判検交流に関する内閣等の答弁

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0 21期の金築誠志最高裁判所人事局長は,平成13年3月16日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています。
御指摘ありましたように、訟務検事のときに担当した事件を裁判官になってやるということはございません。同一事件で裁判官と国側の代理で行っている検事が会うということは、これは個々の事件でその種のデータをちょっと集めておりませんのでお答えできないわけでございます。
訟務検事への出向をやめるべきではないかという御指摘なんですが、これは前からいろいろな機会に申し上げておりますけれども、法律家というのは、現在自分が役割として担っている仕事をその立場で全力を尽くす。代理人になれば代理人の立場でその職務を尽くす、裁判官になった場合は、それはもとはどういう立場からなったにせよ、公正中立という立場を堅持して裁判に当たる。これはひとり検事から裁判官になった場合に限りませんで、弁護士からなった場合でも、その他の立場からなった場合でも、これは同じでございます。
その辺、今後、法律家の間で、法曹の間で相互交流を進めるべきだという御議論が今改革審議会等でもなされておりまして、裁判所の方でもそういう方向に努力したいと考えておりますけれども、その基本にあるのは、先ほど申し上げましたような法律家の責務といいますか、あるべき姿を基本にしているということでございますので、この辺を御理解賜ればと考えております。

1 「衆議院議員鈴木宗男君提出裁判官と検察官の人事交流に関する質問に対する答弁書」(平成21年6月16日付の内閣答弁書)には,以下の記載があります(ナンバリングを追加しました。)。

① 裁判官の職にあった者からの検察官への任命及び検察官の職にあった者からの裁判官への任命を始めとする法曹間の人材の相互交流は、国民の期待と信頼にこたえ得る多様で豊かな知識、経験等を備えた法曹を育成、確保するため、意義あるものと考えている。
なお、このような法曹間の人材の相互交流が開始された経緯は、資料等が存在せず不明である。
② 平成二十年に、裁判官の職にあった者から検察官に任命された者は五十六人、検察官の職にあった者から裁判官に任命された者は五十五人である。
③ 法曹は、裁判官、検察官、弁護士のいずれの立場に置かれても、その立場に応じて職責を全うするところに特色があり、一元的な法曹養成制度や弁護士の職にあった者からの裁判官及び検察官への任命等もこのことを前提にしている。したがって、法曹間の人材の相互交流により、裁判の公正、中立性が害され、「裁かれる者にとって不利な状況」が生まれるといった弊害が生じるとは考えていない。

2 「衆議院議員浅野貴博君提出いわゆる判検交流の存続に対する政府の認識等に対する質問に対する答弁書」(平成24年5月11日付の内閣答弁書)には,以下の記載があります。
裁判官の職にあった者からの検察官への任命及び検察官の職にあった者からの裁判官への任命を始めとする法曹間の人材の相互交流については、先の答弁書(平成二十二年十二月七日内閣衆質一七六第二一〇号)二及び三についてで述べたとおり、裁判の公正、中立性を害するものではなく、国民の期待と信頼に応え得る多様で豊かな知識、経験等を備えた法曹を育成、確保するため、意義あるものと考えているが、国の利害に関係のある争訟において国の代理人として活動する検察官の数に占める裁判官の職にあった者の数の割合があまり多くなるのは問題ではないかとの指摘がなされたことなどから、この割合を次第に少なくする見直しを行うこととしたほか、裁判官の職にあった者を検察官に任命し検察庁において捜査・公判を担当させる交流及び検察官の職にあった者を裁判官に任命し裁判所において裁判を担当させる交流は行わないこととし、平成二十四年四月一日、これらの交流を解消するための人事異動を行った。
この人事異動については、同日、報道機関に対し公表した。

3 平成24年5月8日の法務大臣閣議後記者会見には,以下の記載があります。
本日の閣議において法務省案件はございませんでした。
法務省から一つの報告をさせていただきます。裁判官が一時検察官をやってまた裁判所に戻る,あるいは検察官が一時裁判官をやってまた検察官に戻るという,いわゆる判検交流という人事交流がありました。これについて,特に判検交流によって裁判の公正が害されたということではありませんが,裁判官と検事の間で少し癒着しているのではないかというような声もありました。特にそういった弊害が生じたわけではありませんが,そういった声があることや公正らしさというものを保つ必要があるという観点もございますので,今年4月の人事をもちまして検察官と裁判官とのいわゆる判検交流は廃止しました。また,判検交流につきましては,これまで民主党の「検察のあり方検討ワーキングチーム」での提案や法務委員会において指摘されてきたことでもございますので,そうした声も受け止めたわけでございます。

4 「衆議院議員初鹿明博君提出生活保護に関する集団訴訟の担当裁判官に関する質問に対する答弁書」(平成28年2月12日付の内閣答弁書)には,以下の記載があります(ナンバリングを追加しました。)
① 裁判官が担当する事件については、裁判所において判断される事柄であり、政府としてその適否についてお答えする立場になく、また、御指摘のように「法務省と裁判所の間で取り決めをすべき」とも考えていない。
②   裁判官の職にあった者からの検察官への任命及び検察官の職にあった者からの裁判官への任命をはじめとする法曹間の人材の相互交流については、衆議院議員浅野貴博君提出いわゆる判検交流の存続に対する政府の認識等に関する質問に対する答弁書(平成二十四年五月十一日内閣衆質一八〇第二二〇号)一から四までについてで述べたとおり、裁判の公正、中立性を害するものではなく、国民の期待と信頼に応え得る多様で豊かな知識、経験等を備えた法曹を育成、確保するため、意義あるものと考えているが、国の利害に関係のある争訟において国の代理人として活動する御指摘の「訟務検事」の数に占める裁判官の職にあった者の数の割合があまり多くなるのは問題ではないかとの指摘がなされたことなどから、この割合を次第に少なくする見直しを行ってきたところである。いずれにしても、裁判官の職にあった者を「訟務検事」に任命することについては、昨年四月に法務省訟務局が新設され、「訟務検事」の担当する業務が変化したことも踏まえ、その必要性に応じて適切に行ってまいりたい。

5 高嶋智光法務省大臣官房審議官(総括担当)は,平成28年11月22日の参議院法務委員会において以下の答弁をしています。
① 法務本省勤務の国家公務員総合職、旧Ⅰ種試験を含みますが、この試験の合格者と検察官出身者、それから裁判官出身者につきまして、その合計数に対するそれぞれの割合は、国家公務員総合職試験合格者が約六一%、それから検察官出身者が約二三%、裁判官出身者が約一六%でございます。
② まず、課長相当職でございますが、この職員の割合は、国家公務員総合職試験合格者が約二〇%、検察官出身者が約三八%、裁判官出身者が約三四%でございます。
また、局長相当職に占める各職員の割合ですが、国家公務員総合職試験合格者が約一二・五%、検察官出身者が約五〇%、裁判官出身者が約三七・五%でございます。