司法修習

司法修習生の兼業許可の具体的基準を定めた文書は存在しないこと

兼業許可の具体的基準を定めた文書(=本件開示申出文書1)は存在しないことに関して,平成28年度(最情)答申第3号(平成28年4月14日答申)には以下の記載があります(ナンバリングをしたり,改行部分を増やしたりしています。)。

(1) 最高裁判所事務総長が提出した資料及び最高裁判所の職員の口頭説明の結果によれば,司法研修所においては,修習資金の貸与制の対象である平成25年度以降の司法修習生については,兼業の許可に係る運用を従前より緩和し,申請及び許可の数も増加したものの,各申請に対する許否については,事例ごとに個別に判断しており,許可基準のようなものは作成していないとのことである。
   また,上記資料等によれば,緩和の前提として,政府に設置された法曹養成制度検討会議の最終取りまとめにおいて,法の定める修習専念義務を前提に,その趣旨や司法修習の現状を踏まえ,司法修習生の中立公正性や品位を損なわないなど司法修習に支障を生じない範囲において従来の運用を緩和し,司法修習生が休日等を用いて行う法科大学院における学生指導をはじめとする教育活動により収入を得ることを認めるべきとの提言がされ,平成25年7月16日に開催された法曹養成制度関係閣僚会議において上記提言を是認する内容の決定がされたという状況があったことが認められる。
   司法研修所事務局長が平成25年度以降の司法修習生採用内定者宛てに発出した兼業に関する事務連絡にも,これらの状況について言及されているが,許可にあたっては,「事例ごとに個別具体的な事情を確認する必要があるものの,その業務内容に照らし,休日等に行う限りにおいては,許可しても差し支えない場合が多いと考えられる」とあるだけで,具体的基準は示されていない。
(2)   そこで検討するに,司法修習生は,その修習期間中,その修習に専念しなければならないこととされ(裁判所法67条2項),最高裁判所の許可を受けなければ,他の職業に就き,若しくは財産上の利益を目的とする業務を行うこと,すなわち兼職や兼業をすることができないものとされ(規則2条),修習専念義務が課されている。また,最高裁判所は,司法修習生の行状がその品位を辱めるものと認めるときその他司法修習生について最高裁判所の定める事由があると認めるときは,その司法修習生を罷免することができる(同法68条)とされており,司法修習生には品位保持義務が課されている。
   さらに,司法修習生は,修習にあたって知った秘密を漏らしてはならない(規則3条)とされ,高い識見と円満な常識を養い,法律に関する理論と実務を身につけ,裁判官,検察官又は弁護士にふさわしい品位と能力を備えるように努めなければならない(規則4条)とされているから,司法修習生は,その地位の性質上,当然に中立公正性を保持しなければならないということができる。
   そうすると,司法修習生から兼業の許可の申請を受けた最高裁判所としては,司法修習の性質上,その兼業の内容等が,上記のような裁判所法又は規則に定められた修習専念義務,品位保持義務及び中立公正性に抵触しないか否かを判断する必要があるということができ,これらが一種の基準となっていると解することができる一方,それ以上の詳細な具体的な基準を作成することは,兼業許可の制度の運用を硬直化することになりかねないとも考えられる。
   また,最高裁判所の職員の口頭説明の結果によれば,平成25年度の司法修習生及び平成26年度の司法修習生についての兼業許可については,上記の裁判所法又は規則上の義務等を考慮して個別に判断する方法で運用されているところ,その許否の判断は適切に行われていると認められる。
(3)   以上を総合すると,司法修習生の兼業許可については,上記の法令の基準に沿った運用がされていて,具体的な基準の定めはないが,それによって許可の事務に支障は生じていないと認められるから,具体的な基準を定めた文書は作成し,又は取得していないとする最高裁判所事務総長の説明は合理的であるということができる。
   したがって,最高裁判所において,本件開示申出文書1は保有していないものと認められる。

司法修習生の兼業の状況

目次
1 67期及び68期の兼業許可の状況
2 69期の兼業許可の状況
3 70期の兼業許可の状況
4 兼業許可基準の緩和に関する国会答弁
5 最高裁判所に存在しない文書
6 関連記事その他

1 67期及び68期の兼業許可の状況
(1) 平成28年7月8日の法曹養成制度改革連絡協議会の最高裁判所提出資料5「兼業許可の申請状況」によれば,兼業許可の状況は以下のとおりです。
①  67期の場合,272件の申請件数に対し,許可件数が254件,不許可件数が4件,取り下げ件数が14件でした。
②  68期の場合,304件の申請件数に対し,許可件数が288件,不許可件数が3件,取り下げ件数が13件でした。
(2) 67期の人が出した,某巨大ファストフード店で働きたいという趣旨の兼業許可申請は不許可になったみたいです(股旅ブログ「兼業許可申請不許可処分」(平成26年4月29日付),及び「兼業許可申請不許可処分-後日談-」(平成30年5月13日付)参照)。

2 69期の兼業許可の状況
・ 平成28年1月31日現在の,第69期司法修習生の兼業に関する資料によれば,兼業許可の状況は以下のとおりです。
① 法科大学院等
   申請件数が 61件,許可件数が 56件,不許可件数が0件,取下げ件数が1件,審査中件数が4件
② 司法試験予備校等
   申請件数が103件,許可件数が101件,不許可件数が0件,取下げ件数が0件,審査中件数が2件
③ その他(教育関係)
   申請件数が 19件,許可件数が 18件,不許可件数が0件,取下げ件数が1件,審査中件数が0件
④ その他(教育関係を除く)
   申請件数が 16件,許可件数が  9件,不許可件数が3件,取下げ件数が4件,審査中件数が0件
⑤ 合計
   申請件数が199件,許可件数が184件,不許可件数が3件,取下げ件数が6件,審査中件数が6件

3 70期の兼業許可の状況
・ 平成28年12月22日現在の,第70期司法修習生の兼業に関する資料によれば,兼業許可の状況は以下のとおりです。
① 法科大学院等
   申請件数が 53件,許可件数が 49件,不許可件数が0件,取下げ件数が0件,審査中件数が 4件
② 司法試験予備校等
   申請件数が144件,許可件数が133件,不許可件数が0件,取下げ件数が0件,審査中件数が11件
③ その他(教育関係)
   申請件数が 25件,許可件数が 23件,不許可件数が0件,取下げ件数が0件,審査中件数が 2件
④ その他(教育関係を除く)
   申請件数が 14件,許可件数が  9件,不許可件数が0件,取下げ件数が4件,審査中件数が 1件
⑤ 合計
   申請件数が236件,許可件数が214件,不許可件数が0件,取下げ件数が4件,審査中件数が18件


4 兼業許可基準の緩和に関する国会答弁
・ 35期の安浪亮介最高裁判所人事局長は,平成26年5月14日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています(ナンバリングを追加しました。)。
① 司法修習生は、最高裁判所の許可を受けなければ、兼職、兼業を行うことができないとされております。政府の法曹養成制度関係閣僚会議の決定におきまして、法科大学院における学生指導を初めとする教育活動につきまして兼業を認めるべきとの提言がされたことなどを踏まえまして、最高裁におきましても、修習専念義務が定められた趣旨に反しないと考えられる一定の範囲で兼業許可の運用の緩和を図ったところでございます。
   具体的に申し上げますと、修習生の方から申請がされてまいります業務の内容、業務時間、業務量を踏まえまして、修習専念義務が定められた趣旨に照らして問題がないかという観点から事例ごとに個別に検討して、その許否を判断してまいってきているところでございます。
   資料にもございますとおり、平成二十六年、ことし四月末日までに、アルバイトの兼業許可がされたものが二百十五件、不許可となったものが二件でございます。許可をいたしましたものの圧倒的多数は、法科大学院や司法試験予備校での指導アシスタントあるいは答案の添削ということでございました。
   現在までのところで、兼業による司法修習への支障については承知していないところでございますが、この兼業許可の運用の緩和といいますのが、現在修習中の第六十七期の修習生から開始したばかりのところでございまして、修習への影響がどういうことになるのか、この辺もきちっと注視していく必要があると考えているところでございます。
② まず、修習専念義務と今回のアルバイトのような兼業、兼職の許可の運用の緩和の関係でございますけれども、修習専念義務といいますものは、修習生が、修習期間中、きちんと全力を挙げて修習に取り組むべきものということで、専念義務自体を緩和したというものではございません。
  一方で、修習生につきましては、最高裁判所の許可を受けなければ兼職、兼業を行うことができないと定められておりましたところでございます。政府の法曹養成制度関係閣僚会議の決定を踏まえまして、最高裁としても、修習専念義務が定められた趣旨に反しないと考えられる一定の範囲で兼業許可の方の運用を緩和したところでございます。
  それで、今委員御指摘の不許可にした事例についてでございます。
  ファストフード店におきましてアルバイトをしたい、こういう申請が出てまいったのはそのとおりでございます。ただ、申請書のその内容を見ますと、業務の内容、それから時間、実際にアルバイトをしたいという平日の夜の時間、それから休日等の時間、これを申請内容から見ますと、やはり過重なものに見えまして、修習に支障が生ずるおそれが高いと判断いたしまして不許可にしたものでございます。
   それから、民間企業からの出向という形での修習はできるのかという点でございますが、これまでも、民間企業に勤務する会社員等の方が、修習を終えれば当該企業に復職をすることが前提になっているというようなことで、一旦退職するのはやはり支障がある、こういうお話がございました。そういう話を踏まえまして、最高裁の方におきましても、無給で休職するということを前提で兼職の許可をしてまいったところでございまして、そういう例は何例かあるところでございます。


5 最高裁判所に存在しない文書
(1) 平成29年6月19日付の司法行政文書不開示通知書によれば,以下の文書は存在しません。
① 59期から現行65期までの司法修習生に関する兼業許可の申請件数,許可件数,不許可件数及び取り下げ件数が分かる文書
② 新65期及び66期の司法修習生に関する兼業許可の申請件数,不許可件数及び取り下げ件数が分かる文書
(2) 平成29年5月12日付の司法行政文書不開示通知書によれば,65期から69期までについて,兼業許可を受けた司法修習生の平均月収が分かる文書は存在しません。
(3) 平成30年2月20日付の司法行政文書不開示通知書によれば,71期司法修習生の兼業許可の状況が分かる文書は存在しません。
(4) 平成31年3月 1日付の司法行政文書不開示通知書によれば,72期司法修習生の兼業許可の状況が分かる文書は存在しません。

6 関連記事その他
(1) 平成29年6月19日付の開示文書によれば,新65期の兼業許可件数は2件であり,66期の兼業許可件数は1人です。
(2) 一般に許可制は,単なる職業活動の内容及び態様に対する規制を超えて,狭義における職業の選択の自由そのものに制約を課するもので,職業の自由に対する強力な制限であるから,その合憲性を肯定し得るためには,原則として,重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることを要します(最高裁令和4年2月7日判決。なお,先例として,最高裁大法廷昭和50年4月30日判決参照)。
(3) 以下の記事も参照してください。
・ 司法修習生の兼業・兼職の禁止
・ 裁判官の兼職

行政官国内研究員制度(司法修習コース)

目次
1 総論
2 行政官国内研究員は司法修習生の修習を終了しないこと
3 関連記事その他

1 総論
・ 行政官国内研究員制度(司法修習コース)は,各府省の行政官のうち,司法試験に合格している者を司法研修所に派遣して,司法の現場における理論と実務の研究に従事させることにより,複雑・高度化する行政に対応し得る専門的な法律知識等を修得させることを目的としています。

2 行政官国内研究員は司法修習生の修習を終了しないこと
(1) 行政官国内研究員(司法修習コース)派遣要綱(昭和63年2月9日付の人事院事務総長決定)によれば,以下のような取扱いになっています。
① 研究員は,研究従事命令に基づき,司法修習生として専ら所定の研究に従事します。
② 二回試験初日の1ヶ月前までに,司法修習生としての退職願を人事院を通じて最高裁判所に提出し,二回試験終了日の翌日,司法修習生の身分を失いますから,司法修習生の修習を終了することができません。
(2) 35期の安浪亮介最高裁判所人事局長は,平成26年5月14日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています(ナンバリングを追加しました。)。
① 次に、国家公務員の派遣型の研修ということで修習をしているのかという点でございます。
   これにつきましては、人事院が実施いたします一般職の国家公務員の国内研修制度の一環ということで、司法試験に合格いたしました行政官庁の職員が、人事院の事務官に身分を異動した上で、最高裁からの兼職の許可を得て司法修習を行う、こういう例がございます。
   ただ、この制度につきましては、公務員としての身分を有しており、有給で研修をしておるわけでございますけれども、二回試験の直前といいますか、その時点ではここの研修から退いてもらって、法曹資格は取得しない、こういう形での運用をしておるところでございます。
② 委員の方から今御指摘があった公務員の派遣研修の点でございますが、先ほどの答弁の中で、一点訂正をさせていただきます。
   二回試験の前と申し上げましたけれども、二回試験の後まで修習を続けておりまして、ただし、法曹資格は取得しないという形で制度をつくっておるということでございます。

3 関連記事その他
(1) 昭和63年度から平成25年度までの派遣研究員の総数は30人であり,年度ごとの内訳は,人事院HPにある平成25年度公務員白書のうち,「長期統計等資料4 行政官派遣研究員制度の年度別派遣状況(昭和41年度~平成25年度)」に載っています。
(2)   平成26年度以降の公務員白書にはなぜか,行政官国内研究員制度(司法修習コース)に関する記載がありません。
(3) 自由と正義1997年4月号に「行政官研究員として司法修習を受けて」(筆者は樋口眞人 警察庁刑事局捜査第二課理事官(当時)であり,大阪府警察本部長を最後に退職したことにつき,株式会社ヒガシ21HP「役員紹介 樋口 眞人」参照)が載っています。
(4) 以下の記事も参照してください。
・ 行政機関等への出向裁判官

司法修習生が取り扱う裁判修習関連の情報のセキュリティ対策

目次
1 司法研修所長通知の内容(平成20年12月25日付)
2 司法修習生がUSBメモリを紛失した場合,ニュースになることがあること
3 2015年個人情報漏洩インシデントの漏えい原因の件数及び比率
4 関連記事その他

1 司法研修所長通知の内容(平成20年12月25日付)
・ 「司法修習生が取り扱う裁判修習関連の情報のセキュリティ対策について」(平成20年12月25日付の司法研修所長通知)別紙第1によれば,情報をパソコンで取り扱うルールは以下のとおりです(「司法修習生に関連する法規及び通達」参照)。
   ただし,元の文章が図表のため,適当にナンバリングをしています。

(1) 情報を取り扱う前の指導担当裁判官への誓約と許可の申請
※ 裁判所内外を問わない。
※ パソコン環境が変更になっても,同様の誓約と許可が必要
→ 遵守事項
ア スタンドアロンパソコンを使用
※ インターネットやLANのいずれにも接続しないパソコンをいう。
イ スタンドアロンパソコンを用意できないとき
○ ウィルス対策の実施
○ ファイル共有ソフトの使用禁止
○ インターネットからの物理的切断(ケーブルを抜く。)
○ 外部記録媒体への保存(内蔵ハードディスク等の内部記憶媒体への保存禁止)
(2) 情報の利用に関するルール
◎ 修習以外の目的での利用禁止
◎ 指導担当裁判官以外への複製・配布の禁止
◎ 提供(他の司法修習生に対する提供を含む。)の禁止
◎ 各裁判修習終了の都度の速やかな消去
※ 修習目的で印刷し,紙媒体で保存することは妨げない。
◎ 機器廃棄の際の消去ソフトウェアによる消去や物理的破壊
(3) 情報の裁判所外への持ち出しに関するルール
◎ 修習以外の目的での裁判所外への持ち出し禁止
◎ 持ち出しに関する指導担当裁判官への個別の届出
→ 遵守事項
○ 持ち出す情報は,必要最小限度にする。
○ パスワードの設定(推測されやすいパスワードは不可)
○ 電子メールによる送信の禁止(外部記録媒体を利用)
○ 外部記録媒体運搬の際の紛失等に対する細心の注意(盗難,紛失対策の徹底)
(4) 裁判所内における私物パソコン使用に関するルール
◎ 裁判所内通信回線への接続禁止
★万一,USBメモリを紛失した場合,ウィルス感染した場合は,直ちに報告を(報告の遅れは命取り!)

2 司法修習生がUSBメモリを紛失した場合,ニュースになることがあること
(1) 司法修習生がUSBメモリを紛失した場合,ニュースになることがあります(外部ブログの「司法修習生がリポート記録を紛失,佐賀地裁で修習中」参照)。
   そのため,仮に司法修習生がUSBメモリを紛失した場合,報告の遅れは命取りとなるみたいですから,ニュースになることを覚悟した上で直ちに指導担当裁判官に報告する必要があると思われます。
(2) NTTドコモ,au又はSoftBankの携帯電話を紛失した場合の対処法につき,外部HPの「会社の携帯電話を紛失した際の適切な対処法と始末書の例文」が参考になります。
(3)ア 裁判修習の場合,司法修習生が自分のパソコンを起案等の業務に使うわけですから,BYOD(Bring Your Own Device)に該当すると思われます。
   そして,BYODのリスクについては,外部HPの「思っているよりずっと怖い「BYOD」に潜むワナ」が参考になります。
イ Voice HP「BYODの通信料は社員負担?個人携帯の業務利用時の費用と対応を解説|トラムシステム」が載っています。

3 2015年個人情報漏洩インシデントの漏えい原因の件数及び比率
・ 特定非営利活動法人日本ネットワークセキュリティ協会の「2015年情報セキュリティインシデントに関する調査報告書」(平成28年6月17日発表)によれば,799件あった2015年個人情報漏洩インシデントにつき,その漏えい原因の件数及び比率は以下のとおりです。
① 紛失・置き忘れ:243件(30.4%)
② 誤操作:206件(25.8%)
③ 管理ミス:144件(18.0%)
④ 不正アクセス:64件(8.0%)
⑤ 盗難:44件(5.5%)
⑥ 不正な情報持ち出し:38件(4.8%)
⑦ 内部犯罪・内部不正行為:17件(2.1%)
⑧ 設定ミス:15件(1.9%)
⑨ バグ・セキュリティホール:12件(1.5%)
⑩ ワーム・ウィルス:10件(1.3%)
⑪ 目的外使用:2件(0.3%)
⑫ その他:1件(0.3%)

4 関連記事その他
(1) パソコンに入っているシステムとしては,スタンドアローンシステム,クライアントサーバーシステム及びWEBシステムがあります(システム開発ブログ「システムの種類について – もしくは「WEBシステムってなに?」」参照)ところ,司法修習生のパソコンはスタンドアローンシステムであることとなります。
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 裁判官の記録紛失に基づく分限裁判
・ 裁判官の記録紛失に関して作成し,又は取得した文書は全部が不開示情報であること
・ 司法修習生の逮捕及び実名報道
・ 司法修習生の守秘義務違反が問題となった事例

司法研修所の職員配置図,各施設の配置及び平成24年8月当時の門限

目次
第1 司法研修所の職員配置図
1 バックナンバー
2 職員配置図の補足説明
第2 司法研修所の各施設の配置
1 総論
2 埼玉県和光市にあるもの
3 東京都練馬区にあるもの
4 埼玉県和光市と東京都練馬区にまたがっているもの
第3 平成24年8月当時の門限
第4 関連記事

第1 司法研修所の職員配置図
1 バックナンバー
・ 令和 4年4月 8日現在
・ 令和 3年4月 1日現在
・ 令和 2年5月11日現在
・ 平成31年4月22日現在
・ 平成30年4月 1日現在
・ 平成29年4月 1日現在
・ 平成28年4月 1日現在
・ 平成27年4月 1日現在
令和2年5月11日現在の司法研修所配置図

2 職員配置図の補足説明
(1) ダイヤルイン番号が消されているものの,職員配置図を見れば,誰がどの席に座っているかが分かります。
(2) 一部上席教官,民裁上席教官,刑裁上席教官及び検察上席教官の場合,個室となっているのに対し,民弁上席教官及び刑弁上席教官の場合,大きめの机に座っていることが分かります。
(3) 平成28年4月1日時点では,一部上席教官が38期の三角比呂裁判官,民裁上席教官が42期の花村良一裁判官,刑裁上席教官が40期の細田啓介裁判官,検察上席教官が41期の畝本毅検事でした。
(4) 「司法研修所の教官組別表,教官担当表及び教官名簿」も参照して下さい。
(5) 司法研修所職員配置表は別に存在します(「最高裁判所の職員配置図(平成25年度以降)」参照)。

第2 司法研修所の各施設の配置
1 総論
(1) 司法研修所の敷地は,埼玉県和光市と東京都練馬区にまたがっていますところ,本館が埼玉県和光市に所在することから,敷地全体の住所が埼玉県和光市になっていると思われます。
(2) 司法研修所の各施設の配置図と,司法研修所の便利マップを比較すれば,地図上のそれぞれの施設の所属は以下のとおりであることが分かります。
2 埼玉県和光市にあるもの
① 本館

・ 司法研修所の写真でよく出てくる建物ですが,司法修習生の教室はありません。
・ 1階には経理課経理係,管理係,用度係等があり,2階には刑事弁護教官室等があり,3階には民事弁護教官室,検察教官室等があり,4階には民裁教官室,刑裁教官室等があり,5階には総務課人事係,庶務係等があります。
② 東館
・ 69期導入修習の場合,演習室が14組の教室として,第1研究室が15組の教室として,大研究室が16組の教室として,第2研究室が17組の教室として使用されました。
③ 西館
・ 司法修習生の教室の大部分は西館の1階から4階にあります。
・ 1階には企画課企画2係,調査係等があります。
④ 図書館棟
・ 69期導入修習の場合,多目的ホールが18組の教室として使用されました。
・ いずみ寮に入寮した場合,西館の教室に通う際,毎日,図書館棟を通過することとなります。
・ 1階西側に書店及び売店があり,2階に食堂があり,3階に図書室があります。
⑤ 体育館

司法研修所事務局各課事務室等の案内

3 東京都練馬区にあるもの
① いずみ寮A棟
② いずみ寮B棟
③ グラウンド
④ テニスコート

4 埼玉県和光市と東京都練馬区にまたがっているもの
① 大講堂
② ひかり寮(裁判官宿泊棟)


第3 平成24年8月当時の門限
1 司法研修所の正門,東門,西門,南門及び北門の位置関係については,司法研修所配置図(案内図)を参照して下さい。
2 司法研修所における事務の取扱いについて(新第65期)(平成24年8月)の別紙第3によれば,それぞれの門扉の当時の開閉時刻は以下のとおりです。
① 正面玄関
   平日は8時から21時までであり,休日は終日閉鎖

② 正門
   平日は8時から18時30分までであり,休日は終日閉鎖

司法研修所正門(写真の真ん中奥が正面玄関です。)

③ 東門
・ 車出入口
   平日は8時から21時までであり,休日は終日閉鎖
・ 歩行者出入口
   平日は終日開放であり,休日は終日閉鎖

司法研修所東門

④ 西門
   平日は11時40分から12時40分まで,及び16時45分から19時までであり,休日は終日閉鎖


司法研修所西門

⑤ 南門
   平日は8時から10時までであり,休日は終日閉鎖

司法研修所南門

⑥ 北門
・ 車出入口
   平日は6時から23時までであり,休日は6時から23時まで
・ 歩行者出入口
   平日及び休日ともに,終日開放

司法研修所北門(左側が歩行者用出入口であり,右側が車出入口です。)

*1 西門及び南門の開錠は,司法修習生が通所する期間のみとし,それ以外の期間は終日閉鎖する。
*2 司法修習生は,夜間,休日等の入構時に身分証明書又はバッジの提示が必要である。


第4 関連記事
・ 司法研修所民事裁判教官の名簿
・ 司法研修所刑事裁判教官の名簿
・ 司法修習の場所とクラスの対応関係(67期以降)
・ 司法研修所教官
・ 司法研修所の教官組別表,教官担当表及び教官名簿
・ 司法研修所弁護教官の任期,給料等
・ 司法研修所弁護教官の業務は弁護士業務でないものの,破産管財人として行う業務は弁護士業務であること
・ 検察官と裁判官の法廷外での面談
・ 法廷における弁護士の起立問題
・ 七訂版 検察庁法(平成31年3月の法務総合研究所の文書)
・ 司法研修所の職員配置図,各施設の配置及び平成24年8月当時の門限
・ 司法研修所教官会議の議題及び議事録

司法研修所の教官組別表,教官担当表及び教官名簿

目次
1 私の手元にある最新版
2 教官担当表のバックナンバー
3 教官組別表のバックナンバー
4 教官名簿のバックナンバー
5 関連記事その他

1 私の手元にある最新版
・ 第77期教官担当表(令和6年4月19日現在)
・ 第73期司法修習生の教官組別表(導入修習時)
→ 集合修習及び導入修習がオンラインで実施されるようになった後のものはありません。
・ 司法研修所教官名簿(令和6年8月2日現在)


2 教官担当表のバックナンバー
・ 第77期教官担当表(令和6年3月14日現在)
・ 第76期教官担当表(令和5年4月1日現在)
・ 第76期教官担当表(令和4年10月20日付)
・ 第75期教官担当表(令和4年7月25日現在)
・ 第75期教官担当表(令和4年4月8日付)
・ 第75期教官担当表(令和3年11月4日付)
・ 第74期教官担当表(令和3年8月2日付)
・ 第74期教官担当表(令和3年5月6日付)
・ 第74期教官担当表(令和3年3月31日付)
・ 第73期教官担当表(令和2年4月現在)
 第73期教官担当表(令和元年11月29日付)
・ 第72期教官担当表(平成30年10月12日付)
・ 第71期教官担当表(平成29年10月13日付)第71期教官担当表(平成30年4月以降)
・ 第70期教官担当表(平成28年10月11日付)

3 教官組別表のバックナンバー
・ 第73期司法修習生の教官組別表(導入修習時)
 第72期司法修習生の教官組別表(導入修習時)
・ 第71期司法修習生の教官組別表(導入修習時)
・ 第70期司法修習生の教官組別表(導入修習時)
・ 第69期司法修習生の教官組別表(A班集合修習時まで)及び第69期司法修習生の教官組別表(B班集合修習時)
・ 第68期司法修習生の教官組別表
・ 第67期司法修習生の教官組別表
・ 第66期司法修習生の教官組別表



4 教官名簿のバックナンバー
(令和時代)
令和元年5月20日令和元年8月2日
令和2年4月10日令和2年10月24日令和2年12月15日
令和3年5月6日令和3年12月13日
令和4年4月26日
令和5年4月1日令和5年9月27日令和6年3月14日
令和6年4月1日
(平成時代)
平成31年4月10日平成30年10月31日平成30年7月18日
平成30年7月4日平成30年4月1日平成30年1月29日平成29年4月1日
平成28年10月24日現在のもの,及び平成29年2月1日現在のもの
→ 生年月日及び出身大学の欄がなくなりました(平成29年10月10日付の司法行政文書不開示通知書参照)。
平成28年8月1日現在のもの平成27年1月23日現在のもの,平成27年2月1日現在のもの,平成27年4月1日現在のもの及び平成27年6月29日現在のもの


5 関連記事その他
(1) Chuo Online「弁護士10年,「民弁所付」から「母弁」へ碇 由利絵(いかり ゆりえ)さん/弁護士」には,「民弁所付の業務内容」として以下の記載があります。
    司法修習で学ぶ5科目の一つである民事弁護を担当する組織が,先に述べた「民事弁護教官室」になります。民事弁護教官室には,十数名の教官と3名の所付がいます。教壇に立ち,修習生を直接指導するのは教官ですが,所付は教官の補佐役として,民事弁護のカリキュラム作成にも携わりますし,教材となる修習記録等が作成,印刷,配布されるまでのスケジュール管理,司法研修所と教官室との間の連絡・調整役など,幅広い業務を担っています。私個人としては,所付とは,教官室全体がうまく機能するためのマネージャーであると考えています。
    ところが,所付と修習生とは直接接する機会が少ないため,修習生(後の法曹)の間でもあまり知られていない存在なのです。
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 司法研修所教官
・ 司法研修所民事裁判教官の名簿
・ 司法研修所刑事裁判教官の名簿
・ 司法研修所弁護教官の任期,給料等
・ 司法研修所の職員配置図,各施設の配置及び平成24年8月当時の門限
・ 司法研修所教官会議の議題及び議事録
・ 法務総合研究所
・ 最高裁判所の職員配置図(平成25年度以降)

司法研修所教官

目次
1 総論
2 司法研修所教官等の身分
3 判事補又は検事への採用希望者に対し,法律事務所等の内定を求めるような指導はしていないこと
4 司法研修所教官は出世コースの一つであること等
5 在任中に死亡した司法研修所教官の出勤状況が分かる文書は存在しないこと等
6 関連記事その他

1 総論
(1)ア 司法研修所には,裁判官の研修を担当する第一部と,司法修習生の修習を担当する第二部があります(司法研修所規程3条1項)。
イ 単に司法研修所教官といった場合,司法研修所第二部の教官をいいます。
ウ 司法研修所第一部は,昭和57年3月までは簡易裁判所判事及び判事補の研修だけを行っていましたが,同年4月以降,判事の研修も行うようになりました(「裁判官研修の現状と課題」参照)。
(2) 司法研修所第二部の教官として,裁判官出身の民事裁判教官及び刑事裁判教官,検察官出身の検察教官,並びに弁護士出身の民事弁護教官及び刑事弁護教官がいます。

2 司法研修所教官等の身分
(1)ア   司法研修所長,司法研修所事務局長及び司法研修所教官は本来,裁判官以外の裁判所職員です(裁判所法55条及び56条,並びに司法研修所規則3条2項参照)。
    しかし,現実の運用では常に裁判官をもって充てられています(司法研修所長及び司法研修所事務局長につき司法行政上の職務に関する規則1項,民事裁判教官及び刑事裁判教官につき裁判所法附則3項(裁判所法等の一部を改正する法律(昭和24年6月1日法律第177号)による改正後のもの))。
イ 裁判所法附則3項は以下のとおりです。
    最高裁判所は、当分の間、特に必要があるときは、裁判官又は検察官をもつて司法研修所教官又は裁判所職員総合研修所教官に、裁判官をもつて裁判所調査官にそれぞれ充てることができる。
ウ 「最高裁判所とともに」(著者は高輪1期の矢口洪一元最高裁判所長官)180頁及び181頁には以下の記載があります。
たとえば裁判所の中でも、司法行政に従事する有資格事務官と判事、判事補の格差の問題があったのです。裁判をするかどうか、で形式的に区分することとして発足したのですが、事務総局等司法行政事務部門で有資格者が不可欠である以上、事務官への任命により昨日までの判事の待遇を下回る給与とすることは実務上不可能で、昭和二四年六月には、最高裁判所調査官、研修所教官や司法行政上の職に、判事、判事補を、そのままの身分で充てることができるようにされています。

(2)ア 検察官及び弁護士が司法研修所教官に就任できる法的根拠は司法研修所規則2条です。
イ   司法研修所規則2条は以下のとおりです。
    最高裁判所は、必要があると認めるときは、裁判官、検察官、弁護士又は学識経験のある者に司法研修所教官の事務の一部を嘱託する。


3 判事補又は検事への採用志望者に対し,法律事務所等の内定を求めるような指導はしていないこと
(1) 判事補への採用志望者の場合
・ 根拠となる文書は以下のとおりです。
① 平成31年 2月21日付の不開示通知書
② 平成31年 4月16日付の理由説明書
③ 令和 元年10月25日付の補充理由説明書

(2) 検事への採用志望者の場合
・ 根拠となる文書は以下のとおりです。
① 平成31年 2月20日付の不開示通知書
② 平成31年 4月16日付の理由説明書
③ 令和 元年10月25日付の補充理由説明書

4 司法研修所教官は出世コースの一つであること等
(1) 西川伸一Online「幹部裁判官はどのように昇進するのか」の7頁に以下の記載があるとおり,司法研修所の裁判教官は裁判所内における出世コースの一つです。
   司法研修所長とはもちろん、裁判官の研究・修養(第一部)と司法修習生の修習(第二部)のために最高裁が設置する司法研修所のトップである。このポストにも代々裁判官が就いている。所長のみならず、第一部教官や第二部の民事裁判官教官および刑事裁判官教官となって裁判官が司法研修所に出向している。司法研修所教官も有望ポストとみなされている。さらに司法研修所付(「所付」とよばれる)となる裁判官もいる。当然、彼らは裁判実務には携わらない。
(2) 「裁判官も人である 良心と組織の間で」91頁には以下の記載があります。
   「実際、すぐれた能力とセンスが備わっていても、教官が示す法律解釈などに異を唱えたり、論破したりする修習生は、裁判官の任官希望を出しても採用されないと言っていい。」
   こう前置きして語るのは、ある地裁の裁判長だ。
   「修習生は実務研修といって地裁や検察庁、弁護士事務所でも修習するのですが、私のところに来た修習生で、いいのがいたので裁判官への任官をすすめようとしたら、勝手に声掛けしたらいかんと、司法研修所の教官から注意された。教官は、最高裁に対して修習生の保証人という役割も担っていて、修習生が裁判官になれるかなれないかは教官が決定権を握っている。教官とすれば、素直さに欠ける修習生を裁判官にしてあとで問題になると困るということなんでしょう」


5 在任中に死亡した司法研修所教官の出勤状況が分かる文書は存在しないこと等
(1) 裁判所職員採用試験HPに掲載されている,50期の鈴木千帆裁判官のメッセージには,「裁判所は,ひとりひとりを大切にする組織です。」と書いてあります。
    しかし,42期の花村良一司法研修所民事裁判上席教官は,平成28年9月29日に死亡しましたところ,死亡した月の出勤状況が分かる文書は存在しないことになっています平成28年11月4日付の司法行政文書不開示通知書平成28年12月2日付の最高裁判所事務総長の理由説明書及び平成28年度(最情)答申第42号(平成29年1月26日答申)参照)。
(2)ア 平成29年10月31日付の司法行政文書不開示通知書によれば,花村良一裁判官の急死を原因として遺族から国家賠償請求訴訟を提起される可能性があることについて最高裁がどのように考えているかが分かる文書の存否を答えることは,不開示情報である個人識別情報を開示することとなるので,同文書の存否を答えることはできません。
イ 平成29年12月19日付の司法行政文書不開示通知書によれば,花村良一裁判官の死亡を原因として遺族から国家賠償請求訴訟を提起される可能性があることについて最高裁がどのように考えているかが分かる文書は存在しません。


6 関連記事その他
(1) 
平成29年6月14日付の司法行政文書不開示通知書によれば,司法研修所弁護教官室が,弁護教官の人数を増やしてほしいという趣旨で提出した意見書は存在しません。
(2)ア 日弁連は,昭和50年5月24日の第26回定期総会において,「司法研修所弁護教官の選任及び新任拒否に関する決議」を採択しました。
   その原因は,昭和50年4月,最高裁が,司法研修所弁護教官の選任について,日弁連と協議することなく,日弁連の推薦順位を無視したこと等にあります。
イ 月刊大阪弁護士会2020年1月号の「元最高裁判所判事・元弁護士 鬼丸かおるさん」に,「弁護士会が裁判所関係に人を推薦するときは、最低でも求められている人数の2倍を候補者として推薦します。」と書いてあります。
(3) 31期の瀬木比呂志裁判官が著した「絶望の裁判所」101頁には以下の記載があります。
    司法研修所は、事務総局人事局と密接に結び付いて最高裁長官や人事局長の意向の下に新任判事補を選別し、また、裁判官の「キャリアシステム教育」を行う、実質的な意味での「人事局の出先機関」なのである。人事局と司法研修所教官、ことに修習生の教育選別を行う部門と裁判官教育を行う部門との各上席教官(後者の上席のほうが格は上)、また司法研修所事務局長(以上、いずれも東京地裁裁判長クラスの裁判官)とのパイプはきわめて緊密である。そして、彼らを通じて、人事局は司法研修所教官を動かしている。
(5) 以下の記事も参照してください。
・ 司法研修所民事裁判教官の名簿
・ 司法研修所刑事裁判教官の名簿
・ 司法研修所の教官組別表,教官担当表及び教官名簿
・ 司法研修所弁護教官の任期,給料等
・ 司法研修所教官会議の議題及び議事録
・ 司法研修所の職員配置図,各施設の配置及び平成24年8月当時の門限
・ 最高裁判所の職員配置図(平成25年度以降)

司法修習生と国民年金保険料の免除制度及び納付猶予制度

目次
1 71期以降の司法修習生は必ず国民年金に加入すること
2 国民年金保険料の免除申請
3 国民年金保険料の納付猶予申請
4 国民年金保険料の免除又は納付猶予の共通事項
5 国民年金保険料の追納制度
6 生計を一にする親による国民年金保険料等の支払
7 日本弁護士国民年金基金
8 関連記事その他

1 71期以降の司法修習生は必ず国民年金に加入すること
(1) 新65期以降の司法修習生裁判所共済組合に加入できないこと
   新65期以降の司法修習生は,国家公務員でない上,国から給与を受けない者(国家公務員共済組合法施行令2条2項4号参照)であるため,国家公務員共済組合法2条1項1号所定の「職員」には該当しません。
   そのため,新65期以降の司法修習生は裁判所共済組合に加入できなくなりました。
(2) いずれのケースであっても,71期以降の司法修習生は必ず国民年金に加入すること
ア 採用直前の時点で国民年金の第1号被保険者であった場合
   司法修習生に採用された後も国民年金の第1号被保険者のままです。
イ 採用直前の時点で国民年金の第2号被保険者(例えば,会社員)であった場合
   遅くとも司法修習生に採用される前に勤務先を退職する必要がありますから,その時点で第1号被保険者として国民年金に加入することとなります。
   そして,司法修習生に採用された後も国民年金の第1号被保険者のままです。
ウ 採用直前の時点で国民年金の第3号被保険者(例えば,配偶者が会社員をしている場合の専業主婦又は専業主夫)であった場合
   修習給付金の支給を受けられるようになりますから,第2号被保険者(例えば,会社員の夫)の収入により生計を維持する者(国民年金法7条1項3号)ではなくなります。
   そのため,第3号被保険者としての資格を失う結果,司法修習生に採用された時点で第1号被保険者として国民年金に加入することとなります。
エ したがって,いずれのケースであっても,71期以降の司法修習生は必ず国民年金に加入することとなります。
(3) 国民年金への加入手続
ア   第2号被保険者であった場合
   本人又は世帯主が,住所地の市区役所又は町村役場において,年金手帳又は基礎年金番号通知書のほか,退職年月日が分かる書類(例えば,離職票)を持参して,退職日の翌日から14日以内に国民年金への加入手続を行う必要があります(日本年金機構HPの「国民年金に加入するための手続き」参照)。
イ 第3号被保険者であった場合
(ア) 市区役所等での加入手続に加えて,配偶者である第2号被保険者の勤務先を通じて年金事務所に対し,被扶養配偶者非該当届(文書の表題は「国民年金第3号被保険者関係届」であり,日本年金機構HPの「「被扶養配偶者非該当届」について」に掲載されています。)を提出する必要があります(一連の届出を「種別変更の届出」といいます。)。
(イ) 第3号被保険者であった人が司法修習生に採用された後も第3号被保険者のままでいて,弁護士登録をした時点で第1号被保険者への切り替えを行った場合において,司法修習が終了した日から2年以上が経過した場合,司法修習生であった期間がそのまま未納期間となり,無年金又は年金減額につながります(「第3号被保険者の不整合記録問題」です。)。
   ただし,「時効消滅不整合期間に係る特定期間該当届」を年金事務所に提出すれば,「時効消滅不整合期間」が特定期間(年金の受給資格期間として算入されるものの,支給される年金には反映されない期間(いわゆるカラ期間))となります。
(ウ) 政府広報オンラインの「会社員などの配偶者に扶養されている方、扶養されていた方(主婦・主夫)へ知っておきたい「年金」の手続」(令和元年7月12日付)が参考になります。

法務省作成の,令和元年6月18日の参議院文教科学委員会の国会答弁資料

2 国民年金保険料の免除申請
(1) 本人,世帯主及び配偶者の前年所得(令和元年11月採用の73期司法修習生の場合,平成30年所得)が一定額以下の場合,国民年金保険料の免除制度に基づき,申請をすることにより全額又は一部を免除してもらえます。
(2) 国民年金保険料の免除制度は,同居している親に一定額以上の所得がある場合は利用できません。
(3) 国民年金保険料の免除を受けた場合,免除期間が老齢基礎年金の額に反映されますし,年金の受給資格期間に反映されます。

3 国民年金保険料の納付猶予申請
(1) 本人及び配偶者の前年所得(令和元年11月採用の73期司法修習生の場合,平成30年所得)が一定額以下であり,本人が50歳未満である場合,国民年金保険料の納付猶予制度に基づき,申請をすることにより全部の納付を猶予してもらえます。
(2)ア 国民年金保険料の猶予申請制度を利用する場合,同居している親の所得は関係ありませんから,50歳未満の司法修習生本人及びその配偶者の前年所得が一定額以下であるだけで利用できます。
イ 例えば,50歳未満で独身の73期司法修習生の場合,平成30年の所得が一定額未満であれば令和元年の国民年金保険料について納付猶予申請ができますし,令和元年の所得が一定額未満であれば令和2年の国民年金保険料について納付猶予申請ができます。
(3) 国民年保険料の納付猶予を受けた場合,猶予期間は老齢基礎年金の額に反映されないものの,年金の受給資格期間に反映されます。

4 国民年金保険料の免除又は納付猶予の共通事項
(1) 日本年金機構HPの「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」に一通りの説明が書いてあります。
(2) 住民登録をしている市区役所・町村役場の国民年金担当窓口で申請をする必要があります。
(3)ア 必要書類は以下のとおりです。
① 必ず必要なもの
・ 年金手帳又は基礎年金番号通知書
② 場合によって必要なもの
・ 前年(又は前々年)所得を証明する書類
→ 7月以降に申請をする場合は前年の,6月以前に申請する場合は前々年の書類が必要です。
・ 所得の申立書
→ 所得についての税の申告を行っていない場合に必要となります。
イ 平成26年10月以降,前年(又は前々年)の所得額が57万円以下であることの申立てを免除等申請書の「前年所得」欄に記入することにより,所得の状況を明らかにすることができる書類の添付を省略できるようになりました。
(4) 平成26年4月以降,保険料の納付期限から2年を経過していない期間(申請時点から2年1ヵ月前までの期間)について,さかのぼって免除又は納付猶予を申請できるようになりました(日本年金機構HPの「国民年金保険料の免除等の申請が可能な期間」参照)。
(5) 平成31年4月以降,次世代育成支援の観点から,国民年金第1号被保険者が出産を行った場合,住民登録をしている市区役所・町村役場の国民年金担当窓口に届書を提出することにより,出産前後の一定期間の国民年金保険料が免除されるようになりました(日本年金機構HPの「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」参照)。


5 国民年金保険料の追納制度
(1) 国民年金保険料について免除又は納付猶予を受けた場合であっても,過去10年分の国民年金保険料を追納することができます(日本年金機構HPの「国民年金保険料の追納制度」参照)。
(2) 過去2年分の国民年金保険料を追納する場合,追納加算額がありません。
   そのため,国民年金保険料について免除又は納付猶予を受けた上で,判事補又は検事となったり,弁護士となったりしてそれなりの所得が発生した後に国民年金保険料を追納した方が,司法修習生時代にお金を手元に残しておくことができますし,将来,社会保険料控除による節税額を大きくすることができます。

6 生計を一にする親による国民年金保険料等の支払
(1) 生計を一にする親に国民年金保険料及び国民健康保険料を支払ってもらった場合,親の社会保険料控除の対象となります(国税庁タックスアンサーの「No.1130 社会保険料控除」参照)。
(2) 「生計を一にするの意義」に関する所得税基本通達2-47は以下のとおりです。
2-47 法に規定する「生計を一にする」とは、必ずしも同一の家屋に起居していることをいうものではないから、次のような場合には、それぞれ次による。
(1) 勤務、修学、療養等の都合上他の親族と日常の起居を共にしていない親族がいる場合であっても、次に掲げる場合に該当するときは、これらの親族は生計を一にするものとする。
 イ 当該他の親族と日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には当該他の親族のもとで起居を共にすることを常例としている場合
 ロ これらの親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合
(2) 親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするものとする。


7 日本弁護士国民年金基金
(1) 二回試験に合格して弁護士登録をした場合,弁護士会の新人研修等の際に,日本弁護士国民年金基金への加入を勧誘されるようになります。
(2) ①日本弁護士国民年金基金の取扱いとして,平成7年3月31日までに加入した弁護士の予定利率は現在でも5.5%であるにもかかわらず,平成26年4月1日以降に加入した弁護士の予定利率は1.5%となっていること,②平成30年3月期における20~29歳の加入者は156人であること(加入者全体の1.8%),及び③いったん加入した場合,減口はできるものの,1口目の任意解約はできないこと等については,「日本弁護士国民年金基金」を参照してください。

日本弁護士国民年金基金の総括表(平成31年3月22日の第6回財政再計算報告書からの抜粋)

日本弁護士国民年金基金の年齢階級別加入者数及び平均掛金額(平成30年3月期)

8 関連記事その他
(1) 総務省行政評価局年金記録問題検証委員会(平成19年6月から同年10月までの開催)には例えば,以下の資料が載っています。
・ 年金記録の管理のこれまでの経緯について

→ 基礎年金番号導入前の年金記録の管理,平成9年1月の基礎年金番号の導入等に関する記載があります。
・ 年金制度の歴史
→ 公的年金制度の沿革,年金制度の体系等に関する記載があります。
・ 年金記録と基礎年金番号
→ 基礎年金番号の導入と基礎年金番号への統合(結び付け),基礎年金番号への統合の作業経過と未統合の5000万件等に関する記載があります。
(2)ア 平成3年3月以前に国民年金任意加入対象であった学生,及び昭和61年3月以前に国民年金任意加入対象であった専業主婦のうち,障害基礎年金の1級又は2級相当の障害の状態のある人については,特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律(平成16年12月10日法律第166号)に基づき,平成17年4月以降,特別障害給付金(制度開始当初の金額は,1級相当の人は月5万円,2級相当の人は月4万円)が支給されています(日本年金機構HPの「特別障害給付金制度」参照)。
イ 学生無年金障害者に対し,無拠出制の年金を支給する旨の規定を設けるなどの措置を講じなかったことは,憲法25条,14条1項に違反しません(最高裁平成19年9月28日判決)。
ウ 国民年金法の改正により,学生について在学中の保険料の納付が猶予される国民年金保険料の学生納付特例制度(毎年度の申請が必要です。)が開始したのは平成12年4月です(日本年金機構HPの「■学生には保険料を後払いできる制度があると聞いたのですが、どのような制度ですか。」参照)。
(3) 以下の記事も参照してください。
・ 修習給付金を受ける司法修習生の社会保険及び税務上の取扱い
・ 修習給付金に関する司法研修所の公式見解を前提とした場合の,修習給付金に関する取扱い
・ 修習給付金は非課税所得であると仮定した場合の取扱い
・ 修習給付金は必要経費を伴う雑所得であると仮定した場合の取扱い
・ 修習資金貸与制と健康保険の被扶養者
 司法修習生の給費制,貸与制及び修習給付金

導入修習カリキュラムの概要

目次
1 69期以降の導入修習カリキュラムの概要(中身は真っ黒)
2 導入修習に関するアンケート集計結果
3 導入修習後の状況等に関するアンケート集計結果
4 関連記事

1 69期以降の導入修習カリキュラムの概要(中身は真っ黒)
・ 77期導入修習カリキュラムの概要
・ 76期導入修習カリキュラムの概要
・ 75期導入修習カリキュラムの概要
・ 74期導入修習カリキュラムの概要
・ 73期導入修習カリキュラムの概要
・ 72期導入修習カリキュラムの概要
・ 71期導入修習カリキュラムの概要
・ 70期導入修習カリキュラムの概要
・ 69期導入修習カリキュラムの概要


2 導入修習に関するアンケート集計結果
69期70期71期72期73期
74期
75期76期

3 導入修習後の状況等に関するアンケート集計結果(裁判所HPへのリンク)
(1) 平成27年11月17日の第30回司法修習委員会では「導入修習後の状況等に関するアンケート集計結果」(資料53)(68期)が配布されました。
(2) 平成28年11月15日の第32回司法修習委員会では,「導入修習後の状況等に関するアンケート集計結果」(資料63)(69期)が配布されました。
(3) 平成29年11月 2日の第34回司法修習委員会では,「導入修習後の状況等に関するアンケート集計結果」(資料69)(70期)が配布されました。
(4) 平成30年11月12日の第36回司法修習委員会では,「導入修習後の状況等に関するアンケート集計結果」(資料72)(71期)が配布されました。
(5) 令和 元年11月12日の第38回司法修習委員会では,「導入修習後の状況等に関するアンケート集計結果」(資料75)(72期)が配布されました。
(6) 令和 2年11月 5日の第39回司法修習委員会では,「導入修習後の状況等に関するアンケート集計結果」(資料78)(73期)が配布されました。


4 関連記事
・ 司法修習生指導担当者協議会
・ 導入修習の実施に関する司法研修所事務局長の説明
・ 68期導入修習カリキュラムの概要
→ 平成27年7月の司法修習生指導担当者協議会における司法研修所の配付資料を丸写ししたものであり,69期以降の分と異なり,黒塗り部分は全くありませんでした。
・ 導入修習の日程予定表及び週間日程表
・ 導入修習チェックシート
→ 導入修習チェックシートについて(司法修習生向けの説明文書),及び導入修習チェックシートの活用について(司法修習生指導担当者向けの説明文書)も掲載しています。
・ 実務修習結果簿
→ 修習結果簿集計結果を含んでいます。
・ 集合修習カリキュラムの概要

法務行政修習プログラム(選択型実務修習)

目次
1 法務行政修習プログラム関係文書
2 平成27年度法務行政修習プログラムのうち,B班の日程
3 関連記事

1 法務行政修習プログラム関係文書
(1) 法務行政修習プログラム関係文書を以下のとおり掲載しています。
・ 令和 元年の法務行政修習プログラム関係文書(72期選択型実務修習)
・ 平成30年の法務行政修習プログラム関係文書(71期選択型実務修習)
・ 平成27年の法務行政修習プログラム関係文書(68期選択型実務修習)
(2) だが、それがいいブログ「選択型実務修習・集合修習について~農林水産省のランチは美味い~」には,「東京に来てみたいという理由で地方からこのプログラムを選択している修習生もいたと記憶しています。」と書いてあります。

2 平成27年度法務行政修習プログラムのうち,B班の日程
(1) 68期司法修習生が参加した平成27年度法務行政修習プログラムのうち,B班の日程は以下のとおりでした。
9月7日(月)
(法務総合研究所第3教室)
9:30~9:45 オリエンテーション
9:50~10:40 刑事局の組織・所管事務(法務省刑事局)
10:50~12:30 法律が成立するまでの手続,新規立法,罰則審査等(法務省刑事局)
12:30~13:30 休憩
13:30~14:00 法律問題演習事前配布・説明(法務省刑事局)
14:10~14:20 法務総合研究所の組織・所管業務について(法務総合研究所)
14:20~15:00 犯罪白書と犯罪情勢について(法務総合研究所)
15:00~15:40 国連アジア極東犯罪防止研修所について(法務総合研究所)
15:50~17:20 出入国管理行政について(法務省入国管理局)
9月8日(火)
(東京法務局8階専用会議室)
9:30~10:20 不動産登記と筆界特定制度について(東京法務局)
10:20~10:40 商業・法人登記制度について(東京法務局)
10:40~11:00 成年後見登記制度について(東京法務局)
11:00~11:30 庁内見学
11:30~13:10 移動・休憩
(法務総合研究所第3教室)
13:10~15:40 民事立法と民事法務行政について(法務省民事局)
15:50~17:20 矯正の現状について(法務省矯正局)
9月9日(水)
(法務総合研究所第3教室)
9:30~12:00 法律問題演習(法務省刑事局)
12:00~13:00 休憩
13:00~14:30 訟務制度について(法務省訟務局)
14:40~16:10 人権擁護行政について(法務省人権擁護局)
16:20~17:50 更生保護行政について(法務省保護局)
9月10日(木)
(法務総合研究所第3教室)
9:30~12:00 債権法の改正について(法務省民事局)
12:00~14:00 移動・休憩
(東京拘置所)
14:00~16:00 施設見学(東京拘置所)
9月11日(金)
(東京入国管理局)
9:30~11:30 業務概況説明及び施設見学(東京入国管理局)
11:30~13:30 移動・休憩
(法務総合研究所第3教室)
13:30~14:30 法制度整備支援の概要(法務総合研究所)
14:40~15:20 オリエンテーション(法務総合研究所)


(2) 72期の場合,B班の法務行政修習プログラムは令和元年9月2日(月)~6日(金)に実施され,A班の法務行政修習プログラムは令和元年10月7日(月)~11日(金)に実施されました。





3 関連記事
・ 選択型実務修習に関する資料
・ 司法修習生の司法修習に関する事務便覧

司法修習生の旅費に関する文書

目次
1 導入修習及び分野別実務修習に参加するための旅費について(司法研修所事務局経理課長の事務連絡)
2 旅費に関する一般的な取扱いを定めた内部文書
3 司法修習生向けの文書
4 司法修習期間中の旅費に関する最高裁判所の説明
5 関連記事その他

1 導入修習及び分野別実務修習に参加するための旅費について(司法研修所事務局経理課長の事務連絡)
・ 令和 6年 2月 7日付(77期用)
・ 令和 4年10月11日付(76期用)
・ 令和 3年10月11日付(75期用)
・ 令和 3年 2月14日付(74期用)
・ 令和 元年10月29日付(73期用)
・ 平成30年11月 1日付(72期用)
・ 平成29年11月 1日付(71期用)

2 旅費に関する一般的な取扱いを定めた内部文書
(旅費一般)
・ 内国旅行の旅費について(昭和61年9月12日付の最高裁判所事務総長依命通達)
・ 国家公務員等の旅費に関する法律第4条第1項の規定に基づく旅行命令権の委任等について(平成14年3月29日付の最高裁判所事務総長依命通達)
・ 旅費業務に関する標準マニュアルVer.2-0(平成26年12月の各府省申合せ)
・ 旅費支給事務のQ&A(平成24年4月)
・ 旅費業務の取扱いに係るQ&A(平成30年3月)(最高裁判所事務総局経理局監査課)
(日額旅費)
・ 研修等の旅行の日額旅費について(平成31年3月15日付の最高裁判所経理局長の通達)
・ 国家公務員等の旅費に関する法律第26条第2項の規定に基づく,最高裁判所長官及び財務大臣の協議文書(平成31年2月28日及び同年3月6日)
・ 日額旅費の改正に関する最高裁判所長官及び大蔵大臣の協議文書(平成2年6月)


3 司法修習生向けの文書
(1) 東京地裁の文書

・ 選択型実務修習の旅費支給取扱要領(令和元年6月の東京地裁事務局総務課庶務第二係の文書)を掲載しています。
(2) 大阪地裁の文書
・ 旅費及び宿泊費の説明文書(72期大阪修習で使用したもの)を掲載しています。
(3) 名古屋地裁の文書
・ 名古屋地裁総務課が72期司法修習生に配布した以下の書類を掲載しています。
① 裁判修習中における留意事項について(平成31年1月7日付の名古屋地裁事務局総務課の文書)
② 導入修習及び分野別実務修習に伴う招集旅費について(平成31年1月7日付の名古屋地裁事務局総務課庶務第一係の文書)
③ 全国プログラム及び自己開拓プログラムの出張予定書について(令和元年6月20日付の名古屋地裁事務局総務課庶務第一係の事務連絡)
④ 第72期司法修習生選択型実務修習(個別プログラム)について(令和元年7月29日付の名古屋地裁事務局総務課庶務第一係の事務連絡)

4 司法修習期間中の旅費に関する最高裁判所の説明
・ 最高裁判所の令和4年度概算要求書(説明資料)647頁には,「司法修習期間中の旅費」として以下の記載があります。
<要求要旨>
(ア) 招集帰任旅費
    司法修習においては,2年次生及び1年次生が司法研修所における導入修習に参加した上で,配属先の実務修習庁会へ赴くための招集旅費並びに2年次生が集合修習に参加するために,司法研修所に移動するためのA班の招集帰任旅費及びB班の招集旅費が必要となる。
令和4年度においても,これに必要な経費を要求する。
(イ) 実務修習旅費
    司法修習生の実務修習の主たる目的は実際の事件処理を学ぶことにある。そのためには,法廷での審理に立ち会うだけでなく,進行中の事件における現場検証や出張尋問等にも同行し,修習指導担当者等の指導を受けることが必要である。
令和4年度においても,これに必要な経費を要求する。
(ウ) 選択型実務修習旅費
    司法修習における2年次生に対する選択型実務修習は,民事裁判,刑事裁判,検察,弁護の分野別実務修習の各分野を一通り体験した後に,分野別実務修習で配属された弁護士事務所を本拠地とし,司法修習生の主体的な選択により行う課程である。
    そのため,実務修習庁会(裁判所,検察庁,弁護士会)は,その地の実情に応じて,できるだけ多様な個別修習プログラムを提供し,また,その修習の性質上特定の地域の実務修習庁会等しかプログラムを提供できないようなものについては,全国の司法修習生にそのプログラム(全国プログラム)を提供する。
    また,司法修習生が,自ら修習先を開拓することも認められる(自己開拓型プログラム)。
    個別修習プログラムの例としては,各実務修習庁会(裁判所,検察庁,弁護士会)において,分野別実務修習の内容を更に深め,又は,特定の事件類型等に焦点を当てるなどした様々なプログラムが提供されているほか,模擬裁判,刑事関連施設見学修習,公設事務所等における公益的活動の修習等がある。
    全国プログラムの例としては,管轄が東京・大阪という特定の地方裁判所に限定されている知的財産権訴訟等に関する修習,法務省における法務行政に関する修習,いわゆる渉外・知財事務所での修習等がある。
    このように,選択型実務修習は,司法修習生の2年次生が,分野別実務修習の深化と補完を図り,併せて,各自が関心を持つ法曹の活動領域における知識・技法の習得を図る目的で実施するものである。
    そこで,令和4年度においても,これに要する司法修習生旅費を要求する。

5 関連記事その他
(1) 司法修習生は公務員に該当しないものの,国費を支弁して旅行させる必要があるということで,国家公務員等の旅費に関する法律3条5項に基づき,旅費を支給されています(平成28年度(最情)答申第26号(平成28年9月1日答申)参照)。
(2) 国土交通省中部地方整備局HP「旅費業務の効率化の取組み~「迷う、悩む、手間取る」の解消に向けて~」に,平成26年9月に本格稼働した府省共通システムである旅費等内部管理業務共通システム(略称は「SEABIS」です。)のことが書いてあります。
(3)ア 以下の資料を掲載しています。
・ 国家公務員の旅費等に関する法律第4条第1項の規定に基づく旅行命令権の委任等について(平成14年3月29日付の最高裁判所事務総長の依命通達)
・ 旅費業務の取扱いについて(平成29年3月21日付の最高裁経理局長の通知)
イ 以下の記事も参照してください。
・ 司法修習開始前に送付される資料
・ 司法修習生の採用選考の必要書類
・ 選択型実務修習に関する資料
・ 司法修習生に対する旅費及び移転給付金について課税関係は発生しないこと

導入修習及び分野別実務修習に参加するための旅費について(平成30年11月1日付の司法研修所事務局経理課長の事務連絡)の別紙4

選択型実務修習の旅費支給取扱要領(令和元年6月の東京地裁事務局総務課庶務第二係の文書)の別紙

選択型実務修習の旅費支給取扱要領(令和元年6月の東京地裁事務局総務課庶務第二係の文書)の別紙

72期司法修習予定者の実務修習地を決定する際に作成した文書

1(1) 令和元年8月23日付の答申書によれば,「72期司法修習予定者の実務修習地を決定する際に作成した文書」は「第72期司法修習生採用選考申込者の実務修習地,組,出席番号及び修習班について(平成30年10月17日決裁)」(答申書がいうところの「本件開示文書」(=「本件名簿」及び「決裁票」))だけです。
(2) 答申書がいうところの本件各開示申出文書は以下のとおりです。
① 72期司法修習予定者の実務修習地を決定する際に作成した文書(72期司法修習予定者から提出された文書は除く。)
② 72期司法修習予定者の実務修習地の決定に関与した職員の氏名が分かる文書

2 令和元年8月23日付の答申書には以下の記載があります。
   苦情申出人は,本件各開示文書以外にも,例えば,①実務修習地決定のための会議を開催した際の資料,②組の数を決めた上で,京都修習と大津修習を一緒にしたり,神戸修習と奈良修習を一緒にしたりすることを決定した際の文書,③どの司法修習生をどの実務修習地に配属するかを検討した際に作成した文書等,本件各開示申出文書に該当する文書が存在する旨を主張する。
   まず,別紙1記載1の開示の申出に係る文書は,その申出の内容に照らせば,第72期司法修習について, 司法修習予定者ごとの実務修習地を決定する際に作成した文書であると解されるから,その対象文書として,最高裁判所が本件名簿を特定したことは妥当である。この点について, 当委員会庶務を通じて確認した結果によれば,苦情申出人が主張する上記②の文書は, 司法修習予定者ごとの実務修習地を決定する際に作成されるものではないと認められるから,対象文書には該当しないといえる。
   次に,最高裁判所事務総長の上記説明によれば,司法修習採用選考申込者ごとの実務修習地を決定するに当たっては,実務修習希望地調査書に記載された希望修習地及びその順位,各人の健康状態,家族状況等の諸般の事情を考慮して検討・調整を行い,本件名簿を作成して決定しており,その際の個々の検討・調整については,順次変更が重ねられていく流動的なものにすぎないから,個別に文書を作成する必要はないとのことである。司法修習採用選考申込者ごとの実務修習地がこのような検討・調整を経て決定されることを踏まえて検討すれば,本件名簿以外の文書は作成又は取得していないという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。したがって,苦情申出人が主張する上記③の文書を最高裁判所が保有しているとは認められない。
   また,最高裁判所事務総長の上記説明によれば, 司法修習採用選考申込者の実務修習地を決定し,本件名簿を作成する段階で会議は開催していないとのことであり,実務修習地の決定に際して必ず会議が開催されているという事情はうかがえないことからすれば, このような説明の内容が不合理とはいえない。
   したがって,苦情申出人が主張する上記①の文書を最高裁判所が保有しているとは認められない。
   そのほか,最高裁判所において,本件各開示文書以外に本件各開示申出文書に該当する文書を保有していることをうかがわせるような事情は認められない。

「第72期司法修習生採用選考申込者の実務修習地,組,出席番号及び修習班について」と題する決裁票(平成30年10月17日決裁)

3 最高裁判所事務総長が作成した,平成31年3月11日付の理由説明書の「理由」欄の記載は以下のとおりです。
(1) 開示申出の内容
ア 72期司法修習予定者の実務修習地を決定する際に作成した文書(72期司法修習予定者から提出された文書は除く。)
イ 72期司法修習予定者の実務修習地の決定に関与した職員の氏名が分かる文書(決裁文書を含む。)
(2) 原判断機関としての最高裁判所の判断内容
   最高裁判所は, (1)の開示の申出に対し, 2月4日付けで一部不開示の判断(以下「原判断」という。)を行った。
(3) 最高裁判所の考え方及びその理由
ア 文書の整理について
   申出アの文書については,第72期司法修習について司法修習予定者ごとの実務修習地を決定する際に作成した文書,つまり,個別の司法修習採用選考申込者と実務修習地を関連付ける内容の文書と整理した。
   以上を踏まえると,苦情申出人が本件開示申出に係る文書とする「組の数を決めた上で,京都修習と大津修習を一緒にしたり,神戸修習と奈良修習を一緒にしたりすることを決定した際の文書」は対象文書に相当しない。
イ 開示対象文書の作成過程について
   司法研修所では,司法修習採用選考申込者ごとの実務修習地について,実務修習希望地調査書に記載された希望修習地及びその順位,各人の健康状態,家族状況等の諸般の事情を考慮して検討・調整を行った上で, 「第72期司法修習生採用選考申込者の氏名,生年月日,性別,実務修習地,組,出席番号,修習班等が記載された名簿」(以下「本件名簿」という。)を作成して決定している。個々の検討・調整については,その後も変更が重ねられていく流動的なものに過ぎず,個別に文書を作成する必要はないため,本件名簿以外の文書は作成又は取得していない。
   なお,司法修習採用選考申込者の実務修習地を決定し,本件名簿を作成する段階で会議は開催していない。
ウ 不開示部分について
   本件名簿に記載されている司法修習採用選考申込者の性別,実務修習地,組,出席番号,修習班等は,同申込者の氏名及び生年月日と一体として個人識別情報に相当する。
エ よって,原判断は相当である。

司法修習生の採用選考の必要書類

目次
第1 はじめに
第2 提出書類の一覧
1 最高裁判所事務総局人事局任用課試験係に提出する書類(書留・速達)
2 司法研修所企画第二課調査係に提出する書類(簡易書留)
第3 追完できない書類及び追完可能な書類
第4 書類の記載方法等
第5 司法試験合格証書
第6 民間企業が採用選考する時に配慮すべきとされている事項
第7 犯罪経歴証明書及び犯罪人名簿における取扱い
第8 検察庁は行政官庁等からの前科照会に回答していないこと,及び最高裁昭和56年4月14日判決の判示内容
1 検察庁は行政官庁等からの前科照会に回答していないこと
2 最高裁昭和56年4月14日判決の判示内容
第9 就職希望者の前科前歴の秘匿に関する裁判例
第10 二回試験不合格者が再採用してもらう際の手続
第11 54期の司法修習生採用選考当時の提出書類
第12 かつて存在した司法修習生の国籍条項
第13 司法修習生採用選考の申込期間の適法性に関する東京地裁平成29年9月7日判決の判示内容
第14 関連記事その他

第1   はじめに
1 本ブログの記載は参考程度にとどめた上で,必ず裁判所HPで提出書類の書き方等を確認して下さい。
2 司法修習生の採用選考の必要書類は例年,以下のとおりでありますところ,コピーを提出してもいいものはありません。
3 提出書類の書式等は「司法修習生の採用選考に関する公式文書」に掲載しています。

第2 提出書類の一覧
1 最高裁判所事務総局人事局任用課試験係に提出する書類(書留・速達)
① 司法修習生採用選考申込書(署名・押印・写真貼付)
② 資格の登録抹消証明書(該当者だけ)(追完可能)
・ コピー不可です。
③ 資格に関する申述書(該当者だけ)
・ 資格の登録抹消証明書を提出しない場合に提出するものです。
④ 提出書類確認票
⑤ 司法試験合格証書のコピー(6年以上前の合格者に限る。)
⑥ 戸籍抄(謄)本又は住民票の写し(申込みの3ヶ月以内に発行されたもの)
・ コピー不可です。
・ 住民票の写しを提出する場合,本籍地及び戸籍筆頭者の記載がされており,個人番号(マイナンバー)が記載されていないものが必要です。
⑦ 成績証明書(追完可能)
・ コピー不可です。
・ 卒業・修了・退学年月の記載のあるもの
*1 73期司法修習生から,登記されていないことの証明書を提出する必要がなくなりました。
*2 74期司法修習生から,健康診断票の提出が不要になりました。
*3 75期司法修習生から,平成28年度以降の合格者は提出不要となりました。

2 司法研修所企画第二課調査係に提出する書類(簡易書留)
⑩ 実務修習希望地調査書
⑪ 身上報告書2部・カラー写真5枚
→ カラー写真(縦4cm,横3cm)5枚のうち,2枚は身上報告書に貼付し,残り3枚は写真用封筒に入れて送付します。


第3 追完できない書類及び追完可能な書類
1 追完できない書類
(1)   追完できない書類のうち,取得に時間がかかる書類は,⑨健康診断票でした。
   ただし,健康診断において要再検査の項目がある場合,再検査の項目については,9月末日頃までに再検査等結果報告書を提出すれば足ります。
(2) 74期以降の司法修習の場合,健康診断票の提出が不要になりました。
2 追完可能な書類
(1) 「司法修習生採用選考審査基準」(令和元年7月3日付)からすれば,⑤学校の成績証明書,⑥学校の卒業(退学)年月を証する書面,⑦退職証明書及び⑧資格の登録抹消証明書等は,司法修習生の採用選考における審査基準と直接の関係がないから,追完可能な書類となっているのかもしれません。
(2) 外部HPの「退職」に,退職証明書の追完日に関してブログ主が最高裁の担当者に問い合わせたときの体験談が書いてあります(リンク先のブログでは「法務省」と書いてありますが,「最高裁」の誤記と思います。)。


第4 書類の記載方法等
1 一晩待って作成した方がいいこと
   司法修習生採用選考申込書,実務修習希望地調査書,身上報告書及び入寮許可願については,最初は下書きを作成しながら推敲し,記入事項を完全に確定した後,一晩待って考えに変更がないかどうかを確認した上で,改めて一から書類を作成した方がいいと思います。
2 誤記等の訂正はしない方がいいこと
   二重線で誤記等の訂正をした場合,書類が汚くなります。
   そして,身上報告書は,司法研修所及び実務修習地の修習指導関係者など,多くの人の目に触れる書類です「司法修習生の身上報告書等の取扱いについて(平成28年11月9日付の司法研修所事務局長事務連絡)参照)から,少なくとも身上報告書については訂正のないものを提出した方がいいと思います。
3 写真撮影プラン
   東京都豊島区池袋にあるフォトスタジオアペックスHP「司法修習生用写真/写真名刺」に,合格時の書類提出用の,写真撮影のみのプランが載っています。


第5 司法試験合格証書
1 司法試験合格者が合格直後に司法修習生となる場合(例えば,令和元年度司法試験合格者が73期司法修習生となる場合),司法試験合格証書のコピーを提出する必要はありません。
   ただし,司法試験合格証書を受領するためには,6か月以内に作成された戸籍抄本又は本籍若しくは国籍の記載のある住民票等を用意して,合格した年の9月中に受領手続をしておく必要があります。
2 法務省HPの「平成28年司法試験の結果について」に載ってある「平成28年司法試験合格証書の交付について」を見れば司法試験合格証書の受領手続が分かります。
   毎年,同趣旨の説明文が法務省HPに載ってあります。


第6 民間企業が採用選考する時に配慮すべきとされている事項
1 厚生労働省HPの「公正な採用選考の基本」には以下の記載があります。
(3)採用選考時に配慮すべき事項
 次のaやbのような適性と能力に関係がない事項を応募用紙等に記載させたり面接で尋ねて把握することや、cを実施することは、就職差別につながるおそれがあります。
<a.本人に責任のない事項の把握>
・本籍・出生地に関すること (注:「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることはこれに該当します)
・家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)(注:家族の仕事の有無・職種・勤務先などや家族構成はこれに該当します)
・住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)
・生活環境・家庭環境などに関すること
<b.本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)の把握>
・宗教に関すること
・支持政党に関すること
・人生観、生活信条に関すること
・尊敬する人物に関すること
・思想に関すること
・労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること
・購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
<c.採用選考の方法>
・身元調査などの実施 (注:「現住所の略図」は生活環境などを把握したり身元調査につながる可能性があります)
・合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施
(2) 大阪市HPに「職業安定法(抄)、労働省指針(抄)」が載っています。
2 日弁連の,死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言(平成28年10月7日付)には,「刑罰を受けることにより、一定の資格制限があり、刑を終えて(仮釈放を得て)社会に戻る人に、社会復帰の障害となるような資格制限が多く設けられていることは、今や時代錯誤である。」と書いてあります。


第7 犯罪経歴証明書及び犯罪人名簿における取扱い
1 犯罪経歴証明書における取扱い

(1)ア   犯罪経歴証明書発給要綱(平成31年3月29日警察庁刑事局長通達)によれば,以下の①ないし⑦のいずれかの場合に該当すれば,当該①ないし⑦に規定する犯罪については犯罪経歴を有しないものとみなしてもらえます。
① 刑の執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予の期間を経過しているとき。
② 禁錮以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を受け、罰金以上の刑に処せられられないで10年を経過しているとき。
③ 罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を受け、罰金以上の刑に処せられないで5年を経過しているとき。
④ 恩赦法の規定により大赦若しくは特赦を受け,又は復権を得たとき。
⑤ 道路交通法125条1項に規定する反則行為に該当する行為を行った場合であって、同条第2項各号のいずれにも該当しないとき。
⑥ 少年法60条の規定により刑の言渡しを受けなかったものとみなされたとき。
⑦ 刑の言渡しを受けた後に当該刑が廃止されたとき。
イ 警察庁HPには「犯罪経歴証明書発給要綱の運用について(通達)」が別途,掲載されています。
(2) 恩赦を受けた場合,犯罪経歴証明書発給申請書(別記様式第1号)の注記欄にあるとおり,同申請書と一緒に,特赦状,復権状等を提出する必要があります。

2 犯罪人名簿における取扱い
(1) 犯罪人名簿は,もともと大正6年4月12日の内務省訓令第1号により市区町村長が作成保管すべきものとされてきたものですが,戦後においては昭和21年11月12日内務省発地第279号による同省地方局長の都道府県知事あて通達によって選挙資格の調査等の資料として引きつづき作成保管され,昭和22年に地方自治法が施行されてのちも明文上の根拠規定のないまま従来どおり継続して作成保管されています(最高裁昭和56年4月14日判決における裁判官環昌一の反対意見参照)。
(2)ア 罰金以上の刑に処する裁判が確定した場合,地方検察庁の本庁の犯歴事務担当官は,本籍市区町村長に対し,既決犯罪通知書を送付してその裁判に関し必要な事項を通知します(犯歴事務規程3条4項)から,本籍市区町村長はこれによって犯罪歴を把握しています。
イ 前科登録と犯歴事務(五訂版)9頁には,「昭和35, 6年ころから道路交通法違反事件が急増し,従来の方式のままではその犯歴を適正かつ的確に登録管理することが不可能になったため, 同37年6月には,道路交通法違反の罪に係る裁判で罰金以下の刑に処したものについては,市区町村長に対する既決犯罪通知をしない取扱いが実施され」と書いてあります。
 そのため,道交法違反の罰金前科については,そもそも本籍市区町村の犯罪人名簿に記載されていません。
(3) 恩赦があった場合,地方検察庁の本庁の犯歴担当事務官は,本籍市区町村長に対し,恩赦事項通知書を送付して恩赦に関し必要な事項を通知します(犯歴事務規程4条及び8条)。
(4) 令和元年10月10日付の総務省の行政文書開示決定通知書によって開示された,刑の消滅等に関する照会の書式について(昭和34年8月13日付の自治庁行政局行政課長の通知)を掲載しています。
(5) 恩赦法に基づく復権の対象となった犯歴については,犯罪人名簿から削除されます。
(6) その余の詳細は「前科抹消があった場合の取扱い」を参照してください。


第8 検察庁は行政官庁等からの前科照会に回答していないこと,及び最高裁昭和56年4月14日判決の判示内容
1 検察庁は行政官庁等からの前科照会に回答していないこと
(1) 前科登録と犯歴事務(五訂版)26頁ないし28頁には以下の記載があります(ナンバリング及び改行を追加しています。)。
① 検察庁における前科の調査回答は,検察,裁判の事務処理上これを必要とするものについて行われるものであることは犯歴把握の目的からみて当然のことであり,みだりに前科が他の目的に利用されることはない。
   したがって,一般人からの照会に対してはもちろん,法令に基づいて付与される特定の資格が前科のあることを欠格事由とする場合において, これを取り扱う主務官庁が欠格事由の有無の判断資料として前科を知る必要がある場合であっても,原則としてその照会には応じていない。
   行政官庁等からの法令上の欠格事由の調査のための前科照会に対する回答事務は,従前から地方公共団体が行ってきた身分証明事務に属するものと考えられているからである。
② 市区町村の犯罪人名簿の記載のみでは,恩赦に該当しているか,刑の言渡しの効力が失われているか等が明確でないときは,市区町村長から検察庁に照会が行われれば回答することになるが, この場合でも,道交犯歴については原則としてその調査は行われない。
   道交犯歴自体が法令上の欠格事由となることはごくまれにしかないからである。
③ 市区町村を含む行政官庁等からの前科の照会に対しては,特赦・大赦・復権のあった前科,刑法34条の2の規定により刑の言渡しの効力が失われた前科,執行猶予期間を経過した前科及び少年法60条1項又は2項の適用がある前科については回答されない。
(2) その余の詳細は「前科抹消があった場合の取扱い」を参照してください。
2 最高裁昭和56年4月14日判決の判示内容
(1) 最高裁昭和56年4月14日判決は以下のとおり判示しています(ナンバリングを追加しています。)。
① 前科及び犯罪経歴(以下「前科等」という。)は人の名誉、信用に直接にかかわる事項であり、前科等のある者もこれをみだりに公開されないという法律上の保護に値する利益を有するのであつて、市区町村長が、本来選挙資格の調査のために作成保管する犯罪人名簿に記載されている前科等をみだりに漏えいしてはならないことはいうまでもないところである。
② 前科等の有無が訴訟等の重要な争点となつていて、市区町村長に照会して回答を得るのでなければ他に立証方法がないような場合には、裁判所から前科等の照会を受けた市区町村長は、これに応じて前科等につき回答をすることができるのであり、同様な場合に弁護士法二三条の二に基づく照会に応じて報告することも許されないわけのものではないが、その取扱いには格別の慎重さが要求されるものといわなければならない。
(2) 最高裁昭和56年4月14日判決の判示と異なり,犯罪人名簿は,弁護士登録等のための資格調査でも利用されています(東京都HPの「○犯罪人名簿の取扱について」参照)。

第9 就職希望者の前科前歴の秘匿に関する裁判例
1 仙台地裁昭和60年9月19日判決(判例秘書に掲載)は,就職希望者の前科前歴の秘匿に関して以下のとおり判示しています(ナンバリング及び改行を追加しています。)。
①   使用者が雇用契約を締結するにあたつて相手方たる労働者の労働力を的確に把握したいと願うことは、雇用契約が労働力の提供に対する賃金の支払という有償双務関係を継続的に形成するものであることからすれば、当然の要求ともいえ、遺漏のない雇用契約の締結を期する使用者から学歴、職歴、犯罪歴等その労働力の評価に客額的に見て影響を与える事項につき告知を求められた労働者は原則としてこれに正確に応答すべき信義則上の義務を負担していると考えられ、
   したがつて、使用者から右のような労働力を評価する資料を獲得するための手段として履歴書の提出を求められた労働者は、当然これに真実を記載すべき信義則上の義務を負うものであつて、その履歴書中に「賞罰」に関する記載欄がある限り、同欄に自己の前科を正確に記載しなければならないものというべきである(なお、履歴書の賞罰欄にいう「罰」とは一般に確定した有罪判決(いわゆる「前科」)を意味するから、使用者から格別の言及がない限り同欄に起訴猶予事案等の犯罪歴(いわわゆる「前歴」)まで記載すべき義務はないと解される。)。

 そして、刑の消滅制度が、犯罪者の更生と犯罪者自身の更生意欲を助長するとの刑事政策的な見地から一定の要件のもとに刑の言渡しの効力を将来に向かつて失効させ、これにより犯罪者に前科のない者と同様の待遇を与えることを法律上保障しているとはいえ、同制度は、犯罪者の受刑という既往の事実そのものを消滅させるものではないし、またその法的保障も対国家に関するもので直接私人間を規律するものではないことからみても、同制度の存在が、当然には使用者に対し、前科の消滅した者については前科のない者と同一に扱わなければならないとの拘束を課すことになるものでないことはいうまでもない。
②   しかしながら、犯罪者の更生にとつて労働の機会の確保が何をおいてもの課題であるのは今更いうまでもないところであつて、既に刑の消滅した前科について使用者があれこれ詮策し、これを理由に労働の場の提供を拒絶するような取扱いを一般に是認するとすれば、それは更生を目指す労働者にとつて過酷な桎梏となり、結果において、刑の消滅制度の実効性を著しく減殺させ同制度の指向する政策目標に沿わない事態を招来させることも明らかである。
 したがつて、このような刑の消滅制度の存在を前提に、同制度の趣旨を斟酌したうえで前科の秘匿に関する労使双方の利益の調節を図るとすれば、職種あるいは雇用契約の内容等から照らすと、既に刑の消滅した前科といえどもその存在が労働力の評価に重大な影響を及ぼさざるをえないといつた特段の事情のない限りは、労働者は使用者に対し既に刑の消滅をきたしている前科まで告知すべき信義則上の義務を負担するものではないと解するのが相当であり、使用者もこのような場合において、消滅した前科の不告知自体を理由に労働者を解雇することはできないというべきである。
2 司法修習生の場合,既に刑の消滅した前科の存在が修習専念義務等の履行にどのような影響を及ぼすのかはよく分かりません。


第10 二回試験不合格者が再採用してもらう際の手続
1 かつて司法修習生であった者が,考試を再度受験するために司法修習生に再採用されることを希望する場合,司法研修所を経由して最高裁判所に採用選考の申し込みを行う必要があります(「司法修習生採用選考申込み(考試再受験希望者)について」参照)。
2(1) 平成29年度(最情)答申に第38号(平成29年10月2日答申)は以下の記載があります。
   本件開示文書には,司法修習生の採用選考における審査基準が記載されているところ,その記載内容を踏まえて検討すれば,司法修習生であった者が考試を再度受験するために再採用される際には,本件開示文書に基づいて審査が行われるのであり,本件開示文書以外に司法行政文書を作成し,又は取得する必要はないという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。そのほか,最高裁判所において本件開示文書以外に本件開示申出文書に該当する文書を保有していることをうかがわせる事情は認められない。
(2) 本件開示文書は「司法修習生採用選考審査基準(平成28年6月1日付け)」であり,本件開示申出文書は「司法修習生考試に不合格となった者を再び採用する際の,最高裁判所及び司法研修所内部の事務手続が分かる文書(最新版)」でありますところ,そこには以下の記載があります。
2 司法修習生採用選考申込者に次に掲げる事由があると認めるときは,これを不採用とする。
(中略)
(2) 司法修習生であった者が,次のいずれかに該当すること。
ア 修習態度の著しい不良その他の理由により修習をすることが不相当である者
イ 成績不良(裁判所法(昭和22年法律第59号)第67条第1項の試験の不合格を除く。)その他の理由により修習をすることが困難である者
ウ 裁判所法第67条第1項の試験に連続して3回合格しなかった者(再度司法試験法による司法試験に合格した者を除く。)。ただし,病気その他やむを得ないと認められる事情により,裁判所法第67条第1項の試験の全部又は一部を受験することができなかった場合には,当該試験については,受験回数として数えないものとすることができる。


第11 54期の司法修習生採用選考当時の提出書類
1 平成12年度採用の54期当時の司法修習生採用選考のための提出書類が,1999年度の司法試験合格者「さく」のHP「知られざる合格後」に載っています。
2   平成11年度司法試験の場合,平成11年10月29日に最終合格発表があり(日弁連HPの「平成11年度司法試験最終合格者発表に関する会長声明」参照),司法研修所への入所が平成12年4月1日頃でしたから,司法試験合格から司法研修所入所までに5ヶ月余りありました。


第12 かつて存在した司法修習生の国籍条項
1   昭和51年採用の30期までは,司法修習生採用選考要領の欠格事由が「日本の国籍を有しない者」となっていて,司法修習生となるためには帰化して日本国籍を取得する必要がありましたから,台湾国籍では司法修習生に採用されませんでした(神戸合同法律事務所HPの「吉井正明」参照)。
    しかし,昭和52年に在日韓国人の金敬得が帰化せずに31期司法修習生に採用されて以降,司法修習生採用選考要領の欠格事由が「日本の国籍を有しない者(最高裁判所が相当と認めた者を除く。)」となりました。
    そして,平成21年11月採用の司法修習生(新63期)から,司法修習生採用選考要領の欠格事由から「日本の国籍を有しない者」が削除されました(外部ブログの「「司法修習生は日本国籍必要」条項を削除 最高裁」参照)。
2 平成29年5月12日付の司法行政文書不開示通知書によれば,司法修習生採用に際しての国籍条項が廃止されるに至った経緯が分かる文書は,保存期間を満了しており廃棄済みです。
3 外国人登録原票は現在,法務省入国管理局で保管されています(法務省入国管理局HP「外国人登録原票を必要とされる方へ」参照)。

第13 司法修習生採用選考の申込期間の適法性に関する東京地裁平成29年9月7日判決の判示内容
・ 東京地裁平成29年9月7日判決(判例秘書に掲載)は以下の判示をしています。
(1) 裁判所法66条1項は,「司法修習生は,司法試験に合格した者の中から,最高裁判所がこれを命ずる。」と規定しているが,司法修習生採用選考の具体的な在り方については,何らの規定も設けられておらず,最高裁判所の合理的な裁量に委ねられていると解するのが相当である。そうだとすると,最高裁判所による司法修習生採用選考の在り方が国家賠償法1条1項の適用上違法とされることがあるとしても,その裁量権の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したと認められる場合に限られるというべきである。
 そして,司法修習生採用選考において申込受付期間を設定している趣旨は,司法試験等に合格した者が,司法修習生採用選考に申し込むか否かを改めて検討し,申込書の作成,提出書類の準備,申込書等の提出のための手続をすることに一定の期間が必要であることを考慮したものであり,司法修習生の採用選考を行う最高裁判所としては,これらの点のほか,司法修習生の採用時期(司法修習の開始時期),採用までの審査,事務手続に要する期間をも考慮し,合理的な範囲で申込受付期間を決定することができるというべきである。
(2) そもそも,司法修習生採用選考は,一般に司法試験の受験を前提としており,司法修習生採用選考の申込者は,欠格事由の有無,原則として兼業が禁止されている司法修習中の生計について,司法試験を受験する時点からある程度見通しをもっているものと考えられる。前記第2の1,第3の1(1)のとおり,最高裁判所は,平成27年7月1日には同年度の司法修習生採用選考要領を公告し,同要領において,欠格事由,選考内容,選考の申込方法,申込受付期間,提出書類,申込書等用紙の入手方法を明らかにしており,その内容は,例年と大きく変わるものではなかったのであるから,司法修習生採用選考の申込みに当たって司法試験の合格後に新たに検討しなければならない事項はなかったということができる。欠格事由の内容を見ても,①禁錮以上の刑に処せられた者,②成年被後見人又は被保佐人(準禁治産者を含む。)及び③破産者で復権を得ない者とされ,その内容は,一義的に明らかであり,これに当たるか否かについて判断に迷うものではない。また,最高裁判所は,司法修習生採用選考の申込みに関する問合せ先が最高裁判所事務総局人事局任用課試験第一係であることも明らかにしており,司法試験の合格発表前から問合せに応ずる態勢を整えていること,申込書以外の各種書類について,発行手続を理由として提出が遅れる場合,採用発令日以降の提出も認めていることは,前記1(1)のとおりである。
(3) そうだとすると,司法修習生採用選考の申込受付期間が司法試験の合格発表日である平成27年9月8日(火曜日)から同月15日(火曜日)までの8日間であったとしても,司法修習生採用選考に申し込むか否かを改めて検討した上,申込書を作成し,提出書類の準備をしてこれらを郵送する手続をするための期間として不合理とまではいえないというべきである。そして,最高裁判所としては,同年11月末には司法修習生の採用を発令し翌月から司法修習の開始を予定していたところ,同年度に採用された司法修習生の人数は1787人に及んでおり,その採用のための審査にも相応の期間を要すると考えられることをも考慮すると,司法修習生採用選考の申込受付期間を司法試験の合格発表日から8日間とした最高裁判所の判断は,原告がるる主張する点を全て考慮しても,その裁量権の範囲内にあり,これを濫用したともいえないから,国家賠償法1条1項の適用上違法ということはできない。


第14 関連記事その他
1 72期司法修習生向けの修習給付金案内29頁には「修習給付金の支給及び修習専念資金の貸与については,司法修習生に対し個別の支払通知書書等等は発行しません。各種手続に必要がある場合には,最高裁判所ウェブサイトに掲載されている交付日一覧や振込を受けた金融機関の預貯金通帳等を利用してください。」と書いてあります。
    つまり,修習給付金等が入金される預貯金通帳については,そのコピーを税務署その他の関係先に提出する必要が出てくることがあります(例えば,修習給付金の確定申告に関して更正の請求をした場合)から,修習給付金とは関係のない入出金を税務署その他の関係先に知られたくない場合,修習給付金等の入金専用の預貯金口座を作成しておいた方がいいです。
2(1) 73期までは,
司法研修所(いずみ寮)総務課寮務係に提出する書類(簡易書留)(入寮希望者だけ)として以下のものがありました。
・ 入寮許可願
・ 84円相当の切手を貼付した返信用封筒(消費税・軽減税率情報Cafe「消費税10%増税で郵便料金も値上げ、はがき63円、手紙84円に」(2019年4月4日付)参照)
→ 令和元年9月30日までは消費税は8%でしたから,72期司法修習までは82円相当の切手を貼付していました。
(2) 74期及び75期の導入修習はオンライン形式で実施されましたから,これらの書類は不要でした。
3 日弁連HPの「司法修習生採用時の逮捕歴等による差別人権救済申立事件(要望)」には以下の記載があります。

最高裁判所長官宛要望

1994年3月28日

最高裁判所が司法修習生採用選考において、外国籍の者や逮捕歴・起訴歴を有する者に対して、本人の誓約書や保証人を求めていることは憲法等に違反するとして、司法修習生採用選考要項の「国籍条項」を削除するとともに、これらの差別的取扱・慣行を行わないよう要望した事例。

4  地方公務員である職員としての採用内定の通知がされた場合において,職員の採用は内規によって辞令を交付することにより行うこととされ,右採用内定の通知は法令上の根拠に基づくものではないなどといった事実関係があるときは,右採用内定の通知は事実上の行為にすぎず,右内定の取消しは,抗告訴訟の対象となる処分に当たりません(最高裁昭和57年5月27日判決)。
5 出入国在留管理庁HPの「平成28年4月1日から外国人入国記録・再入国出入国記録(EDカード)の様式が変わりました。」を見れば,外国人が日本に入国又は再入国する際,刑事事件における有罪判決の有無を聞かれることが分かります。
6 名古屋高裁令和4年11月15日判決(担当裁判官は38期の長谷川恭弘43期の末吉幹和及び47期の寺本明広)は,民法上の保佐(準禁治産)等の制度は,本人の財産権等を擁護することを目的とするもので,警備業法における規制とは制度の趣旨が異なり,これを借用して被保佐人(準禁治産者)であることを警備員の欠格事由と定めた警備業法の本件規定(14条,3条1号)は,その制定当初から,憲法14条1項(法の下の平等),22条1項(職業選択の自由)に反するものであったとした事例です。
7 以下の記事も参照してください。
・ 司法修習生の採用選考に関する公式文書
・ 司法修習生採用選考の内容の変化(6期以降)
・ 司法修習生の国籍条項に関する経緯
・ 司法修習生の採用選考に必要な書類の掲載時期
・ 二回試験不合格時の一般的な取扱い
・ 司法修習生の司法修習に関する事務便覧
・ 司法修習生の旅費に関する文書
・ 採用内定留保者に対する面接(司法修習)
・ 司法修習開始前に送付される書類
・ 司法研修所の沿革
・ 恩赦の効果
・ 前科抹消があった場合の取扱い

司法修習生の採用選考に必要な書類の掲載時期

目次
1 司法修習生の採用選考に必要な書類の掲載時期
◯77期司法修習生の場合
◯76期司法修習生の場合
◯75期司法修習生の場合
◯74期司法修習生の場合
◯73期司法修習生の場合
◯72期司法修習生の場合
◯71期司法修習生の場合
2 関連記事

* 77期司法修習を最後に更新を停止しました。

◯77期司法修習生の場合
(1) 裁判所HPの「司法修習生採用選考」に,令和5年7月1日(金),司法修習生採用選考審査基準及び司法修習生採用選考要項が掲載され,同年8月1日(月),採用選考申込みに必要となる提出書類一式が掲載され,同年10月30日(月),採用選考申込みに必要となる提出書類一式が掲載されました。
(2) アドレスは「https://www.courts.go.jp/saikosai/sihokensyujo/sihosyusyu/saiyo_senkou/index.html」です(74期ないし76期とは異なります。)。

◯76期司法修習生の場合
(1) 裁判所HPの「司法修習生採用選考」(リンク切れ)に,令和4年7月1日(金),司法修習生採用選考審査基準及び司法修習生採用選考要項が掲載され,同年8月1日(月),採用選考申込みに必要となる提出書類一式が掲載されました。
(2) アドレスは「https://www.courts.go.jp/saikosai/sihokensyujo/saiyo_senkou/index.html」です(74期及び75期と同じです。)。

75期司法修習生の場合
(1) 裁判所HPの「司法修習生採用選考」(リンク切れ)に,令和3年7月1日(木),司法修習生採用選考審査基準及び司法修習生採用選考要項が掲載され,同年8月2日(月),採用選考申込みに必要となる提出書類一式が掲載されました。
(2) アドレスは「https://www.courts.go.jp/saikosai/sihokensyujo/saiyo_senkou/index.html」です(74期と同じです。)。

◯74期司法修習生の場合
(1) 裁判所HPの「司法修習生採用選考」(リンク切れ)に,令和2年12月1日(火),司法修習生採用選考審査基準及び司法修習生採用選考要項が掲載され,同月8日(火),採用選考申込みに必要となる提出書類一式が掲載されました。
(2) アドレスは「https://www.courts.go.jp/saikosai/sihokensyujo/saiyo_senkou/index.html」です。

◯73期司法修習生の場合
(1)   裁判所HPの「司法修習生採用選考」(リンク切れ)に,令和元年7月5日(金),令和元年度司法修習生採用選考要項及び健康診断票の書式等が掲載され,令和元年8月1日,司法修習生採用選考に必要な書類が一通り掲載されました。
(2)   令和元年7月5日時点と同年8月1日時点とでは,「司法修習生採用選考」のアドレスが少し変わっています(「saiyo_senkou_01」が「saiyo_senkou_012」になっています。)。

◯72期司法修習生の場合
(1)  裁判所HPの「司法修習生採用選考」(リンク切れ)に,平成30年7月2日(月),平成30年度司法修習生採用選考要項及び健康診断票の書式等が掲載され,平成30年8月1日(月),司法修習生採用選考に必要な書類が一通り掲載されました。
(2) 平成30年7月2日時点と同年8月1日時点とでは,「司法修習生採用選考」のアドレスが少し変わっています(「saiyo_senkou_30」が「saiyo_senkou_303」になっています。)。

◯71期司法修習生の場合

(1) 裁判所HPの「司法修習生採用選考」(リンク切れ)に,平成29年7月3日(月),平成29年度司法修習生採用選考要項及び健康診断票の書式等が掲載され,平成29年8月1日(火),司法修習生採用選考に必要な書類が一通り掲載されました。
(2) 平成29年7月3日時点と同年8月1日時点とでは,「司法修習生採用選考」のアドレスが少し変わっています(「saiyo_senkou_29」が「saiyo_senkou_29-2」になっています。)。

2 関連記事
・ 司法修習生の採用選考の必要書類
・ 司法修習生の採用選考に関する公式文書
→ 司法修習生採用選考審査基準,毎年どの司法修習生採用選考要項,提出書類の書式等を載せています。
 司法修習生の国籍条項に関する経緯
・ 司法修習生の司法修習に関する事務便覧
・ 司法修習生の旅費に関する文書
 採用内定留保者に対する面接(司法修習)
・ 司法修習開始前に送付される書類
・ 司法研修所の沿革
 恩赦の効果
・ 前科抹消があった場合の取扱い

採用内定留保者に対する面接(司法修習)

目次
1 司法修習生採用選考要項の記載等
2 不採用者が出た修習期等
3 司法修習生採用選考面接及び面接留保通知書
4 弁護士登録の場合の取扱い
5 犯罪経歴証明書における取扱い
6 関連記事その他

1 司法修習生採用選考要項の記載等
(1) 72期司法修習生の場合
ア 平成30年7月18日付の,平成30年度司法修習生採用選考要項の2(1)には,「ウ 面接  ア,イの結果,必要があると認めた場合に実施する。」と書いてありますし,司法修習生採用選考申込書(「72期司法修習の提出書類の記載例等」参照)には「13 不採用事由等の有無」欄があります。
イ   健康診断の結果が非常に悪かったり,重大な既往歴があったり,重大な身体上の障害があったりした場合,「心身の故障により修習をすることが困難である者」に該当する可能性があります。
   また,過去に起訴(略式起訴を含む。)又は逮捕(補導)されたことがある場合,「品位を辱める行状により,司法修習生たるに適しない者」に該当する可能性があります。
   そのため,これらの事情がある場合,最高裁判所又は司法研修所において面接の必要があるということで採用内定を留保されて,面接通知書が届くかもしれません。
ウ 逮捕歴等については,司法修習生採用選考申込書の「14 備考」欄に詳しく記載する必要があります(「平成30年度司法修習生採用選考申込書の記載要領」9頁参照)。
エ 「心身の故障により修習をすることが困難である者」又は「品位を辱める行状により,司法修習生たるに適しない者」以外の事由については形式的事由のため,書面で一義的に判断できるものばかりです。
   そのため,これら以外の事由に基づいて面接通知書が届くことはないと思います(「平成30年度司法修習生採用選考申込書の記載要領」8頁及び9頁参照)。
(2) 73期以降の司法修習生の場合
   特に変更はないと思います。


2 不採用者が出た修習期等
(1) 66期以降の場合,採用要審議者名簿又は重点審議者名簿に搭載された司法修習予定者は毎年いたものの,不採用者が出たのは66期,70期及び71期だけみたいです(「司法修習生の採用選考で不合格となった人が出た修習期等」参照)。
    そのため,面接通知書が届いたとしても,結論ありきの面接ではないのであって,罰金前科等については当時の行いについて真摯に反省していることを面接で説明し,健康不良については家族のサポート等により問題なく修習をすることができることを面接で説明すれば,無事に採用してもらえる可能性の方が高いと思います。
(2) 弁護士法人アディーレ法律事務所(同法人に対する平成29年10月11日の業務停止2月につき「弁護士の懲戒」を参照してください。)の代表社員であった石丸幸人弁護士(56期)の場合,酒気帯び運転で3回逮捕され,懲役9月執行猶予4年の有罪判決を受けて勤務先を懲戒解雇されています(Wikipediaの「石丸幸人」参照)が,普通に司法修習を経て弁護士となっています。
(3) 71期司法修習予定者の場合,平成29年11月9日付の「実務修習地等について(通知)」を送付された人がいます。
   そのため,採用内定留保者になったことが直ちに不採用を意味するわけではないみたいです。
(4) 平成30年7月20日付の答申書によれば,第71期司法修習生の採用選考申込において不合格となった人の数が明らかになった場合,不採用者が特定される可能性や不採用となった理由が特定される可能性があることから,個人識別情報として不開示情報となるとのことです。


3 司法修習生採用選考面接及び面接留保通知書
(1)   司法修習生採用選考面接及び面接留保通知書等を以下のとおり掲載しています(ファイル名は「第◯◯期司法修習生採用選考面接に関する文書」といったものです。)。
71期72期73期74期75期
76期77期,78期,79期,80期,
(2) 採用面接の実施場所については,「最高裁判所庁舎」を参照してください。
(3) 国土交通省HPの「霞が関の主要施設」の中に「最高裁判所庁舎」が載っています。
(4) 河原崎法律事務所HP「前科があっても弁護士になれますか」には以下の記載があります。
   刑法27条で、執行猶予期間を経過すれば、刑の言渡しの効力はなくなり、欠格事由はなくなります。 まず、司法修習生に採用される時期に、無事、執行猶予期間が経過して、欠格事由がなくなっている必要があります。このときは、厳重に注意を受けるでしょう。罰金刑の場合でも、厳重に注意されます。



4 弁護士登録の場合の取扱い
(1) 東京弁護士会入会手続案内(70期司法修習終了予定 弁護士名簿登録希望者各位)には,「履歴書に罰(刑事処分・保護観察処分、公務員としての懲戒処分、注意処分等)のある方は、上申書(日本弁護士連合会会長宛1部、東京弁護士会会長宛1部)の提出が必要になります。罰の事実の内容及び情状等参考になる事情を記載してください。」と書いてあります。
(2) ちなみに,日弁連の,死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言(平成28年10月7日付)には,「刑罰を受けることにより、一定の資格制限があり、刑を終えて(仮釈放を得て)社会に戻る人に、社会復帰の障害となるような資格制限が多く設けられていることは、今や時代錯誤である。」と書いてあります。

5 犯罪経歴証明書における取扱い
(1)ア   犯罪経歴証明書発給要綱(平成31年3月29日警察庁刑事局長通達)によれば,以下の①ないし⑦のいずれかの場合に該当すれば,当該①ないし⑦に規定する犯罪については犯罪経歴を有しないものとみなしてもらえます。
① 刑の執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予の期間を経過しているとき。
② 禁錮以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を受け、罰金以上の刑に処せられられないで10年を経過しているとき。
③ 罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を受け、罰金以上の刑に処せられないで5年を経過しているとき。
④ 恩赦法の規定により大赦若しくは特赦を受け,又は復権を得たとき。
⑤ 道路交通法125条1項に規定する反則行為に該当する行為を行った場合であって、同条第2項各号のいずれにも該当しないとき。
⑥ 少年法60条の規定により刑の言渡しを受けなかったものとみなされたとき。
⑦ 刑の言渡しを受けた後に当該刑が廃止されたとき。
イ 警察庁HPには「犯罪経歴証明書発給要綱の運用について(通達)」が別途,掲載されています。
(2) 恩赦を受けた場合,犯罪経歴証明書発給申請書(別記様式第1号)の注記欄にあるとおり,同申請書と一緒に,特赦状,復権状等を提出する必要があります。


6 関連記事その他
1(1) 電電公社近畿電通局事件に関する最高裁昭和55年5月30日判決は,採用内定により労働契約の効力発生の始期を採用通知に示された採用の日とする解約権留保付労働契約が成立したものと認められた事例です。
(2) 労務事情1452号(2022年7月15日号)の「採用にまつわる労務管理上の諸問題への対応」には以下の記載があります(労務事情1452号・7頁)。
    採用内定から入社日まである程度の拘束関係(例えば,就業規則所定の服務規律を適用する等)が予定されていれば,採用内定によって解約権留保付労働契約は成立し,効力も発生しますが,就労(労働)義務だけは(したがって賃金支払義務も)入社日に発生すると解することになるでしょう。
2 以下の記事も参照してください。
 司法修習生の採用選考の必要書類
 司法修習生の採用選考で不合格となった人が出た修習期等
 司法修習開始前に送付される資料
 恩赦の効果
・ 
交通事故等の刑事責任及び資格制限その他の不利益
・ 事件記録等保存規程
・ 交通事故事件の刑事記録の入手方法