行政官国内研究員制度(司法修習コース)


目次

1 総論
2 行政官国内研究員は司法修習生の修習を終了しないこと
3 関連記事その他

1 総論
・ 行政官国内研究員制度(司法修習コース)は,各府省の行政官のうち,司法試験に合格している者を司法研修所に派遣して,司法の現場における理論と実務の研究に従事させることにより,複雑・高度化する行政に対応し得る専門的な法律知識等を修得させることを目的としています。

2 行政官国内研究員は司法修習生の修習を終了しないこと
(1) 行政官国内研究員(司法修習コース)派遣要綱(昭和63年2月9日付の人事院事務総長決定)によれば,以下のような取扱いになっています。
① 研究員は,研究従事命令に基づき,司法修習生として専ら所定の研究に従事します。
② 二回試験初日の1ヶ月前までに,司法修習生としての退職願を人事院を通じて最高裁判所に提出し,二回試験終了日の翌日,司法修習生の身分を失いますから,司法修習生の修習を終了することができません。
(2) 35期の安浪亮介最高裁判所人事局長は,平成26年5月14日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています(ナンバリングを追加しました。)。
① 次に、国家公務員の派遣型の研修ということで修習をしているのかという点でございます。
   これにつきましては、人事院が実施いたします一般職の国家公務員の国内研修制度の一環ということで、司法試験に合格いたしました行政官庁の職員が、人事院の事務官に身分を異動した上で、最高裁からの兼職の許可を得て司法修習を行う、こういう例がございます。
   ただ、この制度につきましては、公務員としての身分を有しており、有給で研修をしておるわけでございますけれども、二回試験の直前といいますか、その時点ではここの研修から退いてもらって、法曹資格は取得しない、こういう形での運用をしておるところでございます。
② 委員の方から今御指摘があった公務員の派遣研修の点でございますが、先ほどの答弁の中で、一点訂正をさせていただきます。
   二回試験の前と申し上げましたけれども、二回試験の後まで修習を続けておりまして、ただし、法曹資格は取得しないという形で制度をつくっておるということでございます。

3 関連記事その他
(1) 昭和63年度から平成25年度までの派遣研究員の総数は30人であり,年度ごとの内訳は,人事院HPにある平成25年度公務員白書のうち,「長期統計等資料4 行政官派遣研究員制度の年度別派遣状況(昭和41年度~平成25年度)」に載っています。
(2)   平成26年度以降の公務員白書にはなぜか,行政官国内研究員制度(司法修習コース)に関する記載がありません。
(3) 自由と正義1997年4月号に「行政官研究員として司法修習を受けて」(筆者は樋口眞人 警察庁刑事局捜査第二課理事官(当時)であり,大阪府警察本部長を最後に退職したことにつき,株式会社ヒガシ21HP「役員紹介 樋口 眞人」参照)が載っています。
(4) 以下の記事も参照してください。
・ 行政機関等への出向裁判官


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