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源泉徴収票,法定調書合計表及び給与支払報告書に関するメモ書き(AIリライト)

0 総論

国税庁ホームページのタックスアンサーNo.7400「法定調書の提出義務者」によれば,法定調書とは,所得税法,相続税法,租税特別措置法及び内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律の規定により,税務署への提出が義務付けられている資料をいう。給与所得の源泉徴収票は,この法定調書の一種であり,給与等の支払者が受給者ごとに作成し,一定範囲のものを所轄税務署へ提出するとともに,税務署への提出の要否にかかわらずすべての受給者本人に交付しなければならない書類である(所得税法226条1項)。

給与支払報告書は,記載内容が源泉徴収票とほぼ同一であるものの,市区町村(受給者の住所地)に提出するための書類であり,税務署提出用の法定調書合計表とは別の手続として整理されている。法定調書合計表は,給与所得の源泉徴収票をはじめとする複数種類の法定調書の提出状況を取りまとめて所轄税務署に提出する書類である。以下では,これらの作成・提出の実務を,令和7年度税制改正による源泉徴収票様式の改正まで含めて整理する。

1 年末調整に際して給与所得の源泉徴収票を作成する場合

従業員に給与等を支払った場合,給与所得の源泉徴収票を給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表と一緒に,翌年1月31日までに支払者の所轄税務署に提出する必要がある。もっとも,税務署への提出範囲は,年末調整をした受給者について,①法人の役員(現に役員をしていなくても,その年中に役員であった者を含む。相談役,顧問その他これらに類する方も含まれる。)はその年中の給与等の支払金額が150万円を超えるもの,②弁護士,司法書士,税理士等はその年中の給与等の支払金額が250万円を超えるもの,③これら以外の者はその年中の給与等の支払金額が500万円を超えるものに限られる(年末調整をしなかった受給者については別途の提出範囲が定められている。国税庁ホームページのタックスアンサーNo.7411「「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等」参照)。

ただし,この税務署への提出範囲に該当するかどうかにかかわらず,給与等を支払ったすべての受給者(国内に住所又は1年以上居所を有する居住者である外国人従業員を含む。)に対しては,その年の翌年1月31日まで(年の中途で退職した受給者については,退職の日以後1か月以内)に,給与所得の源泉徴収票を交付する必要がある(所得税法226条1項)。この交付又は提出の義務に違反し,正当な理由なく源泉徴収票をその提出期限までに税務署長に提出せず,又は交付の期限までに支払を受ける者に交付しない場合(偽りの記載をして提出し,又は交付した場合を含む。)は,1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処せられる(所得税法242条5号,6号)。

市区町村に対しては,給与支払報告書(総括表)1枚及び給与支払報告書(個人別明細書)2枚を,翌年1月31日までに提出する必要がある。ビズ研HPに「【令和4年版】源泉徴収票・給与支払報告書テンプレート(無料・登録不要)」が掲載されている。

2 従業員が年の途中に退職した場合

「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した従業員が年の途中に退職した場合,退職後1か月以内に,年末調整をせずに源泉徴収票をその従業員に交付するとともに,市区町村に「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を提出する必要がある(所得税法226条1項)。また,翌年1月31日までに,給与支払報告書(個人別明細書)2枚及び給与支払報告書(総括表)1枚を,元従業員の退職日現在の市区町村に提出する必要がある。ただし,退職した受給者に対する給与等の支払金額が30万円以下の場合は,この給与支払報告書の提出を省略することができる(国税庁ホームページのタックスアンサーNo.7411参照)。

3 源泉徴収票等の作成と提出の手引

国税庁ホームページには「令和7年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」が掲載されており,「第2 給与所得の源泉徴収票(給与支払報告書)」等が含まれている。国税庁ホームページには「[手続名]給与所得の源泉徴収票(同合計表)」及び「[手続名]退職所得の源泉徴収票(同合計表)」も掲載されている。

4 法定調書合計表

法定調書とは,前記0のとおり,所得税法,相続税法,租税特別措置法及び内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律の規定により,税務署への提出が義務付けられている資料をいう。給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を作成するときに取りまとめる法定調書は,①給与所得の源泉徴収票,②退職所得の源泉徴収票,③報酬,料金,契約金及び賞金の支払調書,④不動産の使用料等の支払調書,⑤不動産等の譲受けの対価の支払調書,⑥不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書の6種類である(OBC360°の「法定調書合計表の書き方と提出期限・提出先」参照)。このうち,不動産の使用料等の支払調書の提出義務者は法人及び不動産業者である個人であり,法人に対して家賃や賃借料だけを支払っている場合には,支払調書を提出する必要はない(フリーウエイ給与計算HPの「不動産の使用料等の支払調書とは~記載事項、提出期限、提出の省略について~」参照)。

給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表はe-Tax(WEB版)でも作成できる(e-Taxの「法定調書の作成・提出について」参照)ほか,Vectorに「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表EXCELシート」が掲載されている。マイナンバー制度が平成28年1月1日に開始した関係で,法定調書合計表の様式は平成28年分から変更されている。

国税庁ホームページの「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」の記載要領には,次の記載がある。「「○A 俸給、給与、賞与等の総額」欄には、給与所得の源泉徴収票の提出省略限度額以下のため給与所得の源泉徴収票の提出を省略するものを含めたすべての給与等について記載する。なお、年の中途で就職した者が就職前に他の支払者から支払を受けた給与等の金額及び徴収された源泉所得税額並びに災害により被害を受けたため、給与所得に対する源泉所得税の徴収を猶予された税額は、「支払金額」又は「源泉徴収税額」に含めないで記載する。」

5 給与支払報告書及び源泉徴収票の電子的提出の一元化

eLTAXの「給与支払報告書、公的年金等支払報告書及び源泉徴収票の電子的提出の一元化について」には,次の記載がある。「給与や公的年金等の支払をする事業者の方は、一定額以上の支払に係るものについて、受給者の方がお住まいの市区町村に支払報告書を提出するほか、記載内容がほぼ同一の源泉徴収票を事業者の方の所轄税務署にも提出する必要があります。地方税における手続を電子的に行うシステムである地方税ポータルシステム(eLTAX)を利用して、市区町村に提出する給与や公的年金等の支払報告書の電子申告用のデータを作成する際、税務署に提出が必要な源泉徴収票の電子申告(e-Tax)用のデータも同時に作成することができます。同時に作成したデータは、eLTAXに一括して送信することで支払報告書は各市区町村に、源泉徴収票についてはe-Taxで事業者の方の所轄税務署にそれぞれ提出されます(以下「一元化」といいます。)。」(PCdesk及び一元化対応税務ソフトに限る。)給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(平成28年分以降用)も,この一元化の対象になっている。

このeLTAXによる一元化は任意の効率化策であるが,これとは別に,法定調書の種類ごと・提出義務者ごとに,前々年に提出すべきであった当該法定調書の枚数が100枚以上(令和9年1月1日以後は30枚以上)である場合は,e-Tax,光ディスク等又は国税庁長官の認定を受けたクラウドサービス等による提出が義務付けられており,書面による提出は認められない。給与所得(及び公的年金等)の源泉徴収票がこの提出義務化の対象になった年分は,市区町村への給与支払報告書についても,光ディスク等又はeLTAXによる提出が義務化される(国税庁ホームページのタックスアンサーNo.7455「法定調書の提出枚数が100枚以上の場合のe-Tax、光ディスク等又はクラウド等による提出義務」,同「e-Tax又は光ディスク等による法定調書の提出義務」(質疑応答事例)参照)。

6 給与支払報告書の訂正

さいたま市HPの「提出した給与支払報告書に誤りがあった」には,次の記載がある。「給与支払報告書(個人別明細書)の摘要欄に朱書きで「訂正」と記載し、給与支払報告書(総括表)と併せて提出してください。」提出書類は,①給与支払報告書(総括表),②普通徴収切替理由書(普通徴収の該当者がいない場合は提出不要),③給与支払報告書(個人別明細書),④事業主本人のマイナンバーカード又は通知カード及び本人確認書類の写し(個人事業主の場合のみ)である(本人確認ができ次第,書類は廃棄処分される。給与支払報告書(個人別明細書)は税務署でも配布されている。)。

私の経験では,確定申告をしていない従業員の過去の給料が間違っていた場合,給与支払報告書(訂正)を提出することで,過年度に遡及して所得証明書を訂正してもらうとともに,住民税を還付してもらうことができた。

7 給与所得及び退職所得の源泉徴収票の計算サイト

生活や実務に役立つ計算サイトKeisanの「源泉徴収票(給与所得)」を使えば,給与所得の源泉徴収票を作成するのに必要な計算ができる。第一生命HPの「生命保険料控除額計算サポートツール」を使えば,生命保険料控除額を計算できる。「退職金の税金」を使えば,退職所得の源泉徴収票・特別徴収票を作成するのに必要な計算ができる。

8 関連記事その他

平成28年1月1日以後に支払の確定した給与等に係る給与所得の源泉徴収票のうち,税務署に提出するものには受給者のマイナンバー又は法人番号を記載する必要がある。もっとも,平成27年10月2日の所得税法施行規則等の改正により,従業員等の受給者に交付する源泉徴収票にはマイナンバーを記載しないこととされている(国税庁ホームページの「法定調書に関するFAQ」Q1-1,Q2-1,Q2-2参照)。個人事業主メモHPに「個人事業主の源泉徴収-給与や報酬を支払う側の情報」が掲載されている。

就職前に他の支払者から受けた給与等を通算して年末調整を行った受給者については,源泉徴収票の「(摘要)」欄に,①他の支払者の所在地,名称等,②他の支払者のもとを退職した年月日,③他の支払者が支払った給与等の金額,徴収した所得税及び復興特別所得税の合計額,給与等から控除した社会保険料の金額,を記載する。源泉徴収票の「控除対象配偶者」の「区分」欄は,非居住者である場合は「○」印を付け,居住者である場合は何も記載しない。他方,「控除対象扶養親族」の「区分」欄については,令和2年度税制改正による非居住者要件の見直しに伴い,令和5年分以降は「○」印ではなく,居住者は空欄のまま,非居住者は「01」(30歳未満又は70歳以上),「02」(30歳以上70歳未満の留学生),「03」(同・障害者),「04」(同・年38万円以上の送金を受けている者)のいずれかの番号を記載することとされている(国税庁ホームページの「令和5年分以降の給与所得の源泉徴収票の控除対象扶養親族の区分欄の記載方法」参照)。末松会計グループHPに「【対処法】年末調整に源泉徴収票が間に合わない|前職会社への対応も」が掲載されている。

年末調整では,その年の1月1日から12月31日の間に支払った給与を取り扱うのであって,翌年1月支払予定の今年の12月分給与は,今年の年末調整の対象外である(末松会計グループHPの「【簡単解説】年末調整の対象期間|12月分1月支払の給与は?」参照)。

なお,令和7年度税制改正により基礎控除及び給与所得控除の引上げ並びに特定親族特別控除の創設が行われたことに伴い,令和7年12月以後の給与所得の源泉徴収票の様式が改正されている(中島孝一・西野道之助・轟智明共著『令和7年度税制改正 基礎控除・給与所得控除・特定親族特別控除等の実務』〔日本法令,2025年8月〕169頁~170頁参照)。

以下の記事も参照されたい。「個人事業主の税金,労働保険及び社会保険に関するメモ書き」,「年末調整に関するメモ書き」。

出典

法令

  • 所得税法(e-Gov法令検索)

ウェブ資料

  • 国税庁ホームページ タックスアンサーNo.7400「法定調書の提出義務者」
  • 国税庁ホームページ タックスアンサーNo.7411「「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等」
  • 国税庁ホームページ タックスアンサーNo.7455「法定調書の提出枚数が100枚以上の場合のe-Tax、光ディスク等又はクラウド等による提出義務」
  • 国税庁ホームページ「法定調書に関するFAQ」
  • 国税庁ホームページ「令和5年分以降の給与所得の源泉徴収票の控除対象扶養親族の区分欄の記載方法」
  • 国税庁ホームページ質疑応答事例「e-Tax又は光ディスク等による法定調書の提出義務」
  • 国税庁ホームページ「令和7年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」
  • 国税庁ホームページ「[手続名]給与所得の源泉徴収票(同合計表)」
  • 国税庁ホームページ「[手続名]退職所得の源泉徴収票(同合計表)」
  • 国税庁ホームページ「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」(記載要領)
  • OBC360°「法定調書合計表の書き方と提出期限・提出先」
  • フリーウエイ給与計算HP「不動産の使用料等の支払調書とは~記載事項、提出期限、提出の省略について~」
  • e-Tax「法定調書の作成・提出について」
  • Vector「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表EXCELシート」
  • eLTAX「給与支払報告書、公的年金等支払報告書及び源泉徴収票の電子的提出の一元化について」
  • さいたま市HP「提出した給与支払報告書に誤りがあった」
  • 生活や実務に役立つ計算サイトKeisan
  • 第一生命HP「生命保険料控除額計算サポートツール」
  • ビズ研HP「【令和4年版】源泉徴収票・給与支払報告書テンプレート」
  • 個人事業主メモHP「個人事業主の源泉徴収-給与や報酬を支払う側の情報」
  • 末松会計グループHP

文献

  • 中島孝一・西野道之助・轟智明共著『令和7年度税制改正 基礎控除・給与所得控除・特定親族特別控除等の実務』(日本法令,2025年8月)