(AI作成)最高裁庁舎の令和7年6月24日付の夏季の節電方針に関するAI専門家の論評

◯本ブログ記事は専らAIで作成したものです。
「最高裁判所庁舎の冷房運転等に関する文書」も参照してください。
◯厚労省HPに「ご存知ですか?職場における労働衛生基準が変わりました」(照度基準以外については,令和3年12月1日施行の取扱いです。)が載っています。

目次

第1 はじめに

第2 建築物環境衛生管理技術者及び建築設備士の視点による検証
1 石造建築物の「熱慣性」を看過した空調運転時間の致命的欠陥
2 「窓開け換気」による空調システムへの破壊的影響
3 内部発熱負荷の過小評価

第3 労働衛生コンサルタント及び産業医の視点による検証
1 医学的見地から見る「28度目安」の危険性
2 脳機能への影響と業務生産性の低下
3 感染症対策と室内空気質の矛盾

第4 特定社会保険労務士(労働安全衛生法専門)の視点による検証
1 改正事務所衛生基準規則との整合性欠如
2 安全配慮義務違反のリスク評価

第5 専門家チームによる総括と提言

第1 はじめに

令和7年6月24日,最高裁判所経理局管理課より,全職員に向けて「最高裁判所庁舎における夏季の節電について」及び「最高裁判所庁舎の冷房運転の運用について」と題する事務連絡が発出されました。

本記事では,建築物環境衛生管理技術者及び建築設備士,労働衛生コンサルタント及び及び特定社会保険労務士(労働安全衛生法専門)からなる専門家チームが,最高裁判所自身の「庁舎の沿革」「中長期保全計画」及び「修繕履歴」等の内部資料を精査し,令和7年6月24日付の事務連絡に記載された方針(以下「本件方針」といいます。)の妥当性を徹底検証します。

結論から申し上げますと,本件方針は,「1974年竣工の石造建築物の物理的特性」「IT化が進展した現代の執務環境」,そして「令和3年に改正された最新の労働衛生基準」のいずれとも整合しておらず,職員の健康と業務能率を著しく損なう恐れが高いものであると言わざるを得ません。
現場で働く職員の皆様が日々感じている「暑さ」や「息苦しさ」は,単なる我慢不足ではなく,物理的・医学的根拠に基づいた「環境の欠陥」によるものであり,法的にも安全配慮義務違反のリスクを孕むものであることを,以下に詳述します。

第2 建築物環境衛生管理技術者及び建築設備士の視点による検証

本件方針では,節電目標達成のため,空調機の運転時間を「午前8時30分から午後5時45分」,ファンコイルを「午前8時から午後6時」と定めています。一見,一般的なオフィスの運用に見えますが,最高裁判所庁舎という特殊な建築物においては,この運用は「建築物理学的」に極めて不合理です。

1 石造建築物の「熱慣性」を看過した空調運転時間の致命的欠陥

(1) 最高裁庁舎特有の「蓄熱体」としての性質

「庁舎の沿革及び現況説明書」によれば,最高裁庁舎は昭和49年(1974年)3月に竣工した,延面積5万3923平方メートルに及ぶ巨大な「鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)」です(PDF2頁))。 また,「中長期保全計画」においても,外装の仕様として「石張り」や「擬石吹き付け」が明記されており(同計画1頁等),SRC造の堅牢な躯体と大量の石材仕上げは,物理的に極めて巨大な熱容量を有しています。

竣工記念誌『空間と象徴』(「空間と象徴―最高裁判所庁舎における建築構想の展開 (1975年)」のことです。)14頁及び16頁によれば,最高裁庁舎は,内部に廊下,階段,エレベーター,設備シャフト等を含む「4メートルから6メートル厚の壁体(スペース・ウォール)」によって構成されています。
この巨大な二重壁は,設計者である岡田新一氏が「空間を構成するよりどころ」と位置付けた本庁舎の骨格であり,外壁だけで7万平方メートルを超える膨大な量の茨城県稲田産花崗岩が使用されています。

コンクリートや石材は,熱容量(熱を蓄える能力)が非常に大きい物質です。数万トンレベルの質量を持つこの巨大な石の塊は,一度冷えれば冷たさを維持する反面,「一度温まると容易には冷めない」という強烈な「熱慣性」を持ちます。 日中,直射日光と外気熱によって温められた大量の石壁や躯体は,夕方以降も熱を保持し続け,巨大な「輻射熱源」となります。
本件方針のとおり午後6時でファンコイルを含めた空調を完全停止させると,躯体に蓄積された熱を除去する手段が失われ,夜間を通じて建物内部へ熱が放射され続けることになります。

(2) 午後6時停止が招く翌朝の「蒸し風呂」現象

空調停止後の夜間,躯体から室内へ向けて熱が放射(輻射熱)され続けます。これにより,翌朝の執務開始時点において,室内の壁,床,天井すべてが「熱源」と化しています。

この状態で,始業直前の午前8時あるいは8時30分に空調を稼働させても,空気温度を下げることだけで精一杯であり,熱を持った4メートル以上の厚みのある膨大な質量の石材を冷却するには全く時間が足りません。壁面温度が高いため,MRT(平均放射温度)が下がらず,結果として,職員の皆様は,午前中の間,室温計の数値以上に暑さを感じる「蒸し風呂」のような環境で業務を開始することになります。熱力学の観点からも,一度熱を持ったこれほどの質量の石材を冷やすには,夜間電力等を利用した長時間の「プレクーリング(予冷)」以外に解決策はありません。
ビル管理の常識では,このような蓄熱量の大きい建物こそ,夜間や早朝からの「プレクーリング(予冷)」を行い,躯体温度を下げておくことが,ピーク時の省エネと快適性の両立に不可欠です。本件方針は,熱負荷を翌日に持ち越す「負の遺産」運用であり,建物の寿命を縮めかねない非効率な運用と言えます。

2 「窓開け換気」による空調システムへの破壊的影響

本件事務連絡には「換気は,窓及び扉を常時開放するのではなく,一定時間毎に窓及び扉を開閉して行い」との記載があります。しかし,最高裁庁舎の空調方式において,高温多湿な日本の夏季に窓を開ける行為は,設備工学的に以下の重大なリスクを招きます。

(1) 「外気冷房」との混同と高エンタルピー導入の愚

まず,春や秋の中間期に行われる「外気冷房」と,夏季の窓開けは物理的に全く意味が異なります。 空調負荷には,温度を下げる「顕熱負荷」と,湿度を下げる「潜熱負荷」があります。日本の夏季外気は熱と湿気を含んだエンタルピー(全熱量)が極めて高く,窓を開けて外気を導入すると,単なる空気の入れ替えではなく,大量の水蒸気(潜熱)が室内に流入し,空調機の潜熱負荷が激増します。

本件方針の「28度目安」という高い設定温度では,空調機はすぐにサーモスタットが切れ,送風運転に切り替わってしまいます。これにより除湿が行われず,湿度が70%,80%と上昇します。これは,空調制御において最も忌避すべき「再蒸発」に近い状態であり,湿度の高い28度は,不快指数が極めて高く,熱中症リスクを跳ね上げます。
一部には、夜間の涼しい外気を取り入れる「ナイトパージ」という手法もありますが、日本の高温多湿な熱帯夜においては、外気のエンタルピー(全熱量)が高すぎるため、湿度管理の観点から逆効果となりやすく、機械換気と除湿運転による制御が最適解です。

(2) 結露・カビ発生のリスクと「スペースウォール」の脆弱性

『空間と象徴』14頁及び176頁によれば,最高裁庁舎の特徴的な「スペースウォール(二重壁)」は,その内部に「廊下,階段,エレベーター,設備のシャフトやダクトなどのサービスを含んだ」空間であり,「水平の設備ゾーン」と直交してエネルギーを各階へ移送する重要区画として機能しています。まさに建物の「循環器・神経系」とも言える重要部分です。

この内部空間や,OAフロア内の配線ピット,冷却されたファンコイルの配管に,高温多湿な外気が触れると,そこで「夏型結露」が発生します。
これは単に水滴が付く問題にとどまらず,壁体内などの不可視部分での電気配線のトラッキング現象による火災リスクや,カビ(真菌)の爆発的な繁殖を招きます。特にスペースウォール内部やOAフロア内での結露は視認困難であり,火災発生時の被害甚大化が懸念されます。

カビの胞子はアレルギーやシックビル症候群の原因となり,長期的な職員の健康被害につながります。事実,「最高裁判所庁舎の修繕履歴」には,「パッケージエアコンドレンパン他修繕工事(平成30年8月)」(履歴2頁No.41)や「空気調和用ファン修繕工事(平成31年3月)」(履歴3頁No.65)といった記録が散見され,既存の空調設備が既に湿気やドレン排水等の負荷に苦慮している実態が窺われます。これに窓開けによる潜熱負荷を加えれば,設備の劣化を加速させることは必至です。
「外部環境から空間を載りとる」(『空間と象徴』14頁。「載(の)りとる」は「乗っ取る」と同じ意味です。)という最高裁庁舎の設計思想にも反する窓開け換気は,防災および資産保全の観点からも,現代の空調設計においては「百害あって一利なし」の運用です。

3 内部発熱負荷の過小評価

(1) 昭和時代の設計思想と令和のIT機器熱負荷の乖離

庁舎竣工時(1974年)と異なり,現在は一人一台以上のPC,複数の大型モニター,サーバー機器等が常時稼働しており,これらはすべて「熱源」です。『空間と象徴』179頁の設備データによれば,竣工当時の事務室空調は「ファンコイルユニット+各階ユニット」方式とされていますが,当時の設計顕熱負荷には,現代のような高密度のOA機器発熱は想定されていません。

本件事務連絡にある「執務室内の温度は,28度を目安」とする設定は,人体の発熱のみならず,これらIT機器が発する熱(内部発熱負荷)を冷却除去するには圧倒的に能力不足です。

(2) ファンコイル停止推奨が招くサーバー・PCへの熱ダメージ

本件事務連絡の節電取組として「部屋の使用終了時及び長時間空室にする時は,ファンコイルの電源を切る」よう記載があります。しかし,IT機器が密集するエリアでファンコイルを停止すれば,機器の排熱を除去できず,局所的な「熱溜まり(ホットスポット)」が発生します。

これは,職員の不快感だけでなく,サーバーのダウン,PCの熱暴走によるデータ消失,機器の寿命短縮という物理的な損害に直結します。これはBCP(事業継続計画)の観点からも重大な欠陥と言えます。
特にサーバー室周辺や,電子決裁用モニターが並ぶ執務室において,空調の間欠運転は厳に慎むべきです。

この懸念は,決して杞憂ではありません。「最高裁判所庁舎の修繕履歴」を確認すると,平成29年度から31年度のわずかな期間だけでも,「サーバー室電源修繕工事(平成30年6月)」(履歴2頁No.31),「サーバー室電源敷設工事(平成30年10月)」(履歴3頁No.50),「サーバー室パッケージエアコン修繕工事(平成31年3月)」(履歴3頁No.66)といった,サーバー室周辺の熱・電源環境に関連する工事が頻繁に行われています。
また,「庁舎の沿革」においても,平成23年以降,サーバー室エアコンの更新・増設が繰り返されており(沿革8,9頁等),IT機器の排熱処理に設備が悲鳴を上げている状況は明らかです。
この状況下での空調停止は,自殺行為と言わざるを得ません。

第3 労働衛生コンサルタント及び産業医の視点による検証

本件方針が掲げる「28度目安」や「節電」は,医学的・生理学的に見て,職員の心身に過度な負担を強いるものであり,組織的な健康障害を誘発しかねない危険な状態です。

1 医学的見地から見る「28度目安」の危険性

(1) 「気温」と「作用温度(体感温度)」の決定的乖離

医学的かつ建築環境工学的に,人が感じる暑さ(熱ストレス)は,温度計が示す「気温」だけでは決まりません。湿度,気流,そして「輻射熱(放射熱)」が大きく影響します。これを総合した指標がWBGT(暑さ指数)や作用温度です。

前述の通り,石造りの庁舎で壁面温度が上昇している場合,たとえ室温計が「28度」を指していても,壁や天井からの輻射熱により,体感温度は30度〜32度相当に達している可能性が高いです。

(2) 輻射熱(MRT)による熱中症リスクの増大

このような「輻射熱が高い28度環境」での執務は,深部体温の上昇を招きやすく,自覚症状のないまま「隠れ熱中症」に陥るリスクがあります。

特に強調すべきは、「冷房停止後の夜間残業時の危険性」です。最高裁庁舎の設計者自身が,「重畳たる空間」や「外部のマッシブな壁面」と表現するように(『空間と象徴』12頁及び15頁),最高裁庁舎は圧倒的な質量を持つ石とコンクリートの塊です。
日中に蓄熱した巨大な石造躯体からの輻射熱(放熱)は夜間にピークを迎えることが多く、空調が止まった後の執務室は、日中以上に過酷な「蒸し風呂」状態となります。この時間帯の残業は脱水症状のリスクを極限まで高めます。
更年期障害の症状がある方,基礎疾患を
持つ方,妊婦等にとっては,生命の危険すら伴う環境です。
「28度」という数字だけを墨守し,実際の温熱環境(輻射熱)を無視することは,医学的に見て極めて不適切です。

2 脳機能への影響と業務生産性の低下

(1) 室温上昇に伴う認知機能低下のエビデンス

産業衛生学の多数の研究において,室温が25度から28度に上昇すると,計算能力,論理的思考力,記憶力が数%から10%以上低下することが示されています。

脳は大量のエネルギーを消費し,熱を発する臓器です。環境温度が高いと,脳の冷却が追いつかず,オーバーヒート状態となり,集中力が著しく低下します。

(2) 経理局・デジタル部門におけるヒューマンエラーの誘発

最高裁の業務は,高度な集中力と正確性が求められる緻密な作業です。

「頭寒足熱」ならぬ「頭熱」環境で,複雑な予算計算やプログラミングを行わせることは,組織的にヒューマンエラー(計算ミス,システム障害,判断ミス)を強制しているに等しいと言えます。節電によって削減できる電気代よりも,ミスのリカバリーにかかる人件費や社会的信用の損失の方が遥かに大きくなることは,経営学的にも明白です。

3 感染症対策と室内空気質の矛盾

本件事務連絡における「窓開け」は,一見,感染症対策としての換気に有効に見えます。しかし,外気温が室内より高い状況での窓開けは,室温を上昇させ,エアコンの気流を乱し,結果として室内の空気が「ぬるく,よどむ」原因になります。

また,網戸等の防虫設備が完全でない場合,外部からの虫や粉塵の侵入を招き,衛生環境が悪化します。ビル衛生管理法に基づく機械換気設備(全熱交換器等)が適切に稼働しているのであれば,窓を閉め切って計画換気を行う方が,感染症対策としても,空気質管理としても遥かに優れています。

第4 特定社会保険労務士(労働安全衛生法専門)の視点による検証

法律家の視点,特に労働安全衛生法及び労働契約法の観点から検証すると,本件方針は「国自らが定めた最新の基準」を軽視しており,安全配慮義務違反のリスクを抱えています。

1 改正事務所衛生基準規則との整合性欠如

(1) 新照度基準(300ルクス以上)と「間引き点灯」の法令抵触

厚生労働省が発行したリーフレット「職場における労働衛生基準が変わりました」にある通り,令和4年12月1日より,事務所における照度の基準が改正されました。従来の基準から引き上げられ,一般的な事務作業においては「300ルクス以上」の確保が義務付けられています。

これに対し,本件方針の「具体的取組」には,「必要な照明のみを利用し,それ以外の照明を消灯する」との記載があります。

最高裁庁舎の内装に使用されている「割肌仕上げ」や「バーナー仕上げ」の花崗岩(『空間と象徴』15頁及び16頁)は,表面の凹凸が激しく,一般的なオフィスビルの白系クロスに比べて光を拡散・吸収しやすいため,光の反射率が著しく低い傾向にあります。
また,同書170頁の音響設計に関する記述によれば,内装材には光の反射率が低い「石,金属,布等の自然の素材」が多用され,同書173頁の照明計画に関する記述によれば,当初から「均一性を良しとした照明計画ではなく,抑揚のある豊かな空間を演出する光の濃淡が望まれていた」とされています。つまり,作業効率よりも意匠性や「陰影」を重視した重厚な空間設計がなされています。
「中長期保全計画」の内装項目においても,「石張り」や「擬石吹き付け」といった光を吸収しやすい仕上げ材が明記されています(同計画1頁等)。

この物理的環境下で,照度計による実測を行わずに,感覚的な「間引き点灯」を行えば,作業面の照度は容易に300ルクスを下回ります。これは明確な「事務所衛生基準規則違反(法令違反)」の状態です。

(2) 国が認めた「旧基準の不備」を無視する運用

上記の規則改正は,国(厚労省)が「現在の知見に基づいて」,従来の基準では労働者の健康や作業能率を守れないと判断したために行われたものです。

それにもかかわらず,最高裁判所が,改正前の古い慣習や,「とにかく消せばよい」という精神論的な節電対策を漫然と続けることは,コンプライアンスの観点から深刻な問題です。「庁舎の沿革」や「修繕履歴」を見れば,平成30年から31年にかけて「照明器具更新(LED化)」が行われている事実は確認できます(沿革12頁,履歴3頁等)。
しかし,光源がLED化されたとしても,前述した内装材の吸光特性が変わらなければ,間引き点灯下での照度均斉度の確保は困難です。

トイレの独立個室化などアメニティの向上には言及する一方で,最も長い時間を過ごす執務室の「光」と「熱」の環境を劣悪にすることは,法改正の趣旨に逆行しています。

2 安全配慮義務違反のリスク評価

(1) 予見可能性と結果回避義務の不履行

使用者は,労働者が生命・身体の安全を確保しつつ労働できるよう必要な配慮をする義務(労働契約法第5条,安全配慮義務)を負います。

以下の要素を考慮すると,本件方針は安全配慮義務違反の過失認定を受けやすい状態にあります。

  • 予見可能性:「石造りの建物が高温になりやすいこと」「IT機器が熱を発すること」「法改正により照度や環境基準が厳格化されたこと」は,施設管理者が容易に認識できる事実であり,これによる健康被害(熱中症,眼精疲労,メンタルヘルス不調)は十分に予見可能です。

  • 結果回避義務:それを知りながら,「一律28度」「窓開け」「エレベーターの一部停止」といった,健康リスクを高める措置を講じていることは,回避義務を果たしていないと判断されます。

(2) 煩雑な延長申請手続きが構成する「安全への心理的障壁」

本件事務連絡の「冷房運転の運用について」の3項には,午後5時45分以降の運転延長についての手続きが記されています。「書面に記載」し,「総括係配布リスト宛てに申請」し,「期限までにまとめて申請」するなど,極めて手続きが煩雑で官僚的です。

このような煩雑な手続きは,職員に対し「面倒だから我慢しよう」「申請したら迷惑がられる」という心理的抑制(萎縮効果)をもたらします。公務上の必要性があって残業をしているにもかかわらず,空調がない過酷な環境での業務を余儀なくされ,その結果として健康被害が発生した場合,この「申請制度の使いにくさ」自体が,使用者の安全配慮義務不履行の一態様として,過失認定の補強材料(構成要素)となり得ます。

第5 専門家チームによる総括と提言

1 以上の通り,最高裁判所が示した「夏季の節電方針」は,公開されている内部資料(沿革,保全計画,修繕履歴)が示す「物理的実態」と照らし合わせても,以下の3点において重大な欠陥を抱えています。

  1. 建築物理学の無視:「庁舎の沿革」等が示す通り,厚さ数メートル,総面積数万平方メートルに及ぶSRC造及び石造建築物の巨大な熱慣性を考慮しない運転時間は,エネルギー効率を悪化させ,建物を「蓄熱暖房機」化させている。

  2. IT環境との不整合:「修繕履歴」が示すサーバー室空調の過酷な稼働実態を無視し,デジタル化された現代の業務機器が発する熱負荷に対し,昭和時代の温度設定(28度)を適用することで,機器と人間の双方にダメージを与えている。

  3. 法的・医学的リスク:改正された労働衛生基準(照度300ルクス等)を遵守せず,医学的に見て熱中症や認知機能低下を招く環境を放置している。

2 私たちは専門家として,直ちに以下の改善措置を講じることを強く提言します。

  • 「28度目安」の撤回と実測管理:室温計の数字ではなく,「WBGT(暑さ指数)」と「照度」を実測し,MRT(平均放射温度)を考慮した法令基準及び快適性基準を満たすよう,柔軟な設定温度(25〜26度等)への引き下げを認めること。

  • プレクーリングの導入:建物の熱慣性を考慮し,始業前に躯体を冷却する運転モードを導入すること。

  • 窓開けの原則禁止:機械換気の稼働を前提とし,湿度管理とトラッキング火災防止のため,窓閉め運用を徹底すること。

  • 延長申請の簡素化:事後報告やワンクリック申請など,必要な時に躊躇なく空調を使える仕組みへ改めること。

3 本稿の分析を踏まえ,現場で働く職員の皆様が,ご自身の健康と安全を守るためにできる具体的なアクションを提案します。

・ 客観的データの提示:机上に安価な温湿度計だけでなく,「WBGT計(熱中症指数計)」を設置し,実際の危険度を数値で管理者に提示してください。

・ 産業医への相談:体調不良を感じた際は,我慢せずに産業医面談を申し入れ,「執務環境の劣悪さ」をカルテ等の記録に残すことが重要です。

4 最高裁判所におかれましては,「法の番人」として,まずは自らの足元である職員の労働環境において,最新の法令と科学的知見を遵守されることを切に願います。