司法修習生採用選考申込み時の健康診断

Pocket

1 総論
(1)ア 裁判所HPに掲載されている,司法修習の提出書類の書式等(最高裁判所提出分)に含まれる「健康診断の実施について(医療機関用)」に,医療機関向けの説明文が書いてあります
   そのため,最寄りの医療機関で健康診断を受診して問題ないと思われます。
イ 過年度の書式については,「司法修習生の採用選考に関する公式文書」を参照してください。

(2) 「健康診断 予約 大阪」等で検索すれば,健康診断の予約を受け付けている医療機関を検索できます。
(3) 健康診断の予約方法につき,キャリアパークHPの「意外と迷いがちな健康診断の予約方法とは」が参考になります。
(4) 司法修習生採用選考申込み時の健康診断で必要な費用は全額が自己負担であって,最高裁判所が後で支払ってくれることはありません。




2 司法修習生採用選考における健康診断を実施している医療機関の具体例
   平成30年5月現在,「司法修習 健康診断 料金」で検索すれば,以下のHPが出てきます。
(東京都)
① きつかわクリニック(JR山手線田町駅の近く)の「雇用時健診・一般健診」
→   4000円(税別)の費用で,原則翌日のお渡しみたいです。
   また,きつかわクリニックから東京法務局(千代田区役所の隣にあります。)に行く場合,都営三田線の三田駅から神保町駅に行き,そこから東京法務局に歩いていけばいいと思われます。
② そねクリニック(JR山手線新宿駅の近く)の「司法修習生採用選考における健康診断を実施しています。」
→   7000円(税別)の費用で,最短で翌日午後3時以降のお渡しみたいです。

③ 徳真会QUARTZ TOWER「健康診断」(JR山手線渋谷駅の近く)
→ 5000円(税抜)の費用で,即日のお渡しみたいです。
(神奈川県)
④ 新横浜整形外科リウマチ科「司法修習生採用選考における健康診断」
→ 5900円(税別)の費用で,当日中に渡してもらえるみたいです。
(兵庫県)
⑤ 吉岡クリニック(JR神戸線摂津本山駅及び甲南山手駅の近く)の「健康診断(定期健診,雇入時検診,各種検査)」
→ フルコースでも8500円とのことです。
(岐阜県)
⑥ 阪野(ばんの)クリニック(名鉄岐阜駅の近く)の「岐阜で司法修習生採用選考の健康診断票を作成」
→ 5400円(税込み)の費用で,当日の交付みたいです。


3 健康診断の体験談
(1) 外部HPの「「修習」健康診断」によれば,ブログ主の経験では,診察から1時間半ぐらいで健康診断票を取得でき,料金は約5000円とのことでした。
(2) 59期の私の場合,平成16年11月に司法試験に合格した時点で京都大学法学部に在籍していましたから,司法修習生採用選考申込み時の健康診断は京都大学保健診療所で受けました。

4 雇入時の健康診断
(1) 事業者は,労働者に対して,毎年,医師による健康診断を実施しなければなりませんし(労働安全衛生法66条1項,労働安全衛生規則(安衛則)44条),労働者は,事業者が行う健康診断を受けなければなりません(労働安全衛生法66条5項)。
  そして,雇入時の健康診断は,雇入れの際に実施しなければなりません(労働安全衛生規則(安衛則)43条)。
  そのため,就職に際しての健康診断は一般的なものです。
(2) 医師による健康診断を受けた後,三月を経過しない者を雇い入れる場合において,その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出した場合,当該健康診断の項目に相当する項目について,事業者は,雇い入れ時の健康診断を実施する必要がありません(労働安全衛生規則43条ただし書)。
   そのため,司法修習生の採用選考の場合,自ら健康診断の結果を証明する書面を提出させられることから,最高裁判所による健康診断が省略されているものと思われます。
イ 二弁フロンティア2018年5月号「就業規則の作成・改定を依頼されたときに役立つ労働法関連知識(後編)」(末尾49頁)に以下の記載があります。
①健康診断(入社時、深夜業)
   まず、会社の方は健康診断についてあまりご理解がない。1年に1回あるんでしょう、お金は会社が出すんでしょう、という程度は理解しています。ただ、「入社時健診って知っていますか」と聞くと意外と知りません。入社時には必ず健康診断をしないといけません。
   特例として、入社前3か月以内に実施した健康診断の診断書があれば、入社時健診を省略できますので、費用をかけたくない会社は健康診断書を持ってこいというところもあります。

5 健康診断一般
(1)ア 事業者は,健康診断個人票を作成し,これを5年間保存しなければなりません(労働安全衛生規則(安衛則)51条)。
イ   事業者は,健康診断を受けた労働者に対し,当該健康診断の結果を通知しなければなりません(労働安全衛生法66条の6,労働安全衛生規則(安衛則)51条の4)。
ウ 厚生労働省HPの「労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう~労働者の健康確保のために~」が参考になります。
(2) 労働安全衛生法および同法施行令の施行について(昭和47年9月18日基発第602号)には以下の記載があります。
(2) 第六六条関係
イ 第一項から第四項までの規定により実施される健康診断の費用については、法で事業者に健康診断の実施の義務を課している以上、当然、事業者が負担すべきものであること。
ロ 健康診断の受診に要した時間についての賃金の支払いについては、労働者一般に対して行なわれる、いわゆる一般健康診断は、一般的な健康の確保をはかることを目的として事業者にその実施義務を課したものであり、業務遂行との関連において行なわれるものではないので、その受診のために要した時間については、当然には事業者の負担すべきものではなく労使協議して定めるべきものであるが、労働者の健康の確保は、事業の円滑な運営の不可決な条件であることを考えると、その受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましいこと。
   特定の有害な業務に従事する労働者について行なわれる健康診断、いわゆる特殊健康診断は、事業の遂行にからんで当然実施されなければならない性格のものであり、それは所定労働時間内に行なわれるのを原則とすること。また、特殊健康診断の実施に要する時間は労働時間と解されるので、当該健康診断が時間外に行なわれた場合には、当然割増賃金を支払わなければならないものであること。
(3) 平成27年11月18日の第1回 厚生科学審議会(健康診査等専門委員会)に以下の資料が載っています。
① 健診・検診の考え方(資料2-1)
② 日本の健診(検診)制度の概要(資料3)
→ 乳幼児等を対象としたものとして母子保健法があり,児童生徒等(幼稚園から大学までを含む。)を対象としたものとして学校保健安全法があります。

   被保険者・被扶養者を対象としたものとして医療保険各法(健康保険法,国民健康保険法等)及び高齢者医療確保法(特定検診については40歳以上が対象です。)があり,労働者を対象としたものとして労働安全衛生法があり,その他として健康増進法があります。
③ 健康診査に関する制度の比較(資料4)
→ 健康増進事業,医療保険による特定健康診査,医療保険による保健事業,労働衛生対策,母子保健,学校保健(就学時の健康診断,幼児・児童・生徒又は学生の健康診断及び職員の健康診断),私立学校教職員共済法,国家公務員共済組合法及び地方公務員等共済組合法があります。

(4) 職場における健康診断としては,①雇入れ時の健康診断,②定期健康診断,③特定業務従事者の健康診断,④海外派遣労働者の健康診断,⑤給食従事者の検便及び⑥有害業務従事者等の特殊健康診断があります(東京労働局労働基準部作成の「健康診断による健康管理を進めよう」参照)。
(5) 保険医は,療養の給付の対象として健康診断を行ってはなりません(保険医療機関及び保険医療養担当規則20条1号ハ)から,健康診断の費用は全額が自己負担となります。
(6) 「医師に関する法規制等」も参照して下さい。


6 健康診断の裏技
   外部HPの「司法試験合格後の手続きに関する覚書」には,「裏技として,会社等で3ヶ月以内に健康診断を受けている場合, 医師に頼んで健診結果を所定のフォーマットに転記してもらうという手があります。 これだと費用が安く,すぐできます。」と書いてあります。

7 健康診断に関する関係条文
(1) 労働安全衛生法
(健康診断)
第六十六条 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(第六十六条の十第一項に規定する検査を除く。以下この条及び次条において同じ。)を行わなければならない。
2 事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による特別の項目についての健康診断を行なわなければならない。有害な業務で、政令で定めるものに従事させたことのある労働者で、現に使用しているものについても、同様とする。
3 事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、歯科医師による健康診断を行なわなければならない。
4 都道府県労働局長は、労働者の健康を保持するため必要があると認めるときは、労働衛生指導医の意見に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、臨時の健康診断の実施その他必要な事項を指示することができる。
5 労働者は、前各項の規定により事業者が行なう健康診断を受けなければならない。ただし、事業者の指定した医師又は歯科医師が行なう健康診断を受けることを希望しない場合において、他の医師又は歯科医師の行なうこれらの規定による健康診断に相当する健康診断を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、この限りでない。
(健康診断の結果の記録)
第六十六条の三 事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、第六十六条第一項から第四項まで及び第五項ただし書並びに前条の規定による健康診断の結果を記録しておかなければならない。
(健康診断の結果についての医師等からの意見聴取)
第六十六条の四 事業者は、第六十六条第一項から第四項まで若しくは第五項ただし書又は第六十六条の二の規定による健康診断の結果(当該健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者に係るものに限る。)に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師又は歯科医師の意見を聴かなければならない。
(健康診断の結果の通知)
第六十六条の六 事業者は、第六十六条第一項から第四項までの規定により行う健康診断を受けた労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該健康診断の結果を通知しなければならない。
(2) 労働安全衛生規則
(雇入時の健康診断)
第四十三条 事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、三月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。
一 既往歴及び業務歴の調査
二 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
三 身長、体重、腹囲、視力及び聴力(千ヘルツ及び四千ヘルツの音に係る聴力をいう。次条第一項第三号において同じ。)の検査
四 胸部エックス線検査
五 血圧の測定
六 血色素量及び赤血球数の検査(次条第一項第六号において「貧血検査」という。)
七 血清グルタミックオキサロアセチックトランスアミナーゼ(GOT)、血清グルタミックピルビックトランスアミナーゼ(GPT)及びガンマ―グルタミルトランスペプチダーゼ(γ―GTP)の検査(次条第一項第七号において「肝機能検査」という。)
八 低比重リポ蛋たん 白コレステロール(LDLコレステロール)、高比重リポ蛋たん 白コレステロール(HDLコレステロール)及び血清トリグリセライドの量の検査(次条第一項第八号において「血中脂質検査」という。)
九 血糖検査
十 尿中の糖及び蛋たん 白の有無の検査(次条第一項第十号において「尿検査」という。)
十一 心電図検査
(健康診断結果の記録の作成)
第五十一条 事業者は、第四十三条、第四十四条若しくは第四十五条から第四十八条までの健康診断若しくは法第六十六条第四項の規定による指示を受けて行つた健康診断(同条第五項ただし書の場合において当該労働者が受けた健康診断を含む。次条において「第四十三条等の健康診断」という。)又は法第六十六条の二の自ら受けた健康診断の結果に基づき、健康診断個人票(様式第五号)を作成して、これを五年間保存しなければならない。

8 関連記事
   以下の記事も参照してください。
① 司法修習生の採用選考に必要な書類
② 司法修習生の採用選考に関する公式文書
③ 司法修習生の採用選考に必要な書類の掲載時期
④ 司法修習生の修習事務に関する内部文書