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※以下はAIが生成した要約です。内容の正確性は保証されません。本文をあわせてご確認ください。
本稿は、当ブログ掲載の「裁判官派遣に関する取決め書」と題する一群の文書を取り上げ、その制度上の位置付けと読み方を整理したものである。これらは、最高裁判所が法科大学院を置く大学の設置者との間で、裁判官を教員として派遣することについて結んだ取決めを記録した司法行政文書であり、いずれも開示の申出(情報公開請求)により入手した。記事末尾には、平成25年から平成27年までの分と令和6年3月13日付けの分を中心とする合計50件のPDFへのリンクを掲げる。
制度の根拠は派遣法(平成15年法律第40号)である。設置者からの要請(3条)を受け、最高裁判所が派遣の必要性等を勘案し、裁判官の同意を得て、取決めに基づき派遣を決定する(4条)。派遣裁判官は裁判官の身分を保ったまま「職務とともに」教育に当たり、大学から報酬を受けず、裁判官としての報酬も減額されない一方、教育の対価は設置者から国庫に納付される(6条)。派遣の期間は3年を超えず、延長は5年を超えない範囲とされ(4条7項)、対象大学は国公私立を問わない。
取決め書は、甲(最高裁判所)と乙(大学を設置する法人)との機関同士の合意文書である。冒頭に派遣要請書を引用し、本文は第1条から第12条までと、担当科目等の業務内容を定める別紙第1、処遇を定める別紙第2で構成される。末尾は最高裁判所事務総長と大学側の学長等が記名押印し、乙側の印影は黒塗りとされ、派遣裁判官の氏名は記載されていない。用紙はいずれもほぼA4である。
取決め書からは、派遣先の大学(東京大学・京都大学・慶應義塾・早稲田大学等)、年度単位の派遣期間、担当科目(刑事訴訟実務の基礎、民事実務基礎等)、無報酬と国庫納付金といった事項を読み取ることができる。同一大学について複数年度分が存在することからは、継続的な派遣がうかがわれる。
もっとも、これらは最高裁判所と設置者との合意文書であって、派遣裁判官個人と大学との契約そのものではなく、本稿は資料の所在と読み方を案内するもので制度の当否は評価しない。入手範囲が平成25年から平成27年までと令和6年とに偏り網羅的でないこと、本文が画像で文字検索ができないものが多いことにも留意を要する。
◯本稿は,専ら人工知能(AI)が作成したものである。
◯本稿では,当ブログに掲載している「裁判官派遣に関する取決め書」と題する一群の文書を取り上げ,その制度上の位置付けと読み方を整理する。これらは,最高裁判所が,法科大学院を置く大学(その設置者)との間で,裁判官を法科大学院の教員として派遣することについて結んだ取決めを記録した文書であり,いずれも開示の申出(いわゆる情報公開請求)により入手した司法行政文書である。
記事末尾(第6)に,入手済みの50件のPDFへのリンクを一覧として掲げる。
第1 本稿で扱う資料
1 本稿の対象
本稿が対象とするのは,「裁判官派遣に関する取決め書」と題する一群の文書である。これらは,最高裁判所と,法科大学院を置く大学を設置する法人との間で,裁判官を当該法科大学院の教員として派遣することについて結ばれた取決めを記録したものである。
法科大学院では,将来の法曹に必要な実務的な能力を養うため,裁判官が教員として教育に当たることがある。この派遣の枠組みについては,法律が定めを置いており,個々の派遣は,最高裁判所と大学(の設置者)との間の取決めに基づいて行われる。本稿で扱う文書は,その取決めを記したものである。実務家である裁判官が法科大学院の教育にどのように関与しているかを,制度の根拠にさかのぼって確認することができる資料である。
裁判官が大学で教えるという仕組みは,一般にはあまり知られていないが,法律に基づく正式な制度として運用されている。本稿は,その制度の内容と,これを記録した取決め書の読み方とを,順を追って整理するものである。
2 資料の入手方法と性格
これらの文書は,最高裁判所の保有する司法行政文書の開示の申出(一般に「情報公開請求」と呼ばれるもの)によって入手したものである。
もっとも,正確には,裁判所は,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)の適用対象である「行政機関」には当たらない。同法は行政権を担う行政機関を対象とするものであり,司法権を担う裁判所はその対象に含まれていない。そのため,裁判所の保有する文書のうち裁判事務に関するもの以外の文書,すなわち司法行政文書の開示は,同法ではなく,最高裁判所が定める要綱に基づく開示の申出の制度によって行われている。したがって,本稿で「情報公開」というのは,この開示の申出による入手を指す。
この開示の申出の制度は,何人も利用することができる。申出に対しては,最高裁判所が開示又は不開示の決定を行い,開示された文書は,写しの交付等の方法によって入手することができる。したがって,本稿が掲げる各文書は,いずれも第三者(一般国民)が,開示の申出を通じて入手し得る,既に公開された文書である。本稿は,こうして公開された文書を整理して紹介するものである。
3 資料の数量と範囲
本稿が掲げる文書は,合計50件である。年代の範囲は,平成25年から令和6年までであり,特に,平成25年・平成26年・平成27年に締結された分と,令和6年3月13日付けで締結された分とに大きく分かれている。
対象となる大学は,国立大学法人(東京大学,京都大学,大阪大学,一橋大学,神戸大学,千葉大学,金沢大学,北海道大学,東北大学,九州大学,岡山大学,広島大学,琉球大学,東海国立大学機構等)のほか,公立大学法人(東京都公立大学法人)及び学校法人(慶應義塾,早稲田大学,中央大学,明治大学,法政大学,日本大学,創価大学,上智学院,関西学院,立命館,同志社,関西大学,福岡大学,愛知大学等)に及ぶ。すなわち,国立大学に限られず,公立及び私立の法科大学院を置く法人も対象となっている。
なお,同一の大学について複数の年度分の取決め書が含まれているものもある。本稿の文書一覧(第6)では,これらを,平成25年から平成27年までの取決め書と,令和6年の取決め書とに分けて掲げる。前者は複数の大学分を綴ったスキャン文書が中心であり,後者には,各大学分の取決め書のほか,全大学分を1つに綴った合本も含まれている。これらは,現時点で入手し得た範囲のものであり,この期間の取決め書を網羅したものではない。
第2 裁判官の法科大学院への派遣とは何か(制度の枠組み)
1 制度の趣旨と対象
(1) 裁判官派遣の趣旨(派遣法1条)
裁判官の法科大学院への派遣については,法科大学院への裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員の派遣に関する法律(平成15年法律第40号。以下「派遣法」という。)が定めている。
派遣法1条は,法科大学院における教育が法曹としての実務に関する教育の一部を担うものであること等にかんがみ,国の責務として,裁判官及び検察官その他の一般職の国家公務員が法科大学院において教授,准教授その他の教員としての業務を行うための派遣に関し必要な事項を定めることにより,法科大学院における実務教育の実効性の確保を図ることを,その目的として掲げている。
この目的の背景には,法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律(平成14年法律第139号)が掲げる法曹養成の基本理念がある。派遣法1条も,同法3条の規定の趣旨にのっとり,国の責務として裁判官等の派遣に関し必要な事項を定めるものとしている。すなわち,裁判官の派遣は,法曹養成制度の一環として位置付けられている。
(2) 「法科大学院」と「法科大学院設置者」(派遣法2条・3条)
派遣法2条1項は,「法科大学院」を,学校教育法(昭和22年法律第26号)99条2項に規定する専門職大学院であって,法曹に必要な学識及び能力を培うことを目的とするものと定義する。専門職大学院とは,高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培うことを目的とする大学院であり,法科大学院は,そのうち法曹の養成を目的とするものである。
また,派遣法3条1項は,「法科大学院設置者」を,法科大学院を置き,若しくは置こうとする大学の設置者等と定義する。本稿で扱う取決め書において,最高裁判所の相手方となっているのは,この法科大学院設置者である。
(3) 対象となる大学(国立・公立・私立)
法科大学院設置者は,大学の設置者であれば足り,国立・公立・私立を問わない。本稿が掲げる取決め書の相手方にも,国立大学法人のほか,公立大学法人及び学校法人(私立)が含まれている(前記第1の3)。すなわち,この制度は,特定の設置形態の大学に限られるものではなく,法科大学院を置く大学であれば,広く派遣の対象となり得る。
2 派遣の法的な仕組み
(1) 設置者による派遣の要請(派遣法3条1項)
派遣法3条1項は,法科大学院設置者は,将来の法曹に必要な実務的な能力を涵養するための教育を実効的に行うため,裁判官を教授等として必要とするときは,その必要とする事由を明らかにして,最高裁判所に対し,その派遣を要請することができると定める。すなわち,派遣の出発点は,大学の側からの要請である。
この要請の手続は,最高裁判所に対するものについては,最高裁判所規則で定めるものとされている(派遣法3条2項)。後記第3の2で述べるとおり,取決め書の冒頭では,この要請に対応する「派遣要請書」が日付とともに引用されており,どのような分野の教員として要請されたかがうかがわれる。
(2) 最高裁判所による派遣の決定と取決め(派遣法4条1項)
派遣法4条1項は,最高裁判所は,前記の要請があった場合において,その要請に係る派遣の必要性,派遣に伴う事務の支障その他の事情を勘案して,相当と認めるときは,これに応じ,裁判官の同意を得て,当該法科大学院設置者との間の取決めに基づき,期間を定めて,当該裁判官が職務とともに当該法科大学院において教授等の業務を行うものとすることができると定める。
本稿で扱う「取決め書」は,この派遣法4条1項にいう「取決め」を書面にしたものである。取決め書の冒頭にも,「法第4条第1項の規定等に基づき」取決めを締結する旨が記載されている。すなわち,要請があれば当然に派遣されるのではなく,最高裁判所が,派遣の必要性や事務への支障等を勘案して相当と認めるかどうかを判断する仕組みである。
なお,派遣法は,裁判官の派遣のほか,検察官その他の一般職の国家公務員の派遣についても定めている。これらについては,最高裁判所ではなく,それぞれの任命権者が派遣を行うものとされている(派遣法3条1項,4条3項)。本稿で扱う取決め書は,このうち最高裁判所が当事者となる裁判官の派遣に関するものである。
(3) 裁判官の同意と取決め内容の明示(派遣法4条2項・6項)
最高裁判所は,前記の同意を得るに当たっては,あらかじめ,当該裁判官に取決めの内容を明示しなければならない(派遣法4条2項)。また,取決めの内容を変更しようとするときは,当該裁判官の同意を得なければならない(同条6項)。すなわち,派遣は,裁判官本人の同意を前提とする仕組みである。
取決めにおいて定めるべき事項は,派遣法4条5項が定めており,当該法科大学院における勤務時間その他の勤務条件,教授等の業務の内容,派遣の期間,派遣の終了に関する事項その他派遣の実施に当たって合意しておくべきものとして最高裁判所規則で定める事項とされている。後記第3の3及び4で述べる取決め書の条文や別紙は,これらの事項に対応するものである。
3 派遣に伴う身分・報酬・期間
(1) 「職務とともに」業務を行うこと(派遣法4条1項・8項)
派遣法4条1項は,派遣される裁判官が「職務とともに」教授等の業務を行うものとしている。すなわち,裁判官は,裁判官としての職務を続けながら,あわせて法科大学院における教育の業務を行うものであり,裁判官の身分を離れて大学に移るものではない。
また,派遣された裁判官は,その派遣の期間中,その同意に係る取決めに定められた内容に従って,当該法科大学院において教授等の業務を行うものとされている(派遣法4条8項)。派遣の期間が満了したときは,教授等の業務は終了するものとされている(派遣法5条1項)。このように,裁判官は,派遣の期間中も裁判官としての地位を保ったまま,取決めの内容に従って教育に当たる。
(2) 報酬と国庫納付金(派遣法6条)
派遣法6条1項は,派遣されて法科大学院において教授等の業務を行う裁判官は,その教授等の業務に係る報酬等の支払を受けないものとし,かつ,教授等の業務を行ったことを理由として,裁判官として受ける報酬その他の給与について減額をされないものと定める。すなわち,派遣裁判官は,大学から教育の対価としての報酬を受け取らず,他方で,裁判官としての報酬も減らされない。
その上で,派遣法6条2項は,裁判官が法科大学院において教授等の業務を行った場合には,当該法科大学院設置者は,その教授等の業務の対償に相当するものとして政令で定める金額を,国庫に納付しなければならないと定める。すなわち,教育の対価は,個々の裁判官にではなく,設置者から国庫に納付される仕組みである。
なお,派遣されて法科大学院において教授等の業務を行う裁判官に関する国家公務員共済組合法(昭和33年法律第128号)の規定の適用については,当該法科大学院における教授等の業務を公務とみなすものとされている(派遣法8条1項)。これも,派遣裁判官が裁判官としての身分を保有したまま教育の業務に当たることを前提とした取扱いである。
(3) 派遣の期間(派遣法4条7項)
派遣法4条7項は,派遣の期間は3年を超えることができないとし,ただし,設置者からその期間の延長を希望する旨の申出があり,かつ,特に必要があると認めるときは,当該裁判官の同意を得て,派遣の日から引き続き5年を超えない範囲内で,これを延長することができると定める。後記第3の3で述べるとおり,個々の取決め書では,これを受けて,具体的な派遣期間が1年度単位で定められている。
第3 取決め書の体裁と読み方
1 取決め書の当事者と締結の形式(甲・乙)
取決め書は,「最高裁判所(以下「甲」という。)及び〔大学を設置する法人〕(以下「乙」という。)は,…次のとおり取決めを締結する。」という形で始まる。すなわち,甲が最高裁判所,乙が法科大学院を置く大学の設置者(法人)である。取決め書は,このように,特定の個人ではなく,最高裁判所と大学を設置する法人という機関同士の合意として締結されるものである。
取決め書は,本書2通を作成し,それぞれ記名押印の上,甲乙が各1通を保有する形式がとられている(後記3の第12条)。一覧の表題に見られる「2通」「3通」「4通」といった表記は,1つのPDFに,当該大学に関する複数通分(複数の年度分又は複数の法科大学院分等)が綴られていることを示すものとみられる。
2 冒頭部分と派遣要請書の引用
取決め書の冒頭では,当事者の定義に続けて,対応する「派遣要請書」が日付とともに引用され,「法第4条第1項の規定等に基づき」取決めを締結する旨が記載されている。これは,前記第2の2(1)で述べた設置者からの要請(派遣法3条1項)に対応するものである。
引用される派遣要請書の日付の例としては,令和6年の東京大学分の取決め書では「令和6年2月9日付け裁判官派遣要請書」が,平成26年の東京大学分の取決め書では「平成26年2月17日付け最高裁判官派遣要請書」が,それぞれ引用されている。なお,要請書には,「民事その1」「民事甲その1」といった分類が付されている。このように,取決め書は,設置者からの派遣要請書を受けて締結されるという経過を,冒頭部分に明示している。
3 本文の条文構成(第1条から第12条まで)
取決め書の本文は,おおむね第1条から第12条までで構成されている。各条の見出しは,次のとおりである。
ア 第1条(派遣の実施) 甲が,別紙第1で定める教授等の業務を行う裁判官(「派遣裁判官」)を指定する旨等を定める。
イ 第2条(派遣の期間),第3条(派遣の終了) 派遣の期間及びその終了について定める。
ウ 第4条(業務内容等) 派遣裁判官の地位,勤務日数又は勤務時間数,業務を行うべき場所及び業務の内容について,別紙第1のとおりとする旨を定める。
エ 第5条(服務),第6条(出張),第7条(勤務条件) 服務に関する法令の適用,出張費の負担,派遣期間中の給与等の取扱いについて定める。
このうち第7条(勤務条件)は,派遣裁判官が派遣期間中に乙(大学)から給与等の支払を受けないことを定めており,前記第2の3(2)の派遣法6条1項に対応する。勤務時間や休日等は,別紙によるものとされている。
オ 第8条(業務災害及び通勤災害),第9条(派遣の状況の報告) 災害補償に関する法令の適用,及び,国庫への納付金の算定の基礎とするための勤務状況の報告について定める。
カ 第10条(取決めの変更),第11条(疑義等の決定),第12条(その他) 取決めの変更,疑義が生じた場合の甲乙の協議による解決,及び本書を2通作成して各1通を保有することについて定める。
これらの条文は,前記第2の2(3)で述べた派遣法4条5項が取決めにおいて定めるものとした事項(勤務時間その他の勤務条件,教授等の業務の内容,派遣の期間,派遣の終了に関する事項等)に,おおむね対応している。なお,第5条(服務)は裁判所法(昭和22年法律第59号)等の適用に,第8条(業務災害及び通勤災害)は裁判官の災害補償に関する法律(昭和35年法律第100号)等に,それぞれ関係する。
4 別紙第1・別紙第2の構成
取決め書には,別紙第1及び別紙第2が付属している。
別紙第1は,派遣裁判官の業務に関する具体的な事項を定めるものであり,①派遣裁判官の地位(非常勤の教員か,みなし専任の教員か等),②勤務日数又は勤務時間数,③業務を行うべき場所,④業務の内容(担当する科目,単位数,授業の時間や回数,出勤を要する日のほか,教授会やカリキュラム編成の会議への出席の要否,その他の特記事項)が記載されている。これらの記載は,大学ごとに異なる。
別紙第1の業務の内容は,担当科目,単位数,授業の時間や回数まで具体的に記載される。例えば,ある大学では,担当科目として「刑事訴訟実務の基礎」が,特定の期間に複数回の授業を行うものとして定められ,別の大学では,「民事実務基礎」を複数のクラスで担当するものとして定められている。このように,派遣裁判官が法科大学院において具体的に何を教えるかは,別紙第1から知ることができる。
別紙第2は,派遣裁判官の処遇等に関する事項を定めるものであり,①交通費の取扱い,②研究費の取扱い,③研究室の利用等,④業務を遂行できない事態が生じた場合の取扱いが記載されている。
5 署名・押印・黒塗り・用紙等の形式的特徴
取決め書の末尾には,締結の日付(令和6年分は「令和6年3月13日」)とともに,甲については最高裁判所事務総長が,乙については大学を設置する法人の学長又は機構長が,それぞれ記名押印している。甲(最高裁判所)の公印は,画像上も可視である。これに対し,乙(大学)側の印影には黒い塗りつぶし(黒塗り)が施されている。
本文及び別紙には,黒塗りはほとんど見られない。条文や別紙の業務内容は,いずれも読むことができる。なお,「機密性」等の格付けの表示は,本稿で確認した範囲では見当たらなかった。
用紙は,いずれもほぼA4の大きさである。令和6年分の文書には文字情報の層があるが,符号化が標準的でないため,本文の文言は,ページの画像を表示して確認する必要がある。平成25年から平成27年までの文書は,画像として保存されたスキャン文書であり,A4よりわずかに小さく写っている(原本をスキャンする際の縁の切れによるものとみられる)。1通の取決め書は,本文4頁と別紙2頁の合計6頁を基本とし,複数通分を綴ったものや,全大学分を1つに綴った合本(数百頁に及ぶもの)もある。
第4 取決め書から読み取れる主な事項
以下は,本稿で実際に確認した取決め書から読み取れる主な事項である。網羅的なものではなく,読み方の手掛かりとして例を挙げるにとどめる。
1 派遣先の大学(国公私の法科大学院)
取決め書からは,どの大学の法科大学院に裁判官が派遣されているかを知ることができる。前記第1の3のとおり,国立大学法人だけでなく,公立大学法人及び学校法人(私立)も対象となっている。法科大学院を置く大学は,その設置形態にかかわらず派遣の対象となり得るものであり,取決め書の一覧からは,全国の主要な法科大学院に裁判官が派遣されてきたことがうかがわれる。
2 派遣の対象期間
各取決め書の第2条には,派遣の期間が定められている。期間は1年度単位であり,例えば令和6年分では「令和6年4月1日から令和7年3月31日まで」とされている。これは,前記第2の3(3)で述べた派遣法4条7項(3年を超えない期間,延長は5年を超えない範囲)の枠内で,各年度の派遣を定めるものである。同一の大学について複数の年度分の取決め書が存在することからは,特定の年度に限らず,継続的に派遣が行われてきたことがうかがわれる。
3 派遣裁判官の業務内容(担当科目等)
別紙第1からは,派遣裁判官が担当する科目や勤務の量を知ることができる。担当科目は大学ごとに異なり,例えば,ある大学では「刑事訴訟実務の基礎」が,別の大学では「民事実務基礎」や「総合関連演習(民事法)」が挙げられている。勤務の量も,年間の勤務時間数等として別紙第1に定められており,大学ごとに異なる。これらは,実務家である裁判官が,法科大学院においてどのような実務教育を担っているかを示す資料といえる。
また,別紙第1には,派遣裁判官の地位として,非常勤の教員か,みなし専任の教員かといった区分も記載されている。同じく実務家教員としての派遣であっても,大学や科目によって関与の度合いに違いがあることがうかがわれる。
4 報酬を受けないことと国庫納付金
取決め書の第7条は,派遣裁判官が,派遣期間中,乙(大学)から給与等の支払を受けない旨を定めている。これは,前記第2の3(2)で述べた派遣法6条1項に対応するものである。また,第9条は,乙の求めに応じ,派遣法6条2項の国庫への納付金の額の算定の基礎とするため,派遣裁判官の勤務日数や勤務時間数等を報告する旨を定めている。このように,取決め書は,報酬を受けないという派遣裁判官の地位と,対価を国庫に納付するという設置者の負担とを,あわせて支える内容となっている。
第5 資料を読む際の留意点
1 一次資料としての意義
これらの文書は,裁判官の法科大学院への派遣について,最高裁判所と大学(の設置者)とがどのような事項を取り決めているかを示す一次資料である。報道や解説を介さずに,派遣の根拠,期間,業務内容,報酬の取扱い等を,取決め書の条文や別紙に即して直接確認することができる点に意義がある。
また,複数の大学・複数の年度の取決め書を通覧することで,どの大学にどのような分野の裁判官が派遣されているか,派遣がどの程度継続して行われてきたかといった全体像をたどることもできる。本稿の文書一覧(第6)は,こうした通覧の便宜のために設けたものである。
裁判官の人事や経歴に関心がある読者にとっては,どの大学に,どの分野(民事・刑事等)の裁判官が,どの程度の規模で派遣されてきたかを知る手掛かりともなる。
2 取決め書は最高裁と設置者の合意文書であること
取決め書は,甲(最高裁判所)と乙(大学の設置者)との間の合意文書である。派遣裁判官個人と大学との間の契約そのものではない(取決め書の第1条は,乙と派遣裁判官とが別途協議の上で必要な契約を締結することを予定している。)。本稿は,資料の所在と読み方を案内するものであって,制度や個々の派遣の当否について評価を加えるものではない。裁判官が法科大学院の教育に関与することの意義や課題については様々な見方があり得るが,本稿はその当否に立ち入らず,まず一次資料そのものを示すことを目的とする。
3 個人名・入手範囲・要確認事項
取決め書の本文及び別紙には,派遣される裁判官の氏名は記載されていない。文書は終始「派遣裁判官」「教授等」といった役割の呼称を用いており,氏名欄自体が設けられていない。黒塗りは,前記第3の5のとおり,乙(大学)側の印影に対して施されているのみである。
また,本稿の一覧は,平成25年から平成27年までの分と令和6年の分とに偏っており,その間の年度の取決め書は含まれていない。これが入手の範囲によるものか否かは,本稿では確定していない。さらに,一部の単独のPDFでは,冒頭の派遣要請書の引用句の現れ方が異なるように見えるものがあり,また,一覧の表題にある「2通」「3通」等の内訳については,各PDFの全体を照合したものではない。もっとも,これらは資料の性格に関する留保であって,取決め書の本文及び別紙の内容そのものは,いずれも明確に読み取ることができる。資料を引用する際は,こうした点に留意し,必要に応じて原文に当たられたい。
第6 文書一覧(情報公開請求で入手したPDF)
以下に,入手済みの50件のPDFへのリンクを掲げる。締結の時期により,平成25年から平成27年までの分と,令和6年の分とに分けた。各文書は情報公開請求により入手した司法行政文書である。
1 平成25年から平成27年までの取決め書
- 250313 裁判官派遣に関する取決め書(一橋大)
- 250313 裁判官派遣に関する取決め書(中央大)
- 250313 裁判官派遣に関する取決め書(大阪大)
- 250313 裁判官派遣に関する取決め書(早稲田大)
- 260312 裁判官派遣に関する取決め書(京大)
- 260312 裁判官派遣に関する取決め書(東大)
- 260312 裁判官派遣に関する取決め書(東大) (2)
- 260312 裁判官派遣に関する取決め書(東大) (3)
- 270311 裁判官派遣に関する取決め書(中央大)
- 270311 裁判官派遣に関する取決め書(京大)
- 270311 裁判官派遣に関する取決め書(京大) (2)
- 270311 裁判官派遣に関する取決め書(大阪大)
- 270311 裁判官派遣に関する取決め書(慶応大)
- 270311 裁判官派遣に関する取決め書(慶応大) (2)
- 270311 裁判官派遣に関する取決め書(慶応大) (3)
- 270311 裁判官派遣に関する取決め書(早稲田大)
- 270311 裁判官派遣に関する取決め書(明治大)
- 270311 裁判官派遣に関する取決め書(東大)
- 270311 裁判官派遣に関する取決め書(神戸大)
- 270311 裁判官派遣に関する取決め書(神戸大) (2)
2 令和6年の取決め書
- 一橋大学との間の裁判官派遣に関する取決め書(令和6年3月13日付)
- 九州大学との間の裁判官派遣に関する取決め書(令和6年3月13日付)2通
- 京都大学との間の裁判官派遣に関する取決め書(令和6年3月13日付)3通
- 北海道大学との間の裁判官派遣に関する取決め書(令和6年3月13日付)2通
- 千葉大学との間の裁判官派遣に関する取決め書(令和6年3月13日付)
- 大阪大学との間の裁判官派遣に関する取決め書(令和6年3月13日付)2通
- 岡山大学との間の裁判官派遣に関する取決め書(令和6年3月13日付)
- 広島大学との間の裁判官派遣に関する取決め書(令和6年3月13日付)
- 東京大学との間の裁判官派遣に関する取決め書(令和6年3月13日付)2通
- 東京都公立大学法人との間の裁判官派遣に関する取決め書(令和6年3月13日付)2通
- 東北大学との間の裁判官派遣に関する取決め書(令和6年3月13日付)2通
- 東海国立大学機構との間の裁判官派遣に関する取決め書(令和6年3月13日付)2通
- 琉球大学との間の裁判官派遣に関する取決め書(令和6年3月13日付)2通
- 神戸大学との間の裁判官派遣に関する取決め書(令和6年3月13日付)2通
- 裁判官派遣に関する取決め書(令和6年3月13日付)→最高裁判所と派遣先法科大学院との間の文書
- 金沢大学との間の裁判官派遣に関する取決め書(令和6年3月13日付)
- 学校法人上智学院との間の裁判官派遣に関する取決め書(令和6年3月13日付)
- 学校法人中央大学との間の裁判官派遣に関する取決め書(令和6年3月13日付)2通
- 学校法人創価大学との間の裁判官派遣に関する取決め書(令和6年3月13日付)
- 学校法人同志社との間の裁判官派遣に関する取決め書(令和6年3月13日付)2通
- 学校法人愛知大学との間の裁判官派遣に関する取決め書(令和6年3月13日付)
- 学校法人慶應義塾との間の裁判官派遣に関する取決め書(令和6年3月13日付)4通
- 学校法人日本大学との間の裁判官派遣に関する取決め書(令和6年3月13日付)
- 学校法人早稲田大学との間の裁判官派遣に関する取決め書(令和6年3月13日付)3通
- 学校法人明治大学との間の裁判官派遣に関する取決め書(令和6年3月13日付)
- 学校法人法政大学との間の裁判官派遣に関する取決め書(令和6年3月13日付)
- 学校法人福岡大学との間の裁判官派遣に関する取決め書(令和6年3月13日付)
- 学校法人立命館との間の裁判官派遣に関する取決め書(令和6年3月13日付)
- 学校法人関西大学との間の裁判官派遣に関する取決め書(令和6年3月13日付)
- 学校法人関西学院との間の裁判官派遣に関する取決め書(令和6年3月13日付)
※ 本稿に掲げた50件は,現時点で入手し得た範囲のものである。各文書はいずれもほぼA4の大きさであり,本文が画像であるため文字検索ができないものが多い。今後,新たな年度の取決め書等が得られた場合は,随時追加する予定である。