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幹部裁判官の事務の引継ぎに際しては,メモ程度のものが作成されるに過ぎないこと(AI作成)

◯この記事は専らAIで作成したものです。

第1 この記事の対象と射程

本記事は,裁判所の幹部(最高裁判所長官,最高裁判所事務総長,高等裁判所長官,地方裁判所長及び家庭裁判所長並びに幹部職員)の交代に伴う事務の引継ぎに関する文書の開示を求める場面を対象とする。具体的には,「交代時の事務引継書」や「引継ぎに際して作成された文書」の開示を求めたときに,裁判所側から「そのような文書は作成又は取得していない(不存在)」との回答がされ,これが是認される仕組みと理由を整理し,開示を求める弁護士が採り得る手続と主張の限界を検討する。

射程は裁判所の司法行政文書に限る。行政機関に対する情報公開請求とは根拠となる制度が異なり,この違いが手続選択と争い方を大きく左右する。裁判事務に関する文書(事件記録・事件書類等)は司法行政文書の開示制度の対象外であり,本記事は扱わない。

第2 裁判所の司法行政文書開示制度と法的枠組み

1 開示の申出制度と争訟上の位置づけ

裁判所の司法行政文書の開示は,最高裁判所が定める「裁判所の保有する司法行政文書の開示に関する事務の取扱要綱」に基づく運用として行われている[文6]。何人も開示の申出をすることができ,開示しない旨の判断に不服があるときは苦情の申出をすることができ,これを受けて最高裁判所事務総長が情報公開・個人情報保護審査委員会に諮問し,同委員会が答申する,という流れで処理される[文6]

この制度は法律上の開示請求権を定めたものではない。要綱に基づく開示の申出は権利として構成されていないため,不開示の措置それ自体の取消しを求める抗告訴訟にはなじまないとの見解が示されている[文9]。この点は,拒否処分に対して取消訴訟が用意されている行政機関に対する情報公開請求との最大の違いであり,後記第5の手続選択に直結する。委員会の答申も諮問庁を法的に拘束するものではなく,個別事案の判断として蓄積される。

2 「司法行政文書」の定義と「組織的に用いる」要件

要綱にいう司法行政文書とは,裁判所の職員が職務上作成し,又は取得した司法行政事務に関する文書であって,裁判所の職員が組織的に用いるものとして,裁判所が保有しているものをいう[文6]。開示の対象となるか否かは,まずこの「組織的に用いるもの」(組織共用文書)に当たるかどうかで画される。

この定義は,情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)2条2項が行政文書を「当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして,当該行政機関が保有しているもの」と定めるのと同旨の文言を採用している[法1]。したがって,行政文書該当性について蓄積された解釈が,司法行政文書該当性の判断にも参照される。もっとも,情報公開法そのものは裁判所に適用されない(同法2条1項の「行政機関」に裁判所は含まれない)[法1]点は,後記のとおり手続面で重要である。

3 情報公開法・公文書管理法との関係と文書作成義務の不在

公文書管理法(公文書等の管理に関する法律)4条は,行政機関の職員に対し,意思決定に至る過程や事務・事業の実績を合理的に跡付け又は検証することができるよう,人事に関する事項を含む一定の事項について文書を作成する義務を課している[法2]。もっとも,同法2条1項の「行政機関」にも裁判所は含まれず,同法4条の作成義務は裁判所に及ばない[法2]

この点は本テーマの核心に関わる。行政機関であれば,意思決定過程や人事に関する経緯について文書を作成すべき法律上の義務があるのに対し,裁判所の司法行政事務にはこれに対応する法律上の作成義務がない。後記第3のとおり,委員会答申が「事務引継書を組織的に作成することを予定するような定めはなく,必ず作成しなければならないものではない」と繰り返すのは,この作成義務の不在を前提とするものと理解できる[文4]。すなわち,開示を求める側は,そもそも文書が作成されていない可能性が制度的に高い領域を相手にしている。

第3 幹部の事務引継ぎに関する委員会答申の判断

1 答申が繰り返し示す3つの結論

幹部の事務引継文書の開示の申出に対する委員会答申は,対象となる職の階層を問わず,おおむね次の3点を共通して示している。

  • 第1に,事務引継書を組織的に作成すべき定めはなく,引継ぎのために文書を作成するか否か,作成するとしてどのような文書とするかは,前任者個人の判断に委ねられている[文4]
  • 第2に,実際には,部下職員等から必要に応じて説明を受けることで支障なく執務でき,引継ぎは口頭で行われ,引継書は作成されていないことが多い[文3]
  • 第3に,仮に前任者個人の判断でメモ程度の文書が作成され後任者に交付されても,それは後任者限りで使用され個人の判断で廃棄されるものであり,作成・利用・保存・廃棄のいずれの過程にも組織の関与がないため,組織的に用いるもの(司法行政文書)に当たらない[文2]

この3点は択一ではなく重層的に用いられる。ある答申は「引継書は作成されていない」(第1・第2)で不存在を認め,別の答申は「メモは作成されたが組織共用性がない」(第3)で不存在(保有していない)を認める。いずれの経路でも,開示の対象となる文書は残らないという結論に至る。

2 所長から最高裁判所長官までの各階層への適用

地方裁判所長の交代に関する答申は,事務の引継ぎに際してメモ程度のものは作成されたが,その内容は口頭説明に代わる程度のもので,現所長が受け取って読んだ後,必要がなくなったので1週間程度で廃棄したとの説明を合理的と認め,開示の対象となる引継書を保有していないと判断した[文1]。ここでは「メモ程度のものが作成されるに過ぎない」という本テーマの命題が,答申の認定として端的に表れている。

最高裁判所事務総長の交代に関する答申は,より踏み込んで組織共用性を論じた。前任者個人の判断で作成されたメモは,直接後任者に交付され,他者の目に触れることなく個人の手持ち資料として後任者限りで使用・保管され,保存又は廃棄も後任者の個人的判断によることから,作成・利用・保存・廃棄のいずれの過程にも組織としての関与が存在せず,たとえ事務総長がたまたま廃棄せずに保有していたとしても,組織的に用いるものとして保有しているとはいえない,と判断した[文2]。この判断は,後続の答申が参照する基準として機能している(この答申の番号は諮問番号とは異なる点に留意を要する)。

高等裁判所長官の交代についても,部総括判事,事務局長等の職員から必要に応じ説明を受けて支障なく執務でき,事務引継書を作成する必要がなく,実際にも作成されていないとの説明が合理的とされ,不存在が是認された[文3]。最高裁判所長官の交代に関する答申も,長官の交代に当たり事務引継書を組織的に作成する定めはなく,必ず作成しなければならないものではないとして,不存在を是認している[文4]。同種の判断は,このほかの幹部の職についても示されている。

3 「メモは組織共用性を欠く」ことの最新の定式化

近時の答申は,第3の論点を明確に言語化している。すなわち,事務の引継ぎに当たり,前任者と後任者との間で前任者個人の判断によりメモ等の文書が作成され交付されることはあり得るとしつつ,作成・利用・保存・廃棄の過程で組織としての関与が存在しないものについては,裁判所の職員が組織的に用いるものとして裁判所が保有しているものということはできず,このような文書は仮に存在したとしても開示の対象となる司法行政文書ではない,とした[文5]。この答申は,前記の事務総長に関する答申を引用しており,一連の判断が一つの枠組みとして運用されていることを示している[文5]

実務的に重要なのは,この定式化が「文書の物理的な存否」と「開示対象文書としての存否」を切り分けている点である。メモが現に一部の者の手元に残っていても,組織共用性を欠く限り「保有していない」と扱われる。この切分けは,次章の一般法理と対応している。

第4 組織共用文書該当性の一般法理と電子メール

1 「組織的に用いる」の3要素と個人メモの位置づけ

情報公開法の立案担当者の解説は,「組織的に用いる」を,作成又は取得に関与した職員個人の段階のものではなく,組織としての共用文書の実質を備えた状態,すなわち組織において業務上必要なものとして利用又は保存されている状態を意味するものと説明し,その判断は,(1)文書の作成又は取得の状況,(2)利用の状況,(3)保存又は廃棄の状況を総合的に考慮して実質的に行うものとする[文7]。そして,専ら自己の職務遂行の便宜のために利用する備忘録等,正式文書と重複する自己保管用の写し,個人的な検討段階に留まるものは,組織的に用いるものに当たらないとされる[文7]

この一般法理は,前章の答申の論理と対応する。逐条解説は,対象文書該当性が組織共用文書であることを要件とする場合には,当該文書が職員の個人的メモであって組織共用文書でないため,物理的には存在するものの対象文書としては存在しないとされることがある,と述べている[文8]。幹部の引継メモが「保有していない」と扱われるのは,この一般法理を司法行政文書に適用した帰結として理解できる。

もっとも,個人メモ・手控えという名称や作成者が個人であることだけで一律に非該当となるわけではない。3要素の実質判断であるため,共用の保存場所に保存され,又は組織的に利用されている場合には,なお組織共用文書に当たり得る。もっとも,3要素の適用の仕方には裁判例上の幅があるとの指摘もある[文10]ため,個別事案では当該文書の具体的な取扱いに即した検討が必要となる。

2 電子メールの公文書該当性を認めた裁判例

大阪地方裁判所平成28年9月9日判決(平成26年(行ウ)第286号・非公開決定処分取消等請求事件)[裁1]は,地方公共団体の首長が職員との間で庁内メールを利用して1対1で送受信した電子メールのうちに,大阪市情報公開条例2条2項にいう「当該実施機関の職員が組織的に用いるもの」に当たるものが含まれるとした事例である[裁1]。同判決は,条例の「組織的に用いるもの」を,前記の立案担当者の説明と同一の定義で捉えたうえで判断した。

同判決は,会議日程の調整等の事務的・単発的な事項の伝達に用いられたメールには「組織的に用いるもの」に当たらないものが相当数含まれるとしつつ,送受信者の一方が業務を統括する市長であって確定した職務命令の発出や報告の受領に関わること,緊急・迅速の要請から書面に代えてメールが用いられること等を考慮し,業務上必要なものとして利用又は保存されている状態にあるメールが含まれると認めた[裁1]。控訴審も第1審を維持し,メールは送信者及び受信者のそれぞれの個人用メールボックスに保有されるから,一方当事者のみが保有するにすぎない個人的なメモと同視することができない旨を説示した[裁2]

3 引継メモと当該メールとで結論が分かれる理由

幹部の引継メモは司法行政文書に当たらないとされ,市長の1対1メールには公文書に当たるものが含まれるとされた。方向は逆に見えるが,両者は同一の「組織的に用いる」基準の下で,事実評価が分かれた結果として整理できる。

分岐の中心は保存・廃棄の状況にある。引継メモは,前任者から後任者へ交付され後任者一人が保有し,その者の判断だけで廃棄できるものとして説明されており[文2],これは3要素のうち(3)で組織共用性が否定される典型に当たる。これに対し,前記のメールは送受信者双方のメールボックスに保有され,一方の判断だけで廃棄が完結しないため,一方当事者限りの個人的メモとは保存構造が異なると評価された[裁2]。加えて,引継メモは口頭説明に代わる程度の内容とされる[文1]のに対し,当該メールには確定した職務命令や報告という業務遂行そのものに関わる内容が含まれると認定された[裁1]点が,作成・利用の状況((1)(2))の評価を分けた。

したがって,開示を求める側にとっての当てはめの要点は,媒体や名称ではなく,対象文書が3要素に照らして組織共用の実質を備えているかにある。ただし,当該メールの判決は,職務に関してやり取りされたメールが一律に公文書となるとしたものではなく,被告が的確な反証をしない事案でその存在を推認したものである[裁1]から,射程を広げ過ぎないよう留意を要する。

第5 開示を求める側の実務

1 手続の選択と分岐

裁判所の司法行政文書については,まず取扱要綱に基づく開示の申出を行い,不開示の判断に対しては苦情の申出を行うことになる[文6]。前記のとおり,この開示の申出は法律上の請求権として構成されていないため,不開示それ自体の取消しを求める抗告訴訟にはなじまないとの見解が示されている[文9]。この点が,拒否処分に取消訴訟が用意されている行政機関の情報公開との決定的な違いである[法1]

そこで手続選択に当たっては,次の分岐を意識する必要がある。第1に,対象文書が裁判所の司法行政文書にとどまるのか,それとも同じ内容の文書が行政機関や地方公共団体にも保有されているのかを見極める。後者であれば,当該行政機関等に対する情報公開請求という別ルートを検討でき,そこでは拒否処分に対する取消訴訟が可能である。第2に,裁判所に対しては,開示の申出・苦情の申出という要綱上の手続を尽くしたうえで,委員会答申の判断を得るという経路が中心となる。国家賠償請求等の可否は別論であり,本記事の射程を超える。

2 主張責任・立証上の問題

幹部の引継文書の開示では,争点は文書の不存在(保有していないこと)と,仮に何らかの文書があるとしてもそれが組織共用性を欠くこと,の二段になる。委員会答申は,探索の結果として文書が見当たらないこと,及び作成・保存の実態に関する諮問庁の説明が合理的であることを認めて,不存在を是認する構造をとっている[文2]。したがって,開示を求める側は,「作成されていないはずがない」という一般的な疑問の提示にとどまらず,組織共用性のある文書が現に存在することをうかがわせる具体的な事情を示すことが求められる。

この点は,前記のメールの判決が,被告が的確な反証をしない事案で組織共用文書たるメールの存在を推認したこと[裁1]と対照的である。裁判所の司法行政文書の開示では,独立した裁判所が実物を審査して判断する枠組みが用意されていないため,諮問庁の説明の合理性が判断の中心になりやすい。したがって,組織共用性を基礎づける外形的事情(後記3)を具体的に指摘できるかどうかが,実務上の分かれ目となる。

3 有用な資料とその収集方法

組織共用性を基礎づけ得る事情としては,次のような資料の有無が手掛かりになる。いずれも,当該文書が個人の手持ち資料にとどまらず組織として管理・利用されていることを示すためのものである。

  • 引継ぎや文書管理に関する内部の定め(引継ぎの様式・保存を定める規程・通達等)の有無。3要素のうち作成・取得の状況(管理監督者の関与)に関わる[文7]
  • 当該文書が共用の保存場所(共有フォルダ,引継ぎ簿,主管課での保管等)に保存されているかを示す事情。保存・廃棄の状況に関わる[文8]
  • 同種の職・同種の事項について,他の官署や別の時期に開示された例の有無。開示の申出は何人もできる[文6]ため,同種文書の取扱いの一貫性を検証する材料になる。
  • 当該内容が組織的に共有・引用された形跡(後任者以外の職員が当該文書を利用している事実等)。利用の状況に関わる[文7]

これらは,開示の申出の対象文書の特定を工夫すること(「引継書」に限定せず,引継ぎに関して作成・取得された文書一般や,特定の共用保存場所に保存された文書を対象に含めること)によって,探索の範囲を広げる余地がある。

4 相手方から想定される説明と対応

諮問庁からは,典型的に次の説明が想定される。第1に,事務引継書を組織的に作成すべき定めはなく,作成の要否は前任者個人の判断であるという説明[文4]。これに対しては,定めの不存在は作成義務の不存在を意味するにとどまり,現に組織共用性のある文書が作成・保存されていないことを当然には基礎づけない,と反論の余地がある。第2に,引継ぎは口頭で行われ支障がないという説明[文3]。これに対しては,当該職・当該事項の性質上,書面又は書面を併用した引継ぎが便宜な場合があることを具体的に指摘することが考えられるが,近時の答申は,そのような場合があり得るとしても組織共用性のある引継書の存在を裏付けるには足りないとしている[文5]点に留意を要する。第3に,メモは作成されたが個人の手持ち資料にすぎないという説明[文2]。これに対しては,当該メモの保存場所・利用状況・廃棄の実際に踏み込んで,組織共用の実質の有無を問うことになる。

5 依頼者からの聴取事項と申立て上の注意点

依頼者から聴取し,又は事前に確認しておくべき事項としては,次のものが挙げられる。いずれも対象文書の特定と組織共用性の主張に直結する。

  • 開示を求める文書の具体的内容(交代の時期・対象の職・引継ぎの対象事項),及びなぜその文書が組織的に作成・保存されていると考えられるのか。
  • 同種文書について,他の官署・時期に開示された例や,関連する規程・通達を把握しているか。
  • 同じ内容の文書が,裁判所以外の行政機関等にも存在し得るか(別ルートの情報公開請求の可能性)。

申立て上の注意点として,対象文書の特定は探索の範囲を規定するため,「事務引継書」という限定的な名称に絞ると,メモや別名称の文書が探索対象から外れるおそれがある。引継ぎに関して作成・取得された文書を包括的に対象とすること,及び特定の保存場所を指定することを検討する。また,苦情の申出では,一般的な不存在への疑問ではなく,組織共用性を基礎づける具体的事情を摘示することが,委員会の実質判断を促すうえで有効と考えられる。

第6 実務上の判断手順と追加確認を要する事項

本テーマに関する検討は,次の手順で進めると整理しやすい。

  • 第1に,対象が裁判所の司法行政文書か,同内容の文書が行政機関等にも存在し得るかを切り分け,後者があれば取消訴訟が可能な情報公開請求のルートを併せて検討する[法1][文9]
  • 第2に,裁判所に対しては開示の申出・苦情の申出の手続を尽くし,不存在・非該当が争点になることを前提に,組織共用性を基礎づける具体的事情(規程・共用保存・組織的利用の形跡)を準備する[文7]
  • 第3に,対象文書の特定を「引継書」に限定せず,引継ぎに関して作成・取得された文書を包括する形にして,探索の範囲が過度に狭まらないようにする。

個別事案への適用に当たっては,次の点を追加で確認する必要がある。第1に,取扱要綱の現行の記番号・内容(開示の申出・苦情・諮問の各手続の細目)を,最新の要綱本文で確認すること[文6]。第2に,参照する委員会答申の事案が,当該事案の職・事項とどこまで共通するかを見極めること。答申は個別事案の判断であり,一般的傾向として過度に一般化しない[文2]。第3に,組織共用文書該当性は3要素の総合考慮による事実判断であり,適用に幅があるとの指摘もある[文10]ことを踏まえ,当該文書の具体的な取扱いに即して主張を構成すること。第4に,不開示を裁判で争えるかについては,本記事が取り上げた要綱上の手続のほかに国家賠償請求等の可否という別論があり得るが,その検討は本記事の射程を超えるため,別途確認を要する。

出典

法令

  • 情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律・平成11年法律第42号)2条1項・2条2項(e-Gov法令検索)。行政文書=組織共用文書の定義,及び裁判所が「行政機関」に含まれないことの根拠。〔本文へ〕
  • 公文書管理法(公文書等の管理に関する法律・平成21年法律第66号)2条4項・4条(e-Gov法令検索)。行政文書の定義(同旨)と,行政機関の職員の文書作成義務が裁判所に及ばないことの根拠。〔本文へ〕

裁判例

  • 大阪地方裁判所平成28年9月9日判決・平成26年(行ウ)第286号・非公開決定処分取消等請求事件(判例時報2379号20頁)。首長の1対1メールに組織共用文書に当たるものが含まれるとした事例,及び「組織的に用いる」の意義と3要素の実質判断の当てはめ。〔本文へ〕
  • 大阪高等裁判所平成29年9月22日判決(判例時報2379号15頁。裁判所ウェブサイト未掲載)。前記第1審の控訴審。メールは双方の個人用メールボックスに保有され一方当事者のみが保有する個人的なメモと同視できない旨の説示。〔本文へ〕

文献・公的資料

  • 最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会 平成28年度(情)答申第4号(平成28年7月15日・神戸地方裁判所長の事務引継書)(答申全文PDF)。所長の交代でメモ程度のものが作成されたが短期間で廃棄され,引継書は不存在とされたこと。〔本文へ〕
  • 同 平成28年度(最情)答申第27号(平成28年9月1日・最高裁判所事務総長の事務引継書等)(答申全文PDF)。前任者個人の判断によるメモは,作成・利用・保存・廃棄に組織の関与がなく,たまたま保有していても司法行政文書に当たらないとしたこと。〔本文へ〕
  • 同 平成28年度(情)答申第8号(平成28年10月11日・広島高等裁判所長官)(答申全文PDF)及び同第9号(平成28年10月11日・東京高等裁判所長官)(答申全文PDF)。高裁長官の交代では口頭引継で支障なく,引継書は作成されず不存在とされたこと。〔本文へ〕
  • 同 平成30年度(最情)答申第22号(平成30年7月20日・最高裁判所長官の事務引継書等)(答申全文PDF)。最高裁判所長官の交代でも事務引継書を組織的に作成する定めはなく,必ず作成しなければならないものではないとしたこと。〔本文へ〕
  • 同 令和7年度(情)答申第32号(令和7年9月9日・東京地方裁判所の特定の係の職に係る事務引継書)(答申全文PDF)。個人の判断で作成・交付されるメモ等でも組織の関与がなければ組織共用でなく,仮に存在しても開示対象の司法行政文書ではないとした最新の定式化。〔本文へ〕
  • 最高裁判所「裁判所の保有する司法行政文書の開示に関する事務の取扱要綱」(裁判所ウェブサイト)。司法行政文書の定義(記第1)と,開示の申出・苦情の申出・諮問の手続の根拠。〔本文へ〕
  • 総務省行政管理局編『詳解 情報公開法』(財務省印刷局・2001年)35頁〜38頁。組織共用文書の3要素基準(作成取得・利用・保存廃棄の状況の総合考慮)と,備忘録・個人的検討段階の文書等の非該当類型。〔本文へ〕
  • 宇賀克也『新・情報公開法の逐条解説〔第8版〕』(有斐閣・2018年)第2条・第9条解説。個人的メモは組織共用文書でないため物理的には存在しても対象文書としては存在しないとされること。〔本文へ〕
  • 右崎正博・三宅弘編『情報公開法・個人情報保護法・公文書管理法コンメンタール』(日本評論社・2013年)序論。裁判所は情報公開法・公文書管理法の対象機関でなく要綱で開示していること,及び要綱に基づく開示の申出は権利として構成されず不開示を裁判で争えないとの見解。〔本文へ〕
  • 佐伯彰洋「情報公開制度における電子メールの公文書該当性」立命館法学2020年5・6号(393・394号)。組織共用文書該当性の3要素の裁判例上の適用に幅があるとの指摘,及び前記メール事件の控訴審の説示。〔本文へ〕