親任式及び認証官任命式

Pocket

1 総論
(1) 皇居での親任式及び認証官任命式は発令日に行われます。
 
2 親任式
(1)   内閣総理大臣及び最高裁判所長官は,皇居での親任式によって任命されます。
なお,内閣総理大臣は国会の指名に基づいて任命され(憲法6条1項),最高裁判所長官は内閣の指名に基づいて任命されます(憲法6条2項)。
(2) 最高裁判所長官に関する親任式の場合,天皇から任命する旨のお言葉があった後,内閣総理大臣から官記(任命書)が伝達されます(宮内庁HPの「親任式」参照)。
(3) 「きょうのへいか」と題するブログ「親任式」に,これまでの親任式に関する官報の記事が記載されています。

3 認証官任命式
(1)ア   最高裁判所判事及び高等裁判所長官は,任免につき天皇の認証(憲法7条5号)を必要とする点で「認証官」といわれ,皇居での認証官任命式によって任命されます。
イ 平成20年12月31日までに実施された認証官任命式は355件・1755人です(宮内庁HPの「認証官任命式」参照)。
(2) 認証官任官者は,内閣総理大臣から辞令書を受け,その際,天皇からお言葉があるのが慣例です(宮内庁HPの「認証官任命式」参照)。
(3) 外部ブログの「きょうのへいか」「認証官任命式」に,これまでの認証官任命式に関する官報の記事が記載されています。
(4) 認証官は以下のとおりです。
① 一般の行政機関
 国務大臣,副大臣,内閣官房副長官,人事官,検査官,公正取引委員会委員長,原子力規制委員会委員長
② 宮内庁
 宮内庁長官,侍従長
③ 外務省
 特命全権大使,特命全権公使
④ 裁判所
 最高裁判所判事,高等裁判所長官
⑤ 検察庁
 検事総長,次長検事,検事長
(5)ア 衆議院議員河野太郎HPの「国務大臣認証式」によれば,平成27年10月7日の認証官任命式(国務大臣)は以下のとおりでした。
認証官任命式。
官制順に並ぶ。
一人ずつ入室し、陛下と視線を合わせた上、一礼。
陛下の御前まで進み、陛下と視線を合わせた上、敬礼。
右斜め前にいる総理の前に進み、国務大臣に任命する旨の官記を受領し、両手で持ったまま陛下の御前に戻る。(この際、後方にいる式部官が河野国務大臣と名前を読み上げる)
陛下と視線を合わせた上、敬礼。
陛下からお言葉。(この際、何も申し上げないこと)
官記を両手で持ったまま陛下と視線を合わせた上、敬礼。
そのまま三歩後退して向きを変え、出口まで進み、再び陛下のほうに向きなおり、陛下と視線を合わせた上、一礼。
退出。
イ BLOGOSに「認証官任命式と内奏」(令和元年7月27日付)が載っています。
(6) 
日本証券経済研究所(JSRI)HPに掲載されている「司法制度について 最高裁判所を中心に」(平成30年5月10日開催の講演録の要旨。講師は大橋正春 元最高裁判所判事)の末尾57頁及び58頁には以下の記載があります。ただし,資料は掲載されていません。
(任命・認証の手続き)
最高裁長官は天皇陛下から任命され、最高裁判事は天皇陛下から認証を受けます。資料8ページの左側の写真は長官の任命式、右側の写真は判事の認証式のものです。
 任命式や認証式に臨むに当たっては、事前に宮内庁の担当者から説明と注意があります。慣れないことであり、また緊張する結果、思わぬ対応をする人も出てくるようです。これは、最高裁裁判官のことではありませんが、「天皇陛下からお言葉をかけられても返事をしないように」と事前に注意を受けていたにもかかわらず、天皇陛下から「ご苦労さまです。」と言われて、思わず「がんばります」と答えた人もいたようです。あるいは、天皇陛下から短いお言葉があった後、もっと続くのではないかと思い、しばらく天皇陛下とにらめっこしていた人もいたようです。

4 認証官任命式が遅れた事例
(1) 平成28年1月実施予定の認証式
平成28年2月22日就任の広島高裁長官及び仙台高裁長官の場合,同年1月26日から同月30日までのフィリピン訪問(宮内庁HPの「天皇・皇族の外国ご訪問一覧表(平成21年~平成31年)」参照)など多忙な天皇の予定の調整が付かなかったため,前任者の退任から約1ヶ月間,認証式が実施されませんでした(産経ニュースの「1ヶ月の空席…認証式経て,仙台・広島両高裁長官の人事発令」参照)。
(2) 平成29年1月実施予定の認証式
ア 山口厚最高裁判所判事及び小林昭彦福岡高裁長官の人事は当初,平成29年1月27日に発令される予定でした。
しかし,同日に認証式が実施できなかったため,発令が2月6日となりました。
イ 平成29年1月13日付の,山口厚最高裁判所判事及び小林昭彦福岡高裁長官任命の閣議書を掲載しています。
山口厚最高裁判事は東大法学部3年生で司法試験に合格したことが分かります。

5 任命と認証の違いに関する国会答弁
味村治内閣法制局第一部長は,昭和55年3月27日の参議院内閣委員会において以下の答弁をしています。
①  先生の御指摘のように、第六条では、内閣総理大臣または最高裁判所の長たる裁判官は天皇が任命するということになっておりますし、その他の官吏につきましては認証する場合があるわけでございます。任命と申しますのは、もちろんその職につけることを任命というわけでございまして、認証というのは、これは任命の認証ということを例にとりますと、他の機関が任命いたしました者を、天皇がその任命の手続が正当であるということを確認されるということでございまして、事柄の重要性から申しまして、内閣総理大臣と最高裁判所長官は天皇の御任命と、それからその他の官吏で重要な職にございます者を、これは内閣なり何なりの任命した者を天皇が御認証になるという制度にしたわけでございまして、これはそれぞれの、何といいますか、職の重要性に着眼しての相違であろうかと存じます。
②  先生の御指摘になりました第七条第五号、第六号及び第八号、これらは、たとえば第五号で申し上げますれば、「国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免」、こういった事柄は内閣なり内閣総理大臣の職権に属することでございますし、七条の六号の大赦等は、これも内閣の権限の範囲内でございますし、それから八号も、外交文書はこれは内閣の権限に属するわけでございますが、これらの事柄の重要性にかんがみまして、そういった事項を荘重にすると同時に権威づける、そういったような意味合いから、七条によりましてこれらの事柄を認証するということを天皇の国事行為とされたものと理解しております。

6 以下の記事も参照してください。
① 裁判官の年収及び退職手当(推定計算)
② 判事5号以上の裁判官の給料と,指定職以上の国家公務員の給料との比較
③ 最高裁判所長官任命の閣議書
④ 最高裁判所判事任命の閣議書