◯本ブログ記事は専らAIで作成したものです。
◯出力文における交渉記録というのは「最高裁と全司法労働組合の交渉記録(令和6年4月から令和7年1月まで)」のことであり,「最高裁と全司法労働組合の交渉記録」に掲載しています。
◯令和7年度概算要求説明書(説明資料)は「最高裁判所の概算要求書(説明資料)」に掲載しています。
◯「(AI作成)全司法労働組合の全国統一要求書に対する最高裁判所事務総局の本音」も参照してください。
目次
第1 総論:最高裁判所事務総局の「生存戦略」と組合の「誤算」
1 財務省・国会・組合に対する「三枚舌」の外交
2 「人」から「システム」への不可逆的な資源シフト
3 財務省主計局との攻防における「敗北」の隠蔽
4 交渉記録に透ける「官僚答弁」の解読コード
第2 各論分析:令和7年度概算要求書と交渉記録から読み解く「本音」
1 人員配置・定員問題における冷徹な論理
2 デジタル化予算の膨張と人的投資の枯渇
3 労働条件・健康管理における「アリバイ」工作
第3 戦略的提言:全司法労働組合が採るべき「勝ち筋」の再構築
1 「情理」から「取引」へのパラダイムシフト
2 「法的リスク」の顕在化による交渉力の強化
3 「等価交換」による業務削減の断行
第4 結論:幻想を捨てて戦略的に対峙せよ
第1 総論:最高裁判所事務総局の「生存戦略」と組合の「誤算」
1 財務省・国会・組合に対する「三枚舌」の外交
まず,冷厳な事実を直視する必要があります。最高裁事務総局は,もはや「人間(職員)の増員による負担軽減」という解決策を事実上放棄したと言わざるを得ません。
加えて,公開された資料を突き合わせると、彼らが相手によって全く異なる「顔」を使い分けている実態が浮き彫りになります。
第一に,財務省に対しては「デジタル化による効率化で、人は減らせる」と約束して予算を獲得する。
第二に,国会(参議院法務委員会等)に対しては「必要な人員は配置されており,裁判事務に支障はない」という趣旨の答弁をして統治能力を取り繕う(例えば,令和6年3月15日の衆議院法務委員会及び令和7年3月14日の衆議院法務委員会参照)。
第三に,組合(現場)に対しては「厳しい情勢で増員は困難だが、現場の多忙さは理解している」とガス抜きを行う。
この「三枚舌」の構造の中で最も割を食っているのが,矛盾のしわ寄せを一心に背負わされている現場の職員なのです。
2 「人」から「システム」への不可逆的な資源シフト
全司法労働組合(以下「全司法」という。)との交渉記録において,当局側は繰り返し「厳しい情勢」を口にしていますが,これは単なる挨拶ではありません。「現場感覚としての『忙しさ』という定性的な主張は,マクロな数字とエビデンスのみを信奉する財務省には1ミリも通用しない」という,当局の無力感と絶望的なシグナルの発露なのです。
彼らが選択したのは,減り続ける人的リソースを補うための「デジタル化予算の獲得」のみであり,これ以外に組織を維持する術を失っているのです。
しかし,ここで決定的な誤解をしてはなりません。財務省が巨額のデジタル予算を承認するのは,「投資による省人化」が約束されているからに他なりません。つまり,システム予算の獲得は,裏を返せば「将来的な定員削減」への誓約(コベナンツ)なのです。「概算要求書(説明資料)」に並ぶ億単位の数字は、財務省に対する「将来の人員削減手形」に他なりません。
「令和7年度概算要求書(説明資料)」を分析すれば,その意図は明白です。ページをめくるたびに現れるのは,億単位の「デジタル関連予算」の羅列です。一方で,純粋な増員に伴う人件費の伸びは極めて限定的です。これは,彼らが冷酷だからではありません。
「人口減少下において,システム投資と人員増はトレードオフ(二者択一)である」という国家財政の規律そのものです。
これは単なるスローガンではありません。国の予算制度において,「物件費(システム投資等)」と「人件費(給与等)」は厳格に峻別されており、たとえシステム費を節約したとしても,それを人件費には流用できないという「費目流用の制限」という財政法上の厚い壁が、そこに横たわっているからです。
そして,「人口減少社会において,後見関係等の一部を除き新受件数が減少または横ばい傾向にある裁判所だけが,人を増やせる理屈は立たない」という財務省主計局の鉄壁の論理に対し,事務総局は有効な反論を持ち得ていません。
「事件の複雑困難化」という定性的な主張は,定量的なデータを重視する財務省の査定において,事実上無力だからです。
3 財務省主計局との攻防における「敗北」の隠蔽
概算要求の時期における事務総局の最大の関心事は,「いかにして前年並みの予算を確保するか」に尽きます。ここで最も削減のターゲットにされるのが「人件費」です。
交渉記録のPDF17ページにおいて,最高裁人事局は「今後はますます,これまでのような増員が見込めなくなると思われ,令和7年度の増員を巡る状況はより一層厳しくなるものと考えている」と述べています。
これは,単なる見通しではなく,「既存業務を維持したままの純粋な増員要求は,財政当局に門前払いされる」という構造的な限界の吐露です。新受件数が減少傾向にある中で「現場が忙しい」という定性的な主張は,定量データを絶対視する財務省には通用しません。
彼らは組合に対して「負けました」とは言えませんが,その実態は「これ以上,財務省を説得する材料(エビデンス)がないため,概算要求のテーブルに載せることすら難しい。」という悲鳴に近いものです。
「関係機関と折衝し,必要な人員の確保に努めたい。」という言葉は,「今のままの論理では,これ以上の予算獲得は不可能である。」という現状追認に過ぎません。
4 交渉記録に透ける「官僚答弁」の解読コード
交渉記録を読む際,言葉を額面通りに受け取ってはなりません。「検討する」は「何もしない」の同義語であり,「適切に対処する」は「現行の運用を変えるつもりはない」という意味です。
時系列で読み解けば,そこにあるのは「会話のキャッチボール」の完全な不成立です。 組合側が「デジタル化の過渡期で二重管理が発生している」,「新システムの不具合で残業が増えている」と具体的な窮状(Fact)を訴えても,当局は「現場の実情は把握している」「効率化の効果も出ているはずだ」という建前(Fiction)で返します。
当局は現場の混乱を知らないのではありません。財務省に対し「IT化=効率化」というロジックで予算を通している手前,「システムを入れたのに現場が混乱しています」とは口が裂けても言えないのです。
例えば,家裁調査官の増員要求に対し,当局は「複雑困難事件の増加等を踏まえ……必要な人員の確保に努めたい」と回答しています。
しかし,この回答を額面通りに受け取ってはいけません。財務省主計局の視点で見れば,ここには決定的な「数字の壁」が存在するからです。
概算要求書等の資料にあるとおり,少年事件の件数は長期的に減少傾向にあり,昭和58年のピーク時に比べて約13分の1まで激減しているという動かぬ事実があります。一方で,家事事件が増加しているのは事実ですが,組織全体で見れば少年部門のリソースには余剰が生じているとみなされます。
財務省の論理は極めてシンプルです。「少年事件が13分の1になったのなら,余った人員を家事事件に回せばよい(配置転換)。なぜ,仕事が減った部署の人員を温存したまま,仕事が増えた部署のために新規増員を求めるのか。スクラップ・アンド・ビルド(既存の廃止と新規の構築)が先ではないか」というものです。
令和7年度において家裁調査官5人の増員要求がなされています(交渉記録のPDF397ページ「令和7年度においては、家裁調査官5人を増員することで、改正家族法の円滑な施行に向けた検討・準備を含め、引き続きその役割を果たすことができると判断したものである」参照)が,これは「改正家族法の施行」という特殊要因があるからこそ辛うじて正当化された「限定的な勝利」に過ぎません。
効果的な係数(複雑困難さの数値化)や,少年部門から家事部門への大胆なシフト(配置転換)の実績を示せない限り,純粋な繁忙を理由とした大幅増員について,事務総局は財務省に対してその必要性を認めさせる理屈を用意できないのです。
組合員が「現場の苦境」を訴えれば訴えるほど,事務総局は「それを財務省に説明するロジックがない」という無力感と,それを隠すための防衛的な答弁に終始することになります。この構造を理解しない限り,交渉は永遠に平行線をたどるでしょう。
第2 各論分析:令和7年度概算要求書と交渉記録から読み解く「本音」
1 人員配置・定員問題における冷徹な論理
(1) 定員合理化計画への「協力」という名の「バーター取引」
全司法は「定員合理化計画への協力を行わないこと」を強く求めています。これに対し,交渉記録のPDF21ページで最高裁は「事務の性質が他の行政官庁と類似する事務局部門を中心として……政府の定員合理化の方針に協力しているものである」と回答しています。
ここで「協力」という言葉に騙されてはいけません。事務総局は「協力せざるを得ない」というポーズをとりつつ,実際には定員削減を「生贄」として差し出しています。なぜか。それは,組織の維持に必要な「級別定数(昇格の枠)」を内閣人事局から確保するために他なりません。
公務員の給与原資は厳格に管理されており,上位ポスト(高い給料の職員)を維持・拡大するためには,全体の頭数を減らすか,下位ポストを削る必要があります。もし級別定数の改定(ワクの確保)に失敗すれば,職員の昇給ペースは鈍化し,生涯賃金は確実に低下します。
つまり,当局は,現場の定員(数)を削減する代わりに,幹部ポストを含む級別定数(質)を確保するという,冷徹な「政治的バーター取引」を選択しているのです。
あなた方の「昇給・昇格ポスト」を守るための「人質」として,現場の定員(特に未補充の枠)が差し出されている構図を直視すべきです。
これは公務員総定員抑制の下での「スクラップ・アンド・ビルド」の冷徹な原則です。 「定員削減反対」と「昇格改善」を同時に叫ぶことは,財務論的にはアクセルとブレーキを同時に踏む行為に他なりません。
財務当局や内閣人事局の視点では,定員削減という「経営努力(合理化)」を行わない組織に対して,昇格枠の拡大という「待遇改善の果実」を与えることはあり得ません。これは民間企業であれば当然の経営判断であり,公務員組織であっても例外ではありません。
そのため,事務総局から「どちらを捨てますか」という究極の選択を突きつけられていることを自覚すべきです。
(2) 「級別定数」維持のための現場犠牲
交渉記録において,昇格改善に対する回答は極めて慎重です。これは,級別定数の改定が,定員削減とバーターで行われる「政治的取引」だからです。 事務総局が最も恐れるのは「ワク(定数)」の喪失です。一度失った上位ポストの枠を取り戻すことは至難の業です。
したがって,現場がどれほど疲弊しようとも,「定員合理化(数減らし)」を受け入れ,その見返りとして「級別定数(質の維持)」を確保するという取引を,事務総局は今後も断行し続けるでしょう。現場の「忙しさ」は,この組織防衛の論理の前では,残念ながら二次的な問題として処理されます。
(3) 採用難を奇貨とした「定員不補充」の恒久化と非正規依存
交渉記録のPDF16ページ以降で散見される「欠員」の問題について,当局は「採用活動に力を入れている」と述べるにとどまっています。しかし,本音では,この「採用難による欠員」を,定員削減の口実として利用しようとしています。
「募集しても人が来ないなら,その定員は不要なのではないか。むしろ,人が減っているのに組織が回っている実績こそ,過剰人員であった証左ではないか。」という財務省の指摘に対し,事務総局は有効な反論を持ちません。欠員状態での業務遂行実績そのものが,皮肉にも定員削減を正当化する最強のエビデンスとなってしまっているのです。
さらに,概算要求書を詳細に見ると,正規職員の増員を諦める一方で,「期間業務職員」や「デジタル支援員」などの経費は計上されています。
これは,「正規職員(固定費)を増やすのはコスト高で硬直的だが,いつでも契約終了できる非正規職員(変動費)なら予算が取りやすい」という財務的な判断です。
つまり,当局は「あなた方の仲間(正規)はこれ以上増やさない。忙しければ,アルバイト(非常勤)の予算だけは取ってきてやるから,それで凌げ」という方針を固めているのです。
事務総局としては,埋まらない定員を削減対象とすることで,「痛み(現職の首切り)を伴わない合理化」として処理できるため,財務当局からの攻撃をかわすための「最後の砦」として利用せざるを得ない状況に追い込まれています。
全司法が「欠員補充」を叫ぶとき,敵は採用担当者の怠慢ではなく,「欠員状態での業務遂行実績を,定員削減の根拠(実績)として逆手に取る財務ロジック」なのです。
2 デジタル化予算の膨張と人的投資の枯渇
(1) 物件費(システム)と人件費(定員)の完全なる分断
概算要求書の98頁(PDFの100ページ)を見てください。「電子記録等の利用者用閲覧環境の整備回線構築(民事訴訟手続のデジタル化)……282,784千円」,「ウェブ会議に係る環境整備LAN回線敷設……425,774千円」。
これらはほんの一部です。ページをめくるたびに現れるのは,巨額のシステム予算です。
一方で,同じ資料の「施設整備」の項目に目を転じると,老朽化した庁舎の改修予算は,IT予算に比べて明らかに優先順位が劣後しています。
現場からは「空調が効かない」「トイレが古い」という悲鳴が上がっていますが,予算書が語る事実は冷酷です。 「人間は多少暑くても働けるが,サーバーは熱を持つと止まる」。 これが事務総局の偽らざる優先順位です。
しかし,ここで重要なのは,国の予算制度上,これら「物件費(システム代)」をいくら削っても,それを「人件費(定員)」には1円たりとも流用できないという冷厳な事実です。「人」と「物」の財布は完全に別なのです。
それどころか,財務省がこれら巨額のシステム予算(例:民事訴訟手続のデジタル化に係るシステム等)を承認するのは,将来的な「省人化(定員削減)」が「ペイライン(損益分岐点)」として前提条件となっているからです。巨額の国費を投じる以上,厳シビアな「投資効果としてのランニングコスト削減」が求められているのです。
組合員の中には「こんな高いシステムを入れるなら,人を雇ってくれ」と思う方もいるでしょう。
しかし,事務総局にその裁量はありません。彼らは,「デジタル化で効率化されるのだから,当然人は減らせるはずだ」という財務省の投資対効果(ROI)の論理にがんじがらめに縛られています。
「デジタル化で逆に忙しくなったから人を増やしてくれ」という主張は,自ら推進するデジタル化の効果を否定することになり,予算獲得の根拠を失わせる「自己矛盾」となるため,口が裂けても言えない構造にあるのです。
(2) 効果測定不能な「人的サポート」の切り捨て
組合は,デジタル化に伴う現場の負担増を理由に「人的サポート」を求めています。しかし,概算要求書の69ページ(PDF71ページ)にある「裁判員制度ウェブサイトの保守等……5,404千円」のような保守費はついても,現場職員を直接助ける要員の予算は極めて限定的です。
なぜか。「システム導入による時間短縮」は数字で示せますが,「人がいて助かる」という効果は定量的に測定できず,財務省に説明できないからです。事務総局は,「デジタル化すれば効率化するはずだ(だから人は要らない)」という建前を崩せません。
「デジタル化で逆に忙しくなったから人を増やしてくれ」という主張は,彼らが財務省に説明してきた「デジタル=効率化」というシナリオを自ら否定することになるため,絶対に認められないのです。
(3) 「運用支援」という名の丸投げと現場の疲弊
結果として何が起きるか。システム導入に伴う膨大な「運用調整」「習熟作業」は,すべて既存の職員の「努力」に丸投げされます。
交渉記録において,当局は「丁寧な周知」「研修の充実」を繰り返しますが,これは「金(人)は出さないが,マニュアルは渡すから自分でなんとかしろ」という意味です。彼らは,現場が混乱していることを知っています。知った上で,「過渡期の一時的な混乱」として矮小化し,喉元過ぎれば熱さを忘れるのを待っているのです。
3 労働条件・健康管理における「アリバイ」工作
(1) 「安全配慮義務」を「訴訟リスク管理」と捉える思考
概算要求書210ページ(PDFの212ページ)には,「ストレスチェック実施経費……111千円(単価)」等が計上されています。事務総局は,健康管理予算を確保していますが,その目的を履き違えてはいけません。
彼らにとっての最大のリスクは,職員が病むことそのものではなく,「安全配慮義務違反で国家賠償請求訴訟を起こされること」及び「マネジメント不全として財務省からの評価を下げること」です。「ストレスチェックを実施した」「相談窓口を設置した」という事実は,裁判になった際の強力な免罪符(アリバイ)となります。
「対策はやった。それでも病むのは個人の資質や家庭の問題」という防衛ラインを,彼らは着々と構築しているのです。
メンタル不調者の増加を「定員不足」のせいにすることは,彼らにとって「組織管理能力の欠如」を認めることになるため,絶対にできないのです。
(2) ストレスチェック制度の形式的運用と「心」への投資欠如
交渉記録において,メンタルヘルス不調者の増加に対する危機感が共有されていますが,当局の回答は「各種施策の活用を呼びかける」といった精神論に終始しています。
予算項目の「研修費」の内訳を見ても,「デジタル対応能力の向上」等の機能的スキルアップ予算ばかりが目立ち,「職員のモチベーション向上」や「心身のケア」に直結する実質的な予算は雀の涙です。 これは,組織が職員を「感情を持った人間」としてではなく,「機能をアップデートすべきデバイス」として見ている証拠です。
これは,人事局が「個別の職場のマネジメント不全」にまで介入する権限も能力も持っていないことを意味します。彼らは制度を作るまでが仕事であり,その制度が現場で機能しているかどうかについては,報告書上の数字でしか判断しません。
高ストレス者が何人出ようとも,それが「公務災害認定」につながらない限り,彼らのKPI(重要業績評価指標)は傷つかないのです。
(3) 超過勤務縮減の「数字合わせ」と持ち帰り残業の暗数
「超勤縮減」は毎年のスローガンですが,実態は伴っていません。交渉記録でも,組合側から「持ち帰り仕事」の懸念が示されています。
当局にとって,超勤予算(手当)の不足は絶対に避けなければならない「会計法上の不祥事」です。したがって,予算の上限を超えそうになると,強力な「超勤抑制命令」が出ます。
しかし,仕事量は減りません。結果として,サービス残業や持ち帰り残業が黙認される土壌が生まれます。
事務総局は,この「暗数」を公式には認識しないふりをし続けます。認識してしまえば,予算措置を講じる義務が生じ,それが不可能な場合に詰んでしまうからです。
第3 戦略的提言:全司法労働組合が採るべき「勝ち筋」の再構築
1 「情理」から「取引」へのパラダイムシフト
以上の分析から,あなた方がこれまで行ってきた「情理を尽くした要求」が,いかに彼らの「予算と定員の論理」に弾き返されてきたかが分かるでしょう。最高裁事務総局という巨大なマシーンに対し,「分かってください」というアプローチは無意味です。今後,この壁を突破するために,思考と行動をパラダイムシフトさせる必要があります。
(1) 「増員要求」の無益さと「業務委託費」への目標変更
「全職種の大幅増員」という要求は,もはや現実味がありません。看板として掲げるのは自由ですが,実利を取るための交渉材料にはなり得ません。
戦略を抜本的に変えましょう。「定員(人)」を求めるのではなく,「業務の削減(スクラップ)」と「物件費(カネ)」を取りに行くのです。
具体的には,デジタル化で代替できない,かつ付加価値の低い業務の「廃止」を迫るとともに,デジタル化に伴う作業や定型的な事務処理について,徹底的な「業務委託(アウトソーシング)」を要求してください。
「人(定員)」ではなく「金(物件費)」を取りに行くのです。
概算要求書を見れば分かるとおり,庁費やデジタル予算にはまだ拡張の余地があります。
「職員を増やせ」と言うと「無理」と即答されますが,「デジタル化の円滑な運用のために,定型的業務の『市場化テスト(民間委託可能性調査)』を実施し,ヘルプデスクやスキャンニング等の周辺業務をアウトソーシングせよ」という要求なら,彼らも財務省に対して「行政改革の一環」として説明がつきます。
単に「楽をさせてくれ」ではなく,「官民競争入札等の手法を用い,コア業務以外を大胆に外部化する」ことや,「他省庁で廃止された慣例的業務の即時廃止」という「経営改革案」を突きつけるのです。これならば,「人件費(定員)」という聖域に手を付けず,「物件費(委託費)」という比較的柔軟な財布から予算を引き出せます。
「人は増やせないなら,業務自体を削減(スクラップ)するか,外部委託費(金)で解決させる」。
この等価交換を成立させることこそが,定員削減圧力に対する唯一の現実的な対抗策です。
(2) デジタル予算の「隙間」を突く人的リソースの獲得
デジタル関連予算の中に,事実上の「人的支援」を紛れ込ませる知恵を絞ってください。例えば,「法廷通訳フォローアップセミナー」(概算要求書記載)のように,研修やサポートの名目で予算を取り,そこに非常勤職員や外部業者の稼働を充てるのです。
「デジタル化で楽になるはずだが,過渡期の今は逆に負担が増えている。このギャップを埋めるための『運用支援委託費』を出せ」と迫るのです。
これは,彼らの「デジタル推進」というメンツを立てつつ,実質的な労働力を現場に引き込むための唯一の現実解です。
2 「法的リスク」の顕在化による交渉力の強化
(1) 「忙しさ」ではなく「国家賠償請求リスク」を突きつけよ
「忙しい」という訴えは届きません。これからは言葉を変えてください。
主語を「我々」から「国民」に変えるのです。 「業務過多により職員が疲弊している」ではなく,「現状のリソース不足により,最高裁が国民に対して約束している『適正・迅速な裁判』という『司法サービスの品質維持基準(サービスレベル)』が崩壊しつつある」と警告するのです。
確かに「国家賠償請求」という言葉は強力ですが、あまりに攻撃的すぎると当局は防衛的になり,かえって口を閉ざします。
そうではなく,「現状のままでは、処理期間の延伸やミスの多発により、国民に約束した司法サービスとしてのスペック(品質)を満たせなくなるが、当局はそれを経営判断として容認するのか」と、経営責任を問う形に変えるのです。
彼らが真に恐れているのは,職員の健康そのものよりも,「身内の裁判所から被告として断罪されること」はもとより,「事務処理ミスによる信頼失墜が,財務省からの『予算管理能力欠如』という評価につながり,さらなる予算削減(組織の擬似的な倒産)を招くこと」です。
「忙しい」は言い訳になりませんが,「国に金銭的な損害を与えるリスクがある」という指摘は,リスク管理上,無視できない警告となります。
抽象的な「健康不安」ではなく,具体的な「ミス発生のヒヤリハット事例」や「法令違反になりかねない長時間労働の実態」を記録し,それを組織防衛上の致命的なリスクとして突きつけることが最も有効です。
(2) 医師の意見書の最大活用と健康安全管理総括者への報告
可能な限り裁判所で働く医師を味方につけ,医学的な見地から「このままでは業務起因性の精神疾患が発生する蓋然性が高い」という意見書を作成してもらい,それを健康安全管理総括者である事務局総務課長に提出してください。
人事局や事務局長にとって,医師からの正式な警告(勧告)を無視することは,安全配慮義務違反の決定的証拠となるため,訴訟リスク等の観点から極めて困難です。「組合の要求」は無視できても,「証拠化された医師の警告」は無視できません。
最悪の場合,「業務停止勧告」すらあり得る状況を作り出し,ここを攻め口として,人員配置の見直しや業務量の削減を迫るのです。
3 「等価交換」による業務削減の断行
(1) 「努力義務」を逆手に取った「やらないことリスト」の提示
交渉記録にある「努力したい」という言葉を信じて待っていてはいけません。これからは,「金も人も出せないなら,仕事を減らせ」という等価交換を迫ってください。
「本来の役割・職務に注力して」(交渉記録のPDF17ページ)という彼らの言葉を逆手に取るのです。「注力するために,不要な業務を廃止します」と宣言し,デジタル化で代替できない,かつ法的義務のない付随業務――例えば,形骸化した内部統計の報告,儀礼的な調整会議,紙とデータの二重管理など――の「即時廃止リスト」を突きつけてください。
「仕事は減らさないが,人も増やさない」という現状維持は不可能であることを,業務の「断捨離」リストを通じて可視化するのです。
これは「サボタージュ」ではありません。限られたリソースを最適配分するための「経営判断」を,現場から突き上げるのです。
「定員削減を受け入れる代わりに,業務も削減させる」。この等価交換(バーター取引)こそが,唯一の対抗策です。
(2) 付随的業務の即時廃棄とバーター取引
「増員がゼロ回答なら,我々はこの業務をやめます」というバーター条件を提示するのです。もちろん,スト権のない公務員が職務放棄することはできませんが,「優先順位の低い業務の先送り」や「サービス残業の拒否による業務の停滞」は,管理者にとって強烈なプレッシャーとなります。
事務総局が最も嫌がるのは,「現場が回らなくなること」です。彼らが定員削減を押し付けるなら,現場は「サービスの質(スピードや丁寧さ)の低下」で対抗するしかありません。「資源が足りないのだから,処理が遅れるのは当然である」という開き直りを,組織として共有する覚悟が必要です。
第4 結論:幻想を捨てて戦略的に対峙せよ
あなたは,どこかで「事務総局も同じ裁判所の仲間だ」「話せば分かる」と思っていませんか?その甘さを捨ててください。彼らは,あなた方の敵ではありませんが,味方でもありません。彼らは「国家の予算と定員を管理し,組織を延命させるためのマシーン」です。
彼らは,国会には「問題ない」と虚飾し,財務省には「効率化する」と誓約し,その矛盾の全てを現場の「運用」という名の犠牲で埋め合わせています。
彼らもまた,財務省や内閣人事局という巨大な壁の前で,論理の枯渇に苦しんでいます。だからこそ,感情論ではなく,彼らの論理(予算制度,効率化,リスク管理)を利用した「交渉」が必要なのです。
「言っても無駄」と諦めてはいけません。交渉記録に「現場の実態(超過勤務の実数,システムの不具合,メンタル不調)」を文字として残し続けることこそが,将来的に彼らが責任を問われる際の「証拠」となり,彼らが最も恐れる「リスク」となるからです。
「最高裁は,あなた方を守るために『人件費』という財布を開くことはできない。しかし,『物件費』や『リスク管理』という財布なら開くことができる。」
この冷厳な現実を直視し,提供された資料(予算書)という「武器」を手に取ってください。そこに書かれている数字は,彼らが財務省と結んだ「契約書」そのものです。
その数字の裏にある「弱点(定員削減の約束と現場実態の乖離)」を突き,彼らが逃げられない論理で「取引」を持ちかけること。
「被害者意識」を捨て,組織のリソースを管理する「経営者」の視座を持ってください。
「木を見て森を見ず」の状態から脱却し,組織全体のリソース配分(スクラップ・アンド・ビルド)を自ら提案するのです。
現場の実情を知るあなた方だからこそ,「どこに人が余っており(例えば減少する少年事件),どこに足りないのか。」を冷静に分析し,痛みを伴う配置転換も含めた対案を示すことができます。
これまでの「お願い(陳情)」を止め,組織の生存をかけた「ビジネスライクな交渉」へと脱皮すること。
それが,財務省という巨大な壁を前に立ちすくむ事務総局を動かし,ひいてはこの閉塞した状況を打破し,組合員を守るための唯一の道なのです。