ジュリスト「最高裁時の判例」に掲載された最高裁判例の判示事項又は裁判要旨(2021年分)


目次
第1 ジュリスト「最高裁時の判例」に掲載された最高裁判例の判示事項又は裁判要旨(2021年分)
第2 関連記事その他

第1 ジュリスト「最高裁時の判例」に掲載された最高裁判例の判示事項又は裁判要旨(2021年分)
2021年12月号
1 最高裁令和3年3月2日判決の判示事項
・ 補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律22条に基づくものとしてされた財産の処分の承認が同法7条3項による条件に基づいてされたものとして適法であるとされた事例
2 最高裁令和3年3月25日判決の裁判要旨
・ 民訴法118条3号の要件を具備しない懲罰的損害賠償としての金員の支払を命じた部分が含まれる外国裁判所の判決に係る債権について弁済がされた場合,その弁済が上記外国裁判所の強制執行手続においてされたものであっても,これが上記部分に係る債権に充当されたものとして上記判決についての執行判決をすることはできない。
3 最高裁令和2年1月31日判決の裁判要旨
・ 上告裁判所が原判決を破棄するに当たり,原審の公判審理に関与していない裁判官が原判決に関与した違法があるという破棄事由の性質,被告事件の内容,審理経過等本件事情の下では,必ずしも口頭弁論を経ることを要しない。
2021年11月号
1 最高裁令和2年2月25日判決の判示事項
① 経過観察を受けている被爆者が原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律10条1項所定の「現に医療を要する状態にある」と認められる場合
② 経過観察自体が,経過観察の対象とされている疾病を治療するために必要不可欠な行為であり,かつ,積極的治療行為の一環と評価できる特別の事情があるといえるか否かについての判断の方法
③ 慢性甲状腺炎について経過観察を受けている被爆者が原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律10条1項所定の「現に医療を要する状態にある」と認められるとはいえないとされた事例
2 最高裁令和2年7月2日判決の裁判要旨
・ 法人が受領した制限超過利息等を益金の額に算入して法人税の申告をし,その後の事業年度に当該制限超過利息等についての不当利得返還請求権に係る破産債権が破産手続により確定した場合において,当該制限超過利息等の受領の日が属する事業年度の益金の額を減額する計算をすることは,一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従ったものとはいえない。
3 最高裁令和2年12月22日判決の判示事項
① 有価証券届出書の財務計算に関する書類に係る部分に虚偽記載等がある場合に当該有価証券の募集に係る発行者等と元引受契約を締結した金融商品取引業者等が金融商品取引法21条1項4号の損害賠償責任につき同条2項3号による免責を受けるための要件
② 株式の上場に当たり提出された有価証券届出書のうち当該上場の最近事業年度及びその直前事業年度の財務諸表に虚偽記載があった場合において当該株式の発行者等と元引受契約を締結した金融商品取引業者の金融商品取引法21条1項4号の損害賠償責任につき同条2項3号による免責が否定された事例
4 最高裁令和3年1月26日判決の裁判要旨
・ 債権者が会社に金銭を貸し付けるに際し,社債の発行に仮託して,不当に高利を得る目的で当該会社に働きかけて社債を発行させるなど,社債の発行の目的,会社法676条各号に掲げる事項の内容,その決定の経緯等に照らし,当該社債の発行が利息制限法の規制を潜脱することを企図して行われたものと認められるなどの特段の事情がある場合を除き,社債には同法1条の規定は適用されない。
5 最高裁令和3年1月29日判決の判示事項
・ 自動車を運転する予定の者に対し,ひそかに睡眠導入剤を摂取させ運転を仕向けて交通事故を引き起こさせ,事故の相手方に傷害を負わせたという殺人未遂被告事件について,事故の相手方に対する殺意を認めた第1審判決に事実誤認があるとした原判決に,刑訴法382条の解釈適用を誤った違法があるとされた事例
2021年10月号
1 最高裁令和2年3月24日決定の裁判要旨
・ 検察官,検察事務官又は司法警察職員から鑑定の嘱託を受けた者が当該鑑定に関して作成し若しくは受領した文書若しくは準文書又はその写しは,民訴法220条4号ホに定める刑事事件に係る訴訟に関する書類又は刑事事件において押収されている文書に該当する。
2 最高裁令和2年10月9日判決の判示事項
・ 少年保護事件を題材として家庭裁判所調査官が執筆した論文を雑誌及び書籍において公表した行為がプライバシーの侵害として不法行為法上違法とはいえないとされた事例
3 最高裁令和2年12月15日判決の裁判要旨
・ 同一の当事者間に数個の金銭消費貸借契約に基づく各元本債務が存在する場合において,借主が弁済を充当すべき債務を指定することなく全債務を完済するのに足りない額の弁済をしたときは,当該弁済は,特段の事情のない限り,上記各元本債務の承認(平成29年法律第44号による改正前の民法147条3号)として消滅時効を中断する効力を有する。
4 最高裁令和2年1月27日決定の裁判要旨
① 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成26年法律第79号による改正前のもの)2条3項にいう「児童ポルノ」とは,写真,電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって,同項各号のいずれかに掲げる実在する児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいい,実在しない児童の姿態を描写したものは含まない。
② 児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成26年法律第79号による改正前のもの)7条5項の児童ポルノ製造罪が成立するためには,同条4項に掲げる行為の目的で,同法2条3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した物を製造すれば足り,当該物に描写されている人物がその製造時点において18歳未満であることを要しない。
2021年9月号
1 最高裁令和3年5月17日判決の判示事項
① 労働大臣が建設現場における石綿関連疾患の発生防止のために労働安全衛生法に基づく規制権限を行使しなかったことが屋内の建設作業に従事して石綿粉じんにばく露した労働者との関係において国家賠償法1条1項の適用上違法であるとされた事例
② 労働大臣が建設現場における石綿関連疾患の発生防止のために労働安全衛生法に基づく規制権限を行使しなかったことが屋内の建設作業に従事して石綿粉じんにばく露した者のうち労働者に該当しない者との関係において国家賠償法1条1項の適用上違法であるとされた事例
③ 被害者によって特定された複数の行為者のほかに被害者の損害をそれのみで惹起し得る行為をした者が存在しないことは,民法719条1項後段の適用の要件か
④ 石綿含有建材を製造販売した建材メーカーらが,中皮腫にり患した大工らに対し,民法719条1項後段の類推適用により,上記大工らの各損害の3分の1について連帯して損害賠償責任を負うとされた事例
⑤ 石綿含有建材を製造販売した建材メーカーらが,石綿肺,肺がん又はびまん性胸膜肥厚にり患した大工らに対し,民法719条1項後段の類推適用により,上記大工らの各損害の3分の1について連帯して損害賠償責任を負うとされた事例
2 最高裁令和3年5月17日判決の判示事項
・ 原告らの採る立証手法により特定の建材メーカーの製造販売した石綿含有建材が特定の建設作業従事者の作業する建設現場に相当回数にわたり到達していたとの事実が立証され得ることを一律に否定した原審の判断に経験則又は採証法則に反する違法があるとされた事例
3 最高裁令和3年2月1日決定の判示事項
① 電磁的記録を保管した記録媒体がサイバー犯罪に関する条約の締約国に所在し同記録を開示する正当な権限を有する者の合法的かつ任意の同意がある場合に国際捜査共助によることなく同記録媒体へのリモートアクセス及び同記録の複写を行うことの許否
② 警察官が日本国外に所在する蓋然性がある記録媒体にリモートアクセスをして電磁的記録を複写するなどして収集した証拠について証拠能力が肯定された事例
③ リモートアクセスによる電磁的記録の複写の処分を許可した捜索差押許可状の執行に当たり個々の電磁的記録につき内容を確認せずに複写することが許されるとされた事例
④ インターネット上の動画の投稿サイト及び配信サイトを管理・運営していた被告人両名に上記各サイト上におけるわいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪及び公然わいせつ罪の各共同正犯が成立するとされた事例
2021年8月号
1 最高裁令和2年8月6日決定の裁判要旨
・ 家庭裁判所は,財産の分与に関する処分の審判において,当事者双方がその協力によって得た一方当事者の所有名義の不動産であって他方当事者が占有するものにつき,当該他方当事者に分与しないものと判断した場合,その判断に沿った権利関係を実現するため必要と認めるときは,家事事件手続法154条2項4号に基づき,当該他方当事者に対し,当該一方当事者にこれを明け渡すよう命ずることができる。
2 最高裁令和2年9月11日判決の裁判要旨
・  請負契約に基づく請負代金債権と同契約の目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償債権の一方を本訴請求債権とし,他方を反訴請求債権とする本訴及び反訴が係属中に,本訴原告が,反訴において,上記本訴請求債権を自働債権とし,上記反訴請求債権を受働債権とする相殺の抗弁を主張することは許される。
3 最高裁令和2年9月16日決定の判示事項
① 医師法17条にいう「医業」の内容となる医行為の意義
② 医師法17条にいう「医業」の内容となる医行為に当たるか否かの判断方法
③ 医師でない彫り師によるタトゥー施術行為が,医師法17条にいう「医業」の内容となる医行為に当たらないとされた事例
2021年7月号
1 最高裁令和2年7月9日判決の裁判要旨
① 交通事故の被害者が後遺障害による逸失利益について定期金による賠償を求めている場合において,不法行為に基づく損害賠償制度の目的及び理念に照らして相当と認められるときは,同逸失利益は,定期金による賠償の対象となる。
② 交通事故に起因する後遺障害による逸失利益につき定期金による賠償を命ずるに当たっては,事故の時点で,被害者が死亡する原因となる具体的事由が存在し,近い将来における死亡が客観的に予測されていたなどの特段の事情がない限り,就労可能期間の終期より前の被害者の死亡時を定期金による賠償の終期とすることを要しない。
③ 交通事故の被害者が後遺障害による逸失利益について定期金による賠償を求めている場合において,同人が事故当時4歳の幼児で,高次脳機能障害という後遺障害のため労働能力を全部喪失し,同逸失利益の現実化が将来の長期間にわたるなど判示の事情の下では,同逸失利益は,定期金による賠償の対象となる。
2 最高裁令和2年9月18日判決の裁判要旨
・ 不動産競売手続において建物の区分所有等に関する法律66条で準用される同法7条1項の先取特権を有する債権者が配当要求をしたことにより,上記配当要求における配当要求債権について,差押え(平成29年法律第44号による改正前の民法147条2号)に準ずるものとして消滅時効の中断の効力が生ずるためには,民事執行法181条1項各号に掲げる文書により上記債権者が上記先取特権を有することが上記手続において証明されれば足り,債務者が上記配当要求債権についての配当異議の申出等をすることなく売却代金の配当又は弁済金の交付が実施されるに至ったことを要しない。
3 最高裁平成30年12月11日判決の判示事項
・ 指示を受けてマンションの空室に赴き詐欺の被害者が送付した荷物を名宛人になりすまして受け取るなどした者に詐欺罪の故意及び共謀があるとされた事例
4 最高裁平成30年12月14日判決の判示事項
・ 詐欺の被害者が送付した荷物を依頼を受けて名宛人になりすまして自宅で受け取るなどした者に詐欺罪の故意及び共謀があるとされた事例
2021年6月号
1 最高裁令和2年6月30日判決の裁判要旨
・ ふるさと納税制度に係る平成31年総務省告示第179号2条3号の規定のうち,地方税法37条の2及び314条の7を改正する平成31年法律第2号の規定の施行前における寄附金の募集及び受領について定める部分は,上記規定による改正後の地方税法37条の2第2項及び314条の7第2項の委任の範囲を逸脱した違法なものとして無効である。
2 最高裁令和2年9月3日判決の裁判要旨
・ 事業協同組合の理事を選出する選挙の取消しを求める訴えに,同選挙が取り消されるべきものであることを理由として後任理事又は監事を選出する後行の選挙の効力を争う訴えが併合されている場合には,後行の選挙がいわゆる全員出席総会においてされたなどの特段の事情がない限り,先行の選挙の取消しを求める訴えの利益は消滅しない。
3 最高裁令和2年9月7日判決の判示事項
・ 特許権の通常実施権者が,特許権者を被告として,特許権者の第三者に対する特許権侵害を理由とする損害賠償請求権が存在しないことの確認を求める訴えにつき,確認の利益を欠くとされた事例
4 最高裁令和2年9月8日判決の裁判要旨
・ 請負人である破産者の支払の停止の前に締結された請負契約に基づく注文者の破産者に対する違約金債権の取得が,破産法72条2項2号にいう「前に生じた原因」に基づく場合に当たり,上記違約金債権を自働債権とする相殺が許されるとされた事例
2021年5月号
1 最高裁令和2年6月26日判決の裁判要旨
・ 被相続人に対して既に納付又は納入の告知がされた地方団体の徴収金につき,納期限等を定めてその納付等を求める旨の相続人に対する通知は,これに係る地方税の徴収権について,地方税法(平成29年法律第45号による改正前のもの)18条の2第1項1号に基づく消滅時効の中断の効力を有しない。
2 最高裁令和元年9月27日判決の判示事項
・ 詐欺の被害者が送付した荷物を依頼を受けて送付先のマンションに設置された宅配ボックスから取り出して受領するなどした者に詐欺罪の故意及び共謀があるとされた事例
2021年4月号
1 最高裁平成31年2月19日判決の裁判要旨
・  夫婦の一方は,他方と不貞行為に及んだ第三者に対し,当該第三者が,単に不貞行為に及ぶにとどまらず,当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情がない限り,離婚に伴う慰謝料を請求することはできない。
2 最高裁令和2年3月26日判決の裁判要旨
・ 公有水面埋立法42条1項に基づく埋立ての承認は,国の機関が行政不服審査法7条2項にいう「固有の資格」において相手方となるものということはできない。
3 最高裁令和2年4月7日判決の裁判要旨
・ 強制執行の申立てをした債権者が,当該強制執行における債務者に対する不法行為に基づく損害賠償請求において,当該強制執行に要した費用のうち民事訴訟費用等に関する法律2条各号に掲げられた費目のものを損害として主張することは許されない。
4 最高裁令和2年4月16日決定の裁判要旨
・ 裁判所は,ハーグ条約実施法の規定する子の返還申立事件に係る家事調停において,子を返還する旨の調停が成立した後に,事情の変更により同調停における子を返還する旨の定めを維持することを不当と認めるに至った場合は,同法117条1項の規定を類推適用して,当事者の申立てにより,上記定めを変更することができる。
5 最高裁令和2年7月14日判決の裁判要旨
・ 国又は公共団体の公権力の行使に当たる複数の公務員が,その職務を行うについて,共同して故意によって違法に他人に加えた損害につき,国又は公共団体がこれを賠償した場合においては,当該公務員らは,国又は公共団体に対し,連帯して国家賠償法1条2項による求償債務を負う。
2021年3月号
1 最高裁令和2年7月21日判決の判示事項
① 著作権法19条1項の「著作物の公衆への提供若しくは提示」は,同法21条から27条までに規定する権利に係る著作物の利用によることを要するか
② インターネット上の情報ネットワークにおいてされた他人の著作物である写真の画像の掲載を含む投稿により,上記画像が,著作者名の表示の付された部分が切除された形で上記投稿に係るウェブページの閲覧者の端末に表示された場合に,上記閲覧者が当該表示された画像をクリックすれば,上記著作者名の表示がある元の画像を見ることができるとしても,上記投稿をした者が著作者名を表示したことにはならないとされた事例
③ 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づく発信者情報の開示請求をする者が,インターネット上の情報ネットワークにおいてされた同人の著作物である写真の画像の掲載を含む投稿により,上記写真に係る氏名表示権を侵害された場合に,上記投稿をした者が,同項の「侵害情報の発信者」に該当し,かつ,同項1号の「侵害情報の流通によって」上記開示請求をする者の権利を侵害したものといえるとされた事例
2 最高裁令和2年9月30日決定の裁判要旨
① 他の者が先行して被害者に暴行を加え,これと同一の機会に,後行者が途中から共謀加担したが,被害者の負った傷害が共謀成立後の暴行により生じたとは認められない場合,その傷害を生じさせた者を知ることができないときは,刑法207条の適用により後行者は当該傷害についての責任を免れない。
② 他の者が先行して被害者に暴行を加え,これと同一の機会に,後行者が途中から共謀加担したが,被害者の負った傷害が共謀成立後の暴行により生じたとは認められない場合に,刑法207条の適用により後行者に対して当該傷害についての責任を問い得るのは,後行者の加えた暴行が当該傷害を生じさせ得る危険性を有するものであるときに限られる。
2021年2月号
1 最高裁令和2年3月6日判決の判示事項
・ 中間省略登記の方法による不動産の所有権移転登記の申請の委任を受けた司法書士に,当該登記の中間者との関係において,当該司法書士に正当に期待されていた役割の内容等について十分に審理することなく,直ちに注意義務違反があるとした原審の判断に違法があるとされた事例
2 最高裁令和2年3月19日判決の裁判要旨
・ 固定資産評価基準により隣接する2筆以上の宅地を一画地として認定して画地計算法を適用する場合において,各筆の宅地の評点数は,画地計算法の適用により算出された当該画地の単位地積当たりの評点数に,各筆の宅地の地積を乗ずることによって算出される。
3 最高裁令和2年3月24日判決の裁判要旨
・ 家屋の評価の誤りに基づきある年度の固定資産税及び都市計画税の税額が過大に決定されたことによる損害賠償請求権に係る民法724条後段所定の除斥期間は,当該年度の固定資産税等に係る賦課決定がされ所有者に納税通知書が交付された時から進行する。
4 最高裁令和2年7月30日判決の判示事項
・ ストーカー行為等の規制等に関する法律2条1項1号にいう「住居等の付近において見張り」をする行為の意義
2021年1月号
1 最高裁令和2年2月28日判決の裁判要旨
・ 被用者が使用者の事業の執行について第三者に損害を加え,その損害を賠償した場合には,被用者は,使用者の事業の性格,規模,施設の状況,被用者の業務の内容,労働条件,勤務態度,加害行為の態様,加害行為の予防又は損失の分散についての使用者の配慮の程度その他諸般の事情に照らし,損害の公平な分担という見地から相当と認められる額について,使用者に対して求償することができる。
2 最高裁令和2年3月30日判決の裁判要旨
・ 歩合給の計算に当たり売上高等の一定割合に相当する金額から残業手当等に相当する金額を控除する旨の定めがある賃金規則に基づいてされた残業手当等の支払につき,時間外労働等に伴い発生する残業手当等の額がそのまま歩合給の減額につながり,歩合給が0円となることもあるなど判示の事情の下では,これにより労働基準法37条の定める割増賃金が支払われたとはいえない。
3 最高裁令和2年2月25日決定の裁判要旨
・ 高等裁判所がした控訴取下げを無効と認め訴訟手続を再開・続行する旨の決定に対しては,これに不服のある者は,3日以内にその高等裁判所に異議の申立てをすることができる。


第2 関連記事その他
1 最高裁判所調査官の解説は以下の順番で発行されます。
① ジュリスト(月刊誌)の「時の最高裁判例」
② 法曹時報(月刊誌)の「最高裁判所判例仮設」
③ 最高裁判所判例解説(単行本)
2 以下の記事も参照してください。
・ 最高裁判所判例解説
・ 最高裁判所調査官
・ 歴代の最高裁判所首席調査官
・ 歴代の最高裁判所民事上席調査官
・ 歴代の最高裁判所刑事上席調査官
・ 歴代の最高裁判所行政上席調査官
・ 最高裁判所調査官室が購入した書籍のタイトル
・ 最高裁判所の職員配置図(平成25年度以降)


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