労働基準法に関するメモ書き

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目次
1 労働条件通知書
2 賃金の減額
3 法定4帳簿
4 賃金支払の5原則
5 解雇
6 働き方改革
7 最高裁判所の平成25年度労働実務研究会の結果概要
8 関連記事その他

1 労働条件通知書
(1) 厚生労働省HPに「労働条件通知書」が載っています。
(2) NTTコムオンライン「給与明細の電子化 労働条件通知書の電子化で業務効率アップ」には以下の記載があります。
時間や手間をなるべくかけないように工夫し、「労働条件通知書兼雇用契約書」を作成する企業もあります。基本は労働条件通知書で作成し、書類の項目の1つに「そのほか」を設けるのです。「そのほか」の項目には、「社会保険の加入状況」「雇用保険の適用の有無」、そのほかに必要な事項の記載を加えます。さらに、日付や住所、名前などの署名欄スペースも作成して、雇用契約書としての役割も兼ねる書類にします。

2 賃金の減額
(1) 就業規則に定められた賃金や退職金に関する労働条件の変更に対する労働者の同意の有無については,当該変更を受け入れる旨の労働者の行為の有無だけでなく,当該変更により労働者にもたらされる不利益の内容及び程度,労働者により当該行為がされるに至った経緯及びその態様,当該行為に先立つ労働者への情報提供又は説明の内容等に照らして,当該行為が労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点からも,判断されます(山梨県民信用組合事件に関する最高裁平成28年2月19日判決)。
(2) 弁護士による労働問題総合サイト「労働条件の不利益な変更(賃金が減額の場合など)について」が載っています。


3 法定4帳簿
(1) 労働基準法令に基づく法定4帳簿は以下のとおりです。
① 労働者名簿(労基法107条)
・ 労働者の死亡・退職・解雇の日から3年間保存する必要があります。
② 賃金台帳(労基法108条)
・ 労働者の最後の賃金について記入した日から3年間保存する必要があります。
③ 出勤簿等(労基法109条)
・ 労働者の最後の出勤日から3年間保存する必要があります。
④ 年次有給休暇管理簿(労基法施行規則24条の7)
・ 平成31年4月1日以降に法定帳簿となりました。
(2)ア 使用者は,労働者名簿,賃金台帳及び雇入れ,解雇,災害補償,賃金その他労働関係に関する重要な書類を3年間保存しなければなりません(労働基準法109条・143条1項)。
イ 使用者は,年次有給休暇管理簿を,有給休暇を与えた期間の満了後3年間保存する必要があります(労働基準法施行規則24条の7・72条)。
(3) 社労士・行政書士はまぐち総合法務事務所HP「年次有給休暇管理簿【法定帳簿】」に,年次有給休暇管理簿の書式が載っています。

4 賃金支払の5原則
(1) 賃金支払の5原則は,①通貨で,②直接労働者に,③全額を,④毎月1回以上,⑤一定の期日を定めて支払わなければならないことをいいます(労働基準法24条)。
(2) 使用者は,労働者の同意を得た場合,労働者の預貯金口座に賃金を振り込むことができます(労働基準法施行規則7条の2第1項1号)。
(3) 労働基準法24条1項の趣旨に徴すれば,労働者が賃金の支払を受ける前に賃金債権を他に譲渡した場合においても,その支払についてはなお同項が適用され,使用者は直接労働者に対して賃金を支払わなければならず,その賃金債権の譲受人は,自ら使用者に対してその支払を求めることは許されません(最高裁令和5年2月20日決定。なお,先例として,最高裁昭和43年3月12日判決参照)。


5 解雇
(1) 労働基準法20条所定の予告手当として30日分以上の平均賃金の支払がされないなど即時解雇としては効力を生じない場合であっても,使用者が即時解雇に固執する趣旨でない限り,通知後同条所定の30日の期間を経過したときなどには,解雇の効力を生じます(最高裁昭和35年3月11日判決参照)。
(2) 従業員が職場で上司に対する暴行事件を起こしたことなどが就業規則所定の懲戒解雇事由に該当するとして,使用者が捜査機関による捜査の結果を待った上で上記事件から7年以上経過した後に諭旨退職処分を行った場合において,上記事件には目撃者が存在しており,捜査の結果を待たずとも使用者において処分を決めることが十分に可能であったこと,上記諭旨退職処分がされた時点で企業秩序維持の観点から重い懲戒処分を行うことを必要とするような状況はなかったことなどといった事情の下では,上記諭旨退職処分は,権利の濫用として無効です(最高裁平成18年10月6日判決参照)。
(3) 最高裁平成22年5月25日判決は,統括事業部長を兼務する取締役の地位にある従業員に対して会社がした普通解雇が,当該従業員に対する不法行為を構成するとはいえないとされた事例です。

6 働き方改革
(1)ア 厚生労働省HPに「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法の施行について」(平成30年9月7日付の厚生労働省労働基準局長の通知)が載っています。
イ 厚生労働省HPに「労働基準法に関するQ&A」「「働き方」が変わります!!2019年4月1日から働き方改革関連法が順次施行されます」が載っています。
(2) 働き方改革の中身としては,年次有給休暇の時季指定時間外労働の上限規制及び同一労働同一賃金があります(厚生労働省の働き方改革特設サイト参照)。
(3) 働き方・休み方改善ポータルサイト「病気療養のための休暇」が載っています。
(1) 働き方改革研究所HP「労基法改正に向けて、今知っておきたい「フレックスタイム制」の基礎知識」が載っています。

7 最高裁判所の平成25年度労働実務研究会の結果概要
・ 最高裁判所の平成25年度労働実務研究会の結果概要を以下のとおり掲載しています。
①   「労働事件の一般的問題」結果概要
→ 時間外手当(実労働時間),時間外手当(審理運営),時間外手当(固定残業代),定年後の再雇用拒否,セクハラ・パワハラ,労働契約法18条,降格,就業規則の不利益変更,普通解雇及び懲戒解雇に関する裁判官の議論が載っています。
②   「労働事件を巡る実務上の諸問題」結果概要
→ 休職,使用者がとるべき対応,業務起因性,労働時間の認定方法,時間外手当,定年後の再雇用拒否,労働契約法20条,労働審判(セクハラ・パワハラ等の審理運営),労働審判(テレビ会議システム等)及び労働審判(適正な手続選択)に関する裁判官の議論が載っています。


8 関連記事その他
(1) 東京地裁の場合,11民,19民及び36民が労働専門部となっています(東京地裁HPの「労働審判手続の迅速・適正な進行へのご協力のお願い」参照)。
(2)ア 経営ハッカーHP「労働基準監督官が実施する「臨検(りんけん)」では、具体的に何が調査されるのか 」及び「労働基準監督官とは,どのような権力を持っている人物なのか」が載っています。
イ 労働基準監督署対策相談室HPが参考になります。
ウ ろーきしょ!ブログに労働基準監督官に関する様々な説明が載っています。
(3) 国立国会図書館HP「調査資料」2018年に,「人工知能・ロボットと労働・雇用をめぐる視点(平成29年度 科学技術に関する調査プロジェクト)」が載っています。
(4) 以下の記事も参照してください。
・ 個人事業主の税金,労働保険及び社会保険に関するメモ書き
・ 労働保険に関するメモ書き
・ 社会保険に関するメモ書き
・ 反社会的勢力排除条項に関するメモ書き
・ 労災保険の特別加入制度
・ 労災保険の給付内容
・ 労災保険に関する書類の開示請求方法
・ 労災保険の特別加入制度
・ 労災保険に関する審査請求及び再審査請求
・ 厚生労働省労働基準局の,労災保険に係る訴訟に関する対応の強化について
・ 労災隠し
・ 損益相殺

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