生年月日 M37.3.18
出身大学 不明
退官時の年齢 54 歳
S33.11.18 分限免職
S25.4.17 ~ S33.11.17 神戸家地裁判事補
* 昭和33年11月8日付の官報に掲載されている,最高裁大法廷昭和33年10月28日決定は以下のとおりです。
神戸家庭裁判所判事補右本益一に対する最高裁判所昭和三十三年(分ク)第一号分限事件について次のとおり決定があり確定した。(最高裁判所)
昭和三三年(分ク)第一号
決 定
大阪市東淀川区東三国町一丁目四一番地
神戸家庭裁判所判事補
抗告人 右本 益一
大阪高等裁判所昭和三二年(分)第一号裁判官分限事件につき同裁判所が同三三年七月一一日附でした決定に対し右抗告人から抗告申立があつた。よつて当裁判所は次のとおり決定する。
主 文
本件抗告を棄却する。
理 由
抗告人の抗告理由は別紙のとおりである。
抗告人は、原決定は抗告人の欠勤期間について事実を誤認している旨を主張するのであるが、記録に徴するに、神戸家庭裁判所の裁判官分限申立書、長期病欠者調査表、原審の照会に対する同家庭裁判所の抗告人の勤務量に関する回答書、原審証人前田一郎の証言によれば、抗告人が病気のため欠勤をはじめたのは、昭和二六年五月一日からと認めるのが相当であつて、原決定が同二五年五月一日頃から欠勤している旨記載しているのは誤りといわなければならない。
抗告人は、さらに、現在の病状について、すでに裁判官の職務に堪える程度に回復しており裁判官分限法一条一項に該当しない旨を主張するのである。しかし、原審鑑定人三名の鑑定の結果を綜合するに、抗告人の肺結核は治癒に近づいてはいるけれども、治癒したものとは断定し難く、痰の培養検査の結果微量ながら結核菌の存在が認められ、現状では勤務ができないものと認定するの外なく、このことと、従来七年間の余療養をつづけても現在なお治癒していないこととをあわせ考えれば、将来の治癒の時期についても予見はゆるされないのであつて、抗告人は裁判官分限法一条一項にいう「回復の困難な心身の故障のために職務を執ることができない」者に該当するものと解するのが相当である。
されば、原決定は結局正当であつて、本件抗告は理由がない。よつて、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。
昭和三三年一〇月二八日
最高裁判所大法廷
裁判長裁判官 田中耕太郎
裁判官 小谷 勝重
裁判官 島 保
裁判官 齋藤 悠輔
裁判官 藤田 八郎
裁判官 河村 #介
裁判官 池田 克
裁判官 垂水 克己
裁判官 河村 大助
裁判官 奥野 健一
裁判官 高橋 潔
裁判官 高木 常七