従業員の健康診断


目次
1 健康診断の実施
2 雇入時の健康診断
3 定期健康診断
4 健康診断実施後の措置
5 健康診断を受けている間の賃金
6 関連記事その他

1 総論
(1) 労働者を雇い入れた場合,事業主は健康診断を行う必要があります(労働安全衛生法66条・労働安全衛生規則43条)。
(2) 事業主は,1年以内ごとに1回,労働者の健康診断を行う必要があります(労働安全衛生法66条・労働安全衛生規則44条)。
(3) RELO総務人事タイムズHP「健康診断の代行業者を活用する。業務負担軽減に役立つ代行業者3社」が載っています。

2 雇入時の健康診断
(1) 栃木労働局HPの「定期健康診断等について」には以下の記載があります。
 パート・アルバイトについても、次の1~3までのいずれかに該当し、かつ1週間の所定労働時間が同種の業務に従事する通常の労働者の4分の3以上であるときは、健康診断を実施する必要があります。
 なお、4分の3未満であっても、1週間の所定労働時間が、同種の業務に従事する通常の労働者の概ね2分の1以上であるときは、健康診断を実施することが望ましいとされています。
1. 雇用期間の定めのない者
2. 雇用期間の定めはあるが、契約の更新により1年以上(注)使用される予定の者
3. 雇用期間の定めはあるが、契約の更新により1年以上(注)引き続き使用されている者
(注)特定業務従事者(深夜業、有機溶剤等有害業務従事者)にあっては6ヶ月以上 
(2) 例えば,「雇入れ時健康診断 大阪市」でグーグル検索すれば,大阪市内で雇入れ時健康診断を実施している医療機関を調べることができます。

3 定期健康診断
(1) 定期健康診断の項目は以下の11項目です(労働安全衛生規則44条1項のほか,BeHealthの「健康診断の義務(実施・負担・把握・報告・保管)について」参照)。
(調査事項)
一 既往歴及び業務歴の調査
(検査事項)
二 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
三 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
四 胸部エックス線検査及び喀痰検査
五 血圧の測定
六 貧血検査(赤血球数、血色素量)
七 肝機能検査(AST、ALT、γ-GT)
八 血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
九 血糖検査(空腹時血糖またはHbA1c)
十 尿検査(糖・蛋白の有無)
十一 心電図検査
(2) 定期健康診断の場合,身長,腹囲,胸部X線検査,喀痰(かくたん)検査,貧血検査,肝機能検査,血中脂質検査,血糖検査及び心電図検査については,それぞれの基準に基づき,医師が必要でないと認めるときは省略できます(労働安全衛生規則44条2項)。
(3)ア Sanpo Naviの「定期健康診断の費用は会社負担?健診の種類・項目・義務内容のおさらい」には以下の記載があります。
健康診断は法律により企業に実施が義務付けられているものですので、費用は企業が全額負担することが労働安全衛生法にて定められています。
健康診断は保険適用外のため自由診療となり、費用はさまざまです。
定期健康診断の場合、一人当たり5000円~15000円前後に設定している医療機関・健診機関が多いようです。
イ 労働安全衛生法および同法施行令の施行について(昭和47年9月18日付の労働省労働基準局長通達)には「(山中注:労働安全衛生法66条)第一項から第四項までの規定により実施される健康診断の費用については、法で事業者に健康診断の実施の義務を課している以上、当然、事業者が負担すべきものであること。」と書いてあります。
(4) 例えば,「定期健康診断 大阪市」でグーグル検索すれば,大阪市内で定期健康診断を実施している医療機関を調べることができます。

4 健康診断実施後の措置
(1) 健康診断個人票の作成及び定期健康診断結果報告書
ア 健康診断の結果については健康診断個人票を作成し,5年間は保存しておく必要があります(労働安全衛生法66条の3)。
イ 長崎労働局HPの「健康診断個人票」に,健康診断個人票(雇入時)健康診断個人票(定期)等の書式が載っています。
ウ 常時50人以上の労働者を使用する事業者は,所轄の労働基準監督署に対し,定期健康診断結果報告書を提出する必要があります(岡山労働局HPの「健康診断の種類及び報告義務」参照)。
エ 定期健康診断結果報告書は,労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービスを利用して作成することもできます。
(2) 健康診断の結果に基づく措置
ア 健康診断の結果に基づき,健康診断の項目に異常の所見のある労働者について,労働者の健康を保持するために必要な措置について,医師(歯科医師による健康診断については歯科医師)の意見を聞く必要があります(労働安全衛生法66条の4)。
イ 医師又は歯科医師の意見を勘案し必要があると認めるときは,作業の転換,労働時間の短縮等の適切な措置をとる必要があります(労働安全衛生法66条の5)。
ウ 健康診断結果は、労働者に通知する必要があります(労働安全衛生法66条の6)。
エ  健康診断の結果に基づく保健指導健康診断の結果,特に健康の保持に努める必要がある労働者に対し,医師や保健師による保健指導を行うよう努めなければなりません(労働安全衛生法66条の7)。
(3) 個人情報保護法との関係
ア 健康診断その他の検査の結果は,要配慮個人情報です(個人情報保護法2条3項,個人情報保護法施行令2条2号)。
イ 個人情報保護委員会HP「雇用管理分野における個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項」には以下の記載があります。
事業者が外部機関にこれらの健康診断又は面接指導を委託するために必要な労働者の個人情報を外部機関に提供し、また、外部機関が委託元である事業者に対して労働者の健康診断又は面接指導の結果を報告(提供)することは、それぞれ安衛法に基づく事業者の義務を遂行する行為であり、法第 23 条第1項第1号の「法令に基づく場合」に該当し、本人の同意を得なくても第三者提供の制限は受けない。
ウ Growbase HPの「健康診断の結果提出を会社が命じられる?誰が把握できるかもチェック」には「健康診断の結果を把握するのは、実施するのと同様に会社の義務と考えられます。ただし、労働安全衛生法で定められた11項目以外の検査結果に関しては個人情報保護法が優先されるため、本人の同意を得た上で把握しましょう。」と書いてあります。


5 健康診断を受けている間の賃金
(1) 厚生労働省HPの「健康診断を受けている間の賃金はどうなるのでしょうか?」には「回答」として以下の記載があります(改行を追加しています。)。
    健康診断には大きく分けて一般健康診断と特殊健康診断があります。
    一般健康診断とは、職種に関係なく、労働者の雇入れ時と、雇入れ後1年以内ごとに一回、定期的に行う健康診断です。特殊健康診断とは、法定の有害業務に従事する労働者が受ける健康診断です。
    一般健康診断は、一般的な健康確保を目的として事業者に実施義務を課したものですので、業務遂行との直接の関連において行われるものではありません。そのため、受診のための時間についての賃金は労使間の協議によって定めるべきものになります。ただし、円滑な受診を考えれば、受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましいでしょう。
    特殊健康診断は業務の遂行に関して、労働者の健康確保のため当然に実施しなければならない健康診断ですので、特殊健康診断の受診に要した時間は労働時間であり、賃金の支払いが必要です。
(2) 2分で読める労務ワンポイントHPの「健康診断の休日実施」には以下の記載があります。
    最近は、従業員の健康状態を把握する必要性が高まっています。できる限り、未受診者を減らすために、定期健康診断は勤務時間内に行って、賃金を控除しない取扱いが望ましいです。
    一般的にも、定期健康診断は勤務時間内に行って、賃金を控除しない会社が多数です。

6 関連記事その他
(1) 厚生労働省HPに「労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう~労働者の健康確保のために~」が載っています。
(2) Carely「定期健康診断の健診項目は省略してはいけません、その理由はこれです。」が載っています。
(3) 労務事情1251号(2013年5月1日付)に「従業員の健康管理にかかわる留意点」が載っています。
(4)ア 国税庁HPに「人間ドックの費用負担」が載っていますところ,健診料相当額を医療機関に直接支払う必要があるかどうかの記載はありません。
イ 「従業員の健康診断費用を事業主の福利厚生費とするためには、事業主が直接、従業員の健康診断費用を診療機関に支払う必要があると定めている法令解釈通達その他の文書(最新版)」は 国税庁に存在しません(令和4年12月12日付の国税庁長官の行政文書不開示決定通知書参照)。
(5) 以下の記事も参照してください。
・ 労働基準法に関するメモ書き


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