その他役所関係

閉会中解散は可能であることに関する内閣法制局長官の答弁

目次
第1 閉会中解散は可能であることに関する内閣法制局長官の答弁
第2 行政府としての憲法の解釈は、国会及び裁判所を拘束するものではないこと
第3 関連記事その他
   
第1 閉会中解散は可能であることに関する内閣法制局長官の答弁
・ 真田秀夫内閣法制局長官は,昭和54年3月19日の衆議院決算委員会において以下の答弁をしています(ナンバリング及び改行を行っています。)。
1(1) 衆議院を解散するという、これは厳密に言えば天皇の国事行為でございまして、御承知のとおり、内閣の助言と承認によって天皇の名前で衆議院の解散が行われるわけでございまするが、その解散の時期については憲法上どこにもその制約がございません。
   もともと衆議院の解散という行為は、それは時の政府が国民に向かって自分の政策あるいは自分のその内閣の存続についての国民の意思を問いかけるという非常に政治的な行為でございますが、そういう性格から見まして、憲法上どこにもその制約がない、時期について制約がないということは、もっぱら政府の政治的な判断に基づいてやるべきものであるというふうに理解されるわけでございます。
   この点につきましては、いろいろ学説を調べてみましたけれども、もうほとんど全部と言っていいくらい、理論上は国会の閉会中でも衆議院の解散は可能であるというふうに書いてございます。ただ、明治憲法以来現在まで国会――まあ昔は帝国議会でございますが、議会なり国会の閉会中に現実に衆議院の解散が行われたという事例はございません。
(2) なお、念のために申し上げますと、現在の憲法が審議されましたいわゆる制憲議会、その制憲議会におきまして、やはり閉会中のもちろん新憲法による衆議院の解散というのがあり得るのかという御質問がございまして、当時金森国務大臣が、それは非常に慎重にやらなきゃいかぬことは当然であるけれども、理論的に所見を言えということを申されますならば、もちろん解散はできるものと思っておりますという明確な御答弁がございます。
   御参考までに申し上げました。
2 いまだかつて〔閉会中解散の〕前例がないわけでございますので、その前例をもとにして御説明するわけにはいかないわけでございます。
   ただ理屈上は、国会の本会議が開会されている時期に、例の紫色のふくさを持って議長にお届けする、議長が、ただいま解散の詔書が出ましたという朗読をされまして、そうして各衆議院議員の方が、どういう意味合いか知りませんが、万歳を唱えてそこで無事解散ということになるわけなんですが、ただ、いままでに、本会議が開かれておらない時点で解散が行われたこと〔山中注:昭和27年8月28日に第14回国会が解散されたことを指していると思います。その後、昭和55年5月19日に第91回国会が、昭和61年6月2日に第105回国会が、本会議が開いていない時点で解散されました。〕はあるんです。
   その場合には、本会議が開かれておらないわけですから、ただいま申しましたような万歳の機会が実はなかったわけですが、その場合はどうしたかといいますと、議長に――もちろん事務総長を通してでございますが、議長に内閣の方から解散の詔書をお届けして、そして議長が各会派の代表者を議長室にお招きになってそして解散の旨をお伝えになる、そういうことが行われたようでございます。
   したがいまして、それがやや似ていると言えば似ている先例ということになりますので、もし閉会中に解散が行われると、それはただいま申しました本会議が開かれておらない時点において行われた解散の場合の手続に準じて、議長室に議長はいらっしゃいますから、議長のところへお届けして、議長がしかるべき手順を踏んで各会派の方にお伝えになると、こういう御手続を踏まれることになるだろうと思います。

3 なおついでに申し上げますと、もし閉会中は国会解散ができないのだという解釈をとりますと、たとえば国会の会期の最終日なり、あるいは非常に会期の終了間近に衆議院において内閣の不信任案が可決され、または信任案が否決されるというようなことがあった場合に、憲法69条は、そういう場合には10日間、つまり内閣は10日間、総辞職をするか解散をするかどちらかの選択をしなさいという選択権を与えているわけなんで、いま申しましたように、会期の終了間近、つまり10日以内の間近に衆議院において内閣の不信任案が可決されたような場合にはもうその選択ができないというような不都合なことになりますので、それでやはり閉会中においても解散ができるのだという解釈の趣旨は、憲法69条から見てもやはり是認されてしかるべきであろうというふうに考えるわけでございます。

5分11秒より後の動画は,昭和55年5月19日の衆議院解散に関するものです。

5分13秒より後の動画は,昭和61年6月2日の衆議院解散に関するものです。

第2 行政府としての憲法の解釈は、国会及び裁判所を拘束するものではないこと
・ 参議院議員小西洋之君提出内閣の解釈変更と議院内閣制等との関係に関する質問に対する答弁書(平成27年10月6日付)には以下の記載があります。
   憲法の解釈を最終的に確定する権能を有する国家機関は、憲法第八十一条によりいわゆる違憲立法審査権を与えられている最高裁判所である。他方、行政府においても、いわゆる立憲主義の原則を始め、憲法第九十九条が公務員の憲法尊重擁護義務を定めていることなども踏まえ、その権限を行使するに当たって、憲法を適正に解釈していくことは当然のことであり、このような行政府としての憲法の解釈については、第一次的には法律の執行の任に当たる行政機関が行い、最終的には、憲法第六十五条において「行政権は、内閣に属する。」と規定されているとおり、行政権の帰属主体である内閣がその責任において行うものである。行政府としての憲法の解釈は、国会及び裁判所を拘束するものではない。
   その上で、憲法を始めとする法令の解釈は、当該法令の規定の文言、趣旨等に即しつつ、立案者の意図や立案の背景となる社会情勢等を考慮し、また、議論の積み重ねのあるものについては全体の整合性を保つことにも留意して論理的に確定されるべきものであり、政府による憲法の解釈は、このような考え方に基づき、それぞれ論理的な追求の結果として示されてきたものであって、諸情勢の変化とそれから生ずる新たな要請を考慮すべきことは当然であるとしても、なお、前記のような考え方を離れて政府が自由に憲法の解釈を変更することができるという性質のものではないと考えている。仮に、政府において、憲法解釈を便宜的、意図的に変更するようなことをするとすれば、政府の憲法解釈ひいては憲法規範そのものに対する国民の信頼が損なわれかねないと考えられる。
    このようなことを前提に検討を行った結果、従前の解釈を変更することが至当であるとの結論が得られた場合には、これを変更することがおよそ許されないというものではないと考えられるが、政府として、御指摘のような「歴代政府の解釈に対して論理的整合性を逸脱し、法的安定性を損ねるような解釈変更」を行うことはない。

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在日米軍基地

目次
第1 総論
1 ポツダム宣言,旧日米安保条約及び日米安保条約
2 刑事特別法
3 日米安全保障協議委員会及び日米合同委員会
4 返還された米軍基地の跡地利用
5 その他の在日米軍基地
6 2001年のアフガニスタン攻撃では集団的自衛権が発動されたこと
7 沖縄返還協定及び沖縄返還密約
8 その他
第2 各論(司法研修所関係,東京地家裁立川支部関係及び沖縄関係)
1 司法研修所関係
2 東京地家裁立川支部関係
3 沖縄関係
第3 日本の戦前の兵役の年齢
1 兵役の年齢
2 志願兵の年齢
3 沖縄戦の場合
4 その他
第4 関連記事その他

第1 総論
1 ポツダム宣言,旧日米安保条約及び日米安保条約
(1) ポツダム宣言
ア   1945年7月26日に発表され,同年8月14日に日本が受諾を通告したポツダム宣言には以下の条項がありました(当時の公式の日本語訳による全文につき国立国会図書館HPの「ポツダム宣言」,非公式の現代語訳による全文につき外部HPの「ポツダム宣言条文 全訳」参照)。
7項:右ノ如キ新秩序カ建設セラレ且日本国ノ戦争遂行能力カ破砕セラレタルコトノ確証アルニ至ルマテハ聯合国ノ指定スヘキ日本国領域内ノ諸地点ハ吾等ノ茲ニ指示スル基本的目的ノ達成ヲ確保スルタメ占領セラルヘシ
12項:前記諸目的カ達成セラレ且日本国国民ノ自由ニ表明セル意思ニ従ヒ平和的傾向ヲ有シ且責任アル政府カ樹立セラルルニ於テハ聯合国ノ占領軍ハ直ニ日本国ヨリ撤収セラルヘシ
イ 最高裁大法廷昭和28年4月8日判決は,以下の判示をしています(ナンバリングを追加しました。)。
① 連合国の管理下にあつた当時にあつては、日本国の統治の権限は、一般には憲法によつて行われているが、連合国最高司令官が降伏条項を実施するため適当と認める措置をとる関係においては、その権力によつて制限を受ける法律状態におかれているものと言わねばならぬ。すなわち、連合国最高司令官は、降伏条項を実施するためには、日本国憲法にかかわりなく法律上全く自由に自ら適当と認める措置をとり、日本官庁の職員に対し指令を発してこれを遵守実施せしめることを得るのである。
② かかる基本関係に基き前記勅令第五四二号、すなわち「政府ハポツダム宣言ノ受諾ニ伴ヒ聯合国最高司令官ノ為ス要求ニ係ル事項ヲ実施スル為、特ニ必要アル場合ニ於テハ命令ヲ以テ所要ノ定ヲ為シ及必要ナル罰則ヲ設クルコトヲ得」といふ緊急勅令が、降伏文書調印後間もなき昭和二〇年九月二〇日に制定された。この勅令は前記基本関係に基き、連合国最高司令官の為す要求に係る事項を実施する必要上制定されたものであるから、日本国憲法にかかわりなく憲法外において法的效力を有するものと認めなければならない。

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天皇の崩御・即位に伴って行われる国事行為としての儀式に関する,昭和63年11月8日の衆議院決算委員会における質疑応答

○天皇の崩御・即位に伴って行われる国事行為としての儀式に関する,昭和63年11月8日の衆議院決算委員会における質疑応答は以下のとおりです。
なお,文中の東中委員は東中光雄衆議院議員(日本共産党)(3期の弁護士(大弁))であり,小渕国務大臣は小渕恵三内閣官房長官であり,味村政府委員は味村治内閣法制局長官であり,宮尾政府委員は宮尾盤宮内庁次長です。

○東中委員 私は、天皇の代がわりに伴う、憲法七条による国事行為としての諾儀式についてお伺いをしたいと思います。
主権在民と政教分離の原理が明記されております日本国憲法下において、天皇の代がわりの儀式がどのように行われるのか。憲法第七条の「天皇の国事行為」として行われる儀式はどういう儀式があるのか、お伺いをしたいと思います。
○味村政府委員 法律上の事柄について申し上げますが、憲法第七条は天皇の国事行為を限定列挙しているわけでございます。そして、その十号に「儀式を行ふこと。」というのがございまして、ここに言う「儀式」というのは、天皇が主宰されまして国の儀式として行うにふさわしいものを言うというふうに考えております。
ところで、皇室典範第二十四条には、「皇位の継承があったときは、即位の礼を行う。」と規定しておりまして、また同じく、皇室典範の二十五条には「天皇が崩じたときは、大喪の礼を行う。」こう規定しております。これは皇位の継承及び天皇の崩御がございました場合には、憲法第一条が規定いたしておりますように、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」であることにかんがみまして、国事行為たる儀式として、即位の礼及び大喪の礼を行うことを予定したものと解されるわけであります。
○東中委員 国事行為として行われる即位の礼、それから大喪の礼、新皇室典範に書いてあるその儀式の具体的内容をお聞かせ願いたいと思います。
○小渕国務大臣 皇室典範に定める即位の礼及び大喪の礼の儀式は、憲法の趣旨に沿い、かつ、皇室の伝統等を尊重したものになると考えておりますが、具体的内容につきましては現在お答えのできる段階ではございません。
○東中委員 今まで政府は、憲法の趣旨に沿い、かつ、皇室の伝統等を尊重してということを言われておって、そうしたものにたると質問主意書に対する答弁もそう書いてあります。
問題は、皇室の伝統等を尊重すると言っておるその伝統というのは一体何なのかということに結局帰着するわけでありますが、帝国憲法と旧皇室典範では、名前は同じ天皇ですけれども、天皇は天照大神から授かった祖宗の神器を受ける、これは旧皇室典範に書いてありますね、受けた万世一系の神聖不可侵の現人神で、国の元首にして統治権の総攬者である、陸海軍の統帥権者である、こういう絶対的な天皇であったわけです。その天皇の代がわりの場合には、帝国憲法と旧皇室典範に基づいてつくられた皇室令、登極令なり皇室喪儀令なり、こうした皇室令に基づいて天皇代がわりの儀式がやられてきたわけであります。大正から昭和に代がわりしたときの儀式は、践祚の式として四儀式、大喪の儀として二十九儀式、即位の礼及び大嘗祭として二十八儀式、一年余にわたって合計六十一の儀式がとり行われてきた。このことは、宮内庁なども、我々の方に七九年の内閣委員会のときなどで資料で出されておるところであります。
そこで問題は、この皇室令というのは、日本国憲法によって、その九十八条の趣旨からいっても、帝国憲法及び皇室典範が現行憲法に反する、原理が反するものだとして廃止されたものですね。だから、皇室令に基づいてやられた明治以後の儀式というのは、皇室の伝統じゃなくて、帝国憲法に基づいた、旧皇室典範に基づいた皇室令によってやられたものであって、それは今や廃止されているものであります。だから、主権在民で、しかも政教分離の原理をちゃんと出している中では、さきに皇室令に基づいてやられた儀式を踏襲するということは、憲法原理がまるきり違いますから、私は許されないことだと思うのですが、その点についての政府の御見解を承りたいと思います。
○味村政府委員 旧皇室令が新憲法の施行と同時に廃止になっておりますことは、委員の御指摘のとおりでございます。しかし、旧皇室令によって行われておりました御喪儀なり即位の礼が、伝統でないということにはならないと存じます。したがいまして、今回の、先ほど申し上げました即位の礼なり大喪の礼につきましては、新憲法のもとで新憲法の趣旨に沿うような形で、しかも伝統を尊重して行われる、このような、先ほど官房長官の申されたとおりのことになるわけでございまして、およそ新憲法に違反するような儀式というものは国の儀式として行われることはないと申してよろしいと存じます。
○東中委員 天皇代がわりに際して行われる最初の国事行為としての儀式は、どういう儀式ですかい。
○宮尾政府委員 旧憲法下におきましては、践祚の式といたしまして、賢所の儀、皇霊殿・神殿に奉告の儀、剣璽渡御の儀及び践祚後朝見の儀というものが行われております。
○東中委員 何を言うていますか、あなた。新憲法、現在の憲法で最初にやられるのは何ですかと言うて聞いておるのであって、あなたの言われたいわゆる践祚の儀としての四つの儀式、それは旧憲法の皇室令に基づくものですね。だからそんなもの先刻承知なんですが、それをやるつもりですかということを聞いているのです。
ところで、現行の皇室典範によりますと、践祚という概念は既にありませんということを内閣法制局長官が既に答弁をしています。践祚の概念は現行法上ないのですから、践祚の儀式というものはあり得ないわけですが、その点はいかがですか。
○宮尾政府委員 先ほど申し上げましたように、旧憲法下におきましては四つの儀式が行われたわけでございますが、皇位継承があったときに行われます諸儀式のうちで国事に関する行為としての儀式は、憲法の趣旨に沿いまして、かつ、皇室の伝統を尊重したものになるというふうに考えておりますが、その具体的な内容につきましては現在お答えをする段階にはございません。
なお、践祚という言葉は現在の憲法、法律のもとでは即位という言葉になっております。
○東中委員 法制局長官が、践祚の概念は現行法制上ございませんという答弁をしたのは、七九年四月十七日の内閣委員会でそういう答弁をしています。宮内庁がそれを変えると言ったって始まらぬわけで、即位という言葉は前からもあったのです。それで、現行法の即位の言葉と前の即位の言葉では違う、践祚の概念は現行法上ない、しかし践祚の儀式はやるんだというのか、やらないというのか、ここが今の話でははっきりしないわけです。
改めてお伺いをしますけれども、先ほど宮内庁からお話のあった剣璽渡御の儀、現在は言葉をかえて剣璽等承継の儀という言葉で、いわゆる三種の神器などの承継儀式をやるというふうに準備をされているということが、一部もう既に報道をされておるわけです。その後、践祚後朝見の儀というのが即位後朝見の儀というふうに名前を変えてやろうとしているというふうなことが、既に情報として報道をされております。それで私はお聞きしたいのですが、剣璽渡御の儀あるいは即位後朝見の儀というふうなものは、名前を変えても実質的には同じようなことを国事行為としてやることは許されないと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
○味村政府委員 先ほどの、現在の法制度のもとでは践祚という概念がないということを前の法制局長官が答弁したということでございますが、実は私その答弁を持ってきておりませんのではっきりしたことは申し上げられませんが、旧憲法のもとにおきましては、践祚というのは皇位の継承である、天皇の位を継承することを践祚と言い、そして、天皇の位を継承したということを内外に宣明することを即位と言ったというふうに、私はそのように理解をいたしております。現在は、先ほど宮内庁の方からおっしゃいましたように、践祚は即位と申しますか、践祚という言葉はございませんで、皇位を継承することはすなわち即位であるというように考えている次第でございます。また、皇室典範もそのように規定をしているものと存じます。
ところで、先ほどの剣璽渡御の儀等についての御質問でございましたが、これは先ほどから御答弁がございますように、皇位の継承があったときに行われます諸儀式のうちでどのような儀式を国事行為として行うかということについては、答弁できる段階にございませんということでございますので、それにつきましてまた御質問にお答えするということはできかねるということは、御理解いただけると思います。いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、憲法に反する儀式を国の儀式として行うことはあり得ないわけでございます。
○東中委員 準備してないんだそうですが、私ここへ持ってきておりますので、先ほど言いました昭和五十四年四月十七日衆議院内閣委員会、当時の真田政府委員、法制局長官ですが、現行の制度で申しますと、践祚という概念が実はないわけなんでして、先ほどお読みになりました皇室典範の第四条で「皇嗣が、直ちに即位する。」ということと、云々とあって、次に、この「即位の礼を行う。」という場合の即位の礼は、憲法の規定に照らせば、憲法第七条の国事行為の末号にある「儀式を行ふこと。」という儀式に入るのだろうと思いますが、践祚という概念はもうございません。
と、はっきりそういうふうに言っているので、私が勝手に言っているわけでも何でもないのです。だから、今言われていることを、践祚という言葉がなくなったと、今法制局長官はそう言いました。ところが、ここは私は言葉のことを言っているのではなくて、そういう概念はなくなったんだ、現行制度上、概念はなくなったんだと前の法制局長官は言っているんです。そういうことをごまかしたらいかぬです。その点を指摘しておきます。
だから、践祚の概念がなくなったんだから、践祚の儀式というのはなくなるのが当たり前なのです。それをなくするのか、なくさないのかということについてはっきり言わないというのは、私はこれは非常に重要な問題を含んでいると思うのです。
といいますのは、いわゆる剣璽渡御の儀といいますのは、剣はいわゆる草薙剣というか天叢雲剣というものですね。それから曲玉ですね。それから、鏡の方は三種の神器の中に入るけれどもここには具体的には入らないようですが、そういう剣璽の神器を渡すのは、旧皇室典範には十条ではっきりと「祖宗ノ神器ヲ承ク」というふうにちゃんと書いてあるのですね。ところが、今度の皇室典範ではその部分が削られておるのですから、ないのですから、なくなっておるものをやっちゃいかぬ。
なぜなくなっておるかといえば、三種の神器の承継といいますのは、神話に基づいて天照大神から授けられた神器を新天皇に引き継ぐという儀式で、そして神格性を新天皇に持たせる。だから「神聖ニシテ侵スヘカラス」という旧憲法の天皇にはこれが要ったわけです。しかし、今の新天皇ではそういうものは一切ないのですから、「国民の総意に基く。」という象徴天皇なんですから、だから、そういうものをここへ持ってくるということになれば神話の世界を持ち込む。国の行為としてそれを持ち込むということになれば、これは主権在民の、しかも政教分離の原則をうたっている憲法上そういうことは許されないんだ。
憲法の趣旨に沿ってと言うなら、憲法の趣旨に沿ってこれはやめるべきであるというふうに思うのですが、改めてもう一回御見解をお伺いしたい。
○味村政府委員 先ほどから申し上げますように、具体的な問題についてお答えをできる段階ではございません。この儀式につきまして一番問題となりますのは、憲法第二十条第三項の政教分離の原則でございます。この憲法二十条三項の政教分離の原則につきましては、有名な地鎮祭に関する最高裁の判決がございます。私どもといたしましては、この最高裁の判決を尊重いたしまして、二十条三項に違反するかどうかということを絶えず判定している次第でございます。

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内閣法制局参事官経験のある裁判官

目次
1 内閣法制局参事官経験のある裁判官
2 内閣法制局参事官経験のない,裁判官出身の内閣法制局長官
3 内閣法制局参事官の位置づけ
4 5点セット
5 関連記事その他

1 内閣法制局参事官経験のある裁判官
(1) 内閣法制局第一部参事官経験のある裁判官
・ プロパーの検事及び期外を除き,新しい順に以下のとおりです(最後の職が最高裁裁判官である人は赤文字表記とし,最後の職が高裁長官である人は紫文字表記としています。)。
53期の畑佳秀裁判官(R3.8.1 ~ )
48期の馬渡直史裁判官(H28.8.1 ~ R3.7.31)
45期の菊池章裁判官(H23.8.1 ~ H28.7.31)
40期の舘内比佐志裁判官(H18.8.7 ~ H23.7.31)
37期の八木一洋裁判官(H12.8.10 ~ H18.8.6)
33期の青柳勤裁判官(H7.7.3 ~ H12.8.9)
26期の永井敏雄裁判官(H2.8.1 ~ H7.7.2)
19期の堀籠幸男裁判官(S59.8.13 ~ H2.7.9)
15期の鈴木康之裁判官(S54.7.1 ~ S59.8.13)
10期の上谷清裁判官(S49.4.15 ~ S54.6.30)
(2) 内閣法制局第二部参事官経験のある裁判官
・ プロパーの検事及び期外を除き,新しい順に以下のとおりです(最後の職が最高裁裁判官である人は赤文字表記とし,最後の職が高裁長官である人は紫文字表記としています。)。
52期の家原尚秀裁判官(R5.8.1 ~ )
50期の衣斐瑞穂裁判官(H30.8.1 ~ R5.7.31)
47期の岡田幸人裁判官(H25.8.1 ~ H30.7.31)
42期の森英明裁判官(H20.8.1 ~ H25.7.31)
37期の尾島明裁判官(H15.8.1 ~ H20.7.31)
38期の岩井伸晃裁判官(H13.6.4 ~ H18.7.23)
33期の野山宏裁判官(H11.10.1 ~ H15.7.31)
28期の高橋利文裁判官(H6.9.1 ~ H11.9.30)

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内閣法制局長官任命の閣議書

目次
1 内閣法制局長官任命の閣議書
2 関連記事その他

1 内閣法制局長官任命の閣議書
    平成元年以降の内閣法制局長官任命の閣議書を以下のとおり掲載しています(2回目以降の任命分は除いています。)。

・ 岩尾信行内閣法制局長官任命の閣議書(令和6年8月27日付)

・ 近藤正春内閣法制局長官任命の閣議書(令和元年9月11日付)

・ 横畠裕介内閣法制局長官任命の閣議書(平成26年5月16日付)

・ 小松一郎内閣法制局長官任命の閣議書(平成25年8月8日付)

・ 山本庸幸内閣法制局長官任命の閣議書(平成23年12月22日付)

・ 梶田信一郎内閣法制局長官任命の閣議書(平成22年1月15日付)

・ 宮崎礼壹内閣法制局長官任命の閣議書(平成18年9月26日付)

・ 阪田雅裕内閣法制局長官任命の閣議書(平成16年8月31日付)

・ 秋山収内閣法制局長官,並びに佐藤英彦,村田成二及び青山俊樹安全保障会議幹事任命の閣議書(平成14年8月7日付)

・ 津野修内閣法制局長官,及び川島裕安全保障会議幹事任命の閣議書(平成11年8月24日付)

・ 渡辺嘉蔵及び古川貞二郎内閣官房副長官,並びに大森政輔内閣法制局長官任命の閣議書(平成8年1月11日付)

・ 大出峻郎内閣法制局長官任命の閣議書(平成4年12月12日付)

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日本国憲法外で法的効力を有していたポツダム命令

目次
1 ポツダム緊急勅令及びポツダム命令
2 占領期間中の法的効力に関する判例
3 占領期間終了後の法的効力に関する判例
4 「法廷秩序維持問題」(昭和28年1月)の記載
5 関連記事その他

1 ポツダム緊急勅令及びポツダム命令
(1) ポツダム緊急勅令とは,緊急勅令(明治憲法8条1項)として制定された,「ポツダム」宣言ノ受諾ニ伴ヒ発スル命令ニ関スル件(昭和20年9月20日勅令第542号)をいい,その本文は以下のとおりです。
   政府ハ「ポツダム宣言」ノ受諾ニ伴ヒ聯合國最高司令官ノ爲ス要求ニ係ル事項ヲ實施スル爲特ニ必要アル場合ニ於テハ命令ヲ以テ所要ノ定ヲ爲シ及必要ナル罰則ヲ設クルコトヲ得
(2)ア ポツダム緊急勅令は,昭和20年12月,明治憲法8条2項に基づき帝国議会の承諾を得ています。
   そのため,旧憲法下の法律としての効力を有していましたし,ポツダム緊急勅令に基づくポツダム命令も,日本国憲法の施行及び日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律(昭和22年4月18日法律第72号)により失効することはないとされました(「昭和二十三年政令第二百一号の効力について」(昭和23年9月3日閣議決定)参照)。
イ ポツダム命令の総数は526件であって(Wikipediaの「ポツダム命令」参照),例えば,出入国管理令(昭和26年10月4日政令第319号。現在の出入国管理及び難民認定法)はポツダム命令の一種です(ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係諸命令の措置に関する法律(昭和27年4月28日法律第126号)1条及び4条参照)。
(3)ア ポツダム命令は,ポツダム緊急勅令に基づいて制定された命令であって,勅令,閣令又は省令という形式を取っていました(昭和二十年勅令第五百四十二号(「ポツダム」宣言ノ受諾ニ伴ヒ発スル命令ニ関スル件)施行ニ関スル件(昭和20年9月20日勅令第543号))。
   なお,閣令とは,明治憲法時代に内閣総理大臣が発した命令をいいます。
イ 昭和22年5月3日の日本国憲法施行後は,政令(いわゆるポツダム政令),総理庁令・法務府令及び省令という形式に変更されました(日本國憲法施行の際現に効力を有する勅令の規定の効力等に関する政令(昭和22年5月3日政令第14号)2項)。
   なお,総理庁令は,行政官庁法(昭和22年4月18日公布の法律第69号)6条に基づくものであって,国家行政組織法(昭和23年7月10日法律第120号)が施行された昭和24年6月1日以降は総理府令がこれに当たるものとなりました。
(4) ポツダム命令は,日本国憲法にかかわりなく憲法外において法的効力を有していました(最高裁大法廷昭和28年4月8日判決)。
(5)ア ポツダム緊急勅令は,日本国との平和条約が発効した昭和27年4月28日に廃止されました。
イ ポツダム命令は,別に法律で廃止又は存続に関する措置がなされない場合,昭和27年4月28日から起算して180日間に限り,法律としての効力を有するものとされました。
ウ ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律(昭和27年4月11日法律第81号)が根拠法です。
(6) 判例時報1472号(平成5年12月21日号)の「ポツダム緊急勅令・ポツダム命令」(重要法令関係慣用語の解説132)が非常に参考になります。

2 占領期間中の法的効力に関する判例
(1) 最高裁大法廷昭和25年2月1日判決(昭和21年から昭和27年に実施された公職追放に関する裁判例です。)は,以下の判示をしています。
    追放は、前示一九四六年一月四日の覚書(山中注:昭和21年1月4日附連合国最高司令官覚書「公務従事ニ適シナイ者ノ公職カラノ除去ニ関スル件」のこと。)を履行するために行われる特別な行政処分であつて、日本国憲法の枠外にある冷厳な処分であるから、これが手続一切はその初頭たると中途たると結果たるとを問わずすべて日本の裁判所の権限外であり、従つて、その手続の結果追放処分が行われたときは、その処分の根拠が真実であるか又は充分であるか等処分の根拠の有無を審理することは日本の裁判所の権限内にないものと解すべきである。
(2)ア 最高裁大法廷昭和28年4月8日判決(政令第201号違反事件に関する判例です。)は,以下の判示をしています(ナンバリングを追加しました。)。
① 連合国の管理下にあつた当時にあつては、日本国の統治の権限は、一般には憲法によつて行われているが、連合国最高司令官が降伏条項を実施するため適当と認める措置をとる関係においては、その権力によつて制限を受ける法律状態におかれているものと言わねばならぬ。すなわち、連合国最高司令官は、降伏条項を実施するためには、日本国憲法にかかわりなく法律上全く自由に自ら適当と認める措置をとり、日本官庁の職員に対し指令を発してこれを遵守実施せしめることを得るのである。
② かかる基本関係に基き前記勅令第五四二号、すなわち「政府ハポツダム宣言ノ受諾ニ伴ヒ聯合国最高司令官ノ為ス要求ニ係ル事項ヲ実施スル為、特ニ必要アル場合ニ於テハ命令ヲ以テ所要ノ定ヲ為シ及必要ナル罰則ヲ設クルコトヲ得」といふ緊急勅令が、降伏文書調印後間もなき昭和二〇年九月二〇日に制定された。この勅令は前記基本関係に基き、連合国最高司令官の為す要求に係る事項を実施する必要上制定されたものであるから、日本国憲法にかかわりなく憲法外において法的効力を有するものと認めなければならない。
イ 政令第201号事件(別名は,「国鉄弘前機関区事件」です。)というのは,昭和23年7月31日政令第201号1条1項の「公務員は、何人といえども同盟罷業又は怠業的行為をなし、その他国又は地方公共団体の業務の運営能率を阻害する争議行為をとってはならない」に違反するということで起訴された事件です。

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明治憲法時代の親任官,勅任官,控訴院及び検事局

目次
1 親任官
2 勅任官
3 控訴院
4 検事局
5 戦前の公判立会検事の状況
6 関連記事その他
   
1 親任官
(1) 親任官は,天皇の親任式を経て任命される官吏です。
(2)ア 明治憲法時代の親任官は大体,現在の認証官に大体,対応しています。
   ただし,司法関係の親任官ポストは,司法大臣,大審院長,検事総長及び行政裁判所長官だけでした。
イ 親任官ポストになった時期は,大審院長が大正3年であり(従前は親補職でした。),行政裁判所長官が大正5年であり,検事総長が大正10年でした(ただし,大正3年に親補職になっていました。)。
ウ 親補職は,勅任官の中から親補(親補式をもって補すること)される職のことであり,在任中は親任官の待遇を受けることができました。
(3) 大審院長(裁判所構成法44条1項)は大審院の一般の事務を指揮し,その行政事務を監督する権限を有していました(裁判所構成法44条2項)。
(4) 皇室儀制令(大正15年10月21日皇室令第7号)29条に基づく宮中席次によれば,親任官である大審院長は第11ですから,第10の陸軍大将,海軍大将及び枢密顧問と,第12の貴族院議長及び衆議院議長の間でした。

2 勅任官
(1)ア 狭義の勅任官は高等官1等及び高等官2等の総称であり,広義の勅任官はこれらに親任官を含んだ総称でした。
イ 狭義の勅任官は現在の指定職に大体,対応しています。
(2)ア 司法関係の勅任官ポストは,司法省の次官及び局長,大審院部長判事,控訴院長及び地裁所長,並びに控訴院検事長及び地裁検事正だけでした(外部HPの「主要戦前官吏官僚ポスト表」参照)。
    それぞれのポストの序列は,外部HPの「大正・昭和戦前期における幹部裁判官のキャリアパス分析」が分かりやすいです。
イ 大審院部長は,部の事務を監督し,その分配を定める権限を有していました(裁判所構成法44条3項)。
(3)ア 日本の歴史学講座HPの「主要戦前官吏官僚ポスト」によれば,大審院部長判事は高等官1等又は高等官2等であり,大審院判事は高等官1等ないし高等官7等であるとされています。
   ただし,大審院判事の等級に開きがありすぎる気がしますから,正しいかどうか不明です。
イ 高等官3等ないし高等官9等の総称は奏任官でした。
(4) 「公務員制度改革の経緯と今後の展望 」(2008年1月の立法と調査)には以下の記載があります(リンク先のPDF2頁)。
    昇進に関しては、文官高等試験(高文)に合格すると、最初は、判任官である属として任用され、2年後に奏任官である事務官に任官する。入省 10年後には本省課長、20 年程度で局長、42,3 歳で次官に就任している。また、各省官制通則及び各省ごとの官制といった勅令により、次官には勅任官を充てるなど、どのポストにはどの官を充てるかが定められていた。また、文官任用令によって奏任官の採用を高文合格者に限定し、勅任官には奏任官からしか任用されないことが定められた。これにより、課長以上へは高文合格者以外には昇進できなくなるとともに、政治的任用が排除された。早期退職制も慣行として存在していた。以上のような官吏制度は、概ね明治 20年代に整備され、終戦まで継続することになる。
   
3 控訴院

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令和元年5月現在,文部科学大臣の日程表は1週間程度で廃棄されていることに関する国会答弁

1 令和元年5月8日の衆議院文部科学委員会において,以下の国会答弁がありました。

○川内委員 最後、あと三分残っておりますので、大臣の日程表のことについて。
この前、あるマスコミで、大臣の日程表は廃棄されているという記事が出ておりました。大臣の日程表ってめっちゃ大事じゃんと私は思うんですけれども、それを廃棄すると。どのぐらいで廃棄しているのか、どういうふうに廃棄しているのかということを教えていただきたいと思います。
○生川政府参考人 お答えいたします。
御指摘の報道のありました情報公開請求についてでございますが、二〇一七年度及び二〇一八年度の文部科学大臣の日程表に係る請求があったところでございます。これに対しまして、文部科学省としては、請求文書に該当する行政文書を、請求があった時点で保有をしていなかったということで不開示とさせていただきました。
これは、今委員から御指摘がありましたように、作成をした大臣日程表を情報公開請求を受けた時点では既に廃棄をしていたということで、その時点では保有をしていなかったという趣旨でございます。
加えて、その廃棄の方法、それから期間についてのお尋ねがございました。
大臣の日程表の廃棄の方法につきましては、基本的には、紙媒体のものにつきましてはシュレッダーにより廃棄をし、電子媒体についてはデータ自体を消去するということで廃棄をしているところでございます。
 また、大臣日程表を廃棄するまでの期間でございますけれども、政府の行政文書の管理に関するガイドライン及び文部科学省行政文書管理規則におきまして、定型的、日常的な業務連絡及び日程表等の保存期間を一年未満とすることができるというふうに定められております。これに基づきまして、日程表をおおむね一週間程度で廃棄をさせていただいているというところでございます。
○川内委員 大臣、大臣の日程表、一週間で廃棄されるんですよ。大臣の日程表ですよ。私は、めちゃめちゃ歴史的な価値のある公文書であるというふうに思いますけれどもね。
では、廃棄しているということなんですけれども、大臣本人あるいは秘書官あるいはSPあるいは秘書課のその他の職員で、大臣日程表を個人で保有していらっしゃる方がいるのではないかということを確認してくださいときのう質問レクで申し上げておきましたが、御確認をいただきましたでしょうか。
○生川政府参考人 お答えいたします。
昨日、質問レクの際に委員の方から、大臣の日程表について、本来の廃棄すべき時期を過ぎても個人的に保有している職員はいないか尋ねてほしい、そういう趣旨の御質問をいただいたというふうに認識をいたしております。
これを受けまして、お問い合わせいただきましたことについて確認をさせていただいたところでございます。
今回調べた範囲では、個人的に保有している職員はいませんでしたということでございますので、その旨、御報告をさせていただきます。
○亀岡委員長 時間が過ぎております。
○川内委員 今回調べた範囲ではと限定をおつけになりましたけれども、私が聞いたのは、職員の方々の中で大臣の日程表をと、限定をつけずに聞いておりますけれども、もう少し誠実な御答弁をいただければありがたかったなというふうに思いますが。
最後に、大臣、大臣の日程表は価値がないと言われているんですよ。歴史的公文書ではないという判断を文科省はしているわけです。私は重要だと思いますよ。これは、大臣が、大臣の日程表ぐらいきちんと保存しておきなさいと指示すれば、ずっと保存されるんですよ。これは、行政が政治をめっちゃばかにしているんですよ。
○亀岡委員長 時間が過ぎているので、簡潔に。
○川内委員 だから、最後、大臣、指示すると言ってください。日程表ぐらいちゃんと保存しないと。
○亀岡委員長 時間が過ぎております。
○柴山国務大臣 とにかく朝から晩までスケジュールはびっちりでありますし、しかも、具体的に必要なやりとりそのものについてはきちんと保管をされておりますので、私自身、日程はこんなにすぐたまっちゃいますので、ばんばん自分自身も捨てておりますから、職員に、ちょっと自分で無理なことをやれというふうに指示をするつもりはありません。
○川内委員 残念です。

2 生川政府参考人は生川浩史文部科学省大臣官房長であり,柴山国務大臣は柴山昌彦文部科学大臣です。

(AI作成)外務省の一般旅券事務処理基準(令和7年3月24日改訂後のもの)の解説

◯本ブログ記事は専らAIで作成したものです。
◯一般旅券事務処理について(処理基準【基礎編】)(令和7年3月24日改訂の外務省の文書)を掲載しています。
◯外務省HPに「旅券(パスポート)の変更について 新しいパスポートと、一つ先の未来へ」が載っていて,在エジプト日本国大使館HPに「対立地域渡航のための限定旅券の申請を予定されている方へ」が載っています。
◯「出入国在留管理庁作成の「入国・在留審査要領」(令和8年4月の開示文書)」も参照してください。

目次

第1 はじめに

第2 基本用語の定義と2025年旅券の導入
1 旅券事務における基本用語
(1) 根拠法令の定義
(2) 発給・提出形態の区分
2 2025年旅券と集中作成方式
(1) 次世代旅券の仕様と導入背景
(2) 集中作成方式の仕組み

第3 一般旅券の発給申請受理(基礎編)
1 新規発給申請における提出書類
(1) 紙申請における必要書類
(2) 電子申請における手続の簡素化
(3) 年齢計算の法的取り扱い
2 申請書記入および適正性の審査
(1) 使用インクと氏名のヨミカタ
(2) 所持人自署(署名)の厳格な管理
(3) 写真の規格とICAO基準の遵守
3 本人確認の方法と書類の類型
(1) 本人確認事務の基本原則
(2) 提示書類の区分(1点確認および2点確認)
(3) 一時帰国者および学生等の特例

第4 代理提出および居所申請
1 代理提出の要件と範囲
(1) 代理提出が認められる者の範囲

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令和への改元に関する閣議書

目次
1 令和への改元に関する閣議書及び内閣府決裁文書
2 新元号に関する公式説明及び元号法
3 天皇の退位関係のメモ書き
4 元号に関する内閣法制局長官の答弁
5 関連記事その他

1 令和への改元に関する閣議書及び内閣府決裁文書
(閣議書)
① 平成31年4月1日付の閣議書(元号を改める政令)
② 平成31年4月1日付の閣議書(元号の読み方に関する内閣告示)
③ 平成31年4月1日付の閣議書(改元に際しての内閣総理大臣談話)
(閣議請議書)
④ 改元に際しての内閣総理大臣談話について(平成31年4月1日付の閣議請議書)
(内閣府決裁文書)
⑤ 改元に際しての内閣総理大臣談話について(平成31年4月1日付の内閣府決裁文書)

2 新元号に関する公式説明及び元号法
(1) 首相官邸HPに「新元号の選定について」(令和元年5月23日付)が載っています。
(2) 参議院議員小西洋之君提出元号を「令和」と改める政令の閣議決定及び公布に関する質問に対する答弁書(平成31年4月23日付)には以下の記載があります。
 御指摘の「記者会見」で安倍内閣総理大臣が述べたとおり、新元号については、閣議決定を行った後に、宮内庁を通じていずれも速やかに天皇陛下及び皇太子殿下に伝えられたものである。
 また、天皇陛下による元号を改める政令の公布文への署名及び御指摘の「菅官房長官による新元号「令和」の発表」は、御指摘の「お伝え」の後、並行して行われたものである。
(3) 元号法(昭和54年6月12日法律第43号)は以下のとおりです。
1 元号は、政令で定める。
2 元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める。
附 則
1 この法律は、公布の日から施行する。
2 昭和の元号は、本則第一項の規定に基づき定められたものとする。

3 天皇の退位関係のメモ書き

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令和元年7月採用の国税審判官の研修資料

目次
1 令和元年7月の国税審判官の採用状況
2 新任審判官研修
3 短期研修「審判実務」
4 国税不服審判所の概要
5 国税不服審判所の定数
6 指定官職及び一般官職としての税務職員
7 関連記事その他

1 令和元年7月の国税審判官の採用状況
   令和元年7月10日付で,以下のとおり国税審判官(特定任期付職員)が採用されました。
札幌支部:1人(弁護士1人)
東京支部:5人(税理士3人,公認会計士2人)
名古屋支部:2人(税理士2人)
大阪支部:2人(弁護士2人)
広島支部:2人(弁護士1人,税理士1人)
高松支部:1人(公認会計士1人)
福岡支部:1人(公認会計士1人)
合  計:14人(弁護士4人,税理士6人,公認会計士4人)

2 新任審判官研修
   令和元年7月29日(月)に財務省本庁舎4階(国税不服審判所の大会議室(南430))で実施された研修の資料は以下のとおりです。
・ 令和元事務年度「新任審判官研修」資料一覧表
・ 新任審判官(新規採用者)研修日程表
・ 新任審判官(新規採用者)研修受講者名簿
・ 新任審判官(新規採用者)研修配席図
・ 審判所の役割・組織
・ 法曹出身者から見た国税不服審判所
・ 新任審判官研修(国家公務員倫理法関係)

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労災保険に関する書類の開示請求方法

目次
1 保有個人情報開示請求の必要書類及び宛先
2 代理人弁護士による開示請求
3 「開示を請求する保有個人情報」の記載方法
4 療養補償給付に関するすべての書類の開示請求が可能になる時期
5 労災保険「支給決定」証明願及び労災保険「給付等支払」証明願
6 災害調査復命書,災害時監督復命書及び安全衛生指導復命書
7 臨検監督(定期監督,災害時監督,申告監督及び再監督)
8 裁判所の文書提出命令等の取扱いに関する厚生労働省の資料
9 関連記事その他

1 保有個人情報開示請求の必要書類及び宛先
(1)ア 労災保険に関する書類について保有個人情報開示請求をしたい場合,1件につき300円の収入印紙を貼付した保有個人情報開示請求書のほか,①本人確認書類(例えば,運転免許証,健康保険被保険者証)のコピー及び②住民票(マイナンバー(個人番号)の記載がないもの)を,労働局総務部総務課に郵送すればいいです(神奈川労働局HPの「行政機関が保有する個人の情報を本人に対して開示する制度について【総務課】」参照)。
イ 労働基準監督署及び公共職業安定所(ハローワーク)が保管している文書についても,保有個人情報開示請求の郵送先は都道府県労働局となります。
ウ 開示請求書の宛先自体は,「○○労働局長」となります。
    例えば,大阪労働局総務部総務課情報公開・個人情報窓口に開示請求書を郵送する場合の宛先は,「大阪労働局長」となります。
(2) 本人確認書類を見れば分かりますから,開示請求文書を特定する際,開示請求者の生年月日を記載する必要はありません。
(3)ア 全国の都道府県労働局の住所については,厚生労働省HPの「都道府県労働局(労働基準監督署,公共職業安定所一覧)」に掲載されています。
イ   大阪労働局の住所等は以下のとおりです(大阪労働局HPの「情報公開・個人情報保護窓口」参照)。
【大阪労働局情報公開・個人情報保護窓口】
 〒540-8527
大阪市中央区大手前4-1-67 大阪合同庁舎第2号館 8F
大阪労働局総務部総務課
TEL : 06-6949-6482
(受付時間)
月~金曜日  8時30分~17時15分

2 代理人弁護士による開示請求
(1) 令和4年4月1日以降の取扱い

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労災隠し

目次
1 総論
2 労災隠しの原因
3 労災保険の利用と会社との関係
4 交通事故が労働災害に該当する場合において,労災保険を利用するメリット等
5 労災隠しに伴う被災労働者のデメリット
6 関連記事その他

1 総論
(1) 労災隠しとは,「故意に労働者死傷病報告を提出しないこと」又は「虚偽の内容を記載した労働者死傷病報告を所轄労働基準監督署長に提出すること」をいいます。
    このような労災隠しは適正な労災保険給付に悪影響を与えるばかりでなく,労働災害の被災者に犠牲を強いて自己の利益を優先する行為であって,労働安全衛生規則97条に違反して労働者死傷病報告を提出しない点で労働安全衛生法100条に違反しますし,同法120条5号に基づき50万円以下の罰金に処せられることがあります(厚生労働省HPの「「労災かくし」の送検事例」参照)。
(2) 被災労働者に100%の過失がある場合であっても,重過失がない限り,労災保険を利用することができます(労災保険法12条の2の2参照)。

2 労災隠しの原因
(1)   20人以上の事業所において,業務災害が全くない場合,労災保険料率が基準額から最大で40%割引となるのに対し,業務災害がたくさんある場合,労災保険料率が基準額から最大で40%割増となります(外部HPの「労災保険のメリット制に関する基礎知識」参照)。
    ただし,通勤災害の場合,事業主に責任がないことから,労災保険料率の割増にはつながりません。
(2) 本来は災害防止努力を促すためのメリット制については,労働災害が発生すると保険料負担が増えるという認識を事業主が持つこととなり,その結果,労働災害を隠すという行動につながっています。
    特に公共事業を受注する事業主について労働災害が発生した場合、国,都道府県,市町村などの発注者から指名停止処分を受けることがあるため,労災隠しをすることがあります。
    また,元請業者は下請業者や孫請業者の起こした災害も元請業者の災害となる(労働基準法87条参照)ことから,下請業者等に虚偽の報告を行わせたり,逆に下請業者が今後,元請業者からの仕事が来なくなることを恐れて労災事故を隠すことがあります。

3 労災保険の利用と会社との関係
(1)ア 労災保険を利用する場合,①負傷又は発病の年月日,②災害の原因及び発生状況等について事業主の証明を受ける必要があります(労災保険法施行規則12条1項3号及び4号・同条2項等)。
イ   会社が事業主の証明をしてくれない場合であっても,労災保険を利用できることがあります(日本法令HPの「会社が「事業主証明」を拒否した場合の労災保険給付請求書の取扱い」参照)から,この場合,労基署に相談して下さい。
(2) 事業主である会社は,被災労働者が労災保険を利用するのに助力する必要がある(労災保険法施行規則23条)反面,労基署長に対し,業務災害又は通勤災害に該当するかどうかについて意見を申し出ることができます(労災保険法施行規則23条の2)。
(3) 交通事故が業務災害に該当する場合,事業主は,所轄の労基署に対し,労災申請とは別に,労働者死傷病報告書(労働安全衛生規則97条)を提出する必要があります(外部HPの「労働者死傷病報告書」参照)。

4 交通事故が労働災害に該当する場合において,労災保険を利用するメリット等
(1) 交通事故が労働災害に該当する場合において,労災保険を利用するメリットは以下のとおりです。
① 過失相殺後の賠償金を確保できること
    自由診療の場合,公的医療保険の2倍ぐらいの費用がかかることが多いのに対し,労災保険の場合,1点12円で計算しますから,公的医療保険の1.2倍の費用で済みます。

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労災保険に関する審査請求及び再審査請求

目次
第1 総論
第2 労災保険審査官に対する審査請求
第3 労働保険審査会に対する再審査請求
第4 文書その他の物件の閲覧等
第5 労災保険審査参与及び雇用保険審査参与
第6 労働保険審査会参与
第7 関連記事その他

第1 総論
1 労災保険に対する不服申立方法としては,労災保険審査官に対する審査請求,及び労働保険審査会に対する再審査請求があります。
2   労働災害に該当する交通事故との関係でいえば,労働基準監督署による症状固定の判断が速すぎるという理由で休業補償給付不支給決定に対する審査請求をしたり,労働基準監督署による後遺障害等級の認定がおかしいという理由で障害補償給付不支給決定に対する審査請求をしたりすることができます。
3 審査請求又は再審査請求に納得できない場合,地方裁判所に対する取消訴訟を提起することができますところ,労災保険審査官の決定を経た後でない限り取消訴訟を提起することはできません(労災保険法40条)。

第2 労災保険審査官に対する審査請求
1 労災保険の後遺障害等級認定に関して,認定を知った日から3ヶ月以内に(労働保険審査官及び労働保険審査会法8条1項),都道府県労働局労災保険審査官(例えば,大阪労働局労働基準部労災補償課にいる大阪労働局大阪労災保険審査官)に対する審査請求をすることができます。

2(1) 労災保険審査官及び雇用保険審査官をあわせて労働保険審査官といいます(労働保険審査官及び労働保険審査会法1条)ところ,労働保険審査官は各都道府県労働局に設置されています(労働保険審査官及び労働保険審査会法2条の2)。
(2)   労災保険審査官に対する郵便物の宛先は労働局労働基準部労災補償課になっていることがありますものの,厳密に言えば,労災保険審査官は労災補償課に所属しているわけではありません。

3(1) 審査請求の代理人は,審査請求人のために,当該審査請求に関する一切の行為をすることができます(労働保険審査官及び労働保険審査会法9条の2第2項)。
    そのため,例えば,労災保険審査官との面談に同席することができます。
(2) 審査請求をすると,原処分庁(労働基準監督署長のことです。)の意見書が送付されますところ,そこには,以下の事項が記載されています。
① 審査請求人等
→ 審査請求人氏名,所属事業場等が記載されます。
② 意見
→ 「本件審査請求を棄却されたい。」などと記載されています。
③ 理由
→ 「事実」として,災害事実の概要,処分に至るまでの経緯(①負傷又は発症後の療養経過,②本審査請求に関連する保険給付に関する処分経過,③療養期間等,④その他)が記載され,「処分の理由」として,該当する判断基準等及び判断が記載されています。

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損益相殺

目次
1 労災保険法に基づく保険給付は,慰謝料等には充当されないこと
2 休業給付及び療養給付と損益相殺
3 遺族補償年金と損益相殺
3の2 損害賠償金を先に取得した場合に実施される,労災保険給付の控除
4 損益相殺と過失相殺の両方が絡んだ場合の請求額の計算
5 労災保険の特別支給金は損益相殺の対象とならないこと
6 労災保険の受給権者と損害賠償請求権者が異なる場合,損益相殺の対象とならないこと
7 労災保険給付における,企業内労災補償,示談金,和解金,見舞金等の取扱い
8 生計維持関係の認定基準
9 自賠責保険金,搭乗者傷害保険金,人身傷害補償保険及び政府保障事業による填補と損益相殺
10 遺族年金及び生命保険金と損益相殺
11 租税及び養育費と損益相殺
12 関連記事その他

1 労災保険法に基づく保険給付は,慰謝料等には充当されないこと
(1) 慰謝料に対応する労災保険給付は存在しないところ,労災保険給付が現に認定された逸失利益の額を上回るとしても,当該超過分を財産的損害のうちの積極損害(例えば,治療費)や精神的損害(慰謝料)をてん補するものとして,保険給付額をこれらとの関係で控除することは許されません(最高裁昭和62年7月10日判決。なお,先例として,最高裁昭和58年4月19日判決)。
    なぜなら,民事上の損害賠償の対象となる損害のうち,労災保険法による休業補償給付及び傷病補償年金並びに厚生年金保険法による障害厚生年金が対象とする損害と同性質である点で,その間で同一の事由の関係にあることを肯定することができるのは、財産的損害のうちの消極損害(いわゆる逸失利益)のみだからです。
(2) 労災保険及び人身傷害補償保険に関する損益相殺について判示した裁判例として,京都地裁平成31年1月30日判決があります。

2 休業給付及び療養給付と損益相殺
(1)ア 被害者が,不法行為によって傷害を受け,その後に後遺障害が残った場合において,労災保険法に基づく各種保険給付を受けたときは,これらの社会保険給付は,それぞれの制度の趣旨目的に従い,特定の損害について必要額をてん補するために支給されるものであるから,同給付については,てん補の対象となる特定の損害と同性質であり,かつ,相互補完性を有する損害の元本との間で,損益相殺的な調整が行われます(最高裁平成22年10月15日判決。なお,先例として最高裁平成22年9月13日判決参照)。
イ 具体的には,労災保険の休業給付及び障害一時金は,休業損害及び後遺障害による逸失利益の元本との間で損益相殺的な調整が行われます(最高裁平成22年10月15日判決)。
(2)ア 休業給付は,休業損害の元本との間で損益相殺的な調整が行われるべきであり,その制度の予定するところに従って,てん補の対象となる損害が現実化する都度,これに対応して支給されたものといえる場合(=制度の予定するところと異なってその支給が著しく遅滞するなどの特段の事情がない場合),そのてん補の対象となる損害は,交通事故が発生した日にてん補されたものと法的に評価して損益相殺的な調整がなされます(最高裁平成22年10月15日判決)。
イ 療養給付については治療費等の療養に要する費用の元本との間で,交通事故が発生した日にてん補されたものと法的に評価して,同様の損益相殺的な調整がなされます(最高裁平成22年9月13日判決)。
ウ 障害一時金については後遺障害による逸失利益の元本との間で,交通事故が発生した日にてん補されたものと法的に評価して,同様の損益相殺的な調整がなされます(最高裁平成22年10月15日判決)。
(3) 最高裁平成22年9月13日判決に関する最高裁判所判例解説民事編平成22年(下巻)584頁には以下の記載があります。
(注6) 前掲最二小判昭和62年7月10日の判例解説(田中壯太「最高裁判所判例解説民事篇昭和62年度」427頁)は,労災保険給付につき,①療養補償給付と損害賠償の費目中の「治療費」(積極損害の一部)が,②葬祭料と損害賠償の費目中の「葬祭費用」(積極損害の一部)が,③休業補償給付,障害補償給付,遺族補償給付及び傷病補償年金と損害賠償の費目中の消極損害(逸失利益)が,それぞれ「同一の事由」の関係にあり,厚生年金保険法に基づく年金給付についても,労災保険給付についての考え方が基本的に妥当すると述べる。国民年金法や各共済組合法に基づく年金給付についても,労災保険給付や厚生年金保険法に基づく年金給付との給付目的や支給要件の類似性等に照らせば,以上と同様の考え方が基本的に妥当すると考えてよいであろう。
(4) 御池ライブラリーの「4 損益相殺」には「療養給付については、治療費以外にも、入院雑費や通院交通費への充当(損益相殺)を認める裁判例が多い。」と書いてあります。

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労災保険の特別加入制度

目次
1 総論
2 労災保険に特別加入できる人
3 労働保険事務組合
4 一人親方として特別加入できる事業
5 特定作業従事者として特別加入できる作業者
6 一人親方団体
7 関連記事その他

1 総論
(1) 労災保険は本来,労働者を保護するためのものです。
    しかし,労働者ではないものの,労働者に準じて保護するのが適当であると認められる一定の人は,労災保険に特別に任意加入できますところ,これを労災保険の特別加入制度といいます(労災保険法33条ないし37条)。
(2) 労災保険の特別加入であっても,特別支給金が存在します(労災保険サイトの「特別加入制度」参照)。

2 労災保険に特別加入できる人
(1) 労災保険に特別加入できるのは以下の4種類の人です。
① 中小事業主(労災保険法33条1号・労災保険法施行規則46条の16)
② 一人親方(労災保険法33条3号・労災保険法施行規則46条の17)
③ 特定作業従事者(労災保険法33条5号・労災保険法施行規則46条の18)
④ 海外派遣者(労災保険法33条6号及び7号)
(2) 中小事業の事業主は第一種特別加入となり,一人親方及び特定作業従事者は第二種特別加入であり,海外派遣者は第三種特別加入となります(外部HPの「第1種・第2種特別加入の違いと定義」参照)。
(3)ア 自転車配達員及びITフリーランスは令和3年9月から,あん摩マッサージ指圧師,はり師及びきゅう師は令和4年4月から,歯科技工士は令和4年7月から労災保険に特別加入できるようになりました。
イ 令和5年11月7日現在,企業に属さないフリーランス(個人事業主)として働く人たちの生活を保障するため,厚生労働省は任意で労災保険に加入できる制度を,配達員などの一部業種から,原則として全業種に広げる方向で議論を進めています(WEB労政時報の「フリー全業種、労災対象へ 保険加入270万人に拡大」参照)。

3 労働保険事務組合
(1) 中小事業主が労災保険に特別加入する場合,労災保険事務組合に加入する必要があります(労災保険法33条1項1号)。
(2) 労働保険事務組合は,事業主の委託を受けて,事業主が行うべき労働保険の事務を処理することについて,厚生労働大臣の認可を受けた中小事業主等の団体をいいます(労働保険の保険料の徴収等に関する法律33条参照)。
(3) 大阪府にある労働保険事務組合については,大阪労働局HPの「大阪労働局管轄 事務組合名簿」に載っています。
    例えば,大阪弁護士会所属の弁護士の場合,大阪弁護士協同組合(天満労基署の管轄です。)の労働保険事務組合事業を利用することができます(大阪弁護士協同組合HPの「保険事業」参照)。
(4) 厚生労働省HPの「労災保険事務組合制度」には,労働保険事務組合に委託できる業務として以下の記載があります((1)ないし(5)を①ないし⑤に変えています。)。

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新型コロナウィルス感染症に準用されている感染症法,感染症法施行令及び感染症法施行規則の条文

○感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以下「感染症法」といいます。)6条8項,7条1項及び66条に基づき制定された,
   新型コロナウィルス感染症を指定感染症として定める等の政令(令和2年1月28日政令第11号)(ただし,リンク先は制定当時の条文です。)によれば,
   令和2年3月27日以降,新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和二年一月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)(以下「新型コロナウィルス」といいます。)について準用されている感染症法の条文は以下のとおりです(令和2年2月1日から施行されている条文は黒文字表記であり,2月14日から施行されている条文は赤文字表記であり,3月27日から施行されている条文は橙文字表記です。)
○新型コロナウイルス感染症は一類感染症と似たような扱いです(一類感染症に関する8条3項,32条及び33条が準用されています。)。)。

新型コロナウィルス感染症に準用される感染症法の条文

(疑似症患者及び無症状病原体保有者に対するこの法律の適用)
第八条 一類感染症の疑似症患者又は二類感染症のうち政令で定めるものの疑似症患者については、それぞれ一類感染症の患者又は二類感染症の患者とみなして、この法律の規定を適用する。
(2項の準用はなし。)
3 一類感染症の無症状病原体保有者又は新型インフルエンザ等感染症の無症状病原体保有者については、それぞれ一類感染症の患者又は新型インフルエンザ等感染症の患者とみなして、この法律の規定を適用する。
   
(医師の届出)
第十二条 医師は、次に掲げる者を診断したときは、厚生労働省令で定める場合を除き、第一号に掲げる者については直ちにその者の氏名、年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を、第二号に掲げる者については七日以内にその者の年齢、性別その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならない。
一 一類感染症の患者、二類感染症、三類感染症又は四類感染症の患者又は無症状病原体保有者、厚生労働省令で定める五類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の患者及び新感染症にかかっていると疑われる者
二 厚生労働省令で定める五類感染症の患者(厚生労働省令で定める五類感染症の無症状病原体保有者を含む。)
2 前項の規定による届出を受けた都道府県知事は、同項第一号に掲げる者に係るものについては直ちに、同項第二号に掲げる者に係るものについては厚生労働省令で定める期間内に当該届出の内容を厚生労働大臣に報告しなければならない。
3 都道府県知事は、その管轄する区域外に居住する者について第一項の規定による届出を受けたときは、当該届出の内容を、その者の居住地を管轄する都道府県知事に通報しなければならない。
   
(感染症の発生の状況、動向及び原因の調査)
第十五条 都道府県知事は、感染症の発生を予防し、又は感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするため必要があると認めるときは、当該職員に一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症、五類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者、疑似症患者若しくは無症状病原体保有者、新感染症の所見がある者又は感染症を人に感染させるおそれがある動物若しくはその死体の所有者若しくは管理者その他の関係者に質問させ、又は必要な調査をさせることができる。
2 厚生労働大臣は、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、当該職員に一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症、五類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者、疑似症患者若しくは無症状病原体保有者、新感染症の所見がある者又は感染症を人に感染させるおそれがある動物若しくはその死体の所有者若しくは管理者その他の関係者に質問させ、又は必要な調査をさせることができる。
3 都道府県知事は、必要があると認めるときは、第一項の規定による必要な調査として当該職員に次の各号に掲げる者に対し当該各号に定める検体若しくは感染症の病原体を提出し、若しくは当該職員による当該検体の採取に応じるべきことを求めさせ、又は第一号から第三号までに掲げる者の保護者(親権を行う者又は後見人をいう。以下同じ。)に対し当該各号に定める検体を提出し、若しくは当該各号に掲げる者に当該職員による当該検体の採取に応じさせるべきことを求めさせることができる。
一 一類感染症、二類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症の患者、疑似症患者若しくは無症状病原体保有者又は当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者 当該者の検体
四 一類感染症、二類感染症若しくは新型インフルエンザ等感染症を人に感染させるおそれがある動物又はその死体の所有者又は管理者 当該動物又はその死体の検体
七 第一号に定める検体又は当該検体から分離された同号に規定する感染症の病原体を所持している者 当該検体又は当該感染症の病原体
十 第四号に定める検体又は当該検体から分離された同号に規定する感染症の病原体を所持している者 当該検体又は当該感染症の病原体   

(情報の公表)
第十六条 厚生労働大臣及び都道府県知事は、第十二条から前条までの規定により収集した感染症に関する情報について分析を行い、感染症の発生の状況、動向及び原因に関する情報並びに当該感染症の予防及び治療に必要な情報を新聞、放送、インターネットその他適切な方法により積極的に公表しなければならない。
2 前項の情報を公表するに当たっては、個人情報の保護に留意しなければならない。

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新型コロナウイルス感染症に準用されている検疫法の条文

○検疫法34条及び36条の6に基づき制定された,
   新型コロナウイルス感染症を検疫法第三十四条の感染症の種類として指定する等の政令(令和2年2月13日政令第28号)(ただし,リンク先は制定当時の条文です。)によれば,
   令和2年2月14日以降,新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和二年一月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)(以下「新型コロナウィルス」といいます。)について準用されている検疫法の条文は以下のとおりです。
○新型コロナウイルス感染症は,無症状病原体保有者であっても患者とみなす(検疫法2条の2第3項の準用)という点では一類感染症と同じ扱いであるのに対し,隔離及び停留はやむを得ない理由がないときであっても宿泊施設又は船舶で行える(検疫法15条及び16条2項の準用)という点では二類感染症と同じ扱いであるという意味では,患者に不利な準用方法となっています。

新型コロナウィルス感染症に準用される検疫法の条文
(疑似症及び無症状病原体保有者に対するこの法律の適用)

第二条の二 前条第一号に掲げる感染症の疑似症を呈している者については、同号に掲げる感染症の患者とみなして、この法律を適用する。

(2項の準用はなし。)

3 前条第一号に掲げる感染症の病原体を保有している者であつて当該感染症の症状を呈していないものについては、同号に掲げる感染症の患者とみなして、この法律を適用する。

第二章 検疫
(入港等の禁止)
第四条 次に掲げる船舶又は航空機(以下それぞれ「外国から来航した船舶」又は「外国から来航した航空機」という。)の長(長に代つてその職務を行う者を含む。以下同じ。)は、検疫済証又は仮検疫済証の交付(第十七条第二項の通知を含む。第九条を除き、以下同じ。)を受けた後でなければ、当該船舶を国内(本州、北海道、四国及び九州並びに厚生労働省令で定めるこれらに附属する島の区域内をいう。以下同じ。)の港に入れ、又は当該航空機を検疫飛行場以外の国内の場所(港の水面を含む。)に着陸させ、若しくは着水させてはならない。ただし、外国から来航した船舶の長が、検疫を受けるため当該船舶を第八条第一項に規定する検疫区域若しくは同条第三項の規定により指示された場所に入れる場合若しくは次条ただし書第一号の確認を受けた者の上陸若しくは同号の確認を受けた物若しくは第十三条の二の指示に係る貨物の陸揚のため当該船舶を港(第八条第一項に規定する検疫区域又は同条第三項の規定により指示された場所を除く。)に入れる場合又は外国から来航した航空機の長が、検疫所長(検疫所の支所又は出張所の長を含む。以下同じ。)の許可を受けて当該航空機を着陸させ、若しくは着水させる場合は、この限りでない。
一 外国を発航し、又は外国に寄航して来航した船舶又は航空機
二 航行中に、外国を発航し又は外国に寄航した他の船舶又は航空機(検疫済証又は仮検疫済証の交付を受けている船舶又は航空機を除く。)から人を乗り移らせ、又は物を運び込んだ船舶又は航空機

(交通等の制限)
第五条 外国から来航した船舶又は外国から来航した航空機(以下「船舶等」という。)については、その長が検疫済証又は仮検疫済証の交付を受けた後でなければ、何人も、当該船舶から上陸し、若しくは物を陸揚げし、又は当該航空機及び検疫飛行場ごとに検疫所長が指定する場所から離れ、若しくは物を運び出してはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
一 検疫感染症の病原体に汚染していないことが明らかである旨の検疫所長の確認を受けて、当該船舶から上陸し、若しくは物を陸揚げし、又は当該航空機及び検疫飛行場ごとに検疫所長が指定する場所から離れ、若しくは物を運び出すとき。
二 第十三条の二の指示に従つて、当該貨物を陸揚げし、又は運び出すとき。
三 緊急やむを得ないと認められる場合において、検疫所長の許可を受けたとき。

(検疫前の通報)

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内閣法制局に関するメモ書き

目次
1 内閣法制局の主な業務
2 質問主意書に対する答弁書に関する内閣法制局の審査
3 資料誤り等の再発防止
4 内閣法制局の執務資料
5 内閣法制局のその他の資料
6 臨時会の召集要求に関する国会答弁
7 改め文の必要性に関する国会答弁
8 関連記事その他

1 内閣法制局の主な業務
(1) 内閣法制局の主な業務は以下の二つであり,第一部は意見事務を担当し,第二部ないし第四部は審査事務を担当しています。
① 意見事務:法律問題に関し内閣並びに内閣総理大臣及び各省大臣に対し意見を述べるという事務(内閣法制局設置法3条3号)
② 審査事務:閣議に付される法律案、政令案及び条約案を審査するという事務(内閣法制局設置法3条1号)
(2) 裁判官の出向先となっている第二部の担当省庁は,内閣(内閣官房内閣人事局及び内閣府を除く。),内閣府(公正取引委員会及び金融庁を除く。),法務省,文部科学省,国土交通省及び防衛省です(内閣法制局設置法施行令2条)。
(3) 参議院議員小西洋之君提出内閣法制局長官と法の支配に関する質問に対する答弁書(平成26年11月28日付)には以下の記載があります。
    内閣法制局は、内閣法制局設置法(昭和二十七年法律第二百五十二号)に基づき、「閣議に附される法律案、政令案及び条約案を審査し、これに意見を附し、及び所要の修正を加えて、内閣に上申すること」、「法律問題に関し内閣並びに内閣総理大臣及び各省大臣に対し意見を述べること」等を所掌事務として内閣に置かれた機関であり、行政府による行政権の行使について、憲法を始めとする法令の解釈の一貫性や論理的整合性を保つとともに、法律による行政を確保する観点から、内閣等に対し意見を述べるなどしてきたものである。
(4) 「「法の番人」内閣法制局の矜持」(著者は阪田雅裕 元内閣法制局長官)44頁には以下の記載があります。
    一般の法律については所管する各省がその責任のもとに解釈・運用・適用する。けれども憲法は内閣が自ら一元的に解釈し、運用せざるをえない。内閣は言うまでもなく総理を代表とする合議体です。内閣という組織は同一のものとしてあるとしても、それを構成する人は始終変わるわけです。ですから当然、憲法解釈のようなことについて、内閣自体が常に専門的な知見をもっているわけではない。だから法的な視点で内閣を支える組織というものが必要であり、それが法制局であるということです。

2 質問主意書に対する答弁書に関する内閣法制局の審査
・ 法務省が取りまとめ省庁である場合の記載として,質問主意書関係事務の手引き~はじめて主意書を担当する方へ~7頁には以下の記載があります(「本府内総」は,内閣官房内閣総務官室のことと思います。)。
    内閣法制局審査の際に用意する資料は,答弁書案,主意書,参考資料,参照条文である(最低3セット)。
    なお,従来作成していた「配布案件理由」(「配布案件」として閣議に付す場合(詳細は後述(3)を参照)に作成していたもの。)については,内閣総務官室の指示により,第192回国会から作成不要となった(今後の運用変更により,再度作成必要となる可能性あり。)。
    答弁書は内閣法制局第一部の参事官補→参事官→部長(重要な案件等は長官まで)の順序で審査を受けることとなっているところ,省内決裁,本府内総配字審査との関係(流れ)はおおむね次のとおりである。
① 部局内決裁【法務省】
② 内閣法制局参事官補審査
③ 内閣法制局参事官審査
④ 本府内総配字審査
⑤ 秘書課付決裁【法務省】

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平成30年度全国労災補償課長会議資料

目次
1 平成30年度全国労災補償課長会議資料
2 関連記事その他

1 平成30年度全国労災補償課長会議資料
・ 平成30年度全国労災補償課長会議資料を以下のとおり掲載しています。

◯資料Ⅰ  労災管理課長説明資料
資料Ⅰ-1 プレスリリース資料「雇用保険、労災保険等の追加給付のスケジュールの見通しを示す「工程表」を作成しました」
資料Ⅰ-2 平成31年度予算案の概要(労働保険特別会計労災勘定)

◯資料Ⅱ 主任中央労災補償監察官説明資料
資料Ⅱ-1 「平成30年度中央労災補償業務監察結果報告書」

◯資料Ⅲ 労災保険財政数理室室長説明資料
資料Ⅲ-1 労災保険経済概況
資料Ⅲ-2 労災保険の積立金について
資料Ⅲ-3 労災保険の積立金と保険料収入の関係
資料Ⅲ-4 労災保険率設定の基本的考え方
資料Ⅲ-5 労災保険率について

◯資料Ⅳ 石綿対策室室長説明資料
資料Ⅳ-1 アスベスト訴訟への対応について
資料Ⅳ-2 工場型アスベスト訴訟実績推移
資料Ⅳ-3 工場型訴訟個別周知リーフレット
資料Ⅳ-4 建設アスベスト訴訟の概要及びこれまでの判決結果

◯資料V 補償課職業病認定対策室長説明資料
資料V-1  「労働基準法施行規則第35条専門検討会」報告書

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募集停止又は廃止された法科大学院38校に対する支援額は約266億円であること等に関する国会答弁

目次
第1 募集停止又は廃止された法科大学院38校に対する支援額は約266億円であること等に関する国会答弁
第2 関連記事その他

第1 募集停止又は廃止された法科大学院38校に対する支援額は約266億円であること等に関する国会答弁
○募集停止又は廃止された法科大学院38校に対する支援額は約266億円であることが明らかにされた,令和元年6月18日の参議院文教科学委員会における国会答弁は以下のとおりです。
○松沢成文参議院議員は日本維新の会所属であり,柴山昌彦衆議院議員は文部科学大臣(53期の弁護士でもあります。)であり,伯井美徳政府参考人は文部科学省高等教育局長です。

○松沢成文君 (中略)
   大臣、今回のこの法曹教育の改革、法科大学院含めたこの改革ですね、結果を見ると、今までの法科大学院の実績というのは、失礼ですけど、惨たんたるものだったわけですよね。最初三千人と言っていた人数も、もう半分以下になってしまっていますしね。それから、法科大学院の数だって七十六校あったのが、もう今三十八校ぐらい募集停止して、まあ募集停止というのは柔らかい言葉だけど、民間企業だったらもう事業諦めて潰れているわけですよね、法科大学院が潰れているわけです。合格率だって七、八割というのを予想していた。予想していたというか、そこまで持っていって受験者を増やしたい、あるいはより質の高い法曹を増やしたいと言っているのに、現実は二割ですよね。
   やっぱり、政治は結果責任ですから、この十五年間の法科大学院制度というのは、私は結果を見ると大失敗だったと言わざるを得ないと思うんですけれども、大臣は、この十五年間の法科大学院制度やってきて、失敗だったという認識はありますか。
○国務大臣(柴山昌彦君) 今御指摘になられた、その当初の見込みですね、平成十三年六月の司法制度改革審議会の意見書においては、平成二十二年頃には合格者数の年間三千人の達成を目指すと、これは要するに将来の需要予測ということです。そして、法科大学院修了者のうち相当程度、例えば七、八割の者が合格できるように充実した教育を行うべきということ、そして、法科大学院の設置は基準を満たしたものを認可することとして広く参入を認める仕組みとすべきことが提言をされ、そして、この特に第三点目によって、法科大学院の創設時に非常に多くの大学が言わばブームに乗るようにして設置に手を挙げ、そして政府の側も、規制緩和の流れの中で基準を満たした法科大学院については広く参入を認めて、その後、競争による自然淘汰に委ねるという姿勢を貫いてしまった結果、過大な定員規模となり、その結果、非常に合格率が低く、当初のもくろみが甘かったということになって、その後の希望者の急激な縮小ということにつながったわけですから、率直に言って、私は見込み違いによって当初予定していた姿とは大分違ったものになってしまったということを認め、そして反省をしなければいけないというように思っております。
   この間、もっと早く、例えば定員の削減とか補助金の抜本的な縮減、特に合格率の低い大学に対してですね、ということを行わなくちゃいけないんじゃないかということを私も実は政治の中でいろいろと訴えてきたんですけれども、対応が遅れることによって傷口が深くなってしまったということは、率直に言って認めざるを得ないと思います。
○松沢成文君 大臣は失敗だったとは言えないと思いますけどね、立場上。ただ、見込み違いで大きく最初の計画から狂ってしまって、その結果については反省をしているという立場ですよね。まさに、大臣一人がこの制度を背負ってやってきたわけじゃない、今文科大臣としてこの法改正をしなきゃいけない立場なんで、なかなかそこは言えないのは分かるんですが、ただ、やっぱり政治というのは結果責任ですので、これだけ惨たんたる結果であったということは、私はこれで成功だとは言えないですよね、絶対に言えないと思います。物事は成功か失敗しかないわけで、やはり結果としては失敗だったと私は言わざるを得ないと思うんですね。
   もう少し質問を進めますと、現在までに募集停止や廃止された法科大学院、三十八校ございます。この三十八校に国庫から支出された補助金や交付金の総額はいかほどでしょうか。このうち、施設に充てられたものと法科大学院の教授などの人件費に充てられたものの額はどうなっていますでしょうか。
○政府参考人(伯井美徳君) お答え申し上げます。
   国立大学に対する運営費交付金や私立大学の経常費補助金は、特定の教育研究組織に対する交付額を切り分けられるものではございませんので、法科大学院に対して支出した金額を正確に算出することはできませんが、予算上の積算等から先生の御指摘に沿って推計を行うと、平成十六年度の制度設立当初から平成三十一年度予算分までにおいて募集停止若しくは廃止された計三十八校の法科大学院に対する支援額は、概算で約二百六十六億円となります。内訳は、国立大学法人運営費交付金が七十二・六億、私立大学等経常費補助金特別補助が百九十三・八億の約二百六十六億となります。
   これらのうち、法科大学院の施設費や教員の人件費に充てられた額については、これ切り分けできないと説明いたしましたが、そういう意味で計算が困難となっております。
○松沢成文君 この十五年間の法科大学院の運営に税金から二百六十六億円出ている、違う、廃止された三十八校に二百六十六億円出ているんですよね。これ、結果としてもう廃止されちゃったわけだから、国費の壮大な無駄遣い、失敗に終わったと指摘されても私は仕方ないと思いますよ。私学で百九十三億、国立で七十億ちょっとですよね。
   これだけの国費が政府の政策立案の失敗で、運用の失敗で、もちろん大学側の努力不足もあると思いますが、結果として国民の税金が二百二十六億円無駄に使われたという事実に対して、大臣はどう責任感じます。
○国務大臣(柴山昌彦君) 確かに、今局長から二百六十六億円、募集停止や廃止された法科大学院に対して公費の投入があったという答弁をさせていただいたわけなんですけれども、例えば、募集停止や廃止された法科大学院の教員が、その実績や経験を生かして法学部など別の組織ですとか、あるいはほかの大学の法科大学院などで勤務をしているということもあります。また、実際に卒業した学生が、母校はなくなったけれどもその後法曹になったということもあるわけですから、必ずしもどぶにそのお金がなくなってしまっているというわけではないというようには思います。
   ただ、委員御指摘のとおり、これまで持続可能な形で法曹養成機関をつくっていくということを目指していたということを考えれば、先ほど申し上げたとおり、見込み違いであったことは非常に遺憾だというように考えておりますし、それは、私の立場としては、文部科学省としてもやはりしっかりとした政策転換の責任を負っているというように考えております。
○松沢成文君 この法科大学院制度をスタートさせた、その制度をつくったときの文科大臣というのはどなたでしたか分かりますか、今。
○政府参考人(伯井美徳君) 遠山文部科学大臣でございます。
○松沢成文君 かなり昔なんで、私もよく覚えていませんけれども、私は、やはり二百二十六億、国の税金が、今募集を停止してしまっている、ある意味でなくなってしまっている法科大学院につぎ込まれた。大臣が言うように、教授もほかの法科大学院に回ってまた継続している方もいますし、様々な要因もあるので、全てがどぶに捨てたわけじゃない、継続して生かされている部分もあるというのは分かりますが、でも、法科大学院をつくった以上、それはもう全校が全て成長していくとは思いませんよ、競争の世界もあるわけだから、しかし半分以上がなくなってしまっている。
   これ、持続可能な法曹養成制度になっていないわけですよ、このことの失敗、それから国費二百六十六億、全額じゃないけれども、その大部分は投資したけれどもそのリターンがなかったわけですね。この大失敗に対して、当時の文科大臣が私は謝罪せよとは言いませんが、私は、国民の皆さんにこの失敗についてはきちっと謝罪をする、あるいは誰かが責任を取る、それぐらいの大きな政府の失政だと私は考えているんですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(柴山昌彦君) 繰り返しになりますけれども、やはり先ほども答弁をさせていただいたとおり、ずっと長らく法の支配をしっかりと日本全国津々浦々に広げていく、また、新しいリーガルサービスのニーズに従った形で法曹人口を増やしていくという目的、そして、それがこれまで、ともすると、やはり様々な既得権の壁に阻まれてなかなか進んでこなかったという中にあって、やはり政治主導で大胆な改革を進める必要があったということは、これは一面、私は非常に有意義だったというように思います。
   ただ、そのときの見込みがかなり違った部分があったということについては、また、その後の対応についても適切な対応が遅れてしまったということについては、真摯に反省をしなければいけないというように考えております。
○松沢成文君 ちょっと角度を変えますが、今回の法改正によって法科大学院を更に充実していこうということですよね。この改正によって、じゃ、今後は三十八校に続く募集停止をする学校、もうそれはなくなって、少なくとも、あと残っている、今残っている学校は持続可能な法科大学院として成長できる、そういうふうに大臣として明言できますか。
○国務大臣(柴山昌彦君) 今後は法改正によって合格に要するコストや時間が短縮され、そして何よりも、法科大学院の入学者数の総数についても現状の定員規模を上限に制度的に管理をしていく、そういった質と量の改革というものを進めていくわけですから、もちろん、今後しっかりと法改正の進捗について、定数管理がどのように行われているかということを注意深く検証を続けていく必要はあるかというふうに思いますけれども、これまでのような失敗というのはもう起きないというように考えております。

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厚生労働省の内部組織に関する訓令及び細則

目次
1 厚生労働省の設置に関する法令
2 厚生労働省の内部組織に関する訓令及び細則
3 関連記事その他

1 厚生労働省の設置に関する法令
① 厚生労働省設置法(平成11年7月16日法律第97号)
② 厚生労働省組織令(平成12年6月7日政令第252号)
③ 厚生労働省組織規則(平成13年1月6日厚生労働省令第1号)

2 厚生労働省の内部組織に関する訓令及び細則
・ 平成30年10月1日時点における,厚生労働省の内部組織に関する訓令及び細則を以下のとおり掲載しています。
① 厚生労働省の内部組織に関する訓令(平成13年1月6日厚生労働省訓第1号)
② 厚生労働省大臣官房の内部組織に関する細則
③ 厚生労働省医政局の内部組織に関する細則
④ 厚生労働省健康局の内部組織に関する細則
⑤ 厚生労働省医薬・生活衛生局の内部組織に関する細則
⑥ 厚生労働省労働基準局の内部組織に関する細則
⑦ 厚生労働省職業安定局の内部組織に関する細則
⑧ 厚生労働省雇用環境・均等局の内部組織に関する細則
⑨ 厚生労働省子ども家庭局の内部組織に関する細則
⑩ 厚生労働省社会・援護局の内部組織に関する細則
⑪ 厚生労働省老健局の内部組織に関する細則
⑫ 厚生労働省保険局の内部組織に関する細則
⑬ 厚生労働省年金局の内部組織に関する細則
⑭ 厚生労働省人材開発統括官の下に置かれる組織に関する細則
⑮ 厚生労働省政策統括官(総合政策担当)の下に置かれる組織に関する細則
⑯ 厚生労働省政策統括官(統計・情報政策、政策評価担当)の下に置かれる組織に関する細則

勉強した(ただの趣味)

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厚生労働省の内部組織に関する訓令(平成13年1月6日厚生労働省訓第1号)

○厚生労働省の内部組織に関する訓令(平成13年1月6日厚生労働省訓第1号)(平成30年7月31日適用分)は以下のとおりです。

厚生労働省の内部組織に関する訓令

目次

第1章 総則(第1条―第9条の2)

第2章 大臣官房(第10条―第18条)

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厚生労働省労働基準局の,文書送付嘱託に対する対応(要旨)

目次
第1 厚生労働省労働基準局の,文書送付嘱託に対する対応(要旨)
第2 関連記事

第1 厚生労働省労働基準局の,文書送付嘱託に対する対応(要旨)
・ 平成30年度全国労災補償課長会議資料のうち,資料Ⅵ-5 平成30年3月26日付け事務連絡「文書提出命令等に係る業務参考資料の送付について」に含まれる「厚生労働省労働基準局の,文書送付嘱託に対する対応(要旨)」によれば,以下のとおりです。

文書送付嘱託に対する対応(要旨)

文書送付の嘱託に対して労働基準行政機関が保有する各文書を裁判所に提出するに当たっては、①文書提出者等が当該文書の一部分について開示を望まない場合、当骸部分を黒塗りして提出すること、②同意の確認に関する経過について記録することに留意し、下記により対応。

1 関係者からの提出文書
◯ 文書送付の嘱託申立人(申立人)から提出された文書→写しを提出
◯ 申立人以外の者から提出された文書→同意が得られた場合にのみ、写しを提出
◯ 同意が得られなかった場合→文書の標題のみを回答
◯ 文書に申立人以外の者の情報が記載されている場合→当該部分を黒塗りして提出

2 関係者からの聴取書等
◯ 申立人の聴取書等→写しを提出
◯ 申立人以外の者の聴取書等→当該者の秘密に関する情報の保護に十分配意し、次の手順により処理
① 聴取した者に対し、文書送付の嘱託に応じてよいかどうかの同意確認を実施
② 同意が得られた場合→聴取書等の写しを裁判所に提出
③ 同意が得られない場合→その旨を次の例を参考に文書により裁判所に回答
「◯月◯日、文書送付の嘱託のあった件につき、◯◯ほか◯名の聴取書(写)を別添のとおり送付しますもなお、◯名については本人の同意が得られなかったため提出は差し控えます。』
同意の得られなかった者についてはその人数のみを回答
同意しない者が訴訟の相手方当事者であるときは、相手方当事者の氏名を回答

3 労働基準行政機関が発出した文書
◯ 労働基準行政機関が、申立人に発出した文書→写しを提出
◯ 当該文書に、申立人以外の者に係る情報が記載されている場合→当該部分を黒塗りして提出
◯ 申立人以外の者に発出した文書→上記2の手順に準じて処理。

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厚生労働省労働基準局の,労災保険に係る訴訟に関する対応の強化について

◯労災保険に係る訴訟に関する対応の強化について(平成22年8月4日付の厚生労働省労働基準局補償課労災保険審理室長の事務連絡(平成29年3月29日最終改正))の本文は以下のとおりです。

1 訴訟追行における密接な連携等
(1) 適切な事前協議の実施
   応訴方針に係る労災保険審理室との協議については、平成17年3月30日付け事務連絡「労災保険に係る訴訟に関する応訴方針等について」の記の1において、新規提訴された全ての事件について行うこととされている。
   したがって、全ての新規提訴事件について、事前協議(新件協議(当室において会議形式で行うものをいう。以下同じ。)又は担当中央労災補償訟務官との書面等による協議)を行うこととし、担当中央労災補償訟務官との協議の結果、新件協議を行わないこととした事件についても、担当中央労災補償訟務官と必ず書面等により事前協議を行う。
(2) 原審判決区分Ⅲ又はⅣの訴訟事件の控訴審対応
   平成28年度に、最高裁において1件、高裁において10件の敗訴判決があったことから、当分の間も判決区分Ⅲ又はⅣであって勝訴した事件のうち、一審の判決内容に国側主張と異なる事実認定がされている事件等が上訴された場合は、控訴審における応訴方針について、事前に中央労災補償訟務官あて、応訴方針案等を送付した上で、新件協議に準じた協議を行う。

2 応訴方針の協議等
(1) 応訴方針に係る協議について
   事前協議に当たっては、その1週間前までに応訴方針案(別添様式1)及び医師意見書(原告側及び国側)を担当中央労災補償訟務官あて送付した上で、応訴方針案の適否、国側医師意見書の適否等について協溌する。
(2) 事前協議後の対応について
   事前協議において、応訴方針等に関する指摘事項等があった塙合は、事前協議後2週間以内を目途に当該指示事項を踏まえて応訴方針の修正案を作成し、担当中央労災補償訟務官に送付する。

3 新件協議を行わない場合の適切な事前協議(書面等による協議)の実施
   上記1(1)の担当中央労災補償訟務官との書面等による協議は、新件協議に準じて処理する。

4 労災保険審理室と都道府県労働局が共同して処理する事件への対応
(1) 労災保険審理室と都道府県労働局が共同して処理する事件の指定
   労災保険審理室と都道府県労働局が共同して処理する事件(以下「共同処理事件」という。)は、新件協議及び担当中央労災補償舩務官との書面による協議の結果を踏まえて労災保険審理室長が指定する。
(2) 共同処理事件の指定対象とする事件
   敗訴した際に行政実務に重大な影響を与えることが予想される下記に掲げる労災訴訟事件を指定対象とする。
ア 脳・心臓疾患事件、精神障害事件、石綿関連疾患事件など認定基準等への影響の大きいもの
イ 労働基準法施行規則別表1の2及び告示(平成8年3月29日付け労働省告示33号・改正平成25年9月30日)において示されている疾病に含まれない疾病(化学物質過敏症など)を争点とする事件
ウ 一審で勝訴し控訴された(敗訴し控訴した)事件で上記に準じる事件
エ その他、特に労災保険審理室の指導・支援が必要と認められる事件
(3) 都道府県労働局における対応
   共同処理事件に関して、都道府県労働局が対応する必要のある事項を以下(アからオ)に具体的に記述する。
ア 新件協議等における指摘事項に係る実施状況(補充調査、関係者の聴取等)については、実施後速やかに担当中央労災補償訟務官に報告するとともに、調査結果等を送付し、立証内容等について協識する。

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厚生労働省労働基準局の,文書提出命令等に対する具体的な対応

◯裁判所等からの文書提出命令等に対する具体的な対応について(平成14年3月1日付の厚生労働省労働基準局総務課長の通達(平成28年4月1日最終改正))によれば,以下のとおりです。

1 調査の嘱託について
   調査の嘱託は、文書送付の嘱託が書証として労働基準行政機関が保有する文書そのものの送付を求めるものであるのに対し、書証としてではなく、調査事項について文書による報告を求める点で異なるが、職務上知り得た私人の秘密に関する情報の保護及び公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれ等に十分配慮した上で、客観的事実について報告すること。

2 文書送付の嘱託について
(1) 対象となる文書
   裁判所から、労働基準行政機関が保有する労働災害の発生状況等客観的事実を把握できる文書や関係者からの証言等の文書について提出を求められた場合には、職務上知り得た私人の秘密に関する情報の保護及び公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるか否か等に十分配慮し、適切な対応を行うべきものである。
   これを踏まえ、文書送付の嘱託に応じて提出する主な文害は次のとおりとすること。
ア 関係者からの提出文書
(ア) 事業主がら届出のあった各種報告書、就業規則届又は労使協定届
(イ) 事業主が作成した出勤簿、賃金台帳、勤務時間表、超過勤務証明書、業務日誌等業務内容報告書、人事経歴簿、人員組織構成表、配置表又は作業手順表
(ウ) 事業主からの回答書(業務内容、勤務実態等に関するもの)
(エ) 定期健康診断実施結果(被災者のもの)
(オ) 事故に関係した機器類の機能等(寸法、規格等を含む)の説明書
(カ) 被災者又は当該被災者の親族、上司、同僚その他の関係者(以下「親族等」という。)が作成した手帳、日記、メモ等
(キ) 労災保険の支給請求書
(ク) 各種許認可申請書
イ 関係者からの聴取害等
   被災者本人又は当該被災者の親族等の聴取書、陳述書等
ウ 労働基準行政機関が発出した文書
(ア) 労災保険支給(不支給)決定通知書等(控)
(イ) 是正勧告書(控)
(ウ) 指導票(控)
(エ) 安全衛生指導書(控)
(オ) 主治医に対する意見照会書(控)
(カ) 各種許認可書(控)
エ 医師の作成した文害等
(ア) 主治医作成の診断書、診療録、レントゲン写真、検査結果又は死亡診断書
(イ) 主治医又は専門医作成の意見書又は鑑定書

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PKO日報問題に関する特別防衛監察結果報告で示された,行政文書管理及び情報公開業務の改善策

〇南スーダン派遣施設隊が作成した日報に対する行政文書開示請求について,防衛大臣が平成28年12月2日付で不開示決定を出した問題(いわゆる「PKO日報問題」です。)については,平成29年3月17日から特別防衛監察が実施され,同年7月28日に特別防衛監察結果が公表されました(防衛省防衛監察本部HPの「防衛監察」参照)し,以下のとおり懲戒処分が実施されました。
① 黒江哲郎 事務次官:停職4日
② 岡部俊哉 陸上幕僚長:減給1か月(10分の1)
③ 堀切光彦 前陸上自衛隊中央即応集団副司令官:停職5日
④ 牛嶋 築 前陸上幕僚監部運用支援・情報部長:停職3日

⑤ 辰己昌良 統合幕僚監部総括官:停職2日

〇平成29年7月28日公表の「特別防衛監察結果報告」15頁及び16頁には,「第7 改善策」として以下の記載があります。
   防衛省・自衛隊として行政文書管理及び情報公開業務の適正な実施について努めているところであるが、これらについて十分に実施されていない状況が確認されたことから、改めて、以下の事項について徹底を図る必要がある。
1   適正な情報公開業務の実施
(1)   関係職員の意識向上を図るための教育等の徹底
   情報公開法に基づく開示請求に対し、指導的立場となる管理者を含め、情報公開業務を適正に実施するという意識が低かったことから、情報公開業務に対する意識を高めるような教育や研修を徹底する必要がある。
(2)   行政文書の不存在の際の入念な確認の徹底
   情報公開法に基づく開示請求に対し、行政文書としての日報が存在しつつも、これを十分に確認せず不存在としている状況や該当文書を個人資料と説明している状況が確認されたことから、過去に保有していたことが明らかな行政文書を不存在とする場合には、情報公開担当部署は、文書管理者等に対し、複数回の探索や探索範囲の拡大を実施させるとともに、文書の管理状況についても実際に確認するなど、「行政文書管理及び情報公開業務の適正な実施について(通達)」(防官文第11870号。24.9.6)に基づき、行政文書の確実な探索及び特定業務を徹底する必要がある。
(3)   情報公開業務に対するチェック機能の強化
   情報公開法に基づく開示請求に対し、行政文書としての日報の不存在や廃棄などの誤った判断や行為について、開示請求に係る手続の過程において是正することができなかったことから、特に不存在とした開示請求について、開示請求手続と関係のない立場の組織により、情報公開業務の検査等を実施するなど、チェック機能の強化を図る必要がある。
   なお、防衛監察本部においても、定期防衛監察を活用し、特に開示請求において不存在としている場合の手続の適正性を確認することなどにより、チェック機能の強化に努めるものとする。
2   適正な文書管理等の実施
(1)   文書管理情報等の適切な表示等
   日報が「用済み後破棄」として取り扱われていることについて、文書管理情報が表示されていないため取扱者に周知されていない状況、また、「用済み後破棄」という曖昧な保存期間満了日の設定により、日報の実態が把握されていない状況が確認されたことから、行政文書の状況が明確に把握できるよう措置する必要がある。
   また、日報が「注意文書」として取り扱われていることについて、「注意」の標記が表示されず、また、業務に関係のない多数の職員が閲覧及び取得できる状況であったことから、取扱区分を表示するとともに、配布に当たっては配布先を必要最小限にとどめるよう措置する必要がある。
(2)   複数部署において管理されている行政文書の管理要領の見直し
   日報は指揮システムの掲示板により、統幕、陸幕、陸自各部隊等の多数の部署により共有されているものの、各文書管理者により日報の管理状況が様々であり、日報の保有状況が不明確となっていることから、同一の行政文書を複数の文書管理者が保有する場合における責任を明確にするなど、行政文書の管理要領について見直す必要がある。

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日本学術会議法第17条による推薦と 内閣総理大臣による会員の任命との関係について(平成30年11月13日付の内閣府日本学術会議事務局の文書)

目次
第1 日本学術会議法第17条による推薦と 内閣総理大臣による会員の任命との関係について(平成30年11月13日付の内閣府日本学術会議事務局の文書)
第2 関連記事その他

第1 日本学術会議法第17条による推薦と 内閣総理大臣による会員の任命との関係について(平成30年11月13日付の内閣府日本学術会議事務局の文書)

・ 文書の中身は以下のとおりです。

1.日本学術会議の沿革等について
(1)日本学術会議の設立経緯、設立趣旨等について
   敗戦後の我が国が貧困な資源、荒廃した産業施設等の悪条件を克服し、文化国家として再建すると共に、世界平和に貢献し得るためには、是非とも科学の力によらなければならないとの問題意識の下、従来、個々の研究においては優れた成果が必ずしも少ないとは言い得ないにも関わらず、その有機的、統一的な発達が十分ではなく、全科学者が一致協力して現下の危機を救い、科学の進歩に寄与し得るような体制を欠いていたことを省みて、全国科学者の緊密な連絡協力によって、科学の振興発達を図り、行政産業及び国民生活に科学を反映浸透させるための新組織を国の審議機関として確立することを我が国の科学振興の基本的な前提と位置付け、昭和23年7月に「日本学術会議法(昭和23年法律第121号。以下「日学法」という。)」が制定され、昭和24年1月に日本学術会議が設立された。
   近年、地球環境問題をはじめ、一つの専門分野の知識のみでは解決できない複雑な問題について、様々な知識を統合し、解決に向けた選択肢を示すことが求められている。こうした中で、日本学術会議は、我が国の科学者の内外に対する代表機関として、全ての学術分野の科学者を擁し、また、職務の独立性が担保されているといった特徴を有しており、幅広い学術分野の科学的知見を動員しつつ課題に関する審議を行って意見を集約し、政府や社会に対してその成果を提示できるところにその意義があるところである。政府や社会から尊重されつつその役割を十分に発揮できるような位置付け及び権限を付与し、安定的な運営を行うために必要な財政基盤を確保する観点から、日本学術会議は、科学に関する重要事項の審議及び研究の連絡に関する事務を所掌し、政府からの諮問に対する答申、政府への勧告等を行う国の行政機関として設置されているところである。
(※)例えば、国際リニアコライダー(ILC)については、高エネルギー物理学分野の国際的なコミュニティにおいて建設の期待が高まっているところであるが、ILCの建設及び運営には巨額の経費を要するため、我が国でこれを実施する場合には学術研究全体に大きな影響を与えることも想定されることから、学術に関する各分野の専門家で構成されている日本学術会議に対して文部科学省から審議を依頼されたところであり、現在、日本学術会議において、ILC計画における研究の学術的意義や、ILC計画の学術研究全体における位置付け等について審議しているところである。
   日本学術会議は、内閣総理大臣の所轄とされ、当初は「機関」として総理府に置かれたものであり(総理府設置法第16条)、一旦、総務省に置かれたこともあったが、現在は「特別の機関」として内閣府にで 置かれているところである(内閣府設置法第40条第3項)。
(2)日本学術会議会員の選出方法の変遷について
   日学法制定当初は、日本学術会議は、一定の資格を有する全国の科学者により選挙された特別職の国家公務員である日本学術会議会員(以下「会員」という。)によってこれを組織することとされていた。
   その後、昭和44年頃から日本学術会議改革が議論されはじめ、昭和57年10月22日に日本学術会議は改革要綱を採択し、総務長官に提出した。また、同年8月19日には自由民主党から日本学術会議の改革に関する中間提言が出され、同年ll月22日には総務長官の私的懇談会も報告を総務長官に提出した。総務長官はこれらを総合的に勘案して、同月24日に総務長官試案を示し、この試案を基に総理府と日本学術会議で協議を進めた結果、昭和58年に日学法改正法案が第98回国会に提出され、同年11月に同法案は成立した。
   このような状況の中で、会員の選挙制については、立候補者数の減少による競争率の低下や無競争当選等、いわゆる学者離れなどの問題点が指摘され、より良い会員の選出方法が検討された結果、会員の選出方法は、科学者が自主的に会員を選出することを基本とし、学会を基礎として選出された者を日本学術会議が会員候補者として内閣総理大臣に推薦し、その推薦に基づき内閣総理大臣が任命する方法へと改正された。
   さらに、平成16年の日学法改正においては、会員構成の硬直化を防ぎ、個別の学会の利害にとらわれない政策提言を行うことができるよう、推薦される会員候補者の選考方法が2.(2)において後述するとおりに改められた。

2.現行の会員選出方法について
(1)会員の選出に係る規定について
   日本学術会議は、210人の特別職の国家公務員たる会員をもって組織されており、日学法第17条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が会員を任命することとされている(日学法第7条第1項及び第2項)。会員の任期は6年であり、3年ごとにその半数を任命している(同条第3項)。日本学術会議は、規則で定めるところにより、優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦するものとされている(同条第17条)。日本学術会議会員候補者の内閣総理大臣への推薦手続を定める内閣府令(平成17年内閣府令第93号)では、会員候補者の内閣総理大臣への推薦は、任命を要する期日の30日前までに、当該候補者の氏名及び当該候補者が補欠の会員候補者である場合にはその任期を記載した書類を提出することにより行うものとしている。また、日学法上、会員としての欠格条項は特段規定されていないが、会員に会員として不適当な行為があるときは、内閣総理大臣は、日本学術会議の申出に基づき、当該会員を退職させることができることとされている(日学法第26条)。その不適当な行為とは、いわゆる名誉を汚辱するような行為であり、例えば、犯罪行為等が想定されているところである。
(※) 不適切な事案を背景として日本学術会議法施行令(平成17年政令第299号)第2条に基づき辞職を承認された連携会員(会員と連携し、日本学術会議の職務の一部を行わせるため、日学法第15条第1項に基づき置かれる一般職の国家公務員)の例として、
①大学教授が文部科学省からの研究資金を不正使用したことが大学の調査で判明し、大学から解雇された事例
②大学教授が論文でデータの改ざんやねつ造を行ったことが大学の調査で判明し、大学から懲戒解雇相当の処分とされた事例
等がある。
   上記の事例については、連携会員として不適当な行為があるとして会長が当該連携会員を退職させることができる事由にも該当する可能性があると考えられる。
(2)会員候補者の選考手続について
   日本学術会議における会員候補者の選考では、会員及び連携会員(会員と連携し、日本学術会議の職務の一部を行わせるため、日学法第15条第1項に基づき置かれる一般職の国家公務員)は、幹事会が定めるところにより、会員候補者を選考委員会に推薦することができることとされており、選考委員会は、推薦その他の情報に基づき、会員候補者の名簿を作成し、幹事会に提出することとされている。幹事会は、この名簿に基づき、総会の承認を得て、会員候補者を内閣総理大臣に推薦することを会長に求めるものとされている(会則第8条第1項、第2項及び第3項)。会員が任期の途中において定年、死亡、辞職又は退職により退任することで会員に欠員が生じた場合には、その後任者となる者(以下「補欠の会員」という。)の候補者の選考が行われ、また、補欠の会員の任期は、前任者の残任期間とされている(日学法第7条第4項)。なお、総会は、原則として毎年4月及び10月に会長が招集することとされている。

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