昭和天皇の崩御に際会して行う特別恩赦基準(平成元年2月8日臨時閣議決定)

昭和天皇の崩御に際会して行う特別恩赦基準

(趣旨)

昭和天皇の崩御に際会し、内閣は、この基準により特赦、特別減刑、刑の執行の免除及び特別復権を行うこととする。

(対象)

この基準による特赦、特別減刑、刑の執行の免除又は特別復権は、昭和六十四年一月七日(以下「基準日」という。)の前日までに有罪の裁判が確定している者に対して行う。ただし、第四項及び第五項においてそれぞれただし書をもって定める場合は、その定めによるものとする。

(出願又は上申の手続)
1 この基準による特赦、特別減刑、刑の執行の免除又は特別復権については、本人の出願を待って行うものとし、本人は、平成元年二月二十四日から同年五月二十三日までに刑務所(少年刑務所及び拘置所を含む。以下同じ。)若しくは保護観察所の長又は検察官に対して出願をし、刑務所若しくは保護観察所の長又は検察官は、同年八月二十三日までに中央更生保護審査会に対して上申をするものとする。ただし、前項ただし書に係る場合については、同日までに出願をし、同年十一月二十四日までに上申をすることができるものとする。

2 前号の定めは、この基準による特赦、特別減刑、刑の執行の免除又は特別復権について、刑務所若しくは保護観察所の長又は検察官の職権による上申を妨げるものではない。この場合の上申期限は、同号に定めるところによる。

(特赦の基準)
特赦は、基準日の前日までに刑に処せられた次に掲げる者のうち、犯情、本人の性格、行状、犯罪後の状況、社会の感情等にかんがみ、特に赦免することが相当であると認められる者について行う。ただし、第7号及び第8号に掲げる者については、同日までに略式命令の送達、即決裁判の宣告又は有罪、無罪若しくは免訴の判決の宣告を受け、平成元年五月二十三日までにその裁判に係る罪について有罪の裁判が確定した者に対しても、特にこの基準による特赦を行うことができるものとする。
1 大赦令 (平成元年政令第二十七号)第一条に掲げる罪を犯した者で、同令第二条により赦免を得ないもの。ただし、他の罪の罪質が軽微である場合に限る。
2 大赦令第一条に掲げる罪と他の罪との併合罪につき併合して一個の刑に処せられた者で、他の罪が同条に掲げる罪に付随して犯され、その罪質が軽微であるもの
3 少年のとき犯した罪により刑に処せられ、基準日の前日までにその執行を終わり又は執行の免除を得た者
4 基準日において七十歳以上の者で、有期刑に処せられ、基準日の前日までに刑期の二分の一以上その執行を受けたもの
5 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり又は執行の免除を得た日から基準日の前日までに五年以上を経過した者のうち、その刑に処せられたことが現に公共的社会生活上の障害となっている者
6 有期刑に処せられ、その執行を猶予され、基準日の前日までにその猶予の期間の二分の一以上を経過した者のうち、その刑に処せられたことが現に公共的社会生活上の障害となっている者
7 有期刑に処せられた者(刑法(明治四十年法律第四十五号)の罪(過失犯を除く。)、同法以外の法律において短期一年以上の刑を定める罪又は薬物に係る罪により刑に処せられた者を除く。)のうち、社会のために貢献するところがあり、かつ、その刑に処せられたことが現に公共的社会生活上の障害となっている者

8 罰金に処せられ、その執行を猶予された者又は基準日の前日までにその執行を終わり若しくは執行の免除を得た者のうち、その刑に処せられたことが現に社会生活上の障害となっている者

(特別減刑の基準)
1 特別減刑は、基準日の前日までに懲役又は禁錮に処せられた次に掲げる者のうち、犯情、本人の性格、行状、犯罪後の状況、社会の感情等にかんがみ、特に減刑することが相当であると認められる者について行う。ただし、(五)に掲げる者については、同日までに略式命令の送達、即決裁判の宣告又は有罪、無罪若しくは免訴の判決の宣告を受け、平成元年五月二十三日までにその裁判に係る罪について有罪の裁判が確定した者に対しても、特にこの基準による減刑を行うことができるものとする。
(一)少年のとき犯した罪により有期刑に処せられ、その執行を終わっていない者又は執行の免除を得ていない者(執行猶予中の者を除く。)で次に掲げるもの
(1) 法定刑の短期が一年以上に当たる罪を犯した場合は、基準日の前日までに刑期の二分の一以上その執行を受けた者(不定期刑に処せられた者については、短期の二分の一以上その執行を受けた者)
(2) その他の場合は、基準日の前日までに刑期の三分の一以上その執行を受けた者(不定期刑に処せられた者については、短期の三分の一以上その執行を受けた者)
(二)少年のとき犯した罪により有期刑に処せられ、その執行を猶予され、基準日の前日までにその猶予の期間の三分の一以上を経過した者
(三)基準日において七十歳以上の者のうち、刑の執行を終わっていない者又は執行の免除を得ていない者(執行猶予中の者を除く。)で次に掲げるもの
(1) 有期刑に処せられ、基準日の前日までに刑期の三分の一以上その執行を受けた者
(2) 無期刑に処せられ、基準日の前日までに十年以上その執行を受けた者
(四)有期刑に処せられ、その執行を猶予され、基準日の前日までにその猶予の期間の三分の一以上を経過した者のうち、その刑に処せられたことが現に公共的社会生活上の障害となっている者
(五)有期刑に処せられた者(刑法の罪(過失犯を除く。)、同法以外の法律において短期一年以上の刑を定める罪又は薬物に係る罪により刑に処せられた者を除く。)で、その執行を終わっていないもの又は執行の免除を得ていないもののうち、その刑に処せられたことが現に公共的社会生活上の障害となっているもの
2 減刑は、次の例による。
(一)無期懲役は、十五年の有期懲役とし、無期禁錮は、十五年の有期禁錮とする。
(二)有期の懲役又は禁錮については、次の例により刑期を変更する。
(1) 基準日において七十歳以上の者の場合にあっては、刑期の三分の一を超えない範囲で、その刑を減ずる。
(2) その他の者の場合にあっては、刑期の四分の一を超えない範囲で、その刑を減ずる。
(三) 不定期刑については、短期及び長期について(二)の(2)の例による。

(四) 懲役又は禁錮について言い渡された執行猶予の期間は、その四分の一を超えない範囲で短縮する。

(刑の執行の免除の基準)
刑の執行の免除は、基準日の前日までに懲役又は禁錮に処せられた次に掲げる者のうち、犯情、本人の性格、行状、犯罪後の状況、社会の感情等にかんがみ、特に刑の執行の免除をすることが相当であると認められる者について行う。
1 病気その他の事由により基準日までに長期にわたりその刑の執行を停止されている者で、なお長期にわたりその執行に耐えられないと認められるもの

2 基準日において七十歳以上の者で、仮出獄を許されてから基準日の前日までに二十年以上を経過したもの

(特別復権の基準)
特別復権は、基準日の前日までに、一個若しくは二個以上の裁判により禁錮以上の刑に処せられ又は一個若しくは二個以上の裁判により罰金及び禁錮以上の刑に処せられて禁錮以上の刑につきその全部の執行を終わり又は執行の免除を得た次に掲げる者のうち、犯情、本人の性格、行状、犯罪後の状況、社会の感情等にかんがみ、特に復権することが相当であると認められる者について行う。
1 禁錮以上の刑につきその全部の執行を終わり又は執行の免除を得た日から基準日の前日までに三年以上を経過し、刑に処せられたことが現に社会生活上の障害となっている者
2 社会のために貢献するところがあり、かつ、刑に処せられたことが現に公共的社会生活上の障害となっている者

3 基準日において七十歳以上の者

(その他)

この基準に当たらない者であっても、特赦、特別減刑、刑の執行の免除又は特別復権を行うことが相当であると認められるものについては、常時恩赦の対象として考慮するものとする。

(実施の時期)
この基準による特赦、特別減刑、刑の執行の免除及び特別復権は、平成元年二月二十四日から行うものとする。