平成14年5月以降の,検察官の懲戒処分事例

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目次
第1 平成24年4月以降の,検察官の懲戒処分
1 法務省の集計内容
2 検察官の免職事例
3 検察官の減給事例
4 法務省の集計に含まれていない,検察官の懲戒処分事例
5 幹部検察官が懲戒処分を受けなかった事例
第2 平成14年5月からの10年間の,検察官の懲戒処分
1 内閣答弁書等の集計内容
2 検察官の免職事例
3 検察官の停職事例
4 幹部検察官が懲戒処分を受けなかった事例
第3 監督上の措置(訓告,厳重注意及び注意)

第1 平成24年4月以降の懲戒処分
1 法務省の集計内容
・ 法務・検察行政刷新会議 第4回会議(令和2年9月10日)資料1「検察官の懲戒処分等の概要」によれば,平成24年4月以降の懲戒処分(懲戒処分等から訓告を除いたもの)の状況は以下のとおりです。
○免職
・ 窃盗,住居侵入(平成30年3月)
・ 盗撮,建造物侵入(平成30年3月)

○停職
・ 盗撮を行ったもの(平成26年6月・停職2月)
・ 電車内で痴漢を行ったもの(平成27年9月・停職2月)
・ 児童ポルノを所持したもの(平成29年9月・停職2月)

○減給
・ 報告書を作成するに当たり,不正確な内容を記載して提出したもの(平成24年6月・減給6月)
・ 飲食店で粗暴な言動をしたもの(平成24年11月・減給1月)
・ 56日間の不当拘禁をしたもの(未決勾留日数の看過)(平成25年3月・減給1月)
・ 公訴時効完成後の起訴及び53日間の不当拘禁をしたもの(時効看過)(平成25年9月・減給1月)
・ セクハラ(身体的接触)を行ったもの(平成25年11月・減給1月)
・ セクハラ(身体的接触)を行ったもの(平成26年8月・減給3月)
・ 自宅等に捜査書類を放置し,適正な管理を怠ったもの(平成27年3月・減給2月)
・ 処断刑の上限を超えた求刑を行い,処断刑の上限を2ヶ月超えた判決を受け,刑を執行したもの(2名)(平成28年7月・減給1月)
・ 消耗品(約2000円相当)を窃取したもの(平成29年6月・減給6月)
・ セクハラ(身体的接触等)を行ったもの(平成30年1月・減給1月)
・ セクハラ(わいせつな言辞)を行ったもの(平成30年3月・減給1月)
・ セクハラ(身体的接触等)を行ったもの(平成30年6月・減給1月)

○戒告
・ 取調状況等報告書を作成しなかったもの(平成24年4月)
・ 利害関係者から供応接待を受けたもの(平成24年9月)
・ 3日間の不当拘禁をしたもの(確定日等の誤り)(平成26年1月)
・ 個人面談の際,不適切な言動を行ったもの(平成26年3月)
・ セクハラ(身体的接触)を行ったもの(平成26年4月)
・ 違法判決について上司等への報告を故意に行わず,刑を確定させたもの(平成26年9月)
・ ケンカで相手方に暴行を加え,傷害を負わせたもの(平成26年9月)
・ セクハラ(身体的接触等)を行ったもの(平成27年10月)
・ 14時間の不当拘禁をするなどしたもの(他の被告人と書類を取り違え,釈放をしなかったもの)(平成29年12月)
・ セクハラ(身体的接触等)を行ったもの(平成30年2月)
・ セクハラ(わいせつな言辞)を行ったもの(平成30年2月)
・ 過失運転致傷(加療約2ヶ月)(令和2年5月)

2 検察官の免職事例
(1) サンスポHP「庁舎で盗撮容疑、検事の男逮捕 神戸地検」(2018年3月15日付)が載っています。
(2) 産経新聞HPに「同僚女性宅侵入で元副検事に有罪判決 鍵盗み21回侵入「狡猾で常習性は顕著」京都地裁」(2018年5月11日)が載っていますし,裁判官☆データベース「京都地判H30.5.11 窃盗、住居侵入被告事件」(2018年5月12日付)により詳細な事情が書いてあります。
3 検察官の減給事例
・ 日経新聞HPに「減給処分の田代検事が辞職 陸山会事件虚偽報告書」(2012年6月27日付)が載っています。
・ 日経新聞HPに「部下にセクハラ、最高検検事辞職 前静岡地検検事正」(2014年8月21日付)が載っています。
4 法務省の集計に含まれていない,検察官の懲戒処分事例
・ 裁判官からの出向者に対する懲戒処分であることが理由であるのかもしれませんが,JR新宿駅ホームで盗撮した59期の飯島暁 法務総合研究所研修第三部教官の懲戒処分事例(飯島暁検事に対する処分説明書(停職3月)(平成28年9月15日付)参照)がなぜか含まれていません。
5 幹部検察官が懲戒処分を受けなかった事例
・ 新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言の自粛期間中の令和2年5月,報道関係者らと金銭を賭けて麻雀を行った黒川弘務 東京高検検事長は訓告されただけであって,懲戒処分は受けていません(「黒川弘務東京高検検事長の賭け麻雀問題」参照)。


第2 平成14年5月からの10年間の,検察官の懲戒処分
1 内閣答弁書等の集計内容
・ 衆議院議員浅野貴博君提出虚偽の捜査報告書を作成した検察官に対する検察庁の処分等に関する質問に対する答弁書(平成24年6月1日付)に基づき作成された,懲戒処分を受けた検察官の処遇等に関する質問主意書(平成24年6月21日付)によれば,平成14年5月からの10年間における,検察官の懲戒処分の状況は以下のとおりです。
〇免職処分…六件
・詐欺・公務員職権濫用等を理由とする免職の処分が一件
・不適切交遊及びセクシュアル・ハラスメントを理由とする免職の処分が一件
・有印私文書偽造・同行使等を理由とする免職の処分が一件
・証拠隠滅を理由とする前田恒彦検事に対する免職の処分
・犯人隠避を理由とする大坪弘道検事に対する免職の処分
・犯人隠避を理由とする佐賀元明検事に対する免職の処分
〇停職処分…三件
・公共の場所における卑わいな言動を理由とする停職(三月間)の処分が一件
・セクシュアル・ハラスメントを理由とする停職(二月間)の処分が一件
・痴漢行為を理由とする停職(一月間)の処分が一件
〇減給処分…二十四件
・セクシュアル・ハラスメントを理由とする減給(六月間俸給の月額の一〇〇分の二〇)の処分が一件
・指導監督不適正等を理由とする検事に対する減給(六月間俸給の月額の一〇〇分の一〇)の処分が一件
・業務処理不適正を理由とする検事に対する減給(四月間俸給の月額の一〇〇分の一〇)の処分が一件
・業務処理不適正を理由とする減給(三月間俸給の月額の一〇〇分の二〇)の処分が一件
・傷害を理由とする減給(三月間俸給の月額の一〇〇分の二〇)の処分が一件
・交通法規違反を理由とする減給(三月間俸給の月額の一〇〇分の二〇)の処分が一件
・業務処理不適正を理由とする減給(三月間俸給の月額の一〇〇分の一〇)の処分が一件
・強要未遂を理由とする減給(三月間俸給の月額の一〇〇分の一〇)の処分が一件
・不適切交遊を理由とする減給(三月間俸給の月額の一〇〇分の一〇)の処分が一件
・痴漢行為を理由とする減給(三月間俸給の月額の一〇〇分の一〇)の処分が一件
・業務上過失傷害を理由とする減給(三月間俸給の月額の一〇〇分の一〇)の処分が一件
・交通法規違反を理由とする減給(三月間俸給の月額の一〇〇分の一〇)の処分が一件
・指導監督不適正を理由とする減給(三月間俸給の月額の一〇〇分の一〇)の処分が一件
・業務処理不適正を理由とする減給(二月間俸給の月額の一〇〇分の一〇)の処分が一件
・旅費の不適正受給を理由とする減給(一月間俸給の月額の一〇〇分の二〇)の処分が一件
・報告怠慢を理由とする検事に対する減給(一月間俸給の月額の一〇〇分の一〇)の処分が一件
・交通法規違反を理由とする減給(一月間俸給の月額の一〇〇分の一〇)の処分が一件
・自動車運転過失致死を理由とする減給(一月間俸給の月額の一〇〇分の一〇)の処分が一件
・指導監督不適正を理由とする減給(一月間俸給の月額の一〇〇分の一〇)の処分が一件
・指導監督不適正を理由とする三浦正晴検事長に対する減給(一月間俸給の月額の一〇〇分の一〇)の処分が一件
・業務処理不適正を理由とする減給(一月間俸給の月額の一〇〇分の五)の処分が一件
・セクシュアル・ハラスメントを理由とする減給(一月間俸給の月額の一〇〇分の五)の処分が一件
・諸給与の不適正受給及び交通法規違反を理由とする減給(一月間俸給の月額の一〇〇分の三)の処分が一件
・諸給与の不適正受給を理由とする減給(一月間俸給の月額の一〇〇分の一)の処分が一件
〇戒告処分…三十八件
・業務処理不適正を理由とする戒告の処分が十三件
・業務処理不適正を理由とする検事に対する戒告の処分が一件
・報告怠慢を理由とする戒告の処分が一件
・欠勤を理由とする戒告の処分が一件
・セクシュアル・ハラスメントを理由とする戒告の処分が二件
・セクシュアル・ハラスメント、旅費の不適正受給及び欠勤を理由とする戒告の処分が一件
・旅費の不適正受給を理由とする戒告の処分が一件
・不適切行為を理由とする戒告の処分が一件
・占有離脱物横領を理由とする戒告の処分が一件
・暴行を理由とする戒告の処分が一件
・酩酊による粗野な言動を理由とする戒告の処分が二件
・器物損壊を理由とする戒告の処分が一件
・確定申告の怠慢を理由とする戒告の処分が一件
・業務上過失傷害を理由とする戒告の処分が一件
・交通法規違反を理由とする戒告の処分が二件
・指導監督不適正を理由とする戒告の処分が七件
・指導監督不適正を理由とする検事に対する戒告の処分が一件
2 検察官の免職事例
・ 暴力団組長の親族名義で,競売された神戸市のマンションを落札したところ,居住の実態がないのに登録免許税を軽減させたとして,平成14年4月22日に詐欺罪で逮捕された24期の三井環検事は,同年5月10日に懲戒免職されました(Wikipediaの「三井環事件」参照)。
3 検察官の停職事例
・ 痴漢行為を行った検察官に対して下された処分の妥当性等に関する質問主意書(平成21年6月1日付)には以下の記載があります。
   本年五月十四日、さいたま地方検察庁刑事部の○○○○検事が、JR埼京線の電車内で女性に対して痴漢行為を行ったとして、警視庁板橋署により東京都迷惑防止条例違反(痴漢)容疑で現行犯逮捕された。同月二十八日、さいたま地検は法務省が同日付で○○検事を停職一か月の懲戒処分にしたことを明らかにしたが、同検事は同日、辞職願を提出、受理されたと承知する。
4 幹部検察官が懲戒処分を受けなかった事例
・ NEWSポストセブン「人の歌ちゃんと聞けと女性をマイクで叩いた最高検検事不起訴」(2011年10月31日付)(平成23年2月14日に水戸市内のスナックで発生した,水戸地検検事正が起こした暴行事件に関するもの)が載っています(懲戒処分はなかったことにつき,外部ブログの「水戸地検検事正(当時。現・最高検検事)が、たたく・蹴るの暴行して。不起訴。 懲戒処分なし」(2011年10月13日付)参照)。

第3 監督上の措置(訓告,厳重注意及び注意)
1(1) 監督上の措置とは,職員の一定の義務違反ないし非違行為について,懲戒処分を科するまでには至らないと認められる場合で,服務の厳正を保持し,又は当該職員の職務の履行に関して改善向上を図るため必要があると認められるときに,指揮監督権限を有する上級の職員が行う措置をいいますところ,その種類としては,訓告,厳重注意及び注意があります(法務省職員の訓告等に関する訓令(平成16年4月9日付の法務大臣訓令)参照
(2) 例えば,検事長に対して指導監督権限を有する上級の職員は検事総長です。
2 法務省職員の訓告等に関する訓令の運用について(平成16年4月9日付の法務省大臣官房人事課長の依命通達)を掲載しています。

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