生年月日 S12.4.1
出身大学 東大
退官時の年齢 39 歳
S51.12.31 辞職
S49.4.1 ~ S51.12.30 法務省民事局参事官
S45.6.1 ~ S49.3.31 法務省民事局付
S43.6.15 ~ S45.5.31 法務大臣官房訟務部付
S40.4.1 ~ S43.6.14 法務省訟務局付
S37.4.10 ~ S40.3.31 東京地家裁判事補
*0 以下の記事も参照してください。
・ 平和条約における請求権放棄条項に関する3つの説及び最高裁判例
・ 最高裁平成19年4月27日判決が判示するところの,サンフランシスコ平和条約の枠組みにおける請求権放棄の趣旨等
・ 類型ごとの戦後補償裁判に関する最高裁判例
*1の1 広島市に対する原子爆弾投下に関する東京地裁昭和38年12月7日判決(担当裁判官は期前の古関敏正,期前の三渕嘉子及び14期の高桑昭)(判例秘書掲載)の裁判要旨は以下のとおりです(判決書等は日本反核法律家協会HPの「下田事件(東京原爆訴訟)まとめ」に載っています。)。
① 広島市のような無防守都市に対する原子爆弾の投下行為はヘーグ陸戦規則及び「空戦に関する規則案」等実定国際法規の原則に照らし国際法に違反する戦闘行為である。
② 国際法上違法な戦闘行為によって被害を受けた個人は,具体的に条約によって承認された場合を除き,一般に国際法上その損害賠償を請求する方法はない。
③ 国家が他の国家の民事裁判権に服しないことは,国際法上確立した原則であり,わが国においてもこの原則を承認している(大審院昭和3年12月28日決定)(判例秘書掲載)から,原告らが日本国の国内裁判所による救済を求めることはできない。
④ 米国の国内法においては,1946年8月の連邦不法行為請求権法の制定後においても,原告らが米国及び大統領トルーマンに対して不法行為に基づく責任を問うことはできない。
⑤ 対日平和条約19条(a)で放棄された「日本国民の請求権」は,日本国の外交的保護権ではなく,「日本国民の連合国及び連合国民に対する、日本国及び連合国における国内法上の請求権」であり(この部分の判示は最高裁大法廷昭和43年11月27日判決等と異なります。),個人の国際法上の請求権は含まれていない。
⑥ 原告らは対日平和条約19条(a)によって喪失すべき権利を持っていないから,これによる被告の責任を問うことはできない。
*1の2 東京新聞HPの「朝ドラ「虎に翼」の三淵嘉子さんと共に「原爆裁判」を担当した元裁判官、いま振り返る判決の意味 」(2024年7月28日付)には,14期の高桑昭 元裁判官のコメントとして,「国際法違反かどうかにかかわらず賠償請求を棄却する方法もあったが、逃げずに理屈を立てて国際法を検証した。やはり原爆投下を正当視することはできなかった」と書いてあります。
他の記事でお名前を聞いたことがある左陪席の高桑昭さん(漆間 昭のモデル?名前はそのまま?)がご存命で取材を受けられたこと驚いたが、彼が「草案を書き、骨格は私の案が残った」ことは頭入れておきたい。#虎に翼反省会 #トラつば茶話会https://t.co/E8M0sNcyAb
— ちむ子 (@marguerite_gaut) August 14, 2024
*2の1 ①昭和32年4月に原子爆弾被爆者の医療等に関する法律(略称は「原爆医療法」です。)が施行され,②昭和43年9月に原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律(略称は「原爆特別措置法」です。)が施行され,③平成7年7月に原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(略称は「被爆者援護法」です。)が施行されました(厚生労働省HPの「被爆者援護施策の歴史」参照)。
*2の2 ①核兵器不拡散条約(NPT)は昭和43年7月1日に署名のために開放され,昭和45年3月5日に発効し,②国際司法裁判所(ICJ)は平成8年7月8日,核兵器の威嚇又は使用の合法性に関する勧告的意見を出し,③核兵器禁止条約(TPNW)は平成29年7月7日に国連総会で採択され,令和3年1月22日に発効しました。
*3の1 ①最高裁大法廷昭和43年11月27日判決の裁判要旨は「平和条約が締結された結果、同条約第一四条(a)項2(1)の規定により在外資産を喪失した者は、国に対しその喪失による損害について補償を請求することはできない。」というものであり,②最高裁昭和44年7月4日判決の裁判要旨は「 平和条約が締結された結果、同条約一九条(a)項の規定により損害賠償請求権を喪失した者は、国に対しその喪失による損害について補償を請求することは許されない。」というものです。
*3の2 最高裁昭和62年6月26日判決は以下の判示をしています。
戦争犠牲ないし戦争損害に対しては単に政策的見地からの配慮が考えられるにすぎないもの、すなわち、その補償のために適宜の立法措置を講ずるか否かの判断は国会の裁量的権限に委ねられるものと解すべきことは、当裁判所の判例の趣旨に徴し明らかというべきである(昭和四〇年(オ)第四一七号同四三年一一月二七日大法廷判決・民集二二巻一二号二八〇八頁参照)。
*3の3 最高裁平成19年4月27日判決は,「請求権の「放棄」とは,請求権を実体的に消滅させることまでを意味するものではなく,当該請求権に基づいて裁判上訴求する権能を失わせるにとどまるものと解するのが相当である。」と判示しています。
*4の1 最高裁平成18年7月21日判決は以下の判示をしています。
今日においては,外国国家は主権的行為について法廷地国の民事裁判権に服することを免除される旨の国際慣習法の存在については,これを引き続き肯認することができるものの(最高裁平成11年(オ)第887号,同年(受)第741号同14年4月12日第二小法廷判決・民集56巻4号729頁参照),外国国家は私法的ないし業務管理的な行為についても法廷地国の民事裁判権から免除される旨の国際慣習法はもはや存在しないものというべきである。
*4の2 国及びその財産の裁判権からの免除に関する国際連合条約(略称は「国連国家免除条約」です。)は平成16年12月2日に第54回国連総会で採択され,平成17年1月17日にニューヨークにて署名のため開放されたものの,令和6年8月現在,未発効です。
外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律(略称は「対外国民事裁判権法」です。)は,平成22年4月1日に施行されました(法務省HPの「外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律の概要」参照)。