目次
1 契約期間中の解雇等
2 無期転換ルール
3 雇い止め
4 有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準
5 関連記事その他
1 契約期間中の解雇等
(1) 使用者は,有期労働契約について,やむを得ない事由がある場合でなければ,その契約期間が満了するまでの間において,労働者を解雇することはできません(労働契約法17条1項)。
(2) 使用者は,有期労働契約について,その有期労働契約により労働者を使用する目的に照らして,必要以上に短い期間を定めることにより,その有期労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければなりません(労働契約法17条2項)。
なんとなく有期契約の方が辞めてもらいやすい、とかいう雰囲気があるかもですが、「更新の期待が出ている事案」では、辞めてもらうためのハードルは全然下がらないのです。まして期間途中の解雇となると、「やむを得ない事由」が必要なので、ハードルはかえって高くなるのです(労契法17条1項)(続く)。
— 弁護士リチャードソン (@Richaso_Law) July 7, 2023
2 無期転換ルール
(1) 無期転換ルール(労働契約法18条)とは,同一の使用者との間で,有期労働契約が更新されて通算5年を超えたときに,労働者の申込みによって無期労働契約に転換されるルールです。
(2) 厚生労働省HPに有期契約労働者の無期転換サポートサイト~無期転換を円滑にサポートします~が載っています。
3 雇い止め
(1) パート,アルバイト,契約社員及び派遣社員等の有期労働契約者のうち,以下のいずれかに当たる場合,労働契約法19条に基づく雇い止め法理が適用されます(jinjer Blogの「労働契約法19条に定められた「雇止め法理の法定化」とは?」参照)。
① 過去に反復更新された有期労働契約で,その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの
② 労働者において,有期労働契約の契約期間の満了時にその有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められるもの
(2) 厚生労働省HPの「有期労働契約の新しいルールができました 労働契約法改正のあらまし」に,「参考3 雇止めに関するこれまでの裁判例の傾向」が載っています(リンク先のPDF16頁)。
社内暴力事案でも経緯、内容、傷害の程度、事件後の反省や再発可能性の程度を考慮して解雇無効とする例があります。本件のような有期契約の場合は期間中は雇用を継続することが原則とされ、途中の解雇は特にハードルが高いです。
以下もご参照下さい。https://t.co/aBmCRO3cm5 https://t.co/yAj7H7AGwh
— 弁護士 西川暢春 弁護士法人咲くやこの花法律事務所 新刊『問題社員トラブル円満解決の実践的手法』 (@nobunobuno) June 18, 2023
更新上限のある有期契約は、来年4月1日締結・更新分から労働条件通知書等でハッキリ書いておくことが必要となります。「めんどくせ」って話ですが、契約当初から更新上限を明示すれば、それを超えての更新の合理的期待が否定される傾向にありますので、ちゃんとやらなきゃです(東京高判R4.9.14など)。
— 弁護士リチャードソン (@Richaso_Law) July 11, 2023
4 有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準
・ 厚生労働大臣は,①期間の定めのある労働契約の締結時及び②当該労働契約の期間の満了時において労働者と使用者との間に紛争が生ずることを未然に防止するため,使用者が講ずべき労働契約の期間の満了に係る通知に関する事項その他必要な事項についての基準を定めることができます(労働基準法14条2項)ところ,有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(平成15年10月22日厚生労働省告示第357号)は以下のとおりです(平成25年4月1日から令和6年3月31日までのものです。)。
(雇止めの予告)
第一条 使用者は、期間の定めのある労働契約(当該契約を三回以上更新し、又は雇入れの日から起算して一年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く。次条第二項において同じ。)を更新しないこととしようとする場合には、少なくとも当該契約の期間の満了する日の三十日前までに、その予告をしなければならない。
(雇止めの理由の明示)
第二条 前条の場合において、使用者は、労働者が更新しないこととする理由について証明書を請求したときは、遅滞なくこれを交付しなければならない。
2 期間の定めのある労働契約が更新されなかった場合において、使用者は、労働者が更新しなかった理由について証明書を請求したときは、遅滞なくこれを交付しなければならない。
(契約期間についての配慮)
第三条 使用者は、期間の定めのある労働契約(当該契約を一回以上更新し、かつ、雇入れの日から起算して一年を超えて継続勤務している者に係るものに限る。)を更新しようとする場合においては、当該契約の実態及び当該労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければならない。
Q.なぜ「就職氷河期世代」が生まれたんですか?
A.新卒者を多く採用する大企業では「終身雇用」が建前のため、正社員を一度採用してしまうと解雇は厳しく制限されます。したがって、景気後退時の雇用調整手段は「非正規を雇い止めにする」か「新卒採用を止める」しかありません。… pic.twitter.com/wBfCEd3QzX— 新田 龍 (@nittaryo) June 18, 2023
5 関連記事その他
(1) NECソリューションイノベータHPに「有期雇用契約とは?トラブル防止のために大切なポイント」が載っています。
(2) 厚生労働省HPに「「家事使用人の雇用ガイドライン」を策定しました」(2024年2月8日付)が載っています。
(3) 以下の記事も参照して下さい。
・ 労働基準法に関するメモ書き
・ 同一労働同一賃金
・ 高年齢者雇用安定法に関するメモ書き
「一緒に働きたい」と思う人
・いない人の悪口で笑いを取らない
・否定から入らず素直
・人の話を聞く
・挨拶・感謝・謝罪を言葉にできる
・言語化を厭わない
・考える姿勢を持つ
・メモを取るリストアップしてみて、試験成績は良い方が望ましいものの一緒に働きたい要素ではないと気付きました。
— ノーネクタイのマイクロス (@nise_mike_ross) January 30, 2024