弁護士任官候補者に関する下級裁判所裁判官指名諮問委員会の答申状況


目次
1 弁護士任官候補者に関する下級裁判所裁判官指名諮問委員会の答申状況
→ 平成16年4月以降の分をすべて載せています。
2 下級裁判所裁判官指名諮問委員会の答申における適当・不適当の推移
3 弁護士任官者数の推移
4 弁護士任官推進への影響
5 関連記事その他

1 弁護士任官候補者に関する下級裁判所裁判官指名諮問委員会の答申状況
* 開示文書のファイル名は「令和3年4月期の弁護士任官希望者に対する面接及び健康診断の連絡」といったものです。
◯令和6年4月任官
・ 令和5年8月30日付の文書によれば,令和5年11月13日に3人の面接があったみたいです。
・ 指名候補者3人のうち,1人について指名することが適当とされました(令和5年12月4日の第112回議事要旨4頁)。
→ 70期の新井宏基弁護士(東弁)でした。

◯令和5年10月任官
・ 指名候補者4人のうち,3人について指名することが適当とされました(令和5年7月7日の第110回議事要旨3頁)。
→ 59期の内海雄介弁護士(東弁)及び63期の石本恵弁護士(福岡県弁)でした。
◯令和5年4月任官
・ 令和4年9月30日付の文書によれば,令和4年11月7日に3人の面接があったみたいです。
・ 指名候補者3人のうち,1人について指名することが適当とされました(令和4年12月2日の第106回議事要旨2頁及び3頁)。
→ 49期の丸山水穂弁護士(仙台弁)でした。

(令和4年4月及び同年10月任官はなし。)

◯令和3年4月任官
・ 令和3年3月31日付の開示文書によれば,令和2年11月9日に2人,同月10日に3人の面接があったみたいです。
・ 指名候補者5人のうち,2人について指名することが適当とされました(令和2年12月4日の第96回議事要旨3頁)。
→ 50期の柴田義人弁護士(二弁),55期の元芳哲郎弁護士(二弁)及び58期の西村甲児弁護士(奈良弁)でした。
 なお,弁護士任官等推進センターニュース 弁護士任官・弁護士職務経験(2022年1月)第9号(日弁連委員会ニュース2022年1月号16頁)には以下の記載があります。
 2021年に常勤裁判官に採用された弁護士任官者は、4月期の応募者5名に対して2名(第二東京55期、奈良58期)及び2020年の留保者1名(第二東京50期)の合計3名でした。

◯令和2年10月任官
・ 指名候補者2人のうち,2人について指名することが適当とされました(令和2年7月3日の第94回議事要旨3頁)。
→ 1人は48期の真田尚美弁護士(大阪弁)であり、もう1人は同年4月期任官の留保者であり,令和3年4月に任官した50期の柴田義人弁護士(二弁)であると思います。
◯令和2年4月任官
・ 令和2年2月4日付の開示文書によれば,令和元年11月8日に3人,同月11日に3人の面接があったみたいです。
・ 指名候補者6人のうち,3人については指名することが適当とされ,2人については指名することが適当でないとされ,1人については今回は指名の適否について意見を述べることは留保されました令和元年12月6日開催の第91回委員会議事要旨2頁及び3頁)。
→ 55期の糸井淳一弁護士(神奈川県弁)63期の河野申二郎弁護士(東弁)及び63期の豊平(塩谷)真理絵弁護士(埼玉弁)です。
・   保留とされた1人については採用願いを撤回しました(令和2年2月21日第93回議事要旨2頁)。

◯令和元年10月任官(任官者なし。)
・ 指名候補者3人のうち,2人については指名することが適当でないとされ,1人については追加の情報収集を行った上で更に審議する必要があるため,指名の適否について意見を述べることは留保されました(令和元年7月5日開催の第89回委員会議事要旨3頁)。
・ 結果として,令和元年10月に弁護士任官した人はいませんでした。
◯平成31年4月任官
・ 平成30年12月10日付の開示文書によれば,平成30年11月12日に3人の健康診断があったみたいです。
・ 1人が任官希望を取り下げたため,指名候補者2人のうち,1人についてだけ指名することが適当とされました(平成30年12月7日開催の第86回委員会議事要旨2頁及び3頁)。
→ 54期の廣瀬一平弁護士(大阪弁)です。

◯平成30年10月任官
・ 指名候補者2人のうち,1人についてだけ指名することが適当とされました(平成30年7月6日の第84回議事要旨3頁)。
→ 新61期の木上(相井)寛子弁護士(熊本弁)です。
◯平成30年4月任官
・ 平成29年12月11日付の開示文書によれば,平成29年11月11日に2人の健康診断があったみたいです。
・ 指名候補者2人のうち,1人についてだけ指名することが適当とされました(平成29年12月1日の第81回議事要旨3頁)。
→ 44期の大場めぐみ弁護士(大弁)です。

◯平成29年4月期任官
・ 指名候補者6人のうち,2人についてだけ指名することが適当とされました(平成28年12月2日の第76回議事要旨3頁)。
→ 58期の矢向孝子弁護士(二弁)及び新63期の今城智徳弁護士(大弁)です。
・ 平成29年6月12日付の開示文書によれば,平成28年11月11日に4人の健康診断及び面接があり,同月14日に2人の健康診断及び面接があったみたいです。

◯平成28年4月期任官
・ 指名候補者8人のうち,3人についてだけ指名することが適当とされ(平成27年12月4日の第71回議事要旨3頁),平成27年12月16日の最高裁判所裁判官会議で採用内定となりました。
→ 50期の安部朋美弁護士(兵庫弁),50期の金久保茂弁護士(東弁)及び58期の杉森洋平弁護士(東弁)です。

◯平成27年4月期任官
・ 指名候補者3人のうち,1人についてだけ指名することが適当とされ(平成26年12月5日の第65回議事要旨3頁),平成26年12月10日の最高裁判所裁判官会議で採用内定となりました。
→ 57期の大塚博喜弁護士(東弁)です。

◯平成26年10月期任官
・ 指名候補者2人のうち,2人について指名することが適当とされ(平成26年6月27日の第63回議事要旨3頁),平成26年7月2日の最高裁判所裁判官会議で採用内定となりました。
→ 42期の岸本寛成弁護士(大弁)及び55期の南部潤一郎弁護士(旭川弁)です。
・ 法テラスHPに「Article25 裁判官になったスタッフ弁護士 東京高等裁判所判事 南部潤一郎」が載っています。
◯平成26年4月期任官
・ 指名候補者3人のうち,2人についてだけ指名することが適当とされ(平成25年12月9日の第60回議事要旨3頁),平成25年12月11日の最高裁判所裁判官会議で採用内定となりました。
→ 59期の石上興一弁護士(愛知弁)及び61期の津田裕弁護士(兵庫弁)です。

◯平成25年10月期任官
・ 指名候補者6人のうち,3人についてだけ指名することが適当とされ(平成25年7月8日の第58回議事要旨3頁),平成25年7月10日の最高裁判所裁判官会議で採用内定となりました。
→ 45期の山田健男弁護士(二弁),51期の山本健一弁護士(二弁)及び53期の黒澤圭子弁護士(東弁)です。
◯平成25年4月期任官
・ 指名候補者2人のうち,1人についてだけ指名することが適当とされ(平成24年12月10日の第55回議事要旨3頁),平成24年12月12日の最高裁判所裁判官会議で採用内定となりました。
→ 54期の山田兼司弁護士(一弁)です。

◯平成24年4月期任官
・ 指名候補者7人のうち,5人についてだけ指名することが適当とされました(平成23年12月2日第50回議事要旨3頁)。
→ 48期の榎本康浩弁護士(岡山弁),49期の中尾隆宏弁護士(東弁),51期の清野英之弁護士(東弁),54期の木山智之弁護士(大弁)及び59期の山根良実弁護士(福岡弁)です。
* 平成24年10月17日に再び裁判官となった57期の岡部絵理子裁判官は弁護士任官者ではないです。

◯平成23年4月期任官
・ 指名候補者8人のうち,5人についてだけ指名することが適当とされました(平成22年12月3日第45回議事要旨4頁)。
→ 36期の泉薫弁護士(大弁),44期の遠藤曜子弁護士(二弁),54期の大畑道広弁護士(大弁),54期の吉田祈代弁護士(東弁)及び56期の長丈博弁護士(熊本弁)です。

◯平成22年4月期任官
・ 指名候補者3人のうち,1人についてだけ指名することが適当とされました(平成21年12月1日第40回議事要旨3頁)。
→ 57期の塩原学弁護士(東弁)です。

◯平成21年4月期任官
・ 指名候補者8人のうち,6人についてだけ指名することが適当とされました(平成20年12月5日第35回議事要旨3頁)。
→ 43期の菅野正二朗弁護士(一弁),46期の野上(小滝)あや弁護士(大弁),47期の渡辺力弁護士(栃木弁),48期の片岡早苗弁護士(二弁),51期の下嶋崇弁護士(千葉弁)及び56期の圓道至剛弁護士(一弁)です。
・   1人だけ保留とされましたが,その後,指名することが不適当とされました(平成20年12月19日第36回議事要旨2頁)。

◯平成20年10月期任官
・ 指名候補者3人のうち,2人についてだけ指名することが適当とされました(平成20年6月27日第33回議事要旨2頁)。
→ 34期の上田日出子弁護士(兵庫弁)及び39期の大沼和子弁護士(東弁)です。
◯平成20年4月期任官
・ 指名候補者5人のうち,2人についてだけ指名することが適当とされました(平成19年12月7日第30回議事要旨3頁)。
→ 48期の本多哲哉弁護士(東弁)及び51期の佐々木愛彦弁護士(広島弁)です。
   ただし,本多哲哉弁護士は平成20年6月1日任官です。

◯平成19年10月期任官
・ 指名候補者7人のうち,4人についてだけ指名することが適当とされました(平成19年6月29日第28回議事要旨2頁及び3頁)。
→ 39期の片山昭人弁護士(二弁),39期の本多久美子弁護士(奈良弁),42期の藤岡淳弁護士(二弁)及び45期の塚原聡弁護士(東弁)です。
   ただし,42期の藤岡淳弁護士は平成20年1月16日任官です。
◯平成19年4月期任官
・ 指名候補者3人のうち,2人についてだけ指名することが適当とされました(平成18年12月8日第25回議事要旨4頁)。
→ 41期の河野匡志弁護士(東弁)及び42期の小倉真樹弁護士(奈良弁)です。

◯平成18年10月期任官
・ 指名候補者3人のうち,1人について指名することが適当とされ,1人について9月6日の次回の指名諮問委員会において面接を行った上で指名の適否の判断を行うこととされました(平成18年7月7日第22回議事要旨3頁)。
→ 40期の浅井隆彦弁護士(大弁)(平成18年10月1日任官)です。
→ 保留とされた1人については,その後,任官希望を取り下げました(平成18年9月6日第23回議事要旨2頁)。
◯平成18年4月期任官
・ 指名候補者6人のうち,4人についてだけ指名することが適当とされ,1人について保留とされました(平成17年12月9日第19回議事要旨4頁)。
→ 31期の山崎恵弁護士(東弁),32期の江守英雄弁護士(東弁),47期の寺澤(水岸)真由美弁護士(福岡弁)及び51期の前原栄智弁護士(愛知弁)です。
   ただし,47期の寺澤真由美弁護士は平成18年6月1日任官であり,51期の前原栄智弁護士は平成18年9月1日任官です。
→ 保留とされた1人については,その後,任官希望を取り下げました(平成18年2月6日第20回議事要旨2頁)。

◯平成17年10月期任官
・ 指名候補者4人のうち,3人についてだけ指名することが適当とされました(平成17年6月10日第16回議事要旨2頁及び3頁)。
→ 28期の熊谷光喜弁護士(兵庫弁),32期の藤本博史弁護士(一弁)及び42期の嶋末和秀弁護士(一弁)です。
◯平成17年4月期任官
・ 指名候補者1人について指名することが適当とされました(平成16年12月3日第13回議事要旨3頁及び4頁)。
→ 49期の青木裕史弁護士(東弁)です。

◯平成16年10月期任官
・ 指名候補者1人について指名することが適当とされました(平成16年6月18日第9回議事要旨2頁及び3頁)。
→ 50期の土井文美弁護士(兵庫弁)です。
◯平成16年4月期任官
・ 指名候補者11人のうち,7人についてだけ指名することが適当とされました(平成15年12月2日第6回議事要旨3頁及び4頁)。
→ 29期の渡邉康弁護士(二弁),31期の間部泰弁護士(横浜弁),33期の鯉沼聡弁護士(東弁),38期の藤田光代弁護士(熊本弁),39期の田口紀子弁護士(二弁),44期の山口格之弁護士及び49期の尾﨑康弁護士(埼玉弁)です。
    ただし,44期の山口格之弁護士は平成16年7月1日任官です。


2 下級裁判所裁判官指名諮問委員会の答申における適当・不適当の推移
(1) 弁護士任官をした年度を基準とした場合、平成16年度以降の推移は以下のとおりです。
令和 5年度:適当4人、不適当3人
令和 4年度:(答申なし。)
令和 3年度:適当2人,不適当3人
令和 2年度:適当5人,不適当2人,留保1人
令和 元年度:適当1人,不適当3人,留保1人,取下げ1人
平成30年度:適当2人,不適当2人
平成29年度:適当2人,不適当4人
平成28年度:適当3人,不適当5人
平成27年度:適当1人,不適当2人
平成26年度:適当4人,不適当1人
平成25年度:適当4人,不適当4人
平成24年度:適当5人,不適当2人
平成23年度:適当5人,不適当3人
平成22年度:適当1人,不適当2人
平成21年度:適当6人,不適当2人
平成20年度:適当4人,不適当4人
平成19年度:適当6人,不適当4人
平成18年度:適当5人,不適当2人,留保2人
平成17年度:適当4人,不適当1人
平成16年度:適当8人,不適当4人
(2)ア 平成16年4月任官から令和5年10月任官までの指名候補者は130人,「適当」の合計は72人,「不適当」の合計は53人,「留保」の合計は4人,「取下げ」は1人でしたから,「適当」の割合は55%です。
    ただし,「留保」とされた4人のうちの1人は翌年に任官しましたから,令和3年度の任官者は3人になっています。
イ 令和5年度につき,「適当」とされた人は4人ですが,同年度の任官者は3人でした。

3 弁護士任官者数の推移
(1) 平成16年度以降の弁護士任官者数の推移は以下のとおりであり,令和5年度時点で合計71人です。
(令和時代11人)
令和 元年度:1人,令和 2年度:4人,令和 3年度:3人
令和 4年度:0人,令和 5年度:3人
(平成時代60人)
平成16年度:8人,平成17年度:4人,平成18年度:5人
平成19年度:6人,平成20年度:4人,平成21年度:6人
平成22年度:1人,平成23年度:5人,平成24年度:5人
平成25年度:4人,平成26年度:4人,平成27年度:1人
平成28年度:3人,平成29年度:2人,平成30年度:2人
(2) 平成24年度の弁護士任官者数につき,日弁連の基礎的な統計情報(2017年)「5 弁護士任官等の実績状況」以前は6人でしたが,日弁連の基礎的な統計情報(2018年)「5 弁護士任官等の実績状況」以降は5人となっています(57期の岡部絵理子裁判官が除外されたと思います。)。

4 弁護士任官推進への影響

(1) 「座談会 下級裁判所裁判官指名諮問委員会発足後の三年間を振り返って」には,「弁護士任官推進への影響」として以下の発言があります(発言者は日弁連弁護士任官等推進センター・事務局長。自由と正義2006年10月号89頁)。
    はっきり言って、指名諮問委員会ができてから、任官推進の萎縮効果を歴然と感じます。最初の年に一一人中四名が不適格で非常にショックでした。その後も不適格者が出たり、事実上取り下げた方もいらっしゃいます。そういう数を考えますと、相当な萎縮効果が出ています。制度に対しては評価すべき点もありますが、任官推進の立場からは、検討してもらいたい点がいくつかあります。先ほど、弁護士任官者の資料が少ないと。それは再任との比較だと思いますが、彼らは一〇年間の蓄積があり、たくさんの資料があるでしょうけれども、弁護士は「任官します」と手を挙げてから一年がかりで一生懸命集めるわけです。そのへんの資料の多寡についてもご理解いただきたい。弁連の推薦委員会にも市民委員が入って、法曹と一緒になって適否を判断して、この人なら推薦できるということで挙げているのに、同じような構成をとっているこの委員会で同じ人が不適格になる。この差がどこで出てくるのかは、やはり検討しなければいけないだろうと思います。
    今、私たちが一番課題だと思っているのは、こちら側で用意した資料は分かっています。しかし、裁判所側が集めた資料は分からない。中央の委員会で、われわれの知らない証拠も一緒に判断されて、それが重要な証拠となって逆の判断になると十分推認される事例がいくつかあります。そういうときに、当該候補者も、一体どのような資料が出たのか知らず、その資料に対する弁明の機会もなければ、反対尋問も経ていない。それで一方的に判断されて最後のところでひっくり返されるのは非常に問題だと思いますし、手続としてもルール違反だろうと思っています。ですから、弁護士任官者は面接をしてほしいわけです。
    今のところ非常勤裁判官から不適とされた人はいません。この人たちは、裁判所がたくさんの情報を集めるチャンスのある方たちです。ですから、そのへんで非常に評価が高いのだろうと思います。裁判所の集めた資料がかなり優越して、弁護士会が集めた外部情報は証拠価値が少上低いのかなとも感じます。弁護士からの資料については、弁護士会内部でも、色々な失敗を重ねながら、ずいぶん工夫を重ねてきて、色々な点で変更しております。しかし、まだ少し違和感が残っているところが今の課題だろう。そのためには、指名諮問委員会、弁護士会の任官推進側双方が考えていることを相互理解する機会は、ぜひあったほうがいいと私は思っております。
 (2) 「座談会:下級裁判所裁判官指名諮問委員会の6年間」には以下の発言があります(自由と正義2009年10月号)。
・ 32頁の記載
    弁誰士任官について考えてみますと、弁護士任官で各ブロックが推薦した人は推薦委員会の推薦を得ている。推薦委員会には市民の代表といわれるような人がおられて、そのような人たちも参加した推薦委員会で推薦した人たちが40%不適にされている。これはどちらを信じていいのだろうという戸惑いがあります。
    それから、委員会で面接が行われていないことが採用を不適とされた人たちにとって少し納得できないのではないか。ぜひ面接の問題は考えて頂きたいと思います。
    もう一つは、システムとしての透明性はあるかもしれませんが、弁護士任官志望者にとっては透明とはいえないのではないか。というのは、不適だといわれた場合に、どうしてだめなのですかと理由の開示を求める.そのときに通りいつぺんの答えで、理由の開示が不十分だとの印象をもっています。
・ 33頁及び34頁の記載
    再任の拒否率と弁護士任官の拒否率を比べると、後者がうんと高い。さらに深刻なのは、再任されなかった人の中で弁護士任官者の比率が非常に高いことを考えておかなければなりません。
    ただ、私は裁判所が「実務処理能力」に斜傾しすぎているように思う。確かに「実務処理能力」は極めて重要だと思うが、もう少し人間味・人柄も重視してもらいたいと思う。それは訴訟への納得の点だけでなく、事実認定にもかかわる。また、同質集団を形成しすぎて、同じようなタイプの人ばかり選んでいるようにも思う。少し型破りであっても、裁判所に新しい風を吹き込む強い個性をもった人を、裁判所にとってリスクがあるかもしれないが、思い切って採用してほしい。


5 関連記事その他
(1) 下級裁判所裁判官指名諮問委員会は,下級裁判所裁判官指名諮問委員会規則(平成15年5月1日施行)により設置される委員会です。
(2)ア 平成29年4月任官以降については,最高裁判所裁判官会議議事録記載の採用内定者が開示されなくなりました(最高裁判所裁判官会議の議事録参照)。
イ 日弁連HPの「司法シンポジウム」「第19回司法シンポジウム報告(2002年11月15日・弁護士会館クレオ)」が載っていますところ,そこには「弁護士任官というのは弁護士・弁護士会にとって非常に重い課題であるが、1年2か月ほどの準備期間に50名の任官者を確保するという高い目標を自らに課し、地道な活動をおこなってきた結果、目標には及ばなかったものの32名を送り出す準備が整ったと書いてあります。
(3)ア 弁護士白書2017年版に含まれる「5 弁護士任官等の実績状況」によれば,2012年の弁護士任官者数は6人(うち,関東弁護士会連合会は3人)となっているものの,弁護士白書2018年版に含まれる「5 弁護士任官等の実績状況」によれば,2012年の弁護士任官者数は5人(うち,関東弁護士会連合会は2人)ととなっています。
イ 平成23年6月30日に依願退官して弁護士登録をした後,平成24年10月17日に広島地家裁判事補に任命された57期の岡部絵理子裁判官を,弁護士任官者から除外したためと思います。
(4)ア 東弁リブラ2017年11月号の「弁護士任官制度~あなたも裁判官に~」が載っています。
イ 弁護士任官等推進センターニュース 弁護士任官・弁護士職務経験(2022年1月)第9号(日弁連委員会ニュース2022年1月号16頁)には以下の記載があります。
 2021年に常勤裁判官に採用された弁護士任官者は、4月期の応募者5名に対して2名(第二東京55期、奈良58期)及び2020年の留保者1名(第二東京50期)の合計3名でした。
(5) 日本弁護士国民年金基金に加入している弁護士が弁護士任官した場合,同基金の加入員資格を喪失しますから,同基金に対し,「国民年金基金 氏名・住所・変更届 資格喪失届」を提出する必要があります。
(6)ア 26期の中山隆夫最高裁判所総務局長は,平成14年2月28日の参議院法務委員会において,毎年10人は弁護士任官で裁判官になって欲しいという趣旨の答弁をしています。
イ 日弁連委員会ニュース2023年2月号8頁の「2022年弁護士任官等の状況」には以下の記載があります。
    2022年に常勤裁判官に採用された弁護士はいませんでした。現行制度が開始された2004年以降、弁護士任官者が一人も出なかった年はありません。2022年の採用分については応募者すら出てこなかったのですから、いまや弁護士任官離れと形容せざるを得ません。
(7) 以下の記事も参照してください。
・ 判事補の採用に関する国会答弁
・ 判事補採用願等の書類,並びに採用面接及び採用内定通知の日程
・ 新任判事補研修の資料
 弁護士任官等に関する協議の取りまとめ(平成13年12月7日付)
・ 弁護士任官者研究会の資料
 弁護士任官希望者に関する情報収集の実情
 弁護士任官に対する賛成論及び反対論
 法曹一元
・ 修習終了後3年未満の判事補への任官
・ 平成20年度以降,任期終了により退官した裁判官の一覧


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