目次
1 労働安全衛生法の概要
2 労働者の労働時間の状況の把握義務
3 労働災害防止計画
4 その他
第2 労働安全衛生法に関するメモ書き
1 労働安全衛生法の概要
厚生労働省HPの「安全・衛生」には「労働安全衛生法の概要」として以下の記載があります。
・ 事業場における安全衛生管理体制の確立
総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、産業医等の選任
安全委員会、衛生委員会等の設置
・ 事業場における労働災害防止のための具体的措置
危害防止基準:機械、作業、環境等による危険に対する措置の実施
安全衛生教育:雇入れ時、危険有害業務就業時に実施
就業制限 :クレーンの運転等特定の危険業務は有資格者の配置が必要
作業環境測定:有害業務を行う屋内作業場等において実施
健康診断 :一般健康診断、有害業務従事者に対する特殊健康診断等を定期的に実施
・ 国による労働災害防止計画の策定
厚生労働大臣は、労働災害を減少させるために国が重点的に取り組む事項を定めた中期計画を策定。
※ 労働安全衛生法のほか、労働安全衛生分野の法律として、じん肺法や作業環境測定法がある。
2 労働者の労働時間の状況の把握義務
(1) 平成31年4月1日以降,事業者は,タイムカードによる記録,パソコン等の電子計算機の使用時間の記録その他の適切な方法により,労働者の労働時間の状況を把握しなければならなくなりました(労働安全衛生法66条の8の3及び労働安全衛生規則52条の7の3のほか,労務SEARCHの「【社労士監修】労働時間の把握が義務化!企業の管理方法や罰則は?」参照)。
(2)ア 厚生労働省HPの「働き方改革関連法により2019年4月1日から「産業医・産業保健機能」と「長時間労働者に対する面接指導等」が強化されます」の6頁及び7頁に,平成31年4月1日以降に実施すべき具体的な勤務時間の把握方法が書いてあります。
イ 厚生労働省HPの「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働安全衛生法及びじん肺法関係の解釈等について」(平成30年12月28日付の厚生労働省労働基準局長の通知)8頁ないし11頁に,労働時間の状況の把握に関する問答が載っています。
(3) 労務事情2022年11月1日号に「〈Q&A〉労働時間管理に関する実務対応」及び「〈Q&A〉自動車管理に関する法的留意点」が載っています。
(4)ア 最高裁平成26年1月24日判決は,募集型の企画旅行における添乗員の業務につき,労働基準法38条の2第1項にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たらないとされた事例です。
イ 最高裁令和6年4月16日判決は, 外国人の技能実習に係る監理団体の指導員が事業場外で従事した業務につき,労働基準法38条の2第1項にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たらないとした原審の判断に違法があるとされた事例です(つまり,「労働時間を算定し難いとき」に当たる可能性があるということです。)。
意識高く「自分で仕事を生み出す」と言う人のほとんどは、実際には余計な仕事・やらなくてもいい仕事を無限に量産して自己満足してるだけで、大して利益に貢献してないように見えます。どちらかというと、価値があるのは「仕事を減らすこと」「3人でやっていた仕事を1人で回せるようにすること」です。
— 安斎 響市 @転職デビル (@AnzaiKyo1) November 29, 2022
3 労働災害防止計画
(1) 厚生労働大臣は,労働政策審議会の意見をきいて、労働災害の防止のための主要な対策に関する事項その他労働災害の防止に関し重要な事項を定めた計画(労働災害防止計画)を作成し(労働安全衛生法6条),公表する必要があります(労働安全衛生法8条)。
(2) 厚生労働省HPの「2018年4月から第13次労働災害防止計画が始まります。」には以下の記載があります。
「労働災害防止計画」とは、労働災害を減少させるために国が重点的に取り組む事項を定めた中期計画です。
厚生労働省は、過労死やメンタルヘルス不調への対策の重要性が増していることや、就業構造の変化及び労働者の働き方の多様化を踏まえ、労働災害を少しでも減らし、安心して健康に働くことができる職場の実現に向け、国、事業者、労働者等の関係者が目指す目標や重点的に取り組むべき事項を定めた 2018 年 4 月~ 2023 年 3 月までの 5 年間を計画期間とする「第 13 次労働災害防止計画」を 2018 年 2 月 28 日に策定し、 3 月 19 日に公示しました。
4 関連記事その他
(1) 一般財団法人中小建設業特別教育協会HPに「職長・安全衛生責任者教育 教育課程」が載っています。
(2) 最高裁平成26年1月24日判決は,募集型の企画旅行における添乗員の業務につき,労働基準法38条の2第1項にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たらないとされた事例です。
(3) 以下の記事も参照してください。
・ 労働基準法に関するメモ書き
緊急呼出対応のため電話待機している時間が労働時間か、ということはよく問題となるのですが、頻度は低くても、いざ電話が鳴ったら即ガッツリ対応が必要という事案にて、事務所待機義務や外出禁止がなくても、全部労働時間とした例が出てました(横浜地判R3.2.18)。低頻度よりもガッツリ即応義務重視。
— 弁護士リチャードソン (@Richaso_Law) October 18, 2022
私、就職したときからこっち、ずっと興味があることが「人はなぜ事故を起こすのか」ということなんですが、そのうち心理的要因を占める大きな要素として「時間のプレッシャー」「複数のことを同時にしようとする(ので、記憶から吹っ飛ぶ)」などがあるんですよね。「確認を徹底する」は無意味です。
— れんさ球菌 (@streptocoooccus) September 29, 2022