目次
1 費用補償
2 刑事補償
3 関連記事その他
1 費用補償
2 刑事補償
3 関連記事その他
1 費用補償
(1) 無罪の判決が確定したときは,国は,当該事件の被告人であった者に対し,原則として,その裁判に要した費用の補償をしてくれます(刑訴法188条の2)。
(2) 費用の補償は,被告人であった者の請求により,無罪の判決をした裁判所が,決定をもって行います(刑訴法188条の3第1項)。
(3) 費用の補償の請求は,無罪の判決が確定した後6ヶ月以内にしなければなりません(刑訴法188条の3第2項)。
(4) 補償される費用の範囲は以下のものに限られます(刑訴法188条の6)。
① 被告人若しくは被告人であった者又はそれらの者の弁護人であった者が公判準備及び公判期日に出頭するに要した旅費,日当及び宿泊料
② 弁護人であった者に対する報酬
(4) 弁護士法人金岡法律事務所HPの「合理的な嫌疑を否定し公訴提起に国賠法上の違法を認めた事例」には「これは私自身も何度も経験していることであるが、費用補償事件は、「法テラスの国選弁護報酬基準を参考としつつ」報酬算定する等の考え方が定着してしまっており、私選弁護人費用からすれば、ごく一部しか補償されない。」と書いてあります。
(1) 無罪の判決が確定したときは,国は,当該事件の被告人であった者に対し,原則として,その裁判に要した費用の補償をしてくれます(刑訴法188条の2)。
(2) 費用の補償は,被告人であった者の請求により,無罪の判決をした裁判所が,決定をもって行います(刑訴法188条の3第1項)。
(3) 費用の補償の請求は,無罪の判決が確定した後6ヶ月以内にしなければなりません(刑訴法188条の3第2項)。
(4) 補償される費用の範囲は以下のものに限られます(刑訴法188条の6)。
① 被告人若しくは被告人であった者又はそれらの者の弁護人であった者が公判準備及び公判期日に出頭するに要した旅費,日当及び宿泊料
② 弁護人であった者に対する報酬
(4) 弁護士法人金岡法律事務所HPの「合理的な嫌疑を否定し公訴提起に国賠法上の違法を認めた事例」には「これは私自身も何度も経験していることであるが、費用補償事件は、「法テラスの国選弁護報酬基準を参考としつつ」報酬算定する等の考え方が定着してしまっており、私選弁護人費用からすれば、ごく一部しか補償されない。」と書いてあります。
2 刑事補償
(1) ①未決の抑留又は拘禁を受けた後に無罪の裁判を受けたり,②再審等の手続において無罪の裁判を受けた者が原判決によってすでに刑の執行を受けたりしていた場合,刑事補償法(昭和25年1月1日法律第1号。同日施行)に基づき,国に対し,抑留又は拘禁による補償を請求することができます(憲法40条参照)。
ただし,①身体を拘束されずに起訴されて無罪となった場合,「未決の抑留又は拘禁」を受けていない以上,刑事補償請求権は認められませんし,②抑留又は拘禁を受けたとしても,被疑事実が不起訴となった場合,「無罪の裁判」を受けていない以上,刑事補償請求権は認められません(②につき最高裁大法廷昭和31年12月22日決定)。
(2) 未決勾留は,本刑に算入されることによって,刑事補償の対象としては刑の執行と同視されるべきものとなり,もはや未決勾留としては刑事補償の対象とはなりません(最高裁昭和34年10月29日決定)。
また,本刑に算入された未決勾留日数については,その刑がいわゆる実刑の場合においてはもとより,執行猶予付きの場合においても,もはや未決勾留としては,刑事補償の対象とはなりません(最高裁昭和55年12月9日決定)。
これらの取扱いは,未決勾留が刑の執行と同一視される場合,又はその可能性がある場合,未決勾留が本刑に算入されることが利益となり,本刑に算入された未決勾留について,更に刑事補償をすることは,二重に利益を与えることになると解されるからです(最高裁平成6年12月19日決定)。
(3) 抑留又は拘禁による損害が刑事補償による補償額を上回る場合,その抑留又は拘禁が国家機関の故意又は過失に基づくときは,国家賠償法により,その差額を国家賠償により請求できますし,最初から刑事補償によらず国家賠償を請求するということも可能です(平成12年2月3日の衆議院予算委員会における臼井法務大臣の答弁。なお,刑事補償法5条参照)。
(4) 刑訴法の規定による免訴又は公訴棄却の裁判を受けた者は,もし免訴又は公訴棄却の裁判をすべき事由がなかったならば無罪の裁判を受けるべきものと認められる充分な事由があるときは,国に対して,抑留若しくは拘禁による補償又は刑の執行若しくは拘置による補償を請求することができます(刑事補償法25条1項)。
3 関連記事
・ 弁護人上告に基づき原判決を破棄した最高裁判決の判示事項(平成元年以降の分)
・ 刑事の再審事件
刑事補償(拘禁補償)決定報告事例(令和3年度確定分)を添付しています。 pic.twitter.com/7IkMtZlm0k
— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) September 19, 2023
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