皇太子徳仁親王の結婚の儀に当たり行う特別恩赦基準(平成5年6月8日閣議決定)


皇太子徳仁親王の結婚の儀に当たり行う特別恩赦基準(平成5年6月8日閣議決定・同月9日官報掲載)

(趣旨)
一 皇太子徳仁親王の活婚の儀が行われるに当たり、内閣は、この基準により特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を行うこととする。

(対象)
二 この基準による特赦、減刑、刑の執行の免除又は復権、平成五年六月九日(以下「基準日」という。)の前日までに有罪の裁判が確定している者に対し行う。ただし、第四項第2号、第五項第2号及び第七項第2号に掲げる者については、それぞれ、その定めるところによる。

(出願又は上申)
三1 この基準による特赦、減刑、刑の執行の免除又は復権は、本人の出願を待って行うものとし、本人は、基準日から平成五年九月八日までに刑務所(少年刑務所及び拘置所を含む。以下同じ。)若しくは保護観察所の長又は検察官に対して出願をするものとする。
2 刑務所若しくは保護観察所の長又は検察官は、前号の出願があった場合には、平成五年十二月八日までに中央更生保護審査会に対し上申をするものとする。
3 第四項第2号の規定による特赦、第五項第2号の規定による減刑又は第七項第2号の規定による復権の場合は、前二号の定めにかかわらず、それぞれ、第1号の出願は平成五年十二月八日までに、前号の上申は平成六年三月八日までにすることができる。
4 第1号及び第2号の規定は、この基準による特赦、減刑、刑の執行の免除又は復権について、刑務所若しくは保護観察所の長又は検察官が必要があると認める場合に職権により上申をすることを妨げるものではない。この場合においては、上申をする期限は、前二号に定めるところによる。

(特赦の基準)
四1 特赦は、基準日の前日までに刑に処せられた次に掲げる者のうち、犯情、本人の性格及び行状、犯罪後の状況、社会の感情等にかんがみ、特に赦免することが相当であると認められる者について行う。
(一) 少年のとき犯した罪により刑に処せられ、基準日の前日までにその執行を終わり又は執行の免除を得た者
(二) 基準日において七十歳以上の者であって、有期の懲役又は禁錮に処せられ、基準日の前日までにその執行すべき刑期の二分の一以上につきその執行を受けた者
(三) 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり又は執行の免除を得た日から基準日の前日までに五年以上を経過した者であって、近い将来における公共的職務への就任又は現に従事している公共的職務の遂行に当たり、その刑に処せられたことが障害となっている者
(四) 有期の懲役又は禁錮に処せられ、その執行を猶予され、基準日の前日までに猶予の期間の二分の一以上を経過した者であって、近い将来における公共的職務への就任又は現に従事している公共的職務の遂行に当たり、その刑に処せられたことが障害となっている者
(五) 有期の懲役又は禁錮に処せられた者(刑法(明治四十年法律第四十五号)の罪(過失犯を除く。)、同法以外の法律において短期一年以上の懲役若しくは禁錮を定める罪又は薬物に係る罪により刑に処せられた者を除く。)であって、社会のために貢献するところがあり、かつ、近い将来における公共的職務への就任又は現に従事している公共的職務の遂行に当たり、その刑に処せられたことが障害となっている者
(六) 罰金に処せられ、その執行を猶予されている者又は基準日の前日までにその執行を終わり若しくは執行の免除を得た者であって、その刑に処せられたことが現に社会生活を営むに当たり障害となっている者
2 前号に掲げる者のほか、基準日の前日までに略式命令の送達、即決裁判の宣告又は有罪、無罪若しくは免訴の判決の宣告を受け、平成五年九月八日までにその裁判に係る罪について有罪の裁判が確定した者のうち、次の(一)又は(二)に掲げる者については、前号の例により、この基準による特赦を行うことができる。
(一) 有期の懲役又は禁錮に処せられた者(刑法の罪(過失犯を除く。)、同法以外の法律において短期一年以上の懲役若しくは禁錮を定める罪又は薬物に係る罪により刑に処せられた者を除く。)であって、社会のために貢献するところがあり、かつ、近い将来における公共的職務への就任又は現に従事している公共的職務の遂行に当たり、その刑に処せられたことが障害となっている者
(二) 罰金に処せられ、その執行を猶予されている者又は平成五年九月八日までにその執行を終わり若しくは執行の免除を得た者であって、その刑に処せられたことが現に社会生活を営むに当たり障害となっている者

(特別減刑の基準)
五1 減刑は、基準日の前日までに懲役又は禁錮に処せられた次に掲げる者のうち、犯情、本人の性格及び行状、犯罪後の状況、社会の感情等にかんがみ、特に減刑することが相当であると認められる者について行う。
(一) 少年のとき犯した罪により有期の懲役又は禁錮に処せられた者であって、次に掲げる者
(1) 法定刑の短期が一年以上に当たる罪を犯した場合は、基準日の前日までに執行すべき刑期の二分の一以上につきその執行を受けた者(不定期刑に処せられた者については、言い渡された刑の短期のうち執行すべき部分の二分の一以上につきその執行を受けた者)
(2) (1)以外の場合は、基準日の前日までに執行すべき刑期の三分の一以上につきその執行を受けた者(不定期刑に処せられた者については、言い渡された刑の短期のうち執行すべき部分の三分の一以上につきその執行を受けた者)
(二) 少年のとき犯した罪により有期の懲役又は禁錮に処せられ、その執行を猶予され、基準日の前日までにその猶予の期間の三分の一以上を経過した者
(三)基準日において七十歳以上の者であって、次に掲げる者
(1) 有期の懲役又は禁錮に処せられ、基準日の前日までに執行すべき刑期の三分の一以上につきその執行を受けた者
(2) 無期の懲役又は禁錮に処せられ、基準日の前日までに十年以上の執行を受けた者
(四) 有期の懲役又は禁錮に処せられ、その執行を猶予され、基準日の前日までに猶予の期間の三分の一以上を経過した者であって、近い将来における公共的職務への就任又は現に従事している公共的職務の遂行に当たり、その刑に処せられたことが障害となっている者
(五) 有期の懲役又は禁錮に処せられた者(刑法の罪(過失犯を除く。)、同法以外の法律において短期一年以上の懲役若しくは禁錮を定める罪又は薬物に係る罪により刑に処せられた者を除く。)であって、近い将来における公共的職務への就任又は現に従事している公共的職務の遂行に当たり、その刑に処せられたことが障害となっている者
2 前号に掲げる者のほか、基準日の前日までに略式命令の送達、即決裁判の宣告又は有罪、無罪若しくは免訴の判決の判決の宣告を受け、平成五年九月八日までにその裁判に係る罪について有期の懲役又は禁錮に処せられた者(刑法の罪(過失犯を除く。)、同法以外の法律において短期一年以上の懲役若しくは禁錮を定める罪又は薬物に係る罪により刑に処せられた者を除く。)のうち近い将来における公共的職務への就任又は現に従事している公共的職務の遂行に当たり、その刑に処せられたことが障害となっている者については、前号の例により、この基準による減刑を行うことができる。
3 減刑は、次の例による。
(一) 無期懲役は十五年の懲役とし、無期禁錮は十五年の禁錮とする。
(二) 有期の懲役又は禁錮は、次の例により言渡しを受けた刑期を変更する。
(1) 基準日において七十歳以上の者については、刑期の三分の一を超えない範囲でその刑を減ずる。
(2) (1)以外の者については、刑期の四分の一を超えない範囲でその刑を減ずる。
(三) 不定期刑は、その短期及び長期について、それぞれ、言渡しを受けた刑期の四分の一を超えない範囲でその刑を減ずる。
(四) 懲役又は禁錮について言い渡された執行猶予の期間は、その四分を一を超えない範囲で短縮する。

(刑の執行の免除の基準)
六 刑の執行の免除は、基準日の前日までに刑に処せられた次に掲げる者のうち、犯情、本人の性格及び行状、犯罪後の状況、社会の感情等にかんがみ、特に刑の執行の免除をすることが相当であると認められる者について行う。
1 懲役、禁錮又は罰金に処せられ、病気その他の事由により基準日までに長期にわたり刑の執行が停止されている者であって、なお長期にわたりその執行に耐えられないと認められる者
2 懲役又は禁錮に処せられ、基準日において七十歳以上の者であって、仮出獄を許されてから基準日の前日までに二十年以上を経過した者

(特別復権の基準)
七1 復権は、一個又は二個以上の裁判により罰金以上の刑に処せられ、基準日の前日までに刑の全部につきその執行を終わり又は執行の免除を得た次に掲げる者のうち、犯情、本人の性格及び行状、犯罪後の状況、社会の感情等にかんがみ、特に復権することが相当であると認められる者について行う。
(一) 基準日において七十歳以上の者
(二) 禁錮以上の刑又は罰金及び禁錮以上の刑に処せられ、禁錮以上の刑の全部につきその執行を終わり又は執行の免除を得た日から基準日の前日まで三年以上を経過した者であって、刑に処せられたことが現に社会生活を営むに当たり障害となっている者
(三) 禁錮以上の刑又は罰金及び禁錮以上の刑に処せられた者であって、社会のために貢献するところがあり、かつ、近い将来における公共的職務への就任又は現に従事している公共的職務の遂行に当たり、刑に処せられたことが障害となっている者
(四) 罰金に処せられた者であって、刑に処せられたことが現に社会生活を営むに当たり障害となっている者
2 前号に掲げる者のほか、基準日の前日までに一個又は二個以上の略式命令の送達、即決裁判の宣告又は有罪、無罪若しくは免訴の判決の宣告を受け、平成五年九月八日までにその裁判に係る罪の一部又は全部について罰金に処せられ、同日までにその全部につき執行を終わり又は執行の免除を得た者のうち、刑に処せられたことが現に社会生活を営むに当たり障害となっている者については、前号の例により、この基準による復権を行うことができる。

(その他)
八 この基準に当たらない者であっても、特赦、減刑、刑の執行の免除又は復権を行うことが相当であるものには、常時恩赦を行うことを考慮するものとする。



* 以下の資料も参照してください。
① 特赦、減刑又は刑の執行の免除の出願に関する臨時特例に関する省令(平成5年6月9日法務省令第25号)
② 平成5年6月8日付の閣議書(皇太子徳仁親王の結婚の儀に当たり行う特別恩赦基準)
③ 皇太子徳仁親王の結婚の儀に当たり行う特別恩赦基準の運用について(平成5年6月9日付けの法務省刑事局長,矯正局長及び保護局長の依命通達)
④ 皇太子徳仁親王の結婚の儀に当たり行う特別基準恩赦の事務処理について(法務省保護局恩赦課長の通知)
⑤ 皇太子徳仁親王の結婚の儀に当たり行う特別恩赦基準に関する解説の送付について(平成5年6月9日付の法務省保護局恩赦課長の文書)







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