法務省作成の検事期別名簿


目次
1 法務省作成の検事期別名簿
2 生年月日が開示されている,法務省の幹部職員
3 検事期別名簿の不開示部分の詳細
4 法務省作成の副検事名簿(令和5年5月31日追加
5 検察総合情報管理システム
6 捜査関係事項照会に関する世界2019年6月号等の記載
7 関連記事その他

1 法務省作成の検事期別名簿
(1) 法務省作成の検事期別名簿を以下のとおり掲載しています。
(令和時代)
令和 2年1月 9日令和2年7月17日
令和 3年4月 9日
令和 4年4月11日令和5年1月10日
令和 5年4月10日令和6年4月15日
(平成時代)
平成27年1月23日平成27年4月15日
平成28年9月 5日
平成29年4月17日平成29年9月11日平成30年1月22日
平成30年4月11日平成30年7月25日
平成31年4月17日
(2) 検察官の修習期は不開示情報のために黒塗りとなっています(平成28年度(行情)答申第365号)から,私の方で手書きで記載しています。


2 生年月日が開示されている,法務省の幹部職員
(1) 生年月日が開示されているのは,法務省の以下の幹部職員に限られています(「法務省における幹部公務員の略歴の公表について(平成19年6月15日付の法務省大臣官房人事課長の依命通知)」参照)。
① 内部部局
政令職以上
② 施設等機関
法務総合研究所長,矯正研修所長
③ 地方支分部局
法務局長,矯正管区長,地方更生保護委員会委員長,地方入国管理局長
④ 特別の機関
・ 最高検察庁
検事総長
次長検事
部長
その他の検事(併任検事を含む。)
事務局長
・ 高等検察庁
検事長
次席検事
部長(ただし,東京,大阪に限る。)
事務局長
・ 地方検察庁
検事正
次席検事(ただし,東京,横浜,さいたま,千葉,大阪,京都,神戸,名古屋及び福岡に限る。)
支部長(ただし,立川,川崎,沼津,堺,姫路,岡崎及び小倉に限る。)
(2)ア 最高検察庁のその他の検事を除き,生年月日が開示されている幹部検察官の人事については,決裁者が法務大臣となっています(法務省行政文書取扱規則(リンク先のPDF31頁及び32頁)参照)。
イ 内部部局の政令職というのは,国家公務員法34条1項6号及び幹部職員の任用等に関する政令2条で定めるところの,本府省の課長又は室長以上の職員のことと思います。


3 検事期別名簿の不開示部分の詳細
・ 平成28年度(行情)答申第365号(平成28年9月29日答申)(リンク先の7頁ないし9頁)には以下の記載があります(項目部分を太字表記にしています。)。
(2)検討
ア 本件不開示部分について
   当審査会において本件対象文書を見分したところ,本件対象文書は,「法務・検察幹部名簿」と「検事期別名簿」で構成されており,「法務・検察幹部名簿」については,表題等のほか,幹部職員の「官職」,「氏名」,「期」,「生年月日」,「現職発令日」が表形式で記載されており,このうち修習期が記載されている「期」の各欄と「生年月日」欄のうち,本府省課長相当職以下の官職の者の「生年月日」欄が不開示とされていると認められ,「検事期別名簿」については,表題等のほか,検事の「検察官番号」,「氏名(漢字)」,「氏名(カナ)」,「生年月日」,「現職発令日」,「現職」,「備考」が表形式で記載されており,このうち「検察官番号」欄,本府省課長相当職以下の官職の者の「生年月日」欄,「備考」欄の各欄が不開示とされている。
   異議申立人は,①「法務・検察幹部名簿」の「修習期」,②「法務・検察幹部名簿」及び「検事期別名簿」の「本府省課長相当職にある者の生年月日」並びに③「検事期別名簿」の「備考欄中の裁判所から出向している検事であることを示す記載部分」(本件不開示部分)の開示を求めている。
イ 法5条1号本文前段該当性について
   「法務・検察幹部名簿」と「検事期別名簿」は,その氏名欄には,当該幹部等の氏名が記載され,その他の欄には,当該幹部等の官職等が具体的に記載されていることからすると,当該文書に記載された情報は,当該幹部等の個人に関する情報であって,当該幹部等に係る法5条1号本文前段の特定の個人を識別できる情報に該当すると認められる。
ウ 法5条1号ただし書該当性について
(ア)修習期
   異議申立人は,検事の任官年月日は官報に公告されているので,任官年月が分かれば修習期が分かると主張するところ,これは司法修習を修了した年に検事に任官するという前提に立つものと解されるが,例えば弁護士からの任官者等,司法修習の修了から検事への任官までの期間が空いている者については,この前提が成り立たないといえる。
   また,直接,各検事の修習期を公にした事実がない以上,慣行として公にされている情報には該当しないとの諮問庁の説明は首肯でき,法令の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報とは認められないことから,法5条1号ただし書イには該当しない。
   そして,標記の不開示部分に記載された情報は,当該幹部等の具体的な職務遂行の内容に直接結び付く情報とはいえず,法5条1号ただし書ハに該当せず,同号ただし書ロに該当する事情も認められない。
   さらに,標記の不開示部分に記載された情報は,原処分において,特定の個人を識別することができる記述である氏名が既に開示されていることから,法6条2項の適用の余地はない。
(イ)本府省課長相当職にある者の生年月日
   総務省通知では,本府省課長相当職以上の者の生年月日を含む略歴を公表することとしている。
   同通知では,本府省課長相当職の者については,人事異動の状況等により,求めに応じて略歴書を提出する形で対応することも差し支えないとしているが,たとえ求めがなく,略歴書を提出していないとしても,これは,法令の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報と認められ,標記の不開示部分は法5条1号ただし書イに該当し,開示すべきである。
(ウ)備考欄中の裁判所から出向している検事であることを示す記載部分について
    当審査会事務局職員をして諮問庁に確認させたところ,裁判官が裁判所から法務省・検察庁に検事として出向する人事異動については,官報に掲載されているとのことであるから,これは,法令の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報と認められ,標記の不開示部分は法5条1号ただし書イに該当し,開示すべきである。


4 法務省作成の副検事名簿
・ 法務省作成の副検事名簿を以下のとおり掲載しています。
令和4年4月1日令和5年4月1日


5 検察総合情報管理システム
・ 平成28年度(行情)答申第239号(平成28年7月28日答申)には,「検察総合情報管理システムについて」として以下の記載があります。
    検察庁においては,検察官が犯罪の捜査,起訴・不起訴の決定,公判の維持遂行,裁判の執行の指揮等を行っており,これらの活動を行うため不可欠な事務として,事件の受理・処理,令状の請求・執行,懲役刑等の執行,罰金等の徴収,前科の把握・調査,記録の管理等(検務事務)を行っているところ,これらの事務で取り扱う情報には,個人情報や犯罪の捜査等に関する極めて高度な秘匿性を有する情報が含まれることに鑑み,高度な要保護性を充足するとともに,安全性・信頼性の確保等に対応した高度なセキュリティを有するシステムとして検察総合情報管理システムが開発された。
    また,運用面においても,同システムの情報及び同システムをあらゆる脅威から守り,必要な情報セキュリティを確保し,もって,同システムの円滑な運用を図るため,本件対象文書である検察総合情報管理システム運用管理要領に基づき,運用がなされているところである。


6 捜査関係事項照会に関する世界2019年6月号等の記載
(1) 「丸裸にされる私生活 企業の個人情報と検察・警察」(世界2019年6月号106頁ないし114頁)によれば,検察庁内部のサーバーに保管されている「捜査上有効なデータ等へのアクセス方法等一覧表」と題するリスト(作成者は,平成23年7月に最高検察庁に設置された法科学専門委員会)は,企業が展開しているポイントカードなど,顧客の個人情報を,どこにどう問い合わせれば捜査機関が入手できるかを一覧にしたものであって,共同通信が入手した時点での一覧表に並ぶ企業は少なくとも約290社,記載されたデータの種類は約360に上るそうです。
  リストに記載されている企業としては,主要な航空,鉄道,バスなどの交通各社,電気,ガスなどのライフライン企業のほか,ポイントカード発行会社,クレジットカード,消費者金融,携帯電話,コンビニ,スーパー,家電量販店,ドラッグストア,パチンコ店,遊園地,アパレル,居酒屋,劇団,映画館,ガソリンスタント,カラオケ店,インターネットカフェ,ゲーム会社などがあるそうであり,入手できると記載されている情報は各社によってばらばらですが,氏名や住所,生年月日といった会員情報以外に,利用履歴,店舗利用時の防犯カメラ映像,カード申込み時にコピーした運転免許証などの顔写真もあるそうであり,リストに載っていた企業の多くが,捜査関係事項照会(刑訴法197条)によって顧客の個人情報を提供すると明記されているそうです。
(2) 日本図書館協会HPの「捜査機関から「照会」があったとき」には以下の記載があります。
  民間ポイントカード会社が捜査機関からの「照会」に応じていたことが問題となったとき、2019年1月23日の衆議院法務委員会において、国立国会図書館総務部長は次のように明確に答弁しています。
  「国立国会図書館では、令状なしの利用履歴の提供に応じたことはございません。今後も同様でございます。これは、利用した資料名等の利用履歴は、利用者の思想信条を推知し得るものであり、その取扱いには特に配慮を要するものであります。国立国会図書館は、個人情報保護及び国会職員としての守秘義務等の観点から、裁判官が発付する令状がなければ情報の提供はいたしておりません。」(『衆議院会議録』第197回国会法務委員会第10号
(中略)
  捜査機関から照会を受けるデータとしては、貸出記録、登録の事実と内容や登録年月日、最終貸出年月日などのほか、複写申込書、インターネット端末利用申込書、レファレンス記録、防犯カメラの画像などがあります。また、図書館システムへのアクセスログやインターネット端末から特定urlにアクセスした利用者のログ、図書館のイベントの参加者名簿、登録ボランティア団体の構成員の名簿などに及ぶこともあります。


7 関連記事その他
(1) 法務総合研究所が作成した,法科大学院派遣検察官一覧を以下のとおり掲載しています。
令和元年度令和2年度令和3年度令和4年度
(2) 以下の資料を掲載しています。
(検察官の俸給関係)
・ 検察官の初任給調整手当に関する準則(昭和46年4月1日付の法務大臣訓令)
・ 検察官の初任給及び昇給に関する準則(平成18年3月15日法務大臣訓令・平成19年11月12日最終改正)
・ 検察官の期末手当及び勤勉手当の支給に関する準則(平成9年12月16日付の法務大臣訓令・平成21年5月29日最終改正)
・ 検察官の管理職員特別勤務手当に関する準則(平成18年3月15日付の法務大臣訓令・平成19年3月6日最終改正)
(その他)
・ 検察庁に勤務する検察官に係る検察官調査表の作成等について(平成21年9月28日付の法務事務次官の依命通達)
・ 法務省職員の訓告等に関する訓令(平成16年4月9日付の法務大臣訓令)
(3) 以下の記事も参照してください。
・ 法務・検察幹部名簿(平成24年4月以降)
・ 検事総長,次長検事及び検事長任命の閣議書
・ 東京高検検事長の勤務延長問題
・ 七訂版 検察庁法(平成31年3月の法務総合研究所の文書)
・ 検事の研修日程
 法務総合研究所
・ 最高裁判所長官任命の閣議書
・ 最高裁判所判事任命の閣議書
・ 各府省幹部職員の任免に関する閣議承認の閣議書
 現行60期以降の,検事任官者に関する法務省のプレスリリース


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