目次
1 労働者派遣法の沿革
2 労働者派遣の禁止業務
3 労働者供給事業の原則禁止
4 労働者派遣契約
5 紹介予定派遣
6 厚生労働省HPの説明
7 労働者派遣と在籍型出向との差異
8 関連記事その他
1 労働者派遣法の沿革
・ ①労働者派遣法が施行された昭和61年当時,労働者派遣業の対象業務は専門知識が必要な13業務(ただし,施行後直ちに3業務が追加されて16業務)とされていて,②平成8年に10業務が追加されて26業務となり,③平成11年に対象業務が原則として自由化され(「対象業務のネガティブリスト化」といいます。),④平成16年に製造業務への派遣解禁及び派遣期間の延長があり,⑤平成24年に日雇い派遣の原則禁止があり,⑥平成27年に派遣期間の上限の3年統一及び労働者派遣事業の許可制への統一があり,⑦令和2年に同一労働同一賃金が導入があり,⑧令和3年に派遣労働者への説明義務の強化がありました(アデコHPの「労働者派遣法とは? 改正の歴史や罰則まで押さえるべきポイントをまとめて解説」参照)。
2 労働者派遣の禁止業務
(1) 労働者派遣の禁止業務としては,港湾運送業務,建設業務,警備業務があり(労働者派遣法4条1項),労働者派遣の原則禁止業務としては病院等における医療関連業務があります(労働者派遣法施行令2条)。
(2) 厚生労働省HPの「労働者派遣事業を行うことができない業務は・・・」には「2 その他労働者派遣事業ができない業務等」として以下の記載があります。
◯ 次の業務は、当該業務について定める各法令の趣旨から、労働者派遣事業を行うことはできません。
① 弁護士、外国法事務弁護士、司法書士、土地家屋調査士の業務
② 公認会計士、税理士、弁理士、社会保険労務士、行政書士の業務(それぞれ一部の業務を除きます。)
③ 建築士事務所の管理建築士の業務
◯ 人事労務管理関係のうち、派遣先において団体交渉又は労働基準法に規定する協定の締結等のための労使協議の際に使用者側の直接当事者として行う業務は、法第25条の趣旨に照らして行うことはできません。
◯ 同盟罷業(ストライキ)若しくは作業所閉鎖(ロックアウト)中又は争議行為が発生しており、同盟罷業や作業書閉鎖に至るおそれの多い事業所への新たな労働者派遣を行ってはなりません。(法第24条、職業安定法第20条)
◯ 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者派遣をすることはできません。(法第58条)
3 労働者供給事業の原則禁止との関係
(1) リクルートスタッフィングHPの「労働者派遣法①|わかりやすく解説「派遣法」の歴史【前編1986〜2004】」には「強制的な労働や搾取が横行した人材ビジネス」として以下の記載があります。
江戸時代から戦前までの労働者供給は「人貸し」「組請負」などと呼ばれ、供給業者による労働者の不当な支配が伴っていました。雇用関係や責任所在が曖昧だったため、劣悪な労働環境や供給元による賃金の搾取(いわゆるピンハネ)といった問題が蔓延します。これらの問題を受け、戦後1947年に公布された職業安定法第44条により、「労働者供給事業」は原則として禁止されるに至りました。
(2) 大阪労働局HPの「労働者派遣事業の概要」には以下の記載があります。
労働者派遣事業は、昭和61年の労働者派遣法の施行に伴い改正される前の職業安定法第44条によって労働組合が厚生労働大臣の許可を受けて無料で行う場合を除き、全面的に禁止されていた労働者供給事業(下図 i. 参照)の中から、供給元と労働者との間に雇用関係があり、供給先と労働者との間に指揮命令関係しか生じさせないような形態を取り出し、種々の規制の下に適法に行えることとしたものです。
4 労働者派遣契約
(1) 派遣元である派遣会社と労働者を派遣してもらう派遣先は労働者派遣契約を締結する必要がありますところ,派遣契約には労働者派遣法26条及び労働者派遣法施行規則22条所定の事項を定める必要があります。
(2) 労働者派遣契約には基本契約及び個別契約の2種類がありますところ,①基本契約書には料金(通常の派遣料金や派遣先都合による損害金など)やお互いが履行すべき義務(法令遵守や守秘義務),損害賠償に関する取り決め,禁止事項,知的所有権の帰属,契約解除に関する事項など,契約の基本となる内容を盛り込み,②個別契約書には業務内容や派遣期間,人数,就業日,就業時間,残業など,具体的な就業条件を盛り込みます(マネーフォワードクラウド契約の「労働者派遣契約法とは?個別契約と基本契約についてもご紹介」参照)。
5 紹介予定派遣
・ 紹介予定派遣の場合,派遣先の企業は直接雇用を前提にしていることを事前に明示する必要がありますし,就業前の書類選考や面接が認められていますし,派遣期間は6ヶ月だけですし,契約期間の途中に直接雇用に切り替えることができます(アデコHPの「紹介予定派遣とは?通常の派遣との違いとメリット」参照)。
6 厚生労働省HPの説明
(1) 平成24年10月1日,労働者派遣法の正式名が「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」から「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に改正され,法律の目的にも,派遣労働者の保護のための法律であることが明記されました(厚生労働省HPの「労働者派遣法が改正されました」参照)。
(2) 厚生労働省HPの「平成27年労働者派遣法の改正について」には以下の記載があります。
派遣労働という働き方、およびその利用は、臨時的・一時的なものであることを原則とするという考え方のもと、常用代替を防止するとともに、派遣労働者のより一層の雇用の安定、キャリアアップを図るため、労働者派遣法が改正されました(「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律」平成27年9月11日成立、平成27年9月30日施行)。
(3) 厚生労働省HPの「派遣労働者の同一労働同一賃金について」には以下の記載があります。
働き方改革関連法による改正労働者派遣法により、派遣元事業主は、
1「派遣先均等・均衡方式」(派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇の確保)、
2「労使協定方式」(一定の要件を満たす労使協定による待遇の確保)
のいずれかの待遇決定方式により派遣労働者の待遇を確保することとされ、令和2年4月1日に施行されました。
7 労働者派遣と在籍型出向との差異
・ 厚生労働省HPの「労働者派遣と在籍型出向との差異」には以下の記載があります。
◯ いわゆる出向は、出向元事業主と何らかの関係を保ちながら、出向先事業主との間において新たな雇用契約関係に基づき相当期間継続的に勤務する形態である。
◯ 在籍型出向については、出向元事業主との間に雇用契約関係があるだけではなく、出向元事業主と出向先事業主との間の出向契約により、出向労働者を出向先事業主に雇用させることを約して行われていることから、労働者派遣には該当しない。
◯ しかし、在籍型出向の形態は、労働者供給に該当するので、その在籍型出向が「業として行われる」場合には、職業安定法第44条により禁止される労働者供給事業に該当する。
◯ 在籍型出向のうち、
①労働者を離職させるのではなく、関係会社において雇用機会を確保する
②経営指導、技術指導の実施
③職業能力開発の一環として行う
④企業グループ内の人事交流の一環として行う
等の目的を有しているものについては、出向が行為として形式的に繰り返し行われたとしても、社会通念上業として行われていると判断し得るものは少ないと考えている。
8 関連記事その他
(1) 労働者派遣の形態としては,有期雇用派遣,無期雇用派遣及び紹介予定派遣があります。
(2)ア プログラミング道場HPに「損保ジャパンの配置転換に至るまでの経緯【それってリストラ?】」が載っていて,日刊ゲンダイHPに「損保ジャパン社員「介護へ配置転換」次はあなたの会社かもしれない」(2019年7月2日付)が載っています。
(3)ア 厚生労働省HPの「労働者派遣事業に係る法令・指針・疑義応答集・関連情報等」には例えば,以下の資料が載っています。
・ 労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド
・ 労働者派遣と請負により行われる事業との区分に関する基準を定める告示
・ 「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(37号告示)関係疑義応答集
・ 派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針
・ 派遣先が講ずべき措置に関する指針
イ RELO総務人事タイムズHPに「労働者派遣法の概要と改正の歴史|企業が気をつけたいポイントとは?」が載っています。
(4) 以下の記事も参照してください。
・ 労働基準法に関するメモ書き
働きながら勉強していると、勤務時間で時間が削られることよりも、仕事のストレスとかで勉強しようとしている時に仕事のことを考えてしまって勉強に集中できない問題の方が大きかったです
時給よりもストレスのない職場を選ぶことの方が大切だと思います— ミスラ|司法試験5回目合格 (@mithra_law) November 21, 2022
たまに社内弁護士の方が社内の労働問題の相談や案件等に参加されることがあるのですが、何というか半歩・一歩下がっているというか、気配を消しているというか微妙な雰囲気でなんとなくフェードアウトする場合が多いです。やはりなんとなく関わりたくないのだろうか、、 https://t.co/SqEeI2LgT0
— 向井蘭 (@r_mukai) January 25, 2023