プライバシー保護に関する,司法行政文書開示手続の判断例及び最高裁令和2年10月9日判決(家庭裁判所調査官の論文及び書籍はプライバシー権を侵害しないとしたもの)

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目次
第1 プライバシー保護に関する,司法行政文書開示手続の判断例
1 松山市の20代女性が窃盗容疑で愛媛県警松山東署に誤認逮捕されたかどうかは不開示情報であること
2 平成30年12月21日に公表された,カルロス・ゴーンの勾留延長却下に対する東京地検の準抗告を退けた理由の要旨が書いてある文書は不開示情報であること
第2 プライバシー保護に関する,最高裁令和2年10月9日判決(自ら担当した少年保護事件に関する家庭裁判所調査官の論文及び書籍はプライバシー権を侵害しないとしたもの)
1 事案の内容及び結論
2 家庭裁判所調査官の論文の内容
3 家庭裁判所調査官の書籍の出版
4 インターネット検索の結果
5 本ブログ記事におけるインターネット検索の結果に関する記載はあくまでも参考程度にして欲しいこと
6 判決文の匿名化基準には疑問を感じること
第3 裁判官及び裁判所職員の文書廃棄義務
第4 関連記事その他

第1 プライバシー保護に関する,司法行政文書開示手続の判断例
1 松山市の20代女性が窃盗容疑で愛媛県警松山東署に誤認逮捕されたかどうかは不開示情報であること
(1) 最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会の答申内容
ア 令和2年9月24日答申(令和元年度(情)第25号)には「委員会の判断の理由」として以下の記載があります(1及び2を①及び②に置き換えています。)。
① 本件開示の申出の内容からすれば,本件開示申出文書の存否を明らかにすると,特定市の特定年代の女性が特定犯罪の容疑で特定警察署に逮捕されたという事実の有無(以下「本件存否情報」 という。 )が公になると認められる。本件存否情報は,特定の個人を識別することができる情報には当たらないものの,仮に上記事実に該当する女性が存在した場合において, 当該女性に関して入手可能な他の情報と照合することにより, 当該女性が識別される可能性があることは完全には否定できず,ひいては, 当該女性の逮捕歴という機微な情報が明らかとなって当該女性の権利利益を害するおそれがあるといえる。したがって,本件存否情報は,公にすることにより,個人の権利利益を害するおそれがある情報であると認められる。
   よって,本件開示申出文書については,その存否を答えるだけで法5条1号後段に規定する情報に相当する不開示情報を開示することになると認められる。
② 以上のとおり,原判断については,本件開示申出文書の存否と答えるだけで法5条1号後段に規定する情報に相当する不開示情報を開示することになると認められるから,妥当であると判断した。
イ 本件開示申出文書は,「松山市の20代女性が窃盗容疑で愛媛県警松山東署に誤認逮捕された問題について,逮捕状を出した裁判官の氏名が書いてある文書」ですから,本件開示申出文書が開示された場合,当該裁判官の権利利益を害するおそれがあるものの,そのことは不開示理由になっていません。
 しかし,結果として,誤認逮捕された女性のプライバシー保護の反射的効果として,誤認逮捕に関する逮捕状を出した裁判官の氏名が開示されない結果となりました。


(2) 松山市の20代女性が窃盗容疑で愛媛県警松山東署に誤認逮捕された事件自体は松山地裁及び愛媛県警察によって公表されていること
ア 愛媛弁護士会HPの「愛媛弁護士会意見・会長声明」に,令和元年11月28日付の,愛媛県警察(松山東警察署)誤認逮捕事件に抗議する会長声明が掲載されています。
 当該会長声明には,「本年7月,愛媛県警察(松山東警察署)がタクシー窃盗事件の被疑者として20代の女性を誤認逮捕する事件が発生した。」と書いてあるにもかかわらず,その全文が松山地裁によって開示されました令和元年11月28日付の,愛媛県警察(松山東警察署)誤認逮捕事件に抗議する会長声明参照)。
イ 篠原英樹愛媛県警察本部長(令和元年9月9日着任)は,令和元年9月18日の愛媛県議会の定例会において以下の答弁をしており(発言番号はNo.15),松山東警察署が女性を誤認逮捕した事実を公表しています。
 松山東警察署の誤認逮捕についての御質問のうち、今回の事案の問題点に関する御質問にお答えいたします。
 今回の事件では、事件と全く無関係の女性を逮捕しており、当事者の女性にはまことに申しわけないと思っております。
 現在、県警では、被疑者特定の経緯、裏づけ捜査の状況、捜査指揮のあり方等、誤認逮捕に至った要因や取り調べの状況について調査中であり、結果を取りまとめた上で、丁寧に御説明したいと考えているところでございます。
 現時点で把握している問題点としては、タクシー内のドライブレコーダーの映像を誤認逮捕された女性と見誤ったことや幹部によるチェック機能がおろそかになったことが挙げられます。
 捜査、特に逮捕に関しては、客観証拠の収集、裏づけ捜査等を幅広く、かつ厳格に行うことが重要と考えております。
 県警においてしっかり調査を行い、その結果を踏まえ、今後、同じような事案が二度と起こらないよう再発防止に努めてまいりたいと考えております。

2 平成30年12月21日に公表された,カルロス・ゴーンの勾留延長却下に対する東京地検の準抗告を退けた理由の要旨が書いてある文書は不開示情報であること
(1) 最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会の答申内容
ア 令和2年9月24日答申(令和2年度(情)答申第12号)には「第6 委員会の判断の理由」として以下の記載があります(1,2及び3を①,②及び③に置き変えています。)。
① 本件開示の申出の内容からすれば,本件開示申出文書の存否が明らかにされた場合,特定人が当該申出で例示された準抗告事件を含む特定の刑事事件の当事者であるという事実の有無が公になり,したがって,この情報は法5条1号に規定する個人識別情報に相当すると認められる。
② 苦情申出人は,報道機関による報道を主な根拠として,特定人の刑事事件に関し,東京地方検察庁の準抗告を退けた理由の要旨については東京地方裁判所が報道各社に明らかにしたものであるから,慣行として公にすることが予定されている情報であるといえる旨を主張し, これに対して,最高裁判所事務総長は,当該特定人の準抗告に関する報道は報道機関の責任において当該報道がされたものであり,そのことをもって,上記情報が法令の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報とはいえない旨説明する。
 この点につき,当委員会庶務を通じて確認した結果によれば,東京地方裁判所が報道機関からの個別の取材に応じたことはあったものの,裁判所として公表したものはないことが認められる。このことも踏まえて検討すれば,特定の刑事事件に関する当事者名等の情報が新聞等で報道され,そのことにより,当該情報が一時的に公衆の知り得る状態に置かれたとしても,これはあくまでも報道機関がした取材の結果に基づき,当該報道機関の報道に関する方針等に沿ってそれぞれ報道されたものにとどまるから,そのことをもって,当該情報が慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報に該当することになるとはいえない。
 以上によれば,特定人が準抗告事件を含む特定の刑事事件の当事者であるという事実の有無に関する情報について,法5条1号ただし書イに掲げる情報に相当する事情があるとはいえない。
 したがって,苦情申出人の上記主張は採用できない。
 そのほか,法5条1号ただし書ロ及びハに掲げる情報に相当するような事情も認められない。
 よって,本件開示申出文書については,その存否を答えるだけで法5条1号に規定する情報に相当する不開示情報を開示することになると認められる。
③ 以上のとおり,原判断については,本件開示申出文書の存否を答えるだけで法5条1号に規定する情報に相当する不開示情報を開示することになると認められるから,妥当であると判断した。
イ 本件開示申出文書は,「平成30年12月21日に公表された,カルロス・ゴーンの勾留延長却下に対する東京地検の準抗告を退けた理由の要旨が書いてある文書」です。
(2) 産経新聞HPの「東京地裁、ゴーン容疑者めぐり異例の対応…準抗告の棄却理由公表」(2018年12月21日付)には以下の記載があります。
 東京地裁は21日、日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン容疑者(64)らの勾留延長を認めなかった20日の決定に対する東京地検特捜部の準抗告を棄却した理由を公表した。異例の対応で、裁判所の決定に海外からも注目が集まっており、説明責任を果たす必要があると判断したもようだ。


第2 プライバシー保護に関する,最高裁令和2年10月9日判決(自ら担当した少年保護事件に関する家庭裁判所調査官の論文及び書籍はプライバシー権を侵害しないとしたもの)
1 事案の内容及び結論
(1) 事案の内容
ア 判決文1頁によれば,「家庭裁判所調査官であった上告人Y1は,被上告人に対する少年保護事件を題材とした論文を精神医学関係者向けの雑誌及び書籍に掲載して公表した。本件は,被上告人が,この公表等によりプライバシーを侵害されたなどと主張して,上告人Y1,上記雑誌の出版社である上告人アークメディア及び上記書籍の出版社である上告人金剛出版に対し,不法行為に基づく損害賠償を求める事案」です。
イ 判決文3頁には,「被上告人は,先天的な発達障害の一種であるアスペルガー症候群(以下「本件疾患」という。)を有するとの診断を受けていた。 」とか,「上告人Y1は,平成N+2年■月までに家庭裁判所調査官を退官し,同年■月,大学の心理学部教授に就任した。 」と書いてあります。
(2) 事案の結論
・ 判決文7頁には,結論として以下の記載があります。
   以上の諸事情に照らすと,本件プライバシー情報に係る事実を公表されない法的利益がこれを公表する理由に優越するとまではいい難い。したがって,本件各公表が被上告人のプライバシーを侵害したものとして不法行為法上違法であるということはできない。そうすると,本件各公表が違法であることを理由とする被上告人の上告人らに対する損害賠償請求は,いずれも理由がない。
2 家庭裁判所調査官の論文の内容
・ 判決文2頁及び3頁によれば以下のとおりです(本件月刊誌というのは,株式会社アークメディアの発行に係る臨床精神医学に関する月刊誌です。)。
ウ 上告人アークメディアは,本件論文を採用し,これを平成N+1年■月発行の本件月刊誌(以下「本件掲載誌」という。)に掲載した(以下,上告人Y1が本件論文を本件掲載誌において公表した行為を「本件公表」という。)。被上告人は,本件公表の当時,19歳であった。 
(3)   上告人Y1は,本件保護事件における調査の際に作成した手控えを基礎資料として本件論文を執筆した。その内容は,本件掲載誌における論文特集の前記趣旨に沿ったものであった。上告人Y1は,本件論文において取り上げた「少年」(以下「対象少年」ともいう。)が容易に特定されることがないように,対象少年の氏名や住所等の記載を省略しており,本件論文には,対象少年やその関係者を直接特定した記載部分はなく,対象少年や父親の年齢等を記載した箇所はあるものの,本件保護事件が係属した時期など,本件論文に記載された事実関係の時期を特定した記載部分もなかった。
   他方において,上告人Y1は,本件論文の執筆に当たり,症例の事実それ自体を加工すると本件疾患の症例報告としての学術的意義が弱まることを懸念し,本件疾患の診断基準に合致するエピソードをそのまま記載していた。また,本件論文には,対象少年の家庭環境や生育歴に関して具体的な記載がされ,学校生活における具体的な出来事も複数記載されていたことから,これらを知る者が,本件論文を読んだ場合には,その知識と照合することによって対象少年を被上告人と同定し得る可能性はあった。なお,精神医学の症例報告を内容とする論文においては,一般的に,患者の具体的な症状のほか,家族歴,既往歴,生育・生活歴,現病歴,治療経過,考察等を必須事項として正確に記載することが求められていた。
   本件論文には,対象少年の非行事実の態様,母親の生育歴,小学校における評価,家庭裁判所への係属歴及び本件保護事件の調査における知能検査の状況に関する記載部分があり,これらの記載部分には,対象少年である被上告人のプライバシーに属する情報が含まれていた(以下,上記記載部分に含まれる被上告人のプライバシーに属する情報を「本件プライバシー情報」という。)。
3 家庭裁判所調査官の書籍の出版
・ 判決文3頁及び4頁には以下の記載があります。
   上告人金剛出版は,平成N+4年■月,本件論文を含め,上告人Y1がそれまでに発表した論文を1冊にまとめた書籍(以下「本件書籍」という。)を出版した(以下,上告人Y1が本件論文を本件書籍に掲載して再公表した行為を「本件再公表」といい,本件公表と併せて「本件各公表」という。)。本件書籍は,少年事件において発達障害を有する者に関与した事例についての知識を共有することをもって,精神医学,臨床心理学その他関連領域における研究活動の促進を図るとともに,本件疾患を含む発達障害に対する正しい理解を広めることを目的としたものであり,研究者等を読者と想定して市販された専門書籍であった。
4 インターネット検索の結果
(1)ア 令和2年10月10日現在,判決文を参照して,「アークメディア 臨床精神医学 アスペルガー」でグーグル検索すれば,「臨床精神医学 Vol.34 No.9 特大号 2005年9月 「アスペルガー症候群をめぐって-症例を中心に-」 雑誌 – 2005/1/1」に関するアマゾンの販売サイトが1位表示されます。
イ メディカルオンラインHP「臨床精神医学34巻9号」において,個別の論文を110円で購入できるみたいですが,1334頁ないし1342頁に関する部分はなぜか含まれていません。
(2) 令和2年10月10日現在,判決文を参照して,「金剛出版 少年事件 発達障害 家庭裁判所調査官 アマゾン」でグーグル検索すれば,「大阪、京都、名古屋、東京等の家裁勤務を経て、京都ノートルダム女子大学心理学部教授」に就任した藤川洋子(Wikipediaによれば,2006年に大阪家庭裁判所総括主任家裁調査官として退職したとのことです。)が著した,2008年7月8日出版の「発達障害と少年非行―司法面接の実際」に関するアマゾンの販売サイトが1位表示されていますし,紀伊國屋書店の「発達障害と少年非行―司法面接の実際」の目次によれば,「第9章 特異な非行とアスペルガー障害―最優域知能を持つ少年との面接」が含まれています。
   そのため,私は同日,アマゾンで「発達障害と少年非行-司法面接の実際」を注文しました。
5 本ブログ記事におけるインターネット検索の結果に関する記載はあくまでも参考程度にして欲しいこと
(1) 前述したとおり,最高裁判所は,松山市の20代女性が窃盗容疑で愛媛県警松山東署に誤認逮捕された問題に関する文書の存否が明らかになった場合,当該女性の逮捕歴という機微な情報が明らかとなって当該女性の権利利益を害するおそれがあると判断しているぐらい,個人識別情報の範囲を広く解釈しています。
   また,下級裁判所判例集に掲載する裁判例の選別基準等について(平成29年2月17日付の最高裁判所事務総局広報課長等の事務連絡)が定める掲載に関する基準に違反して,刑事事件の判決を裁判所ウェブサイトに掲載する判断に関与した当該刑事事件の裁判長裁判官らは,厳重注意又は注意の対象となりました(最高裁大法廷令和2年8月26日決定,及び「栃木力裁判官(33期)の経歴」参照)。
   さらに,犬の返還請求等に関する民事訴訟を提起して犬の返還請求が認められた当事者の感情をツイートによって傷つけた46期の岡口基一裁判官は,最高裁大法廷平成30年10月17日決定によって戒告されました(「岡口基一裁判官に対する分限裁判」参照)ことからすれば,最高裁判所は,裁判所ウェブサイトの記載によって当事者の感情を傷つけることがないようにしていると思います。
   しかも,少年法61条は,「家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。」と定めています。
   そのため,最高裁判所としては,インターネット検索で簡単に特定できるような機微情報を含んだ状態の判決文を裁判所ウェブサイトで公表することはないと思われますから,本ブログ記事で言及したインターネット検索の結果と,最高裁令和2年10月9日判決が取り扱った事案とは無関係であるかもしれません。
(2) 私は,破産管財人をした後に非免責債権に関して破産者の訴訟代理人をした兵庫県弁護士会副会長経験者が日弁連懲戒委員会の全員一致で懲戒不相当にされる理由を理解できる能力すら有していません(「弁護士会副会長経験者に対する懲戒請求事件について,日弁連懲戒委員会に定型文で棄却された体験談(私が情報公開請求を開始した経緯も記載しています。)」参照)。
(3) そういうわけですから,本ブログ記事におけるインターネット検索の結果に関する記載はあくまでも参考程度にしてください
6 判決文の匿名化基準には疑問を感じること
(1) 「アスペルガー症候群(以下「本件疾患」という。)」及び「発達障害」という部分を,例えば,「特定症候群(以下「本件疾患」という。)」及び「特定障害」という表記にされていた場合,判決文を見ただけでは,インターネット検索でそれらしきホームページを見つけることすら無理でした。
 また,「アスペルガー症候群」及び「発達障害」に着目した判断が最高裁令和2年10月9日判決でなされているわけではありませんから,アスペルガー症候群及び発達障害という単語を出さかったからといって,判例としての学術的意義が弱まることはなかったと思います。
   そのため,裁判所ウェブサイトにおいて判決文のこれらの表記を残した理由は不明であって,判決文の匿名化基準には疑問を感じるところです。
(2) 例えば,令和2年10月10日現在,「金剛出版 少年事件 家庭裁判所調査官 アマゾン」でグーグル検索すれば,家庭裁判所調査官が少年事件に関して出版した本の販売ページが7つ表示されます。


第3 裁判官及び裁判所職員の文書廃棄義務
1 裁判官の文書廃棄義務
(1) 裁判官が所持する裁判書の写し等の廃棄に関する申合せ(平成29年12月19日付の高等裁判所長官申合せ)には以下の記載があります(「裁判官が所持する裁判書の写し等の廃棄に関する申合せに関する照会及び回答(平成29年12月)」に含まれている文書です。)。
 裁判官が事件処理に関し職務上作成し,又は取得した判決書,決定書,審判書等の裁判書の写しその他の書類(事件記録の写し,事件の手控え,期日メモ(合議メモ) ,和解条項の写し等をいう。 )で所持するものについては,裁判情報を適切に管理するという観点から,退官時までには,廃棄するものとすること。
(2) 裁判官が所持する裁判書の写し等の廃棄に関する申合せ(平成29年12月20日付の最高裁判所裁判官会議申合せ)には以下の記載があります。
 裁判官が事件処理に関し職務上作成し,又は取得した判決書,決定書,審判書等の裁判書の写しその他の書類(事件記録の写し,調査報告書,事件の手控え,期日メモ(合議メモ)等をいう。 )で所持するものについては,裁判情報を適切に管理するという観点から,退官時までに,廃棄するものとする。
(3) 裁判官が所持する裁判書の写し等の廃棄に関する申合せ(平成29年12月19日付の高等裁判所長官申合せ)の違反事例について最高裁判所が作成した文書は存在しません。


2 裁判所職員の文書廃棄義務
(1) 裁判官以外の裁判所の職員が所持する裁判事務に関する書類の廃棄について(平成31年2月20日付の最高裁判所事務総長通達)には以下の記載があります(1及び2を①及び②に置き換えています。)。
① 職員は,その所持する裁判事務に関する書類を職務上利用する必要がなくなったときは,速やかにこれを廃棄しなければならない。
② 職員(退職し,又はその任期が満了した後に,再び職員として勤務することが予定されている者を除く。)は,退職し,又はその任期が満了するまでに,その所持する裁判事務に関する書類を全て廃棄しなければならない。
(2) 平成31年2月20日付の最高裁判所事務総長通達が守られている場合,最高裁令和2年10月9日判決が取り扱った事案と同じような事案が再び起きることはない気がします。

第4 関連記事その他
1 以下の資料を掲載しています。
・ 最高裁判所調査官事務取扱要領(平成27年3月31日最高裁判所首席調査官事務取扱要領)
・ 最高裁判所民事・行政調査官室作成の「判例集・裁判集登載事項等に関する事務処理要領(平成27年7月)」
・ 下級裁判所判例集に掲載する裁判例の選別基準等について(平成29年2月17日付の最高裁判所事務総局広報課長等の事務連絡)
2 以下の記事も参照してください。
・ 裁判所の情報公開に関する通達等
・ 裁判文書の文書管理に関する規程及び通達
・ 家庭裁判所調査官の役職
→ 総括主任家裁調査官は,首席家裁調査官及び次席家裁調査官に次ぐ役職です。
・ 首席家庭裁判所調査官の職務

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