弁護士山中理司

裁判関連文書は国立公文書館への移管が予定されていないこと

平成28年度(最情)答申第24号(平成28年7月15日答申)における最高裁判所事務総長の理由説明書には以下の記載があります(ナンバリング及び改行を追加しました。)。

1 裁判所は,公文書等の管理に関する法律附則4条の規定による改正前の国立公文書館法15条1項の規定に基づき,内閣総理大臣と協議して定めるところにより,裁判所の保管に係る歴史資料として重要な公文書等の適切な保存のために必要な措置を講じ,その措置として,内閣総理大臣に対して裁判所の保管に係る歴史資料として重要な公文書等を移管している。
2 上記「歴史資料として重要な公文書等」については,平成21年8月5日付け内閣総理大臣・最高裁判所長官申合せ「歴史資料として重要な公文書等の適切な保存のために必要な措置について」及び平成25年6月14日付け内閣府大臣官房長・最高裁判所事務総局秘書課長・同総務局長申合せ「歴史資料として重要な公文書等の適切な保存のために必要な措置について(平成21年8月5日内閣総理大臣・最高裁判所長官申合せ)の実施について」(以下「本件各申合せ」という。)によって申合せがされ,最高裁判所は,本件各申合せに係る文書を保有している。
   裁判所から内閣総理大臣に移管する「歴史資料として重要な公文書等」の範囲は,本件各申合せにより,歴史資料として重要な判決書等の裁判文書並びに裁判所の過去の主要な活動を跡づけるために必要な,司法行政に係る重要な政策等裁判所の運営上の重要な事項に係る意思決定及びその意思決定に至るまでの審議,検討又は協議の過程及びその決定に基づく施策の遂行過程が記録された司法行政文書であるとされている。
3 本件開示申出書記載の「事件記録に該当しないものの,裁判に密接に関連する文書」とは,裁判に密接に関連する事項について,裁判官等が申合せを行った結果を記載し,裁判所の裁判部において管理している文書等を意味するものと理解されるが,そのような文書は,上記記載の「歴史資料として重要な公文書等」に当たらないので,本件各申合せは本件開示申出文書ではない。
   また,その他の文書の移管方法について,最高裁判所と内閣府との間で取り交わした文書は存在せず,したがって,「事件記録に該当しないものの,裁判に密接に関連する文書」の移管方法に係る文書も存在しない。

民事事件の判決原本の国立公文書館への移管

目次
1 昭和29年1月1日の,事件記録等保存規程の施行
2 昭和40年1月1日の,事件記録等保存規程の施行
3 平成6年及び平成7年の,国立大学法学部への移管作業
4 平成12年度からの民事判決原本の国立公文書館への移管作業
5 保存期間満了後の民事事件の判決書等の国立公文書館への移管
6 国立公文書館への移管作業に関する細目
7 国立公文書館への裁判文書の運搬
8 関連記事その他
   
1 昭和29年1月1日の,事件記録等保存規程の施行
(1) 最高裁判所は,昭和29年1月1日,事件記録等保存規程(昭和28年12月5日最高裁判所規程第9号)を施行しました。
(2)   民事事件の判決原本は引き続き永久保存とされました。
   
2 昭和40年1月1日の,事件記録等保存規程の施行
(1) 最高裁判所は,昭和40年1月1日,事件記録等保存規程(昭和39年12月12日最高裁判所規程第8号)を施行しました。
   民事事件の判決原本は引き続き永久保存とされました。
(2) 事件記録等保存規程9条2項は,「記録又は事件書類で史料又は参考記録となるべきものは,保存期間満了の後も保存しなければならない」として,史料等としての特別保存義務を特に定めたにもかかわらず,ほとんど適用されませんでした。
   
3 平成6年及び平成7年の,国立大学法学部への移管作業
(1)ア 最高裁判所は,平成4年1月23日,事件記録等保存規程を改正し,平成6年1月1日以降,判決確定から50年を経過した判決原本(=昭和18年12月31日までに確定した判決原本)を随時,廃棄することを決定し,その例外として,事件記録等保存規程の運用について(平成4年2月7日付の最高裁判所事務総長の依命通達)をもって,特別保存に付するものの運用の基準を明らかにしました。
    しかし,判決原本の廃棄を憂慮する国立大学法学部教授等による「判決原本の会」等から最高裁判所に対して廃棄見直しの要望が行われ,平成5年12月,判決原本の一時保管に応じても良いする国立大学法学部が現れたことを踏まえて,判決原本の廃棄を見合わせることとなりました。
    その結果,平成6年から平成7年にかけて高等裁判所所在地の10の国立大学法学部に移管作業が実施され,そこで一時保管されることとなりました(国立公文書館HPの「24.司法文書の移管(1)-民事判決原本(国立大学より)」,及び東弁リブラ2021年4月号「記録を救おう!-歴史的記録としての民事訴訟記録の保存-」参照)。
イ 判決原本を一時保管した国立大学は,北海道大学,東北大学,東京大学,名古屋大学,大阪大学,岡山大学,広島大学,香川大学,九州大学及び熊本大学でした。
(2) 最高裁総務局・人事局各課長,参事官を囲む座談会(平成6年6月3日開催)において以下の発言がありました(全国裁判所書記官協議会会報第127号)。
    平成四年一月二三日、事件記録等保存規程の一部が改正され、永久保存とされていた判決原本の保存期間が五〇年とされました。また、平成四年二月七日付最高裁総三第八号事務総長依命通達「事件記録等保存規程の運用について」において、五〇年を超えて保存されている判決原本を直ちに廃棄することはせず、平成六年一月一日以降に廃棄を行うこととになりました。判決原本の永久保存を廃止したのは、多くの裁判所において保存期間五〇年を経過した判決原本が相当の分量になり(保存期間五〇年を経過した判決原本の厚さは、例えば、東京地裁、大阪地裁では、百数十メートルに及んでいる。)、記録庫が狭隘になったこと等の理由によります。
   
4 平成12年度からの民事判決原本の国立公文書館への移管作業
(1) 国立公文書館法(平成11年6月23日法律第79号)の成立を契機として,国立公文書館への移管を念頭に置いて,国立公文書館,国立大学及び日弁連の関係三者間で協議が行われました。
   その結果,平成12年5月31日,段階的に総理府の国立公文書館へ移管することについて三者間での合意が成立しました。
(2)   この合意を受けて,内閣総理大臣官房審議官と文部省高等教育局長とが共同で,平成12年9月26日,「国立大学が保管する民事判決原本の総理府(国立公文書館)への移管及び受入れに関する取扱方針」を定めました。
   この取扱方針では,平成12年度から12か年計画で民事判決原本の移管を行うというスケジュールが定められました。
(3) 国立公文書館は,平成23年3月4日までに3万6624冊の民事判決原本を受け入れたことにより,当該文書の移管は完了しました(国立公文書館HPの「国立大学からの民事判決原本の移管完了について-民事判決原本利用のための手引-」参照)。
(4)   国立公文書館は,平成23年7月8日,昭和18年までの民事判決原本の目録を公開し,国立公文書館デジタルアーカイブからの検索が可能となりました(国立公文書館HPの「国立大学から民事判決原本の移管がすべて完了。目録公開される。」参照)。
   
5 保存期間満了後の民事事件の判決書等の国立公文書館への移管
(1) 最高裁判所長官及び内閣総理大臣は,平成21年8月5日,「歴史資料として重要な公文書等の適切な保存のために必要な措置について」という申合せをしました(改正前の国立公文書館法15条1項参照)。
   これにより,歴史資料として重要な判決書等の裁判文書について保存期間が満了した場合,国立公文書館に移管されることとなりました(国立公文書館HPの「司法府から国立公文書館への公文書の移管について」参照)。
(2) 「歴史資料として重要な公文書等(裁判文書)移管計画について」(平成22年2月1日付の内閣総理大臣通知)に基づき,最高裁判所全国の下級裁判所は,国立公文書館に対し,平成21年度において,明治8年から昭和30年12月31日までに完結した最高裁判所所蔵の民事判決原本及び事件記録等保存規程9条2項に基づき「特別保存」とされていた事件記録を移管しました(国立公文書館HPの「24.司法文書の移管(2)-裁判文書(司法府より)」参照)。
(3)ア 「歴史資料として重要な公文書等(裁判文書)移管計画について」(平成25年6月26日付の内閣総理大臣通知)に基づき,最高裁判所及び全国の下級裁判所は,国立公文書館に対し,平成25年度から平成29年度にかけて,昭和37年12月31日までに完結した民事判決原本及び事件記録等保存規程9条2項に基づき「特別保存」とされていた事件記録を移管しました。
イ 「歴史資料として重要な公文書等(裁判文書)移管計画について」(平成29年11月21日付の内閣総理大臣通知)に基づき,最高裁判所及び全国の下級裁判所は,国立公文書館に対し,平成30年度から令和4年度にかけて,保存終了の日が平成29年12月31日以前の民事判決原本等を移管する予定です。


6 国立公文書館への移管作業に関する細目
(1)ア 内閣府大臣官房長及び最高裁判所事務総局秘書課長及び総務局長は,平成25年6月14日,「歴史資料として重要な公文書等の適切な保存のために必要な措置について(平成21年8月5日内閣総理大臣・最高裁判所長官申合せ)の実施について」という申合せをしました(公文書管理法14条1項参照)。
イ 当該申合せでは,保存期間が満了した以下の裁判文書が原則として国立公文書館に移管されることとなりました。
① 民事事件の判決の原本及びその附属書類であって,保存規程第4条に規定する保存期間が満了したもの
② 民事事件の事件記録及び事件書類(判決の原本及びその附属書類を除く。)であって,保存規程第4条に規定する保存期間が満了し,かつ,保存期間の満了の後も保存規程第9条第2項の規定に基づき資料又は参考資料となるべきものとして保存されているもの
③ 裁判所法(昭和22年法律第59号)の施行の日(昭和22年5月3日)前に備え付けられた裁判所の事件に関する事項を登載する帳簿及び諸票であって,裁判所の定める保存期間が満了したもの
(2) 内閣府大臣官房公文書管理課長及び最高裁判所事務総局秘書課長及び総務局第一課長は,平成25年6月14日,「歴史資料として重要な公文書等の内閣総理大臣への移管手続について」という申合せをしました。

7 国立公文書館への裁判文書の運搬 
・ 最高裁判所の令和4年度概算要求書(説明資料)130頁には,「国立公文書館への裁判文書の運搬費」として以下の記載があります。
<要求要旨>
   平成21年8月5日に,内閣総理大臣(内閣府)と最高裁判所長官との間で,裁判所の保管に係る歴史資料として重要な公文書等を国立公文書館に移管するとの申合せを締結した。この申合せに基づき,下級裁判所等において保管している裁判文書のうち歴史資料として重要なものについて,国立公文書館に移管するために必要な運搬費を要求する。
<実施計画>
   平成21年度から平成24年度までの間は昭和30年までに既済となった事件,平成25年度から平成29年度までの間は昭和37年までに既済となった事件に係る裁判文書のうち歴史資料として重要なものについて,国立公文書館に移管した。
   平成30年度以降は,昭和42年までに既済となった事件に係る裁判文書のうち国立公文書館に移管することが適当なものを令和4年度までに順次移管する予定である。移管文書は梱包資材を用いて梱包の上,郵送等により国立公文書館つくば分館に送付する。令和4年度の裁判文書の移管簿冊数は,約4100冊程度を予定している。

8 関連記事その他
(1) 以下の資料を掲載しています。
・ 保存期間の満了後も事実上保存されている事件記録等の処理について(平成28年7月20日付の最高裁判所総務局第三課長の事務連絡)
・ 民事事件の事件記録及び事件書類に関する特別保存の運用について(令和2年2月18日付の東京地裁運用要領)
・ 事件記録等の2項特別保存に関する運用例について(令和2年3月9日付の最高裁判所総務局長の通知)
(2) 自由と正義1997年1月号の「司法資料の保存・利用について」には、民事司法資料及び刑事司法資料の保存・利用のことが書いてあります。
(3) 東弁リブラ2021年4月号「記録を救おう!-歴史的記録としての民事訴訟記録の保存-」が載っています。
(4) 以下の記事も参照してください。
・ 謄写業者,及び確定した刑事記録の保管場所
・ 加害者の刑事裁判の判決が確定した後の,起訴事件の刑事記録の入手方法
・ 司法行政文書の国立公文書館への移管
・ 公文書管理に関する経緯,公文書館に関連する法律及び国立公文書館

公文書管理法の概要

0 公文書管理法(平成21年7月1日法律第66号)1条
この法律は、国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることにかんがみ、国民主権の理念にのっとり、公文書等の管理に関する基本的事項を定めること等により、行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする。

1 公文書管理法の概要は以下のとおりです。
(1) 行政文書の管理
ア 行政機関の長又は職員が行うべき事項
① 作成:経緯も含めた意思決定に至る過程及び事務事業の実績が把握できる文書の作成(公文書管理法4条)
② 整理:行政文書の分類,名称付与,保存期間が満了する日等の設定,行政文書ファイル化,保存期間が満了した時の措置(移管又は廃棄)の設定(レコードスケジュール)(公文書管理法5条及び7条)
③ 保存:保存期間が満了する日まで,適切に保存(公文書管理法6条)
④ 移管又は廃棄:保存期間満了後,レコードスケジュールに従って移管又は廃棄する。廃棄する場合,内閣総理大臣の同意が必要となる(公文書管理法8条)。
イ 行政機関の長は,行政文書の管理状況について,毎年度,内閣総理大臣に報告する(公文書管理法9条)。
ウ 行政機関の長は,公文書管理委員会の調査審議,内閣総理大臣の同意を得て行政文書管理規則を策定する(公文書管理法10条)。
エ 公文書管理に問題がある場合,内閣総理大臣は報告・資料提出要求,実地調査,勧告等ができる(公文書管理法9条及び31条)。
(2) 法人文書の管理
独立行政法人等の文書について,行政機関に準じて適正に管理する(公文書管理法11条ないし13条参照)。
(3) 国立公文書館等における特定歴史公文書等の保存・利用等

ア 特定歴史公文書は原則,永久保存(廃棄には公文書管理委員会の審議、内閣総理大臣の同意が必要)(公文書管理法15条1項)
イ 個人情報の漏えい防止などの適切な保存,目録の公表(公文書管理法15条2項ないし4項及び16条)
ウ 国民は,情報公開法類似の利用請求が可能(公文書管理法16条)。国立公文書館等には,利用促進の努力義務がある(公文書管理法23条)。
エ 保存及び利用状況を毎年度内閣総理大臣に報告する(公文書管理法26条)。
(4) 公文書管理委員会
内閣総理大臣任命により内閣府に設置され,各行政機関の行政文書管理規則,勧告等について調査審議する(公文書管理法28条ないし30条)。

2(1) 公文書管理法では,公文書等は,現用段階の行政文書及び法人文書のほか,非現用となって国立公文書館等に移管された後の特定歴史公文書等を包摂した概念となっています。
(2) 公文書等には,立法機関の文書及び司法機関の文書が含まれていませんから,国の機関におけるすべての公文書を含んだものにはなっていません。
3 公文書管理法は,行政文書が作成又は取得され,それが整理され,保存され,保存期間が満了した時に移管又は廃棄されるという,現用文書の管理全般について定めています。
そして,行政機関情報公開法及び独立行政法人情報公開法が定めている情報開示請求制度,情報提供制度は現用文書の利用の一部と見ることができます。
そのため,公文書管理法は一般法であり,情報公開法は公文書管理法が定めている現用文書である行政文書及び法人文書の利用の一形態を定める特別法としての位置づけとなります(国立公文書館HPの「日本における公文書管理法の制定と今後の課題」参照)。

4(1) 内閣府HPの「公文書管理法の概要」が参考になります。
(2) 公文書管理制度の全体像が,国立公文書館の概要(その2)4頁「公文書管理の全体像」に載っています。
(3) 内閣府HPの「公文書等の管理等の状況」において,平成23年度以降の公文書管理法の運用状況が公表されています。

5 保存期間が満了した行政文書ファイル等は,宮内庁にあっては宮内庁書陵部図書課宮内公文書館に,外務省にあっては外務省大臣官房総務課外交史料館に,その他の行政機関にあっては国立公文書館に移管されます。

6 日弁連は,「公文書管理法案の修正と情報公開法の改正を求める意見書」(平成21年4月24日付の意見書)において,「国会や裁判所の公文書についても、行政文書と同様の管理ができるよう、国会や裁判所の公文書管理法を、この法律の制定後1年以内に別途制定することを義務付けるべきである。」などと主張しました。
しかし,現在でも,国会及び裁判所は公文書管理法の適用対象になっていません。

7 公文書管理法付則13条2項は,「国会及び裁判所の文書の管理の在り方については、この法律の趣旨、国会及び裁判所の地位及び権能等を踏まえ、検討が行われるものとする。」と定めています。

公文書管理に関する経緯,公文書館に関連する法律及び国立公文書館

目次
1 公文書管理に関する経緯
2 公文書館に関連する法律
3 国立公文書館
4 関連記事その他
   
1 公文書管理に関する経緯
(1) 昭和46年7月1日,国立公文書館が総理府の付属機関として,東京都千代田区北の丸公園で開館しました。
(2) 平成10年7月1日,国立公文書館つくば分館が茨城県つくば市の筑波研究学園都市内に設置されました。
(3)   平成12年10月,国立公文書館法が施行されました。
(4)   平成13年4月1日,国立公文書館が独立行政法人となりました。
(5) 平成13年11月30日,国立公文書館アジア歴史資料センター(略称は「アジ歴」です。)が開設されました。
   同センターはデジタルアーカイブとしてインターネットなどを通じてアジア歴史資料を提供することを目的としていますから,閲覧室は設置していません。
(6) 平成15年12月5日,内閣官房長官決定に基づき,公文書等の適切な管理、保存及び利用に関する懇談会が内閣府に設置されました。
   平成16年6月28日,第一次報告書を提出し,平成18年6月22日,第二次報告書を提出しました。
(7) 平成20年2月29日,内閣官房長官決裁に基づき,公文書管理の在り方等に関する有識者会議が内閣官房で開催されるようになりました。
   平成20年11月4日,「時を貫く記録としての公文書管理の在り方」~今、国家事業として取り組む~(平成20年11月4日付の公文書管理の在り方等に関する有識者会議最終報告)が出されました。
   平成23年4月1日,公文書等の管理に関する法律(平成21年7月1日法律第66号)(略称は「公文書管理法」です。)が施行されました。
(8) 平成26年5月13日,内閣府特命担当大臣決定に基づき,国立公文書館の機能・施設の在り方等に関する調査検討会議が内閣府で開催されるようになりました。
(9) 平成28年3月23日,内閣府公文書管理委員会は,「公文書管理法施行5年後見直しに関する検討報告書」(公文書管理法付則13条1項参照)を提出しました。
(10) 平成28年5月26日,衆議院議院運営委員会の小委員会が,政府建て替えを目指す国立公文書館の建設地を,国会に隣接する憲政記念館の敷地内とすることを決めました。
   
2 公文書館に関連する法律
   公文書館に関連する法律として主なものは以下の三つです。
① 公文書館法(昭和62年12月15日法律第115号)(議員立法)
   国又は地方公共団体が設置する公文書館に関する法律を定めています。
② 国立公文書館法(平成11年6月23日法律第79号)(議員立法)
   独立行政法人国立公文書館の名称,目的,業務の範囲等に関する事項を定めています。
③ 公文書等の管理に関する法律(平成21年7月1日法律第66号)(閣法)
   公文書等の管理に関する基本的事項(行政文書等の作成・整理,歴史公文書等の移管,適切な保存・利用等)を定めています。
   
3 国立公文書館
(1) 国立公文書館の概要が分かる資料が,平成26年5月16日開催の第1回国立公文書館の機能・施設の在り方等に関する調査検討会議資料3として内閣府HPに掲載されています。
(2)ア 内閣府HPの「(参考)諸外国の国立公文書館の比較」によれば,
職員数は以下のとおりです。
日本:47人(定員数),アメリカ(NARA):2720人
イギリス(TNA):600人,フランス:570人
ドイツ:790人,韓国:340人
イ 所蔵量は以下のとおりです。
日本:59km,アメリカ(NARA):1400km
イギリス(TNA):200km,フランス:380km
ドイツ:300km,韓国:177km
ウ 内閣府HPの「諸外国の公文書館概要(国別概要)」が詳しいです。
(3) 内閣府HPの「国立公文書館の機能・施設の在り方に関する提言(平成26年度調査報告)」(平成27年3月)に,新たな国立公文書館に関する基本的な論点と方向性等が書いてあります。

4 関連記事その他
(1)ア 東弁リブラ2021年4月号「記録を救おう!-歴史的記録としての民事訴訟記録の保存-」が載っています。
イ 国立公文書館HPに「国立公文書館における「時の経過」の運用について」が載っています。
(2) 以下の記事も参照してください。
 司法行政文書に関する文書管理
・ 司法行政文書の国立公文書館への移管
 民事事件の判決原本の国立公文書館への移管

PKO日報問題に関する特別防衛監察結果報告で示された,行政文書管理及び情報公開業務の改善策

〇南スーダン派遣施設隊が作成した日報に対する行政文書開示請求について,防衛大臣が平成28年12月2日付で不開示決定を出した問題(いわゆる「PKO日報問題」です。)については,平成29年3月17日から特別防衛監察が実施され,同年7月28日に特別防衛監察結果が公表されました(防衛省防衛監察本部HPの「防衛監察」参照)し,以下のとおり懲戒処分が実施されました。
① 黒江哲郎 事務次官:停職4日
② 岡部俊哉 陸上幕僚長:減給1か月(10分の1)
③ 堀切光彦 前陸上自衛隊中央即応集団副司令官:停職5日
④ 牛嶋 築 前陸上幕僚監部運用支援・情報部長:停職3日

⑤ 辰己昌良 統合幕僚監部総括官:停職2日

〇平成29年7月28日公表の「特別防衛監察結果報告」15頁及び16頁には,「第7 改善策」として以下の記載があります。
   防衛省・自衛隊として行政文書管理及び情報公開業務の適正な実施について努めているところであるが、これらについて十分に実施されていない状況が確認されたことから、改めて、以下の事項について徹底を図る必要がある。
1   適正な情報公開業務の実施
(1)   関係職員の意識向上を図るための教育等の徹底
   情報公開法に基づく開示請求に対し、指導的立場となる管理者を含め、情報公開業務を適正に実施するという意識が低かったことから、情報公開業務に対する意識を高めるような教育や研修を徹底する必要がある。
(2)   行政文書の不存在の際の入念な確認の徹底
   情報公開法に基づく開示請求に対し、行政文書としての日報が存在しつつも、これを十分に確認せず不存在としている状況や該当文書を個人資料と説明している状況が確認されたことから、過去に保有していたことが明らかな行政文書を不存在とする場合には、情報公開担当部署は、文書管理者等に対し、複数回の探索や探索範囲の拡大を実施させるとともに、文書の管理状況についても実際に確認するなど、「行政文書管理及び情報公開業務の適正な実施について(通達)」(防官文第11870号。24.9.6)に基づき、行政文書の確実な探索及び特定業務を徹底する必要がある。
(3)   情報公開業務に対するチェック機能の強化
   情報公開法に基づく開示請求に対し、行政文書としての日報の不存在や廃棄などの誤った判断や行為について、開示請求に係る手続の過程において是正することができなかったことから、特に不存在とした開示請求について、開示請求手続と関係のない立場の組織により、情報公開業務の検査等を実施するなど、チェック機能の強化を図る必要がある。
   なお、防衛監察本部においても、定期防衛監察を活用し、特に開示請求において不存在としている場合の手続の適正性を確認することなどにより、チェック機能の強化に努めるものとする。
2   適正な文書管理等の実施
(1)   文書管理情報等の適切な表示等
   日報が「用済み後破棄」として取り扱われていることについて、文書管理情報が表示されていないため取扱者に周知されていない状況、また、「用済み後破棄」という曖昧な保存期間満了日の設定により、日報の実態が把握されていない状況が確認されたことから、行政文書の状況が明確に把握できるよう措置する必要がある。
   また、日報が「注意文書」として取り扱われていることについて、「注意」の標記が表示されず、また、業務に関係のない多数の職員が閲覧及び取得できる状況であったことから、取扱区分を表示するとともに、配布に当たっては配布先を必要最小限にとどめるよう措置する必要がある。
(2)   複数部署において管理されている行政文書の管理要領の見直し
   日報は指揮システムの掲示板により、統幕、陸幕、陸自各部隊等の多数の部署により共有されているものの、各文書管理者により日報の管理状況が様々であり、日報の保有状況が不明確となっていることから、同一の行政文書を複数の文書管理者が保有する場合における責任を明確にするなど、行政文書の管理要領について見直す必要がある。

公文書管理法に対する,平成21年6月23日付の参議院内閣委員会の付帯決議

○司法行政文書の管理について公文書等の管理に関する法律(公文書管理法)が適用されるわけではありません(公文書管理法2条8項参照)が裁判所は,公文書管理法の趣旨,裁判所の地位及び権能等を踏まえ,検討が行われるものとされています(公文書管理法附則13条2項)。
そして,平成23年4月1日施行の公文書管理法における,平成21年6月23日付けの参議院内閣委員会の付帯決議は以下のとおりです。

公文書等の管理に関する法律案に対する附帯決議
政府は、公文書等が、国民共有の知的資源であり、その適切な管理、体系的な保存及び利用制度の整備が、国の基本的な責務・機能であるとともに、将来の発展への基盤であることを深く認識して、本法の施行に当たっては、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一、公文書管理の改革は究極の行政改革であるとの認識のもと、公文書管理の適正な運用を着実に実施していくこと。
二、国民に対する説明責任を果たすため、行政の文書主義の徹底を図るという本法の趣旨にかんがみ、外交・安全保障分野も含む各般の政策形成過程の各段階における意思決定に関わる記録を作成し、その透明化を図ること。また、軽微性を理由とした文書の不作成が恣意的に行われないようにするとともに、文書の組織共用性の解釈を柔軟なものとし、作成後、時間を経過した文書が不必要に廃棄されないようにすること。
三、行政機関の政策決定並びに事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるようにするため、行政機関による委託事業に係る元データが確実に取得される仕組みを検討すること。
四、行政文書の管理が適正に行われることを確保するため、作成から一定期間が経過した行政文書をその保存期間満了前に一括して保管等の管理を行う制度( いわゆる中間書庫の制度) の各行政機関への導入について検討を行うこと。
五、保存期間の満了により廃棄される行政文書の量が膨大なものであることを踏まえ、廃棄に係る行政文書の内容の審査等に要する内閣総理大臣の補佐体制を強化すること。
六、公文書の管理・利活用に関する情報を十分に公開し、その在り方について多角的な専門的知見及び幅広い国民の意見が取り入れられる機会を設けること。
七、特定歴史公文書等の適切なデジタルアーカイブ化を推進し、一般の利用を促進すること。
八、公文書の電子化の在り方を含め、セキュリティーのガイドラインの策定、フォーマットの標準化及び原本性確保等の技術的研究を推進し、電子公文書の長期保存のための十分な検討を行うこと。
九、国立公文書館等へ移管された特定歴史公文書等に対する利用制限については、利用制限は原則として三十年を超えないものとすべきとする「三十年原則」等の国際的動向・慣行を踏まえ、必要最小限のものとすること。
十、特定歴史公文書等の利用請求及びその取扱いにおける除外規定である本法第十六条に規定する「行政機関の長が認めることにつき相当の理由」の有無の判断に関しては、恣意性を排し、客観性と透明性を担保する方策を検討すること。
十一、宮内庁書陵部及び外務省外交史料館においても、公文書等について国立公文書館と共通のルールで適切な保存、利活用が行われるよう本法の趣旨を徹底すること。
十二、本法に基づく政令等の制定・改廃に際しては、十分に情報を公開し、多角的な専門的知見及び幅広い国民の意見が取り入れられる機会を設けること。
十三、公文書の適正な管理が、国民主権の観点から極めて重要であることにかんがみ、職員の公文書管理に関する意識改革及び能力向上のための研修並びに専門職員の育成を計画的に実施するとともに、専門職員の資格制度の確立について検討を行うこと。また、諸外国における公文書管理体制の在り方を踏まえ、必要な人員、施設及び予算を適正に確保すること。
十四、既に民営化された行政機関や独立行政法人等が保有する歴史資料として重要な文書について、適切に国立公文書館等に移管されるよう積極的に対応すること。また、国民共有の知的資源を永く後世に伝えるため、特定歴史公文書等の保存・修復に万全を期することができる体制を整備すること。
十五、本法の趣旨を踏まえて地方公共団体における公文書管理の在り方の見直しを支援し、また、国立公文書館と地方公文書館との連携強化を図ること。
十六、一部の地方公共団体において公文書館と公立図書館との併設を行っていることを考慮しつつ、より多くの公文書館が設置されることを可能とする環境の整備について検討すること。
十七、刑事訴訟に関する書類については、本法の規定の適用の在り方を引き続き検討すること。
十八、附則第十三条第一項に基づく検討については、行政文書の範囲をより広げる方向で行うとともに、各行政機関における公文書管理の状況を踏まえ、統一的な公文書管理がなされるよう、公文書管理法制における内閣総理大臣の権限及び公文書管理委員会の在り方についても十分検討すること。
十九、公文書等の管理に関する施策を総合的かつ一体的に推進するための司令塔として公文書管理に係る政策の企画・立案及び実施を担当する部局及び機構の在り方について検討を行うこと。
二十、行政機関のみならず三権の歴史公文書等の総合的かつ一体的な管理を推進するため、国立公文書館の組織の在り方について、独立行政法人組織であることの適否を含めて、検討を行うこと。
二十一、公文書管理と情報公開が車の両輪関係にあるものであることを踏まえ、両者が適正かつ円滑に実施されるよう万全を期すること。
右決議する。

裁判所の情報公開に関する統計文書

目次
第1 総論
第2 毎月の統計文書
第3 毎年の統計文書
1 令和5年度以降の文書
2 平成27年度から令和4年度までの文書
第4 関連記事その他

第1 総論
1 司法行政文書とは,裁判所の職員が職務上作成し,又は取得した司法行政事務に関する文書,図画及び電磁的記録(電子的方式,磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。)であって,裁判所の職員が組織的に用いるものとして,裁判所が保有しているものをいいます(「司法行政文書の管理について」(平成24年12月6日付の最高裁判所事務総長通達)第1.2(1))。
2 最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会が設置された平成27年7月1日,現在の方式での統計文書が作成されるようになりました。

第2 毎月の統計文書
   「司法行政文書開示申出に関する統計」を以下のとおり掲載しています(「司法行政文書開示申出に関する統計(令和7年4月分~同年6月分)」といったファイル名です。)。
・ 令和 7年第4期報告分(令和 7年10月分~同年12月分)
・ 令和 7年第3期報告分(令和 7年 7月分~同年 9月分)
・ 令和 7年第2期報告分(令和 7年 4月分~同年 6月分)
・ 令和 7年第1期報告分(令和 7年 1月分~同年 3月分)
・ 令和 6年第4期報告分(令和 6年10月分~同年12月分)
・ 令和 6年第3期報告分(令和 6年 7月分~同年 9月分)
・ 令和 6年第2期報告分(令和 6年 4月分~同年 6月分)
・ 令和 6年第1期報告分(令和 6年 1月分~同年 3月分)
・ 令和 5年第4期報告分(令和 5年10月分~同年12月分)
・ 令和 5年第3期報告分(令和 5年 7月分~同年 9月分)
・ 令和 5年第2期報告分(令和 5年 4月分~同年 6月分)
・ 令和 5年第1期報告分(令和 5年 1月分~同年 3月分)
・ 令和 4年第4期報告分(令和 4年10月分~同年12月分)
 令和 4年第3期報告分(令和 4年 7月分~同年 9月分)
・ 令和 4年第2期報告分(令和 4年 4月分~同年 6月分)
・ 令和 4年第1期報告分(令和 4年 1月分~同年 3月分)
・ 令和 3年第4期報告分(令和 3年10月分~同年12月分)
・ 令和 3年第3期報告分(令和 3年 7月分~同年 9月分)
・ 令和 3年第2期報告分(令和 3年 4月分~同年 6月分)
・ 令和 3年第1期報告分(令和 3年 1月分~同年 3月分)
・ 令和 2年第4期報告分(令和 2年10月分~同年 12月分)
・ 令和 2年第3期報告分(令和 2年 7月分~同年 9月分)
・ 令和 2年第2期報告分(令和 2年 4月分~同年 6月分)
・ 令和 2年第1期報告分(令和 2年 1月分~同年 3月分)
・ 令和 元年第4期報告分(令和 元年10月分~同年12月分)
・ 令和 元年第3期報告分(令和 元年 7月分~同年 9月分)
 平成31年第2期報告分(平成31年 4月分~同年 6月分)
・ 平成31年第1期報告分(平成31年 1月分~同年 3月分)
・ 平成30年第4期報告分(平成30年10月分~同年12月分)
 平成30年第3期報告分(平成30年 7月分~同年 9月分)
・ 平成30年第2期報告分(平成30年 4月分~同年 6月分)
・ 平成30年第1期報告分(平成30年 1月分~同年 3月分)
・ 平成29年第4期報告分(平成29年10月分~同年12月分)
 平成29年第3期報告分(平成29年 7月分~同年 9月分)
・ 平成29年第2期報告分(平成29年 4月分~同年 6月分)
・ 平成29年第1期報告分(平成29年 1月分~同年 3月分)
・ 平成28年第4期報告分(平成28年10月分~同年12月分)
・ 平成28年第3期報告分(平成28年 7月分~同年 9月分)
・ 平成28年第2期報告分(平成28年 4月分~同年 6月分)
・ 平成28年第1期報告分(平成28年 1月分~同年 3月分)
 平成27年第4期報告分(平成27年10月分~同年12月分)
 平成27年第3期報告分(平成27年 7月分~同年 9月分)

3 毎年の統計文書
1 令和5年度以降の文書
(1) 「苦情申出に関する統計」を含む,「裁判所の保有する司法行政文書の開示に関する事務の取扱要綱等に基づく事務の実施状況について」を以下のとおり掲載しています。
令和5年度令和6年度
(2) ファイル名は「裁判所の保有する司法行政文書の開示に関する事務の取扱要綱等に基づく事務の実施状況について(令和5年4月1日から令和6年3月31日まで)」といったものです。
2 平成27年度から令和4年度までの文書
(1)ア 「裁判所の保有する司法行政文書の開示に関する事務の取扱要綱等に基づく事務の実施状況について」を以下のとおり掲載しています。
(令和時代)
令和元年度令和2年度令和3年度令和4年度
(平成時代)
平成27年度平成28年度平成29年度平成30年度
イ ファイル名は「裁判所の保有する司法行政文書の開示に関する事務の取扱要綱等に基づく事務の実施状況について(令和4年4月1日から令和5年3月31日まで)」といったものです。
ウ 個人情報開示請求に関する統計も含まれています。
(2)ア 「苦情申出に関する統計」を以下のとおり掲載しています。
(令和時代)
令和元年度令和2年度令和3年度令和4年度
(平成時代)
平成27年度平成28年度平成29年度平成30年度
イ ファイル名は「苦情申出に関する事務の実施状況について(令和4年4月1日から令和5年3月31日まで)」といったものです。

* 平成28年度新任判事補研修の資料からの抜粋です。

第4 関連記事その他
 平成21年度初任行政研修「事務次官講話」「国家がなすべきことと民間とのコラボレーション-裁判員制度からの示唆-」と題する講演(平成21年5月26日実施)において,小津博司法務事務次官は以下の発言をしています(PDF12頁)。
    情報公開法の方もできてこうやってみると、なるほどこういうものだと。役人が仕事で作ったものというのは、原則として誰でも見られるようにしておかなければいけない。人に見られてはいけないような文書は作ってはいけない。あるいは人に見られてはいけないような、聞かれてはいけないような仕事はしてはいけないと、こういうことであります。
2 以下の記事も参照してください。
・ 裁判所の情報公開に関する通達等
 国立公文書館への移管
 司法行政文書に関する文書管理
 裁判文書の文書管理に関する規程及び通達
・ 民事事件の裁判文書に関する文書管理

最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会の答申

1 最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会の答申につき,以下のとおり分類して私のブログで紹介しています。
(1) 最高裁判所の司法行政文書
① 最高裁判所が作成又は取得していないとされた司法行政文書
② 最高裁判所が直ちに廃棄しているとされた司法行政文書
③ 不開示事由に該当するとされた最高裁判所の司法行政文書
④ 司法行政文書開示請求の対象とならないとされた最高裁判所の文書
(2) 下級裁判所の司法行政文書
① 下級裁判所が作成又は取得していないとされた司法行政文書
② 下級裁判所が直ちに廃棄しているとされた司法行政文書
③ 不開示事由に該当するとされた下級裁判所の司法行政文書
④ 司法行政文書開示請求の対象とならないとされた下級裁判所の司法行政文書

2 最高裁平成26年7月14日判決は,「ある時点において当該行政機関の職員が当該行政文書を作成し,又は取得したことが立証された場合において,不開示決定時においても当該行政機関が当該行政文書を保有していたことを直接立証することができないときに,これを推認することができるか否かについては,当該行政文書の内容や性質,その作成又は取得の経緯や上記決定時までの期間,その保管の体制や状況等に応じて,その可否を個別具体的に検討すべきもの」と判示しています。

3 以下の資料も参照してください。
① 司法行政文書の管理について(通達)(平成24年12月6日付の最高裁判所事務総長通達)
→ 「職員は,文書管理者の指示に従い,裁判所における経緯も含めた意思決定に至る過程及び裁判所の事務の実績を合理的に跡付け,又は検証することができるよう,処理に係る事案が軽微なものである場合を除き,司法行政文書を作成しなければならない。」などと書いてあります。
② 公文書管理法に対する,平成21年6月23日付の参議院内閣委員会の付帯決議
→ 「軽微性を理由とした文書の不作成が恣意的に行われないようにするとともに、文書の組織共用性の解釈を柔軟なものとし、作成後、時間を経過した文書が不必要に廃棄されないようにすること。」などと書いてあります。
③ 情報公開法に係る主な答申等について(平成31年3月)
→ 総務省行政管理局情報公開・個人情報保護推進室が作成したものです。

4 以下の記事も参照してください。
① 裁判所の情報公開
② PKO日報問題に関する特別防衛監察結果報告で示された,行政文書管理及び情報公開業務の改善策
→ 「不存在とした開示請求について、開示請求手続と関係のない立場の組織により、情報公開業務の検査等を実施するなど、チェック機能の強化を図る必要がある。」などと書いてあります。

5(1) 総務省HPに,平成16年3月10日付の「勧告及び要望書」が載っています。
日弁連人権擁護委員会が平成15年12月付で作成した,裁判所行政情報開示人権救済申立事件調査報告書(いわゆるロッキード事件において最高裁宣明書が出された件に関する文書の開示を求めたもの。)が含まれています。
(2) 国立国会図書館HP「調査と情報」に,「行政機関における文書管理-国の説明責務に係る論点と改善方策-」(平成30年2月27日発行の998号)が載っています。

6 日弁連の「公文書管理法制の改正及び運用の改善を求める意見書」(平成30年12月20日付)には,「本意見の趣旨」として以下の記載があります。
2 公文書管理法制の制度設計に関し、
(1) 公文書の恣意的な廃棄等が行われないように監視するため、独立した第三者機関としての公文書管理庁を設置すること
(2) 公文書管理法を、行政文書の作成段階から徹底して電子記録管理を行う法制度に変更すること
を政府及び国会に対して求める。

最高裁判所裁判部作成の民事・刑事書記官実務必携

目次
1 民事・刑事書記官実務必携
2 関連文書
3 民事書記官実務必携(平成31年4月1日)からの抜粋
4 刑事書記官実務必携(平成31年4月1日)からの抜粋
5 最高裁判所事件管理システム
6 関連記事

1 民事・刑事書記官実務必携
(1) 最高裁判所裁判部作成の民事・刑事書記官実務必携は以下のとおりです。
① 民事書記官実務必携
・ 平成31年4月1日現在のもの(圧縮済み)
・ 平成30年4月1日現在のもの
・ 平成28年4月1日現在のもの
② 刑事書記官実務必携
・ 平成31年4月1日現在のもの(圧縮済み)
・ 平成30年4月1日現在のもの1/32/3及び3/3
→ サイズを圧縮して一つのファイルにしたものも掲載しています。
・ 平成28年4月1日現在のもの1/2及び2/2
(2) 最高裁判所の裁判部とは,大法廷首席書記官等に関する規則(昭和29年最高裁判所規則第9号)に定める大法廷首席書記官が指導監督する職員が属する組織をいいます(司法行政文書の管理について(平成24年12月6日付の最高裁判所事務総長の通達)第1.2(3)参照)。

2 関連文書
・ 最高裁判所による書記官事務等の査察について(平成13年9月4日付の最高裁判所事務総長の依命通達)
・ 民事立会部における書記官事務の指針(平成12年5月)
・ 民事立会部における書記官事務の指針の解説(平成12年5月)
・ 家庭裁判所調査官執務必携(平成20年3月の,最高裁判所事務総局家庭局作成の文書)

3 民事書記官実務必携(平成31年4月1日)からの抜粋



4 刑事書記官実務必携(平成31年4月1日)からの抜粋




5 最高裁判所事件管理システム
・ 最高裁判所の令和6年度概算要求書説明資料190頁には「最高裁判所事件管理システム等経費」として以下の記載があります。
最高裁判所事件管理システム等の運用等
<要求要旨>
    最高裁判所事件管理システムは、裁判部の調査官室、書記官室、訟廷事務室及び秘書課の秘書官室をネットワークで結び、最高裁で取り扱う各事件の訴訟進行等に関する情報を共有して、事務処理の適正化及び効率化を図ることを目的に平成15年から運用している。
    本システムは、12種類のプログラムで構成されているが、登録された事件の情報を基に多数の帳票を出力するとともに、事件の受理から終局に至るまでの進行や記録の授受、返還事務を円滑・効率的に管理するほか、統計資料の作成事務を適正・迅速に処理するなど、多種多様な事務処理において発揮される効果は絶大である。また、裁判所を利用する国民からの事件に関する問合せ、報道機関からの照会及び各省庁からの行政共助などの司法サービスにおいても、その検索機能は威力を発揮している。
    そこで、本システムの円滑な稼働のために必要なサーバリース料及び保守料を要求する。
    なお、サーバリースについてはデータセンタへのHW統合を行い、年度途中でリース期間が終了するが、サーバ更新(HW統合)に伴い、OSがMicrosoft Windows Server 2019等に変更となる。そのため、同更新後の環境において本システム及び本機能の全機能(画面表示、画面遷移及び出力帳票を含む。)が正常に動作するか調査し、調査の結果から改修が必要な箇所を特定して改修する。また、クライアント端末のWindows11及びOfficeへの対応改修を行った上で新サーバへのデータ移行作業を行う必要があり、そのために必要な経費を要求する。
    また、Java8の無償サポート期間が終了し、継続したサポートを受けるため、有償サポートのライセンス購入に必要な経費を要求する。

6 関連記事
・ 上告審に関するメモ書き
・ 最高裁判所における民事事件の口頭弁論期日
・ 最高裁判所における刑事事件の弁論期日
・ 上告審から見た書記官事務の留意事項
・ 最高裁判所の職員配置図(平成25年度以降)
・ 裁判所の指定職職員
・ 書記官事務等の査察

司法行政文書開示請求の対象とならないとされた下級裁判所の司法行政文書

○司法行政文書には,裁判事務に関する文書は含まれず,裁判事務に関する文書には,裁判に密接に関連する事項について,裁判官等が申合せを行った結果を記載し,裁判所の裁判部において管理している文書が含まれます。
ただし,下級裁判所事務局が司法行政事務を処理する目的で取得した場合,司法行政文書開示請求の対象になるみたいです(平成28年度(情)答申第7号(平成28年9月1日答申)平成30年度(情)答申第24号(平成31年3月15日答申)等参照)。
○行政機関の場合,行政文書該当性については,対象となる文書に係る具体的・客観的状況に基づいて判断すべきものであり,行政機関内部における一般的な取扱いや,行政機関の職員の主観的な認識といった事情により,その判断が左右されるものではありません(内閣法制局長官の国会答弁資料に関する平成28年度(行情)答申第646号(平成29年1月17日答申)9頁)。
これに対して司法行政文書の場合,裁判所内部における一般的な取扱いや,裁判所職員の主観的な認識といった事情により,司法行政文書に該当するかどうかの判断が左右されている気がします。
〇刑事裁判における公判前整理手続の場合,警察官が私費で購入したノートに記載し,一時期自宅に持ち帰っていた取調べメモについても証拠開示を命じられることがあります(最高裁平成20年9月30日決定参照)。
最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会によれば,下級裁判所の以下の文書は司法行政文書開示請求の対象とならないそうです。

1 弁護士が後見人として一定以上の財産を預かる場合,不正をチェックするために別の弁護士を「後見監督人」として付ける運用の基準を定めた文書(平成27年度(情)答申第3号(平成28年3月8日答申)
→ 「(1) 取扱要綱記第2本文は,「裁判所は,その保有する司法行政文書の開示の申出があった場合は,何人に対しても,当該司法行政文書を開示するものとする。」と定め,取扱要綱記第1は,「この取扱要綱において「司法行政文書」とは,裁判所の職員が職務上作成し,又は取得した司法行政事務に関する文書,図画及び電磁的記録(略)であって,裁判所の職員が組織的に用いるものとして,裁判所が保有しているものをいう。」と定めている。そして,司法行政文書には,裁判事務に関する文書は含まれず,裁判事務に関する文書には,裁判に密接に関連する事項について,裁判官等が申合せを行った結果を記載し,裁判所の裁判部において管理している文書が含まれると解される。
(2) そこで,本件開示申出文書について検討すると,本件開示申出文書について,最高裁判所事務総長は,後見監督人の選任等に係る個々の事件処理の参
考とするために,当該裁判に密接に関連する事項について東京家庭裁判所の複数の裁判官等が申合せを行った結果を記載した文書であることから,司法行政文書には該当しないと説明する。後見監督人の選任は,家庭裁判所が行う審判事項であり,その法律上の要件は「必要があると認めるとき」とされているにすぎないから(民法849条,家事事件手続法39条参照),後見監督人の選任に係る運用の基準は,家庭裁判所が行う後見監督人選任の審判という裁判に密接に関連する事項に係るものといえ,この点に関する上記説明は合理的である。
また,最高裁判所事務総長は,本件開示申出文書は,東京家庭裁判所及び立川支部の裁判部である家事部で管理していると説明するところ,上記のような本件開示申出文書の性質に照らすと,この点に関する説明も合理的である。
そうすると,本件開示申出文書は,裁判所の職員が作成したものではあるが,裁判事務に関する文書であるということができるから,取扱要綱記第1にいう「司法行政事務に関する文書」には当たらないというべきであり,その結果,本件開示申出文書は,取扱要綱記第2本文に定める司法行政文書の開示の手続の対象となる司法行政文書には該当しないのであって,同手続の対象とはならない文書であると認められる。」そうです。

2 ①破産管財人の報酬を決定する基準が書いてある文書,及び②破産管財人の報酬の目安が分かる文書(平成27年度(情)答申第4号(平成28年3月8日答申)
→ 「最高裁判所事務総長は,本件各開示申出文書が存在するとすれば,それらは,破産事件における破産管財人の報酬決定を行う際の基準又は目安について記載された文書であるから,個々の破産事件の処理の参考とするために,裁判事項ないし裁判に密接に関連する事項について複数の裁判官等が申合せを行った結果などを記載したものであるから,専ら裁判事務に関して作成された文書であって,司法行政事務に関して作成された司法行政文書ではないと説明する。破産管財人の報酬の額は,個別の事件ごとに,当該事件の破産管財人につき,その都度裁判所が定めるものであるから(破産法87条1項参照),破産管財人の報酬決定の基準やその目安は,破産管財人の報酬決定という裁判に密接に関連する事項に係るものといえ,この点に関する上記説明は合理的である。
また,最高裁判所事務総長は,神戸地方裁判所において司法行政事務を所掌する事務局に所属する職員がこれらの文書を取得したこともないと説明するところ,上記のような本件各開示申出文書の性質に照らすと,この点に関する説明も合理的である。
そうすると,本件各開示申出文書は,裁判所の職員が作成したものではあるが,裁判事務に関する文書であるということができるから,取扱要綱記第1にいう「司法行政事務に関する文書」には当たらないというべきであり,その結果,本件各開示申出文書は,取扱要綱記第2本文に定める司法行政文書の開示の手続となる司法行政文書には該当しないのであって,同手続の対象とはならない文書であると認められる。」そうです。

3  成年後見人の選任に関して,東京家庭裁判所が特定の団体らとの間で取り交わしている文書(平成27年度(情)答申第5号(平成28年3月8日答申)
→ 「最高裁判所事務総長は,本件各文書は,後見人選任の審判の用に供するために,東京家庭裁判所の裁判部の一部門である家事第一部2係(後見センター)で取得し,保存していると説明する。本件開示申出の内容に照らすと,本件各文書がいずれも外部の団体から東京家庭裁判所の裁判部が取得した文書であると解されることや,成年後見人の選任が家庭裁判所によって行われる裁判事務であること(民法849条参照)を総合すると,上記の説明は合理的であり,本件各文書は,専ら後見人選任の審判という裁判事務のために用いるものとして東京家庭裁判所の裁判部で取得した文書で,裁判部で管理しているものであると認めることができる。
そうすると,本件各文書は,いずれも取扱要綱記第1にいう「司法行政事務に関する文書」には当たらないというべきであるから,これらは同記第2本文に定める司法行政文書の開示の手続の対象となる司法行政文書には該当しないのであって,同手続の対象とはならない文書である。」そうです。

4 東京地裁民事21部の事務処理要領(平成28年度(情)答申第7号(平成28年9月1日答申)
→ 「本件開示申出文書について検討すると,これは,東京地方裁判所の裁判部である民事第21部の事務処理要領であるから,個々の事件処理の参考とするために作成されたもので,裁判に密接に関連する事項について,裁判官等が申合せを行った結果を記載したものであると考えられる。
そして,最高裁判所事務総長は,東京地方裁判所の事務局が本件開示申出文書を司法行政事務を処理する目的で取得したことはないと説明するところ,この説明が不合理であるとうかがわせる事情はないから,本件開示申出文書は裁判部において管理されているものと認められる。この点について,苦情申出人は,不適切な郵便切手の管理に関する調査に関連して司法行政部門が本件開示申出文書を取得しているはずであると主張するが,そのような調査に際し,調査対象となる裁判部における事務処理要領を取得する必要があるとする具体的な事情はうかがわれないから,そのような事実を認めることはできない。」そうです。

5 東京家裁における,本人死亡後の後見等監督に関する運用が書いてある文書(平成30年度(情)答申第24号(平成31年3月15日答申)
→ 「苦情申出人が開示を求める文書は,本人死亡後の後見等監督という裁判事務に関する文書と解される。また,最高裁判所事務総長の上記説明によれば,東京家庭裁判所の事務局及び訟廷事務室において,本件開示申出文書を司法行政目的で取得したことはないとのことであり,このことは当委員会庶務において確認された。」そうです。

6 名古屋高等裁判所が特定の裁判官を懲戒処分とした際に作成し,又は取得した文書(平成31年度(情)答申第2号(平成31年4月19日答申)
→ 「憲法78条は「裁判官の懲戒処分は,行政機関がこれを行ふことはできない」と,裁判所法49条は「裁判官は,職務上の義務に違反し,若しくは職務を怠り,又は品位を辱める行状があつたときは,別に法律で定めるところにより裁判によつて懲戒される」とそれぞれ定めており,裁判官分限法及びこれに基づく裁判官の分限事件手続規則において,裁判官の懲戒に関する事件の裁判管轄や手続について規定されていることからすれば,本件開示申出文書は裁判事務に関する文書と解される。」そうです。

不開示事由に該当するとされた下級裁判所の司法行政文書

最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会によれば,以下の司法行政文書には不開示情報が含まれています。
行政機関情報公開法6条2項は,「開示請求に係る行政文書に前条第一号の情報(特定の個人を識別することができるものに限る。)が記録されている場合において、当該情報のうち、氏名、生年月日その他の特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くことにより、公にしても、個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるときは、当該部分を除いた部分は、同号の情報に含まれないものとみなして、前項の規定を適用する。」と定めており,その意義につき,最高裁平成19年4月17日判決の裁判官藤田宙靖の補足意見が参考になります。

1 「東京地裁が,平成28年1月までに,60代の女性書記官を1ヶ月の停職処分にした際に作成し,又は取得した文書」のうち,被処分者の氏名等(平成28年度(情)答申第6号(平成28年9月1日答申)
→ 「原判断庁が本件各対象文書のうち不開示としたのは,①被処分者の氏名,②級号俸,③事件番号,④刑事裁判との関係欄の年月日,⑤具体的な事件に係る期日の月日,⑥事件当事者の呼称,⑦書証番号,⑧被処分者による行為の月日(同人が自己の事務の誤りに気付いたり,認識した月日を含む。)及び⑨被処分者が誤って作成した期日呼出状に記載された期日の年月日の情報(以下「本件不開示情報」という。)である。
本件各対象文書記載の情報(文書2の書式に相当する情報を除く。)は,全体として被処分者を識別することができることとなる情報(法5条1号)に相当する情報であるが,そのうち本件不開示情報以外の情報は,「懲戒処分の公表指針」に従って,報道機関を通じて公表した情報であることから,慣行として公にされる情報(法5条1号イ)に相当する情報であり,本件不開示情報は,同号ただし書イ,ロ及びハのいずれにも相当しない情報である。さらに,本件不開示情報のうち,上記②及び④を除く情報は,事件当事者を識別することができることとなる情報若しくは個人の権利利益を害するおそれのある情報(法5条1号)又は法人等の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある情報(法5条2号イ)に相当する情報である。」そうです。

2 平成28年5月27日の,小池裕最高裁判所判事の水戸地方裁判所視察に関する視察日程案,視察日程細目(平成28年度(情)答申第14号(平成28年10月24日答申)
→ 「最高裁判所は,司法権及び司法行政権の最高機関であるから,最高裁判所判事が要人として犯罪行為等の標的となることは否定できない。そして,憲法週間における最高裁判所判事による下級裁判所の視察が毎年行われるものであることも考慮すると,視察の際の日程等の詳細が公になると,それを蓄積して移動手段や日程等の傾向を分析され,今後の視察の行動を予測されるなどして,犯罪行為等の実行に利用されるおそれがある」そうです。

3 特定の裁判官の退官願のうち,作成年月日,当該裁判官の署名及び押印並びに退官願の理由を記載した部分(平成28年度(情)答申第20号(平成29年2月24日答申)
→ 「本件対象文書を作成した年月日及び退官を願い出る理由については,官報等により公表されているものではないから,法5条1号ただし書イに相当するものではない」そうです。

4 特定裁判官が有報酬兼業として自分名義の著作を販売することを許可してもらうために,東京高等裁判所との間で授受した文書(平成28年度(情)答申第24号(平成29年3月17日答申)
→ 「裁判所法52条2号は,裁判官は,在任中,最高裁判所の許可のある場合を除いて,報酬のある他の職務に従事することができない旨規定しているから,特定の裁判官が報酬のある他の職務に従事することの許可を求めた文書の存否を答えることは,当該裁判官が報酬のある他の職務に従事し,又は従事しようとしている事実の有無に係る情報を明らかにすることと同様の結果を生じるものと認められる。
そして,特定の裁判官が報酬のある他の職務に従事し,又は従事しようとしているか否かという情報は,当該裁判官の個人に関する情報であって,当該情報に含まれる氏名等により当該裁判官という特定の個人を識別することができるものに当たると認められる。そして,当該情報は,法5条1号ただし書イに規定する法令の規定により又は慣習として公にされ,又は公にすることが予定されている情報であるとは認められないし,同ハに規定する当該裁判官の職務遂行に係る情報であるとも認められない。したがって,当該情報は,法5条1号の不開示情報に相当すると認められる。
この点について,苦情申出人は,当該裁判官が,自分名義の著作を販売していることを自身のツイッターで宣伝していることをもって,慣行として公にされている情報であると主張するが,苦情申出人が主張するような事実をもって当該裁判官が申出に係る許可を受けたか否かに係る情報が,慣行として公にされているとは認められない。さらに,他に裁判官が報酬のある他の職務に従事し,又は従事しようとしているか否かを公表する慣行があると認めるに足りる事情はない。したがって,苦情申出人の上記主張は失当である。」そうです。

5 岡口喜一裁判官に対する厳重注意に関する文書(平成29年度(情)答申第2号(平成29年4月28日答申)
→ 「本件注意は,下級裁判所事務処理規則21条に基づくものであり,同条は,「高等裁判所長官(略)は,所属の裁判所の監督に服する裁判所職員に対し,事務の取扱及び行状について注意を与えることができる。」と規定している。
上記の最高裁判所事務総長の説明及び口頭説明の結果を踏まえるならば,下級裁判所事務処理規則21条に基づく注意は,事務の取扱いや行状についての改善を目的として行うものであって,懲戒処分のような制裁的実質を含んだ処分とは異なるものであると判断される。
そして,裁判官については,憲法上その独立が強く保障されており,懲戒処分も,裁判官分限法に基づく分限裁判によって行われることとされていて(裁判所法48条,49条参照),下級裁判所事務処理規則21条に基づく注意がされたとしても,そのことにより,当該裁判官に具体的な不利益が課されることは,予定されていない。また,裁判官の懲戒である分限裁判が確定したときは,官報に掲載して公告されることとされている(裁判官の分限事件手続規則9条)のに対し,下級裁判所事務処理規則21条に基づく注意は,公表が予定されていない。
下級裁判所事務処理規則21条に基づく裁判官に対する注意が上記のような性質のものであることからすると,その運用自体が裁判官の個人的事情に関わる機微なものであるというべきであり,その手続きについては,当該裁判官の行状等の改善に対する実効性を確保する目的で,適切な時期に効果的な形でされるべきであるという観点等から慎重であるべきものと認められる。したがって,司法行政手続の中でその運用においてどのような手続がとられるのか,文書が作成されるのか,作成されるとしてどのような文書が作成,管理,保存されるのかなどについて,本来,これを公にすると,下級裁判所事務処理規則21条に基づく注意という人事管理に係る事務に関与する判断権者及び職員に対し,文書の作成,管理,保存について好ましくない影響が生ずる等,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあると認められる。
そうすると,本件については,本件対象文書の存否を答えるだけで,上記のような人事管理に係る事務の遂行に支障を及ぼすおそれがある情報を開示することになるというべきであり,当該情報は,法5条6号ニに規定する不開示情報に相当する情報であるから,原判断においては,取扱要綱記第5に基づき,本件対象文書の存否を明らかにしないで不開示とすべきであったと認められる。」そうです。
→ 東京高裁長官が下級裁判所事務処理規則21条に基づき注意を与える際の事務手続が分かる文書が存在しないことは,平成29年3月23日付の司法行政文書不開示通知書によって明らかにされています。

6 名古屋高裁がマスコミに提供した,名古屋高裁平成28年11月28日判決(被告人は藤井浩人美濃加茂市長)の判決要旨(平成29年度(情)答申第4号(平成29年5月25日答申)
→ 「判決要旨の作成は,報道機関からの申請を受けて対応するのが一般的であるところ,この判決要旨の交付申請は,報道機関の取材活動そのものである。当該申請が個別の記者の独自の取材活動の一環として行われた場合はもとより,幹事社を経由しての司法記者クラブ全体からの申請で行われた場合であっても,判決要旨が作成されたことが公開され,報道機関の取材活動の存在,内容が推知されてしまうことは,取材源の秘匿を基本原則とする報道機関と裁判所との信頼関係を大きく損なうおそれがあり,ひいては,裁判報道に係る広報事務の遂行を困難にする可能性が高い。」そうです。

7 文書管理簿(投書等)のうち,内容,提出方法及び備考の各欄(平成29年度(情)答申第5号(平成29年6月9日答申)
→ 「宛先欄の不開示部分のうち個人名以外が記載されている部分には,東京高等裁判所の特定部署等の名称が記載されており,これらの記載部分は,投書等の内容を推測させるものであるから,公にしたときには投書等を行った個人の権利利益を害するおそれがあるものと認められる。
また,内容欄には,投書等の概要として個人の氏名,投書等を行った者の意見や信条等が記載されており,このうち個人の氏名は,個人識別部分である。その他の記載部分については,意見や信条等が記載されていることからすれば,公にしたときには個人の権利利益を害するおそれがあるものと認められる。
さらに,提出方法等欄には,東京高等裁判所の特定部署等に関する記載及び投書等が郵送で提出された場合の消印が押された郵便局名の記載があり,このうち特定部署等に関する記載については,宛先欄と同様に判断すべきである。また,郵便局名の記載については,投書等を行った者の最寄りの郵便局である蓋然性があると考えられるところ,当委員会庶務に調査させた結果によれば,人口の少ない地域に複数の郵便局が存在する例もあることから,投書等を行った者の住居を推測することが可能である。よって,この記載も,個人識別部分に該当すると判断すべきである。
さらに,備考2欄の不開示部分には,東京高等裁判所を含む複数の裁判所の特定部署に関する記載や,投書等を行った者に関する情報等の記載があり,これらの記載については,宛先欄及び内容欄と同様に判断すべきである。」そうです。

8 札幌高裁が所持品検査の実施に関して民間業者との間で締結している契約書(平成30年度(情)答申第1号(平成30年6月15日答申)
→ 「当委員会において本件開示文書を見分した結果,本件不開示部分には,警備業務の具体的な内容や警備体制が記載されていることが認められる。このような記載内容に照らすならば,本件不開示部分を公にすることにより,警備レベルの低下を招くことになり,警備事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。

9 大阪高裁が入庁検査の実施に関して民間業者との間で締結している契約書(平成30年度(情)答申第2号(平成30年7月20日答申)
→ 「当委員会において本件開示文書を見分した結果,本件不開示部分には,警備業務の具体的な内容や警備体制が記載されていることが認められる。このような記載内容に照らせば,本件不開示部分を公にすることにより,警備レベルの低下を招くことになり,警備事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。

10 東京高等裁判所において特定の裁判官のツイートに関する抗議を受けた際に作成し,又は取得した文書(平成30年度(情)答申第9号(平成30年9月21日答申)
→ 「本件開示申出の内容からすれば,本件開示申出文書の存否を明らかにすると,特定の裁判官が私的にツイートした内容に関して第三者から抗議がされた事実の有無が公になると認められる。このような情報は,法5条1号に規定する不開示情報に相当する。苦情申出人は,上記の事実は慣行として公にされていると主張するが,最高裁判所事務総長の説明によれば,裁判所として公表したことはないとのことであり,同号ただし書イに相当するとは認められない。」そうです。

11 特定の裁判官がツイッターに投稿した件に関して東京高等裁判所が作成した全文書(平成30年度(情)答申第22号(平成31年3月15日答申)
→ 「本件対象文書を見分した結果によれば,本件対象文書の全体について,氏名等の個人識別情報のほか,下級裁判所事務処理規則21条に基づく注意に関する情報が記録されていることが認められる。そこで検討すると,同条に基づく注意は,事務の取扱いや行状についての改善を目的として行うものであって,懲戒処分のような制裁的な効果を伴わない措置であると解される。また,同条に基づく注意を実施する手続等に関する定めはない。そうすると,同条に基づく注意の性質上,その運用自体が個人的事情に関わる機微なものというべきであり,本件対象文書中の同条に基づく注意に関する情報については,その内容に照らして,これを開示することにより,人事管理に係る事務について好ましくない影響が生ずる等,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるものと認められる。」そうです。

12 東京高等裁判所が作成し,又は取得した同裁判所に所属する裁判官のツイート内容を印刷した文書(平成30年度(情)答申第23号(平成31年3月15日答申)
→ 「最高裁判所事務総長の上記説明によれば,本件開示申出文書は,裁判官の私的領域における言動についての文書であり,裁判官という自己の身分を明らかにした上での私的領域における言動については,その内容次第では裁判所又は裁判官の信用の失墜につながり得ることから,人事上の措置等に関係する文書となり得る性質を有するものであって,本件開示申出文書の保有の有無を明らかにすると,人事上の措置の必要性から作成,取得,管理,保存される文書の存否や内容を推認ないし憶測させることになり,人事管理に係る事務に関与する判断権者及び職員に対し,文書の作成,取得,管理,保存について好ましくない影響が生ずる等,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるとのことである。本件開示申出の内容からすれば,このような説明の内容が不合理とはいえず,本件開示申出文書の保有の有無を明らかにすることにより,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあると認められる。」そうです。

13 東京高等裁判所長官,東京高等裁判所事務局長及び特定の東京高等裁判所判事の間で特定の日時に行われた会話に関する文書(平成31年度(情)答申第3号(平成31年4月19日答申)
→ 「本件開示申出文書が特定の日時に東京高等裁判所長官,東京高等裁判所事務局長及び特定の東京高等裁判所判事の間で行われた会話に関する文書であることを踏まえれば,本件の開示申出に係る会話は人事管理に関する内容となり得るものといえ,本件開示申出文書の存否を明らかにすると公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。

14 東京高等裁判所が特定の裁判官のブログに関して作成し,又は取得した文書(平成31年度(情)答申第4号(平成31年4月19日答申)
→ 「本件開示申出の内容からすれば,本件開示申出文書の存否を明らかにすると,特定の裁判官が特定のブログを管理しているという個人に関する情報が公になると認められる。
また,最高裁判所事務総長は,本件開示申出文書の存否を明らかにすると,人事上の措置等の必要性から作成,取得,管理又は保存がされる文書の存否や内容を推認させ,又は憶測させることになり,人事管理に係る事務に関与する判断権者等に対し,文書の作成,取得,管理又は保存について好ましくない影響が生ずること等によって,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあると説明する。本件開示申出文書が裁判官の私的領域における言動についての文書であることを踏まえれば,私的領域における言動については,本来はその個人の領域に属するものではあるが,その内容次第では裁判所の信用の失墜につながり得ることから,人事上の措置等に関係する文書となり得る性質を有するものである。よって,そのような性質を有する本件開示申出文書の存否を明らかにすると公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。

下級裁判所が直ちに廃棄しているとされた司法行政文書

最高裁平成26年7月14日判決によれば,行政機関の情報公開の場合,ある時点において当該行政機関の職員が当該行政文書を作成し,又は取得したことが立証された場合において,不開示決定時においても当該行政機関が当該行政文書を保有していたことを直接立証することができないときに,これを推認することができるか否かについては,当該行政文書の内容や性質,その作成又は取得の経緯や上記決定時までの期間,その保管の体制や状況等に応じて,その可否を個別具体的に検討すべきものとされています。
最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会によれば,以下の司法行政文書は下級裁判所が直ちに廃棄しているそうです。

1 神戸地裁における,①視察の日時時刻,発着地,事項,配車,乗員,随行の秘書官等の詳細が記載されている基本日程及び詳細日程,③最高裁判所判事との座談会の出席者名簿及び座談会席図,④庁内巡視の順序が分かる文書並びに⑤最高裁判所判事との懇親会の出席者名簿(平成27年度(情)答申第2号(平成28年2月18日答申)
→  「苦情申出人が存在するはずであると主張する①から⑤までの文書のうち②の文書以外の文書については,その標題や最高裁判所事務総長の説明に照らすと,最高裁判所判事の視察に関する具体的な日程,出席者及び巡視の流れを記載した当該視察の際に必要となるものといえるが,その後にわたって意思決定に至る過程や事務の実績を検証するために必要とされる内容のものではないといえるから,神戸地方裁判所においてはこれらを内容が軽微かつ簡易なものとして,短期保有文書として扱っていたとする最高裁判所事務総長の説明に不合理な点はない。そして,これらの文書の内容に照らせば,視察日から2か月近くが経過した本件開示申出の時点で廃棄していたとの取扱いは,事務処理上必要な期間が満了したときに廃棄されたものとして,上記各通達の定めに従ったものであるといえ,他にこれらの文書の存在をうかがわせるような事情はない。」そうです。

2  平成28年1月1日の神戸地裁所長交代時の引継書(添付書類を含む。)(平成28年度(情)答申第4号(平成28年7月15日答申)
→ 「最高裁判所事務総長は,現在の神戸地方裁判所長に確認したところ,事務の引継ぎに際しては,メモ程度のものは作成されたが,それは,現所長が前所長から受け取り,読んだ後,必要がなくなったので,1週間程度で廃棄したとのことであったとし,所長の事務の引継ぎの性質に照らすと,これは合理的であると説明する。
上記の説明は,神戸地方裁判所長の事務の引継ぎに際して作成されたメモは,引継ぎを受けた現所長個人の責任で保有し,その個人にとって必要な限度で利用した上で廃棄したというものと解されるのであり,このことは,所長の事務の引継ぎという事務の内容に照らして,不合理なものとは認められない。
」そうです。

3 直近に開催された,首席家庭裁判所調査官協議会及び家事事件担当裁判官等協議会に関する配付資料(平成28年度(情)答申第5号(平成28年7月15日答申)
→ 「最高裁判所事務総長は,本件各開示申出文書が短期保有文書として随時廃棄して差支えない文書であり,既に廃棄されているとする原判断庁の説明は合理的であると説明する。本件各開示申出文書は,いずれも,東京高等裁判所で開催された協議会の配付資料で,最高裁判所から東京高等裁判所を通じて協議員に対して協議の参考として配布された文書であるというのであるから,その用途は,協議員が協議の参考にするに止まり,東京高等裁判所においてこれに基づく事務等が予定されているものとは認められない。そうすると,協議会が終了すれば,東京高等裁判所において保有する必要性がなくなるものであるということができるから,東京高等裁判所において,これらについて,保存期間を1年以上にする必要がない短期保有文書として扱っていることは,前記1の各通達に沿った取扱いであり,相当である。以上によれば,本件開示申出の時点において,本件各開示申出文書が,いずれも廃棄済みであって存在しないとする原判断庁の説明は合理的であり,これを覆すに足りる事情はない。
この点につき,苦情申出人は,平成25年2月改訂のJ・NETポータル民事情報データベース操作マニュアル<一般ユーザ編>に,平成19年度の協議会資料が存在するような記載部分があることをもって,本件各開示申出文書が存在すると主張するが,上記の記載は,本件各開示対象文書に係る協議会とは全く別の年度に開催された協議会に関するものである上,マニュアル上の記載が実際の文書の存在を推認させるものでないことはいうまでもないのであるから,採用の限りでない。」そうです。

4 東京地裁立川支部長が東京地裁本庁に定期的に送付している,支部の状況報告に関する書面(平成28年度(情)答申第12号(平成28年10月24日答申)
→ ①幹部連絡会の報告資料(月に一度行われる幹部連絡会において,支部長が所長に対して支部の状況を口頭報告する際に使用する補助資料)及び②裁判官会議終了後に行われる概況説明の資料(所長や支部長らが出席する裁判官会議終了後,出席者らが参加し,各部署から口頭で行われる概況説明の際に使用する補助資料)につき,
「上記(1)の説明によれば,資料の配布等の庶務を担当する部署では文書1及び文書2のいずれについても会議又は説明の終了後に廃棄をしたというのであるところ,上記(1)のとおり,幹部連絡会及び概況説明が,いずれも通達等に開催根拠がなく,組織的意思決定を予定していないものであることからすれば,文書1及び文書2について,そのように取り扱っていることは合理的である。したがって,当該部署において保有していた文書1及び文書2は,いずれも廃棄済みであると認められる。
また,上記(1)の説明によれば,文書1及び文書2の配布を受けた参加者は,手持ち資料として持ち帰ることはあっても,その保有又は処分については,参加者個人の自由な判断に委ねられていたというのであり,上記のとおりの幹部連絡会及び概況説明の性質に照らせば,当該説明も合理的であるといえるから,参加者が本件開示申出の時点で文書1又は文書2を保有していたとしても,それは,東京地方裁判所が組織的に用いるものとして保有しているものではなく,司法行政文書を保有していることにはならないことは明らかである。」そうです。

5 東京高裁が,平成30年1月10日にエレベーターの使用中止を決定した際に作成した文書(決裁文書及び裁判所内の回覧文書を含む。)(平成30年度(情)答申第15号(平成31年1月18日答申)
→ 「最高裁判所事務総長の上記説明によれば,本件開示申出文書に該当する文書として,管理職員から職員へ口頭で周知するために,その内容を記載した文書が作成されたが,当該文書は,エレベーター使用停止の措置について,管理職員から職員に対して口頭で周知を行うに当たり,その内容を正確に伝える目的に基づく短期保有文書であり,職員へ口頭で周知したことによりその目的が達成され,事務処理上保有しておく必要がなくなったことから廃棄したとのことであり,本件開示申出の内容に照らして検討しても,このような説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。

6 旭川地方裁判所が司法研修所に対して司法修習生の一部を配属換えする原因となった事実関係について報告した文書(平成29年度(情)答申第21号(平成30年3月23日答申)
→ 「当委員会庶務を通じて確認したところ,旭川地方裁判所では,上記の事実関係に関する文書のうち,本件対象文書以外の文書については,標準文書保存期間基準に照らして短期保有文書として取り扱うことが相当であることから,配属換えの手続が終了して,当該文書を保有する必要がなくなった後に廃棄した」そうです。

 

下級裁判所が作成又は取得していないとされた司法行政文書

○裁判所の職員は,文書管理者の指示に従い,裁判所における経緯も含めた意思決定に至る過程及び裁判所の事務の実績を合理的に跡付け,又は検証することができるよう,処理に係る事案が軽微なものである場合を除き,司法行政文書を作成しなければなりません(「司法行政文書の管理について(通達)」(平成24年12月6日付の最高裁判所事務総長通達)第3.1。なお,公文書等の管理に関する法律4条参照)。
最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会によれば,以下の文書は下級裁判所が作成又は取得していないそうです。

1 ①広島高等裁判所長官の事務引継書,及び②広島高等裁判所長官が交代した場合,どこに挨拶回りをすることになっているかが分かる文書(平成28年度(情)答申第8号(平成28年10月11日答申)
→ ①の文書につき,
「高等裁判所長官が行う事務の内容からすれば,その具体的な内容については,当該高等裁判所の職員から説明を受けることがふさわしいものが少なくないと考えられ,また,そのような説明によって事務を処理することで支障が生じるような事情もうかがわれない。そうすると,高等裁判所長官の交代に伴い事務引継書を作成することを予定するような定めはなく,他に,事務引継書が作成されていることをうかがわせる具体的な事情がないことも併せ考慮すれば,上記の説明は,合理的であるということができ,広島高等裁判所において,本件開示申出文書1を保有していないものと認められる。」そうです。

2 ①東京高等裁判所長官の事務引継書,及び②東京高等裁判所長官が交代した場合,どこに挨拶回りをすることになっているかが分かる文書(平成28年度(情)答申第9号(平成28年10月11日答申)
→ ①の文書につき,
「最高裁判所事務総長は,東京高等裁判所長官の交代時においては,後任者が最高裁判所事務総長であったところ,最高裁判所と東京高等裁判所の各庁舎は近接した場所に位置しているため,事務引継ぎは前任者から後任者へ口頭で行われ,事務引継書を作成していないと説明する。
前任者と最高裁判所事務総長であった後任者とが口頭で事務の引継ぎを行うことができたとする上記説明は,最高裁判所と東京高等裁判所の地理的関係に照らせば不合理とはいえない。また,高等裁判所長官が行う事務の内容からすれば,具体的な事務については,当該高等裁判所の職員から補充の説明を受けることがふさわしいものが少なくないとも考えられ,それにより事務に支障が生じるような事情もうかがわれない。
そうすると,高等裁判所長官の交代に伴い事務引継書を作成することを予定するような定めはなく,他に,事務引継書が作成されていることをうかがわせる具体的な事情がないことも併せ考慮すれば,本件開示申出文書1を作成していないとする上記説明は,合理的であるということができ,東京高等裁判所において,本件開示申出文書1を保有していないものと認められる。」そうです。

3 東京高等裁判所管内の裁判官の期別名簿(平成28年度(情)答申第10号(平成28年10月11日答申)
→ 「最高裁判所事務総長は,本件開示申出文書について,東京高等裁判所管内の裁判官を修習期ごとに並べた名簿と特定すべきと説明するところ,本件開示申出に係る申出書の記載に照らし,上記の特定は合理的である。
そして,同説明によれば,東京高等裁判所において本件開示申出文書は作成し,又は取得しておらず,事務処理上その必要もないとのことであるところ,当該説明が不合理であるとする事情もうかがわれない。」そうです。

4 交通の分野において,大阪地裁を中心とし,京都,神戸等の裁判所の専門部が平成27年度に集まり,情報交換を行った際に,神戸地裁が作成し,又は取得した文書(情報交換に際しての配付資料を含む。)(平成28年度(情)答申第16号(平成28年12月2日答申)
→ 「最高裁判所事務総長の説明及び本件対象文書の見分の結果を併せると,本件協議会は,京都地方裁判所,神戸地方裁判所及び大阪地方裁判所の民事交通損害賠償事件担当裁判官が出席して,本件懇談会は,大阪高等裁判所管内の地方裁判所の民事交通事件担当裁判官が出席して,いずれも民事交通事件に関する裁判事務の在り方等について協議することを目的とする会合であると認められるから,その配布資料が存在したとしても,その内容は裁判事務に関するものであると推察され,神戸地方裁判所の事務局において司法行政文書として保有する必要のあるものではないと考えられる。この点について,委員会庶務に調査させたところ,これらの会合の配布資料については,主催する大阪地方裁判所の裁判官から,他の裁判所の出席裁判官に宛てて直接送付されたとのことであり,上記のとおりのこれらの会合の性質に照らせば,そのような手続が踏まれたことも合理的といえる。」そうです。

5 東京高裁が平成28年6月21日付で岡口基一裁判官を口頭注意処分した際に作成した文書(平成29年度(情)答申第1号(平成29年4月28日答申)
→  「本件注意は,憲法及び裁判所法により身分が保障された裁判官に対するものであることや,当該裁判官の特定の行状に関してその改善を求める内容のものであって,当該裁判官個人の私的な事柄に関するものであること等を考慮すると,本件注意の意思決定の過程において文書が作成されなかったとしても,不合理とはいえず,他に本件開示申出文書が存在することをうかがわせる事情はない。」そうです。

6 東京高裁長官が下級裁判所事務処理規則21条に基づき注意を与える際の事務手続が分かる文書(平成29年度(情)答申第7号(平成29年7月24日答申)
→ 「下級裁判所事務処理規則21条に基づく注意は,事務の取扱いや行状についての改善を目的として行うものであって,懲戒処分のような制裁的な効果を伴わない措置であると解されるし,同条によれば,高等裁判所においては,専ら高等裁判所長官の責任において注意の要否やその態様等を決することが予定されており,注意の方法や文書の作成の要否等に関する定めはない。」そうです。

7 平成29年度中に実施された,東京家裁専門部・集中部と,東京三弁護士会との間の懇談会における配布資料及び懇談結果を記載した文書(平成30年度(情)答申第12号(平成30年12月21日答申)
→ 「最高裁判所事務総長の上記説明及び当委員会庶務を通じて確認した結果によれば,平成29年4月1日から平成30年3月31日までの間,本件申出に係る専門部又は集中部と東京三弁護士会又は東京の各弁護士会との間で懇談会を開催していないとのことであり,このような説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。

8 平成29年度中に実施された,東京地裁専門部・集中部と,東京三弁護士会との間の懇談会における配布資料及び懇談結果を記載した文書(平成30年度(情)答申第13号(平成30年12月21日答申)
→ 「最高裁判所事務総長の上記説明及び当委員会庶務を通じて確認した結果によれば,平成29年4月1日から平成30年3月31日までの間,本件申出に係る専門部又は集中部と東京三弁護士会又は東京の各弁護士会との間で懇談会を開催していないとのことであり,このような説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。

9 東京高等裁判所が平成28年6月21日付けで特定の裁判官を口頭注意処分した際に作成した文書(平成30年度(情)答申第22号(平成31年3月15日答申)
→ 「最高裁判所事務総長は,本件開示申出文書2について,本件開示申出文書1のうち下級裁判所事務処理規則21条に基づく注意に係る意思決定に関する文書と特定したものであり,したがって,別紙記載の各文書が同じ文書であるとはいえず,東京高等裁判所において本件開示申出文書2を保有していない旨を説明する。本件開示申出文書2は,特定の裁判官に対する注意のとき又は注意に供するために作成した文書と解するのが相当であるから,上記特定は妥当である。そして,同条に基づく注意に係る意思決定を行うに際し,文書の作成が必ず求められるものではないことからすれば,東京高等裁判所において本件開示申出文書2を保有していないという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。

司法行政文書開示請求の対象とならないとされた最高裁判所の文書

○行政機関の場合,行政文書該当性については,対象となる文書に係る具体的・客観的状況に基づいて判断すべきものであり,行政機関内部における一般的な取扱いや,行政機関の職員の主観的な認識といった事情により,その判断が左右されるものではありません(内閣法制局長官の国会答弁資料に関する平成28年度(行情)答申第646号(平成29年1月17日答申)9頁)。
これに対して司法行政文書の場合,裁判所内部における一般的な取扱いや,裁判所職員の主観的な認識といった事情により,司法行政文書に該当するかどうかの判断が左右されている気がします。
〇刑事裁判における公判前整理手続の場合,警察官が私費で購入したノートに記載し,一時期自宅に持ち帰っていた取調べメモについても証拠開示を命じられることがあります(最高裁平成20年9月30日決定参照)。
最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会によれば,最高裁判所の以下の文書は司法行政文書開示請求の対象とならないそうです。

1 憲法週間における最高裁判所判事の視察に際して受領した各高等裁判所及びその管内に関する概況説明資料(平成28年度(最情)答申第19号(平成28年6月28日答申)
→ 「最高裁判所事務総長は,最高裁判所判事が憲法週間に各地の裁判所を視察する際には,視察を受ける裁判所において,当該裁判所の事件動向等のほか,所在する都道府県の地域性及び特色について説明を受けていると聞いているが,最高裁判所事務総局において,当該説明に際して使用される資料の提出を求めてはおらず,当該文書を取得していないと説明するところ,最高裁判所事務総局が,上記資料を利用し,又はこれを保存する必要性はうかがわれないから,上記説明は合理的であると認められる。」そうです。

2 ①最高裁判所事務総長の事務引継書,及び②最高裁判所事務総長が交代した場合,どこに挨拶回りをすることになっているかが分かる文書(平成28年度(最情)答申第27号(平成28年9月1日答申)
→ ①の文書につき
「事務総長の説明によれば,事務総長の交代に当たり,事務引継書を組織的に作成することを予定するような定めはなく,それを作成するか否かは前任者個人の判断に委ねられているとのことである。また,実際に作成されたメモも,前任者個人の判断で作成されて直接後任者に交付され,あくまで個人の手持ち資料として後任者限りで使用及び保管がされているとのことである。
上記の説明を踏まえると,当該メモの作成・利用・保存・廃棄については,そのいずれの過程においても組織としての関与は何ら存在せず,事務総長個人の便宜的判断に委ねられているものと認められるのであって,たとえ事務総長が当該メモをたまたま廃棄せずに保有していたとしても,そのことのみをもって,最高裁判所の職員が組織的に用いるものとして最高裁判所が保有しているものということはできず,当該メモは,取扱要綱記第1に定める司法行政文書に当たらないと認められる。」そうです。
→ ②の文書につき
「事務総長が交代した場合に,どこに挨拶回りをするかについては,何ら定めはなく,そもそも挨拶は儀礼上のものにすぎないと考えられることからすると,一般的にその役職に応じた挨拶回り先として想定されるところがあったとしても,実際にどこに挨拶に行くかについては,個々の事務総長の意向によるとする説明が不合理とはいえない。」そうです。

3 新任の最高裁判所判事が着任したときの事務手続について書いてある文書(平成28年度(最情)答申第38号(平成28年12月2日答申)
→ 「最高裁判所事務総長は,本件開示申出文書に当たり得るものとして,認証式及び就任行事に関する事務手続を記載した文書と考えたとのことであるが,本件開示申出に係る申出書及び最高裁判所事務総局職員による開示申出人からの電話聴取の内容から,上記の解釈は妥当であると考えられる。
そして,最高裁判所事務総長の説明によれば,認証式については,それを実施する宮内庁から取得した文書も,最高裁判所事務総局が作成した文書もないとのことである。また,就任行事の実施に係る内容やスケジュールの確定は,担当部署の職員が口頭での確認により行っており,他の部署との連絡も口頭又は電話で行っていて,就任行事に関する事務手続について,担当係員が個人的にメモを作ることはあっても,司法行政文書は作成していないとのことである。最高裁判所判事についての認証式及び就任行事に関する事務手続は,これらの行事が滞りなく行われることを目的とするものであると考えられることからすると,事務手続に関して司法行政文書を作成していなかったとしても不合理とはいえず,これらを作成していたことをうかがわせる事情は見当たらない。」そうです。

4 最高裁判所規則(平成28年度(最情)答申第39号(平成28年12月2日答申)
→  「最高裁判所規則は,憲法77条1項の規則制定権に基づき,最高裁判所裁判官会議の議決により訴訟に関する手続,弁護士,裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について定められるものである(裁判所法12条1項参照)。これは,議決後,官報により公布することとされているから(裁判所公文方式規則2条),これにより広く周知が図られている。また,最高裁判所規則の条文については,不特定多数の者に販売することを目的として発行されている法令集等により容易に入手が可能である。それにもかかわらず,これを司法行政文書の開示手続の対象とした場合,図書館代わりの利用など当該手続を設けた趣旨に合致しない利用が見込まれるから,当該手続の対象とする必要はないというべきである。」そうです。
・ 内閣府情報公開・個人情報保護審査会の平成26年度(行情)答申第74号(平成26年6月5日答申)が参照されたみたいです。
また,総務省情報公開・個人情報保護審査会平成29年度(行情)答申第124号(平成29年6月28日答申)も同趣旨の答申をしています。
・ 現行日本法規は税込みで27万円します(ぎょうせいオンラインの「現行日本法規」参照)し,大阪弁護士会の図書室には置いてありません。
また,法務年鑑(平成27年)81頁によれば,現行日本法規の編成は, 本文50編100巻(125冊),索引3巻,旧法令改廃経過1巻,主要旧法令5巻,参照条文索引3巻及び法定刑一覧一覧の刑113巻(138冊)となっています。
平成27年中に発行した追録は,第10592号から第10891号までの300追録107,622頁です。

5 最高裁判所の各小法廷の審議期日表(平成30年度(最情)答申第45号(平成30年11月16日答申)
→ 「最高裁判所事務総長の上記説明によれば,本件開示申出文書は,審議事件について,審議期日及び審議期日における審議順序が決まった後に,裁判手続である審議及びその準備のために作成されているものであって,司法行政事務の用に供されるものではないとのことであり,本件開示申出文書の性質に照らして,このような説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。

6 裁判書の表示ハンドブック(平成30年度(最情)答申第50号(平成30年11月16日答申)
→ 「最高裁判所事務総長の上記説明によれば,本件開示申出文書は,最高裁判所の裁判書で用いられる具体的な表示の方法が記載されている文書であり,専ら裁判書の作成のために利用されるものであるとのことであり,本件開示申出文書の性質に照らして,このような説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。

不開示事由に該当するとされた最高裁判所の司法行政文書

最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会によれば,以下の司法行政文書には不開示情報が含まれています。
行政機関情報公開法6条2項は,「開示請求に係る行政文書に前条第一号の情報(特定の個人を識別することができるものに限る。)が記録されている場合において、当該情報のうち、氏名、生年月日その他の特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くことにより、公にしても、個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるときは、当該部分を除いた部分は、同号の情報に含まれないものとみなして、前項の規定を適用する。」と定めており,その意義につき,最高裁平成19年4月17日判決の裁判官藤田宙靖の補足意見が参考になります。

1 高等裁判所長官,地方裁判所長及び家庭裁判所長会同に関する文書のうち,特定の団体の立場姿勢に対する忌憚のない評価等(平成27年度(最情)答申第1号(平成27年12月25日答申)
→ 裁判所の事務に関連する裁判所と外部との間の意見交換の現状について,所長の認識等が記載されていることが認められ,これを公にすると,外部との信頼関係が損なわれるなどし,その結果,裁判所の事務の性質上,その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められるそうです。

2 裁判官の転勤の内示時期の目安が分かる文書(平成27年度(最情)答申第5号(平成28年2月22日答申)
→ 「裁判官は,憲法上その職務の独立性が保障されるとともに,身分が保障されており(憲法76条3項,78条),また,身分保障の現れとして,その意思に反して,転官や転所をされることはないとされている(裁判所法48条)。したがって,裁判官の異動時期の目安を含めた人事管理に係る情報については,裁判官の独立を確保するため,非常に高い機密性が求められる機微な情報であるということができ,本件対象文書に記録されている上記のような情報を公にすると,それを知った裁判官の異動を望み,あるいは望まない関係者などから不当な働き掛け等がされるなどして,今後の裁判官の人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあると認められることから,本件対象文書に記録された情報は,その文書の標題部分や発出者名等も含め,全体として法5条6号ニに規定する不開示情報に相当する情報に当たると認められる。」そうです。

3 「これからの後見監督の在り方について(参考資料)」と題する文書のうち,監督区分等(平成27年度(最情)答申第6号(平成28年2月23日答申)
→ 監督対象事件を分類した監督区分に関し,各区分に分類される事案の具体的内容や,区分ごとの監督方法などが記載されていることが認められるところ,これらの具体的内容が公になると,各区分の事案の内容や監督方法等の分析を行って,監督強化のための措置を免れたりする者が出現する可能性や,自己の監督の内容を知って,不正行為やその隠蔽を行う者が出現する可能性があるといえ,その結果,家庭裁判所による不正の兆候等の把握に支障が生じて,後見監督事務の性質上,その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められるそうです。

4 司法修習生考試結果集計表のうち,各科目における「(うち予備試験資格者)」及び「(うち予備試験資格者以外)」の「優」,「良」,「可」及び「不可」の「人員」及び「割合」を示す部分(平成28年度(最情)答申第5号(平成28年4月14日答申)
→ 「不開示部分に記載された情報は,いずれも,個人の氏名等の特定の個人の識別を直ちに可能とする情報ではない。しかし,司法修習生考試の受験者中予備試験資格者の人数が第66期については40人,第67期でも112人であり,他方で,本件各対象文書の原判断において開示された部分によれば,各科目で「不可」となった者が,司法修習生全体でも多くて1.06パーセントと極めて少なく,予備試験資格者で「不可」となった者は極めて少ないと容易に推認されることからすると,司法修習を終えた者の氏名が官報公告されていることなどから,司法修習生の一部の者らの間では,予備試験資格者で司法修習生考試に不合格となった者の特定が可能になる。そして,上記のとおり各科目で「不可」となった者の数が極めて少なく,予備試験資格者で「不可」となった者の数も極めて少ないと推認されることからすると,不開示部分に記載されている情報は,予備試験資格者で特定の科目につき「不可」となった者を特定することができる可能性がある情報であるという上記(2)の最高裁判所事務総長の説明は,不合理とは言い難い。そうすると,不開示部分に記載されている情報は,一体として,予備試験資格者で特定の科目で「不可」となった者を特定することができる情報として,法5条1号に相当する情報であるということができ,同号ただし書イからハまでに相当する事情は認められない。また,上記に述べたところからすれば,不開示部分については,その全てが特定の個人を識別することができることとなる部分に該当し,あるいは個人の権利利益を害するおそれのある情報であるから,取扱要綱記第3の2に定める部分開示の対象ともならない。」そうです。

5 裁判所業務に必要なサイトをまとめたホワイトリスト(平成28年度(最情)答申第7号(平成28年4月14日答申)
→ 「近時の官公庁や民間企業に対するサイバー攻撃が多発している現状に照らすと,国の機関であり,多数の個人情報を取り扱う裁判所の情報セキュリティは,厳しく守られるべき状況にあるといえ,情報セキュリティに関連する情報は十分に秘匿すべき情報であるということができるところ,最高裁判所の職員の口頭説明の結果によれば,本件存否情報は,裁判所の情報ネットワークの仕組みやサイバー攻撃のきっかけ等を推測させる情報であると認められる。」そうです。
→ 平成27年11月の「全司法新聞2229号」には,「接続制限の代替方策として、別回線でのインターネット接続を可能とする端末の増設と、業務に必要なサイトのホワイトリストへの追加を要求していくことをあわせて確認しました。」と書いてあります。
そのため,裁判所にホワイトリストが存在することは,全司法労働組合によって公表されています。

6 裁判官昇給候補者名簿の氏名,期別,昇給号報,官職名等(平成28年度(最情)答申第13号(平成28年6月3日答申)
→ 具体的に昇給する者の期別や昇給号報,その人数等の情報が含まれていることが認められるところ,そのような情報は,最高裁判所事務総長が説明するとおり,人事事務担当者等の一部の関係職員以外には知られることのない性質のものであると推測される。

7 司法修習生組別一覧表のうち,司法修習生の氏名が記載されている部分(平成28年度(最情)答申第26号(平成28年9月1日答申)
→ 司法修習生は,法5条1号ただし書ハの「公務員等」に相当する者には該当しないそうです。

8 具体的な職名,級についてどのような考え方に基づいて定数配付を行っているのかが分かる文書(平成28年度(最情)答申第30号(平成28年10月24日答申)
→ 「本件対象文書の見分の結果及び最高裁判所の職員の口頭説明の結果を総合すると,定数配布とは,級別定数の範囲内で適任者を適正に昇格させるために用いられる手法であると認められる。そして,本件対象文書の見分の結果によれば,本件対象文書には,その手法に関する事項の一部が記載されているところ,最高裁判所の職員の口頭説明の結果によれば,具体的な手法の内容は,ごく一部の職員にしか知られることのない極めて機密性の高い性質のものであり,たとえ標題だけが知られることになったとしても,裁判所の人事管理に関して無用の憶測を呼ぶなどするおそれがあるとのことであり,当該説明が不合理とはいえない。そうすると,人事管理に係る事務という公平性と機密性が要求される事務の性質上,本件対象文書に記録された情報については,標題も含めた全体について,これを公にすると,これを知った者に無用な憶測を生じさせたり,さらには,職員の適正かつ円滑な職務遂行に好ましくない影響が及ぶなどして,裁判所の人事事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる。」そうです。

9 最高裁判所裁判官会議議事録の本文部分の署名及び印影(平成28年度(最情)答申第36号(平成28年12月2日答申)
→ 「最高裁判所裁判官会議の議長である最高裁判所長官及び秘書課長の署名及び印影は,いずれも法5条1号に規定する個人に関する情報であって特定の個人を識別することができるものに相当するところ,最高裁判所事務総長の説明によれば,裁判所においても,行政府省と同様に,職員の職務の遂行に係る情報に含まれる当該職員の氏名は,特段の支障の生ずるおそれがある場合を除き公にすることとして取り扱っているとのことである。そこで,検討すると,裁判官会議の議事録の署名及び印影は,職務の遂行に係る情報であるというべきであるが,その固有の形状が文書の真正を示す認証的機能を有しており,そのような署名や印影を公にすれば,これを偽造され悪用されるなどして,個人の権利利益を害するおそれがあるといえる。」そうです。

10 最高裁判所の庁舎平面図のうち,傍聴人や裁判所見学者が立ち入る場所を除く場所に係る部分(平成28年度(最情)答申第48号(平成29年3月17日答申)
→ 最高裁判所の庁舎は,その多くの部分が一般の来庁者の出入りが想定されていない建物であり,入構するには原則として許可が必要であることや,内部に最高裁判所判事室や事務総局の中枢部分などがあることからすると,全体として高度なセキュリティの確保が要請されており,庁舎の部屋の配置等を公にすることにより,全体として警備事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるそうです。
→ 最高裁判所には,大法廷棟,小法廷棟,図書館棟,裁判官棟,裁判部棟,事務北棟及び事務西棟の7つの建物があります(裁判所HPの「裁判所施設の耐震性に係るリスト(平成22年7月)」参照)ところ,その位置関係も不開示情報だそうです。
なお,裁判官棟のIs値は0.27となっていますところ,外部HPの「耐震性能とIs値(耐震指標)について」によれば,Is値が0.6以下の建物については耐震補強の必要性があると判断されます。また,一般財団法人日本耐震診断協会HPの「耐震診断の基準(is値)」のほか,「建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための基本的な指針」(平成18年1月26日国土交通省告示第184号)別表第六(リンク先のPDF28頁)によれば,Isが0.3未満の場合,「地震の震動及び衝撃に対して倒壊し,又は崩壊する危険が高い。」と書いてあります。

11 平成27年度裁判官異動計画(平成29年度(最情)答申第4号(平成29年5月25日答申)
→ 「裁判官は,憲法上,その職務の独立性が保障されるとともに,身分が保障されている(憲法76条3項,78条)。また,その身分保障の現れとして,裁判官がその意思に反して転官や転所をされることはない(裁判所法48条)。これらの規定の趣旨に照らすと,裁判官の人事管理に係る情報については,裁判官の独立を確保するため,非常に高い機密性が求められる機微な情報であるということができ,本件対象文書に記録されている上記のような情報を公にすると,裁判官の異動を望み,あるいは望まない関係者等から不当な働き掛け等がされるなどして,今後の裁判官の人事管理に係る事務に関し,適正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあると認められるから,本件対象文書に記録された情報は,その文書の標題部分や発出者名等を含め,全体として法5条6号ニに規定する不開示情報に相当する。」そうです。

12 ①第68期導入司法修習生名簿(和光寮50音順)及び②第69期導入司法修習生名簿(和光寮50音順)(平成29年度(最情)答申第10号(平成29年6月9日答申)

→ 「司法修習生は,司法修習生間のやり取り等を通じて各司法修習生の修習地及び組についての情報を得ていることが少なくないという最高裁判所事務総長の説明は不合理とはいえないこと,本件対象文書には,司法修習生の氏名が50音順に記載されており,音によっては一人又は少数の氏名しか記載されていない部分もあることからすれば,修習地及び組の情報と照らし合わせることにより,入寮者の特定が可能となる場合があると考えられる。」から,修習地及び組は不開示情報に該当するそうです。

13 最高裁判所長官室の写真,最高裁判所判事室の写真及び最高裁判所首席調査官室の写真(平成29年度(最情)答申第27号(平成29年8月7日答申)
→ 「本件不開示部分のうちその余の部分については,その記載等の内容からすれば,上記部分を公にすると,最高裁判所長官室,最高裁判所判事室及び最高裁判所首席調査官室の位置及び構造が明らかになるものと認められる。そうすると,最高裁判所長官及び最高裁判所判事は,裁判所の業務に係る意思決定において極めて重要な役割を担っており,最高裁判所首席調査官は,最高裁判所の裁判所調査官の事務を総括していることから,いずれも襲撃の対象となるおそれが高く,上記各室は極めて高度なセキュリティが要請されるという最高裁判所事務総長の上記説明が不合理とはいえず,上記部分を公にすることにより,庁舎管理事務及び警備事務に支障を及ぼすおそれがあると認められる。」そうです。

14 司法修習生名簿(ひかり寮・部屋別)(平成29年度(最情)答申第46号(平成29年10月23日答申)
→ 「苦情申出人は,司法修習生の修習地,組及び室番号について,公にしても個人の権利利益を害するおそれがないなどと主張するが,司法修習生は司法修習生間のやり取り等を通じて各司法修習生の修習地,組,室番号についての情報を得ていることが少なくないという最高裁判所事務総長の説明する内容が不合理とはいえず,これらの情報を照らし合わせることにより,入寮者の特定が可能となる場合があると考えられる。」そうです。

15 69期の判事補志望者に対して実施した,最高裁判所の面接選考に関する文書(実施日時,実施場所,実施方法,面接担当者の肩書及び氏名等が書いてある文書をいうものの,これに限られない。)(平成29年度(最情)答申第52号(平成29年12月1日答申)
→ 「本件不開示部分のうち面接時間については,この記載を明らかにすることにより,結果として,面接に要する個別の時間を明らかにすることになるから,今後の人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある」そうです。

16 『弁護実務修習に対して望むこと』について(平成28年9月28日付の司法研修所事務局長通知)(平成30年度(最情)答申第3号(平成30年4月20日答申)
→ 「見分の結果によれば,本件開示文書は,分野別実務修習のうち弁護修習の指導担当者等に対して,指導に関する指針や具体的な留意事項等を示したものであり,本件不開示部分には,弁護実務修習の具体的な指導方針及び内容が記載されていることが認められる。このような記載内容に照らすならば,本件不開示部分が公にされた場合には,司法修習生の中には,それに焦点を絞ることに注力し,自らの課題を自覚した上での積極的かつ主体的な取組をしなくなるなど,上記修習の目的にそぐわない行動をとる者が出るおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。

17 平成29年10月24日に実施した,71期司法修習生採用希望者に対する面接に関して作成し,又は取得した文書(面接人数,実施日時,実施場所,実施方法,面接担当者の肩書及び氏名等が書いてある文書を想定しているものの,これに限られない。)(平成30年度(最情)答申第10号(平成30年5月25日答申)
→ 「本件不開示部分のうち面接対象者の出頭場所以外の記載部分については,見分の結果,司法修習生採用選考面接に係る申込者数や面接対象者数等が記載されていることが認められる。その記載内容に照らすならば,これらの記載部分を公にすることによって,面接の規模や形式等が明らかになり,どのような者が面接対象者になるかなどの推測がされて,今後の司法修習生の採用事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。

18 平成30年4月任官の弁護士任官者に対して実施した,最高裁判所の面接選考に関する文書(実施日時,実施場所,実施方法,面接担当者の肩書及び氏名等が書いてある文書をいうものの,これに限られない。)(平成30年度(最情)答申第13号(平成30年5月25日答申)
→ 「本件不開示部分のうち面接及び健康診断の時間については,各受験者についてこれらの情報を明らかにすることで,結果として面接に要する個別の時間等を明らかにすることとなり,今後の人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な運営の確保に支障を及ぼすおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。

19 司法修習終了証の書式が分かる文書(最新版)(平成30年度(最情)答申第23号(平成30年7月20日答申)
→ 「本件対象文書を見分した結果によれば,本件対象文書には,司法修習終了証書について,証明文言を含む書式全体が記載されていることが認められる。このような記載内容に照らせば,同証書は,司法修習生の修習を終えたことを要件とする弁護士登録のために必要な書類となる(弁護士法4条参照)ほか,公的機関及び民間企業等にも提出されることが想定される重要な証書であるため,その書式が明らかになると,当該書式を参考として司法修習終了証書を偽造することが容易になり,ひいては同証書の提出先において偽造された証書を真正なものと誤信するおそれが高まるから,司法修習の終了という重要事項に関する証明事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。

19 第71期司法修習生の採用選考申込みにおいて不合格となった人の数が分かる文書(平成30年度(最情)答申第25号(平成30年7月20日答申)
→ 「原判断においては,本件開示文書のうち不採用者名簿について,標題を除く部分が余白を含めて不開示とされているところ,見分の結果によれば,本件不開示部分には少人数である不採用者が記載されていることが認められる。このような記載内容に照らせば,本件不開示部分の記載内容から不採用者の数が明らかとなり,ひいては不採用者が特定される可能性や不採用となった理由が特定される可能性があるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。

20 選択型実務修習における自己開発プログラムの内容が分かる文書(新第64期,新第65期,第67期及び第68期分)(平成30年度(最情)答申第26号(平成30年8月24日答申)
→ 「見分の結果によれば,本件対象文書は,①各配属庁会からの報告書の本文,②別紙である自己開拓プログラム審査結果報告書及び③司法修習生から提出された自己開拓プログラム申出書(申請書)によって構成されており,本件不開示部分は,①各配属庁会からの報告書の本文のうち報告書を提出した裁判所の庁名,修習地等,②別紙である自己開拓プログラム審査結果報告書のうち報告書を提出した裁判所の庁名,修習地,承認・不承認の別,修習生氏名,修習先,特記事項等,③司法修習生から提出された自己開拓プログラム申出書(申請書)のうち報告書を提出した裁判所の庁名,申出書提出先名,修習生氏名,班,修習生の印影,配属弁護士会,修習期間,修習先の名称・代表者・住所・電話番号・担当者の役職及び氏名,修習の目的,修習の内容,承認・不承認の別,不承認の理由,裁判所の受付印等であることが認められる。
このような記載(印影部分を含む。)の内容に照らせば,本件不開示部分は法5条1号に規定する個人識別情報と認められる。苦情申出人は,局長通知を
挙げて,自己開拓プログラムの修習先の名称等は不開示情報ではないと主張するが,局長通知の記載内容は承認又は不承認とされた修習先の例示としての抽象的なものにとどまることからすれば,本件対象文書に記載又は押捺がされた個別具体的な修習先の名称等が慣行として公にされているとは認められず,かつ,同号ただし書ロ及びハに掲げる情報に相当する事情も認められない。」そうです。

21 70期二回試験において,試験時間終了後も紐を結び続けていた司法修習生の行為に関して作成し,又は取得した文書(平成30年度(最情)答申第29号(平成30年8月24日答申)
→ 「最高裁判所事務総長の上記説明によれば,70期司法修習生考試において,試験時間終了後も紐を結び続けていた司法修習生の行為に関する司法行政文書が存在しているか否かを答えるだけで,該当する司法修習生の有無や当該行為に対する考試委員会の評価・判断等に関する情報を開示することになり,その結果,法5条6号に規定する不開示情報である応試者のどのような行為が不正行為として評価されるか(評価されないか)といった考試事務に関する情報が明らかとなって,今後の考試における不当な行為を容易にするなどのおそれが生じるとのことである。そして,本件開示申出文書の性質に照らして検討すれば,このような説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。

22 平成29年1月18日に開催された最高裁判所裁判官会議議事録(平成30年度(最情)答申第32号(平成30年9月21日答申)
→ 「本件不開示部分のうちその余の記載部分については,その記載内容に照らせば,罷免された司法修習生に係る個人識別情報と認められ,同号ただし書イからハまでに相当する事情は認められない。また,これらの記載部分については,司法修習生の人事事務に関する担当者等の一部の関係職員以外には知られることのない秘密性の高い情報であり,特に罷免理由を公にすると,どのような事案で罷免されるのかといった内容が明らかになるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえず,司法修習生の罷免に係る事務に支障が生じるおそれがあると認められるから,法5条6号ニに規定する不開示情報に相当する。」そうです。

23 昭和24年10月17日の最高裁判所裁判官会議の議事録(平成30年度(最情)答申第34号(平成30年9月21日答申)
→ 「本件不開示部分のうち「第二小法廷の判決に関する問題について」に係る議事の記載部分については,その記載内容に照らせば,裁判官会議決定に至る経緯等が記載されており,本件対象文書が約69年前に作成されたものであることを踏まえても,上記記載部分を公にすると非違行為に関する調査手法等を明らかにすることとなり,今後の人事管理事務に支障を及ぼすおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえず,法5条6号に規定する不開示情報に相当すると認められる。」そうです。

24 未済事件一覧表(平成27年10月7日現在)(平成30年度(最情)答申第35号(平成30年10月19日答申)
→ 「苦情申出人は,日弁連と個人を当事者とする事件に係る当事者名について,慣行として公にされている情報である旨を主張する。しかし,本件対象文書が原判断の時点における未済事件の係属状況等を記載したものであることからすれば,裁判が確定した事件について当該裁判に係る情報が日弁連の機関紙等に掲載されるからといって,慣行として公にされている情報とはいえないという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。その
ほか,法5条1号ただし書イからハまでに相当する事情は認められない。
また,本件不開示部分のうち備考欄及び事件進行状況欄の記載については,事件に関する具体的な進行状況や今後の進行予定等が記載されていることからすれば,これらの情報を開示すると,具体的な事件における裁判体の判断等が明らかになるなど,裁判事務に支障を来すおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえず,同条6号に規定する不開示情報に相当すると認められる。」そうです。

25 司研別館ガイド,各階平面図等(平成30年度(最情)答申第39号(平成30年10月19日答申)
→ 「本件対象文書を見分した結果によれば,本件不開示部分は,司法研修所別館及びなごみ寮の施設に係る施錠の状況及び解錠方法,司法研修所別館及びなごみ寮が所在する敷地への入構方法,建物内の各部屋の配置,電話番号,ファクシミリ番号及び内線番号,IT整備状況並びに具体的なセキュリティ対策に関する情報と認められる。このような記載内容に照らせば,本件不開示部分を公にすると,庁舎管理事務及び警備事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるほか,職務に関係のない問合せやファクシミリ送信によって職務に必要な連絡に支障が生じ,裁判所の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあり,また,サイバー攻撃の際の糸口等を推測させ,情報セキュリティの確保に支障を及ぼすおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。

26 70期司法修習生を罷免するに際し,司法研修所が作成した司法修習生に関する規則19条に基づく報告書(平成30年度(最情)答申第41号(平成30年11月16日答申)
→ 「本件対象文書を見分した結果によれば,本件対象文書は,70期司法修習生を罷免するに際し,司法研修所が作成した司法修習生に関する規則(平成29年最高裁判所規則第4号による改正前のもの)19条に基づく報告書であり,司法修習生の氏名や行状等が記載されていることが認められる。このうち司法修習生の氏名や行状等の記載部分については,法5条1号に規定する個人識別情報と認められ,同号ただし書イからハまでに相当する事情も認められない。また,本件対象文書の性質及び内容を踏まえると,標題等を含む本件対象文書全体について,これを公にすると,司法修習生の罷免事由に関する調査事項,司法修習生の弁明書及び提出された資料の内容が明らかになり,今後の公正かつ円滑な調査及び資料収集事務に好ましくない影響を与えるなど,適正な司法修習生の罷免手続事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。

27 「裁判所庁舎設計基準」及び「裁判所庁舎設計標準図」(平成30年度(最情)答申第48号(平成30年11月16日答申)
→ 「本件対象文書を見分した結果によれば,本件対象文書は,全国の裁判所庁舎を設計する際の庁舎の各室や設備などの各種基準等が記載された文書であり,本件不開示部分には,室名や当該室の仕様等が記載されていることが認められる。このような記載内容に照らして検討すれば,裁判所庁舎においてはセキュリティの確保が要請される場所が広く存在し,本件不開示部分が開示された場合には,庁舎管理上の問題や警備上の問題が生じるおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。

28 「平成27年2月13日付け報告書」及び「平成27年2月13日付け事実経緯報告書」(平成30年度(最情)答申第51号(平成30年12月21日答申)
→ 「本件対象文書を見分した結果によれば,本件対象文書は,平成25年度(第67期)司法修習生考試について生じた運営上の問題に関して作成された報告書及び事実経緯報告書であり,本件不開示部分は,本件対象文書の作成者の氏名や押印等,法人の業務内容及び印影のほか,答案管理や監督員の対応等の司法修習生考試の実施事務に関する記載であることが認められる。このような記載内容に照らして検討すれば,本件対象文書の作成者の氏名や押印等については法5条1号に規定する不開示情報に相当し,法人の業務内容及び印影については同条2号イに規定する不開示情報に相当するほか,司法修習生考試の実施事務に関する記載については,これを公にすると試験妨害行為や不正行為が容易となる等,試験に係る事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。

29 J・NETポータルに掲載されている渉外レポート(第9号)(平成30年度(最情)答申第52号(平成30年12月21日答申)
→ 「本件対象文書を見分した結果によれば,外国要人等が我が国の裁判所を訪問した際に撮影された写真や訪問者の氏名及び肩書,面談の内容であることが認められ,その撮影や記載の内容を踏まえて検討すれば,他国又は国際機関との信頼関係に基づいて作成されたものであり,これらを公にすると他国又は国際機関との信頼関係が損なわれるおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。

30 平成29年1月1日以降に最高裁判所が取得した,日弁連の懲戒処分に関する裁決取消訴訟の判決書(平成30年度(最情)答申第58号(平成31年1月18日答申)) 
→ 「平成28年弁護士懲戒事件議決例集は,日本弁護士連合会が編集・発行する刊行物で,日本弁護士連合会懲戒委員会,同綱紀委員会及び同綱紀審査会において1年間の議決例の中から先例的価値のあるものを選択・編集して収録しているものであるし,ウェブブログについても,私的に設けられたもので,独自の編集に基づいて掲載しているものであるから,これらに掲載される情報について直ちに慣行として公にされ,又は公にすることが予定されているものとはいえないという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。

31 第70期司法修習生から提出された,二回試験終了後の海外旅行に関する承認申請書(平成30年度(最情)答申第60号(平成31年1月18日答申)
→ 「本件対象文書を見分した結果によれば,本件不開示部分は,司法修習生及び司法研修所職員の印影のほか,日付(受付印の日付部分を含む。),当該司法修習生に係る組番号,配属先,氏名,電話番号,旅行先,目的,期間,同行者,連絡先等の記載である。このような記載内容を踏まえて検討すると,司法修習生の氏名や司法修習生及び司法研修所職員の印影が法5条1号に規定する個人識別情報に相当することは明らかであり,その余の記載についても,最高裁判所事務総長の上記説明によれば,司法修習生は相互のやり取りを通じて様々な情報を得ていることが少なくなく,また,日付から旅行出発日を推認することができるため,本件対象文書に記載された司法修習生を特定することができるということであり,その内容が不合理とはいえない。」そうです。

32 平成30年春の勲章受章者名簿(内定)(平成30年度(最情)答申第66号(平成31年2月22日答申)
→ 「見分の結果によれば,本件不開示部分には,叙勲の内示を受けた官職及び内定者数が記載されていることが認められる。これらの記載内容に照らし
て検討すれば,実際の受章者数は内定者の辞退や推薦取消等により内定者数から減少する場合があり,官職及び内定者数を開示すると,受章に至らなかった者の有無及び人数が明らかになり,それによって,受章に至らなかった具体的理由を第三者から追及されたり,様々な誤解を招いたりするおそれがあり,適正な栄典事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。

33 「平成29年12月28日付け支給調書」及び「平成29年12月27日付け「平成28年度(第70期)司法修習生考試の採点謝金について」で始まる文書」(平成30年度(最情)答申第69号(平成31年2月22日答申)
→ 「苦情申出人は,支給金額等は同条2号に規定する事業を営む個人の当該事業に関する情報である旨を主張する。しかし,最高裁判所事務総長の上記説明によれば,司法修習生考試における答案採点事務は,考試委員会委員及び考査委員としての職務遂行の一環としてされたものであって,弁護士として業務を行うものではないとのことであり,事業を営む個人の当該事業に関する情報とは認められない。」そうです。

34 平成30年1月24日付け民事局長事務連絡「民事調停委員の再任等について」(平成30年度(最情)答申第75号(平成31年2月22日答申)
→ 「見分の結果によれば,本件不開示部分には,民事調停委員の再任に当たっての留意点等が記載されている。そして,民事調停委員の選任事務については広く関心を持つ組織や個人が存在すると考えられるところ,これらの記載内容を踏まえて検討すれば,本件不開示部分に記載されている民事調停委員の再任に当たっての留意点等の情報が公になると,不正確な理解が広まるなどして,民事調停委員の選任事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。

35 検事採用願(平成30年度(最情)答申第76号(平成31年3月15日答申)
→ 「本件対象文書を見分した結果によれば,本件不開示部分は,別紙2記載4及び5の文書のうち,検事採用の面接選考における面接官の着眼点又はこれを推知させる内容が記載されている部分であることが認められる。
最高裁判所事務総長は,本件不開示部分のうち,別紙3記載の各部分については開示するのが相当と考えるが,それ以外の部分については,検事の採用における着眼点の一端を推知させる情報が記載されており,これを公にした場合,当該情報を得た司法修習生の言動に不測の影響を及ぼし,検事の採用に当たっての正当な評価が困難となって,法務省における円滑な採用事務に支障を及ぼすおそれがあると説明する。このような説明の内容及び見分の結果を踏まえて検討すると,別紙3記載の各部分については,検事の採用における着眼点の一端を推知させる情報ではあるものの,その記載内容に照らして,採用事務に支障を及ぼすおそれがあるとまでは認められない。その一方,本件不開示部分のうち別紙3記載の各部分を除く部分については,検事の採用における着眼点を推知させる情報が記載されており,これを公にした場合には,採用事務に支障を及ぼすおそれがあると認められる。」そうです。

36 裁判官任官希望者に対する健康診断,採用面接等の予定(平成30年度(最情)答申第84号(平成31年3月15日答申)
→ 「最高裁判所事務総長は,本件不開示部分のうち,健康診断及び採用面接の各実施日については,これらが公になると,健康診断及び採用面接の実施を妨害されるなどして,円滑な判事補採用手続の進行に支障を及ぼすおそれがあるから,各実施日が経過するまでは不開示事由があり,また,採用内定通知発送日については,裁判官任官希望者に限ってあらかじめ伝えているものであり,これが公になると,日程に変更が生じた場合に無用の混乱を招くなどして,円滑な判事補採用手続の実施に支障を及ぼすおそれがあるから,採用内定通知発送日が経過するまでは不開示事由があると説明する。本件開示文書を見分した結果によれば,本件不開示部分には,健康診断及び採用面接の各実施日並びに採用内定通知発送日が具体的に記載されていることが認められ,これらの記載内容を踏まえて検討すれば,最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。

37 70期二回試験に関する司法修習生考試受験票のひな形(平成31年度(最情)答申第2号(平成31年4月19日答申)
→ 「最高裁判所事務総長は,本件対象文書について,司法修習生考試会場における応試者確認のための重要な書面であり,その書式が明らかになると,偽造等が容易となり,試験に係る事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるから,全体として法5条6号柱書及び同号イに規定する不開示情報に相当すると説明する。本件対象文書の性質及び見分の結果を踏まえると,このような説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。

38 平成13年3月14日付の最高裁判所調査委員会の調査報告書(古川龍一事件)における古川龍一判事の妻の氏名(平成31年度(最情)答申第3号(平成31年4月19日答申)
→ 「最高裁判所事務総長の上記説明及び当委員会庶務を通じて確認した結果によれば,官報に掲載された裁判官分限事件の裁判書中では妻の名前が明らかにされているものの,妻自身は民間人であり,同人の逮捕から相当の期間が経過していること,裁判所ウェブサイトの裁判例情報に掲載されている同事件の裁判書では,妻の名前は仮名処理されていることが認められ,これらの事情を踏まえて検討すれば,元判事の妻の名前について,現時点では慣行として公にされている情報とは認められず,同号ただし書イに相当しない。また,同号ただし書ロ及びハに相当する事情も認められない。」そうです。

39 第69期導入修習カリキュラムの概要(平成31年度(最情)答申第4号(平成31年4月19日答申)
→ 「苦情申出人は,同種の文書が開示された例を挙げて,本件不開示部分は法5条6号に規定する不開示情報に相当しないと主張する。しかし,当委員会庶務を通じて確認したところ,最高裁判所において本件の開示申出を受けて本件開示文書について検討した結果,本件不開示部分について不開示事由があると判断したとのことであり,本件不開示部分の記載内容に照らして検討すれば,本件不開示部分を開示すると,司法修習生が希望する進路や成績評価に影響があると推測される部分に焦点を絞って学修したり,事前課題の模範解答案が流布して安易に利用されたりして,修習の目的が達成されず,修習事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明が不合理とはいえない。」そうです。

40 「採用選考申込者のうち,修習に耐えられる健康状態ではないという理由で不採用にした際に作成した文書」及び「採用申込みに当たって虚偽の申告をしたという理由で採用内定を取り消した際に作成した文書」(平成31年度(最情)答申第6号(平成31年4月19日答申)
→ 「最高裁判所事務総長は,不採用者等に関
する文書の存否を明らかにすると,仮に不採用者等が存在する場合であっても少数であるから,不採用者等を知る特定人からは,当該不採用者等の不採用又は採用内定取消しの理由が明らかとなり,それをもって個人の権利利益を害するおそれがあるなどと説明する。このような説明の内容を踏まえて検討すれば,不採用者等が存在する場合には,当該不採用者等に関して入手可能な他の情報と併せることにより,当該不採用者等が特定されて,不採用又は採用内定取消しの理由が明らかとなるおそれがあると認められ,この情報は,法5条1号に規定する不開示情報に相当する。」そうです。

41 司法行政文書管理状況の監査の手引(平成31年度(最情)答申第7号(平成31年4月19日答申)
→ 「本件開示文書が監査事務に携わる職員のための手引として作成されたものであることは,原判断において開示された部分から明らかであるところ,見分の結果によれば,本件不開示部分には,監査の手法,監査のスケジュール,重点監査項目,監査の対象等に関する事項が記載されていることが認められる。このような記載内容を踏まえれば,本件不開示部分が公になると,管理の実情を正確に把握することが困難になること等から,把握した実情を踏まえて必要な指導を行うことにより司法行政文書の適正な管理に資することを目的とする監査事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。