出向経験のある判事補が判事になるタイミング

目次

1 行政機関等への出向経験者の場合
2 在外公館又は預金保険機構への出向経験者の場合
3 明治憲法時代の取扱い

1 行政機関等への出向経験者の場合

(1) 任官時からずっと判事補のままだった裁判官の場合,判事補新任日から10年で任期が満了します。
   これに対して,行政機関等に出向したり(身分上は検事です。),弁護士職務経験をしたり(身分上は弁護士です。)した後に判事補に復帰した裁判官の場合,復帰したときから10年間が判事補の任期になりますから,判事補新任日から10年で任期が満了するわけではないです。
   しかし,判事補,検事及び弁護士の経験期間の合計が10年であっても判事就任資格があります(裁判所法42条2項)。
   そのため,判事になるタイミングは同じになります。
(2) 衆議院法制局参事をしていた人の場合,同期と同じタイミングで判事になります(判事補の職権の特例等に関する法律3条の3・裁判所法42条2項)。
(3) 判事の任命資格について定める裁判所法42条2項は,「前項の規定の適用については、三年以上同項各号に掲げる職の一又は二以上に在つた者が裁判所事務官、法務事務官又は法務教官の職に在つたときは、その在職は、これを同項各号に掲げる職の在職とみなす。」と定めています。

2 在外公館又は預金保険機構への出向経験者の場合

(1) 在外公館又は預金保険機構に出向している場合,検事の身分すらありません(在外公館への出向の場合,35期の今崎幸彦裁判官のように例外的に検事の身分を有することがあります。)から,出向期間の分だけ判事就任資格の獲得が遅れます。
    この場合,簡裁判事の身分に基づいて判事に任官した同期と同じ報酬をもらっていると思われるのであって,例えば,35期の今崎幸彦裁判官の場合,平成3年5月16日から平成6年3月31日までは京都簡裁判事を本官として京都地裁判事補を兼官としていましたし,同年4月1日から平成7年5月26日までは東京簡裁判事を本官として東京地裁判事補を兼官としていて,同年5月27日から東京地裁判事だけの身分を持つようになりました。
(2) 裁判官が外務省に出向する際,どのような場合に検事兼外務事務官の身分を取得した上での出向扱いとなり,どのような場合に裁判官を依願退官して外務事務官の身分を取得した上での出向扱いとなるかが分かる文書は,外務省には存在しません(平成27年度(行情)答申第62号(平成27年5月21日答申))。

3 明治憲法時代の取扱い

・ 明治憲法時代,10年以上裁判官の経験があれば大審院判事の任命資格を取得しましたし(裁判所構成法70条),5年以上裁判官の経験があれば控訴院判事の任命資格を取得しました(裁判所構成法69条)。