内閣法制局に関するメモ書き

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目次
1 内閣法制局の主な業務
2 質問主意書に対する答弁書に関する内閣法制局の審査
3 資料誤り等の再発防止
4 内閣法制局の執務資料
5 内閣法制局のその他の資料
6 臨時会の召集要求に関する国会答弁
7 改め文の必要性に関する国会答弁
8 関連記事その他

1 内閣法制局の主な業務
(1) 内閣法制局の主な業務は以下の二つであり,第一部は意見事務を担当し,第二部ないし第四部は審査事務を担当しています。
① 意見事務:法律問題に関し内閣並びに内閣総理大臣及び各省大臣に対し意見を述べるという事務(内閣法制局設置法3条3号)
② 審査事務:閣議に付される法律案、政令案及び条約案を審査するという事務(内閣法制局設置法3条1号)
(2) 裁判官の出向先となっている第二部の担当省庁は,内閣(内閣官房内閣人事局及び内閣府を除く。),内閣府(公正取引委員会及び金融庁を除く。),法務省,文部科学省,国土交通省及び防衛省です(内閣法制局設置法施行令2条)。
(3) 参議院議員小西洋之君提出内閣法制局長官と法の支配に関する質問に対する答弁書(平成26年11月28日付)には以下の記載があります。
    内閣法制局は、内閣法制局設置法(昭和二十七年法律第二百五十二号)に基づき、「閣議に附される法律案、政令案及び条約案を審査し、これに意見を附し、及び所要の修正を加えて、内閣に上申すること」、「法律問題に関し内閣並びに内閣総理大臣及び各省大臣に対し意見を述べること」等を所掌事務として内閣に置かれた機関であり、行政府による行政権の行使について、憲法を始めとする法令の解釈の一貫性や論理的整合性を保つとともに、法律による行政を確保する観点から、内閣等に対し意見を述べるなどしてきたものである。
(4) 「「法の番人」内閣法制局の矜持」(著者は阪田雅裕 元内閣法制局長官)44頁には以下の記載があります。
    一般の法律については所管する各省がその責任のもとに解釈・運用・適用する。けれども憲法は内閣が自ら一元的に解釈し、運用せざるをえない。内閣は言うまでもなく総理を代表とする合議体です。内閣という組織は同一のものとしてあるとしても、それを構成する人は始終変わるわけです。ですから当然、憲法解釈のようなことについて、内閣自体が常に専門的な知見をもっているわけではない。だから法的な視点で内閣を支える組織というものが必要であり、それが法制局であるということです。


2 質問主意書に対する答弁書に関する内閣法制局の審査
・ 法務省が取りまとめ省庁である場合の記載として,質問主意書関係事務の手引き~はじめて主意書を担当する方へ~7頁には以下の記載があります。
    内閣法制局審査の際に用意する資料は,答弁書案,主意書,参考資料,参照条文である(最低3セット)。
    なお,従来作成していた「配布案件理由」(「配布案件」として閣議に付す場合(詳細は後述(3)を参照)に作成していたもの。)については,内閣総務官室の指示により,第192回国会から作成不要となった(今後の運用変更により,再度作成必要となる可能性あり。)。
    答弁書は内閣法制局第一部の参事官補→参事官→部長(重要な案件等は長官まで)の順序で審査を受けることとなっているところ,省内決裁,本府内総配字審査との関係(流れ)はおおむね次のとおりである。
① 部局内決裁【法務省】
② 内閣法制局参事官補審査
③ 内閣法制局参事官審査
④ 本府内総配字審査
⑤ 秘書課付決裁【法務省】
⑥ 秘書課長決裁【法務省】
⑦ 官房長決裁【法務省】
⑧ 事務次官決裁【法務省】
⑨ 内閣法制局第一部長審査(重要な案件は長官まで)
⑩ 本府内総配字審査

⑪ 政務三役決裁【法務省】(副大臣,政務官については,⑨と同時並行の場合もある。)
    重要な案件については,内閣法制局審査前に政務三役の了解を得たり,官邸と協議する場合もあり,上記の流れが変則的になることもある。
    原則,閣議請議前日までに⑪まで了となるようにする。

3 資料誤り等の再発防止

(1) 内閣官房HPの「再発防止チーム」に,デジタル改革関連法案における資料誤り等の当面の再発防止策 (令和3年3月29日付)が載っています。
(2) 衆議院議員丸山穂高君提出法改正時のミスにより既存の条項と罰則が対応しない状態等が生じていることに関する質問に対する答弁書(令和3年5月14日付)には以下の記載があります。
    内閣が第二百四回国会に提出した法律案(第二百三回国会において継続審査とされたものを含む。)及び条約について、条文及び参考資料(要綱、新旧対照表及び参照条文)等に相次いで誤りが判明したことから、まずは各府省庁において、今回の誤りが起きた原因の徹底究明と再発防止策の検討を実施している。その上で、内閣官房副長官、内閣官房副長官補、内閣官房内閣審議官二名、内閣法制次長、内閣法制局総務主幹、総務省行政管理局長、法務省大臣官房司法法制部長、各府省庁等大臣官房長及び国立印刷局理事長の計二十七名をメンバーとする「法案誤り等再発防止プロジェクトチーム」においては、再発防止に向けて、各府省庁共通の課題を抽出し、府省庁横断的に解決することを目的として、実際に法令の立案作業や文書審査業務を行う実務担当者などの現場の視点を踏まえるとともに、特にデジタル技術及びICTを積極的に活用する形で業務の進め方を見直していくとの観点に立って、実効性のある再発防止策を議論している。
(3) 厚生労働省四国地方厚生局HPに載ってある「ダブルチェックの有効性を再考する」によれば,「よく見たら分かるのに・・・」的間違いについては,指差確認だけで十分であって,ダブルチェックを実施した場合,単純に気づくエラーなのに2人とも手抜きしてどちらも見落とすとか,2人目の時間を奪う結果,別の作業を手抜きしたり,超過勤務につながったり,疲れて余計に間違えたりすることがあるとのことです。

4 内閣法制局の執務資料
・ 法令審査事務提要(改定)
・ 法令案における誤りの防止について(手引き)(増補版)
・ 内閣法制局の法令審査支援システム操作マニュアル
・ 憲法関係答弁例集(第9条・憲法解釈関係)(平成28年9月)
・ 
内閣法制局第一部の執務参考資料集8(憲法76条ないし81条関係)
・ 内閣法制局の国会用資料(平成30年分)
・ 内閣法制局の国会答弁抄(司法・法務)
・ 大嘗祭の合憲性に関する内閣法制局の国会用資料等

5 内閣法制局のその他の資料
(例規)
・ 内閣法制局組織細則(昭和31年9月1日法制局訓令第1号)
・ 内閣法制局行政文書取扱規則(平成31年4月25日最終改正)
(法律案審議録)
・ 裁判所法の一部を改正する法律(平成10年5月6日法律第50号)に関する,内閣法制局の法律案審議録
・ 裁判所法の一部を改正する法律(平成16年12月10日法律第163号)に関する,内閣法制局の法律案審議録
・ 裁判所法の一部を改正する法律(平成29年4月26日法律第23号)に関する,内閣法制局の法律案審議録(法務省提出分は除く。)
(答弁書の審査資料)
・ 衆議院議員鈴木貴子君提出日本共産党と「破壊活動防止法」に関する質問主意書に対する答弁書(平成28年3月22日付)に関する,内閣法制局の審査資料
・ 東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長の日本オリンピック委員会評議員会での女性に関する発言に関する質問に対する答弁書(令和3年2月16日付)に関する,内閣法制局の審査資料
・ 参議院議員浜田聡君提出衆議院本会議前夜午後十一時に質問通告が出ていなかった旨のSNS上の書き込みの審議に関する質問に対する答弁書(令和3年2月19日付)に関する,内閣法制局の審査資料
・ 参議院議員安達澄君提出西村康稔大臣の組織マネジメント等に関する質問に対する答弁書(令和3年3月5日付)に関する,内閣法制局の審査資料
・ 参議院議員浜田聡君提出皇室経済法第六条に規定されている一時金不支給に関する質問に対する答弁書(令和3年11月19日付)に関する,内閣法制局の審査資料
・ 参議院議員浜田聡君提出国会議員の依頼によって官僚が作成するあいさつ文や講演資料に関する質問に対する答弁書(令和3年12月17日付)に関する,内閣法制局の審査資料
・ 参議院議員浜田聡君提出天皇及び皇族が御結婚される際に例外的な対応を行う場合の処理等に関する質問に対する答弁書(令和3年12月21日付)に関する,内閣法制局の審査資料
(その他)
・ 平成24年法令整備会議の資料
・ 関係主要用語集
→ 取り上げられている用語は以下のとおりです。
A級戦犯思いやり予算閣議決定・閣議了解・閣議報告間接侵略艦・船・艇軍事大国公開の原則(原子力)攻撃的兵器と防御的兵器公式参拝・私的参拝・正式参拝国会決議の効力国是三権分立日米防衛協力のための指針日米防衛協力のための指針(平成9年改定)首都侵略戦争政府統一見解・政府見解専守防衛遷都・分都・展都防衛計画の大綱(昭和52年度以降に係るもの)防衛計画の大綱(平成8年度以降に係るもの)大東亜戦争中立東京裁判当然の法理内政干渉白書・青書非核三原則秘密(国家公務員法100条)平和の目的予算と法律有事領海侵犯領空侵犯教育勅語


6 臨時会の召集要求に関する国会答弁
(1) 横畠裕介内閣法制局長官は,平成30年2月14日の衆議院予算委員会において以下の答弁をしています(ナンバリングを追加しています。)。
① (山中注:臨時国会の召集要求があった場合,)臨時会で審議すべき事項等をも勘案して、召集のために必要な合理的な期間を超えない期間内に臨時会の召集を行うことを決定しなければならないということでございまして、合理的な期間と申しますのは、召集に当たって整理すべき諸課題によって変わるものであるため、一概に申し上げることはできないと考えております。
② 憲法の規定の理解、解釈については先ほどお答えしたとおりでございまして、私どもの所掌といたしまして、憲法の解釈について申し上げるということはございますけれども、具体にどのような事情によってそのような期間になったのかということについてお答えする立場にはございません。
(2) 平成29年6月22日,野党議員は,安倍内閣に対し,衆参両院それぞれ総議員の4分の1以上の連名で臨時国会の召集を要求したものの,実際に臨時国会が召集されたのは同年9月28日でしたし,召集日に衆議院が解散されました。
(3) 憲法53条は以下のとおりです。
    内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。


7 改め文の必要性に関する国会答弁
・ 横畠裕介内閣法制局総務主幹は,平成14年12月13日の衆議院総務委員会において以下の答弁をしています(ナンバリング及び改行を追加しています。)。
① 内閣法制局におきましては、法令の正確性はもとより、これが国民にとってわかりやすいものとなるよう平素から意を用いているところでございます。
    また、法令案の作成事務の簡素合理化につきましても努力をしているところでございます。
    御指摘のいわゆる改め文と言われる逐語的改正方式は、改正点が明確であり、かつ簡素に表現できるというメリットがあることから、それなりの改善、工夫の努力を経て、我が国における法改正の方法として定着しているものと考えております。
② 一方、新旧対照表は、現在、改正内容の理解を助けるための参考資料として作成しているものでございますが、逐語的改正方式をやめて、これを改正法案の本体とすることにつきましては、まず、一般的に新旧対照表は改め文よりも相当に大部となるということが避けられず、その全体について正確性を期すための事務にこれまで以上に多大の時間と労力を要すると考えられるということが一つございます。
    また、条項の移動など、新旧対照表ではその改正の内容が十分に表現できないということもあると考えられます。このようなことから、実際上困難があるものと考えております。
③ ちなみに一例を申し上げますと、平成十一年でございますが、中央省庁等改革関係法施行法という法律がございました。
    改め文による法案本体は全体で九百四十ページという大部のものでございましたけれども、その新旧対照表は、縮小印刷をさせていただきまして、四千七百六十五ページに達しております。
    これを改め文と同じ一ページ当たりの文字数で換算いたしますと、二万一千三百五ページということになりまして、実に改め文の二十二倍を超える膨大な量となってしまう、こういう現実がございます。


8 関連記事その他
1 内閣法制局HPに「法律ができるまで」が載っています。
2 法務省刑事局作成の以下の資料を掲載しています。
・ 若手検察官のための法令基礎知識→検察月報678号(平成25年9月)からの抜粋
・ 罰則の定めのある条例審査について(執筆者は東京高検検事)
・ 罰則の定めのある条例審査のQ&A(法務省刑事局刑事法制課の調査解説)
・ 罰則の定めのある条例の審査について→検察月報640号(平成22年7月)からの抜粋
・ いわゆる暴力団排除条例の審査について→検察月報645号(平成22年12月)からの抜粋
・ 環境関連条例の審査について→検察月報651号(平成23年6月)からの抜粋
・ 屋外広告物条例の審査について→検察月報654号(平成23年9月)からの抜粋
3 以下の記事も参照して下さい。
・ 内閣法制局長官任命の閣議書
・ 内閣法制局参事官経験のある裁判官
・ 外務省国際法局長経験のある最高裁判所判事
・ 行政機関等への出向裁判官
・ 平成16年4月1日創設の,弁護士資格認定制度
 弁護士資格認定制度に基づく認定者数の推移

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