑事弁護レポート「大川原化工機事件・人質司法の記録」を参照されたい。ここでは本件の身体拘束の判断に関与した裁判官の名前だけ列挙しておく。本件で誤った身体拘束の判断をしたのは、岡野清二、世森ユキコ、吉崎佳弥、井下田英樹、池田翔平、赤松亨太、柏戸夏子、遠藤圭一郎、蛭田円香、坂田正史、島尻大志、長野慶一郎、宮本誠、丹羽敏彦、長池健司、佐藤有紀、小林謙介、西山志帆、松村光泰、楡井英夫、竹田美波、佐藤みなと、本村理絵、牧野賢、三貫納隼、守下実、家入美香、一社紀行、佐伯恒治、室橋秀紀、名取桂の各裁判官である。

植木麻里裁判官(66期)の経歴

生年月日 S62.3.17
出身大学 一橋大院
退官時の年齢 36歳
R5.3.31 依願退官
R4.4.1 ~ R5.3.30 東京地裁判事補
H31.4.1 ~ R4.3.31 新潟家地裁判事補
H28.4.1 ~ H31.3.31 名古屋地家裁判事補
H26.1.16 ~ H28.3.31 名古屋地裁判事補

*1 任官時の氏名は「波多野麻里」でありましたところ,66期の植木亮裁判官及び66期の植木麻里裁判官の勤務場所は判事補任官当初から似ていました。
*2 令和5年4月1日,第一東京弁護士会で弁護士登録をして,AI-EI法律事務所(東京都千代田区内幸町)に入所しました(同事務所HPの「植木 麻里 アソシエイト」参照)。
*3 以下の記事も参照してください。
・ 判事補時代に退官した元裁判官の名簿(令和時代)

貝阿彌健裁判官(65期)の経歴

生年月日 S59.12.19
出身大学 不明
定年退官発令予定日 R31.12.19
R7.4.1 ~ 東京地裁刑事部判事(推測)
R5.4.1 ~ R7.3.31 最高裁刑事局付
R5.1.16 ~ R5.3.31 神戸家裁少年部判事
R3.4.1 ~ R5.1.15 神戸家地裁判事補
H31.4.1 ~ R3.3.31 国交省鉄道局総務課課長補佐
H31.3.1 ~ H31.3.31 最高裁民事局付
H29.7.4 ~ H31.2.28 東京地家裁立川支部判事補
H27.4.1 ~ H29.7.3 札幌地家裁判事補
H25.1.16 ~ H27.3.31 札幌地裁判事補

*1 「貝阿彌」という苗字の人は全国に約20人ぐらいであります(名字由来net「【名字】貝阿彌 【読み】かいあみ」参照)ところ,貝阿彌裁判官としては,30期の貝阿彌誠55期の貝阿彌亮及び55期の貝阿彌千絵子(ただし,任官時の姓は吉田です。)並びに65期の貝阿彌健がいます。
*2 以下の記事も参照してください。
・ 判事補の外部経験の概要
・ 行政機関等への出向裁判官

貝阿彌千絵子裁判官(55期)の経歴

生年月日 S53.7.25
出身大学 不明
定年退官発令予定日 R25.7.25
R5.4.1 ~ 東京地家裁立川支部判事
R2.4.1 ~ R5.3.31 東京家裁家事第3部判事
H29.4.1 ~ R2.3.31 千葉地裁2民判事(医事部)
H26.4.1 ~ H29.3.31 福岡地裁1民判事
H25.4.1 ~ H26.3.31 東京家地裁立川支部判事
H24.10.16 ~ H25.3.31 熊本地家裁判事
H20.4.1 ~ H24.10.15 熊本地家裁判事補
H19.9.20 ~ H20.3.31 横浜地家裁川崎支部判事補
H17.7.18 依願退官
H14.10.16 ~ H17.7.17 東京地裁判事補

*0 55期の貝阿彌亮及び55期の貝阿彌千絵子の勤務場所は似ていますところ,55期の貝阿彌亮は平成16年度から2年間の海外留学をしていて,55期の貝阿彌千絵子は平成17年7月18日にいったん依願退官しています。


*1 「貝阿彌」という苗字の人は全国に約20人ぐらいであります(名字由来net「【名字】貝阿彌 【読み】かいあみ」参照)ところ,貝阿彌裁判官としては,30期の貝阿彌誠55期の貝阿彌亮及び55期の貝阿彌千絵子(ただし,任官時の姓は吉田です。)並びに65期の貝阿彌健がいます。
*2 55期の貝阿彌千絵子は「吉田千絵子」という名前で任官し,平成17年7月18日に「貝阿彌千絵子」という名前で依願退官し,平成19年9月20日に「貝阿彌千絵子」という名前で再び任官しました。
*3 以下の記事も参照してください。
・ 地方裁判所の専門部及び集中部
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部

山岸秀彬裁判官(59期)の経歴

生年月日 S57.8.10
出身大学 不明
定年退官発令予定日 R29.8.10
R7.4.1 ~ 最高裁サイバーセキュリティ管理官兼デジタル基盤管理官兼デジタル審議官付参事官
R4.4.1 ~ R7.3.31 名古屋地裁8民判事
R2.4.1 ~ R4.3.31 東京地裁7民判事
H30.4.1 ~ R2.3.31 最高裁家庭局付
H28.10.16 ~ H30.3.31 那覇地家裁判事
H27.4.1 ~ H28.10.15 那覇地家裁判事補
H26.7.1 ~ H27.3.31 東京地裁判事補
H24.7.1 ~ H26.6.30 財務省国際局開発政策課課長補佐
H24.4.1 ~ H24.6.30 最高裁家庭局付
H18.10.16 ~ H24.3.31 千葉地裁判事補

* 以下の記事も参照してください。
・ 判事補の外部経験の概要
・ 行政機関等への出向裁判官

丸山水穂裁判官(49期)の略歴

生年月日 S46.9.8
出身大学 東北大
定年退官発令予定日 R18.9.8
R7.4.1 ~ 大阪地裁20民判事(医事部)
R5.4.1 ~ R7.3.31 大阪高裁13民判事(弁護士任官・仙台弁)

*1の1 平成6年3月に東北大学法学部を卒業し,同年10月に司法試験に合格したほか,平成23年度仙台弁護士会副会長をしたり,平成20年10月から平成22年9月まで仙台簡易裁判所民事調停官をしたりしていました(官澤綜合法律事務所HPの「弁護士 丸山水穂(まるやま みほ)」(過去の記事です。)参照)。
*1の2 令和5年4月1日現在,官澤綜合法律事務所HPの「弁護士 丸山水穂(まるやま みほ)」には「子ども達が大学進学に伴って巣立ち、子育てに一区切りがついたことをきっかけに、裁判官へのチャレンジを決意し、官澤先生を始め官澤綜合法律事務所の皆様と同期の弁護士でもある夫の多大な支援を得て、この度任官の内定を得た次第です。」と書いてあります。
*2 自由と正義2025年4月号38頁に「任官チャレンジ中」と題する記事を寄稿しています。
*3 以下の記事も参照して下さい。
・ 弁護士任官者研究会の資料
・ 弁護士任官候補者に関する下級裁判所裁判官指名諮問委員会の答申状況
・ 弁護士任官希望者に関する情報収集の実情
・ 弁護士任官に対する賛成論及び反対論
・ 法曹一元
・ 非常勤裁判官(民事調停官及び家事調停官)の名簿
・ パワハラの有無等が争われた大阪高裁令和7年3月14日判決(AI作成の判例評釈)

八槇朋博裁判官(58期)の経歴

生年月日 S52.11.29
出身大学 京大
定年退官発令予定日 R24.11.29
R6.4.1 ~ 東京地裁17民判事
R3.4.1 ~ R6.3.31 甲府地家裁判事
H31.4.1 ~ R3.3.31 長野地家裁諏訪支部長
H29.4.1 ~ H31.3.31 長野地家裁諏訪支部判事
H27.10.16 ~ H29.3.31 大阪家裁家事第3部判事(遺産分割・財産管理部)
H25.4.1 ~ H27.10.15 大阪家地裁判事補
H23.4.1 ~ H25.3.31 金融庁証取委事務局証券調査指導官
H20.4.1 ~ H23.3.31 東京地家裁八王子支部判事補
H17.10.16 ~ H20.3.31 京都地裁判事補

*1 以下の記事も参照してください。
・ 判事補の外部経験の概要
・ 行政機関等への出向裁判官
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部
*2の1 京都地裁平成18年12月13日判決(担当裁判官は30期の氷室眞49期の武田正及び58期の八槇朋博)は,ファイル共有ソフトWinnyを開発していた者のインターネットを介したWinnyの提供行為が著作権法違反幇助に問われたWinny事件(平成16年5月9日にWinnyの作成者が逮捕されました。)において,罰金150万円の有罪判決となりました。
    ただし,当該判決は大阪高裁平成21年10月8日判決(担当裁判官は27期の小倉正三40期の芦高源及び41期の飯畑正一郎)によって取り消されて被告人は無罪となり,最高裁平成23年12月19日決定によって検察官の上告は棄却されました。
*2の2 最高裁平成23年12月19日決定の裁判要旨は以下のとおりです。
    適法用途にも著作権侵害用途にも利用できるファイル共有ソフトWinnyをインターネットを通じて不特定多数の者に公開,提供し,正犯者がこれを利用して著作物の公衆送信権を侵害することを幇助したとして,著作権法違反幇助に問われた事案につき,被告人において,(1)現に行われようとしている具体的な著作権侵害を認識,認容しながらWinnyの公開,提供を行ったものでないことは明らかである上,(2)その公開,提供に当たり,常時利用者に対しWinnyを著作権侵害のために利用することがないよう警告を発していたなどの本件事実関係(判文参照)の下では,例外的とはいえない範囲の者がそれを著作権侵害に利用する蓋然性が高いことを認識,認容していたとまで認めることも困難であり,被告人には著作権法違反罪の幇助犯の故意が欠ける。

近藤猛司裁判官(45期)の経歴

生年月日 S39.10.2
出身大学 南山大
退官時の年齢 58歳
R5.3.31 依願退官
R2.4.1 ~R5.3.30 名古屋家地裁豊橋支部判事
H29.4.1 ~ R2.3.31 名古屋高裁3民判事
H26.4.1 ~ H29.3.31 岐阜地家裁大垣支部長
H23.4.1 ~ H26.3.31 大阪地家裁堺支部判事
H22.4.1 ~ H23.3.31 名古屋高裁2民判事
H19.4.1 ~ H22.3.31 名古屋地裁判事
H16.4.1 ~ H19.3.31 京都地裁判事
H15.4.9 ~ H16.3.31 岐阜地家裁御嵩支部判事
H13.4.1 ~ H15.4.8 岐阜地家裁御嵩支部判事補
H10.4.1 ~ H13.3.31 神戸地家裁判事補
H7.4.1 ~ H10.3.31 鹿児島地家裁判事補
H5.4.9 ~ H7.3.31 大阪地裁判事補

*1 昭和62年3月に南山大学法学部を卒業しました(南山大学HP「南山法学会 講演会」「講演 裁判官近藤猛司氏 法学部卒業後の歩み~裁判官としてのキャリア~」参照)。
*2 以下の記事も参照して下さい。
・ 裁判官の早期退職
・ 50歳以上の裁判官の依願退官の情報
・ 地方裁判所支部及び家庭裁判所支部

武富一晃裁判官(60期)の経歴

生年月日 S59.3.21
出身大学 不明
定年退官発令予定日 R31.3.21
R7.4.1 ~ 東京地裁16刑判事
R5.4.1 ~ R7.3.31 法テラス国選弁護課長
R4.4.1 ~ R5.3.31 東京家裁少年第2部判事
H31.4.1 ~ R4.3.31 福岡地裁1刑判事
H29.9.20 ~ H31.3.31 東京地裁27民判事(交通部)
H28.4.1 ~ H29.9.19 東京地裁判事補
H25.4.1 ~ H28.3.31 長崎地家裁判事補
H19.9.20 ~ H25.3.31 千葉地裁判事補

* 61期の武富可南裁判官の判事補任官時点の氏名は「牛尾可南」でしたところ,60期の武富一晃裁判官及び61期の武富可南裁判官の勤務場所につき,平成25年4月1日以降は似ています。

山崎雄大裁判官(60期)の経歴

生年月日 S57.6.18
出身大学 東大
退官時の年齢 40歳
R5.3.31 依願退官
R4.4.1 ~ R5.3.30 東京地裁11民判事(労働部)
H31.4.1 ~ R4.3.31 津地家裁伊勢支部判事
H29.9.20 ~ H31.3.31 大阪地裁2民判事(租税・行政部)
H28.4.1 ~ H29.9.19 大阪地家裁判事補
H26.4.1 ~ H28.3.31 外務省領事局政策課ハーグ条約室課長補佐
H26.3.1 ~ H26.3.31 外務省総合外交政策局人権人道課ハーグ条約室課長補佐
H26.1.10 ~ H26.2.28 法務省民事局付
H25.4.1 ~ H26.1.9 さいたま地家裁判事補
H24.7.13 ~ H25.3.31 さいたま家地裁判事補
H19.9.20 ~ H24.7.12 徳島地裁判事補

*1 令和5年4月に東京弁護士会で弁護士登録をして,東京国際法律事務所(東京都千代田区霞が関1-4-2 大同生命霞が関ビル8階)に入所しました(同事務所HPの「山崎 雄大 Yuta Yamasaki」参照)。
*2 以下の記事も参照して下さい。
・ 地方裁判所の専門部及び集中部
・ 判事補の外部経験の概要
・ 行政機関等への出向裁判官

東條敬裁判官(13期)の経歴

生年月日 S5.8.12
出身大学 京大
退官時の年齢 61 歳
H4.4.1 依願退官
S59.4.5 ~ H4.3.31 大阪高裁3民判事
S56.1.27 ~ S59.4.4 東京法務局訟務部長
S56.1.1 ~ S56.1.26 大阪地裁16民部総括
S53.4.1 ~ S55.12.31 大阪地裁判事
S48.4.10 ~ S53.3.31 最高裁調査官
S46.4.14 ~ S48.4.9 神戸家地裁判事
S45.4.1 ~ S46.4.13 神戸家地裁判事補
S43.4.20 ~ S45.3.31 岡山地家裁判事補
S42.5.1 ~ S43.4.19 岡山地家裁倉敷支部判事補
S39.4.20 ~ S42.4.30 奈良家地裁判事補
S36.4.14 ~ S39.4.19 神戸地家裁判事補

四宮章夫裁判官(25期)の経歴

生年月日 S23.11.21
出身大学 京大
退官時の年齢 32 歳
S56.4.1 依願退官
S53.4.1 ~ S56.3.31 大阪地裁判事補
S51.4.1 ~ S53.3.31 津地家裁四日市支部判事補
S48.4.10 ~ S51.3.31 東京地裁判事補

*1 昭和56年に大阪弁護士会で弁護士登録をして淀屋橋合同法律事務所(現在の弁護士法人淀屋橋・山上合同)に入所し,平成26年4月に独立してコスモス法律事務所(大阪市中央区北浜)を開設しました。
*2 以下の記事も参照してください。
・ 判事補時代に退官した元裁判官507人の名簿(昭和時代及び平成時代)

黒田京子裁判官(14期)の経歴

生年月日 S12.12.17
出身大学 東北大
退官時の年齢 26 歳
S39.3.31 依願退官
S37.4.10 ~ S39.3.30 神戸家地裁判事補

*1 13期の黒田直行裁判官と初任地が同じです。
*2 判事補に任官した時点の氏名は「小泉京子」であり,判事補を退官した時点の氏名は「黒田京子」でした。
*3 昭和52年6月に第一東京弁護士会で弁護士登録をして,昭和58年5月に大阪弁護士会に登録換をしました(ヤマトインターナショナル株式会社HPの「「当社株式の大規模買付行為への対応策(買収防衛策)」の継続及び独立委員会委員選任に関するお知らせ」参照)。
*4 以下の記事も参照してください。
・ 判事補時代に退官した元裁判官507人の名簿(昭和時代及び平成時代)

物損に関する示談

目次
第1 総論
第2 損害保険の調査会社
第3 車両修理費又は買換差額費
1 総論
2 車両時価額の算定方法
3 レッドブック
4 板金又は部品交換
5 塗装
6 買換諸費用
第4 評価損(格落ち損)及び修復歴車(事故車)
1 評価損
2 修復歴車(事故車)
第5 代車使用料又は休車損害及び保管料
1 代車使用料
2 休車損害
3 保管料
4 代車使用時の交通事故の取扱い
第6 積荷,着衣,携行品等の損害
第7 レッカー代
第8 慰謝料
第9 対物賠償責任保険との関係
第10 車両保険との関係
第11 関連記事その他

* 弁護士費用特約を使える場合を除き,物損単独のご依頼は一切,引き受けていません。

第1 総論
1 物損に関して示談をする場合,任意保険会社に対し,損害を受けた物品の購入金額,購入時期等を申告したり,損害を受けた物品の写真を提出したりして,物損の損害額を確定する必要があります。
   そして,任意保険会社と合意した過失割合に基づいて示談を成立させることとなります。
2 損害を受けた携行品の写真を撮る場合,①携行品全体の写真及び②品番・型番等が分かる部分の写真の両方を撮ってください。
3(1) 車両につき損害を受けた箇所の写真だけしか撮らなかった場合,車両全体のどの場所の写真であるかが分かりません。
   そのため,損害を受けた車両の写真を撮る場合,車両全体の写真及び損害を受けた箇所の写真の両方を取って下さい。
(2) 加害者側の損害保険会社との間で車の修理費に関する合意が成立する前に廃車手続をする場合,事前に自動車検査証,軽自動車届出済証又は標識交付証明書のコピーをとっておいてください。
4 物損の示談が成立するまでの間,損害を受けた物品の現物のほか,保証書等の書類を残しておいた方がいいです。
5 任意保険会社における物損担当者及び人損担当者は通常,異なります。
6 実際に修理の依頼をせずに自動車又はバイクの修理見積書だけを作成してもらった場合,修理見積書の作成手数料を請求されることがありますから,事前に作成手数料を確認しておいた方がいいです。

第2 損害保険の調査会社
1(1) 損害保険の調査会社には損保系と独立系が存在します。
(2) 損害保険の調査会社にとって損害保険会社は顧客であり,調査委託契約を介して取引関係が発生しています。
そのため,損害保険会社は損害保険の調査会社に対して調査料を支払う立場にありますから,絶対的に優位な立場にあるそうです(交通事故被害者を2度泣かせないHP「「第三者機関」としての損害保険調査会社」参照)。
(3)   クルマ対クルマのような過失割合事案以外のもの,すなわち,クルマ対人などのばあいは,バックで保険会社が拮抗する関係がそもそも成立しないのだから,調査はあくまで保険会社のための調査であって,保険契約者のためでもないし,事故被害者のためではもちろんないそうです(交通事故被害者を2度泣かせないHP「「第三者機関」としての損害保険調査会社」参照)。
2 保険調査員は,交通事故の現場,交通事故の当事者及び警察を訪問して調査をするそうです(交通事故被害者を2度泣かせないHP「交通事故の被害者は一方的に不利な立場にある」参照)。
3   保険調査員は会話を録音することはまずないみたいです。
    また,事故調査に必要な七つ道具は,①ロードメジャー,②巻き尺,③傾斜計測器,④ストップウォッチ,⑤ビデオ,⑥デジカメ及び⑦録音機であるそうです(交通事故被害者を2度泣かせないHP「事故調査に必要な道具」参照)。
4 保険調査上の「べからず」として,①遅刻をするべからず,②女性宅に入るべからず,及び③利益を受け取るべからずがあるそうです(交通事故被害者を2度泣かせないHP「保険調査を行う上で,決してやってはいけないこと」参照)。
5 交通事故被害者を2度泣かせないHP「事故車の傷の見方」には,「破損部の見方・10か条」として以下のことが書いてあります。
① 傷は相対的に見よ。
② 破損部は、互いに相手側に証拠を残す。
③ 損傷部位、部品の移動方向に注意せよ。
④ 整合性は、傷の高さで見よ。
⑤ 時には、一次衝突損傷と二次衝突損傷とが重なっていることがある。
⑥ 衝突変形により車輪は拘束されたかに注意せよ。
⑦ 傷には、押し込み変形と引きずり変形とがある。
⑧ 押しつぶされ痕と押し上げられ痕に注意。
⑨ 車室内の乗員の二次衝突痕に注意。
⑩ 古傷は錆で見分けよ。


第3 車両修理費又は買換差額費
1 総論
(1)ア ①車両を物理的に修理できない物理的全損の場合,又は②修理費が事故時の時価額及び買換諸費用(事故車両の時価相当額に対する消費税は常に含まれます。)を上回る経済的全損の場合,修理費ではなく,交通事故直前の車両時価額に買換諸費用を含めた額から,事故車両の下取り価格を差し引いた金額である買換差額費が損害額となります。
イ   全損ではない場合,相当な額の車両修理費が損害額となります。
(2) 修理費については通常,修理工場の見積り又はアジャスター(物損事故調査員)の査定のとおりの金額が認められます。
(3) 交通事故とは無関係の修理部分に関する費用を請求したり,破損していない部品の交換費用を請求したりして,そのことが後で発覚した場合,人損部分の損害賠償も含めて任意保険会社の態度が非常に厳しくなりますから,絶対に止めて下さい。
(4) 自動車のそれぞれの部品が自動車のどの部分にあるかについては,JFEスチール株式会社HPの「自動車」を見れば分かります。
    損傷箇所として良く出てくるパネルの名称については,同社HPの「外板・内板パネル」を見れば分かります。
(5) 所有者は,車両の価値の下落による損害を現実に被っていますから,修理をする予定がなくても修理費相当額の損害賠償を請求できると解されています(大阪地裁平成10年2月24日判決)。
(6) 洗車機については,GAZOO HP「こんなに進化!最新の洗車機がすごいことになっている。」(平成29年9月9日付)が参考になります。
2 車両時価額の算定方法
(1)ア いわゆる中古車が損傷を受けた場合,当該自動車の事故当時における取引価格は,原則として,これと同一の車種・年式・型,同程度の使用状態・走行距離等の自動車を中古車市場において取得しうるに要する価額によって定めるべきであり,右価格を課税又は企業会計上の減価償却の方法である定率法又は定額法によって定めることは,加害者及び被害者がこれによることに異議がない等の特段の事情のないかぎり,許されません(最高裁昭和49年4月15日判決)。イ  具体的には,メーカー,グレード,走行距離,車検残期間,修復歴の有無といった基準に基づき以下のHPで中古車販売価格を調べることが多いです。
① ズバット車買取比較HP「中古車の査定相場」
② カーセンサーnet「メーカー・車名一覧から中古車検索:メーカー一覧」
③ Goo-net(グーネット)
④ GooBike(グーバイク)ウ ココカラハジメル.com(中古車オークション参加事業者のための便利サイト)「グレード検索」を使えば,車検証の型式指定及び類型区分からグレードを調査できます。
(2) ①事故車両と近似する車両が中古車市場に流通していない場合,又は②車両の年式が相当古い場合等で,中古車市場での取得価格を算定することができない場合,減価償却の一手法である定率法を用いて車両の時価を算定することがあります(減価償却率につき,車査定マニアHP「自動車の耐用年数とそれに対する減価償却率」参照)。
    この場合,使用年数が5年を超える車両については,形式的に購入価格の10%が時価として査定されることがあります。
(3) 中古車の毎年の値下がり率は約30%であるといわれています(外部HPの「中古車価格の下がり方・推移の仕方」参照)。
(4)ア 自動車ファン.com「中古自動車のクラス分け 特C・特B・特A・Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・軽が産んだもの」にあるとおり,JAAI(日本自動車査定協会)は,中古車を査定するために「中古自動車査定基準」を作成しており,その中で車をクラス分けしています。
イ ハウモbyモーターマガジン「こんなクルマは減額される!査定額が低くなる9つの原因とリセールバリューを保つ方法を紹介」によれば,「1年1万kmより多く走行している車は、平均より消耗しているとクルマ業界では判断し、車の値下げの目安としています!」とのことです。
(5) 中古車価格を査定する際の注目点については,一般財団法人日本自動車査定協会東京都支所HP「査定道場」に一通り書いてあります。
3 レッドブック
(1)ア   損保会社は通常,オートガイド自動車価格月報(通称:レッドブック)に基づく価格を主張してきます。
レッドブックには,初度登録年月ごとに,メーカー・車名・仕様・認定型式・通称型式ごとに,中古車価格(下取),中古車価格(卸売),新車発売当時の価格及び中古車小売価格が載っています(レッドブックHPの「国産乗用車Sample」参照)。
イ レッドブックは,①国産乗用車,②トラック・バス,③二輪車・軽四輪車及び④輸入自動車の4冊シリーズとなっています。
ウ レッドブック記載の中古車小売価格に消費税は含まれていません。
(2)ア CARHACK「車のリアル査定額が筒抜け!レッドブックの閲覧・見方・利用法の全て」が載っています。
イ 車わかーるHP「「レッドブック」の見方と使い方!これだけは知っておきたい知識まとめ 」(平成30年11月26日付)が載っています。
(3) 大阪弁護士会館5階の図書室には,レッドブックの4冊シリーズのバックナンバーが置いてあります。
(4)ア レッドブック記載の中古車小売価格は,カーセンサーnetGoo-net(グーネット)GooBike(グーバイク)といったインターネットでの中古車販売価格を下回ることが多いです(菅藤法律事務所HP「経済的全損におけるレッドブックの重みは?」参照)。
イ 東京地裁平成16年4月22日判決(判例秘書に掲載)は以下の判示をしています。
     車両の時価額は,同種車両であっても,車歴・使用月数・走行距離・整備状態等によって異なるところ,乙4は,市場情報を参考に平均的な中古車価格を予想したもので(乙4の「まえがき」参照。),通常の走行距離を前提とする価格であると考えられるが,原告車両は初度登録こそ平成2年10月であるものの,走行距離は3万km前後と,初度登録から12年以上経過している車両としては極めて短い走行距離であると評価すべきことからすれば,乙4をもって原告車両の価格を認定することは相当ではない。
ウ 旭川地裁平成27年9月29日判決(判例秘書掲載)は中古車業者6社への照会結果,中古車販売情報サイトの販売情報をもとにして車両時価額が認定された事例です。
4 板金又は部品交換
(1) 車両に発生したへこみについては,板金(専門の工具を使ってたたいたり,引いたりすることによって修理すること)で対応できない場合に限り,バンパー又はパネルといった部品の交換の費用が認められます(作業内容につき,外部HPの「板金工程」及び「板金ができない修理(パネル交換)」参照)。
(2) パネル交換であっても,外板の取付状態によって過去に脱着した痕跡があるかどうかを確認すること等によって,パネル交換があったことが分かるみたいです(外部HPの「ボディ外板」参照)。
5 塗装
(1) 塗装とは,板金による修復作業や部品交換後,車を元通りの色に復元するために塗料原色を調合し,スプレーガンで車体や部品に塗料を吹きつけ,仕上げることをいいます(作業内容につき,外部HPの「塗装工程」参照)。
破損部分に関する部分塗装だけでは他の部分との差が明確で著しく美観を害するような場合を除き,部分塗装の費用しか認められません。
(2) 全塗装であっても,マスキング跡,隠れた部分への塗料の飛沫のほか,エンジンルーム内や各パネルの裏の部分と外側が異色であるかどうかによって,全塗装があったかどうかが分かるみたいです(外部HPの「ボディ外板」参照)。
6 買換諸費用
(1)ア 全損における買換諸費用として以下のものが認められます。
① 事故車両の時価相当額に対する消費税(常に問題となります。)
② 買換のため必要になった登録,車庫証明及び廃車に関する法定の手数料相当分
③ ディーラー報酬部分(登録手数料,車庫証明手数料,納車手数料,廃車手数料)のうちの相当額
④ 自動車取得税(事故車両と同程度の中古車両に関するもの)
イ 「クルマ購入時の費用及び税金等」も参照してください。
(2) 全損した車両について前納していた自動車税(還付されない軽自動車税は除く。),自動車重量税及び自賠責保険料は,事故車両を廃車にすることによって還付を受けることができます(ただし,自動車重量税及び自賠責保険料を還付してもらうためには,そのための申請が必要です。)。
    そのため,事故車両の自動車税,自動車重量税及び自賠責保険料の未経過分は,損害としては認められません。


第4 評価損(格落ち損)及び修復歴車(事故車)
1 評価損
(1) 評価損とは,事故車両を修理に出したにもかかわらず,機能的・美観的な欠陥の残存,又は事故歴の存在自体により減少した市場価値のことです。
前者を理由とする評価損は認められやすいものの,後者を理由とする評価損はなかなか認めてもらえません。
(2) 評価損の有無及びその額については,損傷の内容・程度,修理の内容,修理費の額,初年度登録からの経過期間,走行距離,車種(いわゆる高級車であるか)等を考慮して判断します。
(3) 日本自動車査定協会の事故減価額証明書(同協会東京支所の「評価損(事故落ち)」参照)の証拠価値は概ね認められているようですが,必ずしもその数値がそのまま評価損と認められるものではなく,それより低めに算定されている裁判例が多いそうです(外部HPの「修理費用について」参照)。
2 修復歴車(事故車)
(1) 交通事故等で損傷を受けた車両のすべてが「修復歴車」(いわゆる「事故車」)に該当するわけではないのであって,交通事故等で自動車の骨格等に修復歴のあるものだけが「修復歴車」となります。
    つまり,交通事故等により,自動車の骨格等に欠陥を生じたもの,又はその修復歴のあるものは,商品価値の下落が見込まれるので,「修復歴車」となるわけです(日本自動車査定協会(日査協,JAAI)HPの「修復歴の考え方」参照)。
イ ハウモbyモーターマガジン「こんなクルマは減額される!査定額が低くなる9つの原因とリセールバリューを保つ方法を紹介」によれば,フレーム(サイドメンバー),クロスメンバー,インサイドパネル,ピラー,ダッシュパネル,ルーフパネル,フロア又はトランクフロアが損傷を受けた場合に修復歴ありとされるみたいです。
(2) 外部HPの「修復歴車でも安全性のレベルは3つのランクに分けられる」によれば,①車の正面部の損傷は三つのレベルに分けることができる, ②車両後方の損傷については,トランクルーム内部まで損傷が及んでいる場合は購入は控えるべき,③車両側面の損傷については,車全体に衝撃が伝わっており,安全面にかなり問題があるため,購入は控えるべきとのことです。
(3) 車両前方(=フロント)の損傷は,エンジンの他,ハンドルを司るタイヤ操作等に影響が出るため,車両後方の損傷よりもリスクが上がります(外部HPの「修復歴あり(事故歴あり)の車を購入する,買う場合の注意事項」参照)。


第5 代車使用料又は休車損害及び保管料
1 代車使用料
(1) 代車使用料は,①普段の通勤,幼稚園・保育園の送迎,病院への通院等に使っていて,②電車等の代替の交通手段がないために代車を使用する必要があり,③他に車を持っていないため実際にレンタカー等を利用していた場合に限り,④相当な修理期間又は買換期間を限度として,⑤事故車両と同種の車両又は同等のグレードの車両の代車料を基準として認められるに過ぎません。

(2) 対物賠償保険に加入している場合,事故車の修理業者と保険会社との間で,修理方法・内容等について協議し,協定を結んだ上で修理をするのが一般的であるため,この交渉期間も含めて相当な修理期間が判断されますところ,通常は1週間から2週間ぐらいです。
(3) 物理的全損の場合,物損の示談成立に数ヶ月かかったとしても,物損の示談成立までの代車使用料の全額が損害として認められることはあり得ないのであって,被害車両と同等の車両を買い換えるのに必要な期間(2週間が目安と思われます。)が相当な買換期間とされることが多いです。
(4) 経済的全損の場合,経済的全損であることが判明するまでの期間,及びそれから被害車両と同等の車両を買い換えるのに必要な期間(2週間が目安と思われます。)が,相当な買換期間とされることが多いです。
(5) 東京地裁平成18年4月18日判決(判例秘書に掲載)には,「一般に,保険会社は,当初は,代車使用の必要性等が明確ではないことから,内払の形で,一応代車使用の必要性を認めて代車料の支払等に応じるものの,その後,裁判等において,代車使用の必要性を争い,代車使用の必要性が否定された場合には,既に代車料として支払った金額について,別損害への填補を主張することは少なくない。そして,保険会社が,通常,代車使用の必要性の有無にかかわらず,代車料の支払又は代車の提供を認め,後に代車使用の必要性が否定された場合であっても, これを一切争わないとする趣旨の合意をするとは考え難い。したがって,そのような趣旨の合意の存在が認められない以上,当初は代車使用の必要性を認めていた保険会社が代車使用の必要性を争う主張をすることは禁反言に反し許されないと解することはできない。」と書いてあります。
2 休車損害
(1) 事業用自動車(=緑ナンバーの車)については,車両の修理,買い替え等のためこれを使用できなかった場合,修理相当期間又は買替相当期間につき,営業を継続していたであれば得られたであろう利益が損害として認められます。
ただし,代車使用料が認められる場合,休車損害は認められません。
(2) 事業用自動車については,営業主において,事故車以外の代替可能な有休車を有しており,それを利用することが可能であった場合には,それを利用することによって営業損害の発生を回避できますから,休車損害は認められないことが多いです。
(3) 休車損害は,一般に,以下のとおり算定されます。
(被害車両の1日当たりの売上高-変動経費(燃料費等))×必要な休車期間
(4) 交通事故被害者を2度泣かせないブログに「休車損害の算定」が載っています。
(5) 名古屋地裁令和5年6月28日判決(判例タイムズ1517号(2024年4月号))は,いわゆる休車損害について民事訴訟法248条を適用して損害額を認定した事例です。
3 保管料
経済的全損であることが判明するまでの期間の保管料を請求できることがあります。
4 代車使用時の交通事故の取扱い
車なんでも.com「代車で事故を起こしてしまったら?代車は保険に入っているの?」には以下の記載があります。
① 多くの車屋はお客様に貸した代車での事故の場合、代車に保険が掛かっていたとしてもお客様の保険で対応するようにお願いしています。
  理由としては、保険を使ったことにより保険等級が下がり翌年から保険料が上がることを避けるためです。
② 代車を貸すお客様以外の人(車を所有していない人)が乗ることも考えなくてはいけないので、代車には自動車保険を掛けている車屋が多いです。
③ 正直、車屋や修理屋の代車はサービス(無償)がほとんどなので、店ごとに代車に関しての損害の考え方が大きく違ってきますね。
   なので、代車を借りる時に事故やトラブルを起こした時の不安があれば、一般的にどのような対応(お客様の金銭面での負担)なのかを基準にするのではなく、その店がどのような対応(対処)をするのかを直接聞くってことが大事ですね。

第6 積荷,着衣,携行品等の損害
1   ①事故車両に積んでいた荷物(カーナビ等を含む。),②事故時の着衣,及び③事故時に身に付けていたヘルメット,時計,携帯電話等の携行品については,購入価格を基準として,一定の減価償却をした金額が損害額となります。
2 減価償却に当たっては,個々の携行品の耐用年数を設定した上で,定額法により計算されることが通常です。
   ただし,個々の携行品の耐用年数については明確な基準がありません。
3(1) 義肢,歯科補てつ,義眼,眼鏡(コンタクトレンズを含む。),補聴器,松葉杖等は身体の機能を補完するために必要なものである点で,眼鏡等の損傷は人損です。
(2)   交通事故時と同じ眼鏡等を再調達するのに必要な費用が損害となる点で減価償却は不要ですところ,例えば,行政書士うえだ事務所HPの「治療関係費」には「通常交通事故で破損したものの修理等を請求する場合には、減価償却等を加味した価格の時価を基準にして取扱われるものですが、眼鏡の場合にはそういった価格ではなく新品の眼鏡購入代金が認められています。」と書いてあります。
4 Local Works HP「携帯電話 スマートフォン修理の費用相場」が載っています。
5 東京地裁平成24年9月28日判決(判例体系に掲載)は以下の判示をしています(改行を追加してます。)。
   前記1で認定した事故態様によれば、本件事故により、原告の着衣等が損傷したことが推認され、これによる損害は、着衣等の本件事故当時の時価であると認められる。
   そして、原告は、本件事故により、Tシャツ、ズボン、靴、時計を損傷し、その購入価格は合計2万8,400円であったとする自動車事故物件損害自認書を提出するが、これらの購入時期及び購入価格を客観的に把握することができる証拠は提出されていない。
   しかしながら、日常身につけている着衣等について、領収証等を保管していないことはままあることであり、購入時期及び購入価格を立証することは通常困難であることから、民訴法248条により、上記着衣等の損害として1万円を認めるのが相当である。

第7 レッカー代
1(1) 自分の車のレッカー移動について自分が加入している保険会社のロードサービスを利用した場合,保険会社において加害者側の対物賠償責任保険に対して損害賠償請求をすることが多いです。
    ただし,訴訟外で物損に関する示談ができなかった場合,レッカー代も含めて物損に関する損害賠償請求をした上で,加害者から回収したレッカー代相当額を保険会社に返金することになります。
(2) レッカー移動をした修理工場が直接,加害者側の対物賠償責任保険に請求することもあります。
2(1) レッカー代は基本料,作業料及び牽引料からなりますところ,JAF非会員がJAFを利用した場合,牽引料については1kmにつき720円です(チューリッヒ保険会社「車をレッカー移動した時の料金(費用)は?」参照)。
(2)ア ウィンチ引き出し,クレーン吊り,重機使用,ドーリー使用といった特殊作業があった場合,その分,レッカー代が高くなります(カーサポート水戸HP「ロードサービス」参照)ところ,事故車がFR車(フロントエンジン・リアドライブの車。前にエンジンがあって後ろに駆動輪がある車)である場合,ドーリー(補助輪)に駆動輪を載せてレッカー移動することが多いみたいです。
イ 自動車の駆動方式としては,FF(エンジン及び駆動輪がフロント(前)にあるタイプ),FR(エンジンがフロント(前),駆動輪がリア(後ろ))といった種類があります(MOBY HP「駆動方式まとめ|FF・FR・MR・RR・4WD(AWD)の構造の違いとメリット・デメリット比較!」参照)。
3 レッカー作業については,レッカージョブHP「クルマの積み込み~レッカー車~」が参考になります。
    また,同HPの「動画でみるロードサービス」にレッカー作業の動画が載っています。
4(1) ロードサービスが必要となる事例としては,バッテリー上がり,故障搬送,事故,スペアタイヤの交換及び脱輪があります(サービスネットHP「ロードサービス」参照)。
(2) ロードサービスの内容としては,バッテリー上がり時のエンジン始動,スペアタイヤ交換,落輪・脱輪時の引き上げ,故障又は事故時の指定工場までの搬送(レッカー移動),クレーン車両での引き上げ,ガス欠時の給油があります。
(3) レッカーサービスの対象となる「自力走行不能」には,トラブルで車両が動けない場合のほか,道路交通法上運転してはいけない場合が含まれます(保険の窓口インスウェブHP「自動車保険のロードサービスも確認しておこう」参照)。


第8 慰謝料
(1) 物的損害に関する慰謝料は,原則として認められません。
(2) 最高裁昭和42年4月27日判決の裁判要旨は,「商取引に関する契約上の金員の支払を求める訴訟において、偽証等の不法行為があつたため敗訴したとしても、それによつて蒙る損害は、一般には財産上の損害だけであり、そのほかになお慰籍を要する精神上の損害もあわせて生じたといい得るためには、侵害された利益に対し、財産価値以外に考慮に値する主観的精神的価値をも認めていたような特別の事情が存在しなければならない。」というものです。

第9 対物賠償責任保険との関係
1 ノンフリート等級が下がるのを避けるために対物賠償責任保険を使わない場合,相手方の物損については自腹で支払う必要があります。
    ただし,事故車けん引のためのレッカー代といったロードサービスを利用しただけの場合,ノンフリート等級は下がりませんし,示談交渉をしてもらっただけの場合,保険金の支払がありませんから,ノンフリート等級は下がりません。
2 対物賠償責任保険の保険金を使用して損害賠償金を支払った場合,ノンフリート等級が3等級下がりますところ,この場合の保険料差額については,よくわかる!自動車保険を選ぶ際の注意点HP「保険料差額シミュレーション」を使用すれば,大体の保険料差額が分かります。
3(1)   物損に関する示談において対物賠償責任保険を使わない場合,こちらが有する損害賠償請求権と,相手方が有する損害賠償請求権とを合意により相殺した上で,相手方から差額だけを支払ってもらうことになります(相殺払い)。
(2)   物損に関する示談において対物賠償責任保険を使う場合,こちらが有する損害賠償請求権と,相手方が有する損害賠償請求権をそれぞれ支払ってもらうことになります(クロス払い)。
4 追突事故のように被害者に全く過失がない場合,被害者の対物賠償責任保険は問題とならないのであって,被害者が加害者側の任意保険会社に対して「免責証書」を提出することによって示談を成立させることが多いです。
    免責証書とは,被害者が一方的に加害者及び任意保険会社宛に金○○円を受領することにより,加害者に対する損害賠償請求権を放棄することを宣言して署名押印する書面をいい,加害者の署名押印,及び任意保険会社の記名押印はなされません。

第10 車両保険との関係
1 車両保険に加入している場合,物損事故について自分の車両保険を使用できます。
2(1) 全損の場合,協定保険価額と修理代のどちらか低い方が車両保険の保険金として支払われるのであって,免責金額が差し引かれることはありません。
(2) 分損の場合,修理代から免責金額を差し引いた金額が車両保険の保険金として支払われます。
3 車両保険を使用した場合,ノンフリート等級が3等級下がって翌年度からの任意保険の保険料が上がります。
    また,保険会社によっては,次に車両保険を使うときの免責金額が上がります(例えば,損保ジャパン日本興亜の「車両保険とは」参照)。
    そのため,車両保険の保険金(全損時に支払われる車両全損時諸費用特約を含む。)と,任意保険の保険料の値上がり分を比較して,車両保険を使うかどうかを判断すべきこととなります。
4 車両保険を使った方がいいかどうかにつき,外部HPの「3等級ダウン事故~こんな場合,保険を使った方が良い?~」 が参考になります。
5 相手方自動車の追突,センターラインオーバー,赤信号無視又は駐停車中の契約自動車への衝突・接触による事故において,契約自動車の運転者及び所有者に過失がなかったと保険会社が判断したような場合,車両保険を使ってもノンフリート等級が下がりませんから,自分の保険会社に問い合わせてください(例えば,損保ジャパンの「車両保険とは」参照)。

第11 関連記事その他
1(1) 交通関係訴訟の実務(著者は東京地裁27民(交通部)の裁判官等)に426頁ないし434頁に「物的損害に関する諸問題1(車両損害等)」が載っていて,435頁ないし446頁に「物的損害に関する諸問題2(その他)」が載っています。
(2) コグニビジョン株式会社「コグニオンデマンド」に,コグニセブン(国産車向けの事故車修理費見積システム)の操作説明動画が載っています。
2(1) 交通事故に関する赤い本講演録2017年81頁ないし102頁に,「自動車の構造と修理技法」が載っています。
(2) 交通事故に関する赤い本講演録2019年11頁ないし24頁に,「全損事故における損害概念及び賠償者代位との関係」が載っています。
3(1) 市況かぶ全力2階建ブログ「自動車保険会社のイメージ、被害者側の弁護士目線でみるとこうなる 」が載っています。
(2) 元示談担当者が教える交通事故の示談術HP「交通事故で車が全損になった場合に、請求できる保険金のまとめ」が載っています。
4 モノキーケースの最大積載量は10kgであるのに対し,モノロックケースの最大積載量は3kgです(楽天HPの「「モノキー」と「モノロック」の違い」参照)。
5 ビッグモーターHPに「2023.07.18 当社板金部門における不適切な請求問題に関するお詫びとご報告」が載っています。
6(1) 以下の資料を掲載しています。
・ 登録事項等証明書の交付請求にあたっての具体的な事務処理について(平成26年11月28日付の国土交通省自動車局自動車情報課長の文書)
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 任意保険の示談代行
・ 昭和48年9月1日付の,日本損害保険協会及び日弁連交通事故相談センターの覚書(交通事故損害賠償に関するもの)
・ 交通事故でも健康保険を利用できること
・ 自賠責保険の支払基準(令和2年4月1日以降の交通事故に適用されるもの)
・ 損益相殺
・ 東京地裁民事第27部(交通部)
・ 弁護士費用特約

整骨院等に関するメモ書き

第1 総論
第2 整骨院の施術費は争われやすいこと
第3 整形外科への通院を優先すべきであること
第4 整骨院等における公的医療保険の取扱い
第5 柔道整復師の人数及び整骨院の数の推移
第6 柔道整復師が急増するようになったこと
第7 整骨院の広告は大幅に制限されていること
第8 柔道整復師が放射線を人体に照射することを業とした場合の罪責
第9 あんま,マッサージ,はり・きゅう,並びに整体院及びカイロプラクティック
第10 医業類似行為に対する取扱いについて
第11 柔道整復師の施術に係る療養費の受領委任の取扱いに関する協定書
第12 関連記事その他

第1 総論
1 整骨院の法令上の名称は施術所です(柔道整復師法2条2項)。
2 整骨院は,柔道整復師国家試験に合格し,厚生労働大臣の免許を受けた柔道整復師(柔道整復師法2条1項,3条参照)が経営しています。
    しかし,柔道整復師は医師ではありませんから,整形外科の医師と異なり,外科手術,レントゲン検査,薬品の投与等の医療行為を行うことはできません(柔道整復師法16条及び医師法17条参照)。
3(1) 柔道整復師は,骨折又は脱臼の患部については,①応急手当を行う場合,又は②医師の同意がある場合を除き,施術を行うことはできません(柔道整復師法17条)。
(2)   柔道整復師が,施術につき同意を求める医師は,必ずしも,整形外科,外科等を標榜する医師に限られませんし,医師の同意は施術録に記載していれば足ります(「柔道整復師の施術について」(昭和31年7月11日医発第627号各都道府県知事あて厚生省医務・保険局長連名通知))。
(3) 保険医療機関及び保険医療養担当規則17条は,「保険医は、患者の疾病又は負傷が自己の専門外にわたるものであるという理由によつて、みだりに、施術業者の施術を受けさせることに同意を与えてはならない。」と定めています。
4 柔道整復師の「判断書」とは,柔道整復師が患者に危害を及ぼすおそれのない範囲で疾病又は負傷の状態を把握し自らが施術できる疾病又は負傷であるか否か等を判断した結果を記載する書面をいい,医師が患者を診察し疾病又は負傷の状態を診断した結果を記載する診断書とは異なります。
5 「柔道整復師の施術について」(昭和31年7月11日医発第627号各都道府県知事あて厚生省医務・保険局長連名通知)の本文は以下のとおりです(1,2を①,②に変えました。)。
① 地方医師会等の申し合わせ等により、医師が柔道整復師から、脱臼又は骨折の患部に施術するにつき同意を求められた場合、故なくこれを拒否することのないよう指導すること。
② 社会保険関係療養費の請求の場合には、実際に医師から施術につき同意を得たむねが施術録に記載してあることが認められれば、必ずしも医師の同意書の添附を要しないものであること。
③ 応急手当の場合は、医師の同意は必要としないものであること。
④ 柔道整復師が、施術につき同意を求める医師は、必ずしも、整形外科、外科等を標榜する医師に限らないものであること。
⑤ 以上の諸点について留意するとともに従前から柔道整復師団体と都道府県知事、健康保険組合等との料金協定等を行っている都道府県については諸般の行政運営について特に円滑に行われるよう指導すること。
6 柔道整復師が施術した事実に関する証明書として発行する施術証明書は,医師又は歯科医師が発行する診断書と同様の法的性格を有するものではないものの,柔道整復師の業務の範囲内において後療日数の予定を記載することはさしつかえありません(昭和45年7月23日付の厚生省医務局長通達)。

第2 整骨院の施術費は争われやすいこと
1(1)ア 整骨院の施術費は整形外科の治療費と比べて割高であることが普通です(1回当たり平均で6500円ぐらいかかります。)。
    また,マッサージ等により症状が楽になることもあって整形外科よりも通院頻度が多くなることが普通です。
その結果,任意保険会社から整骨院の施術費と交通事故との因果関係を争われることが多いです。
    そのため,①病院が遠方にあるとか,②仕事をしていて病院の診療時間内に通院することができないとか,③病院の整形外科では鎮痛薬,湿布薬等の処方しかしてもらえないといった事情により,近所の整骨院に通院する場合,病院の整形外科医等に事前に相談した上で,整骨院への通院が必要である旨を診療録に記載してもらえることが望ましいです。
イ 整骨院の施術を受けることに反対しないといった消極的な医師の同意であっても,医師に無断で整骨院に行くことと比べれば,はるかにましです。
    例えば,「交通事故における整骨院通院の大きなリスク」には,「医師が整骨院通院を明確に否定しておらず,整形外科にも一定の通院(週1~月1)をしていれば,示談交渉で大きく争われることは少ないですが」と書いてあります。
(2) 交通事故に関する赤い本講演録2018年・27頁ないし36頁に「整骨院における施術費について」が載っています。
2 整形外科への通院回数と比べて整骨院への通院回数が極端に多い場合,任意保険会社において,整骨院への通院回数又は施術内容の水増しがあるのではないかといった疑念を抱いてくることがあります。
    実際,任意保険会社に通院回数又は施術内容の水増しがばれた結果,整骨院が施術費の返還を強いられたり,交通事故の被害者も通院回数又は施術内容の水増しを疑われたりすることがあります。
    そのため,整形外科への通院回数と比べて整骨院への通院回数が極端に多い場合,メモ書きで結構ですから,通院した日を記録しておいた方がいいです。
3(1) 同じ日に整形外科と整骨院の両方に行くことは許されません(グレーススポーツ整骨院HP「交通事故治療」参照)。
(2) 昭和産業健康保険組合HP「接骨院・整骨院にかかるとき」には以下の記載があります。
    同一の負傷について、同期間に医師の治療と柔道整復師の施術を重複並行的に受けた場合、原則として柔道整復師の施術料は全額自己負担になります。ただし、負傷の状態の確認のために医師の検査を受ける場合や、投薬のために病院にいくことは可能ですので、このような場合は医師の指示を得てその旨を柔道整復師に申し出てください。
4 国民健康保険を利用して整骨院に通院する場合,整骨院の施術費は1回当たり2000円から3000円ぐらいであり,3割の自己負担分は600円から900円ぐらいです。
5 健康保険等の場合,①打撲・捻挫の施術が3ヶ月を超えて継続するときは,長期施術継続理由書の上欄部分に,3月を超えて施術が必要となる理由等(「長期施術継続理由等」といいます。)を記載し,②打撲・捻挫の施術が3ヶ月を超えて継続し,かつ,1月間の施術回数の頻度が高いとき(1月当たり10~15回以上)は,長期施術継続理由書の下欄部分に,3月を超えて頻度の高い施術を行う理由等(「長期頻回施術理由等」といいます。)を,整骨院において記載する必要があります(「柔道整復施術療養費に係る疑義解釈資料の送付について(平成25年4月24日付の厚生労働省保険局医療課の事務連絡)」参照)。

第3 整形外科への通院を優先すべきであること
1 一般的に,外傷に起因する捻挫や挫傷等による症状は,追突や衝突等による衝撃で筋肉や靱帯等の軟部組織が損傷を受けた際に発症するものであることから,受傷直後が最も重篤であり,その後,時間の経過に伴い損傷を受けた部位の修復が得られることにより,症状は徐々に軽減をたどるとされています。
    その関係で,通院慰謝料を計算する場合,整骨院は整形外科と同様の取扱いを受けますものの,後遺障害が残ってしまった場合に後遺障害の有無を判断する場合,整骨院は医療機関ではありませんから,整形外科への通院歴が非常に重視されます。
    そのため,事故態様等に照らして後遺障害が残る可能性がある事案の場合,同じリハビリ治療を行うのであれば,整骨院ではなく,交通事故のリハビリ治療も行っている整形外科に通院することが非常に望ましいです。
2 「交通事故」+「整形外科」+「リハビリ」+「(地名)」でネット検索をすれば,リハビリ治療をしている整形外科を探すことができます。
    例えば,「交通事故 整形外科 リハビリ 大阪市北区」という風に検索すればいいです。
3 交通事故のリハビリ治療をしていない整形外科の場合,治療のために1週間に2回通院することが難しいものの,既に通院している整形外科から通院先を変更することは望ましくありません。
    そのため,代替手段として,1週間に1回は整形外科に通院し,整形外科医の指示に基づき,1週間に1回以上,整骨院でリハビリ治療を受ければいいです。
4 日本整形外科学会HP「整形外科と整骨院(接骨院)-「整体」なども整形外科の一分野なのでしょうか?」には以下の記載があります。
    整形外科では医師(整形外科医)が骨・関節・筋腱(運動器)・手足の神経(末梢神経)・脊椎脊髄の治療を行います。診察による理学所見とX線(レントゲン)やMRI等の検査をもとに診断し、症状や病態にあわせて投薬、注射、手術、リハビリテーション等で治療します。
    整骨院(接骨院)では柔道整復師が捻挫や打撲に冷罨法、温罨法、マッサージや物理療法等の施術を行います。柔道整復師は医師ではなく、あん摩・マッサージ、はり・灸師と同じ医業類似行為の資格です。外傷による捻挫や打撲に対する施術と骨折・脱臼の応急処置が業務範囲で、変形性関節症や五十肩のような慢性疾患は取り扱えません。
    整(接)骨院に健康保険を使って外傷以外の疾患で通うことは違法です。
5 交通事故に基づく損害賠償請求訴訟において,整骨院の施術費が損害として認められるかどうかにつき,「令和3年度大阪地方裁判所第15民事部と大阪弁護士会交通事故委員会との懇談会」には以下の記載があります(月刊大阪弁護士会2022年5月号23頁及び24頁)。
    整骨院の施術は、一般に、医師が医学的判断に基づいて治療方法の一つとして選択した場合には必要性・相当性が認められやすいから、裁判所もまず医師の指示の有無を確認する。ただし、医師の指示書が提出されていれば直ちに施術費を認めるというものではなく、患者側から整骨院施術を希望して医師がそれを追認したにすぎないかどうかなどといった整骨院施術に至った経過や治療経過等も見て判断する。
    整骨院の施術の必要性や相当性を判断するに当たっては、医師の指示の有無のほか、次の各点を考慮することになると考えられる。①受傷の結果。整骨院施術に適応がある受傷結果か。捻挫などであれば整骨院施術による症状の緩和がある程度見込まれると考えられるが、骨折であれば整骨院施術は禁忌であり[報告者注:柔道整復師法17条]、相当性が否定されるであろう。②受傷の程度。整骨院施術は主として寛解までの間の症状(痛み等)の緩和を目的とするものであり、事故態様等から緩和を必要とする程度の症状が出現するような受傷であったかを検討することになる。③整形外科の治療内容・頻度。整形外科で濃密な治療を受けながら整骨院でも重ねて治療を受けることは、必要性に疑いがあり施術費を否定する方向に働くと考えられる。④整骨院施術の効果の有無。施術により症状の緩和が現れているか。整形外科の診療録上の自覚症状の推移を見て改善が見られるか、通院の頻度がどのように推移しているのかなどを考慮することがある。
    整骨院施術費を割合的に認める場合は、前述の観点から見た整骨院施術の必要性の程度と、施術の頻度とが釣り合っているかを検討し、余りに頻回ということであれば、その頻度などを考慮して割合的に施術費を認めるというのは実情であろうと考えられる。

第4 整骨院等における公的医療保険の取扱い
1 療養費制度
(1) 公的医療保険(例えば,国民健康保険)の保険給付は,保険医療機関又は保険薬局において現物給付としての「療養の給付」を行うのが原則です(国民健康保険法54条等参照)。
    この場合,被保険者である患者は,保険医療機関又は保険薬局の窓口において,一部負担金を支払います(70歳未満の被保険者の場合,一部負担金は医療費の3割です。)。
(2)ア   現金給付としての療養費制度が適用されるのは以下のような場合です(協会けんぽHPの「療養費」参照)。
① 事業主が資格取得届の手続き中で被保険者証が未交付のため,保険診療が受けられなかったとき
② 感染症予防法により,隔離収容された場合で薬価を徴収されたとき
③ 療養のため,医師の指示により義手・義足・義眼・コルセットを装着したとき
④ 生血液の輸血を受けたとき
⑤ 柔道整復師等から施術を受けたとき
イ 生血(せいけつ)とは,病院内で採血したばかりの,処理をしていない血液をいいます。
(3)ア 国民健康保険法54条1項本文(健康保険法87条1項もほぼ同じです。)は以下のとおりです
    市町村及び組合は、療養の給付若しくは入院時食事療養費、入院時生活療養費若しくは保険外併用療養費の支給(以下この項及び次項において「療養の給付等」という。)を行うことが困難であると認めるとき、又は被保険者が保険医療機関等以外の病院、診療所若しくは薬局その他の者について診療、薬剤の支給若しくは手当を受けた場合において、市町村又は組合がやむを得ないものと認めるときは、療養の給付等に代えて、療養費を支給することができる。
イ 衆議院議員斉藤鉄夫君提出鍼・灸・マッサージ・柔道整復施術と同療養費に関する質問に対する答弁書(平成15年9月2日付)の「二の⑥について」には以下の記載があります。
    健康保険法においては、保険医療機関が被保険者に対して療養の給付を行うことが原則とされる一方、第八十七条第一項により、保険者は、療養の給付を行うことが困難であると認めるとき等は、その費用の一部を療養費として支給できることとされているが、現に医師が治療を継続している疾患に対してはり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師又は柔道整復師が施術を行ったとしても、療養費を支給することは認められていない。
(4) 大阪市の取扱いにつき,大阪市HPの「療養費・移送費・海外療養費」を参照してください。
2 療養費の受領委任制度
(1) 総論

ア 療養費制度が適用される場合,原則として,かかった費用の全額を被保険者又は被扶養者がいったん自分で支払い,その後,自己負担額を除いた費用を保険者(例えば,協会けんぽ)に請求するという「償還払い」が原則です。
    しかし,柔道整復師の施術に係る療養費(=柔道整復施術療養費)の場合,被保険者又は被扶養者が自己負担額だけを柔道整復師に支払い,残りの費用は柔道整復師から保険者に請求してもらうという,療養費の受領委任制度を採用している整骨院が大多数です。
    そして,療養費の受領委任制度を採用している整骨院の場合,保険医療機関で治療を受ける場合と同じように,保険証を持参して受診できます。
イ 療養費の受領委任制度は昭和11年度から実施されています(厚生労働省HPの「柔道整復に係る療養費の概要」(平成26年3月18日付)参照)。
ウ 衆議院議員斉藤鉄夫君提出鍼・灸・マッサージ・柔道整復施術と同療養費に関する質問に対する答弁書(平成15年9月2日付)の「二の③について」には以下の記載があります(改行を追加しました。)。
   健康保険法においては、保険医療機関が被保険者に対して療養の給付を行うことが原則とされる一方、第八十七条第一項により、保険者は、療養の給付を行うことが困難であると認めるとき又は保険医療機関以外の者から診療、手当等を受けたことがやむを得ないと認めるときは、その費用の一部を療養費として支給できることとされている。
   柔道整復に係る療養費については、かつて整形外科を担う医師が少なかったこと、柔道整復師は脱臼又は骨折に対する応急手当をすることがあり、その場合には柔道整復師法(昭和四十五年法律第十九号)第十七条により医師の同意を要しないこととされていること等を踏まえ、被保険者がその傷病に対する手当等を迅速に利用することを可能とする観点から、例外的に、受領委任払い(保険者と柔道整復師により構成される団体又は柔道整復師との間で契約を締結するとともに、被保険者が療養費の受領を当該契約に係る柔道整復師に委任することにより、保険者が療養費を被保険者ではなく柔道整復師に支払うことをいう。)の実施が認められているところである。
(2) 具体的な手続
ア  「柔道整復施術療養費支給申請書」(様式第5号)(山形県後期高齢者医療広域連合HPの「各種手続きの様式がほしいとき」に掲載されているもの)の「受取代理人の欄」に患者が自ら署名押印をする必要があります(療養費の受領を柔道整復師に委任する委任状の意味を有します。)。
イ 柔道整復施術療養費支給申請書については,療養費は一か月を単位として請求されるものであり,当月の最後の施術の際に患者が一か月分の施術内容を確認した上で署名を行い,これを作成することが原則です。
    しかし,整骨院への来所が患者により一方的に中止される場合があること等から,患者が来所した月の初めに署名を行い,当該申請書を作成する場合もあることは,厚生労働省としても承知しています(平成19年10月9日付の内閣答弁書の「十について」)。
ウ 療養費の受領委任制度の具体的な手続は,公益社団法人日本柔道整復師会の会員であるかどうかによって異なりますものの,基本的には同じです。
エ 療養費の受領委任制度の詳細については,厚生労働省HPの「療養費の改定等について」に掲載されている「柔道整復師の施術に係る療養費について」(平成22年5月24日付の厚生労働省保険局長通知)等で定められています。
3 整骨院で公的医療保険を使える場合と使えない場合
   以下の記載は,全国健康保険協会愛知支部HPの「柔道整復師(整骨院・接骨院)のかかり方」からほぼ抜粋したものです。
(1) 整骨院で公的医療保険を使える場合
① 外傷性の捻挫、打撲、挫傷(肉離れ)
② 医師の同意がある場合の骨折・脱臼の施術
③ 応急処置で行う骨折・脱臼の施術
→ 応急処置後の施術には医師の同意が必要です。
(2) 整骨院で公的医療保険を使えない場合
① 肩こり、筋肉疲労(日常の疲労、肩こり、体調不良や筋肉疲労、筋肉痛など)
② 慰安目的によるあんま(指圧及びマッサージを含む)代わりの利用
③ 外傷性でない疾患(神経痛、リウマチ、五十肩、ヘルニアなど)からくる痛みやコリ
④ 脳疾患後遺症などの慢性病
⑤ 仕事中や通勤途上におきた負傷
→ 業務災害又は通勤災害として労災保険の対象となります。
⑥ 症状の改善がみられない長期の施術
4 はり・きゅうの施術の取扱い
(1) はり・きゅうの施術を受けるときに公的医療保険を使えるのは,予め医師の発行した同意書又は診断書がある場合に限られます。
(2) 整形外科等で保険医療機関で同じ負傷等の治療を受けている場合,はり・きゅうの施術を受けても公的医療保険を使えません。
5 療養費に関する国会答弁
(1) 平成12年11月16日の参議院国民福祉委員会における関本匡邦会計検査院事務総局第二局長の答弁(ナンバリング及び改行を追加しました。)

① 柔道整復師の施術に係る療養費につきましては、その支給が適正に行われているかということなどにつきまして平成五年に検査を実施しております。そして、三十六都道府県に所在いたします療養費の支給額が多い九十四の施術所の柔道整復師について検査いたしましたところ、療養費の請求が適切に行われたとは認められない事態が見受けられたわけでございます。
   まず、柔道整復師に係る施術料は、医療機関の治療を受けている負傷部位については支給対象とはならず、また神経痛等の内因性疾患については施術対象とはならないとされておりますが、医療機関の治療を受けている患者や神経痛等の患者に施術を行っている施術所が多数見受けられたわけでございます。
   それから次に、施術は療養上必要な範囲及び限度で行うものとし、特に長期または濃厚な施術とはならないよう努めなければならないとされておりますが、通常一部位あるいは二部位であります負傷部位数が三部位以上となっておりましたり、あるいは患者に対してほとんど毎日施術を行っていたり、あるいは三カ月を超える長期施術を行っていたりしておりまして、療養上必要な範囲及び限度を超えて施術を行っている施術所が多数見受けられたということがございます。
   それからまた、施術に係る療養費は、患者からの受領委任を受けた柔道整復師に支給することになっております。そして、受領委任は、請求金額等が記載された申請書に、患者の自筆で住所、氏名等を記入いたしまして押印することになっておりますが、大部分の施術所では、療養費額等について、患者自身による確認がないまま受領委任状が作成されておりましたり、あるいは施術所が署名及び押印を行っていたりしておりました。
   また、申請書に負傷原因を具体的に記載されていないために、療養費の支給の適否を確認できない施術所もあったということでございます。
   そして、調査いたしました九十四の施術所におきましては、これらの事態のいずれかに該当しておったということでございます。
②   こうしたことから、厚生大臣に対しまして、柔道整復師の施術に係る療養費についてその適正な支給を期するために、柔道整復師あるいは保険者等に対しまして療養費制度及び受領委任制度の趣旨を周知徹底させることはもとよりのことでございますが、算定基準等を適正なものにしたり、あるいは審査基準を明確にするなど審査体制の整備を図ること、あるいは施術所に対する指導、監査の体制の整備を図ることにつきまして是正改善の処置を要求したところでございます。
   これに対しまして、厚生省では、本院の指摘の趣旨に沿いまして十一年、昨年の十月までに所要の処置を講じたということでございます。
(2) 平成15年6月13日の衆議院厚生労働委員会における真野章厚生労働省保険局長の答弁(ナンバリング及び改行を追加しました。)
①   健康保険法によります給付は、保険医療機関または保険薬局によります医療の現物サービスの提供、現物給付を原則といたしておりまして、それが困難である場合などに限りまして、療養の給付にかえまして療養費払いという現金給付が認められております。
   したがいまして、鍼灸、あんま、マッサージにつきましては、対象疾患や医師の同意書等一定の要件を満たす場合に、療養費払いといたしまして保険給付の対象といたしております。
②   ただ、柔道整復師に係ります療養費につきましては、原則はそういうことなんでございますけれども、施術を行うことのできる疾患が外傷性のもので、発生原因が明確であることから、他疾患との関連が問題となることが少ないこと、それから、柔道整復師は、捻挫、打撲につきましては医師の同意なく施術を行うことが認められておりまして、骨折、脱臼等につきましても応急手当ての場合には医師の同意なく施術ができるなど、医師のいわば代替的な機能も有している、
   それから、整形外科医が不足をしていた時代におきまして、被保険者が緊急に治療を受ける機会を確保することができたという歴史的な沿革があるということから、受領委任払いを認めてきているというところでございます。
(3)   平成18年3月24日の参議院予算委員会における水田邦雄厚生労働省保険局長の答弁(ナンバリング及び改行を追加しました。)
① 健康保険法等に基づきます保険給付は、保険医療機関等からの現物給付ということで療養の給付を行うことが原則とされてございます。
   それが困難である場合で、保険者がやむを得ないと認める場合に、療養の給付に代えて現金給付として療養費払いを行うことが認められているところでございます。
② お話のありました柔道整復師が行った施術に係る療養費についてでございますけれども、これは特例的に受領委任払いが認められてございますけれども、その理由といたしましては、整形外科医が不足していた時代に患者さんが治療を受ける機会の確保を図る必要があったというまず経緯がございます。
   それからもう一つ、法律上応急手当ての場合には、医師の同意なく、柔道整復師さんの場合には医師の同意なく施術ができるということが定められておりまして、言ってみますと医師の代替機能というものを有しているという特性がございます。
   このようなことから特例的な扱いが認められているわけであります。
③   一方、マッサージ及びはり、きゅうに係る療養費の対象疾患についてでございますけれども、これは外傷性の疾患でございませんで、発生原因が不明確で治療と疲労回復等の境界が不明確であるということから、受領委任払いは認めていないと、こういう現状でございます。

第5 柔道整復師の人数及び整骨院の数の推移
1 厚生労働省HPの「平成28年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」(平成29年7月13日付)にある「就業あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師及び施術所」によれば,以下のとおりです。
(1) 柔道整復師の人数の推移
平成16年:3万5077人
平成18年:3万8693人
平成20年:4万3946人
平成22年:5万 428人
平成24年:5万8573人
平成26年:6万3873人
平成28年:6万8120人
(2) 柔道整復の施術所(=整骨院)の数の推移
平成16年:2万7771件
平成18年:3万 787件
平成20年:3万4839件
平成22年:3万7997件
平成24年:4万2431件
平成26年:4万5572件
平成28年:4万8024件
2(1) 衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況は2年に1回,実施される調査です。
(2) 直近のものは以下のとおりです。
① 「平成26年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」(平成27年7月16日付)
② 「平成28年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」(平成29年7月13日付)

第6 柔道整復師が急増するようになったこと
1 福岡地裁平成10年8月27日判決の裁判要旨
    厚生大臣が,柔道整復師養成施設指定申請に対し,柔道整復師の従事者数は相当増加している状況にあり,養成力の増加を伴う施設を新たに設置する必要性が見いだし難いこと等を理由としてした,同指定を行わない旨の処分につき,当該申請は所定の指定基準を満たしているところ,柔道整復師法の制定経緯,柔道整復師とその免許等において類似するあん摩マツサージ指圧師,はり師,きゆう師等に関する法律19条1項があん摩マッサージ指圧師等の養成施設の認定,承認をしないことができる例外を設けているのに対し,柔道整復師法にはこのような規定がないことからすると,申請について所定の指定基準が満たされている以上,処分庁において裁量の余地はなく,厚生大臣は前記申請に対し指定を行わなければならなかったものであり,また,仮に,裁量の余地があるとしても,前記処分の理由では,厚生大臣の裁量権の行使には逸脱があったというべきであるから,前記処分は違法である。
2 柔道整復師の急増状況
(1) 平成10年当時,柔道整復師養成施設は14校しかありませんでしたが,福岡地裁平成10年8月27日判決に基づき,厚生省が,柔道整復師学校養成施設指定規則さえ満たせば柔道整復師養成施設の設置を認めるようになりました。
その結果,平成25年4月現在で柔道整復師養成施設が107校となり,柔道整復師国家試験の合格者も第10回試験(平成14年)までは1000人前後であったのに対し,第11回試験(平成15年)以降急増し,第16回試験(平成20年)以降,5000人前後が合格するようになりました(外部HPの「柔道整復師専門学校の規制緩和について確認する」参照)。
(2) 最近の柔道整復師国家試験の合格者数等は以下のとおりです。
① 第22回試験(平成26年3月27日合格発表)
受験者数が7102人,合格者数が5349人,合格率は75.3%
② 第23回試験(平成27年3月27日合格発表)
受験者数が6858人,合格者数が4503人,合格率は65.7%
③ 第24回試験(平成28年3月28日合格発表)
受験者数が7122人,合格者数が4583人,合格率は64.3%
④ 第25回試験(平成29年3月28日合格発表)
受験者数が6727人,合格者数が4274人,合格率は63.5%
(3) 柔道整復師国家試験等の最新の合格発表データは,厚生労働省HPの国家試験合格発表に掲載されています。

第7 整骨院の広告は大幅に制限されていること
1  整骨院は,以下の事項についてしか広告を出すことができません。
(1) 柔道整復師法24条1項1号ないし3号に基づく事項
① 柔道整復師である旨並びにその氏名及び住所
② 施術所の名称,電話番号及び所在の場所を表示する事項
③ 施術日又は施術時間
(2) 柔道整復師法24条1項4号に基づき厚生労働大臣が指定する事項
① ほねつぎ又は接骨
② 医療保険療養費支給申請ができる旨(脱臼又は骨折の患部の施術に係る申請については医師の同意が必要な旨を明示する場合に限る。)
③ 予約に基づく施術の実施
④ 休日又は夜間における施術の実施
⑤ 出張による施術の実施
⑥ 駐車設備に関する事項
2 柔道整復師の技能,施術方法又は経歴に関する事項を広告に記載することはできません(柔道整復師法24条2項)。

第8 柔道整復師が放射線を人体に照射することを業とした場合の罪責
1 昭和26年8月10日施行の診療放射線技師法24条,31条1号は,それぞれ医師法17条,31条1項1号の特別規定として,医師,歯科医師,診療放射線技師及び診療エックス線技師(診療放射線技師法附則5条4項参照)以外の者に対し,放射線を人体に照射することを業とすることを禁止し,これに違反した者を処罰する規定であり,憲法22条1項及び憲法25条には違反しません(最高裁昭和58年7月14日判決参照)。
2   柔道整復師が放射線を人体に照射することを業とした場合,診療放射線技師法24条に違反し,31条1号の罪が成立するにとどまり,医師法17条に違反した者を処罰する同法31条1項1号の罪は成立しません(最高裁平成3年2月15日決定)。

第9 あんま,マッサージ,はり・きゅう,並びに整体院及びカイロプラクティック
1 あん摩・マッサージ,はり・きゅう
(1) あん摩・マッサージ,はり・きゅうの場合,医師の同意がない限り国民健康保険を使えません(協会けんぽHPの「はり・きゅうのかかり方」及び「あん摩・マッサージのかかり方」)。
(2)ア 医師以外の者で,あん摩,マッサージ若しくは指圧,はり又はきゆうを業としようとする者は,それぞれ,あん摩マッサージ指圧師免許,はり師免許又はきゆう師免許を受けなければなりません(あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(略称は「あはき法」です。)1条)。
イ 厚生労働省HPに「無資格者によるあん摩マッサージ指圧業等の防止について 」が載っています。
(3)ア 最高裁大法廷昭和35年1月27日判決は以下のとおり判示しています(改行を追加しました。)。
   憲法二二条は、何人も、公共の福祉に反しない限り、職業選択の自由を有することを保障している。
   されば、あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法一二条が何人も同法一条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならないと規定し、同条に違反した者を同一四条が処罰するのは、これらの医業類似行為を業とすることが公共の福祉に反するものと認めたが故にほかならない。
   ところで、医業類似行為を業とすることが公共の福祉に反するのは、かかる業務行為が人の健康に害を及ぼす虞があるからである。それ故前記法律が医業類似行為を業とすることを禁止処罰するのも人の健康に害を及ぼす虞のある業務行為に限局する趣旨と解しなければならないのであつて、このような禁止処罰は公共の福祉上必要であるから前記法律一二条、一四条は憲法二二条に反するものではない。
イ 理容師又は美容師によるマッサージは,人の健康に害を及ぼすおそれがない限り,あはき法に基づく禁止対象にはならないのかもしれません。
(4)ア 平成31年1月1日,はり師、きゅう師及びあん摩マッサージ指圧師の施術に係る療養費に関する受領委任の取扱いが開始しました(厚生労働省HPの「はり、きゅう及びあん摩マッサージ指圧の施術所を開設する皆様、はり師、きゅう師及びあん摩マッサージ指圧師の皆様へ(重要なお知らせ)」参照)。
イ 厚生労働省HPに「はり師、きゅう師及びあん摩マッサージ指圧師の施術に係る療養費に関する受領委任の取扱いについて」(平成30年6月12日付の厚生労働省保険局長書簡)が載っています。
2 整体院及びカイロプラクティック
(1)ア 整体院又はカイロプラクティックは,整骨院とは異なります。
    整体院又はカイロプラクティックの場合,施術者は国家資格を持っていませんし,公的医療保険を利用することもできませんから,整骨院への通院以上に治療の必要性及び相当性が争われます。
イ ヘルシー・ラボRYJU HP「頸椎をボキボキする整体・カイロプラクティックにご注意を!!」が載っています。
(2) 小松亀一法律事務所HP「鍼灸・マッサージ費用等医師治療費以外の治療費」には,「民間療法である整体費用について損害と認められた判例は見つけることが出来ず、逆に理容師による整体術を受けたことが被害者側の損害拡大の過失と評価された例があり要注意です。」と書いてあります。
(3) 日本整形外科学会HP「整形外科とカイロプラクティック―カイロプラクティックとはどのような治療法でしょうか?」に以下の記載があります。
    カイロプラクティックは19世紀の終わりにアメリカで考案された脊椎矯正手技療法です。
    内臓をはじめとして身体のさまざまな不調が脊椎骨の配列の乱れによる神経圧迫に起因するとの考えから、この乱れを矯正して身体機能を回復させようとするものです。一部の国では資格試験もありますが、日本ではカイロプラクティックの公的な資格はなく、国に認められた学校もありません。つまり、誰もがカイロプラクターを名乗ることが可能です。
法に基づいた資格である柔道整復師やあん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師(あはき師)と異なり、整体などと同様に法的な根拠のない医業類似行為に分類されます。米国の公的な資格を取得した施術者もあれば、数日の講習を受けて開業する施術者もあり、そのレベルは様々で、健康被害を生じた報告もあります。
    日本国内でこれを行おうとするなら、まず医師免許を取得して行うべきと思われます。

第10 医業類似行為に対する取扱いについて
・ 厚生労働省HPに載ってある「医業類似行為に対する取扱いについて」(平成3年6月28日付の厚生省健康政策局医事課長通知)は以下のとおりです。

医業類似行為に対する取扱いについて(平成三年六月二八日)(医事第五八号)
(各都道府県衛生担当部(局)長あて厚生省健康政策局医事課長通知)
近時、多様な形態の医業類似行為又はこれと紛らわしい行為が見られるが、これらの行為に対する取扱いについては左記のとおりとするので、御了知いただくとともに、関係方面に対する周知・指導方よろしくお願いする。
1 医業類似行為に対する取扱いについて
(1) あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔道整復について
   医業類似行為のうち、あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔道整復については、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律(昭和二十二年法律第二百十七号)第十二条及び柔道整復師法(昭和四十五年法律第十九号)第十五条により、それぞれあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師の免許を有する者でなければこれを行ってはならないものであるので、無免許で業としてこれらの行為を行ったものは、それぞれあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律第十三条の五及び柔道整復師法第二十六条により処罰の対象になるものであること。
(2) あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔道整復以外の医業類似行為について
   あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう及び柔道整復以外の医業類似行為については、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律第十二条の二により同法公布の際引き続き三か月以上医業類似行為を業としていた者で、届出をした者でなければこれを行ってはならないものであること。したがって、これらの届出をしていない者については、昭和三十五年三月三十日付け医発第二四七号の一厚生省医務局長通知で示したとおり、当該医業類似行為の施術が医学的観点から人体に危害を及ぼすおそれがあれば禁止処罰の対象となるものであること。
2 いわゆるカイロプラクティック療法に対する取扱いについて
   近時、カイロプラクティックと称して多様な療法を行う者が増加してきているが、カイロプラクティック療法については、従来よりその有効性や危険性が明らかでなかったため、当省に「脊椎原性疾患の施術に関する医学的研究」のための研究会を設けて検討を行ってきたところである。今般、同研究会より別添のとおり報告書がとりまとめられたが、同報告においては、カイロプラクティック療法の医学的効果についての科学的評価は未だ定まっておらず、今後とも検討が必要であるとの認識を示す一方で、同療法による事故を未然に防止するために必要な事項を指摘している。
   こうした報告内容を踏まえ、今後のカイロプラクティック療法に対する取扱いについては、以下のとおりとする。
(1) 禁忌対象疾患の認識
   カイロプラクティック療法の対象とすることが適当でない疾患としては、一般には腫瘍性、出血性、感染性疾患、リュウマチ、筋萎縮性疾患、心疾患等とされているが、このほか徒手調整の手技によって症状を悪化しうる頻度の高い疾患、例えば、椎間板ヘルニア、後縦靭帯骨化症、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症、骨粗しょう症、環軸椎亜脱臼、不安定脊椎、側彎症、二分脊椎症、脊椎すべり症などと明確な診断がなされているものについては、カイロプラクティック療法の対象とすることは適当ではないこと。
(2) 一部の危険な手技の禁止
   カイロプラクティック療法の手技には様々なものがあり、中には危険な手技が含まれているが、とりわけ頚椎に対する急激な回転伸展操作を加えるスラスト法は、患者の身体に損傷を加える危険が大きいため、こうした危険の高い行為は禁止する必要があること。
(3) 適切な医療受療の遅延防止
   長期間あるいは頻回のカイロプラクティック療法による施術によっても症状が増悪する場合はもとより、腰痛等の症状が軽減、消失しない場合には、滞在的に器質的疾患を有している可能性があるので、施術を中止して速やかに医療機関において精査を受けること。
(4) 誇大広告の規制
   カイロプラクティック療法に関して行われている誇大広告、とりわけがんの治癒等医学的有効性をうたった広告については、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律第十二条の二第二項において準用する第七条第一項又は医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第六十九条第一項に基づく規制の対象となるものであること。

別添 略

第11 保険施術及び療養費の請求に関する定め
・ 日本柔道整復師会の会員について適用される,柔道整復師の施術に係る療養費の受領委任の取扱いに関する協定書(「柔道整復師の施術に係る療養費について」(平成22年5月24日付の厚生労働省保険局長書簡)別添1)のうち,保険施術及び療養費の請求に関する定めは以下のとおりです(文中の「丁」は,都道府県知事等から登録された,日本柔道整復師会の会員のことです(協定書9項参照)。)。

第3章 保険施術の取扱い

(施術の担当方針)
14 丁及び勤務する柔道整復師は、関係法令及び通達を遵守し、懇切丁寧に柔道整復に係る施術(以下「施術」という。)を行うこと。
   また、施術は、被保険者又は被扶養者である患者(以下「患者」という。)の療養上妥当適切なものとすること。
(受給資格の確認等)
15 丁は、患者から施術を求められた場合は、その者の提出する被保険者証(健康保険被保険者受給資格者票、健康保険被保険者特別療養費受給票、船員保険被扶養者証を含む。以下同じ。)によって療養費を受領する資格があることを確認すること。
   ただし、緊急やむを得ない事由によって被保険者証を提出することができない患者であって、療養費を受領する資格が明らかなものについてはこの限りでないが、この場合には、その事由がなくなった後、遅滞なく被保険者証を確認すること。
(療養費の算定、一部負担金の受領等)
16 丁は、施術に要する費用について、別に厚生労働省保険局長が定める「柔道整復師の施術に係る療養費の算定基準」(以下「算定基準」という。)により算定した額を保険者等に請求するとともに、患者から健康保険法、船員保険法、国民健康保険法及び高齢者医療確保法に定める一部負担金に相当する金額の支払いを受けるものとすること。
   なお、患者から支払いを受ける一部負担金については、これを減免又は超過して徴収しないこと。
   ただし、算定基準の備考5.により算定する場合は、当該施術に要する費用の範囲内に限り、算定基準により算定した費用の額を超える金額の支払いを受けることができること。
   また、請求に当たって他の療法に係る費用を請求しないこと。
(領収証の交付)
17 丁は、患者から一部負担金の支払を受けるときは、正当な理由がない限り、領収証を無償で交付するとともに、患者から求められたときは、正当な理由がない限り、当該一部負担金の計算の基礎となった項目ごとに記載した明細書を交付すること。
(意見書の交付)
18 丁は、患者から傷病手当金を受けるために必要な傷病手当金意見書の交付を求められたときは、無償で交付すること。
(施術録の記載)
19 開設者及び丁は、受領委任に係る施術に関する施術録をその他の施術録と区別して作成し、必要な事項を記載した上で、施術が完結した日から5年間保存すること。
(医師の同意の記載)
20 丁及び勤務する柔道整復師は、骨折及び脱臼に対する施術を医師の同意を得て行った場合は、施術録にその旨を記載するとともに、第4章23の申請書に記載すること。
(保険者への通知)
21 丁は、患者が次の事項に該当する場合は、遅滞なく意見を附してその旨を保険者等に通知すること。
⑴ 闘争、泥酔又は著しい不行跡によって事故を起こしたと認められたとき。
⑵ 正当な理由がなくて、施術に関する指揮に従わないとき。
⑶ 詐欺その他不正な行為により、施術を受け、又は受けようとしたとき。
(施術の方針)
22 丁及び勤務する柔道柔整師は、施術の必要があると認められる負傷に対して、的確な判断のもとに患者の健康の保持増進上妥当適切に施術を行うほか、以下の方針によること。
⑴ 施術に当たっては、懇切丁寧を旨とし、患者の治療上必要な事項は理解しやすいように指導すること。
⑵ 施術は療養上必要な範囲及び限度で行うものとし、とりわけ、長期又は濃厚な施術とならないよう努めること。
⑶ 現に医師が診療中の骨折又は脱臼については、当該医師の同意が得られている場合のほかは、施術を行わないこと。ただし、応急手当をする場合はこの限りでないこと。
   この場合、同意を求めることとしている医師は、原則として当該負傷について診療を担当している医師とするが、当該医師の同意を求めることができないやむを得ない事由がある場合には、この限りではないこと。

⑷ 柔道整復師法等関係法令に照らして医師の診療を受けさせることが適当であると判断される場合は、医師の診療を受けさせること。

第4章 療養費の請求
(申請書の作成)
23 丁は、保険者等に療養費を請求する場合は、次に掲げる方式により柔道整復施術療養費支給申請書(以下「申請書」という。)を作成し、速やかな請求に努めること。
⑴ 申請書の様式は、様式第5号又はそれに準ずる様式とすること。
⑵ 申請書を月単位で作成すること。
⑶ 同一月内の施術については、施術を受けた施術所が変わらない限り、申請書を分けず、一の申請書において作成すること。(同一月内に治癒又は中止した後に、新たな負傷が発生した場合を含む。)
⑷ 申請書の「受取代理人」欄は、患者の自筆により被保険者の住所、氏名、委任年月日の記入を受けること。患者が記入することができない場合には、柔道整復師が自筆により代理記入し患者から押印を受けること。
⑸ 3部位目を所定料金の100分の70に相当する金額により算定することとなる場合は、すべての負傷名にかかる具体的な負傷の原因を申請書の「負傷の原因」欄に記載すること。
⑹ 施術日がわかるよう申請書に記載すること。
(申請書の送付)
24 丁は、申請書を保険者等毎に取りまとめ、丙に送付すること。
   丙は、様式第6号及び様式第7号又はそれに準ずる様式の総括票を記入の上、それぞれを添付し、原則として、毎月10日までに、保険者等へ送付すること。ただし、26により国民健康保険等柔道整復療養費審査委員会が設置されている場合は国民健康保険団体連合会(以下「国保連合会」という。)へ送付すること。
(申請書の返戻)

25 保険者等又は国保連合会は、申請書の事前点検を行い、申請書に不備がある場合は、丁が所属する各都道府県社団法人柔道整復師会長を経由して丁に返戻すること。

第12 関連記事その他
1 健康保険との関係については,全国健康保険協会(協会けんぽ)HPの「柔道整復師(整骨院・接骨院)のかかり方」が参考になります。
2 はり・きゅう,あん摩・マッサージの場合,医師の同意がない限り国民健康保険を使えません(協会けんぽHPの「はり・きゅうのかかり方」及び「あん摩・マッサージのかかり方」)。
3 NHKクローズアップ現代HP「”肩こり解消”で思わぬ被害!?~癒やしブームの陰で何が~」(平成28年2月10日付)が載っています。
4(1) 厚生労働省HPの「療養費について」に,柔道整復師,はり・きゅう,あん摩・マッサージの療養費に関する資料が載っています。
(2) サンペル法律事務所HP「整骨院、接骨院の個別指導と監査」が載っています。
5 厚生労働省の第8回社会保障審議会医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会(平成28年11月2日開催)の配布資料として,「柔道整復師に対する指導・監査等について」が載っています。
6(1) 以下の資料を掲載しています。
① 柔道整復師の施術に係る算定基準の実施上の留意事項(平成30年5月24日付の厚生労働省保険局医療課長書簡からの抜粋)
② 柔道整復師の施術に係る療養費について(通知)(平成30年5月24日付の厚生労働省保険局医療課長書簡からの抜粋)
③ 自賠責保険施術証明書・施術費明細書(柔道整復師用)
④ 柔道整復施術療養費の受領委任の取扱いに関する指導監査業務等実施要領(指導編)(令和元年5月当時のもの)
⑤ 柔道整復施術療養費の受領委任の取扱いに関する指導監査業務等実施要領(監査編)(令和元年5月当時のもの)
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 自賠責保険の支払基準(令和2年4月1日以降の交通事故に適用されるもの)
・ 「自動車損害賠償保障法及び関係政省令の改正等に伴う事務の実施細目について」と題する,国土交通省自動車交通局保障課長の通知(平成14年3月11日付)
・ 昭和48年9月1日付の,日本損害保険協会及び日弁連交通事故相談センターの覚書(交通事故損害賠償に関するもの)