目次
1 司法大観に掲載してもらえる裁判所職員の範囲
2 司法大観を購入できる人
3 司法大観の全部が不開示情報に該当すること
4 関連記事その他
1 司法大観に掲載してもらえる裁判所職員の範囲
・ 一般財団法人法曹会が発行している司法大観に掲載してもらえる裁判所職員の範囲は,以下のとおりです。
① 裁判官(簡易裁判所判事を含む。)
② 最高裁判所(司法研修所,裁判所職員総合研修所及び図書館を含む。)の課長以上,裁判所調査官(最高裁判所配置の者),首席書記官,上席の書記官,上席の教官(裁判所職員総合研修所調研部,書研部,一般研修部),参事官,審査官,首席技官,次席技官,秘書官,健康管理官,課長補佐(庶務主任)
③ 高等・地方・家庭裁判所の事務局長,首席書記官,首席家裁調査官,上席の裁判所調査官
④ 高等裁判所の事務局次長,秘書官
勝手にコメントさせていただくとJが数人集まれば司法大観を見ながら数時間は余裕で語れます。飲み会の最高のおつまみなので捨てるなんてもったいないですね😅 https://t.co/ncqabIfJD1
— Jはお前なんだよ (@tako_kora_) October 15, 2024
2 司法大観を購入できる人
(1) 司法大観は,法曹会において,裁判所,法務省,検察庁,法務局等の機関及びこれらの所属職員のほか,公証人,法曹会特別会員,司法記者クラブ,日本調停協会連合会,日本弁護士連合会,日本司法書士会連合会及び日本公証人連合会を販売対象としているが,これらのもの以外から購入希望があった場合には,その都度販売の可否を検討しており,これまでにもこれらのもの以外に販売したことがあります(平成28年度(最情)答申第40号(平成28年12月21日答申))。
(2) 司法大観は部外非売品ですから,私を含む一般の弁護士が購入することはできません。
(3) 個人情報保護法が全面的に施行された平成17年4月1日より前に発行された司法大観(つまり,平成14年度版以前の分)については,例えば,大阪弁護士会の図書室に置いてあります。
(4) 日本の古本屋HPを使えば,昭和時代の司法大観を購入できます。
そのため,例えば,昭和63年度版の司法大観を購入すれば,昭和62年4月採用の39期以上の裁判官の顔写真及び経歴を確認できます(昭和63年度版の現物を見ていないため,38期以上の裁判官だけかもしれません。)。
みんな大好きです😊すごく楽しいですよ!
ぜひ司法大観を見ながら飲み会をやってみてください!— Jはお前なんだよ (@tako_kora_) October 15, 2024
3 司法大観の全部が不開示情報に該当すること
(1) 司法大観(「本件対象文書」のことです。)は,その全部が不開示事由に該当するとした平成28年度(行情)答申第753号(平成29年2月27日答申)の記載は以下のとおりです。
本件対象文書は,法曹会が発行しているものであり,その内容は,裁判所,法務省,検察庁等に在職する法曹関係者(希望者に限る。)の写真及び経歴等が掲載され,「裁判所の部」,「法務省の部」が別冊になっているものである。
法務省は,本件対象文書について,単に法曹会から購入して取得したにすぎず,顔写真付き経歴等について公的に確認したものではなく,公慣行があるとはいえず,法曹会に対し,法曹会からの個人購入者と同様の立場に立った配慮が必要である。
その上で検討すると,本件対象文書は法曹会が発行しているものであり,その内容は,法曹等に関する顔写真付き経歴等が掲載されているところ,本件対象文書は,法曹会が,自ら構図,内容,掲載対象等を考案し,その選択や配列された情報として掲載されていることが認められることから,法曹会の著作物であると認められる。また,掲載に係る法曹等に向け,本件対象文書を部外非売品,転載不許とした上で顔写真,経歴等の資料を募るなど,独自の手法で,かつ,転載不許に関する信頼を得て,本件対象文書を発行しており,こうした手法等への配慮を欠かすことはできない。
また,本件対象文書は,法曹等の顔写真や経歴等を確認するための文書であり,その複製が頒布されればその複製だけで用が足りるため,本件対象文書そのものの意義が失われ,購入者が減少するおそれがあるばかりか,多くの法曹等が転載を嫌って本件対象文書への掲載に応じなくなるおそれがあり,法曹会からも,情報公開手続によってこれらの個人識別情報が一部でも開示されることとなると,掲載されている者との信頼関係が損なわれ,ひいては,今後,情報提供が拒否されるなど,本件対象文書の発行への影響が懸念され,また,情報公開手続によって本件対象文書の写しの交付等を受けられるとした場合,その手数料は,本件対象文書の販売価格よりも安価であることが見込まれ,本件対象文書の販売による利益を損なうおそれがあることなどから,法曹会において情報公開による開示を望まない旨意思表示が示されているところである。
これらの事情を勘案すれば,本件対象文書を公にした場合,法曹会の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものと認められる。
(2) 司法大観は,司法行政文書開示手続においても,その全部が不開示事由に該当します(平成29年3月17日付の司法行政文書不開示通知書参照)。
4 関連記事その他
(1) 現代新書HPの「『絶望の裁判所』著:瀬木比呂志—『絶望の裁判所』の裏側」(2014年3月9日付)には以下の記載があります。
『司法大観』という名称の、七、八年に一度くらい出る、裁判官や検察官の写真に添えて正確かつ詳細なその職歴を記した書物が彼ら(山中注:最高裁判所事務総局系の司法行政エリートと呼ばれる人々のこと。)のバイブルであり、私は、それを眺めるのが何よりの趣味だという裁判官にさえ会ったことがある。
(2) 現職裁判官全員の性別が記載された名簿等の一覧性を有する文書は最高裁判所に存在しませんし(平成29年度(最情)答申第30号(平成29年9月11日答申)),現職の女性判事及び女性判事補の名前が全部書いてある文書は最高裁判所に存在しません(令和元年度(最情)答申第55号(令和元年10月18日答申))。
(3) 71期新任判事補の一人一人の性別が分かる文書として最高裁判所が保有する文書は戸籍謄本だけです(令和元年9月25日付の理由説明書)。
(4) 以下の記事も参照してください。
・ 法務省作成の検事期別名簿
・ 法務・検察幹部名簿(平成24年4月以降)
・ 女性判事及び女性判事補の人数及び割合の推移
・ 歴代の女性最高裁判所判事一覧
・ 歴代の女性高裁長官一覧