公文書に関する日弁連の立場等

◯本ブログ記事の内容は,令和8年5月17日までの間,トップページに掲載していたものと同趣旨のものです。

1 公文書に関する日弁連の立場
(1) 「情報主権の確立に関する宣言」(平成2年9月28日付の日弁連人権擁護大会の宣言)には以下の記載があります。
     国が保有している国政関係の諸情報は、本来、主権者たる国民のものである。原則として、すべての国民に対し、それらの情報を知る権利が実質的に保障されていない限り、国民主権は成立しえない。
(2) 日弁連セミナー「公文書管理のあるべき姿~民主主義の根幹を支える基盤~」(平成31年2月22日開催)の案内HPには以下の記載があります。

    公文書は、「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るもの」です公文書管理法1条)。また、公文書は、行政の政策決定過程を明らかにするとともに、それを根拠付けるものです。公文書管理の重要性は、自治体でも変わりません。日弁連は、全国の自治体に対して、公文書管理条例を制定することを求めています。
2 図書館の自由に関する宣言
・ 日本図書館協会HPに載ってある「図書館の自由に関する宣言」の前文には以下の記載があります。
 日本国憲法は主権が国民に存するとの原理にもとづいており、この国民主権の原理を維持し発展させるためには、国民ひとりひとりが思想・意見を自由に発表し交換すること、すなわち表現の自由の保障が不可欠である。
   知る自由は、表現の送り手に対して保障されるべき自由と表裏一体をなすものであり、知る自由の保障があってこそ表現の自由は成立する。
   知る自由は、また、思想・良心の自由をはじめとして、いっさいの基本的人権と密接にかかわり、それらの保障を実現するための基礎的な要件である。それは、憲法が示すように、国民の不断の努力によって保持されなければならない。
3 最高裁大法廷平成元年3月8日判決
・ レペタ訴訟に関する最高裁大法廷平成元年3月8日判決は以下の判示をしています。
    報道機関の報道は、民主主義社会において、国民が国政に関与するにつき、重要な判断の資料を提供するものであつて、事実の報道の自由は、表現の自由を定めた憲法二一条一項の規定の保障の下にあることはいうまでもなく、このような報道機関の報道が正しい内容をもつためには、報道のための取材の自由も、憲法二一条の規定の精神に照らし、十分尊重に値するものである(最高裁昭和四四年(し)第六八号同年一一月二六日大法廷決定・刑集二三巻一一号一四九〇頁)。


4 個人情報保護法

(1)ア ①報道機関(報道を業として行う個人を含む。)が報道の用に供する目的で個人情報を取り扱う場合,及び②著述を業として行う者が著述の用に供する目的で個人情報を取り扱う場合,個人情報取扱事業者の義務等は適用されません(個人情報保護法57条(令和4年3月31日までは76条)1項1号及び2号)。 
イ 例えば,朝日新聞出版の「報道・著述目的で取り扱う個人情報の保護方針」には「報道・著述目的で取り扱う個人情報(保有個人データ)は、法によって、利用目的の通知、開示、訂正等、利用停止等の各義務が適用される対象から除外されています。」と書いてあります。
(2)ア 報道とは,不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせること(これに基づいて意見又は見解を述べることを含む。)をいいます(個人情報保護法57条(令和4年3月31日までは76条)2項)。
イ 藤井昭夫内閣官房内閣審議官は,「著述」に関して,平成15年4月16日の衆議院個人情報の保護に関する特別委員会において以下の答弁をしています。
    著述の定義について御説明いたします。
    著述の定義自体は法律には規定していないところですが、一般通念によるということになるわけでございますが、その趣旨は、私どもとしては、一つは、著述とは、小説、評論、そういった、ジャンルを問わない、人の知的活動により創作的な要素を含んだ内容を言語を用いて表現するというものである。また、御指摘のとおり、その表現方法や手段、例えば出版物、放送、インターネット等、そういうものを問うてはおりません。
    それから、委員御指摘のとおり、現在、著述に係る表現活動のジャンル自体がボーダーレス化し、加えてまた、表現の媒体、方法も進化するなど多様化しているところでございます。こうした表現方法の多様化を踏まえ、政府としましては、著述の定義をできるだけ広くとるべきとの観点から、あえて定義づけを法律には明記していないというところでございます。
(3) 個人情報取扱事業者は,国の機関,地方公共団体,報道機関等により公開されている要配慮個人情報については,あらかじめ本人の同意を得ないで取得することができます(個人情報保護法20条2項5号・57条1項各号参照)。
(4)ア 個人情報保護委員会(PPC)HP個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)が載っています。
イ 弁護士法人三宅法律事務所HPに「【令和3年5月19日公布】デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律の解説(個人情報保護法関連の改正)」が載っています。
(5) 取材対象者が報道機関に情報提供しても,行政当局から個人情報保護法違反に問われることは予定されていません(個人情報保護法146条(令和4年3月31日までは43条でした。))。
5 刑法230条の2(公共の利害に関する場合の特例)
・ 刑法230条の2第3項は「前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。」と定めています。
    そのため,公務員としての裁判官及び裁判所職員に関する事実はすべて公共の利害に関する事実に係るものであると考えています。


6 官民データ活用推進基本法
・ 官民データ活用推進基本法(平成28年12月14日法律第103号)11条1項は以下のとおり定めています。
    国及び地方公共団体は、自らが保有する官民データについて、個人及び法人の権利利益、国の安全等が害されることのないようにしつつ、国民がインターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて容易に利用できるよう、必要な措置を講ずるものとする。