目次
1 総論
2 憲法週間の視察日程関係文書の取扱い
3 憲法週間の視察時の概況説明資料
4 元裁判所職員が説明するところの,最高裁判事及び高裁長官の視察
5 最高裁判所事務総局の局課長は襲撃の対象となるおそれが高いこと
6 関連記事その他
1 総論
(1) 最高裁判所判事は,毎年5月,憲法週間における最高裁判所判事の視察として,全国各地の下級裁判所を視察しています。
ただし,最高裁判所事務総局秘書課が視察基本日程(案)を作成する際に使用している事務処理要領等の文書は存在しません(平成27年度(最情)答申第7号(平成28年2月23日答申))。
(2) 平成28年度の日程が書いてある,「憲法週間における最高裁判所判事の視察について」(平成28年2月26日付の最高裁判所事務総局秘書課長の通知)を掲載しています。
(3) 最高裁判所裁判官の旅行命令簿(平成27年度分)を掲載しています。
2 憲法週間の視察日程関係文書の取扱い
(1) 最高裁判所が受領した,平成28年度憲法週間における岡部喜代子最高裁判事の視察に関する文書の大部分(視察基本日程,視察詳細日程,座談会の出席者名簿及び座談会席図,庁内巡視の順番が分かる文書,最高裁判事との懇親会の出席者名簿)は,視察終了直後に廃棄されました(平成28年度(最情)答申第31号(平成28年10月24日答申))。
(2) 神戸地裁の場合,視察終了後2ヶ月以内に,最高裁判所判事の視察に関する文書の大部分(視察基本日程,視察詳細日程,座談会の出席者名簿及び座談会席図,庁内巡視の順番が分かる文書,最高裁判事との懇親会の出席者名簿)が廃棄されました(平成27年度(情)答申第2号(平成28年2月18日答申))。
(3) 視察先の下級裁判所が保管している視察基本日程及び視察詳細日程については,従前はほぼ全て開示されていましたが,現在は全く開示されなくなりました(平成28年度(情)答申第14号(平成28年10月24日答申))。
(4) 最高裁判所事務総長の説明によれば,最高裁判所判事の視察に関する文書は,内容が軽微かつ簡易であって保存期間を1年以上とする必要のない短期保有文書として取り扱われているそうです。
3 憲法週間の視察時の概況説明資料
(1) 憲法週間における最高裁判所判事の視察では,視察先の高等裁判所が,最高裁判所判事に対し,当該高裁及びその管内に関する概況説明資料を提供することがあります。
しかし,最高裁判所判事に提供された概況説明資料は,最高裁判所の司法行政文書に該当しません(平成28年度(最情)答申代19号(平成28年6月28日答申))。
(2) 大阪高裁において平成29年度最高裁判所判事視察に用いた説明資料は,平成29年7月3日までに廃棄されました(平成29年10月17日付の司法行政文書不開示通知書)。
(3) 深山最高裁判事の名古屋高等裁判所視察時の資料(平成30年度分)を掲載しています。
4 元裁判所職員が説明するところの,最高裁判事及び高裁長官の視察
・ 日本裁判官ネットワークHPには,2004年6月1日付で,「60歳代 男性 元裁判所職員」からのメールが掲載されていますところ,その内容は以下のものがあります。
山崎豊子原作「白い巨塔」が再びドラマ化された。ドラマでは,浪速大学病院の教授回診のシーンがたびたび登場する。白衣を着た教授が殿様のように,助教授・講師・インターンを引き連れて病室を練り歩くのだ。あのシーンを見るたびに,裁判所で行われている最高裁判事や高裁長官の視察を思い出し,気が滅入る。
庁内の図面を広げ,どこをどう歩き,誰が先導するかを1週間もかけて協議する。長官や最高裁判事にお出しするお茶の銘柄は何がよいか,お茶菓子は何がよいかを話し合う。出す弁当の箱は朱塗りの箱がよいか,お吸い物を温めるタイミングはどうか,そんなことまで決めるのである。
視察コースにドアがあると大変である。ドアを開けておく必要があるというのである。手はどうしたのか,怪我でもされたのかと言いたいところであるが,誰もそうしたことを指摘できる雰囲気ではない。結局,60個近いドアストッパーが集められ,視察コースのドアというドアはすべて開け放たれるのである。そして,先導,そのまた先導,誘導などという形で何人もの職員が動員される。見苦しいという理由で,当事者案内のために職員がパソコンで作りドアに貼り付けた図面は外され,廊下は「特別清掃」で掃き清められる。
そして,視察が始まり,何事もなかったかのように終わる。そうした視察では,裁判所内にどれだけドアがあり,一般当事者がどれほど不自由をしているかを実感することはできない。また,どれほど,庁内が来庁者にとってわかりにくいかを実感することもできない。
視察が終わるとドアストッパーは一カ所に集められ,どこかにしまい込まれるのである。長官や最高裁判事のために開け放たれたドアは,一般来庁者に向けては閉ざされる。それがたとえ車椅子の方であろうと・・・
そう,教授回診の際の何気ない一言で,助教授や講師が身を固くするのと同様,長官や最高裁判事の視察の際の何気ない一言で,職員は連日の残業を強いられることなるのである。そのため,「視察」は何にもまして優先して取り組む課題となるのだ。「白い巨塔」は大学病院に限ったことではない。
開発の現場、一般社員の働くデスクまで出向いて一緒にあれこれ議論してるあたり、イーロンマスクの現場重視の思想を感じますね。
役員室から出てこない、一般社員が議論するなんてもってのほか、工場に来る時は下々が準備してお膳立てした場限定、という多くの日本の社長さんと比べ異質な存在だな。 pic.twitter.com/Bor6SkIoh2
— ゆな先生 (@JapanTank) November 20, 2022
青雲の志を抱いて入省したものの、お土産ロジやサラダ購入部隊みたいなアウトソース可能な(行政官じゃなくてもできる)仕事の連続に疑問を感じて速攻で辞めた元同期、元気かなぁ。
別の同期は昔、偉い人の地方出張時におにぎりの具のチョイスを激詰めしてた。その人は今、結構出世してる。— 霞が関一般職 (@NonCareer55) August 30, 2022
官僚が作成した、自民党・茂木敏充幹事長に同行する職員用の「取り扱いマニュアル」を入手!茂木氏を“キレさせない”ための、A4用紙22枚にもわたる注意書きを見ると、現場の苦労がしのばれる……。
衝撃!官僚が作った「茂木新幹事長対策マニュアル」のヤバい中身https://t.co/9ThQ93z3t7
— FRIDAY (@FRIDAY_twit) November 12, 2021
5 最高裁判所事務総局の局課長は襲撃の対象となるおそれが高いこと
・ 令和元年6月13日付の理由説明書には以下の記載があります。
最高裁判所は,我が国唯一の最上級裁判所として裁判手続及び司法行政を行う機関であり,最高裁判所判事や事務総局の各局課館長は,裁判所の重大な職務を担う要人として,襲撃の対象となるおそれが高く,その重大な職務が全うされるように,最高裁判所の庁舎全体に極めて高度なセキュリティを確保する必要がある。そのため,最高裁判所では,各門扉に警備員を配し,一般的に公開されている法廷等の部分を除き,許可のない者の入構を禁止している。
この点,本件対象文書中,原判断において不開示とした部分は,各門における入構方法に関する具体的な運用が記載されており, この情報を公にすると警備レベルの低下を招くことになり,警備事務の適正な遂行に支障を及ぼすことになるから, 当該部分は,行政機関情報公開法第5条第6号に定める不開示情報に相当する。
よって,原判断は相当である。
6 関連記事その他
(1) 「司法の可能性と限界と-司法に役割を果たさせるために-」(講演者は31期の井戸謙一 元裁判官)には以下の記載があります(法と民主主義2019年12月号20頁)。
長年、日弁連推薦枠から最高裁判事になった方々は、有能で人格的にも立派な弁護士として、多くの人から尊敬されていた人たちだったと思いますが、最近はそういう人がいないという感じがします。これには最高裁判事の選任手続の問題があると思いますが、これはまたあとで申し上げます。
(2) 法務省HPに「憲法週間を迎えて」が載っていて,裁判所HPに「憲法週間について」が載っています。
(3)ア 以下の資料を掲載しています。
・ 憲法週間における最高裁判所判事の視察について(平成28年2月26日付の最高裁判所秘書課長通知)
・ 大谷直人最高裁判所判事の広島高裁管内の視察関係文書(平成27年5月)
・ 那須弘平最高裁判事の前橋地家裁視察に関する文書(平成23年5月17日実施分)
イ 以下の記事も参照してください。
・ 最高裁判所長官任命の閣議書
・ 最高裁判所判事任命の閣議書
・ 最高裁判所裁判官の任命に関する各種説明
・ 高等裁判所長官任命の閣議書
メニュー選びは、「幹部が苦手な食べ物を避ける」などと消極的では最低限の仕事。幹部の御出身やかつての赴任先等の縁のある地を調べ、その地の料理の専門店があれば選択肢とせよ。幹部の思い出話を拝聴するキッカケとなる。守りの仕事で終わる者は二流。君も一流を目指せ。
— 霞の紳士 (@kasumi_no_kasu) December 18, 2021
足りない。以下の点は押さえてください。
・地下の店は電波が弱いので❌
・個室
・店や席は事前に来店し確認
・店は幹部が帰りやすい路線
・配席は不満が出ないよう籤引きにする等工夫
・当日リマインドメール
・当日は各幹部をお連れする
・店までの道に案内役を立たせる
・翌日幹部に御礼の挨拶回り https://t.co/5x5nnNMsCq— 霞の紳士 (@kasumi_no_kasu) December 18, 2021
早速、経産省がパワハラ常習の西村大臣の出張時の「トリセツ」を作成。省全体で情報を共有するとか。
パワハラに関しては自民党内で双璧を成す茂木幹事長が経産相時代にも、同省の事務方は同様のメモを大量に作成していました。
取り扱い注意の大臣の対応は大変そう。本日の紙面で詳報しています。 pic.twitter.com/2d0eZbAOWm
— 日刊ゲンダイ ニュース記者 (@gendai_news) August 30, 2022
1 外国旅行の際の航空機の等級について(平成29年12月26日付の最高裁判所の文書)を添付しています。
2 以下のリンク先によれば,東京・ロンドン間のファーストクラスのJALの料金は250万円です。https://t.co/tU4uXOps4c pic.twitter.com/BpqucqP4UI
— 弁護士 山中理司 (@yamanaka_osaka) April 2, 2024