家事調停に関するメモ書き


目次
第1 家庭裁判所の土地管轄
第2 申立て時の注意点
第3 第1回期日前における留意点
第4 事件記録の閲覧及び謄写
第5 当事者参加及び利害関係参加
第6 電話会議又はテレビ会議による家事調停(主としてコロナ前の取扱いです。)
第7 手続費用の取扱い
第8 家事調停を成立させる場合の取扱い(主としてコロナ前の取扱いです。)
第9 家事調停の終了形態
第10 公益財団法人日本調停協会連合会
第11 離婚調停の位置付け
第12 家事調停と人事訴訟は連続性を持たない制度とされていること
第13 関連記事その他

第1 家庭裁判所の土地管轄
1 家事調停は,①相手方の住所地の家庭裁判所,又は②当事者が合意で定める家庭裁判所(合意管轄)で行うことになります(家事事件手続法245条1項)。
2(1) 合意管轄を利用する例としては,①当事者の住所の中間に位置する土地を管轄する家庭裁判所を管轄裁判所としたり,②双方の手続代理人の事務所の所在地を管轄する家庭裁判所を管轄裁判所としたりする場合があります。
(2) 合意管轄を利用する場合,家事調停の申立てをする時点で管轄合意書を提出する必要があります。
3(1) 事件を処理するため特に必要があると家庭裁判所に認めてもらえた場合,相手方の住所地の家庭裁判所以外の家庭裁判所,例えば,申立人の住所地の家庭裁判所で家事調停をしてもらうことができます(家庭裁判所による自庁処理,家事事件手続法9条1項ただし書)。
(2) 家庭裁判所が自庁処理をする場合,当事者及び利害関係参加人の意見を聴かなければなりません(家事事件手続規則8条1項)が,自庁処理の申立てに対する却下審判に対し,即時抗告をして争うことはできません。
4 特定の家庭裁判所がその有する裁判権に基づき審理及び裁判をすべき事件について,これを本庁において取り扱うか,又はいずれかの支部において取り扱うかは,当該家庭裁判所における事務分配の問題にすぎません。
    そのため,例えば,大阪市在住の申立人が,堺市在住の相手方に対し,家事調停を申し立てる場合,大阪家庭裁判所(本庁)で家事調停をしてほしいという意味での自庁処理の申立てをすることはできません(訴訟事件の場合につき東京高裁昭和59年11月7日決定。なお,先例として,最高裁昭和44年3月25日決定参照)。


第2 申立て時の注意点
1(1) 家事調停の申立ては,申立書を家庭裁判所に提出してしなければなりません(家事事件手続法255条1項)。
(2) 平成24年12月31日までは,裁判所書記官の面前で陳述すれば,口頭で申立てをすることができました(家事審判規則3条参照)。
2 家事調停の申立書には,①当事者及び法定代理人,②申立ての趣旨及び理由(申立てを特定するのに必要な事実),並びに③「事件の実情」を記載しなければなりません(家事事件手続法255条2項,家事事件手続規則127条・37条1項)。
3 申立ての理由及び事件の実情についての証拠書類があるときは,その写しを家事調停の申立書に添付しなければならず(家事事件手続規則127条・37条2項),相手方の数に応じた写しも添付しなければなりません(家事事件手続規則127条・47条)。
    ①養育費,婚姻費用,財産分与,遺産分割といったいわゆる経済事件,及び②合意に相当する審判事件(=特殊調停事件。例えば,婚姻取消の事件)の場合,事件の性質上,相手方交付用の証拠書類の提出が強く求められます。
4 家事調停の申立てに係る身分関係についての資料その他家事調停の手続の円滑な進行を図るために必要な資料も提出しなければなりません(家事事件手続規則127条・37条3項)。
    そのため,例えば,最終的に不動産の登記が問題となるような事情がある場合,調停調書に住所を正確に記載する必要がありますから,住民票を一緒に提出しなければなりません。
5 クロスレファレンス民事実務講義(第3版)32頁には,調停申立てを相当とする場合として,以下のような場合が記載されています。
① 依頼者の相手方が親族や友人など親密な関係にある場合
② 証拠が十分でない場合
③ 判決では実現しない事柄を求めている場合
④ 新しい法律的権利が問題となる場合
⑤ 相手方が信用のある会社・団体などである場合
⑥ 円満に解決される見込みのある場合


第3 第1回期日前における留意点
1 家事調停の申立書の写しは,調停期日通知書と一緒に相手方に送付されます(家事事件手続法256条1項本文)。
    ただし,申立書の写しの送付により,申立人と相手方の感情のもつれが一層激しくなり,自主的な話し合いが不能になるといった事情がある場合,家事調停の手続の円滑な進行を妨げるおそれがあるものとして,例外的に申立てがあったことだけが相手方に通知されます(家事事件手続法256条1項ただし書)。
2 相手方の勤務先に申立書の写しを送った場合,勤務先に家事調停のことが知られることで,①相手方と裁判所との間,及び②相手方と申立人との間でトラブルになり,家事調停の進行に支障が生ずる可能性があるため,家庭裁判所から申立書の写しを相手方の勤務先には送ってもらえません。
3 相手方の実家を申立書の写しの送付先にする場合,相手方と相手方実家が同じ名字であっても,当事者目録において「何々方」まで記載する必要があります。
    なぜなら,そうしなければ,宛先不明ということで,送付物が戻ってくることがあるからです。
4 相手方本人に電話をかけて住所を尋ねるよう,家庭裁判所に依頼をすることはできません。
    なぜなら,家庭裁判所の書記官が電話をかけると,ほとんどの場合,相手方から事情を尋ねられることになりますところ,書記官が申立書の内容を相手方に伝えることはできないので,尋ねられても回答を避けますものの,それを不快に感じて相手方が出頭を拒否する結果につながりかねないからです。
5 相手方の出頭確保が家事調停を進めるための最も重要な事項ですから,依頼した弁護士によっては,相手方に対し,家事調停を申し立てる予定であることを伝えることがあります。


第4 事件記録の閲覧及び謄写
1 当事者又は利害関係を疎明した第三者は,家庭裁判所の許可を得て,裁判所書記官に対し,①家事調停事件の記録の閲覧若しくは謄写,その正本,謄本若しくは抄本の交付又は②家事調停事件に関する事項の証明書の交付を請求することができます(家事事件手続法254条1項)。
    そして,家庭裁判所は,相当と認めるときは,これを許可することができます(家事事件手続法254条3項)。
    ただし,調停が不成立となって家事審判に移行し,調停で提出した資料が事実の調査の対象となった場合,相手方による閲覧・謄写が原則として許可されます(家事事件手続法47条)から,このことを念頭に置いて調停段階における資料の提出を検討する必要があります。
2 調停期日の記録としては,当事者の出頭状況等を記載した「事件経過表」という書面が裁判所書記官によって作成されるに過ぎないのであって,期日における当事者の発言は通常,裁判所の事件記録としては全く残りません。
3 調停委員が調停中にとったメモについては,事件記録ではないので,そもそも閲覧・謄写の許可申請の対象になりません。
4 民事調停の場合,当事者は当然に事件記録の閲覧・謄写ができます(民事調停規則23条本文)。

第5 当事者参加及び利害関係参加
1 当事者参加
(1) 当事者となる資格を有する者は,当事者として家事調停の手続に参加することができます(任意参加。家事事件手続法258条1項・41条1項)。
(2) 家庭裁判所は,相当と認めるときは,当事者の申立てにより又は職権で,他の当事者となる資格を有する者(審判を受ける者となるべき者に限る。)を,当事者として家事調停の手続に参加させることができます(強制参加。家事事件手続法258条1項・41条2項)。
(3) 当事者参加については,遺産分割事件において,申立人又は相手方が第三者に相続分の譲渡(民法905条)をした場合等に活用することが考えられています。
(4) 家庭裁判所は,①当事者となる資格を有しない者及び②当事者である資格を喪失した者を家事調停の手続から排除することができます(家事事件手続法258条1項・43条1項)。
    ただし,排除の裁判に対しては,即時抗告をすることができます(家事事件手続法258条1項・43条2項)。
2 利害関係参加
(1) 審判を受ける者となるべき者は,家事調停の手続に参加することができます(任意参加。家事事件手続法258条1項・42条1項)。
(2) 審判を受ける者となるべき者以外の者であって,家事調停の結果により直接の影響を受けるもの又は当事者となる資格を有するものは,家庭裁判所の許可を得て,家事審判の手続に参加することができます(任意参加。家事事件手続法258条1項・42条2項)。
(3) 家庭裁判所は,相当と認めるときは,職権で,審判を受ける者となるべき者等を,家事調停の手続に参加させることができます(強制参加。家事事件手続法258条1項・42条3項)。


第6 電話会議又はテレビ会議による家事調停(主としてコロナ前の取扱いです。)
1 当事者が遠隔の地に居住している場合その他相当と認める場合,電話会議又はテレビ会議を利用した家事調停が実施されることがあります(家事事件手続法258条1項・54条)。
    「その他相当と認める場合」の例としては,①利害関係参加人,代理人又は第三者が遠隔の地に居住している場合,及び②身体上の障害,病気療養中等により調停を行う裁判所への出頭が困難な場合が考えられます。
2 電話会議又はテレビ会議を利用した家事調停の場合,民事訴訟における弁論準備(民事訴訟法170条3項ただし書参照)と異なり,当事者の両方が裁判所に出頭していない場合でも行うことができます。
    その反面,証拠調べについては,証人が遠隔の地に居住するとき等の場合にのみ,テレビ会議に限り利用することができます(家事事件手続法258条1項・64条1項)。
3(1) 手続代理人が付いている場合における電話会議の利用は,本人に代理人弁護士の法律事務所に来てもらって手続を進めることが予定されています。
(2) 本人が身体上の障害や病気療養中で法律事務所への出頭が困難な場合には,代理人が同席の上で,本人のいる施設で電話を受けることも一定の条件の下で認められる余地があります。
4 テレビ会議については,遠方当事者が最寄りのシステムを備えた裁判所に出頭して行うことが予定されています。
5 いったん電話会議又はテレビ会議の利用が認められた場合でも,当該期日に予定される手続行為(審理)の内容等によっては,続行期日における利用が認められないこともあります。
6(1) 調停を成立させる場面においても電話会議又はテレビ会議を利用することができます。
(2) 離婚及び離縁の調停事件の場合,電話会議又はテレビ会議を利用して調停を成立させることはできません(家事事件手続法268条3項)。
7 テレビ会議又は電話会議を利用した家事調停は,家事事件手続法によって創設されました。


第7 手続費用の取扱い
1(1) 家事審判に要する手続の費用を審判費用といい,家事調停に要する手続の費用を調停費用といい,両者を併せて「手続費用」といいます。
(2) 手続費用の典型例は,家事調停の申立てに際して必要となった収入印紙及び予納郵券の代金です。
2 手続費用は原則として,各自の負担となります(家事事件手続法28条1項及び2項)。
3 家事調停が成立した場合において,調停費用の負担について特別の定めをしなかったときは,その費用は各自の負担となります(家事事件手続法29条3項)。

第8 家事調停を成立させる場合の取扱い(主としてコロナ前の取扱いです。)
1 家事調停を成立させる場合,手続代理人弁護士が付いている場合であっても,当事者全員の同席を求められますから,相手方本人と同じ部屋で,少なくとも5分程度は同席することとなります。
2(1) 当事者が遠隔の地に居住していることその他の事由により出頭することが困難であると認められる場合において,その当事者があらかじめ調停委員会から提示された調停条項案を受諾する旨の書面を提出し,他の当事者が家事調停の手続の期日に出頭して当該調停条項案を受諾したときは,当事者間に合意が成立したものとみなされます(離婚又は離縁についての調停事件は除く。)(家事事件手続法270条)。
(2) 遺産分割についての調停事件の場合,平成24年12月31日以前でも調停条項案の書面による受諾が認められていました(家事審判法21条の2,家事審判規則137条の7及び8)。
3 家事調停が成立した場合,1週間後ぐらいに家庭裁判所から調停調書正本が依頼した弁護士の事務所に特別送達により郵送されてきます。
4 家事調停が成立した場合,一般調停事件の場合は確定判決と同一の効力が認められ,特殊調停事件又は別表第二の調停事件の場合は確定した審判と同一の効力が認められます(家事事件手続法268条1項)。
    そのため,家事調停の内容に違反した場合,強制執行をされる可能性があります。


第9 家事調停の終了形態
1 家事調停の終了形態には以下のものがあります(文中に民事調停法又は民事調停規則とあるのは,民事調停の場合の根拠条文です。)。
① 申立ての取下げ(家事事件手続法273条)
・ 家事調停の申立ては,原則として調停事件が終了するまで,その全部又は一部を取り下げることができます。
② 調停をしない措置(=調停の拒否。家事事件手続法271条,民事調停法13条)
・ (a)事件が性質上調停をするのに適当でないと認めるとき,又は(b)当事者が不当な目的でみだりに調停の申立てをしたときになされる措置です。
    (a)の例としては,事件の内容自体が法令又は公序良俗に違反し,調停をすることが適当でない場合だけでなく,調停の申立人が精神病者であったり,相手方が所在不明であったりするなど,具体的な事件の態様上調停をするのに適当でないと認められる場合があります。
(b)の例としては,義務をいたずらに回避し,又は訴訟なり審判なりを引き延ばすことだけを目的として調停をするような場合があります。
③ 調停の成立(家事事件手続法268条,民事調停法16条)
・ 当事者間に合意が成立し,これを調停調書に記載したときに成立するものです。
    ただし,合意に相当する審判が認められる特殊調停事件の場合,調停を成立させる代わりに,合意に相当する審判がなされます。
④ 合意に相当する審判(家事事件手続法277条)
・ (a)婚姻,養子縁組,協議離婚,協議離縁の無効又は取消し,(b)認知,認知の無効又は取消し,(c)嫡出否認,(d)身分関係の存否又は確定に関する事件等の調停(=特殊調停事件)において,当事者間に合意が成立し,無効又は取消しの原因の有無について争いがない場合になされることがあります。
⑤ 調停に代わる審判(家事事件手続法284条)
・ 調停委員会の調停が成立しない場合において相当と認めるときになされることがあり,調停に代わる審判で離婚した場合を審判離婚といいます(家事事件手続法の下では,別表第二の調停事件についても調停に代わる審判が利用できることとなりました。)。
    ただし,2週間以内に当事者が異議の申立てをすれば失効します(家事事件手続法286条2項・279条2項,286条5項前段)。
・  民事調停の場合,調停に代わる決定(民事調停法17条)が存在しますところ,同じく,2週間以内に当事者が異議の申立てをすれば失効します(民事調停法18条)。
⑥ 調停の不成立(家事事件手続法272条,民事調停法14条)
・ 当事者間に合意が成立しない場合,又は成立した合意が相当でない場合になされます。
⑦ 当事者の死亡
2 当事者の一部の者が,調停の内容には納得しながら,遠隔地に居住しているなどの理由から裁判所に出頭することができず,調停の成立が遅れたり,調停を成立させることができなかったりする事態になることを避けるために,現に出頭することのできない当事者が調停条項案を受諾する旨の書面を提出することにより,調停を成立させることができます(家事事件手続法270条1項)。
    ただし,離婚又は離縁の調停事件については,調停条項案の書面による受諾の方法により調停を成立させることはできません(家事事件手続法270条2項)。
3 合意に相当する審判がされた後に家事調停の申立てを取り下げる場合,相手方の同意を要します(家事事件手続法278条)し,調停に代わる審判がされた後に家事調停の申立てを取り下げることはできません(家事事件手続法285条1項)。


第10 公益財団法人日本調停協会連合会
1 公益財団法人日本調停協会連合会(=日調連)は,全国の地方裁判所,家庭裁判所,簡易裁判所の調停委員が所属する各調停協会の連合体である調停協会連合会又は調停協会(全国で55団体あります。)が会員となって運営する組織です。
    昭和27年4月8日に任意団体として設立され,昭和30年6月15日に財団法人となり,平成23年4月1日に公益財団法人となりました。
2 日調連の事務局は最高裁判所の構内に設置されており,①調停制度や調停法規の調査研究,②調停制度の普及宣伝広報,③全国各地での無料調停相談の実施,④調停委員に対する研修の実施,⑤研修のための機関誌や出版物の刊行等を行っています。
3 大阪府に所在する調停協会としては,大阪民事調停協会及び大阪家事調停協会があり,事務局は大阪地方裁判所及び大阪家庭裁判所の構内に設置されています。
4(1) 我が国の調停制度は,大正11年10月1日に施行された借地借家調停法(大正11年4月12日法律第41号。昭和26年10月1日廃止)に基づく借地借家調停から始まりました。
(2) 平成24年は,調停制度90周年であるとともに,日調連創立60周年の年でしたから,同年10月18日,「調停制度施行90周年・日本調停協会連合会創立60周年記念式典」が東京都内で開催されました。

第11 離婚調停の位置付け
1 いわゆる離婚調停には,「夫婦関係調整調停(円満調整)」及び「夫婦関係調整調停(離婚)」の二つがありますから,離婚調停は必ずしも離婚を前提とした調停であるとは限りません。
2 離婚が成立する前の時点における,①親権者の指定,②子の監護に関する処分,③財産分与,及び④離婚時年金分割は別表第二の調停事件ではないのであって,離婚成立後に初めて別表第二の調停事項としての取扱いを受けることとなります。
    つまり,これらの事項は,⑤慰謝料(訴訟事項です。)も含め,一般調停事件である離婚調停の中で話し合いをすることになりますし,家事調停が成立しなかった場合であっても家事審判に移行することはありません。
    そのため,離婚調停において,離婚が成立する前の段階で家事調停が成立しなかったときに家事審判に移行する事項は通常,婚姻費用分担に関するものに限られることとなります(民法760条参照)。
3 家庭裁判所は,親子,親権又は未成年後見に関する家事審判又は家事調停その他未成年者である子がその結果により影響を受ける家事審判の手続においては,子の陳述の聴取,家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法により,子の意思を把握するように努め,審判及び調停をするに当たり,子の年齢及び発達の程度に応じて,その意思を考慮しなければなりません(家事事件手続法65条・258条1項。なお,子どもの権利条約12条参照)。
4 41期の小出邦夫法務省民事局長は,令和3年4月16日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています。
 児童の権利委員会から、平成三十一年二月の総括所見の中で、父母による児童の共同養育を実現するため、離婚後の親子関係について定めた法令を改正するとともに、親と離れて暮らしている子と親との人的関係及び直接の接触を維持するための子の権利が定期的に行使できることを確保すべきである旨の勧告があったことは承知しております。
 我が国の親子法制につきましては、法律面及び運用面のいずれにつきましても、子供の利益の観点から、必ずしも十分なものとなっていないとの指摘が国内外からされているところでございまして、この勧告もこのような指摘を踏まえて行われたものと理解しておりまして、この点については真摯に受け止めているところでございます。
 法務省といたしましては、離婚及びこれに関連する制度の見直しに関する充実した調査審議が法制審議会において行われるよう、事務局を担う立場から、必要な対応に努めていきたいと考えております。

第12 家事調停と人事訴訟は連続性を持たない制度とされていること
1 家事調停と人事訴訟について連続性を持たせた場合,家庭の紛争に伴いがちな当事者間の微妙な感情的対立や公開をはばかる私生活上の言動等の諸事情を考慮しながら紛争を解決できるという家事調停の利点が損なわれるおそれがあることにかんがみ,家事調停と人事訴訟は連続性を持たない制度とされています。
    そのため,人事訴訟の受訴裁判所が,それと同一の国法上の裁判所が保管する他の事件の記録を証拠とする場合,書証提出の準備行為として「記録の取寄せ」を行うことになります。
    例えば,離婚訴訟を担当する大阪家庭裁判所人事訴訟係が大阪家庭裁判所家事事件係から記録の取り寄せを行う場合があります。
2 家事調停で自由な発言等をした当事者にとって不意打ちとならないこと,ひいては当事者の合意による自主的解決を図るという家事調停の特質を害さないようにするため,調停手続において,当事者に開示することが相当であると認められる記録部分(家事事件手続法254条3項参照)についてのみ,調停裁判所は,受訴裁判所からの記録の取寄せに応じています。

第13 関連記事その他
1 家事事件手続法下における書記官事務の運用に関する実証的研究-家事調停事件及び別表第二審判事件を中心に-66頁には「この事件(山中注:法244条の規定により調停を行うことができる事件)は,必要的付調停(法257条2項本文)及び任意的付調停(法274条1項)のいずれについても,人事訴訟事件(人訴法2条)に限らず,家事調停事項について提起された民事訴訟事件一般(例えば,不貞の相手方に対する慰謝料請求事件や遺留分減殺請求事件等)が対象となる(逐条771頁,772頁及び824頁参照)。」と書いてあります。
2(1) 裁判所HPに「ご存知ですか?家事調停」が載っていて,公益財団法人日本調停協会連合会HP「家事調停の流れ」が載っています。
(2) 東弁リブラ2018年7月号「民事調停のすすめ」が載っていて,多治見ききょう法律事務所HP「裁判所HPより詳しい離婚調停解説」が載っています。
3(1) 判例タイムズ1499号(2022年10月号)に調停制度100周年に関する論文が載っています。
(2) 自由と正義2023年1月号17頁ないし47頁に「調停制度100年」が載っています。
4(1) 平成12年12月1日法律第134号による改正後の未成年者飲酒禁止法(令和4年4月1日以降は「二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律(大正11年3月30日法律第20号)」です。)3条1項及び1条3項に基づき,酒類を扱う販売業者又は飲食業者が未成年者の飲用に供することを知りながら酒類を販売又は供与した場合,50万円以下の罰金に処せられます。
(2) Asahi HPに「20歳未満飲酒を禁じる法律」が載っています。
5(1) 以下の資料を掲載しています。
① 家事事件関係の各種一覧表(平成24年11月27日付の最高裁判所家庭局長の事務連絡)
② 家庭裁判所の現状と課題(平成30年2月)(最高裁判所家庭局が作成したもの)
③ 遺産分割事件の調査について(平成22年9月29日付の最高裁判所家庭局長通達)
④ 平成28年度調停事件統計資料及び平成29年度調停事件統計資料
(2) 以下の記事も参照してください。
・ 相続事件に関するメモ書き
・ 離婚事件に関するメモ書き
・ 離婚時の財産分与と税金に関するメモ書き
・ 家事審判に関するメモ書き
・ 家事事件に関する審判書・判決書記載例集(最高裁判所が作成したもの)


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