亀山継夫裁判官(10期)の経歴


生年月日 S9.2.26
出身大学 東大
退官時の年齢 70 歳
叙勲 H18年春・旭日大綬章
H16.2.26 定年退官
H10.12.4 ~ H16.2.25 最高裁判事・二小
その後 東海大学法学部教授
H9.2.26 定年退官
H8.6.3 ~ H9.2.25 名古屋高検検事長
H6.11.11 ~ H8.6.2 広島高検検事長
H3.12.12 ~ H6.11.10 法総研所長
H1.9.4 ~ H3.12.11 最高検総務部長
S63.4.1 ~ H1.9.3 前橋地検検事正
S61.9.1 ~ S63.3.31 札幌地検検事正
S59.11.20 ~ S61.8.31 最高検検事
S59.4.1 ~ S59.11.19 東京高検刑事部長
S56.3.18 ~ S59.3.31 法務大臣官房審議官(刑事局担当)
S54.3.26 ~ S56.3.17 東京地検検事
S51.11.1 ~ S54.3.25 法務省刑事局青少年課長
S45.9.1 ~ S51.10.31 法務省刑事局参事官
S41.9.16 ~ S45.8.31 法務省刑事局付
S33.4.5 ~ S41.9.15 東京地検検事

*1 以下の記事も参照してください。
・ 刑事の再審事件
・ 検事総長,次長検事及び検事長任命の閣議書
・ 検事総長,次長検事及び検事長が認証官となった経緯
・ 法務・検察幹部名簿(平成24年4月以降)
・ 法務省作成の検事期別名簿
・ 親任式及び認証官任命式
(足利事件)
*2の1 足利事件は,平成2年5月12日,栃木県足利市(あしかがし)にあるパチンコ店の駐車場から女児が行方不明になり,翌日の朝,近くの渡良瀬川の河川敷で女児の遺体が発見された,殺人・死体遺棄事件です。
*2の2 宇都宮地裁平成5年7月7日判決(裁判長は22期の久保真人)は無期懲役判決であり,東京高裁平成8年5月9日判決(裁判長は14期の高木俊夫)は控訴棄却判決であり,弁護人の求めを拒否してDNA型鑑定の再鑑定がされないまま出された最高裁平成12年7月17日決定(裁判長は10期の亀山継夫)は上告棄却判決でした。
*2の3 平成14年12月25日に再審請求があり,宇都宮地裁平成20年2月13日決定(裁判長は31期の池本寿美子裁判官)は再審請求を棄却し,平成20年12月24日に23期の田中康郎東京高裁裁判長がDNA型の再鑑定を決定し,平成21年6月4日に再審請求人が釈放され,東京高裁平成21年6月23日決定は再審開始決定(26期の矢村宏裁判官)を出しました。
*2の4 宇都宮地裁平成22年3月26日判決(裁判長は45期の佐藤正信裁判官)は無罪判決となり,同日,宇都宮地検が上訴権を放棄して即日確定となりました。
*2の5 平成22年4月付の「いわゆる足利事件における捜査・公判活動の問題点等について(概要)」3頁には以下の記載があります(改行を追加しています。)。
    控訴審当時に,調査人数が190人から957人と増加したことに伴って,1,000人中約8.3人とされていた出現頻度が1,000人中約35.8人と大幅に高くなったことにかんがみると,結果として,出現頻度の正確性を確保するための調査人数が十分であったか否かの検討が不十分であったと言わざるを得ない。
    また,主任検事においては,本件当時の足利市だけでも,その男性人口から推定すれば,上記DNA型及び血液型の一致する男性は約100人に上り,その中で年齢等を考慮し性犯罪が可能と考えられる男性は相当数に及んでおり,更に犯人の居住区域を近隣自治体にも広げれば,同様に相当数の同一の血液型やDNA型を持つ人が居住している可能性があったことを具体的に想定し,考慮すべきであったと考えられるが,そのような検討が行われたとは認められない。
    本来であれば,当時のDNA型鑑定は,自白内容や関係証拠と総合的に判断されるべき証拠の一つであったにもかかわらず,主任検事は,菅家氏が厳刑が予想される本件について自白していたこともあって,本件DNA型鑑定の結果をそれ自体で犯人を的確に指し示している決定的な証拠であるかのように過大に評価したと認めざるを得ない。
(DNA型鑑定の歴史)
*3の1 日大医誌68(5)(2009年)の「法医学におけるDNA型鑑定の歴史」には以下の記載があります(リンク先のPDF4頁)(改行を追加しています。)。
    日本の警察では,1989(平成元)年よりMCT118(D1S80)型によるDNA型鑑定法が実用化され,その後,1992(平成4)年には「DNA型鑑定の運用に関する指針」を定め,原則として現場資料と比較対照するための被疑者の血液や被害者の血液等がある場合に実施することとし,MCT118(D1S80)型に加えHLADQA1型も犯罪捜査に導入された。
    さらに1996(平成8)年にはTH01型およびPM型が導入されて4種類となった。
    2003(平成15)年には指針が改正され,比較対象資料が無い場合であっても現場資料のみのDNA型検査を実施するものとし,STR多型9座位の検査が始まった。
    2006(平成18)年にはSTR多型15座位に,アメロゲニン(性別マーカー)鑑定を併せた16座位を用いたDNA型が,実際の刑事事件に応用されており,2008(平成20)年にはY-STR型検査も導入されている。
*3の2 くらしとバイオプラザ21HPの「講演会「DNA鑑定技術の発展からみた足利事件の問題点」レポート」には「ヒトの1番染色体のMCT118部位にある16塩基配列がいくつ繰り返すかを型判定する。別の人の型と一致する確率は161人に一人。」と書いてあります。
(科学的な証拠の取扱い)
*4 袴田事件第二次再審請求に関する即時抗告審としての東京高裁平成30年6月11日決定は以下の判示をしています(リンク先の29頁であり,改行を追加しています。ただし,棄却決定の結論自体は最高裁令和2年12月22日決定によって破棄されました。)。
    一般に,自然科学の分野では,実験結果等から一定の仮説が立てられると,他人にその仮説の正当性を理解してもらうために,その理論的根拠や実験の手法等を明らかにし,多くの者がその理論的正当性を審査し,同様の手法によりその仮説に基づいたとおりの結果が得られるか否かを確認する機会を付与して,多くの批判的な審査や実験的な検証にさらすことによって,その仮説が信頼性や正当性を獲得し,科学的な原理・手法として確立していくのである。
    したがって,一般的には,未だ科学的な原理・知見として認知されておらず,その手法が科学的に確立したものとはいえない新規の手法を鑑定で用いることは,その結果に十分な信頼性をおくことはできないので相当とはいえず,やむを得ずにこれを用いた場合には,事情によっては直ちに不適切とはいえないとしても,科学的な証拠として高い証明力を認めることには相当に慎重でなければならないというべきである。




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