○最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会によれば,以下の司法行政文書には不開示情報が含まれています。
○行政機関情報公開法6条2項は,「開示請求に係る行政文書に前条第一号の情報(特定の個人を識別することができるものに限る。)が記録されている場合において、当該情報のうち、氏名、生年月日その他の特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くことにより、公にしても、個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるときは、当該部分を除いた部分は、同号の情報に含まれないものとみなして、前項の規定を適用する。」と定めており,その意義につき,最高裁平成19年4月17日判決の裁判官藤田宙靖の補足意見が参考になります。
1 高等裁判所長官,地方裁判所長及び家庭裁判所長会同に関する文書のうち,特定の団体の立場姿勢に対する忌憚のない評価等(平成27年度(最情)答申第1号(平成27年12月25日答申))
→ 裁判所の事務に関連する裁判所と外部との間の意見交換の現状について,所長の認識等が記載されていることが認められ,これを公にすると,外部との信頼関係が損なわれるなどし,その結果,裁判所の事務の性質上,その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められるそうです。
2 裁判官の転勤の内示時期の目安が分かる文書(平成27年度(最情)答申第5号(平成28年2月22日答申))
→ 「裁判官は,憲法上その職務の独立性が保障されるとともに,身分が保障されており(憲法76条3項,78条),また,身分保障の現れとして,その意思に反して,転官や転所をされることはないとされている(裁判所法48条)。したがって,裁判官の異動時期の目安を含めた人事管理に係る情報については,裁判官の独立を確保するため,非常に高い機密性が求められる機微な情報であるということができ,本件対象文書に記録されている上記のような情報を公にすると,それを知った裁判官の異動を望み,あるいは望まない関係者などから不当な働き掛け等がされるなどして,今後の裁判官の人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあると認められることから,本件対象文書に記録された情報は,その文書の標題部分や発出者名等も含め,全体として法5条6号ニに規定する不開示情報に相当する情報に当たると認められる。」そうです。
3 「これからの後見監督の在り方について(参考資料)」と題する文書のうち,監督区分等(平成27年度(最情)答申第6号(平成28年2月23日答申))
→ 監督対象事件を分類した監督区分に関し,各区分に分類される事案の具体的内容や,区分ごとの監督方法などが記載されていることが認められるところ,これらの具体的内容が公になると,各区分の事案の内容や監督方法等の分析を行って,監督強化のための措置を免れたりする者が出現する可能性や,自己の監督の内容を知って,不正行為やその隠蔽を行う者が出現する可能性があるといえ,その結果,家庭裁判所による不正の兆候等の把握に支障が生じて,後見監督事務の性質上,その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められるそうです。
4 司法修習生考試結果集計表のうち,各科目における「(うち予備試験資格者)」及び「(うち予備試験資格者以外)」の「優」,「良」,「可」及び「不可」の「人員」及び「割合」を示す部分(平成28年度(最情)答申第5号(平成28年4月14日答申))
→ 「不開示部分に記載された情報は,いずれも,個人の氏名等の特定の個人の識別を直ちに可能とする情報ではない。しかし,司法修習生考試の受験者中予備試験資格者の人数が第66期については40人,第67期でも112人であり,他方で,本件各対象文書の原判断において開示された部分によれば,各科目で「不可」となった者が,司法修習生全体でも多くて1.06パーセントと極めて少なく,予備試験資格者で「不可」となった者は極めて少ないと容易に推認されることからすると,司法修習を終えた者の氏名が官報公告されていることなどから,司法修習生の一部の者らの間では,予備試験資格者で司法修習生考試に不合格となった者の特定が可能になる。そして,上記のとおり各科目で「不可」となった者の数が極めて少なく,予備試験資格者で「不可」となった者の数も極めて少ないと推認されることからすると,不開示部分に記載されている情報は,予備試験資格者で特定の科目につき「不可」となった者を特定することができる可能性がある情報であるという上記(2)の最高裁判所事務総長の説明は,不合理とは言い難い。そうすると,不開示部分に記載されている情報は,一体として,予備試験資格者で特定の科目で「不可」となった者を特定することができる情報として,法5条1号に相当する情報であるということができ,同号ただし書イからハまでに相当する事情は認められない。また,上記に述べたところからすれば,不開示部分については,その全てが特定の個人を識別することができることとなる部分に該当し,あるいは個人の権利利益を害するおそれのある情報であるから,取扱要綱記第3の2に定める部分開示の対象ともならない。」そうです。
5 裁判所業務に必要なサイトをまとめたホワイトリスト(平成28年度(最情)答申第7号(平成28年4月14日答申))
→ 「近時の官公庁や民間企業に対するサイバー攻撃が多発している現状に照らすと,国の機関であり,多数の個人情報を取り扱う裁判所の情報セキュリティは,厳しく守られるべき状況にあるといえ,情報セキュリティに関連する情報は十分に秘匿すべき情報であるということができるところ,最高裁判所の職員の口頭説明の結果によれば,本件存否情報は,裁判所の情報ネットワークの仕組みやサイバー攻撃のきっかけ等を推測させる情報であると認められる。」そうです。
→ 平成27年11月の「全司法新聞2229号」には,「接続制限の代替方策として、別回線でのインターネット接続を可能とする端末の増設と、業務に必要なサイトのホワイトリストへの追加を要求していくことをあわせて確認しました。」と書いてあります。
そのため,裁判所にホワイトリストが存在することは,全司法労働組合によって公表されています。
6 裁判官昇給候補者名簿の氏名,期別,昇給号報,官職名等(平成28年度(最情)答申第13号(平成28年6月3日答申))
→ 具体的に昇給する者の期別や昇給号報,その人数等の情報が含まれていることが認められるところ,そのような情報は,最高裁判所事務総長が説明するとおり,人事事務担当者等の一部の関係職員以外には知られることのない性質のものであると推測される。
7 司法修習生組別一覧表のうち,司法修習生の氏名が記載されている部分(平成28年度(最情)答申第26号(平成28年9月1日答申))
→ 司法修習生は,法5条1号ただし書ハの「公務員等」に相当する者には該当しないそうです。
8 具体的な職名,級についてどのような考え方に基づいて定数配付を行っているのかが分かる文書(平成28年度(最情)答申第30号(平成28年10月24日答申))
→ 「本件対象文書の見分の結果及び最高裁判所の職員の口頭説明の結果を総合すると,定数配布とは,級別定数の範囲内で適任者を適正に昇格させるために用いられる手法であると認められる。そして,本件対象文書の見分の結果によれば,本件対象文書には,その手法に関する事項の一部が記載されているところ,最高裁判所の職員の口頭説明の結果によれば,具体的な手法の内容は,ごく一部の職員にしか知られることのない極めて機密性の高い性質のものであり,たとえ標題だけが知られることになったとしても,裁判所の人事管理に関して無用の憶測を呼ぶなどするおそれがあるとのことであり,当該説明が不合理とはいえない。そうすると,人事管理に係る事務という公平性と機密性が要求される事務の性質上,本件対象文書に記録された情報については,標題も含めた全体について,これを公にすると,これを知った者に無用な憶測を生じさせたり,さらには,職員の適正かつ円滑な職務遂行に好ましくない影響が及ぶなどして,裁判所の人事事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる。」そうです。
9 最高裁判所裁判官会議議事録の本文部分の署名及び印影(平成28年度(最情)答申第36号(平成28年12月2日答申))
→ 「最高裁判所裁判官会議の議長である最高裁判所長官及び秘書課長の署名及び印影は,いずれも法5条1号に規定する個人に関する情報であって特定の個人を識別することができるものに相当するところ,最高裁判所事務総長の説明によれば,裁判所においても,行政府省と同様に,職員の職務の遂行に係る情報に含まれる当該職員の氏名は,特段の支障の生ずるおそれがある場合を除き公にすることとして取り扱っているとのことである。そこで,検討すると,裁判官会議の議事録の署名及び印影は,職務の遂行に係る情報であるというべきであるが,その固有の形状が文書の真正を示す認証的機能を有しており,そのような署名や印影を公にすれば,これを偽造され悪用されるなどして,個人の権利利益を害するおそれがあるといえる。」そうです。
10 最高裁判所の庁舎平面図のうち,傍聴人や裁判所見学者が立ち入る場所を除く場所に係る部分(平成28年度(最情)答申第48号(平成29年3月17日答申))
→ 最高裁判所の庁舎は,その多くの部分が一般の来庁者の出入りが想定されていない建物であり,入構するには原則として許可が必要であることや,内部に最高裁判所判事室や事務総局の中枢部分などがあることからすると,全体として高度なセキュリティの確保が要請されており,庁舎の部屋の配置等を公にすることにより,全体として警備事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるそうです。
→ 最高裁判所には,大法廷棟,小法廷棟,図書館棟,裁判官棟,裁判部棟,事務北棟及び事務西棟の7つの建物があります(裁判所HPの「裁判所施設の耐震性に係るリスト(平成22年7月)」参照)ところ,その位置関係も不開示情報だそうです。
なお,裁判官棟のIs値は0.27となっていますところ,外部HPの「耐震性能とIs値(耐震指標)について」によれば,Is値が0.6以下の建物については耐震補強の必要性があると判断されます。また,一般財団法人日本耐震診断協会HPの「耐震診断の基準(is値)」のほか,「建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための基本的な指針」(平成18年1月26日国土交通省告示第184号)別表第六(リンク先のPDF28頁)によれば,Isが0.3未満の場合,「地震の震動及び衝撃に対して倒壊し,又は崩壊する危険が高い。」と書いてあります。
11 平成27年度裁判官異動計画(平成29年度(最情)答申第4号(平成29年5月25日答申))
→ 「裁判官は,憲法上,その職務の独立性が保障されるとともに,身分が保障されている(憲法76条3項,78条)。また,その身分保障の現れとして,裁判官がその意思に反して転官や転所をされることはない(裁判所法48条)。これらの規定の趣旨に照らすと,裁判官の人事管理に係る情報については,裁判官の独立を確保するため,非常に高い機密性が求められる機微な情報であるということができ,本件対象文書に記録されている上記のような情報を公にすると,裁判官の異動を望み,あるいは望まない関係者等から不当な働き掛け等がされるなどして,今後の裁判官の人事管理に係る事務に関し,適正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあると認められるから,本件対象文書に記録された情報は,その文書の標題部分や発出者名等を含め,全体として法5条6号ニに規定する不開示情報に相当する。」そうです。
→ 「司法修習生は,司法修習生間のやり取り等を通じて各司法修習生の修習地及び組についての情報を得ていることが少なくないという最高裁判所事務総長の説明は不合理とはいえないこと,本件対象文書には,司法修習生の氏名が50音順に記載されており,音によっては一人又は少数の氏名しか記載されていない部分もあることからすれば,修習地及び組の情報と照らし合わせることにより,入寮者の特定が可能となる場合があると考えられる。」から,修習地及び組は不開示情報に該当するそうです。
13 最高裁判所長官室の写真,最高裁判所判事室の写真及び最高裁判所首席調査官室の写真(平成29年度(最情)答申第27号(平成29年8月7日答申))
→ 「本件不開示部分のうちその余の部分については,その記載等の内容からすれば,上記部分を公にすると,最高裁判所長官室,最高裁判所判事室及び最高裁判所首席調査官室の位置及び構造が明らかになるものと認められる。そうすると,最高裁判所長官及び最高裁判所判事は,裁判所の業務に係る意思決定において極めて重要な役割を担っており,最高裁判所首席調査官は,最高裁判所の裁判所調査官の事務を総括していることから,いずれも襲撃の対象となるおそれが高く,上記各室は極めて高度なセキュリティが要請されるという最高裁判所事務総長の上記説明が不合理とはいえず,上記部分を公にすることにより,庁舎管理事務及び警備事務に支障を及ぼすおそれがあると認められる。」そうです。
14 司法修習生名簿(ひかり寮・部屋別)(平成29年度(最情)答申第46号(平成29年10月23日答申))
→ 「苦情申出人は,司法修習生の修習地,組及び室番号について,公にしても個人の権利利益を害するおそれがないなどと主張するが,司法修習生は司法修習生間のやり取り等を通じて各司法修習生の修習地,組,室番号についての情報を得ていることが少なくないという最高裁判所事務総長の説明する内容が不合理とはいえず,これらの情報を照らし合わせることにより,入寮者の特定が可能となる場合があると考えられる。」そうです。
15 69期の判事補志望者に対して実施した,最高裁判所の面接選考に関する文書(実施日時,実施場所,実施方法,面接担当者の肩書及び氏名等が書いてある文書をいうものの,これに限られない。)(平成29年度(最情)答申第52号(平成29年12月1日答申))
→ 「本件不開示部分のうち面接時間については,この記載を明らかにすることにより,結果として,面接に要する個別の時間を明らかにすることになるから,今後の人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある」そうです。
16 『弁護実務修習に対して望むこと』について(平成28年9月28日付の司法研修所事務局長通知)(平成30年度(最情)答申第3号(平成30年4月20日答申))
→ 「見分の結果によれば,本件開示文書は,分野別実務修習のうち弁護修習の指導担当者等に対して,指導に関する指針や具体的な留意事項等を示したものであり,本件不開示部分には,弁護実務修習の具体的な指導方針及び内容が記載されていることが認められる。このような記載内容に照らすならば,本件不開示部分が公にされた場合には,司法修習生の中には,それに焦点を絞ることに注力し,自らの課題を自覚した上での積極的かつ主体的な取組をしなくなるなど,上記修習の目的にそぐわない行動をとる者が出るおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。
17 平成29年10月24日に実施した,71期司法修習生採用希望者に対する面接に関して作成し,又は取得した文書(面接人数,実施日時,実施場所,実施方法,面接担当者の肩書及び氏名等が書いてある文書を想定しているものの,これに限られない。)(平成30年度(最情)答申第10号(平成30年5月25日答申))
→ 「本件不開示部分のうち面接対象者の出頭場所以外の記載部分については,見分の結果,司法修習生採用選考面接に係る申込者数や面接対象者数等が記載されていることが認められる。その記載内容に照らすならば,これらの記載部分を公にすることによって,面接の規模や形式等が明らかになり,どのような者が面接対象者になるかなどの推測がされて,今後の司法修習生の採用事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。
18 平成30年4月任官の弁護士任官者に対して実施した,最高裁判所の面接選考に関する文書(実施日時,実施場所,実施方法,面接担当者の肩書及び氏名等が書いてある文書をいうものの,これに限られない。)(平成30年度(最情)答申第13号(平成30年5月25日答申))
→ 「本件不開示部分のうち面接及び健康診断の時間については,各受験者についてこれらの情報を明らかにすることで,結果として面接に要する個別の時間等を明らかにすることとなり,今後の人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な運営の確保に支障を及ぼすおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。
19 司法修習終了証の書式が分かる文書(最新版)(平成30年度(最情)答申第23号(平成30年7月20日答申))
→ 「本件対象文書を見分した結果によれば,本件対象文書には,司法修習終了証書について,証明文言を含む書式全体が記載されていることが認められる。このような記載内容に照らせば,同証書は,司法修習生の修習を終えたことを要件とする弁護士登録のために必要な書類となる(弁護士法4条参照)ほか,公的機関及び民間企業等にも提出されることが想定される重要な証書であるため,その書式が明らかになると,当該書式を参考として司法修習終了証書を偽造することが容易になり,ひいては同証書の提出先において偽造された証書を真正なものと誤信するおそれが高まるから,司法修習の終了という重要事項に関する証明事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。
19 第71期司法修習生の採用選考申込みにおいて不合格となった人の数が分かる文書(平成30年度(最情)答申第25号(平成30年7月20日答申))
→ 「原判断においては,本件開示文書のうち不採用者名簿について,標題を除く部分が余白を含めて不開示とされているところ,見分の結果によれば,本件不開示部分には少人数である不採用者が記載されていることが認められる。このような記載内容に照らせば,本件不開示部分の記載内容から不採用者の数が明らかとなり,ひいては不採用者が特定される可能性や不採用となった理由が特定される可能性があるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。
20 選択型実務修習における自己開発プログラムの内容が分かる文書(新第64期,新第65期,第67期及び第68期分)(平成30年度(最情)答申第26号(平成30年8月24日答申))
→ 「見分の結果によれば,本件対象文書は,①各配属庁会からの報告書の本文,②別紙である自己開拓プログラム審査結果報告書及び③司法修習生から提出された自己開拓プログラム申出書(申請書)によって構成されており,本件不開示部分は,①各配属庁会からの報告書の本文のうち報告書を提出した裁判所の庁名,修習地等,②別紙である自己開拓プログラム審査結果報告書のうち報告書を提出した裁判所の庁名,修習地,承認・不承認の別,修習生氏名,修習先,特記事項等,③司法修習生から提出された自己開拓プログラム申出書(申請書)のうち報告書を提出した裁判所の庁名,申出書提出先名,修習生氏名,班,修習生の印影,配属弁護士会,修習期間,修習先の名称・代表者・住所・電話番号・担当者の役職及び氏名,修習の目的,修習の内容,承認・不承認の別,不承認の理由,裁判所の受付印等であることが認められる。
このような記載(印影部分を含む。)の内容に照らせば,本件不開示部分は法5条1号に規定する個人識別情報と認められる。苦情申出人は,局長通知を
挙げて,自己開拓プログラムの修習先の名称等は不開示情報ではないと主張するが,局長通知の記載内容は承認又は不承認とされた修習先の例示としての抽象的なものにとどまることからすれば,本件対象文書に記載又は押捺がされた個別具体的な修習先の名称等が慣行として公にされているとは認められず,かつ,同号ただし書ロ及びハに掲げる情報に相当する事情も認められない。」そうです。
21 70期二回試験において,試験時間終了後も紐を結び続けていた司法修習生の行為に関して作成し,又は取得した文書(平成30年度(最情)答申第29号(平成30年8月24日答申))
→ 「最高裁判所事務総長の上記説明によれば,70期司法修習生考試において,試験時間終了後も紐を結び続けていた司法修習生の行為に関する司法行政文書が存在しているか否かを答えるだけで,該当する司法修習生の有無や当該行為に対する考試委員会の評価・判断等に関する情報を開示することになり,その結果,法5条6号に規定する不開示情報である応試者のどのような行為が不正行為として評価されるか(評価されないか)といった考試事務に関する情報が明らかとなって,今後の考試における不当な行為を容易にするなどのおそれが生じるとのことである。そして,本件開示申出文書の性質に照らして検討すれば,このような説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。
22 平成29年1月18日に開催された最高裁判所裁判官会議議事録(平成30年度(最情)答申第32号(平成30年9月21日答申))
→ 「本件不開示部分のうちその余の記載部分については,その記載内容に照らせば,罷免された司法修習生に係る個人識別情報と認められ,同号ただし書イからハまでに相当する事情は認められない。また,これらの記載部分については,司法修習生の人事事務に関する担当者等の一部の関係職員以外には知られることのない秘密性の高い情報であり,特に罷免理由を公にすると,どのような事案で罷免されるのかといった内容が明らかになるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえず,司法修習生の罷免に係る事務に支障が生じるおそれがあると認められるから,法5条6号ニに規定する不開示情報に相当する。」そうです。
23 昭和24年10月17日の最高裁判所裁判官会議の議事録(平成30年度(最情)答申第34号(平成30年9月21日答申))
→ 「本件不開示部分のうち「第二小法廷の判決に関する問題について」に係る議事の記載部分については,その記載内容に照らせば,裁判官会議決定に至る経緯等が記載されており,本件対象文書が約69年前に作成されたものであることを踏まえても,上記記載部分を公にすると非違行為に関する調査手法等を明らかにすることとなり,今後の人事管理事務に支障を及ぼすおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえず,法5条6号に規定する不開示情報に相当すると認められる。」そうです。
24 未済事件一覧表(平成27年10月7日現在)(平成30年度(最情)答申第35号(平成30年10月19日答申))
→ 「苦情申出人は,日弁連と個人を当事者とする事件に係る当事者名について,慣行として公にされている情報である旨を主張する。しかし,本件対象文書が原判断の時点における未済事件の係属状況等を記載したものであることからすれば,裁判が確定した事件について当該裁判に係る情報が日弁連の機関紙等に掲載されるからといって,慣行として公にされている情報とはいえないという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。その
ほか,法5条1号ただし書イからハまでに相当する事情は認められない。
また,本件不開示部分のうち備考欄及び事件進行状況欄の記載については,事件に関する具体的な進行状況や今後の進行予定等が記載されていることからすれば,これらの情報を開示すると,具体的な事件における裁判体の判断等が明らかになるなど,裁判事務に支障を来すおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえず,同条6号に規定する不開示情報に相当すると認められる。」そうです。
25 司研別館ガイド,各階平面図等(平成30年度(最情)答申第39号(平成30年10月19日答申))
→ 「本件対象文書を見分した結果によれば,本件不開示部分は,司法研修所別館及びなごみ寮の施設に係る施錠の状況及び解錠方法,司法研修所別館及びなごみ寮が所在する敷地への入構方法,建物内の各部屋の配置,電話番号,ファクシミリ番号及び内線番号,IT整備状況並びに具体的なセキュリティ対策に関する情報と認められる。このような記載内容に照らせば,本件不開示部分を公にすると,庁舎管理事務及び警備事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるほか,職務に関係のない問合せやファクシミリ送信によって職務に必要な連絡に支障が生じ,裁判所の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあり,また,サイバー攻撃の際の糸口等を推測させ,情報セキュリティの確保に支障を及ぼすおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。
26 70期司法修習生を罷免するに際し,司法研修所が作成した司法修習生に関する規則19条に基づく報告書(平成30年度(最情)答申第41号(平成30年11月16日答申))
→ 「本件対象文書を見分した結果によれば,本件対象文書は,70期司法修習生を罷免するに際し,司法研修所が作成した司法修習生に関する規則(平成29年最高裁判所規則第4号による改正前のもの)19条に基づく報告書であり,司法修習生の氏名や行状等が記載されていることが認められる。このうち司法修習生の氏名や行状等の記載部分については,法5条1号に規定する個人識別情報と認められ,同号ただし書イからハまでに相当する事情も認められない。また,本件対象文書の性質及び内容を踏まえると,標題等を含む本件対象文書全体について,これを公にすると,司法修習生の罷免事由に関する調査事項,司法修習生の弁明書及び提出された資料の内容が明らかになり,今後の公正かつ円滑な調査及び資料収集事務に好ましくない影響を与えるなど,適正な司法修習生の罷免手続事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。
27 「裁判所庁舎設計基準」及び「裁判所庁舎設計標準図」(平成30年度(最情)答申第48号(平成30年11月16日答申))
→ 「本件対象文書を見分した結果によれば,本件対象文書は,全国の裁判所庁舎を設計する際の庁舎の各室や設備などの各種基準等が記載された文書であり,本件不開示部分には,室名や当該室の仕様等が記載されていることが認められる。このような記載内容に照らして検討すれば,裁判所庁舎においてはセキュリティの確保が要請される場所が広く存在し,本件不開示部分が開示された場合には,庁舎管理上の問題や警備上の問題が生じるおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。
28 「平成27年2月13日付け報告書」及び「平成27年2月13日付け事実経緯報告書」(平成30年度(最情)答申第51号(平成30年12月21日答申))
→ 「本件対象文書を見分した結果によれば,本件対象文書は,平成25年度(第67期)司法修習生考試について生じた運営上の問題に関して作成された報告書及び事実経緯報告書であり,本件不開示部分は,本件対象文書の作成者の氏名や押印等,法人の業務内容及び印影のほか,答案管理や監督員の対応等の司法修習生考試の実施事務に関する記載であることが認められる。このような記載内容に照らして検討すれば,本件対象文書の作成者の氏名や押印等については法5条1号に規定する不開示情報に相当し,法人の業務内容及び印影については同条2号イに規定する不開示情報に相当するほか,司法修習生考試の実施事務に関する記載については,これを公にすると試験妨害行為や不正行為が容易となる等,試験に係る事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。
29 J・NETポータルに掲載されている渉外レポート(第9号)(平成30年度(最情)答申第52号(平成30年12月21日答申))
→ 「本件対象文書を見分した結果によれば,外国要人等が我が国の裁判所を訪問した際に撮影された写真や訪問者の氏名及び肩書,面談の内容であることが認められ,その撮影や記載の内容を踏まえて検討すれば,他国又は国際機関との信頼関係に基づいて作成されたものであり,これらを公にすると他国又は国際機関との信頼関係が損なわれるおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。
30 平成29年1月1日以降に最高裁判所が取得した,日弁連の懲戒処分に関する裁決取消訴訟の判決書(平成30年度(最情)答申第58号(平成31年1月18日答申))
→ 「平成28年弁護士懲戒事件議決例集は,日本弁護士連合会が編集・発行する刊行物で,日本弁護士連合会懲戒委員会,同綱紀委員会及び同綱紀審査会において1年間の議決例の中から先例的価値のあるものを選択・編集して収録しているものであるし,ウェブブログについても,私的に設けられたもので,独自の編集に基づいて掲載しているものであるから,これらに掲載される情報について直ちに慣行として公にされ,又は公にすることが予定されているものとはいえないという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。
31 第70期司法修習生から提出された,二回試験終了後の海外旅行に関する承認申請書(平成30年度(最情)答申第60号(平成31年1月18日答申))
→ 「本件対象文書を見分した結果によれば,本件不開示部分は,司法修習生及び司法研修所職員の印影のほか,日付(受付印の日付部分を含む。),当該司法修習生に係る組番号,配属先,氏名,電話番号,旅行先,目的,期間,同行者,連絡先等の記載である。このような記載内容を踏まえて検討すると,司法修習生の氏名や司法修習生及び司法研修所職員の印影が法5条1号に規定する個人識別情報に相当することは明らかであり,その余の記載についても,最高裁判所事務総長の上記説明によれば,司法修習生は相互のやり取りを通じて様々な情報を得ていることが少なくなく,また,日付から旅行出発日を推認することができるため,本件対象文書に記載された司法修習生を特定することができるということであり,その内容が不合理とはいえない。」そうです。
32 平成30年春の勲章受章者名簿(内定)(平成30年度(最情)答申第66号(平成31年2月22日答申))
→ 「見分の結果によれば,本件不開示部分には,叙勲の内示を受けた官職及び内定者数が記載されていることが認められる。これらの記載内容に照らし
て検討すれば,実際の受章者数は内定者の辞退や推薦取消等により内定者数から減少する場合があり,官職及び内定者数を開示すると,受章に至らなかった者の有無及び人数が明らかになり,それによって,受章に至らなかった具体的理由を第三者から追及されたり,様々な誤解を招いたりするおそれがあり,適正な栄典事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。
33 「平成29年12月28日付け支給調書」及び「平成29年12月27日付け「平成28年度(第70期)司法修習生考試の採点謝金について」で始まる文書」(平成30年度(最情)答申第69号(平成31年2月22日答申))
→ 「苦情申出人は,支給金額等は同条2号に規定する事業を営む個人の当該事業に関する情報である旨を主張する。しかし,最高裁判所事務総長の上記説明によれば,司法修習生考試における答案採点事務は,考試委員会委員及び考査委員としての職務遂行の一環としてされたものであって,弁護士として業務を行うものではないとのことであり,事業を営む個人の当該事業に関する情報とは認められない。」そうです。
34 平成30年1月24日付け民事局長事務連絡「民事調停委員の再任等について」(平成30年度(最情)答申第75号(平成31年2月22日答申))
→ 「見分の結果によれば,本件不開示部分には,民事調停委員の再任に当たっての留意点等が記載されている。そして,民事調停委員の選任事務については広く関心を持つ組織や個人が存在すると考えられるところ,これらの記載内容を踏まえて検討すれば,本件不開示部分に記載されている民事調停委員の再任に当たっての留意点等の情報が公になると,不正確な理解が広まるなどして,民事調停委員の選任事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。
35 検事採用願(平成30年度(最情)答申第76号(平成31年3月15日答申))
→ 「本件対象文書を見分した結果によれば,本件不開示部分は,別紙2記載4及び5の文書のうち,検事採用の面接選考における面接官の着眼点又はこれを推知させる内容が記載されている部分であることが認められる。
最高裁判所事務総長は,本件不開示部分のうち,別紙3記載の各部分については開示するのが相当と考えるが,それ以外の部分については,検事の採用における着眼点の一端を推知させる情報が記載されており,これを公にした場合,当該情報を得た司法修習生の言動に不測の影響を及ぼし,検事の採用に当たっての正当な評価が困難となって,法務省における円滑な採用事務に支障を及ぼすおそれがあると説明する。このような説明の内容及び見分の結果を踏まえて検討すると,別紙3記載の各部分については,検事の採用における着眼点の一端を推知させる情報ではあるものの,その記載内容に照らして,採用事務に支障を及ぼすおそれがあるとまでは認められない。その一方,本件不開示部分のうち別紙3記載の各部分を除く部分については,検事の採用における着眼点を推知させる情報が記載されており,これを公にした場合には,採用事務に支障を及ぼすおそれがあると認められる。」そうです。
36 裁判官任官希望者に対する健康診断,採用面接等の予定(平成30年度(最情)答申第84号(平成31年3月15日答申))
→ 「最高裁判所事務総長は,本件不開示部分のうち,健康診断及び採用面接の各実施日については,これらが公になると,健康診断及び採用面接の実施を妨害されるなどして,円滑な判事補採用手続の進行に支障を及ぼすおそれがあるから,各実施日が経過するまでは不開示事由があり,また,採用内定通知発送日については,裁判官任官希望者に限ってあらかじめ伝えているものであり,これが公になると,日程に変更が生じた場合に無用の混乱を招くなどして,円滑な判事補採用手続の実施に支障を及ぼすおそれがあるから,採用内定通知発送日が経過するまでは不開示事由があると説明する。本件開示文書を見分した結果によれば,本件不開示部分には,健康診断及び採用面接の各実施日並びに採用内定通知発送日が具体的に記載されていることが認められ,これらの記載内容を踏まえて検討すれば,最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。
37 70期二回試験に関する司法修習生考試受験票のひな形(平成31年度(最情)答申第2号(平成31年4月19日答申))
→ 「最高裁判所事務総長は,本件対象文書について,司法修習生考試会場における応試者確認のための重要な書面であり,その書式が明らかになると,偽造等が容易となり,試験に係る事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるから,全体として法5条6号柱書及び同号イに規定する不開示情報に相当すると説明する。本件対象文書の性質及び見分の結果を踏まえると,このような説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。
38 平成13年3月14日付の最高裁判所調査委員会の調査報告書(古川龍一事件)における古川龍一判事の妻の氏名(平成31年度(最情)答申第3号(平成31年4月19日答申))
→ 「最高裁判所事務総長の上記説明及び当委員会庶務を通じて確認した結果によれば,官報に掲載された裁判官分限事件の裁判書中では妻の名前が明らかにされているものの,妻自身は民間人であり,同人の逮捕から相当の期間が経過していること,裁判所ウェブサイトの裁判例情報に掲載されている同事件の裁判書では,妻の名前は仮名処理されていることが認められ,これらの事情を踏まえて検討すれば,元判事の妻の名前について,現時点では慣行として公にされている情報とは認められず,同号ただし書イに相当しない。また,同号ただし書ロ及びハに相当する事情も認められない。」そうです。
39 第69期導入修習カリキュラムの概要(平成31年度(最情)答申第4号(平成31年4月19日答申))
→ 「苦情申出人は,同種の文書が開示された例を挙げて,本件不開示部分は法5条6号に規定する不開示情報に相当しないと主張する。しかし,当委員会庶務を通じて確認したところ,最高裁判所において本件の開示申出を受けて本件開示文書について検討した結果,本件不開示部分について不開示事由があると判断したとのことであり,本件不開示部分の記載内容に照らして検討すれば,本件不開示部分を開示すると,司法修習生が希望する進路や成績評価に影響があると推測される部分に焦点を絞って学修したり,事前課題の模範解答案が流布して安易に利用されたりして,修習の目的が達成されず,修習事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明が不合理とはいえない。」そうです。
40 「採用選考申込者のうち,修習に耐えられる健康状態ではないという理由で不採用にした際に作成した文書」及び「採用申込みに当たって虚偽の申告をしたという理由で採用内定を取り消した際に作成した文書」(平成31年度(最情)答申第6号(平成31年4月19日答申))
→ 「最高裁判所事務総長は,不採用者等に関
する文書の存否を明らかにすると,仮に不採用者等が存在する場合であっても少数であるから,不採用者等を知る特定人からは,当該不採用者等の不採用又は採用内定取消しの理由が明らかとなり,それをもって個人の権利利益を害するおそれがあるなどと説明する。このような説明の内容を踏まえて検討すれば,不採用者等が存在する場合には,当該不採用者等に関して入手可能な他の情報と併せることにより,当該不採用者等が特定されて,不採用又は採用内定取消しの理由が明らかとなるおそれがあると認められ,この情報は,法5条1号に規定する不開示情報に相当する。」そうです。
41 司法行政文書管理状況の監査の手引(平成31年度(最情)答申第7号(平成31年4月19日答申))
→ 「本件開示文書が監査事務に携わる職員のための手引として作成されたものであることは,原判断において開示された部分から明らかであるところ,見分の結果によれば,本件不開示部分には,監査の手法,監査のスケジュール,重点監査項目,監査の対象等に関する事項が記載されていることが認められる。このような記載内容を踏まえれば,本件不開示部分が公になると,管理の実情を正確に把握することが困難になること等から,把握した実情を踏まえて必要な指導を行うことにより司法行政文書の適正な管理に資することを目的とする監査事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。」そうです。