本記事は,法務省大臣官房人事課等が作成した令和2年度から令和7年度までの副検事選考資料を,資料の種類別にまとめたものである。
受験案内,受験者名簿,第1次選考結果及び最終結果の原資料へ直接移動できるほか,法務省の議事概要に基づく年度別人数,現行法令上の受験資格,試験科目並びに令和8年度の日程を確認できる。
副検事の受験資格を調べる場合は第3,試験科目・出願方法は第4,年度別の人数は第2,原資料のPDFは第1を参照されたい。副検事という官職の全体像は,副検事とは?検事との違い・仕事内容・なり方にまとめている。
第1 令和2年度から令和7年度までの選考資料
1 副検事の選考受験案内
令和2年度,令和3年度,令和4年度,令和5年度,令和6年度,令和7年度
令和7年度受験案内は,副検事の選考を年1回実施し,筆記試験及び口述試験を行うと説明している。
2 副検事の選考受験者名簿
令和2年度,令和3年度,令和4年度,令和5年度,令和6年度,令和7年度
各名簿の氏名等は黒塗りであり,令和7年度からは所属欄も全部が黒塗りとなった。
3 第1次選考の結果通知
令和2年度,令和3年度,令和4年度,令和5年度,令和6年度,令和7年度
令和6年度(行情)答申第826号は,令和5年度の第1次選考合格者名簿及び最終選考合格者名簿について,「官名」欄の全部及び「所属」欄の一部を法務省が公表しておらず,情報公開請求に対しても開示していないと整理している。
4 最終結果の通知
令和2年度,令和3年度,令和4年度,令和5年度,令和6年度,令和7年度
各文書には,選考合格者及び任官予定者の名簿が含まれている。
5 筆記試験による選考を経ない選考
令和4年度及び令和5年度の各文書は,それぞれ1人を選考合格者及び任官予定者としたことを示している。
これに対し,法務省は,令和8年1月21日付け行政文書不開示決定通知書において,令和7年度の同名文書を作成又は取得しておらず,保有していないと通知した。
この不開示決定は文書の不存在を示すものであり,それだけで令和7年度に筆記試験による選考を経ない選考が実施されなかったとまでは断定できない。
第2 年度別の受験者数及び合格者数
1 令和2年度から令和8年度までの人数
法務省の検察官特別任用分科会議事概要に記載された人数は,次のとおりである。
第1次選考
| 年度 | 受験者 | 合格者 | 資料 |
|---|---|---|---|
| 令和2年度 | 149人 | 36人 | 第1次/最終 |
| 令和3年度 | 144人 | 47人 | 第1次/最終 |
| 令和4年度 | 119人 | 23人 | 第1次/最終 |
| 令和5年度 | 137人 | 44人 | 第1次/最終 |
| 令和6年度 | 133人 | 31人 | 第1次/最終 |
| 令和7年度 | 134人 | 28人 | 第1次/最終 |
| 令和8年度 | 130人 | 38人 | 第1次 |
口述試験・最終選考
| 年度 | 口述受験者 | 最終合格者 | 資料 |
|---|---|---|---|
| 令和2年度 | 37人 | 37人 | 第1次/最終 |
| 令和3年度 | 47人 | 45人 | 第1次/最終 |
| 令和4年度 | 25人 | 23人 | 第1次/最終 |
| 令和5年度 | 45人 | 39人 | 第1次/最終 |
| 令和6年度 | 35人 | 29人 | 第1次/最終 |
| 令和7年度 | 28人 | 27人 | 第1次/最終 |
| 令和8年度 | 本稿では未確認 | 本稿では未確認 | 本稿では未確認 |
令和8年9月2日開催の法務省議事概要は,同年7月3日に筆記試験を実施し,第1次選考受験者130人中38人を合格としたことを示す。令和8年度の口述受験者数及び最終合格者数は,本稿ではまだ確認していない。未確認の欄を0人と解してはならない。
2 人数を読む際の留意点
令和2年度,令和4年度,令和5年度及び令和6年度は,口述受験者数が第1次合格者数を上回っている。
少なくとも令和4年度及び令和5年度には,筆記試験による選考を経ない選考の結果通知が別に存在する。
したがって,口述受験者数を一律に通常の筆記試験合格者だけの人数とみなしたり,表の最初と最後の人数から単純な一貫合格率を計算したりすることは相当でない。
第3 受験資格と選考機関
1 検察庁法18条2項の任命資格
検察庁法18条2項は,副検事を,次のいずれかに該当し,所定の審議会等の選考を経た者の中から任命できると定めている。
- ① 司法修習生となる資格を得た者
- ② 3年以上,政令で定める二級官吏その他の公務員の職に在った者
これは同条1項の二級検察官の任命資格とは別に設けられた副検事の任命資格である。
2 受験資格となる公務員
検察庁法施行令2条1項は,受験資格となり得る公務員を列挙している。
検察事務官,法務事務官,法務教官,入国審査官,入国警備官,裁判所職員,警察官,司法警察員,自衛官並びに犯則事件の調査等を担当する一定の職員等が含まれるが,職種ごとに職務の級その他の条件がある。
したがって,対象職種に在職しているだけで当然に受験資格を得るものではなく,受験案内と同令の現行条文により,任官予定日現在の在職期間及び職務の級を確認する必要がある。
3 検察官・公証人特別任用等審査会
検察庁法18条2項の選考を行う審議会等は,検察庁法施行令1条の2により,検察官・公証人特別任用等審査会とされている。
法務省の検察官特別任用分科会ページは,所掌事務の一つとして副検事の選考を掲げ,年度ごとの議事概要を公表している。
第4 試験科目,出願方法及び令和8年度の日程
1 筆記試験及び口述試験
令和7年度受験案内によれば,筆記試験及び口述試験の科目は,いずれも憲法,民法,刑法,刑事訴訟法及び検察庁法の5科目である。
筆記試験は各科目1時間であり,筆記試験等による第1次選考に合格した者が口述試験を受験する。
筆記試験及び口述試験では,受験者に法文が示される。
2 願書の提出先と面接
令和7年度受験案内は,願書の提出先を次のとおり区分している。
- ① 検察庁職員は,所属検察庁の長(区検察庁の職員は検事正)
- ② 法務省本省等の職員は,所属の長
- ③ その他の官署の職員は,所属官署の所在地を管轄する地方検察庁の検事正
- ④ その他の者は,住所地を管轄する地方検察庁の検事正
提出先となる所属の長等による面接等が行われる場合があり,第1次選考合格者に対しては,管轄の検事長による面接が行われる。
同受験案内には,他省庁の受験者について,受験の事実を勤務先へ連絡するかどうかまでは記載されていない。
3 令和8年度の日程
令和8年1月21日開催の検察官特別任用分科会議事概要によれば,令和8年度の筆記試験は令和8年7月3日,口述試験は同年10月6日及び7日に実施する日程とされた。
この議事概要が公表したのは実施日程であり,受験案内又は選考結果ではない。
令和8年度の筆記試験の実施と第1次選考の及落は,同年9月2日開催の議事概要で確認できる。一方,1月の議事概要に掲げられた口述日程だけでは,口述試験の実施又は最終合格者数を確認したことにはならない。
第5 副検事の職務と配置
令和7年度受験案内によれば,副検事は,窃盗及び横領等の簡易裁判所管轄事件の捜査・公判に従事する。
副検事は,地方検察庁検察官事務取扱として,詐欺,強盗及び過失運転致死等の地方裁判所管轄事件の捜査・公判にも従事する。
また,区検察庁の庁務を掌理し,その庁の職員を指揮監督することがある。
法務省の「検察官の種類」も,副検事は区検察庁に配置され,捜査・公判及び裁判の執行の指揮監督等の仕事を行うと説明している。
副検事の初任給について,令和7年度受験案内は,原則として任命前の給与月額の直近上位の号に格付けすると説明する。号別の俸給月額は裁判官・検察官の給与月額表を参照されたい。年齢又は任官年数だけで号や年収は決まらない。
第6 特任検事と検察官特別考試
1 検察庁法18条3項との関係
「特任検事」は,3年以上副検事の職にあり,検察官特別考試を経て二級の検事に任命された者の実務上の呼称である。
その法的根拠は検察庁法18条3項であり,任命後の法令上の官名は「検事」である。
「特任検事」及び「筆記試験による選考を経ない副検事」は,いずれも法令上の官名ではない。
この用語の区別は,伊藤栄樹『新版 検察庁法逐条解説』30頁~39頁並びに城祐一郎『捜査・公判のための実務用語・略語・隠語辞典』107頁等でも確認できる。
2 公表されている選考資料
司法制度改革推進本部の検討会に法務省が提出した平成14年当時の「特任検事について」及び「特任検事の選考方法」は,当時の制度及び運用を説明する資料である。
同資料中の職務に関する説明は平成14年当時の法務省の説明であり,現在の個々の配置又は担当事件が同一であることまで意味しない。
本ブログには,令和2年度検察官特別考試筆記試験実施要領及び令和2年度検察官特別考試口述試験実施要領も掲載している。
令和8年9月2日開催の議事概要は,検察官特別考試の筆記受験者13人中1人を合格としたことも示す。これは同年度の筆記試験の結果であり,口述試験の結果又は検事への任命人数ではない。副検事として3年以上在職すれば自動的に検事になれる制度でもない。
第7 公的資料と関連記事
1 選考方法に関する公的資料
司法制度改革推進本部の検討会に法務省が提出した「副検事の選考方法」は,平成15年当時の選考方法を図示した資料である。
同資料は現在の受験案内ではないため,現行の受験資格及び試験方法は,e-Govの現行法令及び最新の受験案内で確認する必要がある。
本ブログには,令和2年度副検事の選考第2次試験(口述試験)実施要領も掲載している。
2 直接関連する記事
選考受験者名簿は受験者を確認する資料であり,任官後の副検事の氏名・勤務庁を確認する名簿とは異なる。後者は,法務省作成の副検事名簿―年別PDF一覧と検事期別名簿との違い(AI作成)に,平成31年から令和8年までの8資料をまとめている。
第8 出典
1 法令
2 公文書及び統計
- ① 検察官・公証人特別任用等審査会・法務省大臣官房人事課「副検事の選考受験案内」(令和2年度~令和7年度)。令和7年度受験案内は資料表記1頁~4頁(PDFビューア2頁~5頁)
- ② 法務省大臣官房人事課長「副検事の選考第1次選考の結果について」及び「副検事の選考の結果等について」(令和2年度~令和7年度)。各原資料へのリンクは第1に掲載
- ③ 法務省「検察官・公証人特別任用等審査会検察官特別任用分科会議事概要」(令和2年度~令和8年度)。年度別リンクは第2及び第4に掲載
- ④ 情報公開・個人情報保護審査会「令和6年度(行情)答申第826号」(令和7年1月24日答申)9頁~10頁(PDFビューア9頁~10頁)
- ⑤ 法務省大臣官房人事課長「筆記試験による選考を経ない副検事の選考の結果等について」(令和4年度及び令和5年度,いずれもPDFビューア1頁)
- ⑥ 法務大臣「令和8年1月21日付け行政文書不開示決定通知書」(PDFビューア1頁)
- ⑦ 司法制度改革推進本部司法制度改革推進委員会検討会資料「副検事の選考方法」,「特任検事について」及び「特任検事の選考方法」
3 文献
- ① 伊藤栄樹『新版 検察庁法逐条解説』(良書普及会,昭和61年)30頁~39頁(PDFビューア71頁~75頁)
- ② 加藤康榮編著・城祐一郎・阪井光平『警察官のためのわかりやすい刑事訴訟法〔第2版〕』(立花書房,令和元年)26頁
- ③ 城祐一郎『捜査・公判のための実務用語・略語・隠語辞典』(立花書房,平成23年)107頁
- ④ 恩田剛『スマホはレンジにしまっとけ!―続 裁判と法律あらかると―』(司法協会,令和元年)90頁