目次
1 過去の実務協議会の資料
2 地家裁所長は裁判官の人事関係記録を閲覧できること
3 所長等就任記者会見
4 関連記事その他
1 過去の実務協議会の資料
(1) 過去の実務協議会の資料は以下のとおりです。
平成30年度冬季,
令和元年度夏季,令和元年度冬季,
令和2年度夏季,令和2年度冬季,
令和3年度夏季,令和3年度冬季,
令和4年度夏季,令和4年度冬季,
令和5年度夏季,令和5年度冬季,
(2) 実務協議会というのは,新たに地方裁判所長,家庭裁判所長又は高等裁判所事務局長を命ぜられた者(就任予定者を含む。)を対象に,年に2回開催されている研修です(「裁判官研修実施計画」参照)。
2 地家裁所長は裁判官の人事関係記録を閲覧できること
・ 司法制度改革審議会の質問に対する最高裁判所の回答として,以下の記載があります(判例時報2144号(平成24年5月21日号)40頁)。
・ 最高裁人事局に各裁判官の人事関係記録があるほか、高裁、地家裁にも、所属裁判官の人事関係記録がある。下級裁判所の人事関係記録は、異動に伴って移転される。高裁長官、高裁事務局長、所長のように裁判官の人事に関与する者が、この記録を見ることができる。
・ 異動計画原案は、高裁管内の異動については主として各高裁が、全国単位の異動については最高裁人事局が立案し、いずれについても最高裁と各高裁との協議を経て異動計画案が作成される。
R031029 最高裁の理由説明書(高等裁判所単位の配置定員設定関係資料の作成方法が書いてある文書)を添付しています。 pic.twitter.com/zhbHSudzOU
— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) November 7, 2021
3 所長等就任記者会見
・ 最高裁判所広報課の,広報ハンドブック(令和2年3月版)28頁には,「4-4 所長等就任記者会見」として以下の記載があります(1ないし4は①ないし④に置き換えています。)。
長官や所長が新たに就任した際に,報道機関が「人物欄」等に取り上げることがある。
これは, 国民一般に裁判所を身近に感じてもらう良い機会でもある。就任記者会見の要請があった場合には,特段の事情のない限り応じるようにすべきである。その準備等において,特に留意すべきと思われる事項等については,次のとおりである。
① 人事の報道発表後,記者クラブの幹事社等と事前に連絡調整をして,できるだけ各社の記者が出席しやすい日時に会見を設定する。場合によっては,所長等がまだ着任しないうちに調整しなければならないこともあることから,所長等ともよく連絡し合う必要がある。
② 所長等の参考にするため, これまでの就任記事を準備したり,直近の話題事項等,予想される質問事項を用意する。必要に応じて,記者クラブの幹事社等から質問事項を出してもらう。
③ 会見のカメラ取材の在り方について,取材要領を作成する。カメラ撮影と録音の要領は,従来の例を参考に検討することになるが,最初の1ないし2間就任の感想や抱負等に関する応答の間に限る扱いもある。
④ 所長の略歴等についての簡潔な資料を用意して,会見開始までに記者に配布する。
4 関連記事その他
(1) 令和元年6月13日付の理由説明書には以下の記載があります。
最高裁判所は,我が国唯一の最上級裁判所として裁判手続及び司法行政を行う機関であり,最高裁判所判事や事務総局の各局課館長は,裁判所の重大な職務を担う要人として,襲撃の対象となるおそれが高く,その重大な職務が全うされるように,最高裁判所の庁舎全体に極めて高度なセキュリティを確保する必要がある。
(2)ア 「思い出すまま」(著者は2期の石川義夫裁判官)221頁及び222頁には以下の記載があります。
高裁長官は裁判官とは名ばかりで、裁判業務にたずさわることは全くなく、司法行政に関しても、当時の徹底した中央集権制度のもと、高裁長官が腕を振るう余地は殆どないように思われた。私の経験した全国長官所長会同においても、高裁長官は単なる並び大名に過ぎなかったから、私は高裁長官になるよりも、むしろ高裁裁判長を自分の双六のあがりと考えて、裁判業務に専心し、それに満足していた。
イ 「裁判官とは何者か?-その実像と虚像との間から見えるもの-」(講演者は24期の千葉勝美 元最高裁判所判事)には以下の記載があります(リンク先のPDF17頁)。
キャリアが30年程度になると、所長(全国で100ある地家裁の長で、兼務があるので、結局75人が就任する)、高裁長官(全国8高裁の長で、いわゆる認証官:就任に際し、天皇陛下から皇居で認証を受ける)を経験する。これらは、大きな組織の長として組織全体を動かす。いわばお山の大将であり、自由に自分のアイデア等を述べて実現させることができ、誠に楽しい思い出が多い(甲府地家裁所長、仙台高裁長官)。そこでは、事件処理を離れて、広い視野で司法を捉える目が養われ、人を使って組織を動かす苦労と喜びがある。同じ課題に取り組んだ部下の人達とは、そのポストを離れても、その後も一生の付き合いとなる(○○前所長を囲む会等)。
(3)ア 22期の西理 元裁判官が寄稿した「司法行政について(下)」には以下の記載があります(判例時報2144号(平成24年5月21日号)30頁)。
所長に任命されると、赴任する前に最高裁事務総局の各局長から赴任先の裁判所について必要とされる各種の情報を提供されてレクチャーを受ける。新任所長にすれば、当該裁判所について何らの知識も情報も持たないのが普通であるから有り難く拝聴することになる。
イ 令和2年7月20日付の最高裁の不開示通知書によれば,「地家裁所長に任命された裁判官に対し,最高裁判所事務総局の各局長が赴任先の裁判所についてどのようなレクチャーをすることになっているかが分かる文書」は存在しません。
(4) 以下の記事も参照してください。
・ 最高裁判所の概算要求書(説明資料)
・ 最高裁判所の国会答弁資料
・ 最高裁及び法務省から国会への情報提供文書
・ 裁判所をめぐる諸情勢について
・ 裁判官研修実施計画
・ 幹部裁判官の定年予定日
・ 所長等就任記者会見,及び記者会見実施上の一般的な留意事項(最高裁判所の広報ハンドブックからの抜粋)
・ 毎年6月開催の長官所長会同
・ 高等裁判所事務局長事務打合せ
・ 司法行政を担う裁判官会議,最高裁判所事務総長及び下級裁判所事務局長
・ 下級裁判所事務局の係の事務分掌
・ 東京高裁及び大阪高裁事務局,並びに東京地裁,大阪地裁及び大阪家裁事務局に設置されている係
・ 裁判所書記官,家裁調査官及び下級裁判所事務局に関する規則,規程及び通達
R020720 最高裁の不開示通知書(地家裁所長に任命された裁判官に対し,最高裁判所事務総局の各局長が赴任先の裁判所についてどのようなレクチャーをすることになっているかが分かる文書)を添付しています。 pic.twitter.com/WCQrh8zwrU
— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) July 21, 2020
裁判所をめぐる諸情勢について(令和3年6月の最高裁判所事務総局の文書)を掲載しています。https://t.co/Y2k3ncJ5UG pic.twitter.com/KMwoVOUcWE
— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) December 11, 2021